「赤坂自民亭」
女将:上川陽子 法相
若女将:小渕優子 元経済産業相
亭主:竹下亘 総務会長
記録的豪雨が西日本を襲い日本国民の多くが被災しているのに 日本の宰相は 赤坂自民亭 で酒宴…
安倍晋三総理は二日酔いとしか思えないむくんだ顔で15分ほど対策会議をした後、私邸に
東日本大震災以来の深刻な災害であるにもかかわらず、総理大臣が自宅に引きこもって出てこない。
7月11日からのベルギーやフランスなど4カ国外遊は取りやめ
7人の死刑執行前夜の宴 女将は死刑執行命令を出した上川法相
内閣からはほかに小野寺防衛大臣や吉野復興大臣 党側からは岸田政調会長や竹下総務会長、塩谷選対委員長、
「とても楽しい」とつぶやく 片山さつき先生や「いいなあ自民党 」と陶酔する西村官房副長官
参院内閣委で立憲民主党の杉尾秀哉氏が質問する際に配られた、安倍晋三首相が出席した5日夜の懇親会「赤坂自民亭」に関する資料=2018年7月10日午後2時46分
安倍晋三首相は西日本で大雨が降り続いたさなかの2018年7月5日夜、自民党国会議員が懇親を深めるため衆院赤坂宿舎(東京都港区)で定期的に催している飲み会「赤坂自民亭」に参加した。赤坂亭は27回目だが、安倍首相の出席は初めて。9月の党総裁選を意識した動きとみられる。終了後、首相は「和気あいあいで良かった」と記者団に語った。
同日は、気象庁が8日ごろまで東日本から西日本の広い範囲で記録的な大雨になる恐れもあるとして、土砂災害や河川の氾濫、低地への浸水に厳重な警戒を呼び掛けていた。
この日は総裁選に出馬するかどうか検討している岸田文雄政調会長も姿を見せた。竹下亘総務会長、小野寺五典防衛相、上川陽子法相を含め約50人が参加した。
首相動静(7月5日) 午後8時28分、東京・赤坂の衆院議員宿舎着。同党の若手国会議員と懇談。上川陽子法相、同党の竹下亘総務会長、岸田文雄政調会長ら同席。 午後9時19分、報道各社のインタビュー。「懇談はどうだったか」に「和気あいあいでよかった」。同20分、同所発。 午後9時38分、私邸着。 6日午前0時現在、私邸。来客なし 首相動静(7月7日) 午前8時現在、公邸。朝の来客なし。 午前9時43分、公邸発。同44分、官邸着。 午前10時1分から同16分まで「7月5日からの大雨に関する関係閣僚会議」。 午前11時35分、官邸発。 午前11時49分、東京・富ケ谷の私邸着。 首相動静(7月8日) 午前8時31分、東京・富ケ谷の私邸発。同42分、官邸着。同9時2分から同22分まで、非常災害対策本部会議 |
横田一「ニッポン抑圧と腐敗の現場」43 総裁選でも争点に! 安倍首相“赤坂自民亭”が豪雨被害を拡大させたとのデータが! ダムを事前放流しておけば…(2018年8月30日配信『リテラ』)
今月23日夜、徳島県に上陸した台風20号に対して安倍首相は、西日本暴雨の時とは別人のような対応をした。上陸前の23日に非常災害対策本部を開いて厳重な警戒の徹底を指示したのだ。
西日本豪雨の際、気象庁が記録的豪雨の予報(警告)を出した7月5日の夜に安倍首相は「赤坂自民亭」の宴会に参加、翌6日には参院でカジノ法案を審議入りさせて石井啓一国交大臣を張り付かせ、非常災害対策本部が設置されたのは気象庁の警告から2日以上経った8日8時。「豪雨災害より総裁選優先」「初動の遅れが被害拡大を招いた」と批判されたが、それに比べて今回は、上陸前の23日に非常災害対策本部を開いて厳重な警戒の徹底を指示したわけだ。
しかし、そんなことは当然であり、これで西日本豪雨時の「初動の遅れ(犯罪的職務怠慢)」が免責されるわけではない。未だに安倍首相は、西日本豪雨の対応について「政府一丸となって災害発生以来、全力で取り組んできた」と非を認めず、初動遅れと被害拡大の関連性を否定している。だが、その後の筆者の現地取材、検証でも、そんな言い訳は大嘘だったことが明らかになったからだ。
●「豪雨被害は安倍首相の“赤坂自民亭”初動遅れによる人災」と被災者が!
ダムの緊急放水後に床上浸水の被害を受けた岡山・広島・愛媛の被災者は、次のような“人災説”をそろって口にしていた。
「ダムの緊急放水があまりに急で、一気に水位が上がって車を高台に移動する時間すらなかった。もっと早めに緩やかに放流をしていれば、ピーク(最大)放水量は半分ぐらいで済んで、こんな大きな被害は出なかったはずだ。なぜ安倍首相は5日夜の赤坂自民亭への出席をキャンセル、すぐに非常災害本部を設置して『ダム事前放水(貯水率低減)』を指示しなかったのか!」
W杯サッカーにたとえれば、監督が大会屈指の強敵との対戦前日に作戦会議を開かずに、監督再任の鍵を握る面々との飲み会を優先、コーチもフォローしなかった結果、選手の実力を十分に発揮できずにオウンゴールを連発、惨敗をしたようなものだ。「こんなダメ監督(安倍首相)とコーチ(石井大臣)は交代させろ!」という声が出て当然だ。
A級戦犯コンビ”の安倍首相と石井国交大臣の初動遅れ=犯罪的職務怠慢が被害拡大を招いたことは、岡山・広島・愛媛の「ダム放水量の推移(データ)」を見ると、一目瞭然だ。いずれの県でも「事前放流をしてダムを出来るだけ空に近づける操作をせず、記録的豪雨でダムがすぐに満杯状態となり、決壊を避けるために一気に緊急放水をした」という共通点があったのだ。
野党も、安倍首相の初動遅れ、職務怠慢による人災に注目している。全国初の流域治水条例をつくった嘉田由紀子・前滋賀県知事、河川工学者の今本博健・京都大学名誉教授と大熊孝・新潟大学名誉教授は8月7日、堤防決壊で死者51名の被害を出した岡山県倉敷市真備町地区を訪れ、国交省岡山河川事務所や岡山県の担当者から説明を受けたが、ここに国民民主党の柚木道義衆院議員(その後22日に離党し現在は無所属)、立憲民主党の高井崇志衆院議員と山崎誠衆院議員も同行。下流域(真備町地区など)の洪水被害を招いた可能性のあるダムの緊急放水について、嘉田氏が国交省の担当者をこう問い質した。
「河川法52条では、河川管理者(国交省)は洪水の恐れがあるときは、ダム設置者(岡山県や中国電力)に対して、必要な措置をとることを指示することができるはず。なぜ今回、やらなかったのですか?」
豪雨最中のダム緊急放水が被害を拡大! 国交省はダムの事前放流を指示せず
15日の広島を視察する安倍首相(撮影・横田 一)
実は、真備町地区に接する高梁川上流のダムで緊急放流をしたのは、県管理の「河本ダム」(高梁市)や中国電力管理の「新成羽川ダム」(同)などだが、なかでも高梁川水系で最大の新成羽川ダムは河本ダムに比べて貯水量が約7倍で、緊急放水量も3倍弱となっていた(視察参加の山崎議員の入手データより)。しかし、国交省の担当者に「豪雨に備えて新成羽川ダムを空に近づける『事前放流』を中国電力に指示したのか」と聞くと、「していません」と回答。河川法52条を行使して洪水を避ける措置をしていないことが明らかになった。
高井議員もブログで〈どうやらこの規定は『伝家の宝刀』なっており、なかなか抜くことができない、つまり『空文』(規定はあっても使われない条文)になっているようです〉と指摘、また嘉田氏は石破茂・元地方創生大臣が政策提言をする「防災省創設」の必要性を強調、「首相直系の防災省があれば、記録的豪雨の予報が出たのを受けて、ダム管理者に事前放流を指示できただろう」という具体的なメリット(現体制との差異)を語っている。
「初動遅れ(犯罪的職務怠慢、河川法52条違反)による人災説」の可能性がさらに高まった。安倍首相は赤坂自民亭の宴会をキャンセルし、即座に非常災害対策本部を立ち上げ、ダム管理の最高責任者の石井国交大臣らと河川法52条に基づいて「ダム事前放流」の指示を出していれば、これほど多くの犠牲者を出さずに済んだはずなのだ。総裁選対応やカジノ法案審議を優先した“A級戦犯コンビ”が、気象庁が警告を出した7月5日14時から2日半も無為無策の時間をすごした結果、被害拡大を招いたことは、ダム下流域の被災者の実感やダム緊急放水の推移(データ)から明らかなのだ。
安倍首相は広島被災地視察でも、総裁選優先し被災者は二の次だった!
しかし初動遅れの影響を認めようとしない安倍首相は、1カ月後の8月5日の広島被災地視察でも「総裁選優先・被災者二の次」の対応をしていた。羽田空港を自衛隊機で午前11時に出る“超社長出勤”の安倍首相は、13時前に広島空港に到着、バスで被災地を回ったが、まだ日差しが強い17時5分に海沿いの豪華リゾートホテル「グランドプリンスホテル広島」に引き上げた。現地視察は約4時間で、移動時間を除くと2時間足らず(98分)だった。そして同夜、このホテルに岸田文雄政調会長が駆け付け、夜景の見える22階の高級レストラン「ステーキ&シーフード ボストン」で安倍首相と会食をした。赤坂自民亭ならぬ“広島自民亭”で総裁選対策に精を出したのは間違いないだろう。
しかも視察2日前の8月3日、石井国交大臣が「野呂川ダム」(広島県呉市安浦町)でルール違反の大量放流があったとして、県と国交省で検証する方針を明らかにしている。安倍首相は当然、ダム下流域の被災者と面談し、「ルール違反のダム放水で被害が出た可能性があり、申し訳ありません。『人災』の結論が出たら国家賠償をします」などと説明すると思ったが、安倍首相は最後の視察地の呉市吉浦町から10キロ先の野呂川ダムを訪れず、まだまだ視察な可能な17時すぎに“広島自民亭”のあるホテルに駆け込んだのだ。
なお8月9日に野呂川ダムを検証する初回会合が開かれたが、配布資料にあるダム放水量の推移(データ)を見ても、先の新成羽川ダムと同様、事前放流が不十分であったことを示していた。
今回の西日本豪雨災害で、「国民の生命・財産を守る」が口癖の安倍首相の化けの皮が剥がれた。危機管理能力は皆無に等しく、自らの初動遅れが被害拡大を招いたことにも無自覚で、とにかく最高権力者のポストに居座り続けることしか頭にないということだ。と同時に、総裁選の構図も浮き彫りになっていく。「“犯罪的職務怠慢”でも開き直る安倍首相VS豪雨災害を受けて防災省創設を提案する石破茂氏」というものだ。
どちらが国民の生命財産を守る重責を担う資質を有するのかは、西日本豪雨災害への対応に目を向けると、すぐに答えが出てくると思うのだが。
(2018年7月31日配信『沖縄タイムス』−「大弦小弦」)
「ウソはいけない」と子どもを諭しながら、人は世渡りに必要なウソをつく。みだりにつかないようにと、自らを戒めながら日々を過ごす
▼PKO日報の隠蔽(いんぺい)や森友学園問題を巡る虚偽答弁、文書改ざんなど最近の国会はウソがまかり通っている。加計学園問題では誰がウソをついているのか、疑惑の解明は置き去りにされた
▼西日本を豪雨が襲った5日夜、安倍晋三首相も参加し批判を浴びた「赤坂自民亭」なる酒宴。土砂災害が多発し、多くの住民が孤立していた翌6日夜も、首相は無派閥議員を極秘で公邸に招き、総裁3選に向けた囲い込みをしていたと日本テレビの「news every.」が報じた(24日)
▼番組によると会合を取り持ったのは菅義偉官房長官。首相と加計孝太郎理事長との面会疑惑で「報道機関が作る『首相動静』に載っていなければ会っていない」と強弁した政府だが、7日付の全国紙に会合の記載はない。これもウソか
▼日本は国民が主人公であり、政府は私たちが委託した業務を行う集団にすぎない。政府が国民をだますのは委託した権力の乱用で、民主主義の破壊につながる
▼私たちは、乱発される政府のウソに慣れ過ぎてはいないか。「どうせウソだろ」とどこか冷め、諦めてはいないか。権力のウソを放置し、怒りを忘れた果てに力関係は入れ替わる。
首相、「宴席」自粛…「赤坂自民亭」批判で?(2018年7月28日配信『読売新聞』)
安倍首相が国会議員や財界人らと夜の会食を控えている。記録的な大雨の恐れがあると発表された今月5日夜に自民党議員の懇親会「赤坂自民亭」に出席したことを批判されたことへの反省がありそうだ。
公表されている首相の夜の会食は17日の欧州連合(EU)首脳との夕食会を除き、6日の規制改革推進会議委員との会食が最後だ。災害対応を優先する姿勢をアピールする狙いがうかがえる。
それでも9月の自民党総裁選で連続3選を目指す首相にとって、会食は票固めに重要だ。関係者によると、25日夜には地元・山口県の同党県議らを招いた会食を公邸でひそかに開催した。ただ、軽い食事だけで、アルコールはなかったという。
24〜26日昼には公邸で熊本、愛知、大分の各県議と昼食を取るなどして、懇談した。災害対応が一段落するまで、被災地を意識して「宴席」と映りかねない夜の会食は自粛する戦略のようだ。
空白の66時間に「秘密会合」が発覚 被災者から批判高まる(2018年7月27日配信『日刊ゲンダイ』)
「空白の66時間」の一部が明らかになった。
西日本豪雨により188万人に避難勧告が出され、すでに多数の死者が出ていた6日の晩。安倍首相が総裁選の地盤固めのために、無派閥議員と「極秘会合」を開いていたことが発覚し、「被災者より総裁選か」と批判が噴出し始めている。24日放送の日本テレビ系のニュース番組「news every.」が「極秘会談」をスクープした。
7月6日の首相動静は、安倍首相が午後8時まで公邸で規制改革推進会議のメンバーと会食したという内容で終わっている。しかし番組では、首相のいる公邸に無派閥議員を乗せた車が入っていく様子を捉えていた。さらに別カメラは、菅官房長官の車からある人物が公邸に入る様子を写している。映像が暗いためハッキリしないが菅長官と考えるのが自然だろう。菅長官が安倍首相と無派閥議員の間を取り持って、総裁選への協力を要請していた可能性がある。「news every.」は「無派閥議員の“とりこみ”」と報じている。
「赤坂自民亭」問題:批判許さぬ空気 1930年代の「権威主義」再び?(2018年7月25日配信『毎日新聞』)
モヤモヤする。「赤坂自民亭」問題のことだ。西日本豪雨で被害が生じつつあった5日夜、安倍晋三首相や政権幹部らが酒盛りをしていた一件だが、問題は、首相らの対応を疑問視する声に「災害時に政権を攻撃するな」といった批判が浴びせられていることだ。これが「1930年代の日本人を思い起こさせる」と指摘する識者もいるのだが……。
つい最近まで、東京・永田町の自民党本部に巨大なのぼりが翻っていたのをご存じだろうか。そこには、こんなメッセージが記されていた。
「この国を、守り抜く。」である。「国」であって「国民」ではないのか、というのは勘繰り過ぎかもしれない。では「赤坂自民亭」問題を、国のリーダーは校長、国民は児童とする小学校に置き換えて考えてみたらどうだろう。
この小学校、夏休みの野外行動で1泊することにした。児童たちは河原にテントを張り、校長ら先生たちは近くの高台の小屋に泊まった。悪天候が予想され、避難勧告も出ていたのだが、校長らは酒盛りをした。翌朝、川は氾濫。児童たちの救助で大混乱に陥ったが、校長は「学校一丸となって万全の対応に当たってきた」と誇った−−。
もちろん、子どもの安全に一義的に責任を負う校長と首相の立場は異なるが、それでも「いかなる事態にあっても国民の命と平和な暮らしを守り抜いてまいります」(1月22日、施政方針演説)と繰り返してきた安倍首相である。「本当に安倍政権は『万全の対応』を取ってきたのか」という批判や疑問が出ても驚かない。
引っかかるのは、こうした指摘に「与野党一緒に災害対策や今後の復興を考えなければいけないのに、揚げ足を取っている場合ではない」(落語家の立川志らく氏、11日のTBSの番組での発言)といった批判や、安倍政権の災害対応を検証する報道に「こんな時も政権攻撃をしたいのでしょうか」(自民党の和田政宗参院議員、11日のツイッター上の発言)といった声が上がっていることだ。
「そうなのか」と納得しかかるが、やっぱりモヤモヤする。批判に耳を傾け、改善すべき点を改めるのが政治の役割の一つだと思うのだが……。
◇疑義なき「挙国一致」危険
そう気になって訪ねたのが、戦前思想に詳しい戦史研究家の山崎雅弘さん。日中戦争に突入した年の日本社会の変容を丹念に追った「1937年の日本人」(朝日新聞出版)を出版したばかりだ。「これは30年代、特に37年7月7日の盧溝橋事件、つまり日中戦争勃発後にこの国を覆った論理と同じです。当時と同じような政府の責任をごまかす論理が、日本社会で復活しているようです」
盧溝橋事件当時の新聞報道によると、事件から4日後の夜、当時の近衛文麿首相らと、毎日新聞の前身「東京日日新聞」を含むメディア幹部が懇談し、「挙国一致政府への協力」を確認した。
「今は非常時だから、政府を批判せずに協力しよう、という言葉に納得しそうになりますが、そこに欠けているのは『ではその政府に判断力が欠けていたらどうなるか』という視点です」。「挙国一致」の下、誰からも批判されなくなった政府は、この国を焦土に変えた。でも、今は2018年。30年代とは政治体制を含め、あらゆるものが様変わりしているはずだが。
山崎さんは辛辣(しんらつ)である。「戦中と戦後では、社会のさまざまな制度が変わりましたが、国民の思考形態は実はそれほど変わっていない。政府や上の人が言うことに黙って従うという、権威主義的な行動原理も基本的に同じ。従順で、真面目な人ほど『非常時』『国防』といった大義名分を疑わず、政府が無能だからこうなったのでは、という疑いを抱かない。今の政権はそうした日本人の特性を見抜いているのかもしれません」
日中戦争でいえば、近衛首相は38年、国家総動員法を成立させる際、衆議院で「今事変(日中戦争)には適用しない」と明言したのに、貴族院では「適用する」と前言を翻した。もちろん「挙国一致」に協力する新聞などは批判しなかった。国会で政府要人が堂々とウソをつく、というのも現代と似ている。
「災害対応だけではありません。例えばアベノミクス。効果を実感できない人は今も多く、公的資金を投入して株高と好景気を演出するのは将来リスクがある。原発再稼働も同じ構図。権威主義的に政府を信じるだけでいいのですか」
山崎さんの著書に詳しいが、37年には、幻の「40年東京五輪」を3年後に控えてもなお、開催準備が遅々として進まないことが議論され、大阪では大阪府と大阪市の「二重行政」の解消が唱えられていた。過去最高の軍事費が計上されたのもこの年である。翻って現代。いわゆる「大阪都構想」の住民投票が行われ、20年の東京五輪に向けた準備の遅れが指摘される。そして安倍政権は18年度政府予算で、過去最高の防衛費5兆1911億円を計上した。「歴史の妙」にしては出来過ぎの感もある。
◇過去の教訓 今こそ心に
30年代は政府批判が封印され、「日本はアジアの盟主」といった宣伝が盛んに行われていた。戦前の膨大なプロパガンダ資料を読み解いた「『日本スゴイ』のディストピア」(青弓社)などの著書で知られる編集者、早川タダノリさんは「30年代と似た現象が今もありますが、なぜ似ているように見えるかがポイントです」と強調する。例えば隣国へのヘイトスピーチや、メディアにあふれる日本人や日本文化の礼賛番組である。
「戦前から他国蔑視はありましたが、帝国主義の本国として『日本は東亜の盟主』という建前がありました。敗戦後この建前がなくなると、今度は反ソ・反共の観点の建前が働いた。しかし冷戦後に中国や韓国に経済的に追いつかれると、差別意識が公然とメディアで表明されはじめた。戦前と似ているように見えても、選択的に行われる他民族憎悪の『今日性』は何かを問うことが、問題を考える手がかりになると思います」
「今日性」のある現象として早川さんが注目するのは、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で、投稿者の自己紹介でよく使われる「日本が好きな普通の日本人」といった定型句だ。
「『普通』には、自分は主流派だ、という意識がある。知人の大学教員は『今の学生は、選挙は政策ではなく、勝つ方に投票したがる』という話をしていました。かつては社会変革の『水路』として労働運動や学生運動がありましたが、今は下火で、現実を動かす手段は選挙しかない、と学校で教えられる。そうであるなら負けたくない。つまり、主流派でいたい、『勝ち馬』に乗りたい、という意識の表れです」
勝ち負けを気にする前に、どこに馬を走らせるかを問う作業こそ選挙ではないのか。
再び山崎さん。「戦前の日本も中国と全面戦争する計画はなかったし、日米戦争も想定外だった。ではなぜ、破滅の道を歩んだか。当時の日本人が落ちた思考の陥穽(かんせい)(落とし穴)は何だったか。心して学び取るのが過去を知る私たちの務めです」
一時が万事。赤坂自民亭問題、たかが酒宴ごときで、と笑っていられないのだ。
朝起きて、布団を抜け出すとセミの合唱が聞こえてきた。暴風が吹・・・(2018年7月25日配信『琉球新報』−「金口木舌」)
朝起きて、布団を抜け出すとセミの合唱が聞こえてきた。暴風が吹き荒れているのかと思ったら雲間から太陽がのぞいている。台風の目に入ったかと早合点した。拍子抜けの台風10号の直撃であった
▼沖縄気象台によると、海水温が低く勢力が発達しなかったという。大きな被害がなかったのは幸いだったが、夏休み初日のイベントを中止や延期に追い込んだ迷惑千万の台風だ。子どもから大人まで恨み節の大合唱だったに違いない
▼もちろん台風への備えは万全でありたい。10号に続き、熱帯低気圧が宮古と八重山を襲った。全国でも自然の猛威が身に染みる夏になった。200人余が犠牲となった西日本豪雨の被災地は、今も復旧の最中にある
▼沖縄の宿命だろうか。台風を恐れながら、恵みの雨を待ち望む。相次ぐ台風のおかげで忘れていたが、1カ月前まで県民は水不足を心配した。今では信じ難い
▼信じ難いと言えば大雨警報が出た5日夜、閣僚や自民議員が開いた「赤坂自民亭」。あまりにも危機感を欠いている。共同通信の世論調査によると、62・2%が安倍内閣の豪雨災害への対応を「評価しない」と答えた
▼怒りの声は届くのだろうか。20日の記者会見で安倍晋三首相は被災地の復興・復旧に「政府の総力を挙げて取り組む」と述べた。その本気度が問われよう。国民は厳しい目を向けている。
赤坂自民亭(2018年7月21日配信『京都新聞』−「凡語」)
酔えば、気掛かりな心配事や困り事を、つかの間、忘れさせてくれる。西日本豪雨の被災地でもそんな思いでアルコールをふと口にする人がいるだろう。「酒は憂いを払う玉箒(たまははき)」ともいう
▼だが、こちらは憂いを払うどころか、ひんしゅくを買った。「赤坂自民亭」なる酒宴。豪雨被害の差し迫った今月5日、安倍晋三首相や自民党議員ら約50人が宴会を開いていた
▼笑顔で参加者が杯を掲げた集合写真を、西村康稔官房副長官は自身のツイッターに投稿までしていた。政権運営や国会対応を巡り一時でも忘れたいことが何かあったに違いない
▼ことあるたびに「有事への備え」「国民の安心・安全」を言う人たちだ。万全の連絡体制をとったと事後に強調したが、そういう問題だろうか。国民感覚とのずれを感じさせる
▼通常国会はきのう事実上、終了した。ここでも「安倍1強政治」のおごりが際立った。働き方改革関連法をはじめ参院6増の改正公選法やカジノを含む統合型リゾート施設整備法が成立したが、熟議を尽くしたと言い難い
▼万全の対策をとる、だから大丈夫―。カジノ法の審議でもギャンブル依存症や治安対策など課題の多くが先送りされてしまった。どんな対策をとるのか、赤坂自民亭のみなさんに聞いてみたい。憂いは払えるのだろうか。
(2018年7月21日配信『熊本日日新聞』−「新生面」)
新聞記者の仕事の仕方は大きく変わった。今や記事を書くのはパソコン、送信手段も携帯電話やスマートフォンの時代だ。駆け出しの頃、締め切り間際に現場近くの公衆電話を探したり、民家に駆け込んで電話を借りたりして、頭の中で組み立てた原稿を吹き込んだのも今は昔だ
▼新聞業界では、これを「勧進帳」と呼ぶ。もとは歌舞伎の演目で、弁慶が何も書かれていない巻物を勧進帳に見立てて読み上げ、主君の義経を窮地から救った名場面から来ている
▼「見得[みえ]」や「幕引き」といった言葉も、やはり歌舞伎から生まれたという。きのう事実上閉幕した通常国会はそんな言葉を思い起こさせた
▼憲政史の一大汚点となった公文書改ざんが明るみに出た森友学園問題や、「首相案件」ともいわれた加計学園問題を野党に追及されると、安倍晋三首相は「一点の曇りもない」と大見得を切った。だが、疑惑は一向に晴れぬままひとまず幕引きに
▼肺がん患者の参考人に対して心無いヤジを飛ばしたり、西日本豪雨の被害が迫る中、「赤坂自民亭」なる宴会を開いたり。さらには「身を切る改革」を唱えながら、お手盛りのような参院定数増を強行したりと、政権党の行儀の悪さが目立つ国会だった
▼「憲政の神様」と呼ばれた尾崎行雄の語録にこんなものがある。「よかれ悪[あ]しかれ、政党は選挙という鏡に映った有権者の影である。鏡の中の影(政党)の行儀が悪いのは、鏡の前に立った御本尊(有権者)の行儀が悪いからである」。心すべき言葉である。
選良(2018年7月19日配信『北海道新聞』−「卓上四季」)
「選良」という言葉を広辞苑で引いてみた。「すぐれた人を選び出すこと。また、その選ばれた人。特に、代議士をいう」とあった。選んでもらった議員は、選んでくれた人たちに対して、どんな思いを持っているのだろう
▼何しろ「すぐれた人」のお墨付きをもらったのだ。普段から思いをはせているに違いない。例えば、有権者に災害が迫れば「被害はないか」と心配するくらいに
▼多くの犠牲者を出した西日本豪雨の被害が迫った今月5日の夜は、そんな思いにかられなかったか。「赤坂自民亭」と称して宴会を開いた、自民党の先生方である
▼この日の午後、気象庁は異例の記者会見を開いて、厳重な警戒を呼び掛けていた。ちなみに、参加していた安倍晋三首相はじめ岸田文雄政調会長、西村康稔官房副長官は、いずれも大きな被害が出た地域が地盤だ
▼首相は17日の参院内閣委員会で、「いかなる事態にも対応できる万全の態勢をとった」と、改めて問題はなかったとの認識を示した。だが、そこに選んでくれた人、そして全国民の安全への思いはどれほどあったか。酒を飲んで浮かれていられる程度の危機感しかなかったとすれば、残念でならない
▼独特な語釈で定評のある新明解国語辞典でも「選良」を引いた。「選出された、りっぱな人の意。代議士の異称。理想像を述べたもので、現実は異なる」。なぁんだ、そうだったんだ。
赤坂自民亭から防衛相の災害指示「ない」 省の担当者(2018年7月19日配信『朝日新聞』)
外務、防衛両大臣の最近の言動について、19日の参院外交防衛委員会の理事懇談会で、野党側が苦言を呈した。
河野太郎外相は、先月の訪米の際、国会出席に縛られチャーター機を使わざるを得なかった一方、国会では2問しか質問されなかったとして、月末の講演などで「1問(あたり)何千万円でおかしい」と述べた。19日の理事懇では、野党側が「不適切だ」と発言を問題視。外務省の担当者は「講演内容を精査する」と引き取った。
また、小野寺五典防衛相は、気象庁が5日に大雨に対し厳重な警戒を呼びかけるなか、議員宿舎での自民党議員の懇親会「赤坂自民亭」に参加。野党側は理事懇で、小野寺氏が出席した30分間に災害対応の指示を出したか確認。防衛省の担当者は「出していない」と説明した。一方、小野寺氏が飲酒したかどうかについては、担当者が改めて小野寺氏側に確認するという。
(2018年7月19日配信『しんぶん赤旗』−「潮流」)
政治家、大臣としてという以前に、人間としてどうかしている―。小池晃さんがツイッターで批判していました。大雨の夜に自民党が開いた懇親会について「良いことだと思っている」と、麻生財務相が発言したことに
▼コミュニケーションを良くするのが目的と強弁する麻生氏には気まずささえもありません。出席していた安倍首相も「万全の態勢で対応にあたってきた」と開き直り、酒席の様子をツイッターに流したことだけを注意しました
▼西日本に甚大な被害を広げた豪雨をよそに、政府が力を注いでいるのはカジノ法案や自民党の議席を救済するための制度づくり。しかも多くの国民や野党が被災者支援を求めるなかでの強行です
▼ひとの命を軽んじる。それは、戦争法や沖縄の新基地建設、働き方改悪をはじめ、5年半に及ぶ安倍政権の特徴です。不都合な真実は隠す、ばれても虚偽やねつ造でごまかす、へ理屈をこねて居直る横柄さも
▼こんなにひどい政権がなぜ倒れないのか。どうしたら、この状況を打開できるのか。もどかしさや怒り続けることへのしんどさを抱く人も多い。ウソをつくなという、あまりにも情けないことを政治に叫ばなければならないのですから
▼げんなりするような思いを晴らしたのが志位委員長の講演でした。情勢に党の綱領を対置させながら、悪政に声をあげ続けることが魅力ある未来社会にまでつながる道を鮮やかに示しました。変革をめざす市民と野党の共闘こそ、人類の希望をひらくたたかいだと。
タイの救出劇でも自己責任論(2018年7月16日配信『日刊スポーツ』―「政界地獄耳」)
★西日本の豪雨災害には多くのボランティアが支援に現地入りしており、たくさんの人たちの協力が定着しているが、少し前、タイ北部チェンライ郊外のタムルアン洞窟から救出された少年ら13人が病室から「世界のすべての人に感謝します」などとメッセージを発信。現地から伝わってくる情報を総合すると少年らは間もなく退院できる予定という。洞窟遭難にはさまざまなドラマと世界中の人たちの協力、現地では多くのボランティアが支えたという。
★一方、この救出劇を絵画や映画にして残そうという動きまでもあるという。救出を待つ間、コーチはこの中で「ご両親に謝りたい」と謝罪の手紙を書いたといわれ、少年たちの両親らは救助隊に託した手紙で「自分を責めないで」と返したという。つまりこの事故に対して当事者も関係者も世界中の人たちも、全員が無事に救出されたことを喜んだ。事態はそれで終わるかに見えた。
★が、どうやら日本での受け止めは世界とは違うようだ。10日放送のTBS「NEWS23」では、キャスターの星浩が「子どもたちね、ちょっとした冒険気分で行ったんでしょうけど、これほどの騒ぎになってしまったので、やはり子どもたちもちょっと反省の必要もあると思いますね」と自己責任論を展開している。この国は政権の自己責任論が十分と行き渡り、こんなことを言い出すキャスターを生み出してしまったのだろうか。日本のネットにもコーチの責任論を追及する書き込みがあるという。
★「まず世間に謝れ」と訴える自己責任論者は政府がいまだに何ひとつ責任をとらない森友・加計疑惑や公文書改ざん公務員、この豪雨に浮かれて宴会を開き、その浮かれた写真を掲載し続けた想像力のない官房副長官らの責任論は問わないのか。タイの少年たちが元気に退院することを願ってやまず、世界で喜びを分かち合いたいと思う人たちの多い国にしたい。
(2018年7月16日配信『しんぶん赤旗』−「潮流」)
「暑」には、日光の熱が集中するという意があります。太陽や火を表す「日」と「煮」の原字である「者」から成り、かまどで火をたくような「あつさ」が語源には含まれています
▼猛暑、酷暑、大暑、炎暑、甚暑、極暑―。暑のほどを表現する言葉は数ありますが、身の危うさまで感じるこの暑さを何と。すでに30度超えは当然、40度に迫る地域も。熱中症への警戒や対策もこれまで以上に心がけなければ
▼3連休中、西日本豪雨の被災地にはボランティアが続々と駆けつけました。がれきの撤去や土砂のかき出し、片付けや手伝い。少しでも力に、自分にできることがあればと、暑熱ともたたかう懸命な作業にこぼれる汗をぬぐっています
▼現場の混乱や熱中症の恐れもありますが、被災者からは感謝の言葉が尽きません。荒廃した地にひろがる人のぬくもり。それは、いつわが身に災害が降りかかるやもしれぬ国で培ってきた支援の輪、心の絆なのかもしれません
▼一方で政権の災害にたいする危機意識は薄く、被災者には冷たい。安倍首相ら幹部が笑顔で酒席を催していた初動はもちろん、被災地の視察後に首相が国会で最初にやろうとすることがカジノ法案とは。どこまで被災者に背を向けるのか
▼犠牲となった200人をこえる命。ふるさとや暮らしを失った苦しみや絶望感。生活再建への長い道のり。アベ政治の非道さがここにも露骨に現れるなか、わずかでも苦難に寄り添おうとする人びとの姿はこの国に希望の光をともしています。
西村官房副長官は辞任が妥当(2018年7月14日配信『日刊スポーツ』―「政界地獄耳」)
★自民党の失策と勘違いによって、被災者たちは政治的に追い詰められる。今までやり放題をしてきて、都合が悪くなると「全く問題ない」「民主党政権の時よりずっと良くなっている」という言い訳しか思いつかなくなってしまった。今どき、政権を民主党政権と比べてみようと、国民は思わない。比べるべきは、自民党政権の別の首相だろう。自民党はおごりとたるみで、本当に情けない政党になってしまったのではないか。無論、個々の議員は頑張っている者もいるだろう。すべてを否定しようとは思わない。だが、党や内閣の指導的役割を担う人間の発言や行動を見て、若手は学ぶ。幹部のあしき前例ばかりが露呈すると、心配になる。
★自民党の派閥会合があった12日、前経済再生担当相・石原伸晃は石原派のあいさつで「日本のインフラ技術があっても、これだけ大勢の方が亡くなった。『コンクリートから人へ』という政策は間違っていた」と指摘。総裁派閥の前総務会長・細田博之も、派閥の会合で「ダムは予想せざる事態に対応するため必要なのだと、今回また確認された」と、群馬県の八ツ場(やんば)ダムが建設中止になった、いずれも民主党政権時代の政策を批判した。2人の残念なところは、では政権を奪取した時、最初にその政策を変える努力をしなかったところだ。そんなことを言えば、その他の失策はすべて、自民党の失策ということになる。
★赤坂自民亭での党幹部や閣僚の宴席をあおり、浮かれた写真をネットに上げ続けた自称防災のプロ、官房副長官・西村康稔は12日の参院内閣委員会で「災害発生時に会合していたかのような誤解を与え、多くの方に不愉快な思いをさせた」と陳謝した。また間違えている。誰も誤解などしていない。首相の側近として党幹部や閣僚に最新の防災情報を伝達するのを怠り、自ら率先して宴席で浮かれていたことを恥じ、首相らを誘導しなかったことなど、事態を分析できなかった官房副長官としての不作為を国民に陳謝すべきだ。謝罪まで間違うな。辞任が相当だろう。
西村氏の謝罪が火に油 安倍自民“言い訳”に嘘発覚で大炎上(2018年7月13日配信『日刊ゲンダイ』)
とうとう、犠牲者が200人を超えてしまった「西日本豪雨」。豪雨の当日(5日)、自民党議員40人と酒宴を楽しんでいたことが発覚し、批判を浴びている安倍首相。宴会に参加していた西村康稔官房副長官と、小野寺五典防衛相が、あわてて釈明しているが、その釈明があまりにも国民をバカにしていると、さらに批判を招いている。もう、この政党は処置なしだ。
酒宴が批判されるのは当然だ。気象庁が昼2時、わざわざ「記録的な大雨となる恐れ」と警告を発したのに、「関係ねーよ」とドンチャン騒ぎをしていたのだから言い訳は通じない。すでにその頃、河川は増水し、土砂崩れが起きていた。
飲み会の様子を5日夜、ツイッターに写真付きで投稿し、批判を浴びている西村氏は12日の参院内閣委員会で、「大雨による災害発生時に会合をしていたかのような『誤解』を与え、多くの方が不愉快な思いをされた。反省している」と謝罪。10日にも同趣旨の反省の弁をツイッターに投稿したが、これが猛批判を招いている。西村氏のツイッターには、「なんだ、その開き直り」「誤解じゃなくて事実だったでしょ? 何を今更」「誤解って日本語の意味知ってますか」と批判が殺到している。
批判を招くのは当たり前だ。当日、西村氏が酒宴を楽しんでいたのは、「誤解」でも何でもなく、まぎれもない事実だからだ。西村氏が安倍首相らと一杯やり、赤ら顔で「いいなあ自民党」と投稿した5日夜、すでに西日本を中心に避難勧告や避難指示が出ていた。西村氏の地元・兵庫でも当時、各所で土砂崩れが起き、ケガ人も出ていたのだ。
■「なんでもありの『自由飲酒党』
被災者の救助活動を行う自衛隊を統括する立場にある小野寺防衛相もヒドイものだ。10日の会見で報道陣に突っ込まれ、「防衛省からは随時連絡が来ておりましたし、その都度指示を出しておりましたので、特に支障はない」と発言。こちらもネット上では「酔っぱらいの指示で自衛隊が動くなど、想像を絶する」「飲酒しながら指示出す防衛大臣。もうなんでもありの自由飲酒党」と大炎上している。
実際、指示を出していたというのは、どう考えても大ウソだろう。逆に、酔っぱらって指示していたとしたら恐ろしい話だ。小野寺氏は一体どんな指示を出していたのか。防衛省に問い合わせたが、「準備に時間がかかり12日中に回答できない」とのことだった。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「2人とも政府の一員でありながら、『ゴマカせる』と考えているのでしょう。国民をなめているとしか思えません。ただでさえ対策が後手に回っていると指摘されているのですから、幼稚な言い訳などせず、黙って災害対策に取り組むべきです」
対策が後手後手になっていることについては、仏紙「ル・モンド」にまで、「政府が『非常災害対策本部』を設置したのは、公式記録で死者が30人以上に達していた8日午前中だった」と問題視されている。安倍政権に未曽有の災害対策はとても任せられない。
小野寺防衛相、酒席で災害対応指示せずと釈明(2018年7月13日配信『共同通信』)
小野寺五典防衛相は13日の記者会見で、西日本で大雨が降り続いた5日夜に衆院議員宿舎で開かれた自民党議員の飲み会に参加した際、飲酒をしながら自衛隊の災害対応について指示をしたことはなかったと釈明した。「酒席の場で連絡を受けたり、報告をしたりしたということはない」と述べた。
同時に「顔を出して乾杯したが、そんなに長くいなかった。終会した後に連絡があり、その都度対応した」とも強調した。
西村康稔官房副長官が飲み会の写真をツイッターに投稿したことについては「気象庁が注意を呼び掛け、不安な気持ちの方々がおられる中であのような情報を発信するのは適切でなかった」と述べた。
小此木八郎防災担当相も投稿に対し「被災者が見たら面白くない話だというのは理解できる。政治家として気を引き締める部分だ」と批判。その上で「被災者に寄り添うことを心掛けている。災害を多く経験した政権内で危機感は共有されている」と述べ、政府としての対応に問題はないとの認識を強調した。
小泉元首相「あんな写真出して軽率」 赤坂自民亭に苦言(2018年7月13日配信『朝日新聞』)
小泉純一郎元首相は13日、大雨の恐れがあった5日夜に安倍晋三首相を囲んで自民党議員が開いた「赤坂自民亭」について、「どこにいても情報は入ってくるので、食事会は非難されるわけじゃないが、あんな写真を出してはしゃいでいるような感じを出したのは軽率だ」と述べ、笑顔の集合写真をツイッターに投稿した西村康稔官房副長官に苦言を呈した。
大阪市内での講演後、記者団の取材に語った。
小泉氏はまた、参院定数を6増やし、比例区に「特定枠」を設ける自民党の公職選挙法改正案を例に挙げ、「なんであんな変なのを出すのか、理解できない。なかなか(国民に)支持されないのではないか」と首相の政権運営に懸念を示した。
豪雨対応「万全」だったか 野党は政権批判(2018年7月13日配信『東京新聞』)
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西日本豪雨を巡る安倍政権の対応に野党から批判が出ている。特に記録的な大雨になる恐れがあると気象庁が厳重な警戒を呼び掛けた5日夜の自民党の宴会が非難の的だ。避難者が出ている時に宴会を開くのは「責任感が欠如している」(立憲民主党の蓮舫参院幹事長)との理由だが、政府は万全の体制で対応してきたとの立場だ。
気象庁は5日午後2時、緊急に臨時記者会見を開き「記録的な大雨となる恐れがある」と注意を呼び掛けた。豪雨警戒を理由に会見を開くのは過去に例がない。担当者は「かなりの危機感があった」と振り返る。5日午前中には近畿3府県で16万人超に避難指示・勧告が出ていた。
宴会はその夜に開かれた。「赤坂自民亭」と銘打った宴会には安倍晋三首相や小野寺五典防衛相、西村康稔官房副長官ら官邸の危機管理を担う人物が出席。上川陽子法相、広島県選出で自民党の岸田文雄政調会長も参加し、談笑して、酒を酌み交わす姿を西村氏らがその日の夜にツイッターに投稿した。
西村氏は12日の参院内閣委員会で、投稿を陳謝した。「災害発生時に会合していたかのような誤解を与え、多くの方に不愉快な思いをさせた」。宴会を開いたことでなく、誤解を与えたことが陳謝の理由だ。
菅義偉官房長官は12日の記者会見で「気象庁の発表直後に小此木八郎防災担当相のもと関係省庁災害警戒会議を開催し、その後も万全の体制で対応に当たってきた」と強調した。
ただ、首相が出席する関係閣僚会議が開かれたのは、気象庁の警戒呼び掛けから2日後の7日だった。この日、死者は51人、不明者は約50人に増加した。政府が「非常災害対策本部」を設置したのは8日。野党は対応が遅いと批判している。
赤坂自民亭問題「軽率のそしりを免れない」公明・井上氏(2018年7月13日配信『朝日新聞』)
公明党の井上義久幹事長は13日の記者会見で、記録的な大雨になる恐れがあると気象庁が発表した5日の夜、安倍晋三首相らが自民党議員の懇親会に出席したことについて「軽率のそしりを免れない」と厳しく批判した。
衆院議員宿舎で開かれた懇親会「赤坂自民亭」には、首相に加え、小野寺五典防衛相、上川陽子法務相、西村康稔官房副長官のほか、岸田文雄政調会長、竹下亘総務会長ら党幹部も出席していた。
井上氏は、5日の時点で西日本を中心に雨が降り続いた地域では避難指示・勧告が出ていたことを踏まえ、「当然そういう(被害)状況は想定できたんじゃないか」と指摘。「状況をよく踏まえて、踏みとどまるべきだったんじゃないか」と苦言を呈した。
国民に信用されない災害対策(2018年7月13日配信『日刊スポーツ』―「政界地獄耳」)
★本来政権にとって災害は国民世論が1つになり、与野党対立も休戦。外遊も取りやめ全力で取り組むことで、政権は強い基盤で復興策を推進という構図になるものだが、今回はそうは進んでいないようだ。11日、「平成30年7月豪雨」で甚大な被害を受けた岡山県を訪問した首相・安倍晋三は政府の初動対応について「政府として一丸となって発災以来、全力で取り組んでまいりました。現場の声を吸い上げ、国が自治体と一体となって対応していく考えです」と説明した。
★だがそれをうのみにできないのは、宴席を囲んでいたことをネットで披歴するセンスと最後まで外遊を諦められず、災害拡大の実態とは裏腹に非常事態対策本部設置にとどめ、模索し続けたことだろう。岡山では避難所に突然エアコンが設置されたことや、「急に避難所に自衛隊が来てお風呂が設置された。ここは比較的被害が少ない地域なのになぜ優先的に? 警備体制がやたらすごくて、今日から学校も再開なのに何があるのかと思ったら安倍総理が来るんだって」などとツイートされると、経産相・世耕弘成が「安倍総理視察とエアコン設置は全く無関係。設置の指揮を執ってきた者として明確に申し上げます」と反論した。
★今回の視察では避難所でのメディアの撮影が不可という厳戒態勢が敷かれた。結局ひとつひとつの対応も、基本的な信頼関係が国民との間にないと、本当にそうであっても疑われたり信用されない。今まで、おかしいことがあっても「全く問題ない」と政府も党も国民の疑問を突っぱねてきた結果が、リーダーシップが必要な時に発揮されないことになる。仮設住宅の早期建設、インフラ復旧など手を打つべきことは多いはずだ。
立川志らくと八代弁護士が「赤坂自民亭」をエクストリーム擁護!「宴会は悪くない」「自民党の人が飲むわけない」(2018年7月12日配信『リテラ』)
西日本各地に甚大な被害をもたらし、現在も行方不明者多数、大勢の人が避難生活を強いられている西日本豪雨。安倍首相の初動の遅さはついに海外メディアからも批判があがったが、そんななか、昨日11日放送の『ひるおび!』(TBS)では、安倍首相が5日夜に例の宴会に参加したことに関し、安倍応援団コメンテーターの八代英輝弁護士らが徹底擁護する一幕があった。
まず番組はVTRで「赤坂自民亭」に批判の声が集まっていることを紹介。周知の通り「赤坂自民亭」とは、十数万人に避難勧告が出されるなど警戒が高まっていた最中、自民党の中堅・若手議員らが開いた宴会のこと。この飲み会には安倍首相のほか、災害対応を指揮する立場の小野寺五典防衛相や西村康稔内閣官房副長官らが多数参加し、西村官房副長官に至っては安倍首相を囲む面々が赤ら顔でグラスを傾ける写真を嬉々としてTwitterにアップしていた。
すでに5日14時の時点で、気象庁は「記録的な大雨となるおそれ」と大雨では異例の緊急会見を開き、17時台には「厳重な警戒」を呼びかけていた。にもかかわらず、安倍首相ら政権幹部は内輪の酒盛りで騒いでいたのだ。
安倍首相は政府の初動対応の問題を一切認めていないが、誰がみても、政権幹部がなすべきことをやらずにいたのは明白。一部メディアは被災地の人々からも「赤坂自民亭」に対する批判の声があがっていることを伝えている。
ところが、VTR開けの『ひるおび!』のスタジオでは、そうした政府の初動を批判するのではなく、逆に、エキセントリックな政権擁護トークが繰り広げられたのである。まず、立川志らくがこんなことを言い出した。
「ただ、酒を飲んだことを非難してもしょうがなくて、なぜ自民党の人が呑気に酒を飲むような状況になってしまったのか、もっとこういう被害になるっていうことは、あらかじめ、もっともっと推測できなかったのか、その問題を解明、究明しないと意味がないですよね。『なんだ!酒を飲んで!このやろう!』って感情だけで怒っててもね。もっと早くに、これだけの雨が降ったんだから、自民党の人たちだって国民の命を無視してこうやって飲むわけがないですから。そこらへんをちゃんと究明しないと。ただただけしからんって周りが怒っても」
志らくの頭は大丈夫なのだろうか。繰り返すが、気象庁は昼には異例の記者会見を開き、18時までにたとえば京都では河川の増水などによる14万人に避難指示が出されていた。にもかかわらず、自民党の面々は宴会をひらいて、20時すぎには安倍首相もその輪の中にはいっていたのだ。志らくは「自民党の人たちだって国民の命を無視してこうやって飲むわけがない」と断定するが、事実として、安倍首相は「国民の命を無視して飲んでいた」のである。
これだけでも呆れるが、さらに志らくはこう続けた。
「野党の人たちなんかも『国民を無視してる、冗談じゃない!』って言うけどいまそんなときじゃない。みんな一緒になって、与党も野党も一緒になって災害対策する、今後の復旧・復興を考えなきゃいけないのに、揚げ足をとっている場合ではないですね」
クラクラしてくる。確認するが、今回、飲み会に参加していたのは、行政の長である安倍首相や自衛隊の陣頭指揮を担う防衛省トップである小野寺大臣ら政府幹部だ。そうした政府の災害対応の杜撰さを批判するのは当然だ。
にもかかわらず、志らくは批判の声をまるで野党の党利党略かのように言って、「揚げ足をとっている場合か」と封じ込めようとする。どうかしているとしか思えないが、さらに志らくは「一番間抜けなのはこういう写真をあげる議員がいること」「こういうのを残しておいたらみんな怒るもん」などと愚痴をこぼす。いったい誰目線なのか。あんたは政権の危機管理でも担当しているのかと聞きたくなってくるではないか。
八代英輝弁護士「宴会は悪くない。SNSでバラしたのが悔やまれる」
だが、『ひるおび!』の「赤坂自民亭」擁護はこれで終わらなかった。“安倍政権御用コメンテーター”のあだ名がすっかり板についた八代英輝弁護士は、「僕、昨日自衛隊の方々と懇親会をしていて」と切り出し、こんな話をし始めた。
「自衛隊の方々のほうからこの話題を振られて、その時に実は知らなかったんですけど、見せてもらってこの(宴会の)写真も。で、みなさんどう感じますかっていう話になったんですけども、やっぱり災害派遣の命令を下すのが防衛大臣の役目ですよね。で、災害派遣命令が下ってから、自衛隊のみなさんが準備を始めるんではなくて、災害派遣要請が自治体から出そうな時ときは先回りして、だいぶ前に準備しているんですね。当然、要請が出たらすぐ出られるような体制でスタンバイしているときに、大臣がこういうような会合、宴席に出られているというのは、ちょっとざわついた、ザラザラした気持ちになりますね、という微妙な表現をされていました」
自衛隊員から見れば、一刻でも早く命令を受けて救助に向かいたいのに、命令を下す大臣が酒を飲んでうつつを抜かしていたのだから、現場は不満がたまるのは容易に想像がつく。
だが、驚いたのはこの話自体ではない。当然、自衛隊の生の声を紹介した八代弁護士は、続けて、政府の初動の遅さを批判するものだと思って聞いていたら、全然そんなことはなく、逆にこんなふうに話を展開したのである。
「で、僕も思うんですけど、宴席を開いて参加することとですね、喜んでそれをSNSにアップするということはまた次元の違うことでして。政治家がですね、お酒飲んで楽しそうにしている姿を見て微笑ましく思うのは、いまの時代、支援者と支持者だけですよ。ですから、何か起こりそうな時期でしたよ、当然この(5日)木曜日というのは。このタイミングで、やはり、SNSっていうものを活用してそれを世の中にアピールする、もっというと取材陣にこんな宴会をやりますよ公開して取材をしてもらう。それを誰かがやはり『このタイミングはちょっと(SNSや取材を)やめたほうがいいんじゃないですかね』って言える人がいなかったっていうのが悔やまれますね」
「悔やまれますね」って、八代弁護士は何に対してそう言ってるのか。ようは、八代弁護士は、災害の対応に当たらねばならないときに政府幹部が宴会を開いたことそのものではなく、その模様をSNSにアップしたことに苦言を呈しているのだ。逆に言えば「SNSにあげなかったら批判されなかったはずだ」という話で、つまり、宴会をしたことがまずいのではなく、それを自民党自らがバラしたことがまずい、と言いたいらしい。繰り返すがどれだけ政権目線なのか。唖然とするほかない。
マスコミは、なぜ「赤坂自民亭」や安倍政権の初動の遅れを批判しないのか
本サイトで何度も取り上げているように、もともと『ひるおび!』は準レギュラーの政権御用ジャーナリストこと田崎史郎・時事通信社特別解説委員を筆頭に、安倍政権のスキャンダルに対しては徹底して擁護し、それを批判する市民や野党に対して「そんなことを言っている場合か」と恫喝し、封殺しにかかるケースが多いが、今回は輪をかけて露骨だ。
志らくや八代弁護士の論理に従えば、すなわち政府は、国民にバレなければ、災害対応をほっぽり出してどんちゃん騒ぎをしようが何をしようが、まったく問題ないということになる。テレビメディアがこんなことでは、今後の災害時にもまったく同じことが起きるだろう。
もはやそれは天災ではなく、対応しない政府とそのポチ犬である御用番組・コメンテーターによる人災だろう。
これは『ひるおび!』だけの問題ではない。今回の「赤坂自民亭」をはじめとする政府の失態、安倍首相の初動対応のマズさを批判しているのは、ほとんどがネットメディアにとどまっている。実際、週明けの段階でテレビで「赤坂自民亭」の問題を取り上げたのはTBSの『はやドキ!』『あさチャン!』『Nスタ』『NEWS23』といったニュース番組ぐらいで、NHKや他民放はまるで報道協定でもあるかのように口をつぐんでいた。昨日になってようやく『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)や『直撃LIVEグッディ』(フジテレビ)も少し取り上げたが、申し訳程度。中にはTBSの『あさチャン!』のように厳しく批判した番組もあったが、それはごくごく一部なのである。
何度でも言うが、政府の災害対応の杜撰さを批判するのは、国民主権の民主主義国家として当たり前のこと。なにより、マスコミがその一番手を担わなければならない。にもかかわらず、とりわけテレビでは政権にとって都合の悪いことは見て見ぬ振りするか、『ひるおび!』のように「そんなことを言っている場合か」「政府の足をひっぱるな!」と、ネトウヨのようないちゃもんをがなりたてる。
安倍首相が政府のトップにいるかぎり、何をしでかそうが許される空気がつくられる。本当に、この国は、どうかしてしまっている。
あの赤坂自民亭から6日…安倍首相が豪雨被災地視察(2018年7月12日配信『日刊スポーツ』)
西日本豪雨が初期段階にあった今月5日夜、「赤坂自民亭」と呼ばれる自民党議員との飲み会に初参加し、危機管理がないと批判されている安倍晋三首相は11日、豪雨で甚大な被害を受けた岡山県を視察した。
首相は視察後の取材で、今回の豪雨に対する初動対応について質問され、「発災以来、政府として一丸となって取り組んできた」と述べ、対応に問題なかったとの認識を示した。ただ当日午後、すでに気象庁は記録的豪雨の恐れありとして厳重警戒を呼び掛けており、飲み会は被害拡大のさなかに行われていた。
一方、首相は「すさまじい被害の爪痕を目の当たりにした。国が一丸で、仮設住宅確保など被災者の生活再建に取り組む」と訴え、被災自治体への支援体制強化で激甚災害の指定を急ぐ考えも示した。この日は倉敷市真備町地区で、犠牲者に献花し、黙とう。避難所で被災者の声も聞いた。今後、同様に被害が大きい広島、愛媛両県も訪れる。
首相の「赤坂自民亭」参加は、9月の党総裁選を意識したとみられることも、批判拡大の一理由。被害が大きい広島が地元の岸田文雄政調会長も参加し、同様に批判されている。信用回復のためなのか、自民党は12日以降、岸田氏や竹下亘総務会長、二階俊博幹事長ら党幹部も被災地を回る。
(2018年7月12日配信『信濃毎日新聞』−「斜面」)
「国民の命を守る」は安倍晋三首相の決めぜりふだ。「国難突破解散」と銘打った昨年10月の解散総選挙では、「北朝鮮の脅威からいかにして国民の命を守るかを問う選挙だ」と訴えた。野党の分裂にもつけ込んで思惑通りに大勝した
◆
あの熱弁と落差がありはしないか。多数の命が失われた西日本豪雨への対応だ。本紙「首相動静」は〈5日午後8時28分、東京・赤坂の衆院議員宿舎。自民党の若手国会議員と懇談〉と伝える。月1回の「赤坂自民亭」と呼ばれる懇親会で酒杯を傾けた
◆
この日は午後、気象庁が緊急会見し厳重警戒を呼びかけていた。夜には京都市が8万人に避難指示。6日は特別警報が8府県に出て安否不明者が増え始めたが首相の対応は見えない。甚大な被害が明らかになった7日、首相は関係閣僚会議で指示しただけ。午後は私邸で過ごした
◆
政府が非常災害対策本部を設置したのは翌8日朝。首相は「救命救助、避難は時間との戦いです」とあいさつした。この間、首相は濁流にのみ込まれた人々や街にどれほど心を砕いたのか。外遊を中止しての被災地訪問も、失地の回復策に見えてしまう
◆
5日の「赤坂自民亭」に出席した西村康稔官房副長官は同夜ツイッターで和気あいあいの面々を紹介し「いいなあ自民党」とつぶやいた。「間が悪い」で片付けられない。森友、加計問題で落ち込んだ内閣支持率が回復。秋の総裁選で連続3選が見えてきた首相を先頭に浮かれていないか。
英語のバイアスは「先入観」の意味…(2018年7月12日配信『西日本新聞』−「春秋」)
英語のバイアスは「先入観」の意味。心理学で「正常性バイアス」といえば、異変や異常に直面しても「大したことはない」「自分だけは大丈夫」と思い込んでしまうことだ
▼西日本豪雨災害の報道で、この言葉を知った。避難勧告や避難指示が出ても、「大したことはない」と避難せずに命を落とすケースがあったのではないか、との指摘だ
▼確かに「勧告」「指示」と聞いても、危険を身近に感じなければ「これまでも大丈夫だった」「危なくなったら逃げればいい」と考えがち。避難所に身を寄せる不安や大変さを思えば腰も重くなる
▼被害を減らすために緊急性をどう伝えるか。「○○川があふれそう」「すぐに逃げて」などと、具体的に注意を喚起できないか。検討の余地はあろう
▼国民の安全に責任を負う人たちも「正常性バイアス」に陥ってはいないか。大雨への警戒が続いていた5日夜、自民党議員が議員宿舎で宴会。安倍晋三首相や、甚大な被害を出した広島県が地元の岸田文雄政調会長の姿も。ご丁寧に笑顔で杯を掲げる写真までネットで公開した。緊張感のかけらも、被災者への配慮も見られない
▼もり・かけ問題や数々の不祥事を、ごまかし、言い繕い、形だけ謝ってやり過ごしてきた1強政権。「大抵のことは大丈夫」「支持率は下がらない」と、おごりのバイアスが働いているのでは。今回も「問題はなかった」と開き直るのだろう。
首相の飲み会出席 国民守る責任自覚せよ(2018年7月12日配信『琉球新報』−「社説」)
国民の命を守る責任感が欠如しているとしか思えない。西日本で大雨による災害の危険が指摘されていた5日夜、安倍晋三首相や小野寺五典防衛相、上川陽子法相らが議員宿舎で催された飲み会に出席していたのだ。
この日は午後2時に気象庁が緊急記者会見を開き「西日本と東日本では、非常に激しい雨が断続的に数日間降り続き、記録的な大雨となる恐れがある」と発表していた。首相が宴会に加わった午後8時半までに、京都市は既に数万人に避難指示を出している。
災害派遣を任務の一つとする自衛隊の最高の指揮監督権を有するのは首相だ。防衛相は自衛隊の隊務を統括する立場にある。のんきに宴席に顔を出している場合ではない。京都府が自衛隊に災害派遣を要請したのは翌6日午前1時10分のことだ。
飲み会への出席について小野寺防衛相は「特に支障はないと思っている」と釈明したが、アルコールの摂取は注意力、判断力を低下させる。
関係省庁から随時、災害の状況について報告を受けたとしても、飲酒によって判断力が鈍り、的確な指示が出せなければ元も子もない。首相や防衛相が酒を飲んでいたのなら、なおさら問題は大きい。
天災地変などで緊急を要するときは、都道府県知事らの要請を待たずに部隊を派遣できる旨、自衛隊法は規定している。もしかすると、もっと早く自衛隊を出動させることができたかもしれない。
「土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水・氾濫に厳重な警戒が必要」と気象庁が警鐘を鳴らしていたにもかかわらず、陣頭指揮を執るべき首相は、飲み会に出て「和気あいあいで良かった」と記者団に語った。
ツイッターに投稿された飲み会の写真を見ると、安倍首相や小野寺防衛相が満面に笑みを浮かべている。緊迫感のかけらもくみ取ることはできない。このとき首相は気象庁の発表内容を把握していたのだろうか。大いに疑問だ。
飲み会は「赤坂自民亭」と称し、月1回開かれていた。5日は自民党の岸田文雄政調会長、竹下亘総務会長を含め約50人が参加している。このタイミングで開催したことに、自民党内からも「大きな災害が予測されるときは慎んだ方がいい」(森山裕国対委員長)との声が出た。それが当たり前だ。
オウム真理教の松本智津夫死刑囚ら7人の刑が執行されたのは翌6日の朝だった。命令を下した上川法相はどのような心境で飲み会に加わっていたのだろうか。違和感を禁じ得ない。
記録的豪雨による被害は甚大であり、復旧への道のりは険しい。安倍首相に求められるのは国民の安全を守る自らの責任を自覚することだ。
何よりも災害対応を最優先し、被災者の救援と復興支援に取り組んでもらいたい。宴席で興じている暇はない。
記録的大災害となった西日本豪雨。大雨が降り始めていた…(2018年7月12日配信『沖縄タイムス』−「大弦小弦」)
記録的大災害となった西日本豪雨。大雨が降り始めていた5日夜、安倍晋三首相や自民党議員ら約50人が衆院議員宿舎で「赤坂自民亭」なる酒宴を開いたという。出席議員によるSNS投稿写真には、閣僚や党幹部が赤ら顔でポーズを取る姿が写る
▼当日昼に気象庁が緊急会見で記録的豪雨を警告し、関西では避難指示・勧告が相次ぐなど緊張が高まっていた。宴会を中止し、投稿をたしなめる者はいなかったのか。危機意識のなさにあきれる
▼小野寺五典防衛相は「その都度指示を出していたので特に支障はない」と釈明した。酒に酔った状態で、だろうか。憲法に「緊急事態条項」を盛り込むよう主張する政権党だが、酔っぱらいの内閣に緊急時の一切の権限を集中させるのは危険すぎる
▼会の締めは上川陽子法相がバンザイの音頭を取ったという。オウム真理教の7人の死刑執行前夜。重いはずの決断を下した大臣の行動として、振る舞いのあまりの軽さに慄然(りつぜん)とする
▼竹下亘総務会長は「これだけすごい災害になるとは予想しなかった」と弁解した。予想しなかったというより、関心が薄かったのではないか
▼昨年総選挙の自民党の公約は「この国を守り抜く」だった。「この国」には首相の「仲間」でない人も含まれる。権力者の都合で命の軽重が選別されることがあってはならない。
出席した西村官房副長官は責任転嫁(2018年7月12日配信『日刊スポーツ』―「政界地獄耳」)
★「私は野党としても災害対策等に全面的に協力することを官邸に申し入れたいと思い総理に電話をし『大変な事態だから国会対応等全面的に協力するので、心おきなく災害対策に当たってほしい』ということを総理に申し上げました。総理の方からは、この際各党の代表と話をしたく、18時に官邸においでいただきたいということでありました。幹事長とともに直ちにうかがうことにいたします」。これは誰の言葉だろうか。11年3月11日。東日本大震災当日の当時の自民党総裁・谷垣禎一のツイッターだ。総理とは民主党政権の首相・菅直人だ。
★ところが与党は国会でのカジノ法案審議を優先した。避難指示で緊迫する現場を横目に「赤坂自民亭」で宴席を楽しんでいた自民党幹部や首相、閣僚はただ飲んでいたのか。同席していた防衛相・小野寺五典のように「防衛省から随時連絡が来ており、その都度指示を出していたので特に支障はないと思っている」というのならば、浮かれた写真をネットにあげていた同席者が問題なのか。幾度も開催されているこの宴席に、この日初めて首相が顔を出したという。つまり総裁選の選挙運動のようなもので、政調会長・岸田文雄も同じようなたぐいの理屈だったのかも知れない。
★写真をネットにあげていた議員は複数いるが、看過出来ないのはツイッターにアップしていた官房副長官・西村康稔。内閣府副大臣の時、広島土砂災害現地対策本部長を務め「命を守る防災・危機管理 その瞬間、生死を分けるもの」(プレジデント社)なる本まで出版した。宴席などの対応を9日夜のテレビで問われ「落ち着いたところで、それぞれの自治体がどのように対応したのか、政府の呼びかけにどういう風に反応したのか、を検証していくことが大事」と責任転嫁ともとれる発言をした。ちゃんとした自民党はもうないのだろうか。谷垣復帰はないのか。
(2018年7月12日配信『しんぶん赤旗』−「潮流」)
戦後、最悪。あるいは最低。いまの政権をそう言い表す向きは多い。極端な言葉をあてはめる理由が多岐にわたっていることも、たちの悪さを示しています
▼安保法制に反対する学者の会が開いた「さよなら安倍政権」の発言からも。フェイク改憲、アベコベノミクス、「大東亜共栄圏」の下心―。力による外交や、ゆがんだ教育改革まで。通底するのは、多くの国民を置き去りにしながら野望を遂げようとする姿です
▼豪雨によって西日本各地に広がった甚大な被害。いまも猛暑のなかで懸命な捜索や救助がつづき、住民らは土砂や流木の撤去に必死です。打ちひしがれた心にむち打って。政府にも全力でとりくむ最優先の対応が求められているはず
▼それなのにどうか。野党がそろって申し入れ、国会も全会一致で政府に万全の対策を要求するなか、熱中しているのは悪法を通すこと。先頭に立つべき石井国交相は賭博法案の審議に付きっきり。自民党のための参院選挙制度改定案までごり押しです
▼すでに大雨の影響が表れ、避難指示が相次いでいた5日夜には「赤坂自民亭」と称する宴会を開催。安倍首相をはじめ、岸田政調会長や竹下総務会長、小野寺防衛相らが出席し、グラス片手に笑顔で乾杯する様子がツイッターに投稿されると批判が殺到しました
▼人の痛みや苦しみが届かない。国民の命や安全よりも自分たちのやりたいことに突き進む。そんな政権がいつまでも居座りつづけているところにこそ、日本にとっての最悪があります。
地元愛媛の被害強調 山本順氏、参院の決議文朗読時(2018年7月12日配信『東京新聞』)
参院は11日の本会議で、西日本豪雨災害の犠牲者に哀悼の意を示し、被災地支援に「万全の対策を期すべきだ」と政府に求める決議を全会一致で採択した。参院議院運営委員会の山本順三委員長(自民党)が決議文を朗読した際、自身の選挙区の被害にだけ言及したとして野党が反発する場面があった。
山本氏は冒頭「今回大きな被害の出た西日本地域、その中にある私の地元愛媛県は大変厳しい状況に置かれている」と発言した上で、決議文を読んだ。野党は謝罪と発言削除を求めた。決議は全会一致で採択されており、山本氏は参院全体を代表して読む立場だった。国民民主党の足立信也氏は本会議の討論で「地元だけ特筆するのは許せない」と批判した。
◆西村氏「誤解与えた」陳謝 5日の宴会ツイッター
西村康稔官房副長官は11日のBS11番組収録で、豪雨災害の危険性が高まっていた5日夜、安倍晋三首相や西村氏ら自民党議員約50人が参加した衆院議員宿舎での宴会の写真を自身のツイッターに投稿したことについて釈明した。西村氏は「大雨の被害が出ている最中に会合をやっているかのような誤解を与え、多くの方に不快な思いをさせた」と説明。宴会の是非には直接言及しなかった。「おわび申し上げたい。反省している」とも話した。
西村氏はツイッターでも「誤解を与えた」と釈明。この表現に対し「国民が誤解したと言いたいのか」などと批判が相次いでいる。
参加者の1人だった小野寺五典(いつのり)防衛相は11日「被災されている方のことを考えたら(外部への)表現ぶりは注意すべきではないか」と、防衛省で記者団に語った。災害に関する連絡体制に不備はなかったとも強調した。
災害よりカジノ優先の石井国交相(2018年7月11日配信『日刊スポーツ』―「政界地獄耳」)
★自民党には魔の3回生という言葉がある。その中の政治家としての覚悟や矜持(きょうじ)のない者が、暴言を吐いたり不倫していたりするからだ。国会議員にまでなってと嘆くというより、世間知らずで持論を訴えるだけの議員になるのではと、不安になる。彼らの失敗の大半は人としても政治家としても、その発言や行動がどういう事態を引き起こすかという想像力の欠如がそうさせるのだ。
★その想像力の欠如は、党の幹部や閣僚たちにも相通じる。例の避難命令が出ている時にも、党所属若手議員を相手に宴会をし続けた想像力のない首相や党幹部、閣僚たちのその場しのぎの政治に、危機感を覚えなくてはいけない。宴席を共にしていた党総務会長・竹下亘はさすがに「どのような非難も受ける。正直言ってこれだけすごい災害になるという予想は、私自身はしていなかった」と想像力のなさを認めたものの、党政調会長・岸田文雄に至っては「政府としても与党としても対応すべきことについてはしっかり対応を行う、こういったことで取り組んでいたと認識している」と人ごとだ。多くの被災者を出した広島選出の次期首相候補筆頭の発言だ。
★国難突破を訴える首相・安倍晋三だが、これでは自民党が国難そのものだ。10日の参院では、今やカジノ担当相とやゆされる国交相・石井啓一出席の下、カジノ法の審議を続けたが、立憲民主党国対委員長代理・山内康一は「不思議なことに、国交相はカジノ担当相を兼務しています。本日(10日)参院で国交相はカジノ法案の審議に出ています。災害対応よりカジノ法案対応を優先する国交相はどうかと思います」とフェイスブックに書き込んだ。
★共産党・辰巳孝太郎も「カジノ審議。石井国交相、広島・府中の氾濫を『昼間のニュースで知った』と答弁。国交相が河川の氾濫をニュースで初めて知る? こらアカン、やっぱりカジノの審議やってる場合じゃない」と、ツイッターでつぶやいた。自公政権から「日本を取り戻す」べきと感じた有権者が増えたのは、間違いない。これなら予定通り自民党総裁選も実施だろうなあ。
西村官房副長官、「自民亭」投稿を陳謝=ツイッターは炎上(2018年7月11日配信『時事通信』)
西村康稔官房副長官は11日、「赤坂自民亭」と称した懇親会の写真を自身がツイッターに投稿したことについて「大雨の被害が出ている最中に、まるで会合をやっているかのような誤解を与えてしまい、多くの方に不快な思いをさせてしまった。おわびを申し上げたいし、反省もしている」と述べた。BS11の番組収録で語った。
自民亭会合が開かれたのは5日夜。東・西日本で激しい雨が降り、気象庁は厳重警戒を呼び掛けていた。西村氏は10日に、「誤解を与えた」と番組と同じ趣旨の釈明をツイッターに投稿したのに対し、「誤解?」「酒盛りしていた事実がなくなるわけではない」などの批判が殺到している。
平成が終わるから死刑執行 前夜の飲み会に見る政権の正体(2018年7月11日配信『日刊ゲンダイ』)
誰が引き受けるのか、“争奪戦”が起きていた麻原彰晃の遺骨は、結局、四女の手に渡ることになりそうだ。代理人のブログを通じて、「実父の最後のメッセージなのではないかと受け入れることにする」とコメントを発表した。ただし「身の危険を感じる」と、当面は拘置所での保管を希望しているという。
それにしても、先週6日(金)に行われたオウム死刑囚7人の死刑執行は、何から何まで異常だ。大新聞は「平成に起きた事件だから平成のうちに決着させた」と、もっともらしくサラリと解説していたが、平成が終わるからという理由で一気に7人も処刑したとしたら、どうかしている。理由にもなっていない。
しかも、テレビ各局は朝から特番を組み、執行前から「7人処刑」を予告報道する異常ぶりだった。フジテレビにいたっては、死刑が執行されるたびに、女性アナウンサーが「執行」と印刷されたシールを死刑囚の顔写真にベタベタと貼る始末。ほとんど、「当確」マークをつける選挙報道のノリだった。いったい、人の命をどう考えているのか。
さすがに、海外は7人の処刑を「ジェノサイド」と感じたのだろう。一斉に批判している。
「海外から批判されるのは当たり前です。ただでさえ、ほとんどの先進国は死刑を廃止し、死刑制度を続けている日本を批判していた。なのに、一気に7人も処刑し、しかもメディアはショーのように伝えている。今回、安倍政権が事前にリークしたのは間違いないでしょう。恐ろしいのは、7人処刑にも、メディアの報道にも国民が違和感を感じていないように見えることです。海外には、日本人は良識がマヒしていると映ったはずです」(政治評論家・本澤二郎氏)
再審を請求していた死刑囚もいたが、容赦なく処刑されてしまった。
■7人処刑して首相と法相がゴキゲンの異常
なにより異常なのは、死刑執行の前夜(5日)、「処刑」を決定した上川法相と安倍首相が、自民党議員40人とニコニコとうれしそうに宴会を楽しんでいたことだ。
大新聞テレビは、ほとんど問題にしていないが、翌日、7人を処刑すると分かっていながら、その前夜、総理と法相が笑いながらドンチャン騒ぎするのは、どう考えてもマトモじゃない。同席した自民党議員がアップした写真では、2人ともゴキゲンでポーズを決めている。翌日、7人を処刑するのに、酒を片手に笑顔、笑顔、笑顔とは、この2人、どうかしている。
「安倍首相も上川法相も、他人の命など、なんとも思っていないのでしょう。死刑執行のボタンは3つあり、3人の刑務官が同時に押します。誰が命を奪ったか分からないようにしている。直接殺したという事実に耐えられないからです。ところが、7人処刑を決めた上川法相や、安倍首相からは、人の命を奪うことに対する苦悩が感じられない。せめて、処刑の前夜は、家で静かに過ごすことが死刑囚への礼儀でしょう。なのに酒宴とは、安倍さんも上川さんも、人として大事なモノが欠落しています」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
千葉景子元法相や鳩山邦夫元法相は、死刑執行に立ち会っている。執行命令書に署名する者として、その重みと責任を感じていたからだ。はたして上川法相は、どこまで熟慮して7人の処刑を決めたのか。
オウム事件では、いまだに解明されていないナゾが山のように残されている。当時、オウム事件には、大物政治家やロシアマフィア、さらに北朝鮮が関わっているとウワサされたが、結局、真相は解明されなかった。「国松長官狙撃事件」や「村井秀夫刺殺事件」も、真相はなにも分かっていない。麻原彰晃が処刑されたことで、すべて闇に消えることになってしまった。
5日夜の宴会は安倍自民の腐敗の象徴
これでは、安倍政権による豪雨被害の対応が後手後手に回るのも当然というものだ。
西日本豪雨の被害は、とうとう死者150人超、安否不明70人超に達している。15府県で1万人以上が避難を強いられている。ここまで被害が拡大したのは、安倍政権の責任が大きい。もし、先手先手で対応していたら、もっと被害は小さかったはずである。
そもそも、気象庁がわざわざ緊急会見を開き、「西日本と東日本で記録的な大雨となる恐れ」「非常に激しい雨が断続的に数日間降り続く」と警告を発したのは、5日の昼2時だ。夕方には京都で河川が増水し、14万人に避難指示が出ている。
ところが、安倍首相は5日夜、上川法相らと問題の宴会に参加し、一切、対応を取らなかったのだから信じられない。自民党幹部は「ここまで被害が拡大するとは思わなかった」などと釈明しているが大嘘だ。夕方には、テレビが河川の増水を報じている。政治評論家の森田実氏が言う。
「5日夜の宴会は、おごりたかぶり、腐敗した安倍政権の象徴だと思う。翌日にオウム死刑囚7人の処刑を控え、さらに目の前に100年に1度の豪雨災害が迫っていたのに、安倍首相は平然と酒盛りを楽しんでいた。自分はなにをやっても許されると思っているのでしょう。40人いた自民党議員も、誰ひとり『総理、西日本が大変なことになっています。宴会は中止にしましょう』と申し入れなかった。かつての自民党は、問題はあったが、国民のことが頭にあった。でも、安倍自民党が、国民のことを考えているとは思えない。安倍首相には、オウム死刑囚も、豪雨に苦しむ被災者も、ホンネではどうでもいい存在なのでしょう。いま、安倍首相の頭にあるのは9月の総裁選だけだと思う。あの夜、宴会に参加したのも、総裁3選のための票固めですからね」
■野党の“政治休戦”申し入れも無視
実際、安倍首相が、被災者の救済に本気じゃないのは明らかだ
6日には広島県などで土砂崩れによる甚大な被害が発生し、7日には倉敷市真備町が冠水したのに、安倍政権は手を打たず、8日になってようやく「非常災害対策本部」を立ち上げている。しかも、初会合の所要時間はたったの20分間。安倍首相は午後2時には、さっさと私邸に引きあげている。
もし、本気で被災地対応に取り組むつもりがあるなら、少なくても発生から72時間は、公邸に泊まり込み、陣頭指揮を執っているはずだ。ところが、ノンビリと私邸に帰っている。
しかも、野党が「いまやらなければならないのは災害対応だ」と、“政治休戦”を申し込んでも、カジノ法案の審議を強行しているのだから、どうしようもない。野党が「人命よりもギャンブルなのか」と批判するのも当然だ。
「安倍政権は完全に末期症状を呈しています。やはり、5日夜にドンチャン宴会をやったことは、許されることじゃないと思う。あの時、宴会を中止し、総理が国民に退避を訴えていたら、ここまで被害は拡大しなかった。そもそも、この時期にオウム死刑囚の死刑執行を決めたのも、カジノ法案など、不人気の法案を国民の目からそらすためでしょう。死刑を恣意的に利用するなど許されない。国民ももっと怒るべきです」(森田実氏=前出)
いま安倍政権は、「どうやったら、この豪雨災害を政権浮揚に利用できるか」と策略を巡らせているという。この政権だけは、一刻も早く倒さないとダメだ。
赤坂自民亭 懇親会「不適切な日時では」栃木知事が批判(2018年7月11日配信『毎日新聞』)
栃木県の福田富一知事は10日の定例記者会見で、西日本で雨が降り続いた5日夜に東京都内で安倍晋三首相や自民党幹部が出席して同党議員の懇親会が行われたことについて、「不適切な日時の設定だったのではないか」と批判した。その一方で、事態の急変に対応できる態勢が整っていればやむを得ないという見方も示した。
豪雨災害については、「多くの県にまたがって大雨特別警報が出るのはいまだかつてない。明日は我が身だと考えなければならない」と述べた。被災自治体からの支援要請に対して迅速に対応できるよう、関係部局に指示したという。
福田知事は「県民誰もがいつ危険が及ぶか意識できるように、災害に対する備えの周知徹底を図りたい」と語った
予算にもクッキリ 安倍政権の露骨すぎる「防災より武器」(2018年7月11日配信『日刊ゲンダイ』)
死者が100人を超えた西日本を中心とした豪雨被害。安倍首相は、さすがに11日からの欧州・中東訪問を取りやめ、激甚災害指定方針を固めるなど、やっと災害に目を向け始めた。こんなに腰が重いのは、安倍首相が災害を軽視しているからだ。昨年、安倍首相は北のミサイル発射前夜に官邸泊を繰り返したが、今回の災害では、私邸にこもって危機感ゼロ。そんな「防災より武器」という安倍政権のスタンスは、予算配分にもクッキリ表れている。
■災害無策でも防衛費概算要求は過去最高へ
7月7日未明、愛知県岡崎市から出動し、午後から岡山県倉敷市真備町で救助活動に加わった全地形対応車「レッドサラマンダー」。全国でたった1台しかない。
「1台なので、どこにでも出動できるように、2013年3月、愛知県の岡崎市消防本部に配備しました。日本列島のだいたい真ん中であることや高速道路が東西南北に整備されているためです」(消防庁広域応援室)
岡崎市消防本部によると、レッドサラマンダーは2両編成で、全長8.72メートル、高さ2.66メートル、重量12トン。10人乗りで、最高時速は50キロ。足回りにキャタピラーが付いていて、急傾斜とされる26.6度の坂まで対応でき、災害現場で見られる、がれき、ぬかるみ、段差、水たまりなども走行できる。
「最大60センチの段差や幅2メートルの溝はクリアでき、水深1.2メートルなら走れます。また、やったことはないのですが、水に浮くため、キャタピラーが水かきをして、時速3キロ程度で、水の中を進むこともできるのです」(岡崎市消防本部消防課)
災害時に活躍しそうなレッドサラマンダーの価格は約1億円。民主党・野田政権の2011年度3次補正で予算がついた。安倍政権では、17年度補正で2機分(2億円未満)を計上し、これから入札予定。青天井の防衛費に比べればあまりにもケチな対応である。
北朝鮮の脅威が薄まる中、安倍政権は、6月に閣議決定した「骨太の方針2018」で「防衛力を大幅に強化する」と明記。8月の概算要求では、過去最高の5兆円超の防衛関係費を要求するという。
中身も必要性、品質、価格すべての面で疑問だらけだ。北がミサイル発射中止表明をしているのに、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の山口と秋田への配備は見直すことなく進められている。本体とレーダーで1基1000億円もするが、1発30億円超の迎撃用ミサイル「SM3ブロック2A」も必要になる。加えて、ポンコツ機「オスプレイ」17機3400億円、米国防総省が数百件もの欠陥を認めている「F35ステルス戦闘機」42機5400億円など、不良品に大盤振る舞いなのだ。
武器のムダ遣いを少しでも災害対策に回せないのか――。イージス・アショア1基分を防災に向ければ、47都道府県に各20機のレッドサラマンダーを配備でき、お釣りがくる。
「少なくとも、北の差し迫った脅威がなくなる中、これだけ大きな災害を目の当たりにしたわけです。一方で財政は厳しく優先順位は必要です。人命第一というなら、防衛費を削って、災害予算を充実させることです。防衛費増で凝り固まっている安倍政権は、そんな簡単な政策転換もできないのでしょう。『災害か武器か』は、次の選挙の最大の争点にすべきです」(政治評論家・山口朝雄氏)
政権交代でフツーの政治を取り戻すしかない。
首相、初動対応は問題ない認識 野党は批判 西日本豪雨(2018年7月11日配信『朝日新聞』)
安倍晋三首相は11日、西日本を中心とする豪雨被害の復旧作業に取り組む被災自治体を財政的に支援するため、「激甚災害」の指定を早期に行う考えを表明した。野党から初動対応の遅れを指摘されていることについては、「政府一丸となって発災以来、全力で取り組んできた」と述べ、問題はなかったとの認識を示した。
岡山県内の被災現場を視察した後、記者団の取材に応じた。
首相は、自治体からの要請を待たずに国が主体的に被災地に物資を送る「プッシュ型支援」を行うと強調。クーラー設置などによる避難所の環境改善や仮設住宅の確保などを挙げ、「きめ細かな生活支援、生活再建に取り組む」と述べた。
国の今年度予算の予備費活用や被災自治体への普通交付税の繰り上げ交付の方針も示し、「被災自治体の皆さまには、財政上躊躇(ちゅうちょ)することなく、応急対応、復旧対応に全力で取り組んでいただきたい」と呼びかけた。
記録的な大雨になる恐れがあると気象庁が発表した5日の夜、首相や閣僚が自民党議員の懇談会に出席していたことなどをめぐり、野党は初動対応の遅れを批判。首相はこの点について質問されると、「様々な課題があるが、まさに現場主義を徹底し、被災者生活再建チームを直ちに送った」と強調した。
安倍首相出席「赤坂自民亭」ネット上で批判…気象庁が大雨警戒呼びかけた中の酒席(2018年7月10日配信『デイリースポーツ』)
西日本で大雨が降り続いたさなかの5日夜に、安倍晋三首相らが出席して衆院議員宿舎で自民党議員の飲み会が開催されたことにネット上で批判の声が上がっている。飲み会は党内で「赤坂自民亭」と呼ばれ、定期的に開催している。同日は、気象庁が8日ごろまで東日本から西日本の広い範囲で記録的な大雨になる恐れもあるとして、土砂災害や河川の氾濫、低地への浸水に厳重な警戒を呼び掛けていた。ネット上では「助かったかもしれない命。 危機管理能力のなさに驚き」などの声が上がっている。
「『赤坂自民亭』ってのは、国民の生命よりも、自分たちがおもしろおかしく、どんちゃん騒ぎする所だとわかりました。有権者は、特に今回、被災された皆様は胸に刻んで忘れないでください。自民党は自分党だということを」「赤坂に轟々と泥水が流れてても宴は続くのか?赤坂自民亭さんよ」と被害が起こりつつある中にもかかわらず、酒席があったことを皮肉る声が多く見られた。
また、「みなさん、今から自由民主党(自民党) 改め 赤坂自民亭(自民亭)でいいんじゃないでしょうか。 ちなみに安倍さんは党首改め亭主とします。主膿でも可です」との批判も。「助かったかもしれない命。 危機管理能力のなさに驚き」と初期対応にミスがあったのではとの指摘もあった。
さらに、安倍首相の出席が初めてで、9月の党総裁選をにらんだ対応と見られていることから、「後手後手どころか放置だぞ。 赤坂自民亭でやったのは先手先手の総裁選への根回しだ」との批判もあった。
主催者の一人だった竹下亘総務会長は記者会見で「正直、これだけすごい災害になるとは予想しなかった」と見通しの甘さを認めた。同時に「もう開いてしまった。どのような非難も受ける」と述べた。
栃木県の福田富一知事は10日、定例記者会見で「不適切な日時の設定だったのではないか。私なら誘われても行かない」と苦言を呈した。
「日本を守る」はずでしょ(2018年7月10日配信『日刊スポーツ』―「政界地獄耳」)
★西日本を中心とした豪雨被害は12府県に及び、100人以上が死亡、安否不明者も80人を超える。また2万人以上が避難所生活を余儀なくされている。野党各党は事態の重要性に鑑み災害対策本部を早々に設置。8日には立憲民主党と自由党幹部が会談し、当面国会審議を中断し災害対応を優先すべきだと訴えた。
★5日夜、既に大阪、兵庫など3府県の20万人に避難勧告が発令されている頃、首相・安倍晋三と複数の閣僚や党幹部は議員宿舎で若手議員と宴会の最中だった。また首相は11日からの外遊を控えていた。安倍の山口を筆頭に広島、島根と被災地選出の議員や防衛、復興など災害対策の担当相らも同席していた。またその時の浮かれた様子をネットにあげており、被災者のみならず、配慮のなさと緊張感のなさ、与党のたるみっぷりは既に政界の大きなテーマとなっている。その中の1人、党総務会長・竹下亘は会見でこの宴席を問われ「どのような非難も受ける。正直言ってこれだけすごい災害になるという予想は私自身はしていなかった」と述べた。
★政府は非常災害対策本部を設置したものの、本部長は防災相・小此木八郎。つまり首相の外遊を想定して首相を本部長とする緊急災害対策本部設置をちゅうちょした。結局9日になって首相は外遊を取りやめたものの後手後手に回った印象だ。首相は「時間との闘い」「暑さが厳しくなる中、被災者へのきめ細やかな支援は急務だ」というが、全体的に事態を甘く見ていたとの批判はぬぐえないだろう。この判断ミスは人命に直結する。政府は同日、今回の豪雨を「平成30年7月豪雨」と命名し激甚災害指定にした。
★「日本を守る」。首相は得意とするメッセージに安全保障がある。それは国民の生命、財産を守ることに尽きる。首相は安全保障を軍事的なものに限定しているのかもしれないが、外遊と災害対策をてんびんにかけたのではないかと被災者に問われたときにどう応えるのか。救助の後、初動の遅れと不作為の結果の検証が必要だ。
豪雨前の赤坂自民亭「慎んだ方がよかった」自民・森山氏(2018年7月10日配信『朝日新聞』)
自民党の森山裕国会対策委員長は10日の記者会見で、記録的な大雨になる恐れがあると気象庁が発表した5日の夜、安倍晋三首相らが自民党議員の懇親会に出席したことについて「大雨や災害が予測される時は、できるだけ、そのようなことは慎んだ方がいい」と苦言を呈した。
衆院議員宿舎で開かれた懇親会「赤坂自民亭」は、首相のほか、岸田文雄政調会長、竹下亘総務会長、小野寺五典防衛相らが出席。森山氏は出席していなかった。
西村康稔官房副長官が5日夜、グラス片手に笑顔の集合写真を添え、「和気あいあいの中、若手議員も気さくな写真を取り放題!」とツイッターに投稿すると、ネット上で「この非常時に懇親会!」「中止に出来なかったのか?」と批判が広がった。
野党も一斉に批判。立憲民主党の蓮舫参院幹事長は10日、「楽しそうな宴の写真が出回った時に、まさかと思った。責任感があまりにも欠如している」と指摘した。一方、小野寺氏は同日の記者会見で「防衛省からは随時連絡が来ており、その都度指示を出していたので特に支障はないと思っている」と説明した。
豪雨災害を受け、自民党竹下派と石破派は10日、今月中旬の研修会の延期を決定。党幹部は「懇親会が批判された影響が大きい。懲りたんだろう」と語った。
片山さつき議員のツイッター荒れ放題…大雨降る5日に「赤坂自民亭」記念写真(2018年7月10日配信『デイリースポーツ』)
自民党の片山さつき参院議員のツイッターが荒れ放題となっている。片山氏は、西日本で大雨が降り続いたさなかの5日夜に「赤坂自民亭」と呼ばれる衆院議員宿舎で行われた自民党議員の飲み会に出席し、同日に安倍晋三首相とともに乾杯している写真をツイッターに掲載。このツイッターには「非常識極まりない」などの返信が多くあった。片山氏は7日以降のツイッターでは豪雨対策に奔走する様子をツイート。8日に岡山県倉敷市役所を訪ね地元の災害担当者と撮った写真を掲載すると、「記念写真撮る神経が分かりません」などの指摘があった。
5日のツイッターで片山氏は「今日は27回目の赤坂自民亭」「安倍総理初のご参加で大変な盛り上がり」と料理と酒が並び、親指を突き上げて記念撮影をしている写真を掲載した。この頃、京都市は8万人以上に避難を指示。気象庁は昼に緊急会見して警戒を呼びかけていた。
5日の片山氏のツイッターに多くの批判的な返信が寄せられた。「国会議員の職務って何でしょうか?国民のために、あなたは何を成し遂げてくれたのでしょうか?あなたを含め、この宴会にいた人達は国会議員に相応しくない!議員の通信簿つけられるなら、0点ですね(笑)」「この方たちのお給料を返してもらって財源の一部にした方が国のためになると思います」「安倍 『1ヶ月もすれば国民忘れるよ』忘れません(笑)」「議員の このツイートには本当に驚きました」などの声があった。
片山氏は7日以降、豪雨対策に奔走している様子をツイートし、8日は「自民党も豪雨被害対策本部設置。私も急きょ岡山入りし、伊原木知事と最新の状況把握」「岡山県として数十年ぶりの甚大な被害、政府に早期の激甚指定を」として写真を掲載した。返信には「現場の人間の邪魔をする それだけはやめよう」「5日の14時に気象庁が緊急記者会見開いてたんで予想出来ましたよね?5日の夜に酒盛りはあり得ないのでは」と厳しい声があった。
10日も片山氏は「雨量の前提を見直し、木が生い茂りヌートリア住みついて穴だらけの河床と低い堤防、緊急に強靱化へ動きます」と懸命に取り組んでいることを真摯(しんし)に訴えた。返信として「被災地への支援・援助よろしくお願いします」と片山氏の活動に期待する声がある一方、「お疲れだったでしょう」として飲み会の写真を掲載する返信もあった。
安倍首相の豪雨被災地ないがしろは続いている! 災害対応よりカジノ優先、宴会参加の官房副長官は自治体に責任転嫁(2018年7月10日配信『リテラ』)
平成で最悪となった西日本豪雨だが、安倍首相の初動対応への批判が止まらない。ついにはフランスの高級紙「ル・モンド」も、安倍首相の姿勢を疑問視し、2日間も放置しておいて「時間との戦い」と言い出したことを批判した本サイトの記事を紹介。同記事をリツイートした映画監督・想田和弘氏の〈首相はもはや自分が何をやっても主権者から罰せられないと感じているのだと思う〉というツイートを掲載した。
だが、国内に目を向けると、安倍首相の初動対応に批判をおこなっているのはほとんどがネットメディア。なかでも、十数万人に避難勧告が出されるなど警戒が高まっていた最中に安倍首相が総裁選を睨んで「赤坂自民亭」なる内輪の飲み会に参加していた問題を批判的に取り上げたのは、西日本新聞や静岡新聞、毎日新聞くらい。昔ならワイドショーがすぐに食いつきそうなネタだが、いまのところキー局で紹介したのはTBSの『Nスタ』『はやドキ!』『あさチャン!』くらいだ。
しかも、安倍首相が昨日になってようやく決めた外遊取りやめについても、多くのメディアは「豪雨対応を優先」「速やかに被災地域を訪れることも検討」などと報道。まるで安倍首相が英断したかのような伝え方だが、実際はネット上で初動対応に批判が高まっていたことから仕方なく決定しただけで、朝日新聞によれば〈首相官邸は最後まで実現を模索〉していたというのだから呆れ果てる。そもそも、与党の勝手で国会を延長しておいて緊急性のない長期外遊に出るという行動事態が異常で、実際に衆院議院運営委員会は安倍首相のこの出張を了承していなかったのだ。
こうしたメディアの弱腰に高を括ったのか、安倍政権はきょうも災害対応を疎かにし、被災地をないがしろにする行動に出た。被災地への対応に全力をあげるべき局面にも関わらず、安倍政権は内閣委員会の開催を強行、災害対応の先頭に立つべき石井啓一国土交通相を、なんと6時間も委員会に張り付かせるという信じがたい暴挙に出たのだ。
土砂崩れや浸水といった被害が相次いだのは6日午後〜7日未明のことで、きょうは生存率が急激に下がる「発生後72時間」を迎えた。しかも、今回の豪雨では交通インフラが直撃を受け、避難所に救援物資が届きにくいという問題も起きている。さらに、被災地では暑さが襲っており、避難所生活への不安も増している。人命救助、被害状況の把握、インフラの復旧、被災者支援、仮設住宅や公営住宅の確保──こうした指示を出すのは、石井国交相の重要な責務だ。
だからこそ、野党6党派は昨日、菅義偉官房長官に政府は豪雨災害対応に最優先で取り組むよう申し入れをおこない、安倍首相や石井国交相といった担当大臣が最優先で災害対応に当たることを求めた。だが、自民党は「6時間の質疑をおこないたい」とし、反発する野党を尻目に自民党の柘植芳文委員長の職権で委員会開催を強行したのである。
すぐさま対応するべき問題が山積し、その上、きょうも11時過ぎに広島県府中町の榎川が氾濫するなど、いまだに被害は拡大しつづけているというのに、安倍政権は会期末までにカジノ法案を成立したいがために、こんなタイミングでさえ審議を続行するとは……。
ようするに、安倍政権はこの非常事態に「災害対応よりもカジノ審議」を優先させたのだ。
赤坂自民亭で大はしゃぎの西村官房副長官は「自治体がどう反応したか」と責任転嫁
安倍首相は「救命救助に全力を尽くします」「『できることはすべてやる』との考え方のもと、被災者の皆さんの生活支援に全力であたってまいります」などと言うが、実際は災害対応の指揮に立つ石井国交相を出席させてカジノ法案の審議を強行する。一体、この態度のどこが「全力」だと言うのだろう。
しかも、安倍政権からは、びっくりするような言い訳も飛び出しはじめている。本サイトは昨日、「赤坂自民亭」に安倍首相と一緒に参加した西村康稔・内閣官房副長官が、宴会の模様を嬉々として投稿し、批判が高まると、被害状況や自衛隊の態勢にかんするデマを垂れ流したことを伝えたが(参照http://lite−ra.com/2018/07/post−4115.html)、この西村官房副長官が昨晩、『深層NEWS』(BS日テレ)に生出演。大雨特別警報が出ていながら犠牲者が多く出たことについて、西村官房副長官はこう主張したというのだ。
「それぞれの自治体が政府の呼びかけに対し、どう反応したか検証していくことが大事だ」
……政府の呼びかけ、だと? 気象庁が大雨では異例の緊急会見を開いて「記録的な大雨となる恐れ」「厳重な警戒が必要」と警告したのは、5日の14時だ。なのに、その夜に何事も起きてないかのように宴会を開き、いまにも氾濫しそうな河川の状況に不安で怯える人びとがいることも無視したのは、安倍首相や西村官房副長官をはじめ、自民党の面々ではないか。
いや、そればかりか、西村官房副長官は宴会後、言い訳するかのように〈地元明石淡路の雨は、山を越えた〉などと、現実とはかけ離れたデマまがいのツイートまでしていた。政府高官が公式アカウントで、警戒感を削ぐようなアナウンスをおこなっていたのである。
6日、気象庁が異常事態を警告したあと、安倍と菅は何をしたのか?
だいたい、西村官房副長官は「大雨特別警報」の発令を「政府の呼びかけ」にすり替えているが、本来、政府が災害時におこなうべき「呼びかけ」とは、第一に、安倍首相がカメラの前で強い警戒を求め、勧告が出ている地域の住民に対してただちに避難を促すこと、そして菅官房長官が随時、把握している状況を伝えることだ。
しかし、今回の安倍首相の対応はどうだったか。6日午後には福岡県、佐賀県、長崎県、広島県、岡山県、鳥取県、京都府、兵庫県に大雨特別警報が出され、気象庁も「重大な危険が差し迫った異常事態」と警戒を呼びかけたが、安倍首相は会見を開くこともなかった。その上、菅官房長官の午後の定例記者会見では、注意喚起をすることもなかったばかりか、被害が出ているなかで宴会を開いて複数の参加議員がSNSに写真を投稿していた問題を問われると、「大雨は官邸でも対応している」「大きなやるべきことをしっかりやっていれば問題ない」などと答えた。
さらに、翌日7日朝には岡山県倉敷市真備町の冠水をはじめ、多くの地域で大勢の人びとが救助を待っている現状が伝えられ、事態の深刻さは誰の目にもあきらかなものとなった。だが、安倍首相はそれでも非常災害対策本部の設置をおこなわず、15分間だけの関係閣僚会議を開くと、やはり記者会見をおこなうこともなく、さっさと官邸をあとにして渋谷の私邸に戻っていったのだ。
ようするに、大雨特別警報が出ても、安倍首相は何一つ国民に「呼びかけ」をすることはなく、政府としての態度を示す非常災害対策本部の設置さえしなかった。気象庁の緊急会見から約66時間、大雨特別警報の発令から約38時間ものあいだ、安倍首相は「緊急事態」であることを示さなかったのである。
このように、初動が遅れに遅れたというのに、西村官房副長官は「自治体が政府の呼びかけに対し、どう反応したか」などと言い、自治体に責任を押し付けようとする──。「災害対応よりカジノ」を優先させたことをあわせれば、安倍政権の非情さ、下劣さが、これでよくおわかりいただけるだろう。
だが、こうした安倍政権の国民の命を軽んじつづけている実態も、海外では報じられても国内ではネット止まり。本日の参院内閣委員会で質疑に立った自由党・山本太郎議員は「7月8日午前、安倍総理が非常災害対策本部の初会合の際、『先手先手で被災地の支援に当たってほしい』と発言されているんですけど、この時点で完全に後手なんですよ。後手後手。完全に出遅れている状態」と指摘し、こう訴えた。
「多くの方々が命の危険に晒されたんですよ? 官邸のボケ具合で。実際に命を落とされたということにもつながっている可能性が高い。当たり前ですよね? 5日の時点で数十万人単位で避難勧告さえ出ていた状態なのに、政府として注意喚起がおこなわれていないじゃないですか」
「(カジノ法案の審議を)やってる場合かよ! カジノじゃないだろって。災害対応だろって、当たり前の話ですよ!」
この至極当然すぎる指摘が、果たして電波や紙面で伝えられることはあるのだろうか。
安倍首相の豪雨対策そっちのけ自民飲み会参加に非難轟々! 一緒に大はしゃぎの安倍側近は言い訳のためデマ拡散(2018年7月9日配信『リテラ』)
西日本を襲った豪雨はきょう死者が100人を超え、平成に入ってからは最大規模の水害となった。本日21時現在で安否不明者81人(朝日新聞調べ)もいる上、避難者の数も約2万人。交通インフラの被害も深刻で、復旧の目処も立っていない。
そんななか、怒りが集中しているのが、安倍首相の災害対応だ。たとえば、6日夜の時点で広島県は土砂崩れなど甚大な被害が出ており、さらに7日深夜には岡山県倉敷市真備町で川が氾濫し冠水。同日朝には愛媛県西予市をはじめ、多くの地域で取り残された人びとからの救助要請が相次いでいた。
にもかかわらず、安倍首相は、7日午前10時1分から豪雨にかんする関係閣僚会議を15分間開いただけで、その後は東京・富ヶ谷の私邸に帰宅。非常災害対策本部を立ち上げたのは昨日8日の午前8時のことで、そんな時期になって「救命救助、避難は時間との戦い」などと言い出したのだ。しかも、昨日も午後14時過ぎには官邸を出て、さっさと私邸へ戻ってしまった。
そして、安倍首相はようやくきょうになって救助活動や被災者支援のため、11日から予定していたベルギーやフランスへの外遊を取りやめると発表。だが、これはあまりにも当然の話だろう。もっと早く外遊取りやめを公表し、政府をあげて対応にあたると明言することで、被災地に多少なりとも安心感をもたらすことができたからだ。
しかし、もっとも批判の矛先が向いているのは、やはり、5日の夜に安倍首相が「赤坂自民亭」なる自民党の飲み会に参加した一件だ。
5日といえば、地震発生から間もない大阪北部や京都市などの地域では早朝から避難勧告が断続的に出され、夕方には京都府だけでも避難指示は14万人に及んだ。気象庁も14時に「記録的な大雨となるおそれ」と大雨では異例の緊急会見を開き、17時台には「厳重な警戒」を呼びかけていた。
だが、安倍首相は西日本を襲う危険は自分とは無関係と言わんばかりに、自民党の中堅・若手議員らが開いている「赤坂自民亭」に参加。この会は、竹下亘総務会長が「亭主」を、翌日にオウム死刑囚を大量処刑した上川陽子法相が「女将」、“ドリル破壊大臣”こと小渕優子・元経済産業相が「若女将」、吉野正芳復興担当相をはじめとする7期生が「店員」を務めるという“ごっこ遊び”のような内輪の飲み会で、安倍首相がこの夜、参加したのは、9月の総裁選に向けた票固めのための行動であることは間違いない。ちなみに、安倍首相はこの会に地元・山口の有名ブランド日本酒である「獺祭」を差し入れたというが、獺祭の蔵元も今回の豪雨で浸水被害を受け、製造中止に追い込まれている。
避難者が十数万人に及ぶなか、災害そっちのけで総裁選の選挙運動に勤しむ安倍首相……。この危機管理ゼロかつ酷薄な態度には言葉を失うが、醜いのは、この場に集まっていた安倍政権の面々も同じだ。
なかでも、呆気にとられるような言動を繰り返したのは、安倍首相の側近である西村康稔・内閣官房副長官だ。
西村官房副長官といえば、第二次安倍政権の発足とともに内閣府副大臣に任命され、防災対策を担当。2014年8月に豪雨で土砂崩れが発生した広島土砂災害では現地対策本部長を務めた。同年に出版した『命を守る防災・危機管理』(プレジデント社)なる著書の帯では、安倍首相が「数々の災害に、彼が最前線で指揮を執ってくれた」と推薦文を寄せているほど。つまり、西村官房副長官は、安倍政権が誇る“災害対応のエキスパート”というわけだ。
安倍首相が“防災担当”に指名、西村康稔内閣官房副長官も飲み会で大はしゃぎ
だが、被害拡大が懸念されていた5日の夜、西村官房副長官は安倍首相に迅速な対応を進言するでもなく、一緒に「赤坂自民亭」に参加。そして、安倍首相と岸田文雄・自民党政調会長の、あきらかに酒が入って陽気な様子のツーショットや、安倍首相を中心に参加者が乾杯ポーズで写った集合写真とともに、こんなツイートを投稿した。
〈参加した多くの議員は「(安倍総理が差し入れた)獺祭と(岸田政調会長が差し入れた)賀茂鶴とどっちを飲むんだ??」と聞かれ、一瞬戸惑いながらも、結局両方飲んでました。そして、お二人と写真を撮っていました笑笑 いいなあ自民党。〉
〈今日は、安倍総理、岸田政調会長、竹下総務会長が勢揃い。和気あいあいの中、若手議員も気さくな写真を取り放題!まさに自由民主党党。〉(原文ママ)
安倍首相が称える「防災・危機管理」のプロが、危機が迫るなかで宴会の様子を垂れ流す……。これが、西村官房副長官が「いいなあ」と誇る「まさに自由民主党」の姿なのである。
しかし、西村官房副長官の醜態はこれで終わらない。この宴会写真と被災者の不安を無視した投稿には非難が殺到したためか、同日23時45分には〈地元秘書から、地元明石淡路の雨は、山を越えたとの報告を受けました。秘書、秘書官と随時連絡を取り合いながらの会でした〉とツイートしたのだ。
官房副長官ともあろう者が、自分の選挙区のある地域にしか目を向けていないことを露呈させるとは、これだけでも酷い話だが、その明石市や淡路島にしても〈山を越えた〉というようなことはなく、その後、6〜7日にかけて避難勧告が出され、淡路市にいたっては本日21時16分まで大雨、雷注意報が出されていた。つまり、自分が飲み会で浮かれていたのを打ち消すために、災害を矮小化するデマを流したのである。
さらに、西村官房副長官は7日の関係閣僚会議において安倍首相が発言している写真と合わせて、〈これまでに経験したことのない記録的な雨量〉と投稿。未曾有の雨量だと認めているのに、この時点で非常災害対策本部がいまだ設置されていないのはどう考えてもおかしいのだが、西村官房副長官がそうした安倍首相の失策を指摘するはずもなく、ただ写真だけで「やっている感」を演出しようとしたのだ。
西村官房副長官、災害は「山を越えた」「自衛隊員2万人が救助活動中」とデマツイートを連発
しかも、問題はこのあと。西村官房副長官は、投稿文をこう締めくくっているのである。
〈現在、京都、岡山、広島、山口、愛媛、高知、福岡の各府県で自衛隊員約21,000名が人命救助など活動中。〉
じつは、これもデマだった。実際、自衛隊の救助態勢について、8日の毎日新聞の朝刊は以下のように伝えている。
〈防衛省によると同日(注・7日)夕現在、京都、高知、福岡、広島、愛媛、岡山、山口の7府県からの災害派遣要請を受け、自衛隊は約600人態勢で、土砂崩れ現場での救助、孤立地域からの輸送、洪水対策などにあたっている。西日本の陸上自衛隊を中心に約2万1000人が救助要請などに即応できるよう待機している〉
ようするに、実際に7日時点で救助などの活動に当たっていた自衛隊員は約600人に過ぎず、2万1000人は「待機」していただけだったのだ。それを西村官房副長官は、「約21,000名が人命救助など活動中」だとデマを喧伝したのである。
総理出席の飲み会ではしゃぎ、それをごまかすために危機感を促すべきタイミングで〈山を越えた〉などと拡散させ、挙げ句、非常災害対策本部も立ち上げないままに虚偽の情報を流して、あたかも万全の救助態勢であるかのように装う──。西村官房副長官は前述した著書のなかで、自身の災害対応を振り返った後に、日本は〈世界の防災のリーダー国〉なのだと胸を張っているが、デマを流すような官房副長官がいる国の、一体どこが防災リーダー国なのだろうか。
そして、最大の責任者は、このような人物を防災担当に据えた安倍首相である。そもそも、安倍首相こそが、頻発してきた災害に対して毎度毎度、信じがたい対応をとってきた。
事実、2014年の広島土砂災害では、8月19日に豪雨によって土砂崩れが発生。このとき安倍首相は山梨県の別荘で過ごしていたのだが、翌20日午前6時30分に「政府の総力を挙げて被災者の救命・救助などの災害応急対策に全力で取り組む」と宣言。そのまま官邸に入り対応にあたると思いきや、なんと官邸ではなく富士桜カントリー倶楽部に向かい、日枝久・フジテレビ会長(当時)や笹川陽平・日本財団会長らとゴルフに興じたのだ。
これだけではない。2015年の関東・東北豪雨では、孤立して救助を待つ人びとや不明者も多数いるなか、インターネットテレビ「言論テレビ」に生出演し、櫻井よしこや田久保忠衛・日本会議会長とともに「歴史的使命を完うする覚悟と戦略」と題して安保法制の必要性をアピール。また、昨年は、G20首脳会談出席のための外遊中に九州北部豪雨が発生したが、その後、被害が深刻化するなかにあって安倍首相はG20閉会後も外遊を続行。結局、1日だけ予定を早めて7月11日に帰国したが、緊急性もない外遊を続行させたのは、同月10日に開かれた加計問題追及の閉会中審査に出席したくないからではないかとも囁かれた。
災害が起こっても、ゴルフをプレーし、お仲間の極右ネット番組に生出演し、閉会中審査に出たくないばかりに外遊先から帰国しない。そして今年もまた、総裁選に向けた選挙活動に励む一方で被災地を無視しつづけ、非常災害対策本部の立ち上げは遅れに遅れた──。総理大臣がこの有り様なのだから、安倍政権の面々が災害にも目もくれずどんちゃん騒ぎを繰り広げ、側近がデマを流すのも、当たり前なのかもしれない。
懇談会:豪雨迫る夜 首相出席「赤坂自民亭」ネットで議論(2018年7月9日配信『毎日新聞』)
◇衆院赤坂議員宿舎で50人出席 ツイッターでは批判と擁護
西日本を中心とする豪雨災害が迫った5日夜、自民党の中堅・若手国会議員らが安倍晋三首相を招いて東京都港区の衆院赤坂議員宿舎で開いた懇談会「赤坂自民亭」が、ネット上で議論を呼んでいる。【統合デジタル取材センター】
赤坂自民亭は2000年衆院選の初当選組を中心に始まった。若手議員と党幹部や閣僚の交流を目的としており、5日は27回目だった。一方、気象庁は同日午後、緊急に記者会見を開いて「記録的な大雨になるおそれがある」と警戒を呼びかけた。雨は激しさを増し、毎日新聞の集計では6日午前0時までに計約15万人に避難指示が出た。
出席者によると、懇談会は5日夜に予定通り開かれ、約50人が出席。首相も初めて顔を出した。毎日新聞の「首相日々」によると、同日午後8時28分から参加し、同午後9時38分に東京・富ケ谷の私邸に帰っている。首相は帰りがけに、記者団から問われると「和気あいあいでよかったですよ」と応じた。
懇談会の様子は、出席者が自らのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に投稿した。西村康稔官房副長官はツイッターに「参加した多くの議員は『(安倍首相が差し入れた)獺祭(だっさい)と(岸田文雄政調会長が差し入れた)賀茂鶴とどっちを飲むんだ??』と聞かれ、 一瞬戸惑いながらも、結局両方飲んでました。そして、お二人と写真を撮っていました笑笑 いいなあ自民党」と書き込んだ。獺祭、賀茂鶴はそれぞれ首相と岸田氏の地元である山口、広島両県産の日本酒の銘柄だ。両氏とも9月の自民党総裁選への出馬が取りざたされており、これを意識した書き込みとみられる。
また、片山さつき参院議員はツイッターに「若手議員との交流の場ですが、安倍首相初のご参加で大変な盛り上がり!」、務台俊介元内閣府政務官はフェイスブックに「安倍首相を囲んでよもやま話。髪の毛の話で盛り上がる」との書き込みを写真とともに掲載した。数々の写真の中には、会合の数時間後に京都府知事から自衛隊の災害派遣要請を受ける小野寺五典防衛相の姿もあった。
さらに写真には、会合で「女将」を務めた上川陽子法相が写っている。オウム真理教元代表の松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚ら7人の死刑執行を翌朝に控えていた。上川氏が首相の隣に座り、親指を立てた写真がSNSからネットに拡散した。上川氏は6日の記者会見で「幹事の一人として参加した。かなり短い時間ではあったが、大変有意義な会だと思っている」と説明した。
ツイッターでは「大雨が続いている中、政府と与党の皆さんは、仲間内の酒盛りですか」との批判がある一方、「政治家が自然災害の都度会合を自粛してたら経済停滞する」として擁護する書き込みもあった。
自民:「赤坂自民亭」に竹下氏「どのような非難も受ける」(2018年7月9日配信『共同通信』)
◇大雨さなかの5日夜に衆院議員宿舎で開催
自民党幹部は9日、西日本で大雨が降り続いたさなかの5日夜に衆院議員宿舎で同党議員の飲み会を開催したことについて釈明した。飲み会には安倍晋三首相や西村康稔官房副長官も出席した。
主催者の一人だった竹下亘総務会長は記者会見で「正直、これだけすごい災害になるとは予想しなかった」と見通しの甘さを認めた。同時に「もう開いてしまった。どのような非難も受ける」と述べた。
飲み会に参加した岸田文雄政調会長は会見で、5日時点の政府、与党の豪雨対応に問題はなかったとの認識を示した上で「今回の豪雨は今まで経験した災害と比べ異質だと感じる。災害の変化についても考えなければいけない」と語った。
飲み会は「赤坂自民亭」と呼ばれ、定期的に開催している。首相の出席は初めてで、9月の党総裁選をにらんだ対応と見られている。
豪雨災害で安倍首相の対応がヒドい! 自民飲み会優先、対策本部立ち上げず2日間放置しながら「時間との戦い」と大見得(2018年7月8日配信『リテラ』)
西日本を襲った記録的豪雨は、いまなお大きな被害をもたらしている。本日20時現在、全国で78人が死亡、少なくとも60人の安否が不明で、今後、さらに被害は拡大するとみられている。
こうした緊迫した状況がつづくなか、批判が高まっているのが、あまりに遅すぎる安倍首相の対応だ。なんと、安倍首相はきょうの午前8時になってようやく非常災害対策本部を立ち上げ、こう宣言したのだ。
「救命救助、避難は時間との戦い。引き続き全力で救命救助、避難誘導にあたってもらいたい」
ご存じの通り、すでに昨日未明の段階で、今回の記録的豪雨は各地に甚大な被害をもたらしていた。非常災害対策本部を設置する権限を有するのは総理大臣であり、非常災害対策本部は最悪でも昨日朝の段階で設置されるべきだった。
だが、安倍首相は昨日午前10時1分に豪雨にかんする関係閣僚会議を開いただけ。しかも、それも15分で終了し、そのあとは東京・富ヶ谷の私邸に帰り、来客もなく、のんびりと自宅で過ごしていたのだ。
安倍首相が自宅で過ごしていた、まさにそのとき、さまざまな場所で河川が氾濫し、安否不明情報が流れ、孤立して救助を待つ大勢の人びとが確認されていた。それを、きょうになって「救命救助、避難は時間との戦い」と言い出すとは──。
いや、今回の豪雨に対して、安倍首相は初動から、災害を舐め国民の命を軽視しているとしか思えない対応をとってきた。
気象庁は、7月5日14時の段階で「西日本と東日本で記録的な大雨となるおそれ」「非常に激しい雨が断続的に数日間降り続き、記録的な大雨となるおそれ」「この状況は、8日頃にかけて続く見込み」と発表していた。実際、5日夕方に京都では河川の増水などで、14万人に避難指示が出された。
だが、安倍首相は、この日の夜、自民党の中堅・若手議員らが開いている「赤坂自民亭」に参加。この会は、竹下亘総務会長が「亭主」を、“ドリル破壊大臣”こと小渕優子・元経済産業相が「若女将」、吉野正芳復興担当相をはじめとする7期生が「店員」を務めるという“ごっこ遊び”のような内輪の飲み会で、安倍首相が参加したのは9月の総裁選に向けた票固めのための行動であることは疑いようがない。
しかも、この会には、翌日、オウム真理教の死刑囚7人を同時に処刑するという異常な“ショー”の命令を下した上川陽子法相が「女将」として参加しただけでなく、自衛隊派遣の要請を受け指示をおこなう立場にある小野寺五典防衛相まで参加していたのだ。
災害の危機が差し迫るなかで総裁選の選挙運動に勤しむ総理と、課せられた重大な責務に対する真摯な態度もない小野寺防衛相に上川法相……。そして、安倍首相は公邸ではなく、私邸へと戻っていったのである。
この段階から安倍政権の災害に対する危機管理意識はゼロだと言わざるを得ないが、さらに酷かったのが、前述したオウム死刑囚の死刑執行だ。
この6日朝の時点で、九州や四国、中国・関西地方で川の氾濫や土砂崩れなどの被害が伝えられていた。だが、テレビは麻原彰晃死刑囚らの死刑執行が伝えられるや否や、各局ともオウムの話題一色に。報道されるべき災害情報が阻害されてしまったのだ。
死刑を執行すれば報道がこうなることは誰でも予想がつく。安倍首相は3日前にはこの日の死刑大量執行を把握していたとみられているが、災害対応や情報の混乱を考慮して、この日の執行を止めることをしなかったのだ。
十数人もの死者が出ているのに、安倍首相は災害対応せず私邸でのんびり
報道の大半がオウムに時間を割かれるなか、事態はどんどんと深刻化。この6日には、18時10分に福岡県と佐賀県、長崎県に大雨特別警報が出され、気象庁は「これまでに経験したことのないような大雨」「重大な危険が差し迫った異常事態」「土砂崩れや浸水による重大な災害がすでに発生していてもおかしくない状況」と呼びかけた。その後も、同日中に広島県、岡山県、鳥取県、京都府、兵庫県に大雨特別警報が出ている。
そして、気象庁の呼びかけのとおり、6日夜から7日にかけて西日本のさまざまな地域で甚大な被害が報告され、7日14時時点で14人死亡、4人が意識不明、少なくとも50人の安否が不明という状況だった。だが、繰り返すが、このとき安倍首相は、非常災害対策本部を立ち上げることもなく、私邸で過ごしているのだ。
6日の時点で今回の豪雨が「異常事態」なのは明白だったにもかかわらず、きょう8日になるまで「非常災害」であることを認めず、対策本部を設置しなかった安倍首相。ミサイルの危険から身を守るのにも役立たずでしかないJアラートをさんざん発動させて国民の危機感を煽ることにはあれだけ熱心だったのに、実際に死者を含む被害者が広範囲にわたってでていても対策本部さえ設置しないとは、国民の命を軽視しているとしか考えられないだろう。
だいたい、近年の災害の多さを考えても、迅速な対応のための準備が不可欠であることはわかりきった話だ。事実、ちょうど1年前には九州北部豪雨が起こり、2015年には関東・東北豪雨が、さらに2014年には広島市で土砂災害を起こした豪雨が発生している。もはや「数十年に一度の重大な災害」は、いつ起こってもおかしくない状況にある。
なのに、安倍首相にはそうした危機感がまったくない。それは今回の遅すぎる非常災害対策本部の立ち上げだけにかぎらず、災害時の救助活動に対する整備でも言える。
被害拡大のなか、自衛隊を引き連れてのフランス外遊を止めようとしない安倍首相
たとえば、昨日、愛知県岡崎市消防本部に配備されている「レッドサラマンダー」が、人命救助のために岡山県に出動したことが報じられた。このレッドサラマンダーは全地形に対応できる特殊車両で、九州北部豪雨でも活躍。しかし、配備されているのは全国でただ一カ所のみ。ちなみに昨年、弾道ミサイル迎撃のために購入を決めた「イージス・アショア」2基の値段は約2000億円。かたやレッドサラマンダーは1台約1億円だというから、イージス・アショア2基分の予算で全国の市町村にレッドサラマンダーを1台ずつ配備してもお釣りが出るほどだ。
頻発する災害への対応が求められていながら、災害や人命救助のための設備を整えることはせず、攻撃にも使えるイージス・アショアや安全性に問題のあるオスプレイなどの軍備にばかり血税を注ぐ……。安倍首相は「国民の生命と財産を守る」などと威勢のいいことばかり口にするが、一体、何をしているというのだろう。
しかも、現在も安否不明や孤立状態にある人が大勢いるにもかかわらず、安倍首相は11日からのベルギーやフランスへの外遊の予定を変更する様子もない。言っておくが、外遊は国会から逃げるためにセッティングしただけの、急を要するようなものではない。
その上、フランス革命記念日である14日にパリでおこなわれる軍事パレードには、自衛隊の儀仗隊員も参加させる予定だ。「非常災害が発生した」と認めれば、軍事パレードへの参加で自衛隊をアピールしたいのに外遊に行きづらくなる。そのために非常災害対策本部を設置するのを渋ったのではないか、という気さえしてくる。
軍事力の拡大という自分の欲望を満たすことを優先し、国民の危険は二の次、三の次で気にもかけない。今回はあらためて、安倍首相の身勝手さと冷酷さが浮き彫りになったと言えるだろう。