シュワブ所属米兵 ホテル内で観光客女性を強姦 那覇署準強姦容疑で逮捕

 

沖縄県議会;米軍人による女性暴行事件に関する抗議決議・意見書

那覇市議会;米軍人による準強姦容疑事件に関する意見書抗議決議

 

凶悪事件を報じる3月15日付地元2紙

 

論 説

 

 

 

 那覇署は2016年3月13日午前1時14分ごろから同4時5分ごろまでの間に、那覇市内のビジネスホテルで面識のない観光客の40代女性が酒に酔って廊下で熟睡していて抵抗できないことに乗じて自室に連れ込んで強姦したとして、準強姦容疑でキャンプ・シュワブ所属の米海軍1等水兵の容疑者(24)を逮捕。14日、同容疑で那覇地検に送検した。

 

女性は共に沖縄を訪れた知人2人と自室にいたが、途中で飲み物を買いに部屋を出た。戻った際に部屋の中の知人が眠っていたため閉め出された。女性は知人の電話を鳴らすなどしたが、廊下で眠ってしまった。

 

知人が女性の悲鳴を自室で聞き、カステラノス容疑者の部屋のドアをたたくと容疑者と女性が室内にいた。知人が女性から話を聞いている間にカステラノス容疑者はホテルの外に出て、午前5時45分ごろに戻ってきた。逮捕時に微量のアルコールが検出された。

 

 容疑者は12日夕、同僚の米軍人数人と共にホテルに入り、各自部屋を取った。事件前にホテル周辺で酒を飲んでいた。他の兵士は容疑者と別々にホテルに帰っていたという。

 

 米軍が実施する飲酒規制措置(リバティー制度)に違反している可能性もある。

 

容疑者は「ずっとバーにいた。そこ(部屋)にはいなかった」などと話し、容疑を否認している。

 

米軍人、軍属や家族による女性暴行事件の摘発は日本復帰後、2015年末までで129件、147人。

 

 逮捕を受け、翁長雄志知事は14日午前、「人権を蹂躙(じゅうりん)する重大な犯罪だ」と強い不快感を示したうえで、被害者が観光客との情報を踏まえ、翁長知事は「県として観光客の安心安全に努めている。本県の基幹産業である観光産業にも影響を及ぼしかねず、極めて遺憾」と観光面への影響を懸念。「被害者の心情や意向にも十分配慮し、適切に対応したい」と述べ、同日午後、在沖米軍トップのローレンス・D・ニコルソン中将(第3海兵 遠征軍司令官。前職、カリフォルニア州のキャンプ・ペンドルトンに司令部を置く第1海兵師団の司令官。2000年代にはイラクに出兵し、首都バグダッド西方のファルージャに駐留する部隊の指揮に当たった。アフガニスタン駐留経験もある)四軍(陸軍・海軍・空軍・海兵隊)調整官に電話で事件に抗議した。

 

 同日午後に県庁で開かれた記者会見では、県や市町村が米軍人の綱紀粛正や教育の徹底に関して沖縄防衛局などの関係機関への抗議要請で膨大な時間が割かれているとして「これからのもの(抗議要請)に対する基本的な姿勢を考えてもらいたい」と述べ、要請を待たずして政府機関の方から県や市町村に説明することの重要性を指摘した。

 

事件を受け、厳重に抗議する考えを示す翁長雄志知事=14日午前9時半ごろ、県庁

 

また、安慶田(あげだ)光男副知事は、県庁で外務省沖縄事務所の水上正史沖縄担当大使と沖縄防衛局の井上一徳局長に要請文を手渡した。要請で安慶田副知事は「事件後の経過や結果について、なかなか米軍から出てこない。結果を県民に公表し、本当に安心して住めるような沖縄県を」と述べ、在沖米軍全軍に対し、より一層の綱紀粛正や教育の徹底、再発防止に万全を期し、措置の内容を公表するよう強く求めた。

 

 米国務省のカービー報道官は14日の記者会見で、米海軍兵が準強姦(ごうかん)容疑で沖縄県警に逮捕されたことについて「深刻な事件であり、われわれも極めて深刻に受け止めている」と述べ、地元警察当局の調査に徹底的に協力する方針を表明した。

 

 

 米主要メディアは14日、米海軍兵の男が女性に暴行し準強姦容疑で逮捕された事件を一斉に報道。米兵が米軍普天間飛行場の移設先であるキャンプ・シュワブ所属であることなどを報じている。

 

 USAトゥデーは、「論争となっている米軍基地の移設をめぐり繊細な交渉が展開されている沖縄で日曜日、米兵が性的暴行容疑で逮捕された」とし、容疑を否認している米兵が米軍普天間飛行場の移設先であるキャンプ・シュワブ所属だと指摘した。

 

 米紙ワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズは、AP通信の記事を電子版で配信。菅義偉官房長官が米政府に抗議し、翁長雄志知事は「女性の人権を蹂躙する重大な犯罪」と憤りを表明。被害者が観光客だったことから観光産業への影響も懸念したと報じた。

 

 米CNN(電子版)は、1995年の米兵3人による暴行事件や2012年の米兵2人による暴行事件などの例を挙げ、「沖縄に駐留する米兵による性的暴行事件がこれまで緊張を高めてきた」と指摘した。

 

 

名護市辺野古の新基地建設に反対する米軍キャンプ・シュワブゲート前の市民からは14日午前、「許せない」「沖縄の怒りをわかっていないのか」などと、憤りの声が上がった。

 ゲート前では、同日早朝から市民が米兵の事件などに対し抗議。米軍関係とみられる車両がスピードを出して基地内に進入し、ぶつかりそうになったとして市民らが抗議している。

 海上には沖縄防衛局の警戒船があるが、作業船に動きは確認されていない。

 

 シュワブのゲート前で15日、同基地所属の海軍1等水兵による女性暴行事件に抗議をしていた男性が、米軍に身柄を拘束され、刑事特別法違反として名護署に逮捕された。

男性は抗議行動中、車に乗っていた米兵が挑発行為を繰り返したため、車に近寄って抗議した際に、ゲート前の地面に引かれた立ち入り禁止区域境界線を越えたとして拘束された。

 男性と接見した金高望弁護士は「身元もはっきりしており、事案が軽微で逃亡や証拠隠滅の恐れもなく、身体拘束する必要はない。逮捕は極めて不当だ。直ちに釈放するべきだ」と話した。

 県民らは男性が拘束されている名護署前で「仲間を返せ」「警察がやることは間違っている」と抗議した。

 

ゲート前で抗議する市民ら=14日午前10時40分ごろ、名護市辺野古

 

15日、県内の女性団体や基地所在市町村長らから抗議の声が大きく広がった。「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会(高里鈴代、糸数慶子共同代表)は同日、県庁で会見し、被害者への謝罪や全米兵の基地外行動の禁止などを求める抗議声明を発表した。声明は、安倍晋三首相やオバマ米大統領ら、日米各機関に送付。

声明は、「被害者への十分な対処を求め、米軍の撤退を求める要求書」は、那覇市内で米兵による性暴力事件が相次いでいることを挙げ、事件を「兵士個々の犯罪にとどまらず駐留する軍隊による構造的暴力だ」と指摘。2010年、2012年にも那覇市内で女性暴行未遂事件などが発生したことを挙げて(1)被害女性のプライバシーを守り、心身の十分なケアを図る(2)被害者への謝罪と加害米兵の厳正な処罰(3)全米兵の基地外行動の禁止(4)日米地位協定の抜本的改正(5)沖縄の全基地、軍隊の撤退−を求めている。

また、女たちの会は、容疑者がキャンプ・シュワブ所属であることに関し、新基地建設に反対する行動がシュワブ前で続いていることを挙げて「米軍に人権意識が欠如し、抗議行動への認識が皆無であることを表している」と指摘している。

高里共同代表は「米兵が(事件事故防止のための)リバティー制度を逆手に取って那覇市内に宿泊する事例が増え、懸念していた。日米両政府には(規制を逃れて)朝帰りする米兵をどうなくすのか、具体的な対策を求めたい」と述べた。

糸数共同代表は「日米両政府は綱紀粛正と再発防止に力を入れると言うが、いつまで同じことを繰り返すのか。米軍が駐留する限り事件は起きる」と憤った。

 

記者会見する「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の高里鈴代共同代表(左から2人目)。中央は糸数慶子参院議員。

 

基地所在市町村でつくる県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協)は同日、在沖米軍などに抗議し、在沖米軍基地の負担軽減や普天間基地の5年以内(2019年2月まで)の運用停止なども要請した。

 

軍転協副会長の桑江朝千夫沖縄市長は要請後、記者団に対し「基地を抱える沖縄県で絶対あってはならないことだ。(住民は)不安は隠し切れない」と強い憤りを示した。米軍による事件・事故が繰り返されていることについて「絶対に許されるものではない。こういったことが再び起こると県民の心のマグマに触れることになる」と述べ、沖縄側の怒りのうっ積に目を向けるよう促した。

この日は基地負担軽減の要請行動が当初から予定されていたが、事件を受けて抗議を急きょ盛り込み、「綱紀粛正の取り組みなどこれまでの努力や過去の教訓が十分に生かされておらず、激しい怒りを禁じ得ず強く抗議する」との文書を提出。事件が発生した那覇市の城間幹子市長のほか、構成自治体の首長らも同行した。城間市長は「那覇市は観光客も多く、みんなショックを受けている」と伝えた。

 

ジョエル・エレンライク総領事は「大変遺憾に思っている」などと返答。ブレイディー・クロシェー在日米軍沖縄調整事務所長(大佐)は「捜査には全面的に協力する。今後教育プログラムを徹底する」と話した。

 

抗議後、記者団に答える桑江朝千夫沖縄市長(前列中央)、城間幹子那覇市長(同左)ら=15日午前11時すぎ、北中城村のキャンプ瑞慶覧前。

 

那覇市議会の議会運営委員会(渡久地政作委員長〈自民〉)は15日、米軍人の綱紀粛正や容疑者への厳正な対応・被害者への完全な補償などを求める抗議決議と意見書を17日の2月定例会最終本会議に提案。全会一致で可決。抗議決議文は駐日米国大使、在日米軍司令官などへ。意見書は首相、外相、防衛相などへそれぞれ送付した。

意見書抗議決議は「安全・安心であるべきホテルで発生した今回の卑劣な事件は女性の人権を蹂躙(じゅうりん)し、平穏な観光旅行を脅かすもので県民や観光客、関連業界に大きな衝撃と不安を与えている」などと指摘している。

 

県議会も22日の臨時本会議を開き、沖縄県議会;米軍人による女性暴行事件に関する抗議決議・意見書を採択した。9市町村議会でも、両案提出を決定・予定しており、決議を可決したり提出を検討したりしているのは合計10市町村議会に上り、事件への怒りの声が各議会で上がり始めている。

 

新基地建設に反対する市民ら約180人は、16日も早朝から米軍キャンプ・シュワブゲート前で基地を出入りする米軍車両に「女性たちが泣いて、県民がなめられて、黙っていられるか」と声を上げたり、ゲート前や国道上で座り込んだりして抗議行動を続けた。

 

市民らが「米兵の犯罪許さないぞ」という声を上げる中、基地内に入る米軍車両

国道上に寝て抗議の意思を示す市民ら=16日午前、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前

 

共産党県委(赤嶺政賢委員長)は16日午前、那覇市の外務省沖縄事務所に水上正史沖縄担当大使を訪ね、米兵犯罪を根絶するための具体的な対策や基地外での飲酒禁止措置を講じるよう申し入れた。水上大使は「そうした声を踏まえて、具体的な方策を検討するよう米側に伝えたい」と答えた。

 申し入れたメンバーは「日米両政府が沖縄に基地を置いている。現地の責任者として、県民に対して謝罪すべきではないか」と求めた。水上大使は「こうした形で沖縄県に対して迷惑を掛けていることについては謝罪申し上げる」とした上で「私の仕事はアメリカ政府に対しての日本政府代表であって、沖縄に対しての政府代表ではない」と、政府を代表して謝罪する立場にはないと強調した。

 

水上正史沖縄担当大使(右端)に申し入れ書を手渡す共産党県委メンバー=16日午前、那覇市の外務省沖縄事務所

 

在沖米軍トップのローレンス・ニコルソン四軍調整官(第3海兵遠征軍司令官)、ジョエル・エレンライク在沖米総領事が16日午後、県庁で翁長雄志知事と面談した。翁長知事は「過去の不幸な事件を想起させる事件であり、激しい怒りを禁じ得ず、強く抗議する」と述べ、事件の再発防止や隊員教育の徹底などを求めた。ニコルソン氏は「事件はわれわれにとっても恥だ。知事、県民以上に私も怒りを感じている」と謝罪した。

ニコルソン氏は面談で「沖縄にいる米軍人、家族、軍属の合計5万人を代表してここに来ている。われわれは県民の隣人、友人、コミュニティーの一部だ」などと述べた。

翁長知事は「戦後70年間、同じような事件、事故があり、何十回、何百回と抗議してきたが、一向に良くならない。良き隣人という言葉も実行された試しがない」と応じた。その上で「こういう形でお会いすることがないよう、要請内容をしっかりやってほしい」と述べ、会談を終えた。

 

 

 

埼玉県所沢市の「武州民族音楽教室ゆいの会」が3月20日、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前を訪れ、獅子舞を披露した。獅子頭が「辺野古に基地を造らせないぞ!」と書かれた縦幕をくわえ、反基地を訴えた。

 ゆいの会は1921日の日程で来県し、幕末の日米外交の影で犠牲となった女性を人形浄瑠璃で描く「唐人おきち」を公演した。

 

 

沖縄平和運動センターや平和市民連絡会、県統一連、ヘリ基地反対協議会など、平和・市民団体などでつくる「基地の県内移設に反対する県民会議」は2016年3月21日午後2時から、米兵による女性暴行事件に抗議する「緊急県民抗議集会」を名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で開き、約2500人が集まった。

主催者の基地の県内移設に反対する県民会議共同代表で県統一連の中村司代表幹事が、「命と人権は宝です。その宝を踏みにじることは絶対に許せない」とあいさつ。

稲嶺進名護市長、女性代表で高里鈴代氏、ヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表、政党から照屋寛徳(社民)、赤嶺政賢(共産)、玉城デニー(生活)の3衆院議員と糸数慶子参院議員(無所属)、県議会会派として県民ネットの奥平一夫県議が意見を述べた。

高里さんは「これまでの日米の対応は暴力の解決になっておらず、事件が繰り返され被害者が沈黙し続ける環境は終わりにしなければならない」と訴えた。

また、稲嶺市長は、「キャンプシュワブ所属の兵士が起こした事件・事故は限りがなく、被害にあうのはいつも弱い人たちだ。『良き隣人』であるのなら、こんなことが起こるはずはなく、もう我慢ならない」と厳しく批判した。

赤嶺氏は、「県民の人権・平和と米軍基地は絶対に両立できないという声を上げ続けよう」と決意を表明。イハ洋一・参院沖縄選挙区予定候補(無所属)は「新たな基地は造らせず、普天間基地を閉鎖させることが県民の決意です。なんとしても参院選で勝利したい」と力を込めた。

集会では最後に、「再発防止策や綱紀粛正などの実効性のない対策ではもはや事件は防げない」として、被害女性に対する人権保護と日米地位協定の改定やアメリカ軍の撤退などを求める集会決議文を拍手で採択した。

 

 

 

日本共産党の紙智子参院議員は3月22日の沖縄北方特別委員会で、沖縄県議会での抗議決議も示しながら、踏み込んだ対策を求めた。

 紙氏は、米兵による女性暴行事件は、これまでも幾度となく繰り返されており、人権と尊厳を踏みにじる卑劣な犯罪であり、許されることではないと強調した。

 島尻安伊子沖縄北方担当相は「極めて遺憾だ。あってはならないことだ。二度と起こらないよう再発防止に努める」と答弁。紙氏は「基地がある限り事件は繰り返される。二度と事件を繰り返さないためには基地を撤去するしかない」と厳しく迫った。

 

 

沖縄県議会米軍基地関係特別委員会(軍特委)は3月25日、那覇市内で起きた米軍人による女性暴行事件に対して抗議するため、県議会を代表して在日米軍沖縄調整事務所と在沖米国総領事館を訪れ、抗議決議を手渡した。

 県議会は当初、容疑者が所属する米軍キャンプ・シュワブ司令官に面談を申し入れてたが、米軍側が拒否。在日米軍沖縄調整事務所では、在沖米軍トップの四軍調整官に代わってデイビッド・インガブレットソン副所長が応対しまた。

 新垣清涼軍特委委員長は「県民を代表する県議会に会わないのは、県民の思い、意思を軽視している。許されない行為だ」と批判。再発防止に向け、米兵の夜間外出禁止などの勤務時間外行動指針(リバティー制度)が機能していないと指摘し、きちんと守られているか確認するよう求めた。

 米側は、ワーキングチームを設置し、4月に会議を開くとこたえましたが、事件を受けての新しい規制措置などの具体策についての説明はなかった。

 

 軍特委のメンバーは、沖縄防衛局、外務省沖縄事務所にも出向き、意見書を手渡し、抗議した。

 「再発防止に何ができるか米側と協議したい」と繰り返す沖縄防衛局の井上一徳局長に対し、カヨウ宗儀委員(日本共産党)は「基地提供のあり方も含めて、なぜ事件が繰り返されるのか根本的に分析しなければこの事態は変わらない」と抗議した。

 

 那覇地検は4月1日、米軍キャンプ・シュワブ所属の米兵、ジャスティン・カステラノス容疑者(24)を準強姦(ごうかん)罪で起訴した。

 

 

[悲しみの現場]花手向ける人絶えず(2016年12月31日配信『沖縄タイムス』−「社説」)

 

 「お父さんだよ、お父さんのところに帰るよ。みんなと一緒についてきてよ」

 沖縄の風習にならい「魂(マブイ)」を拾いにきた被害者の父親が、雑木林に向かって呼ぶ声が今も耳に残る。

 20歳の女性の命が奪われた暴行殺害事件。容疑者は元米海兵隊員で軍属の男だった。

 本紙社説は遺体が発見された翌日の5月20日から5日続けてこの問題を取り上げている。やりきれない悲しみと強い憤り、悔恨の思いにかられたからである。

 恩納村の山あいの遺体遺棄現場は、年の瀬のこの時期も訪れる人が絶えず、真新しい花が手向けられていた。事件から7カ月がたっても、怒りは収まらず、悲しみが澱(おり)のように沈んでいる。

 本紙の2016年県内十大ニュースの1位は事件を受けて6月に開かれた県民大会。被害者と同年代の玉城愛さんは「再発防止や綱紀粛正などという使い古された幼稚で安易な提案は意味を持たない。人間の命を奪う軍隊の本質から目をそらす貧相なものだ」と強い口調で両政府を非難した。

 当時、政府サイドから伝わってきたのは「最悪のタイミング」という言葉である。オバマ大統領の広島訪問を控えていたからだ。

 沖縄の負担軽減を掲げた日米特別行動委員会(SACO)の最終報告から20年。基地の整理縮小が遅々として進まない中での事件に、県民の心の奥底で大きな変化が起きている。

 米軍の事件・事故や演習被害に対する受忍度が、どんどん低くなっているのである。

■    ■

 ハワイでの日米首脳会談に間に合わせるように、両政府は今月、地位協定の軍属の範囲を狭める「補足協定」を結ぶことで合意した。米軍属の男が起訴された事件を受けた再発防止策の一環だ。

 米側が優先的裁判権を持つ軍属の範囲を縮小することで、管理を強化する狙いがある。しかし軍属の範囲をいくらか狭めたとしても、基地が集中する沖縄での抑止効果は限定的といわざるを得ない。

 米軍基地は地位協定によって米軍の排他的管理権が認められている。基地の外でも、米軍は各種の特例法に基づきさまざまな特権が与えられている。

 オスプレイが墜落した事故でも米軍は海上保安庁を現場に入れず、日本の捜査機関は蚊帳の外に置かれた。

 県民が求めているのは、その地位協定の抜本的改定である。

■    ■

 被害者の父親は先月公表した手記で「なぜ娘なのか、なぜ殺されなければならなかったのか。娘の無念を思うと気持ちの整理がつきません」とつづっている。

 政府によって「命の重さの平等」が保障されていないとすれば、私たちは、私たち自身の命や暮らし、人権を守るために立ち上がり、抗(あらが)う覚悟を示さなければならない。

 深い悲しみと怒りに覆われた1年だったが、後々振り返った時、基地負担軽減に向けて大きな一歩を踏み出した年として記憶されることを願っている。

 

「ワーストはネクストのマザー」(2016年12月30日配信『沖縄タイムス』−「大弦小弦」)

 

 「ワーストはネクストのマザー」。多くの人を魅了した元プロ野球選手、長嶋茂雄さんの数ある“迷言”の一つにある。人の一生ではつらい試練が幾度となく訪れるが、そこに耐えた経験が次の飛躍を生む。そんな意味だろう

▼1年を振り返ると、沖縄は米軍基地の過重な負担を痛感させられることが相次いで起こった。25日付紙面の県内十大ニュースで、トップを含む4件が基地絡みのニュースであった

▼無辜(むこ)の20歳の女性が殺害され、5月に元米海兵隊員で軍属の男が逮捕された。東村高江では政府が7月、ヘリパッド建設工事に着手した。全国から投入した機動隊員が抗議する人たちを排除し、「土人」との暴言も浴びせて、沖縄の心の傷をえぐった

▼12月、恐れていたオスプレイの墜落事故が、ついに起きてしまった。わずか6日後に米軍は飛行を再開し、政府も追認した。辺野古の埋め立て承認の取り消しに関する最高裁判決で、県が敗訴し、政府は早速、工事を始めた

▼全国の基地の7割が沖縄に集中し、安全保障のために、県民の暮らしが脅かされる。日米が一体となってこれでもかと、沖縄を追い込んでいるように見えてならない

▼事態を打開する何かがあるかは分からない。だが、雌伏のときに耐えた先に見えてくる「ネクスト」があると思えば、少しだけ気が軽くなる

 

名護市辺野古の米軍キャンプ(2016年3月1日配信『沖縄タイムス』−「大弦小弦」)

 

 名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で21日に開かれた米海軍兵暴行事件に対する緊急抗議集会。多くの参加者の間に、カメラを持った高校生たちがいた

▼「今、起こっている問題を撮りたい」と集会に足を運んだという。不自由な目で最前列に座り熱心に聞き入る人、気持ちが高ぶった様子の高齢男性、撮影させてほしいと頼んでも断る人−日ごろは見かけない人々の様子に出合い、戸惑った

▼許し難い犯罪が、身近で繰り返され、それが放置されていることに対する怒りと悲しみ。どうにかしたい、とやむにやまれず集まった思いや緊張感が伝わったのだろう

▼那覇に住むある生徒は、これまで気付かなかった基地の近くに住むことの負担や怖さを思った。「現場に来ないと分からないことがある」と話した

▼別の生徒は、高齢女性に「学生さん、真実を撮って。ありのままを残してちょうだい」と頼まれたという。高校生たちはぜひ、その声に応えて、受け取ったものを多くの人の目に触れさせ、自分の言葉で語ってほしいと思う。特に同世代に伝えてほしい

▼選挙年齢が18歳に引き下げられて最初の選挙が今夏ある。初めて投票に行く人も未来をつくる決断をしなければならない。そのためにも目を見開いて現状を見て聞いて語り、考えてほしいと切に思う。

 

[米兵暴行事件]防止策の結果公表せよ(2016年3月22日配信『沖縄タイムス』−「社説」)

 

 名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ前の沿道を怒りの声が埋め尽くした。

 那覇市内のビジネスホテルで起きた米海軍兵による女性暴行事件で、「米海軍兵による性暴力を許さない緊急抗議集会」(主催・基地の県内移設を許さない県民会議)が21日、容疑者が所属するキャンプ・シュワブゲート前で開かれ、2500人(主催者発表)が集結した。

 「これまで何度も繰り返される米兵による凶悪事件に県民の怒りは頂点に達している」と米兵の蛮行を糾弾。「すべてが基地がある故に起こる事件・事故であり、抜本的対策は米兵の沖縄から撤退と基地の撤去以外にない」などとする決議を採択した。

 事件後、米側は在沖米軍トップのニコルソン四軍調整官とエレンライク在沖米総領事が16日に翁長雄志知事に直接、謝罪した。日本側も14日、水上正史外務省沖縄担当大使、井上一徳沖縄防衛局長が謝罪した。

 沖縄における日米の外務、防衛トップがそれぞれそろって県庁を訪れ、謝罪するのは異例のことだが、早期の幕引きを図りたい政治的思惑が見える。辺野古新基地建設をめぐり、福岡高裁那覇支部が提示した和解合意の柱の一つである「政府・沖縄県協議会」が23日に迫っているからだ。

 ニコルソン氏も「知事や県民の感じている怒り以上に私も怒りを感じている」と話した。本来であれば、人権を蹂(じゅう)躙(りん)された被害女性に真っ先に謝罪すべきだが、最後までその言葉は出てこなかった。

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 復帰後、米兵による女性暴行事件は、昨年末までに129件、147人に上る。「沈黙している」女性のことを考えると、実際はこの数字を超えるのは間違いない。

 米兵による事件・事故が起きるたびに、米軍は謝罪↓綱紀粛正・再発防止↓緩和↓事件・事故再発−のパターンを繰り返している。

 米軍は2012年、沖縄本島中部で2人の海軍兵による女性暴行事件を受け、勤務時間外の行動の指針を示す「リバティー制度」を導入した。外出時間やアルコール規制を決めたものだ。

 14年に規制が緩和され、その後の1年に飲酒運転で逮捕される米兵らが約4割増加したのにもかかわらず、米軍は何の手も打たず、政府も放置した。怠慢というほかない。

 再発防止策がどう運用され、どのような結果が出ているのか。政府は米軍に定期的に具体的な数字を報告させ、それを県民に公表すべきだ。

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 軍隊の本質は暴力を積極的に肯定していることにある。性暴力は軍隊に内在する構造的暴力の表出であり、女性の人権と両立しないのである。

 1995年の米兵による暴行事件以来、「基地問題は人権問題である」と運動を主導してきた女性たちの間からは「もはや基地の全面撤去しかない」「米兵が基地の外に出るのを禁止すべきだ」などと怒りの声が上がる。

 米軍にさまざまな特権を与えている日米地位協定を改定し、沖縄の過重な基地負担を軽減しない限り、米兵による性暴力事件はなくならない。

 

米兵事件抗議集会 これ以上人権蹂躙許さない(2016年3月22日配信『琉球新報』−「社説」)

 

 名護市辺野古のキャンプ・シュワブ前で開かれた米兵による女性暴行事件に抗議する「緊急県民抗議集会」には、主催者発表で2500人が集まった。目標の千人を大きく上回る人々が駆け付けた。事件に対する県民の怒りが大きいことを示すものだ。日米両政府は深刻に受け止めるべきだ。

 沖縄の施政権が日本に返還された1972年以降、米軍関係者による刑法犯摘発は2015年末時点で5896件、5815人に上る。このうち女性暴行事件はことし最初に摘発された今回の事件を含めると130件、148人となる。これらの数字は沖縄に過重な基地が集中していることによって、住民の人権が蹂躙(じゅうりん)されてきた傷痕といえる。

 集会場所のシュワブ前の歩道は次々と駆け付ける人々でぎっしりと埋め尽くされた。そして女性の姿が多く見受けられた。乳児を胸に抱えた若い母親は真剣な表情で登壇者の話に耳を傾け、子どもたちを連れて来た母親のグループは「だれの子どももころさせない」と書かれた横断幕を基地に向けて掲げていた。参加者一人一人が事件をひとごとではなく、わが事として受け止めているのだ。

 性的暴行という犯罪は相手の気持ちを踏みにじり一方的な力でねじ伏せて陵辱する非道行為だ。事件だけではない。相手の気持ちを踏みにじり、一方的な力でねじ伏せる行為が県内でほかにも起きている。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設計画だ。

 名護市長、県知事、沖縄4選挙区で当選した衆院議員の全員が移設反対を掲げ、県内世論調査でも県内移設反対が7〜8割を占める中、政府は沖縄の民意を踏みにじって建設を強行してきた。

 2011年、当時の沖縄防衛局長は辺野古移設の環境影響評価書の提出時期を明言しない理由について「犯す前にこれから犯しますよと言いますか」と発言した。政府の本音だろう。新基地建設こそ県民に対する陵辱ではないか。

 集会では「すべての米軍は沖縄から撤退すること」を求める決議が採択された。新基地だけでなく全基地撤去も求めた。最後に参加者全員で「沖縄を返せ」を合唱した。その歌声は「基地のない平和な沖縄を返せ」との願いだ。これ以上、軍事基地による人権蹂躙を繰り返すことは決して許されない。

 

 

[米兵暴行事件]人権蹂躙 許せぬ犯罪だ(2016年3月16日配信『沖縄タイムス』−「社説」)

 

 米兵による卑劣な事件がまた起きた。

 那覇市内のホテルで、県外から観光に訪れていた成人女性に暴行したとして、米軍キャンプ・シュワブ所属の海軍1等水兵の男(24)が13日、準強姦(ごうかん)の容疑で逮捕された。

 警察の調べによると、容疑者の米兵は、被害女性と同じホテルにチェックインしていた。市内のバーなどで飲酒した後、ホテルで女性を襲ったという。

 「綱紀粛正」「再発防止」。事件のたびに繰り返される掛け声は、また空回りした。

 本島中北部の基地に所属する米兵による酒がらみの事件が、那覇市内で頻発している。昨年は、5月から6月にかけての8日間で7人の米兵が強盗致傷や酒気帯び運転容疑などで逮捕されるなど「異常事態」となった。

 飲酒運転を防ぐために、酒を飲んだ後のホテルや運転代行利用が奨励され、事件は収まったかのように見えたが、それが別の犯罪を誘発したとすればとんでもないことだ。

 米兵らが、中北部から那覇に足を運ぶのも、憲兵や上官らがパトロールする基地周辺市町村を避けてのことで、「監視の目が緩い」といった意識からだという。規律教育が徹底されていないことを物語っている。

 米軍は2014年12月、軍構成員の勤務時間外行動指針(リバティー制度)を大幅に緩和した。兵士らの意識が改善されたというのがその理由だが、県警によると、緩和後に飲酒運転の摘発件数は4割増えている。繰り返される事件・事故をみると県民の怒りが伝わっているとはとても考えられない。

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 今回の事件では、安心・安全な場であるべきホテルで、沖縄を旅先に訪れた観光客が性暴力の被害に遭った。女性の尊厳を踏みにじる蛮行であり、強い憤りを覚える。

 同時に、事件によって沖縄観光のイメージダウンにつながらないか懸念も募る。

 「米軍基地の集中する沖縄は危険だ」。こうした風評が広がり、基幹産業である観光が打撃を受けた経験が過去にある。01年の米同時多発テロ後、修学旅行を中心に団体旅行のキャンセルが相次ぎ、沖縄観光は基地あるが故のリスクに揺れた。

 米軍基地の存在は、観光立県・沖縄にとって明らかな阻害要因だ。当時、風評被害に苦しみ、大変な努力の末に現在の好調な状況まで盛り返した県内の観光関係者の共通する認識である。

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 翁長雄志知事は「女性の人権を蹂躙(じゅうりん)する重大な犯罪」と厳しく批判し、県と基地所在26市町村でつくる県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協)も米軍に抗議した。那覇市議会が抗議決議を予定し、県議会や名護市議会などでも動きがある。「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」は「駐留軍全体の構造的な問題」と軍隊の占領意識と性暴力の関連を指摘し、憤りを示した。

 沖縄の敏感な反応は、基地問題は人権問題との認識に基づくものだ。国も同じ認識に立ち、米軍に実効性ある再発防止策を強く求めてもらいたい。

 

米兵女性暴行 兵員削減しかない 許し難い蛮行繰り返すな(2016年3月15日配信『琉球新報』−「社説」)

 

 沖縄の米軍基地の存在は人権侵害と直結していることがあらためて照らし出された。この地に住み、あるいは観光に訪れる女性の尊厳を踏みにじる許し難い蛮行である。

 後を絶たない在沖米兵による女性暴行に強い憤りを表明する。

 日米安保の名の下に二万数千人の兵士が沖縄に駐留し続ける限り、自身を制御できずに弱い立場の女性を襲う兵士が紛れ込むのだ。

 在沖米兵による性被害はもはや統計学的に防げない。

 大規模な在沖基地縮小、米兵の大幅な削減以外には女性の人権を守る術(すべ)はないのではないか。

「綱紀粛正」は空証文

 那覇署は、女性が寝ている間に性的暴行を加えたとして、準強姦(ごうかん)の容疑でキャンプ・シュワブ基地所属の米海軍1等兵を逮捕した。

 全く面識のない被害者がホテルの廊下で寝込んでいたところ、酒に酔った容疑者が自室に連れ込んで卑劣な犯行に及んだとみられる。安全が約束されたはずの宿泊施設でも安心して休めない。観光で訪れた沖縄の地で見ず知らずの米兵に襲われた被害者の心中は察するに余りある。

 観光客が被害に遭った今回の事件は好調が続く沖縄観光に影を落としかねない。県内経済界のリーダーは一斉に事件を強く非難した上で、沖縄が危険な観光地と見なされることを危惧している。

 私たちはこれまでも、米軍基地の存在は沖縄の経済振興の最大の阻害要因と主張してきた。観光への風評被害さえ懸念される今回の事件は、それを間接的に証明していよう。

 凶行の再発を防げなかった日米両政府の責任は大きい。事件のたびに繰り返されてきた「綱紀粛正」と「再発防止」はもはや空証文に等しいのではないか。在沖米兵は沖縄社会にとって異物であり、「招かれざる客」であることを自ら証明したと言えるだろう。

 2014年12月、在日米軍は沖縄の4軍の軍人・軍属の飲酒に関する制限を大幅に緩和した。午前0時から5時までを除き飲酒場所や量の制限がなくなった。その後、米兵が容疑者となる飲酒運転事件などが頻発し、われわれは綱紀の緩みを再三指摘してきた。

 今回の事件を起こした容疑者と同僚の兵士数人は本来であれば、飲酒が禁じられた時間帯に酒に酔ってホテルに宿泊していた。禁止時間帯に基地外で酒を飲み、組織の監視の目を逃れていたのだ。在沖米軍のたがの緩みは明らかだ。

「人権侵害」を証明

 昨年9月、国連人権理事会で演説した翁長雄志知事は米軍基地の過重負担をめぐり、こう訴えた。「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされている」

 これに対し、菅義偉官房長官は「人権や基本的自由の保護などを主な任務とする人権理事会で、沖縄の米軍基地問題が扱われたことに強い違和感がある」と述べ、知事演説を場違いと批判した。

 あれから半年もたたない中、最たる人権侵害である女性暴行事件を沖縄の米兵が起こした。国際社会に基地の島・OKINAWAの現実を発信した知事の国連演説の内容は、沖縄戦後史が証明する紛れもない真実である。

 それを菅氏はどう考えるのか。米側に遺憾の意を示すだけでなく、人権侵害を絶つ抜本的対応策を示すことが基地負担軽減相を兼務する菅氏の第一の役割だろう。

 それは米軍普天間飛行場の移設を伴う名護市辺野古への新基地建設をやめることと同義だ。

 今回の事件で沸き起こった県民の怒りは、安倍政権が沖縄の民意を組み敷き、知事の権限を剥奪する法的手段を取ってまで強行する辺野古新基地問題への憤りと重なる。県民は強権的な新基地建設で負ったかさぶたを鋭利な刃物で剥がされるような痛みを感じている。

 日米両政府の対応には新基地建設の障害となる米兵事件への反発を早く収拾したいという底意が透けて見える。それでは沖縄の不条理を改めることはできまい。

 

これだけたくさんの人が集まる抗議集会が、整然と(2016年3月15日配信『沖縄タイムス』−「大弦小弦」)

 

 「これだけたくさんの人が集まる抗議集会が、整然と開かれていることに驚いた。本国ではこうはいかない」

▼1995年の米兵による暴行事件直後の県民集会を取材していた英国の記者に逆取材をかけたら、こんな言葉が返ってきた。その後も続く非暴力の抗議では沖縄の怒りが米軍に通用しないのか、そんな思いに駆られる事件がまた起きた

▼那覇市内のホテルで、県外から観光に来ていた40代の女性に暴行したとしてキャンプ・シュワブ所属の米海軍1等水兵の男(24)が一昨日、準強姦(ごうかん)の疑いで逮捕された。那覇署によると男は容疑を否認している

▼容疑が事実だとすれば、安全が確保されているはずのホテル内で事件は起きた。米軍基地とは縁遠い県外から来た観光客にも被害が及んでしまった。「平和産業」である沖縄観光をも揺るがしかねない事態である

▼米軍基地あるゆえに沖縄観光が減速した例が過去にある。15年半前の米同時多発テロでは約25万人が沖縄観光をキャンセル。当時の本紙アンケートでは観光関連企業の88%が売り上げを減らすと回答していた

▼観光立県であることは、経済も米軍基地の影響を免れないし、被害者は県をまたぎ広がることを意味する。事件で、基地問題は沖縄だけの問題ではないと県外の人が気付くとしたら、これほど気の重い話はない。

 

 

 

 

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