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財務省;森友文書書き換え(改ざん)ツイート集

 

森友問題、1000人が抗議活動 国税庁前で長官罷免求める

 

2018年3月5日に近畿財務局が提示した決裁文書と2017年3月2日に国会議員に配布された決裁文書

 

朝日新聞の森友文書報道

  

朝日新聞は2018年3月2日朝刊で、学校法人「森友学園」との国有地取引の際に財務省が作成した決裁文書について、契約当時の文書と、2017年2月に問題が発覚した後に国会議員らに開示した文書の内容に違いがあると指摘。「複数の関係者によると、問題発覚後に書き換えられた疑いがあるという」と報じた。

それによると決裁文書の起案日、決裁完了日、決裁印、番号はコピーと同じだが、文書の内容について「違いがある」とし、森友学園をめぐる問題発覚後に文書内容が改ざんされた可能性を伝えた。

財務省はこれまでの国会答弁で、森友学園との事前の価格交渉を否定する答弁を繰り返していた。

 さらに同紙3日朝刊は、財務省近畿財務局が2015年に作成した貸し付け契約の際の決裁文書のうち、学園側との交渉経緯をまとめた「調書」で、契約当時にあった「特例的な内容となる」などの文言が、国会議員に開示された文書ではなくなっていた。また、学園側の「要請」と書かれた複数の箇所が「申し出」に変わっていた。

 2016年の売買契約の際の決裁文書に関しては、契約当時の調書に「学園の提案に応じて鑑定評価を行い」「価格提示を行う」という文言があったが、開示された文書にはなかった。貸し付けに至る経緯を説明した項目もなくなっていたと報じた。

 

2018年3月6日配信『ハイホンポスト』

 

2018年3月12日配信『読売新聞』)

 

(2018年3月12日配信『産経新聞』)

 

2018年3月12日配信『東京新聞』

 

 

 

公文書管理法は、公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るもの」と位置づけている。

 

公文書管理法第1条(目的)

 この法律は、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。

                

 

2018年3月6日配信『朝日新聞』)

 

(2018年3月7日配信『朝日新聞』」)

 

(2018年3月7日配信『毎日新聞』)

 

(2018年3月8日配信『毎日新聞』−「夕刊」)「本件の特殊性に鑑み」などと記された財務省の決裁文書

 

(2018年3月9日配信『朝日新聞』)

 

(2018年3月9日配信『朝日新聞』)

 

(2018年3月10日配信『読売新聞』)

 

(2018年3月11日配信『毎日新聞』)

 

2018年3月11日配信『東京新聞』

 

2018年4月12日配信『朝日新聞』

 

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2018年4月13日配信『東京新聞』

 

安倍内閣支持率 4月世論調査

 

内閣支持率26.7% “発足以来”最低に NNN調査

 

安倍内閣支持、低迷31% 不支持52% 朝日世論調査

 

 

森友問題 価格交渉を示唆する新たな文書(2018年5月7日配信『ABCテレビ』)

 

森友文書 新たに公開「金額のせめぎ合い」

森友学園の小学校建設をめぐる文書が公開され、学園と国側との間で土地の価格交渉を示唆する内容が、また新たに見つかりました。

大阪府はきょう、森友学園に関する161枚の文書を新たに公開しました。公開された文書の中には、森友学園が開いた理事会の議事録があり、国有地が売却される1週間前、籠池前理事長が「賃借料を支払うより、分割で買う方が安く、得策」「長い間、国と土地代引き下げの交渉を行ってきた結果が出てよかった」と発言していたことがわかりました。また、別の日には賃借料について「国と学園との金額のせめぎあいをしている最中」という記述もあり、学園と国側が事前に国有地の価格交渉をしていることがうかがえます。価格交渉をめぐっては、国会で学園側と近畿財務局が土地の売買価格について、やりとりする音声が公開されていますが、国は否定しています。

 

迫田元理財局長を任意聴取 国有地売却巡り大阪地検(2018年5月3日配信『朝日新聞』)

 

 学校法人・森友学園(大阪市)への国有地売却問題で、大阪地検特捜部が、売却交渉時の財務省理財局長だった迫田英典・元国税庁長官(58)から任意で事情聴取していたことが関係者への取材でわかった。地下のごみ撤去費などとして8億円超が値引きされた経緯などについて、説明を求めたとみられる。

 大阪府豊中市の国有地は2016年6月、小学校開設を目指す学園に対し、1億3400万円で売却された。9億5600万円の鑑定価格から、ごみの撤去費8億1900万円などが値引かれていた。

 この取引をめぐり、特捜部は迫田氏らが不当な値引きで国に損害を与えたとする背任容疑での告発を受理し、関係職員らへの聴取を進めていた。

 迫田氏は15年7月〜16年6月、国有財産の管理・処分を担当する理財局で局長を務めた。17年3月、国会で「理財局長当時、私は本件について報告を受けたことはございません」と答弁。「政治的な配慮をするべくもなかった」とも述べていた。

 

森友 迫田元長官を任意聴取 売却巡り、大阪地検特捜部(2018年5月3日配信『毎日新聞』)

 

 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却を巡る問題で、大阪地検特捜部は、売却交渉時に財務省理財局長だった迫田英典・元国税庁長官から任意で事情聴取した。迫田氏には、土地の鑑定額から不当に約8億円を値引きして売却したとする背任容疑などで告発状が出されており、特捜部は詳しい売却の経緯を確認した模様だ。

 迫田氏は昨年3月、国会に参考人招致され、売却経緯について「理財局長まで相談される案件は極めて限定的で、報告は受けていない」「私に政治家や秘書から問い合わせは一切なく、政治的な配慮をするべくもなかった」などと証言。特捜部にも同様の説明をしたとみられる。

 学園は売却交渉で、小学校建設予定地のごみ処理による開校の遅れを理由に、国へ損害賠償を求める意向を伝えており、契約では学園が国に賠償請求できない特約が盛り込まれた。特捜部は値引きの背景に、ごみ処理を巡るトラブルや賠償請求を避ける意味合いが一定程度あったとみている。背任罪の成立には「自己または第三者の利益を図る目的」があったとの立証が必要で、特捜部は迫田氏らの立件は難しいと判断している模様だ。

 迫田氏は2015年7月〜16年6月、理財局長を務めた。今年4月、毎日新聞の取材に応じ、売却問題について「昨年2月の報道で初めて知った」と強調。ごみ撤去費や売却額の算定については「当時報告を受けた記憶はなく、適切だったかは判断できない」と話した。

 

森友問題で迫田元国税庁長官から任意聴取 大阪地検特捜部(2018年5月2日配信『NHKニュース』)

 

森友学園をめぐる問題で、国有地の売却交渉が行われていた当時、財務省の理財局長を務めていた迫田英典元国税庁長官が、大阪地検特捜部から任意で事情を聴かれていたことが、関係者への取材でわかりました。特捜部は、国有地が大幅に値引きされて学園側に売却された経緯などについて詳しい説明を求めたものと見られます。

おととし6月、大阪・豊中市の国有地が、ごみの撤去費用などとして、鑑定価格よりおよそ8億2000万円値引きされて森友学園に売却された問題をめぐっては、大阪地検特捜部が背任容疑での告発を受理し捜査を進めています。

特捜部は、これまで財務省や近畿財務局の担当者などから事情を聴くなどして捜査を進めてきましたが、新たに学園側との売却交渉当時、財務省の理財局長だった迫田元国税庁長官から任意で事情を聴いたことが、関係者への取材でわかりました。

この問題をめぐっては、近畿財務局の担当者が学園側が支払える予算の上限をあらかじめ聞き出していたことや、ごみの撤去費用を算定した大阪航空局に撤去費用を増やすよう求めていたことなどが次々に明らかになっています。

 迫田氏は去年3月の国会で、「この件について報告を受けたことはなく、政治的な配慮などは一切無かった」などと述べていますが、特捜部は国有地売却の詳しい経緯などについて迫田氏から改めて説明を求めたものと見られます。

 一方、特捜部は財務省の決裁文書の改ざん問題についても、迫田氏の後任の理財局長だった佐川氏などから事情を聴き、実態解明を進めています。

 

佐川宣寿氏、改ざん関与認める 刑事処分を検討へ(2018年4月23日配信『共同通信』)

 

 学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書改ざんで、財務省理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官が周辺に改ざんへの関与を認めていることが23日、関係者への取材で分かった。大阪地検特捜部は同日までに佐川氏を任意聴取。改ざんの指示の有無や動機を中心に確認したとみられる。虚偽公文書作成容疑などについて立件の可否を見極める。

 複数の財務省職員は特捜部の任意聴取に対し「(改ざんは)佐川氏の指示と認識していた」と説明している。一方、佐川氏は3月27日の証人喚問で「刑事訴追の恐れがある」として自身の関与は証言拒否した。

 改ざんは国有地売却問題が発覚した後の昨年2月下旬〜4月、14件の決裁文書で行われた。関係者によると、財務省理財局が近畿財務局にメールなどで指示していた。麻生太郎副総理兼財務相は、佐川氏の国会答弁と齟齬(そご)がないようにするためだったと説明している。

 佐川氏は証人喚問で安倍晋三首相や官邸側からの改ざんの指示は明確に否定。「官邸に報告することなく理財局の中で行った」と述べたが、指示系統は語らなかった。

 特捜部は学園側と交渉した近畿財務局の担当者らが不当に安く国有地を売却したとする背任容疑、佐川氏らが交渉記録を廃棄したとする公文書毀棄(きき)容疑などの告発を受けて捜査してきた。その過程で改ざんについても把握。佐川氏への任意聴取の内容を踏まえ、改ざんも含めた一連の問題について刑事処分を検討するとみられる。

 佐川氏は証人喚問で国有地の貸し付けや売却に関する学園との契約に関し、安倍首相や安倍昭恵首相夫人の影響はないと主張した。

 

森友文書改ざん 麻生氏、頭下げぬ謝罪 調査「捜査後に」(2018年3月12日配信『毎日新聞』)

 

 誰が、どのように決めたのか−−。学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却を巡り、財務省が契約に関する決裁文書を改ざんし、安倍晋三首相の妻昭恵氏に関する記述などを削除していたことが12日、明らかになった。調査結果は公表されたものの、問題の核心について財務省のトップは言葉を尽くさず、真相解明を求める人たちは憤りの声を上げた。

 麻生太郎財務相は午後2時5分ごろ、財務省1階のエレベーターホールで待ち受けていた約100人の報道陣の取材に応じた。「極めてゆゆしきことで誠に遺憾。深くおわび申し上げる」。書面に目を落としながら謝罪はしたものの、頭を下げることはなかった。

 安倍晋三首相の妻昭恵氏の名前が文書から削除された理由を聞かれると「他の政治家の名もある資料で全員を書き換えたのでは」と返し、首相や昭恵氏を守るために削除したとの見方を「全然関係ない」と否定した。「政治家や政府へのそんたくが働いたと考えるか」との問いかけには「考えないです」とだけ答えた。

 また、改ざんに至るまでの詳細な調査については「捜査が終わった段階でなければ進められない」と突き放した。用意された書面には、言い間違えのないよう「捜査(そうさ)」「調査(ちょうさ)」と読み仮名が記されていた。

 取材中ほとんど表情を変えなかった麻生氏だが、「(1社で)5問も6問も質問しないでくれねえかな」といら立ちをにじませ、記者の質問をさえぎる場面も。わずか15分で打ち切った。

 これに対し、学園との交渉記録開示を求める裁判を起こした上脇博之・神戸学院大教授は「『私や妻が関わっていたら総理大臣をやめる』と述べた安倍首相の答弁が引き金になったのでは。そんたくのレベルを超えている」と憤る。真相を解明するには「昭恵氏や佐川氏らの証人喚問が必要だ」と訴えた。

 東京・永田町の首相官邸前では内閣総辞職を求める人たちが集まり「うそをつくな」「国民をなめるな」と怒りの声を上げた。親子で参加したさいたま市の女性会社員(51)は「このままうやむやにしたら日本が駄目になる」。高校2年生の長女(17)は「本当のことを言わずにごまかしてばかり。納得がいかない」と語った。

 

昭恵夫人の名前削除 「森友」報告 財務省14点書き換え(2018年3月12日配信『東京新聞』−「夕刊」)

  

 

 財務省は12日、学校法人「森友学園」への国有地売却の決裁など十四点の文書で書き換えがあったことを認める内容を与党幹部に報告した。国会にもこれまでの調査の全容を報告する。書き換え前の文書には学園との交渉経緯や「特殊性」という文言のほか、安倍晋三首相の妻、昭恵氏の名前や鴻池祥肇(こうのいけよしただ)元防災担当相ら政治家の名前もあった。麻生太郎財務相など安倍政権中枢の責任を問う声が国会で高まるのは確実で、安倍政権の運営にとって打撃となる。

 自民党幹部によると書き換えが判明したのは、財務省の近畿財務局と森友側が2016年6月に売買契約を結ぶ際の決裁文書や添付された関連調書など十四点。この問題が発覚した昨年2月以降、「特殊性」や「価格などについて協議した結果」などの文言が削除された。

 削除された政治家の名前は鴻池氏や平沼赳夫元経済産業相ら。

 昭恵氏については自民党幹部は「昭恵氏の名前は、森友学園の籠池泰典前理事長の発言の中にあった」と話している。昭恵氏は森友学園の小学校の名誉校長を承諾、昭恵氏付きの政府職員が2015年秋、財務省にこの国有地に関し問い合わせしていたことがこれまでに分かっている。首相は「私や妻が関係していたら首相も国会議員も辞める」と国会で答弁している。

 書き換えの指示は財務省は「本省の理財局が指示した」と説明したが、だれが指示したかや、書き換えの理由は「調査中」としている。

 

 

 財務省は書き換えに関わった職員らの懲戒処分を検討する。森友問題では大阪地検が背任容疑や公文書毀棄(きき)容疑などの告発を受理し、捜査している。

 麻生氏の進退論について菅義偉(すがよしひで)官房長官は12日午前の記者会見で、「財務省の調査の指揮を執るべきだ」と否定した。

 決裁文書の書き換え問題は今月2日、朝日新聞が報道で指摘して浮上。財務省は事実解明に消極的だったが、九日に森友との交渉を担当してきた近畿財務局の職員が自殺していたことが発覚。書き換えが行われた当時、理財局長として責任者だった佐川宣寿(のぶひさ)氏は「本件は適切に処理した」と国会で説明してきたが、今月九日に国税庁長官を辞任している。

 

森友文書改ざん 常に浮かぶ昭恵氏の影 記述削除明るみに(2018年3月12日配信『毎日新聞』)

 

 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却を巡り、財務省が契約に関する決裁文書を改ざんし、安倍晋三首相の妻昭恵氏に関する記述などを削除していたことが12日、明らかになった。財務省が公表した決裁文書からは、森友学園前理事長の籠池泰典被告(65)=詐欺罪などで起訴=と、安倍晋三首相の妻昭恵氏の関係をうかがわせるくだりや、一緒に写った写真の存在が削除されていた。

 籠池被告は逮捕前、昭恵氏と知り合ったのは2012年10月ごろだったと明かしていた。首相を「大ファン」と慕い、開設を目指した小学校名を一時「安倍晋三記念小学校」としたほど。運営する塚本幼稚園での講演を首相に打診する過程で交流が始まった。

 昨年3月の国会の証人喚問でも昭恵氏との親密ぶりを披露。14年4月には、昭恵氏を小学校予定地に案内し、昭恵氏は「いい田んぼができそうですね」と語った。小学校名は「瑞穂の国記念小学院」になった。

 15年9月、昭恵氏は幼稚園で講演した際に小学校の名誉校長に就任(その後、辞任)。籠池被告はその際、昭恵氏から「100万円の寄付金を受け取った」としたが、昭恵氏は否定し、言い分は食い違ったままだ。

 国有地取引でも昭恵氏の名前が取りざたされた。籠池被告は財務省近畿財務局との交渉内容を昭恵氏に何度も報告した、と証言。15年秋には、予定地の借地契約に関して昭恵氏に相談するため、携帯電話の留守電に伝言を残したといい、昭恵氏付の政府職員が財務省に要望を伝えたこともあった。

 16年3月には、予定地から大量のごみが見つかり、財務省に乗り込んだ籠池被告は昭恵氏の名前を挙げて対応を求めた。3カ月後には、ごみ撤去を理由にした約8億円の値引きと異例の分割払い(10年)が実現した。籠池被告は「昭恵氏に名誉校長になってもらい、土地問題がスピーディーに動いた」と述べている。

 一方の昭恵氏は、問題が浮上した昨年2月以降も、籠池被告の妻諄子(じゅんこ)被告(61)とメールを続け、「神様はどこに導こうとしているのか。とにかく祈っています」などと送信していた。

 昭恵氏が公の場で問題に触れることはないが、今年2月、福岡県田川市のNPO法人を訪問した際には「私が真実を知りたいって本当に思います。何にも関わっていない」と報道陣に答えたこともあった。

 

この期に及んで他人事の安倍首相と官僚に責任押し付けの麻生財相に国民の怒りが爆発! 官邸前の抗議デモがすごいことに(2018年3月12日配信『リテラ』)

 

 きょう、財務省が発表した改ざんの内容報告によって、もとの文書には安倍昭恵夫人の名前が記載されていたこと、さらには安倍晋三首相や麻生太郎財務相の名前まで記されていたのに、ことごとく削除されていたことがわかった。

 まさに森友問題は、安倍首相らががっつりかかわった末に約8億円も値引きして国有財産が支持者に払い下げられただけではなく、その事実が露呈しないよう公文書を改ざんするというあるまじき国家的犯罪を犯した、民主主義国家の土台をぶち壊す大事件となった。

 にもかかわらず、きょうの会見で麻生財務相は「問題の最高責任者は理財局長の佐川」と言って罪を被せ、安倍首相にいたっては、こう言い放った。

「行政全体の信頼を揺るがしかねない事態」

「なぜこんなことが起きたのか、全容を解明するため、調査を進めていく」

 なぜこんなことが起きたのか、だと? それはあんたの保身からはじまって公文書偽造事件が起きたんじゃないのか━━。

 このような無責任かつ、この期に及んでしらばっくれる総理に対する怒りから、今晩、官邸前には大勢の市民が抗議に殺到。官邸前の歩道は人で溢れかえり、前に進めない人びとの列が長蛇となっている。21時現在、その人数は増える一方だ。

 そして、集まった人々は、怒りに満ちた声で、「ホントのこと言え!」「安倍は辞めろ!」「佐川じゃなくて麻生が辞めろ!」とコールして訴えつづけている。

 まさにコールの通りだろう。官邸前は安保国会の2015年を彷彿とさせるほどの盛り上がりをみせているが、これ以上、安倍首相をのさばらせては、いよいよこの国は独裁を許すことになる。だからこそ、その危機を市民は阻止しようとしているのだ。

 問題はメディアだ。いまも官邸前には市民の抗議の模様を数多くのマスコミが取材しているが、政権の顔色を伺ってか、この問題を改ざんではなく「書き換え問題」と報じつづけている。

 何度でも言うが、この問題は国家的犯罪だ。それを矮小化するようであれば、メディアは死んだも同然である。

 

 学校法人・森友学園との国有地取引に関する決裁文書の書き換え疑惑で、財務省が12日、国会議員に開示した決裁文書とは別の決裁文書が複数存在することを認めました。政権や政党、国会の動きをタイムラインで追います(2018年3月12日配信『朝日新聞』)

 

安倍首相「麻生氏には責任を果たしてもらいたい」続投の考え示す(16:55)

 午後4時55分、安倍晋三首相が首相官邸で記者団の取材に応じ、コメントを発した。

 「本日、財務省から文書を明らかにした。行政全体の信頼を揺るがしかねない事態であり、行政の長として責任を痛感している。国民の皆様に深くおわびを申し上げたい」と述べ、頭を下げた。

 首相は続けて、「国民の皆様から厳しい目が向けられていることを真摯(しんし)に受け止め、なぜこんなことが起きたのか、全容を解明するため調査を進めていく。麻生財務大臣にはその責任を果たしてもらいたい。その上で、全てが明らかになった段階で、二度とこうしたことが起きることのないように信頼の回復に向けて、組織を立て直していくために全力をあげて取り組んでもらいたいと考えています」。麻生太郎財務相を続投させる考えを示した。

 

希望・玉木氏「安倍首相、夫人、内閣全体の責任をとってもらわなければ」(16:46)

 「麻生(太郎・財務)大臣の辞任は不可欠だ」

 希望の党・玉木雄一郎代表が記者団に語った。書き換え問題を「歴史上の汚点と言って良い、深刻かつ重大な事態」と位置づけた上で、安倍晋三首相の責任についても指摘した。

 「昨年2月17日の(衆院予算委員会での)首相答弁。『私や妻が関わっていたら総理も議員も辞める』との答弁に合わせて、事実の方をねじ曲げ、文書の改ざんを行うきっかけになったのではないか。麻生大臣の責任は当然として、安倍首相、首相夫人、そして安倍内閣全体の責任をとってもらわなければならない」と述べた。

 

野党、書き換えは「首相答弁がきっかけでは」 財務省は否定(16:40)

 財務省は、決裁文書書き換えの開始時期を「昨年2月下旬」と説明した。この時期が意味することは何か。

 野党ヒアリングでは出席した議員から、2月17日の「私や妻が関係していたなら首相も国会議員も辞める」との安倍晋三首相の衆院予算委員会での答弁がきっかけだったのではないか、との指摘が出た。これに対し、財務省の富山一成理財局次長は「恐縮ですが、私、今の先生のご指摘があったようなことであったとは考えておりません」と全面否定した。

 2時間超に及んだヒアリングは、午後4時47分に終了した。

 

共産・辰巳氏「改ざんやるのは、誰かのメリットになるからだ」(16:00)

 野党6党のヒアリングで、共産党の辰巳孝太郎氏が「ここまで大規模な書き換え、改ざんをやるのは、誰かのメリットになるからだ。それは誰か」とただした。財務省の富山一成理財局次長は「その時(書き換え時)までの答弁と、その後想定される答弁が誤解を生じないようにすると考えていたのではないか」と説明した。

 これに対し、辰巳氏は「誤解を生じる答弁をしたなら、答弁を修正すれば良い。公文書を改ざんする話には、普通はならない。なぜメリットもないのに、ここまで大規模な改ざんが行われたのか。それに対する答えが全くない」と批判した。

 

公明・山口代表「行政の信頼を失う、誠に遺憾」(15:30)

 与党・公明党の山口那津男代表が記者団の取材に応じた。「(決裁文書改ざんは)行政の信頼を失うもので、誠に遺憾。財務省理財局の判断で、国会に明らかにするべきものをそうしなかったとすれば、立法府を軽視するものであって、断じて許されない」と、理財局を批判した。

 麻生太郎財務相や安倍晋三首相の政治責任についての質問については「理財局の独断と言うか、理財局がこうした書き換えを行っていたという説明だから、まずは麻生大臣が説明を尽くしていく、国会の議論に答えて頂くことが重要だ」と述べるにとどめた。

 

立憲・辻元氏「予想以上に深刻だ」(15:30)

 立憲民主党の辻元清美国会対策委員長が記者団の取材に応じた。「予想していた以上に事態は深刻だ」と切り出した。

 「変える前と後で、文書が別の物になっている。一部を消したとか抜いたという話ではない。ある意図に沿って、別の文書、報告に変えている。何のために、誰が、この隠蔽(いんぺい)、改ざんをやったのか明らかにならない限り、政治全体への信用を失っているので(国会)審議する環境にはない」

 

財務省局次長「(職員)本人が無意識にやったとか、そういう話ではない」 野党は失笑(15:10)

 立憲民主、希望など野党6党の合同ヒアリングが始まった。午後3時すぎ、財務省の富山一成理財局次長が書き換えについて報告するが、議員からは「『書き換え』でなく『改ざん』ではないか」と認識についての批判が相次ぐ。

 富山氏は「現時点で『書き換え』という単語を使っているが、その点は、今後の調査結果によっては、我々としても違うか正しいのかは考えたい」。議員が「意図的にやったことは間違いないですね」とたたみかけると、富山氏は「少なくとも、おっしゃっている意味は重々分かっている。(職員)本人が無意識にやったとか、そういう話ではない」と答弁すると、会場は議員の失笑に包まれた。

 

首相の様子は「泰然とした感じ」 面会した自民党議員(15:00)

 自民党の河井克行・総裁外交特別補佐が首相官邸を訪れ、安倍晋三首相と面会。帰り際、記者団の取材に応じた。首相とは国際情勢について語ったというが、財務省の文書書き換え問題は「(話題に)上らなかったですね」。首相の様子は「普段と変わらず、泰然と、泰然とした感じでした」と語った。

 

麻生氏「最終責任者は理財局長である佐川」(14:15)

 書き換えは誰の指示、責任だったのか――。麻生太郎財務相に対し、記者団からこの点への質問が相次いだ。

 麻生氏は「書き換えの一番トップはその時の担当者で、そんな偉い所じゃないと思うが、最終的な決裁として佐川(宣寿・前国税庁長官)が理財局長だったから、その意味で理財局長となろうと思う」と述べ、佐川氏の責任になると指摘した。

 「佐川さんの判断で行ったか」との問いには「佐川の判断の前の段階だと思う」としつつ、「書き換えは当時の理財局の一部の職員によって行われたので、最終責任者が理財局長である佐川ということになると思う」と、辞任した佐川氏の責任を強調した。

 

麻生氏「佐川の答弁に合わせて書き換えた」 「忖度」は否定(14:10)

 麻生太郎財務相はぶら下がり取材で、書き換えの理由をこう説明した。「(昨年)2月下旬、佐川の答弁と決裁文書との間の齟齬(そご)があった、間違いがあった、そういう風に誤解を招くということで、佐川の答弁に合わせて書き換えたというのが事実だ」

 当時の佐川宣寿・財務省理財局長は国会で事前の価格交渉を否定するなどしていた。こうした答弁と整合性を取るために書き換えた、との説明だ。麻生氏はまた、書き換えの背景に政治家への「忖度(そんたく)」があったかとの質問には、「考えていません」と否定した。

 

自由・山本太郎氏「完全な『改ざん』」(14:10)

 参院予算委員会の理事懇談会で財務省の説明を受けた自由党・山本太郎共同代表。終了後、記者団に「(財務省が説明で使う)『書き換え』は間違いで、完全な『改ざん』。それ以上でも以下でもない。本当にあきれるような話ですけども」と憤った。

 山本氏が理事懇で、「財務省の(書き換えによる)メリットは何か」とただしたところ、財務省側からは「個人的な見解」と断った上で「書き換え前後の文章を見ても、財務省に何かメリットがあるとは思えない」との返答があったという。山本氏は政治家側の関与を追及する姿勢を強調した。

 

麻生氏「私の進退については考えていません」(14:05)

 麻生太郎財務相が午後2時5分、財務省内で記者団の取材に応じた。

 「昨年2月下旬から4月にかけて、本省理財局において、森友事案に関する14件の決裁文書の書き換えが行われていたことが明らかになった。決裁された行政文書について書き換えを行うことは、極めてゆゆしきことであって、まことに遺憾。私も深くおわびを申し上げる次第だ」と陳謝の言葉を述べた。

 今後については「捜査にも全面協力し、二度とこうした事態がおこらないよう、さらなる調査を進めて、その上で信頼回復に向けて努力したい」と述べた麻生氏。進退を問われると「私の進退については考えていません」と否定した。

 

財務省、与野党理事に書き換え問題を説明 参院予算委理事懇終わる(13:47)

 

 午後1時47分、参院予算委員会の理事懇談会が終わった。財務省から与野党の理事らに対し、文書書き換え問題について説明があった。ここまでの取材では、財務省側から「(書き換えが)なぜ行われたのか申し上げられることは、理財局のなかで行われた。恐らく国会答弁との関係で誤解を招きかねない表現、『先方からの要請』などの表現を削除したのではないかと思う」などの説明があったという。

 

財務省、野党含め国会に報告 参院予算委理事懇始まる(12:59)

 午後0時59分、参院予算委員会の与野党の理事らによる「理事懇談会」が始まった。財務省の文書書き換え問題について、野党も含めた国会全体に対し、財務省が報告する初めての場となる。

 

自民・二階幹事長が党本部入り 西村官房副長官・福田財務次官らが待機(12:02)

 午後0時2分、自民党本部に二階俊博幹事長が入った。党本部4階の幹事長室で待機していた西村康稔官房副長官、福田淳一財務事務次官らから、森友文書書き換え問題を巡る調査結果の説明を受けたと見られる。報告は10分ほどで終わった様子で、二階氏は0時14分、幹事長室を出た。

 他の自民、公明両党関係者に対しても、この日朝から財務省幹部が手分けして訪問し、説明が続々と進んでいる。

 

共産・小池氏「昭恵さんの名前削除、首相本人の責任に直結する極めて重大な事態」(11:45)

 午前11時45分、共産党の小池晃書記局長が記者団の取材に応じた。「安倍昭恵さんの名前も削除されていたと報道されている。まさに政権中枢、安倍(晋三)首相本人の責任に直結する、極めて重大な事態だ」とした上で、「内閣総辞職に値する問題にいよいよ発展してきている」と述べた。

 朝日新聞が国有地をめぐる取引の問題を報じたのは昨年2月。小池氏は、首相が昨年2月の国会で自身や昭恵氏が関与していれば退陣すると答弁したことに触れ、「この答弁をめぐって改ざんが行われたということがあれば符合する話になってくる」とし、首相答弁と書き換えとの関連をただす意向を示した。

 

麻生氏が財務省入り 「進退は」の問いかけに、無言(12:00)

 正午、麻生太郎財務相が財務省に入った。記者団から「大臣の責任を明確にするのか」「進退は」などの問いかけが飛んだが、麻生氏は無言だった。

 朝から緊張が走る首相官邸のエントランスに登場したのは、尾身幸次・元科学技術担当相だ。安倍晋三首相と会談後、記者団の取材に応じた尾身氏は、財務省の文書書き換え問題を巡って「いろいろご苦労ですね」と首相にねぎらいの言葉をかけたという。記者団は首相がどう返答したかを尋ねたが、尾身氏は「何も言わなかったよ。もっと世界のことを話してきた」と述べるにとどめた。

 

菅官房長官、麻生財務相の進退論を否定「麻生大臣に徹底した調査の指揮をとっていただくべきだ」(11:05)

 午前11時5分、菅義偉官房長官が首相官邸で午前の定例記者会見に臨む。「麻生太郎財務相の責任論についてどう考えるか」との問いに、菅氏は「麻生大臣においては今、財務省をあげて調査を行われているところであり、徹底した調査を行い、まずそうしたことはすべてはっきりすべく、指揮をとって頂くべきだ」と答えた。調査の指揮を優先させ、ただちに進退論にはつながらないとの見方を示した形だ。

 

自公幹部「書き換えられているらしい」政府からの報告認める(10:28)

 「西村(康稔・官房)副長官から、書き換えられているらしいという報告があった」。12日午前10時30分前、公明党の大口善徳国会対策委員長が、国会内で記者団に語った。政府・与党が書き換えを初めて公に認めた。

 直後に、自民党の森山裕・国対委員長も「政府から、森友学園への国有地処分に関する決裁文書に、どうやら書き換えがあったようだとの報告を受けた」と記者団に語った。

 

立憲・福山氏「前代未聞の異常事態」(10:15)

 立憲民主党の福山哲郎幹事長が、国会内で記者団の取材に応じた。野党はまだ財務省からの報告を受けておらず、「改ざんされる前の元の文書が提出されるとすれば」とした上で「国会審議の信頼と前提を根本から覆す、前代未聞の異常事態」と断じた。

 「誰の指示で、いつ、なんのために改ざんされたのか明らかにすることは不可欠。財務省だけで判断することは絶対にない。官僚だけに責任を押しつけて済ますことはあってはならない。政府全体の責任は極めて重い。まずは、佐川(宣寿)元国税庁長官の証人喚問を求めたい」と述べた。

 

安倍昭恵首相夫人の証人喚問実現へ幹事長会談開催方針 6野党が確認(2018年3月12日配信『産経新聞』)

 

 立憲民主党など野党6党の国対委員長は12日、国会内で会談し、学校法人「森友学園」への国有地問題の真相究明には安倍昭恵首相夫人らの証人喚問の実現が必要だとして、同日中にも6党の幹事長・書記局長会談を開き、今後の対応を協議する方針を確認した。

 

不破氏「前代未聞の捏造」=内閣総辞職を要求−森友文書(2018年3月12日配信『時事通信』)

 

 共産党の不破哲三前議長は12日、時事通信のインタビューに応じ、財務省が学校法人「森友学園」の決裁文書を書き換えた問題について「前代未聞の事件だ。議会に知らせないことはあっても、文書を捏造(ねつぞう)して、ごまかそうという行政府は聞いたことがない」と痛烈に批判した。内閣総辞職に値するとの見解も示した。

 不破氏は「行政府が立法府をだましたことになる。こんなことは戦後はもちろん一切なかった」と指摘。「戦前にもこんなことは、ないのではないか」との認識を示した。

 

改ざんでなく「書き換え」 菅長官が認識示す(2018年3月12日配信『朝日新聞』)

 

 財務省理財局による森友学園の国有地取引に関する決裁文書の改ざんについて、菅義偉官房長官は12日午後の定例記者会見で、「書き換えという認識なのか、改ざんという認識なのか」と問われ、「書き換えだと思う」と述べた。理由については「主文はほとんど変わっていなかった」とした。

 理財局職員が首相官邸の考えを忖度(そんたく)して改ざんしたのではないかとの問いには、「財務相が『そういったことはなかった』と説明している」として、忖度はなかったと見解を示した。

 また、他省庁での文書改ざんの有無に関する調査実施については、「考えていない」と述べた。

 

公明・山口那津男代表、書き換えに「立法府を軽視、断じて許されない」(2018年3月12日配信『産経新聞』)

 

 公明党の山口那津男代表は12日、学校法人「森友学園」の国有地売却をめぐり、財務省が決裁文書の書き換えを認めたことについて「行政の信頼を失うものであり、誠に遺憾だ。国権の最高機関である立法府を軽視するもので、断じて許されない」と述べた。国会内で記者団に答えた。

 麻生太郎副総理兼財務相への野党側の辞任要求については「麻生氏に求められるのは国民や国会に対し、しっかり説明責任を果たす、尽くすことだ。失われた国民の信頼を回復するために、財務省の体制をしっかり立て直していく。これが急務である」と語り、早期辞任に否定的な見解を示した。

 野党側が審議拒否していることに関しては、「与党としても、しっかり政府の対応をただして国民の信頼を得られるよう議論を行っていきたい。国会の外で議論するのではなく、国会審議の中で国民にわかるよう、議事録で後世に残るよう議論してもらいたい」と注文を付けた。

 

日本会議に関する部分で安倍晋三首相の名前記載も削除(2018年3月12日配信『産経新聞』)

 

 学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書書き換え問題に関し、財務省は12日、国会に調査結果を報告し、14文書で書き換えがあったと認めた。削除部分に安倍昭恵首相夫人や複数の政治家の名前もあった。

 報告によると、昨年2月下旬から4月にかけて27年2月〜28年6月の5決裁文書が書き換えられ、それを反映する形で26年6月〜28年6月の9文書も書き換えられた。報告書は約80ページ。

 「本件の特殊性」「特例的な内容」といった文言も、国会議員らに昨年開示された文書で削られた。森友学園との売買決裁文書では「学園の提案に応じて鑑定評価を行い、価格提示を行うこととした」との文言もなくなった。

 書き換え前の文書には昭恵夫人から「いい土地ですから、前に進めてください」とのお言葉をいただいたと森友側が発言していたという記載もあった。26年4月に昭恵夫人が森友学園を視察し講演したとの記述もなくなった。

 森友学園の籠池泰典前理事長を「(保守系団体の)日本会議大阪に関与」と紹介し、関連の日本会議国会議員懇談会を「特別顧問として麻生氏、副会長に安倍総理らが就任」と説明した部分も削除された。

 

ついに錯乱、断末魔の安倍政権…悶絶・総辞職への末路(2018年3月12日配信『日刊ゲンダイ』)

 

佐川一人に罪をかぶらせ、逃げ切ろうという「人間のクズ」のような卑しさと甘さ

 とうとう犯罪行為を認める事態に追い込まれた。もはや断末魔だ。

 学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書が書き換えられた疑惑で、財務省は12日、調査結果を国会に報告。森友との交渉に関わっていた近畿財務局の職員が自殺し、隠し切れないと観念したようだ。すべての対応が後手に回り、迷走を重ねているように見える。

 森友問題発覚当時の理財局長だった国税庁の佐川前長官が9日に突然の辞任。10日には財務省が書き換えを認める方針を固めた。改ざん前の「原本」には交渉の経緯や「本件の特殊性」などの文言が書かれているという。

 官邸からのリークなのか、「自身の答弁を正当化するため、佐川氏が書き換えを指示した」という報道もあるが、冗談じゃない。コトは有印公文書の改ざんである。一官僚が独断で、自分の利益のためにやれることではない。

佐川氏が国会で虚偽答弁を繰り返し、公文書の改ざんという禁じ手まで犯して守ろうとしたものは何なのか。そこに事件の核心がある。

「官邸は、文書改ざんはあくまで財務省の問題だとして、責任問題が政権にまで及ばないようリスクコントロールするつもりです。改ざんを指示した佐川氏が責任を取って、幕引きにするシナリオを描いている。総理は麻生財務相を辞めさせる気もないようです。強気ですよ」(官邸関係者)

 国家の犯罪行為が明らかになったわけで、佐川氏の辞任は当然だが、「適材適所」と持ち上げてきた麻生財務相や安倍首相の責任も免れない。

 そもそも、森友は安倍夫妻の問題なのである。それは、国民も気づいている。佐川氏のクビで幕引きなんて、納得できるわけがないのだ。

 森友問題の取材、報道を続けてきた「日本会議の研究」の著者・菅野完が言う。

 「文書改ざんは佐川氏個人の問題ではない。都合の悪いことを隠すために公文書を書き換えるなんて、第2の敗戦と言っていいほどの由々しき事態です。1945年3月10日の東京大空襲でも、米軍は霞が関を燃やさなかった。記録を残すためです。公文書というのはそれほど大事で、近代国家の基本でもある。たとえ麻生氏が引責辞任しても、それで済む話でもない。今回の問題では、国の根幹が揺らいでいるのです。国家存亡の危機と言っても過言ではありません」

 民主主義を破壊した主犯が、権力に居座れると思ったら大間違いだ。佐川氏ひとりにすべてを押し付けて逃げ切りを図るような連中には、「人間のクズ」という言葉がふさわしい。

 朝日ネタ元説までささやかれる大阪地検の捜査の行方

 この先、森友疑惑はどうなっていくのか。すでに、大阪地検特捜部は、市民団体からの告発を受け、昨年の9月から財務省と国交省に対する背任・公用文書等毀棄の捜査を始めている。

 財務省が「決裁書」の書き換えを認めたことで、一気に捜査が進む可能性がある。近々、強制捜査に乗り出すという見方も広がっている。実際、大阪地検もヤル気満々だという。朝日新聞に決裁書が書き換えられたという情報をリークしたのも、大阪地検だという話も出ている。司法関係者がこう言う。

「大阪地検は安倍政権に忖度するつもりは一切ないようです。むしろ、前のめりになってもおかしくない。というのも、検察の現場は安倍政権に反感を持っている可能性が高いからです。2016年9月、法務省の林真琴刑事局長(当時)を事務次官に昇格させる人事案を、官邸が突っぱねて、菅長官に近い黒川弘務氏を事務次官にしたのが原因です。麻生財務相が『捜査』を盾に逃げようとしたのも気に入らないようです」(司法担当記者)

検察が強制捜査に乗り出せば、事件の全容が明らかになる。なぜ、優秀な役人たちが、犯罪につながりかねないリスクを犯して、8億円もの値引きを行い、記録を改ざん、破棄したのか。当然、昭恵夫人の関与も徹底的に洗われるだろう。

 弁護士の中川亮氏が言う。

「まず、決裁書の書き換え事案は、特捜部は公文書偽造等の罪で捜査すべきです。一方、すでに受理している背任罪などの告発への対応についても、世論の注目が集まれば、積極的に捜査しようというモチベーションにはなるでしょう」

もし、検察が何もしなければ世論に批判を浴びることになるのではないか。

いま関係者と政治家が怯えている自殺職員の遺書の爆弾中身

近畿財務局に在籍していた男性職員の自殺は、政界に衝撃を走らせた。佐川長官が慌てて引責辞任したのも、男性職員が自殺したからだ。

男性職員は、森友学園に国有地を8億円もダンピングして売却した部署に所属していた。森友疑惑が発覚した後、体調を崩し、数カ月前から休職していた。自殺した前日は登庁していたという。

「決裁書の書き換えが大問題になり、財務省が近畿財務局の職員から聞き取り調査を開始した。自殺した職員も急きょ、登庁したようです。その翌日に自ら命を絶っています」(財務省関係者)

一体、男性職員はどんな役割を負わされていたのか。遺書の中身は明かされていないが、遺書の内容についてさまざまな情報が永田町を駆け巡っている。

組織への恨みつらみや、上司の実名を出して「○○からやらされた」と書き換えを命じられたことを認める記述があるとの情報もある。男性職員はどのような人物だったのか。近畿財務局の関係者はこう振り返る。

「岡山県出身で50代半ばだったと思います。高校卒業後に国鉄に就職して、民営化と同時に財務局が受け入れたようです。1987年か翌88年頃だったと記憶しています。普段は元気のある人だったので、病気で休職と聞いて少し意外でした」

遺書とともに「改ざん前の決裁書の原本」が置いてあったとの情報もある。財務省が改ざんを認めた今、遺書が公開されれば、政権は吹っ飛ぶ可能性がある。

逮捕説まで出ている佐川は前川氏を見習い、洗いざらいしゃべったらどうか

国有地売却の「決裁文書書き換え疑惑」をめぐり、国税庁長官を辞任した佐川宣寿氏(60)。幕引きを図る安倍官邸の思惑が見え隠れするが、そう簡単にコトは収まらない。ナント、「佐川逮捕」の可能性が浮上しているからだ。

11日の毎日新聞は改ざんについて、「佐川氏が指示」と報道。これが事実ならば、理財局長時代、自分の虚偽答弁に沿うように改ざんしていたことになる。佐川氏の逮捕はあるのか。元検事の落合洋司弁護士は「指示していたとしたらあり得るでしょう」と言い、こう続ける。

「佐川氏に『公文書の作成権限』があれば虚偽公文書作成罪か公用文書毀棄罪、なければ公文書の偽造・変造罪に問われる可能性がある。仮に起訴、立件された場合、理財局長という地位にいたので『作成権限があるのに偽造もしくは変造した』と判断されるでしょう」

公文書を偽造したり、変造した場合、懲役1〜10年の刑事罰が待っている。

「理財局長という立場を考えれば、個人の私利私欲で改ざんを指示するとは考えにくい。何らかの政治的な圧力があって『改ざんせざるを得なかった』のであれば、情状酌量の余地はあるでしょう」(落合洋司弁護士=前出)

文科省前事務次官の前川喜平氏は、10日、訪問先の岐阜市内で佐川氏について「同じ役人だった者として気の毒。どうせ辞めるなら自由に発言したらいいのに」と語った。加計問題で「行政が歪められた」と指摘した前川氏を見習って、佐川氏も洗いざらいブチまけたらどうか。

野党が描く「憲政史上最低ハレンチ政権」の末路シナリオ

これまで“安倍1強”にやられ放しだった野党も、久々に「倒閣のチャンスだ」と勢いづいている。一気に安倍を退陣に追い込むつもりだ。実際、ここで倒さないと、総辞職に追い込む機会は二度と来ないだろう。

野党サイドは、まず麻生のクビを取る方針。安倍官邸も最悪、麻生の辞任は避けられないと覚悟しているという。

さらに、野党陣営は、佐川氏と昭恵夫人の証人喚問を徹底的に求めていく作戦だという。野党関係者がこう言う。

「森友事件は、すべて安倍夫妻が発端です。官僚組織も安倍夫妻のために無理を重ねた。その実態が明らかになれば、政権は持たないと野党はみています。決定的なのは、安倍首相本人が『私や妻が関与していたら総理も国会議員も辞める』と国会で豪語したことです。少しでも昭恵夫人の関与がわかれば、辞任に追い込める。そのためにも、昭恵夫人と佐川長官の証人喚問をしつこく要求していく。世論も2人の喚問を望んでいます。自民党が拒否するなら、それで構わない。拒否すれば、疑惑が深まり、安倍首相に対する国民の批判が強まるだけです。いずれにしろ、勝負は6月18日の国会会期末まででしょう。国会が閉会したら、安倍首相に逃げ切られる恐れがあります」

自民党の一部では、安倍が「9月の総裁選には出馬しない」と、“3選断念”を宣言することで国民の怒りを鎮め、惨めな退陣を回避するシナリオも囁かれている。しかし、あくまで野党は総辞職に追い込む方針だ。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)が言う。

「安倍首相を総辞職に追い込めるかどうか、カギは支持率でしょう。野党は国会内だけでなく、国民を巻き込むべきです。支持率が急落したら、自民党内からも“安倍降ろし”に動きが出てくるでしょう。もし、総辞職に追い込めなかったら国民は野党に失望しますよ」

国民の支持を失った安倍は、早ければ4月上旬の訪米後、退陣表明となっておかしくない。

 

首相が改ざん問題を謝罪「行政の長として責任を痛感」(2018年3月12日配信『朝日新聞』)

 

 学校法人・森友学園(大阪市)との国有地取引に関する決裁文書の改ざん問題について、安倍晋三首相は12日夕、「行政全体の信頼を揺るがしかねない事態であり、行政の長として責任を痛感している。国民の皆様に深くおわびを申し上げたい」と謝罪した。首相官邸で記者団に語った。

森友学園への国有地売却の決裁文書をめぐる財務省の調査結果

 首相は「国民から厳しい目が向けられていることを真摯(しんし)に受け止め、全容を解明するため調査を進めていく」とし、「麻生(太郎)財務相にはその責任を果たしてもらいたい」と述べた。

 麻生氏については「全てが明らかになった段階で、二度とこうしたことが起きることのないように、信頼の回復に向けて、組織を立て直していくために、全力をあげて取り組んでもらいたい」とも語り、あくまで続投させる意向を示した。

 

森友文書改ざんは佐川氏指示 閣僚経験者の名前丸ごと削除(2018年3月12日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 森友学園への国有地売却に関する財務省近畿財務局の決裁文書のうち、書き換えや削除などの改ざんが行われた文書が10以上に上り、閣僚経験者を含む複数の政治家の名前が削除されていたことが分かった。また、改ざんには近畿財務局の職員だけでなく、本省理財局の職員が関与していたことも発覚した。

 政府関係者によると、改ざんが行われたのは、国有地の貸し付けを巡る決裁書や売却を巡る決裁書、特例に関する文書など。改ざんは昨年2月の疑惑発覚当時の理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官の国会答弁とツジツマを合わせるために行われ、ひとつの文書で改ざんを行った結果、整合性を持たせるために次々と改ざんせざるを得なくなったとみられる。

 財務省が国有財産を管理する本省理財局や、森友学園との交渉を担当した近畿財務局の職員に聞き取り調査した結果、本省理財局を含む複数の職員が改ざんに関与。改ざんは当時の佐川理財局長の指示で行われたという。

 また、開示された文書では、鳩山邦夫元総務相(故人)や平沼赴夫元経済担当相、鴻池祥肇元防災担当相ら複数の政治家の名前が記載されていた部分が丸ごと削除されていたことも分かった。原本には、これら政治家の秘書がさまざまな働きかけを行っていたことが記載されていたという。

 また、12日の朝日新聞によると、財務省近畿財務局で森友学園の交渉・契約の担当部署に所属し、自殺したとみられる男性職員の遺族が「家庭には何ら問題はなく、(自殺は)仕事に原因があるとしか考えられない」「昨年夏頃から眠れなくなり、仕事を休むようになった」と話している。

 モリカケ疑惑で安倍内閣支持率が急落していた頃と重なり、真相を知る者として苦悩していたことをうかがわせる。遺族は政府に「この死を無駄にしないでほしい」と語ったという。

 

誰が、いつ、どう書き換えたのか…近財職員、表情厳しく「通常手続きでは絶対ありえない」(2018年3月12日配信『産経新聞』)

 

 学校法人「森友学園」(大阪市)との国有地取引をめぐり財務省が決裁文書を書き換えたとされる問題は、「捜査への影響」を理由に調査に後ろ向きだった財務省が12日、書き換えを認める調査結果を報告。国会答弁と矛盾しないようにしたとみられ、批判の声が高まっているが、いつ、誰がどのように書き換えたのか。時期やその内容などによっては、さらに批判が強まりそうだ

 12日朝、決裁文書を作成した財務省近畿財務局の入る大阪合同庁舎(大阪市中央区)前には、多数の報道陣が詰めかけた。出勤する職員らはみな厳しい表情で、ほとんどは記者からの問いかけにも堅く口を閉ざし、「知りません」などと言葉少なに庁舎内へ入っていった。

 取材に応じたある職員は、書き換えについて「通常の手続きでは絶対にありえない」と話したが、「われわれ職員にも詳しい内容が知らされていない」と困惑した様子だった。

 一方、財務局の広報担当者は「本省(財務省)から情報が伝わっておらず、コメントできない」との回答を繰り返した。

 

森友14文書を書き換え 財務省調査報告80ページ(2018年3月12日配信『日経新聞』)

 

 

 財務省がまとめた、学校法人「森友学園」への国有地売却の決裁文書に関する調査結果の全容が12日午後分かった。2017年2月下旬から4月にかけて、理財局が「貸付決議書」や「売払決議書」など5件の文書を書き換えていたことを認めた。これらの文書の書き換えを反映させる形で他の9件の決裁文書も書き換えていたことも明らかにした。

 調査結果は約80ページ。当時の理財局長だった佐川宣寿・前国税庁長官の関与を事実上示したものといえる。

 売払決議書には「価格等について協議した結果、学園が買い受けることで合意した」と事前の価格交渉を示唆する記述があったが、書き換え後の文書ではこの部分が削られていた。当初は10年間定期借地契約後に売り払う契約になっていたことに関して「特例的な内容となることから」「理財局長の承認を得て処理を行う」といった記述もあったが、書き換え後は削除されていた。財務省本省の関与をうかがわせる内容だったため、削った可能性がある。

 安倍昭恵首相夫人に関する記述を削除していたこともわかった。

 書き換え前の文書では、14年4月に、森友学園側が近畿財務局との打ち合わせの際に「安倍昭恵首相夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください。』とのお言葉をいただいた」と発言したという。しかし、書き換え後は、昭恵氏に関する記述はなくなっている。

 経緯を説明した文書では「産経新聞社のインターネット記事に森友学園が小学校運営に乗り出している旨の記事を掲載」と指摘。「記事の中で、首相夫人が森友学園に訪問した際に、学園の教育方針に感涙した旨が記載される」との言及もあったものの、いずれも削除された。

 このほか鴻池祥肇元防災相、平沼赳夫元経済産業相ら4人の政治家の名前を含む記述を削った例も見つかった。

 

与党議員からも「普通なら麻生氏は辞めるだろう」(2018年3月12日配信『朝日新聞』)

 

 財務省が決裁文書の書き換えを認めたことで、野党は麻生太郎財務相の政治責任を厳しく追及するとともに、佐川宣寿・前財務省理財局長の証人喚問を求めていく方針だ。

 立憲民主党の福山哲郎幹事長は12日午前の記者会見で、「国会審議の信頼と前提を根本から覆す前代未聞の異常事態だ」と批判。その上で、「誰の指示で、いつ、何のために改ざんがなされたのか明らかにすることは不可欠だ」と訴えた。共産党の小池晃書記局長も会見で「内閣総辞職に値する問題にいよいよ発展してきている」と述べた。

 立憲や民進など野党6党は財務省の説明に納得せず、8日以降、衆参両院の本会議や委員会を欠席してきたが、早ければ13日から審議に復帰して、書き換えの経緯や動機などについて追及する可能性も出てきた。12日午後には、参院予算委員会理事懇談会で財務省側の説明を受けたあと、対応を協議する。

 野党議員の一人は「官邸は逃げ切ろうとしているが、じりじりやればどんどん支持率は下がる」と指摘。別の野党議員は佐川氏や安倍晋三首相の妻昭恵氏の国会招致について「もう逃げられないでしょう。それがなければ前に進めない」と語った。

 一方、与党からは麻生氏の辞任は避けられないとの声が出始めた。自民党中堅は「辞任なんて当然のことだろう」。公明党議員も「書き換えの中身がひどい。普通なら麻生氏は辞めるだろう」と語った。

 

日本会議に関する部分で安倍晋三首相の名前記載も削除(2018年3月12日配信『産経新聞』)

 

 学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書書き換え問題に関し、財務省は12日、国会に調査結果を報告し、14文書で書き換えがあったと認めた。削除部分に安倍昭恵首相夫人や複数の政治家の名前もあった。

 報告によると、昨年2月下旬から4月にかけて27年2月〜28年6月の5決裁文書が書き換えられ、それを反映する形で26年6月〜28年6月の9文書も書き換えられた。報告書は約80ページ。

 「本件の特殊性」「特例的な内容」といった文言も、国会議員らに昨年開示された文書で削られた。森友学園との売買決裁文書では「学園の提案に応じて鑑定評価を行い、価格提示を行うこととした」との文言もなくなった。

 書き換え前の文書には昭恵夫人から「いい土地ですから、前に進めてください」とのお言葉をいただいたと森友側が発言していたという記載もあった。26年4月に昭恵夫人が森友学園を視察し講演したとの記述もなくなった。

 森友学園の籠池泰典前理事長を「(保守系団体の)日本会議大阪に関与」と紹介し、関連の日本会議国会議員懇談会を「特別顧問として麻生氏、副会長に安倍総理らが就任」と説明した部分も削除された。

 

共産・小池晃書記局長「内閣総辞職に値する」 安倍昭恵夫人らの証人喚問を重ねて要求(2018年3月12日配信『産経新聞』)

 

 共産党の小池晃書記局長は12日、学校法人「森友学園」への国有地売却に絡み財務省が決裁文書の書き換えを与党幹部に認めた状況を受け、安倍昭恵首相夫人らの証人喚問を求める姿勢を重ねて示した。その上で「内閣総辞職に値する問題にいよいよ発展してきている」との認識を強調した。国会内で記者団に語った。

 

「官僚の腐敗、堕落がここまで深刻になったのは初めてではないか」と政治評論家の森田実氏(2018年3月12日配信『産経新聞』)

 

 政治評論家の森田実氏の話 「公文書の書き換えは国民に対する裏切り行為だ。国家予算を握り、官僚機構の中でトップに君臨してきた財務省でこのような問題が起きたことは、極めて深刻な事態と言える。日本の現代政治で官僚の腐敗、堕落がここまで深刻になったのは初めてではないか。背景には官邸が官僚の人事権を握り、従属させた結果、官僚は国民全体の奉仕者であるという自覚と誇りを失ってしまったことがある。国民の目には安倍晋三首相と夫人が森友問題に関与したと映っている。政権への批判が強まり、首相の求心力も失われていくのではないか」

 

森友文書 書き換え数十カ所 昭恵氏の名削除…問題発覚後(2018年3月12日配信『毎日新聞』−「社説」)

 

 学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書を巡る疑惑で、財務省は12日午前、文書に書き換えがあったと認める調査結果を自民、公明両党に報告した。書き換えは同省理財局が主導し、関連文書14件で数十カ所に上るとしている。書き換えの時期は昨年2月下旬から4月。書き換え前の文書には、森友学園の籠池泰典前理事長の発言として安倍晋三首相の妻昭恵氏に関する記述があり、書き換え後は削除されていた。与党幹部が明らかにした。

 自民党の二階俊博幹事長は12日昼、西村康稔官房副長官と財務省の福田淳一事務次官から「決裁文書に書き換えがあった」と報告を受けた。同省は午後の参院予算委員会と衆院財務金融委の理事懇談会で報告し、麻生太郎副総理兼財務相が記者会見して公表する。

 書き換えがあったのは、2015年から16年に近畿財務局が作成した決裁文書やそれに付随する計14件の文書。決裁当時の文書には「本件の特殊性」などの記述があったが、問題が発覚した17年2月以降、国会議員らに開示された文書ではそれらの記述が削除されるなどしていた。書き換えの期間は森友問題が国会で浮上し、野党が追及を始めた時期と一致する。

 また昭恵氏が問題の国有地を「いい土地ですね」と語り、学園を訪問した際に感動して泣いたなどと紹介した籠池氏の発言のほか、自民党の平沼赳夫元経済産業相、北川イッセイ元参院議員ら政治家の名前を含む売却までの経緯が削除されていた。書き換えには理財局や近畿財務局の複数の職員が関与したとみられる。

 文書を国会へ提出した当時の理財局長、佐川宣寿前国税庁長官について、政府関係者は「彼が書き換えを指示したのだろう」と語った。ただ同省は今回の報告で、誰が指示したかは「調査中」とした。

 森友問題では、国有地の売却価格が大幅値引きされた経緯が問題視された。昨年の国会で「事前の価格交渉はなかった」「交渉記録は破棄した」と答弁した佐川氏は、今月9日に辞任。麻生氏は佐川氏を懲戒処分とした。書き換え後の文書は昨年の答弁に沿う形になっており、麻生氏は財務省の調査や地検の捜査の結果次第で追加処分を行う意向を示している。

 書き換え問題は朝日新聞が2日に報道。財務省は当初「地検が捜査中」と書き換えの有無を明らかにしなかったが、与野党から批判を受けて調査していた。

 決裁された公文書がミス以外で書き換えられたのは極めて異例で、公文書の信頼性や情報公開制度の根幹を揺るがしかねない深刻な事態に発展した。疑惑が裏付けられたことで、首相や麻生氏の責任を問う声がさらに強まるのは必至だ。

 菅義偉官房長官は12日の記者会見で、財務省が今後も調査を続けるとし、麻生氏の責任論について「麻生氏には徹底した調査の指揮を執っていただく」と否定した。一方、立憲民主党の福山哲郎幹事長は記者団に「国会に提出された文書が改ざんされるのは、前代未聞の異常事態だ。政府全体の責任は極めて重い」と強く批判した。

 

森友文書書き換え 削除部分に昭恵夫人の名前も 財務省が与党幹部に報告(2018年3月12日配信『産経新聞』)

 

 財務省は12日、学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる14の決裁文書に関し、問題発覚後の昨年2月下旬から4月にかけて同省理財局で書き換えが行われたと、与党幹部に報告した。書き換えがあったのは、平成28年6月に森友側と国有地の売買契約を結ぶ際の決裁文書に添付した調書などで、削除部分には森友側の発言として安倍昭恵首相夫人の名前もあった。野党は書き換えの動機や指揮系統などの解明に加え、麻生太郎副総理兼財務相の辞任を求めるなど反発を強めている。

 財務省の太田充理財局長や富山一成理財局次長らは12日朝から与党幹部を個別に訪問し、関係者の聞き取り調査などの結果を報告した。報告は約80ページの文書にまとめられていた。それによると、財務省理財局は「貸付決議書(2件)」「売払決議書」「特例承認の決裁文書(2件)」の計5件の文書を書き換え、この内容を反映する形で残り9件の書き換えが確認された、としている。

 具体的には、売買契約当時の「売払決議書」には「要請を受けて、価格等について協議した結果、学園が買い受けることで合意した」と事前の価格交渉を示唆する記述があったが、書き換え後には削除されていた。

 「貸付契約までの経緯」という項目はまるごと削除されていた。削除部分には「特例的な内容となる」「理財局長承認を得ている」など、財務省本省の関与を示す部分もあった。

 

森友文書書き換え 「国民欺く犯罪」 不信と怒り拡大(2018年3月12日配信『毎日新聞』)

 

 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却を巡り、財務省は12日、契約に関する決裁文書を書き換えていたとの調査結果を与党に報告した。浮かび上がる、政府の隠蔽(いんぺい)体質。「歴史に対する犯罪だ」。公文書を書き換えるという民主主義の根幹を揺るがす行為に、不信の声が広がった。【宮嶋梓帆、遠藤浩二、茶谷亮】

 「決裁文書にどうやら書き換えがあったようだと報告を受けた」。午前10時半ごろ、自民党の森山裕国対委員長は国会内でカメラのフラッシュを浴びながら厳しい表情で語った。

 「公文書を改ざんしてまで隠そうとしたものは何だったのか。安倍晋三首相の妻昭恵氏の関与ではないのか」。国有地売却問題を追及してきた大阪府豊中市の木村真市議は書き換えの「動機」に疑惑の目を向ける。

 売却を巡っては、今月9日に国税庁長官を辞任した佐川宣寿・前財務省理財局長の国会答弁と矛盾する音声記録などが明らかになった。木村市議は「答弁との整合性のために改ざんされたとすれば国の統治基盤を根底から崩し、国民の知る権利を侵害する。国民を欺き歴史に対する重大な犯罪で、財務省による調査では信用できず、検察が徹底的に捜査すべきだ」と話した。

 昨年10月に佐川氏を証拠隠滅容疑で刑事告発した市民団体の発起人、醍醐聡・東大名誉教授は「公文書が改ざんされると国家を監視できず、情報公開制度の根幹が揺らぐ。近代国家とは思えない、信じられない行為だ」と批判した。「他にも同様の改ざんが行われているのではと疑心暗鬼になる。佐川氏の辞任での幕引きは許されず、誰が指示し、どのように改ざんされたか第三者委員会などで徹底的に解明しないといけない」と訴えた。

 所得税の確定申告のシーズンとあって、税務署を訪れた人たちも反発する。「我々は書類が大事だって言われながら手続きをしている。問題を追及していくべきだ」。東京都内の税務署で申告をしに来た千代田区の自営業の男性(78)は憤った。

 長官が辞任に追い込まれた国税庁の関係者はこぼした。「税務申告では、申告書の内容に誤りがあれば書き換えではなく修正申告をしてもらう。納税者から『書き換えを認めろ』と言われたら、現場は何と答えればいいのか……」

「不存在」が「存在」またも

 存在しないはずの文書が存在する−−。安倍政権下で、そんな光景が幾度も見られる。

 南スーダンに派遣した自衛隊の国連平和維持活動(PKO)を巡っては、フリージャーナリストが2016年に日報について情報公開請求した際、防衛省は陸上自衛隊で「廃棄した」として不開示に。ところが、17年2月に省内で電子データとして保管されていたことが発覚。翌月には陸自内にも保管されていたことをNHKが報じ、稲田朋美防衛相(当時)は直後の国会で「(陸自から)報告されなかった」と答弁した。

 ところが、陸自が稲田氏に報告していたと一部メディアが報じ、17年7月の防衛省特別防衛監察で「防衛相に(幹部から)何らかの発言があった可能性は否定できない」と指摘。稲田氏は辞任に追い込まれたものの、真相解明には至っていない。

 首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画では、17年5月17日に新設に関して「総理のご意向」などと書かれた文部科学省の内部文書の存在が明らかに。文科省は2日後に「文書の存在は確認できなかった」との調査結果を発表したが、前川喜平前文科事務次官が記者会見して「文書は真正のもの」と明言。新たな文書の存在も次々と明らかになったことで同省は再調査に追い込まれ、文書の存在を認めざるを得なくなった。

「昭恵氏らの証人喚問を」

 国に学園との交渉記録開示を求める訴訟を起こした上脇博之・神戸学院大教授は「官僚が勝手に書き換えをやるとは思えず、政治家の関与があったのでは」と指摘する。学園との交渉には複数の政治家が関与し、昭恵氏が小学校の名誉校長に就任したことも明らかになっている。上脇教授は「官僚の論理では考えられない。学園への特別優遇を隠さざるを得なかったのではないか。昭恵氏や佐川氏らの証人喚問が必要だ」と話す。

 国有地売却に関する別の訴訟を担当する大川一夫弁護士(大阪弁護士会)は「国会がないがしろにされており、きちんと追及すべきだ」と指摘した。

近畿財務局職員 硬い表情で出勤

 森友学園への国有地売却を担当し、決裁文書を作成した財務省近畿財務局(大阪市中央区)は、中央省庁の出先機関が集まる大阪合同庁舎第4号館内にある。担当部署に勤務していた男性職員が自殺。書き換え疑惑も確定的になり、職員らは一様に硬い表情で12日午前8時過ぎから次々に出勤した。

 財務局の広報担当者は「財務省本省に問い合わせてほしい」とだけ話した。

 

政府、財務省理財局の指示認定 森友文書の書き換え疑惑(2018年3月12日配信『朝日新聞』)

 

 学校法人・森友学園(大阪市)との国有地取引に関する決裁文書の書き換え疑惑で、財務省は12日、与党幹部に対し、書き換えがあったことを認める報告を行った。政府は、昨年2月に問題が発覚した後、国会答弁との整合性を図るために財務省理財局の指示で行われたと認定。削除部分には安倍晋三首相の妻昭恵氏の名前もあった。財務省は同日中に国会に報告、麻生太郎財務相が午後に記者団に説明する。

 複数の政府関係者によると、国会議員に開示した決裁文書とは別の決裁文書が存在。貸し付けや売却、特例申請に関しての文書で、14件あった。最初に決裁した文書について、問題発覚後の国会答弁と食い違いが生じないように、財務省理財局が主導して交渉の経緯などの部分を書き換えたうえで国会議員に開示したという。

 具体的には「本件の特殊性」などといった文言を削除。昭恵氏が森友学園で講演したという記述も消した。平沼赳夫・元経済産業相や鴻池祥肇・元防災担当相ら複数の政治家の名前が削られたケースもあったという。

 問題発覚後に理財局長として国会答弁に立った佐川宣寿(のぶひさ)氏は9日、責任を取って国税庁長官を辞任し、減給20%3カ月の懲戒処分も受けた。政府はさらなる関係者の処分を検討する。

 安倍首相は12日朝、首相官邸に入る際、記者団から「財務省が書き換えを認めるという報道についての受け止めをお願いします」と聞かれたが、無言だった。

 菅義偉官房長官は同日午前の定例会見で、麻生財務相の責任について、「財務省をあげた調査で全てはっきりすべく指揮をとっていただくべきだ」と語った。

 西村康稔官房副長官と財務省の福田淳一事務次官は同日午前、自民党の二階俊博幹事長に報告。二階氏は「国会でしっかり説明するように」と求めた。

 森友学園への国有地売却をめぐっては、大幅に値引きされていたことが昨年2月に朝日新聞の報道で発覚した。佐川氏は連日国会で答弁し、「適正だった」と主張。学園との交渉の記録は「廃棄した」と述べ、事前の価格交渉も否定していた。しかしその後、会計検査院の報告で値引きの根拠が「不十分」と指摘されたほか、学園側が金額をあげてやり取りする音声データも明らかになった。

森友学園との国有地取引と決裁文書をめぐる経緯

2015年5月 財務省近畿財務局が、売却を前提とした貸し付け契約を森友学園と結ぶ

16年3月 地下に「新たなごみ」があると学園側が報告。土地の購入を申し出る

同年6月 売却契約を結ぶ

17年2月 大幅な値引きで土地が売られた問題を朝日新聞が報道。国会での追及が始まる

同年11月 会計検査院が値引き額について「根拠が不十分」などとする検査結果を公表

18年3月2日 土地取引の決裁文書が書き換えられた疑いがあると朝日新聞が報道

3月9日 財務省前理財局長の佐川宣寿・国税庁長官が辞任

 

「死を無駄にしないで」 近畿財務局、死亡職員の親族(2018年3月12日配信『朝日新聞』)

 

 財務省近畿財務局で学校法人・森友学園(大阪市)との国有地売買の交渉・契約の担当部署に所属し、自殺したとみられる男性職員の親族が11日、朝日新聞などの取材に応じた。「家庭には何ら問題はなく、仕事に原因があるとしか考えられない」といい、今後の政府の対応について「この死を無駄にしないでほしい」と語った。

 この親族によると、男性は真面目で自分に厳しい一方、他人を責めない人柄だった。詳しい仕事の内容は聞いていなかったが、昨年夏ごろ、「眠れなくなり、仕事を休むようになった」と電話で話していたという。「いつも元気なのに、初めて弱音を聞いた」と振り返った。

 

森友担当死亡職員、親族に「常識壊された」と漏らす(2018年3月12日配信『共同通信』)

 

 学校法人「森友学園」の国有地売却問題を担当した財務省近畿財務局管財部に所属し、7日に神戸市内で自殺した男性職員は昨年夏、親族との電話で「常識が壊された」と漏らしていた。

 親族は詳しい内容を聞いていないとしつつ「実直な人なので、やるべきではない仕事をさせられたのではないかと思う」と語った。親族が12日、取材に応じ、昨年来のやりとりを明かした。

 職員は50代。以前は仕事の話をほとんどせず、弱音を吐いたこともなかったが、昨年8月、心療内科に通っていることを告げられた。電話で「毎月100時間の残業が何カ月も続いた」「常識が壊された」とつらそうな様子で話し「異動できずつらい」とも打ち明けたという。

 職員はその後、仕事を休んだ。昨年12月に届いたメールでは、年明けの職場復帰の計画に触れながらも「心と体がうまくついていかない」と不安を吐露していた。

 近畿財務局が国有地を値引きして売却した問題は、昨年2月に発覚した。森友学園を巡る財務省の決裁文書改ざん問題も踏まえ、親族は「汚い仕事をさせられたのではないか」と疑念を強めている。「正義感が強いから、間違ったことをさせられていれば、すごく抵抗したのではないか。全てを明らかにしてほしい」と訴えた。

 

書き換えは14文書、1つは開示請求後 財務省理財局職員が関与 別文書に鴻池、平沼氏秘書らの名前(2018年3月12日配信『産経新聞』)

 

 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題で、財務省近畿財務局が作成し、途中で書き換えた文書(決裁文書を含む書類の束)は14あり、このうち1つは、情報公開法に基づく開示請求後に書き換えていたことが11日、分かった。財務省は12日に調査結果を国会に報告する方針だが、これまで書き換えを否定してきただけに、野党は反発を強めており、事態収拾のめどはつかない。

 複数の政府高官が明らかにした。

 書き換えがあった14の文書の内訳は、貸し付けに関する決裁書が2つ、売買に関する決裁書が1つ、特例に関する稟議(りんぎ)書が2つ、これらに付随する文書が9つだった。1つの文書から交渉の経緯などを削除しようとしたところ、玉突きで次々に書き換えせねばならなくなったという。

 開示請求後に書き換えた文書は、近畿財務局と森友学園の籠池泰典理事長(当時)の交渉に関するメモ。籠池氏と価格交渉したと受け止められかねない部分について開示請求後に削除したとみられ、財務省理財局の職員が関与した疑いが強い。

 理財局が保管していたのは決裁後の文書だけ。近畿財務局も文書の大半を大阪地検に押収されていたため、財務省は森友学園との交渉に関与した近畿財務局職員27人からヒアリングを行い、自民党幹部らに「明確な書き換えの事実はみつからなかった」と説明していた。

 だが、自民党側は納得せず、さらなる調査を要請。佐川宣寿氏が国税庁長官を引責辞任した直後の10日未明、法務省が検察当局に資料の提供を求め、検察当局が、これに応じて押収文書の写しを提供した。

 財務省が提供文書を10、11両日に分析したところ、14文書で書き換えが確認されたという。

 書き換えの動機は、佐川氏が昨年の通常国会で理財局長として「交渉記録は残っていない」などと答弁したことだった。理財局の職員らは、答弁との整合性を取るために次々に書き換えを続けたとみられる。

 この問題に関し、麻生太郎副総理兼財務相、福田淳一財務事務次官、太田充理財局長らは一切関与していなかったという。

 一方、近畿財務局が、3年間貸し付ける計画だった問題の土地を、籠池氏の強い要請を受けて10年間に延長することの承諾を求める稟議書にも書き換えがあった。鴻池祥肇元防災担当相、平沼赳夫元経済産業相、鳩山邦夫元総務相(故人)、北川イッセイ元参院議員の各秘書らの働きかけがあったことの文面はすべて削除されていた。ただ、近畿財務局は政治家に関連する働きかけについては「ゼロ回答」だったという。

 野党は「佐川喚問」引き続き要求

 野党は、国税庁長官を辞任した佐川宣寿氏の証人喚問を引き続き要求し、麻生太郎副総理兼財務相らの責任も追及する構えだ。

 希望の党の玉木雄一郎代表は11日、フジテレビ「新報道2001」で「内閣全体の体質と責任が問われる問題だ。麻生氏の責任は免れない。説明責任を果たせないために(佐川氏を)辞めさせたと思わざるを得ない」と批判した。

 共産党の志位和夫委員長は国会内で記者団に「役人が自発的に改竄(かいざん)をやるわけがない。森友学園の名誉校長を務めた安倍昭恵首相夫人のためだったのではないか」と述べた。

 憲法9条の改正に関しては、安倍首相(自民党総裁)が掲げる「2項を維持して自衛隊の存在を明記する案」が25・2%、「2項を削除して自衛隊の役割や目的などを明記する案」が30・0%、「9条を変える必要はない」は39・9%だった。政府の権限強化と国会議員の任期延長を一時的に認める「緊急事態条項」の創設には、賛成が64・6%を占めた。

 政党支持率は、自民党が35・4%で前回から3・4ポイント下落した。以下、立憲民主党14・0%、公明党4・0%、共産党3・1%、日本維新の会2・7%、希望の党1・4%、民進党1・2%の順だった。

 

内閣支持率下落45% 森友文書書き換えで「麻生太郎氏は辞任すべき」71%(2018年3月12日配信『産経新聞』)

 

 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)は10、11両日、合同世論調査を実施した。安倍晋三内閣の支持率は45・0%で、前回調査(2月10、11両日)と比べて6・0ポイント下がった。不支持は43・8%で、前回より4・8ポイント上昇した。裁量労働制に関する厚生労働省のデータ不備や、学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却をめぐる財務省の文書書き換えといった問題が支持率に影響したとみられる。

 文書書き換え問題に対する麻生太郎副総理兼財務相の責任について、「即刻辞任すべきだ」が17・9%、「書き換えが事実だった場合は辞任すべきだ」が53・1%で、2つを合わせると71・0%に上った。「辞任する必要はない」は26・1%だった。昨年の通常国会で「文書記録は残っていない」などと答弁していた当時の理財局長、佐川宣寿前国税庁長官が国会で説明すべきだとの回答は88・0%に達した。

 

 核・ミサイル開発を進める北朝鮮への圧力を最大限に高めるべきだとする日米両政府の方針への支持は81・9%。米朝首脳会談や南北首脳会談が北朝鮮の核・ミサイル開発の阻止につながると「思う」との回答は30・0%で、「思わない」は61・8%だった。

 

 

高齢層や女性、無党派層で目立つ「安倍離れ」(2018年3月12日配信『読売新聞』)

 

 読売新聞社の全国世論調査で、内閣支持率は先月比6ポイント減の48%となり、昨年10月7〜8日の衆院選公示直前の調査(41%)以来、約5か月ぶりに5割を下回った。

 とくに以前から支持が低い傾向にある高齢層や女性、無党派層での“安倍離れ”が目立っている。

 今回の内閣支持率の下落幅は、森友学園問題が表面化した後の昨年3月調査(56%)の10ポイントや、支持率が第2次内閣発足以来最低だった同7月調査(36%)の13ポイントなどと比べると小さい。

 しかし、今回調査の内閣支持率を年代別にみると、高齢層の落ち込みが大きい。18〜29歳は6割台、30歳代と50歳代では5割台だったが、60歳以上は37%(前回46%)。60歳代に限ると30%(同42%)と12ポイント下がり、昨年7月調査時に前月比11ポイント低下したのとほぼ同じ下落幅を記録した。

 男女別では、男性が55%(前回60%)となお半数を超えたのに対し、女性は42%(同49%)に低下。無党派層に限った内閣支持率も22%(同29%)に下がった。

 安倍内閣を支持しない人に聞いた理由は、トップの「首相が信頼できない」が51%(前回42%)に上昇した。第2次内閣発足以降では昨年8月の54%に次いで高い数字だ。内閣を支持する人に理由を聞いた質問でも、「これまでの内閣よりよい」が48%(同42%)となり、消極的理由が増えた。

 安倍内閣に優先して取り組んでほしい課題(複数回答)のトップは「景気や雇用」86%(前回85%)。「森友学園や加計かけ学園を巡る問題」47%は前回より7ポイント上昇した。ただ、選択肢9項目の中では7位だった。

 一方、森友問題で政府への追及を強める野党への追い風は吹いていない。政党支持率で、自民党は38%(前回42%)とやや下がったが、立憲民主党など野党各党はいずれも1けた台だった。

 

政府の森友文書対応「不適切」80%…読売調査(2018年3月11日配信『読売新聞』)

 

 読売新聞社が9〜11日に実施した全国世論調査で、安倍内閣の支持率は48%となり、前回調査(2月10〜11日)の54%から6ポイント下落した。

 昨年10月の衆院選後初めて5割を下回った。不支持は42%(前回36%)だった。

 

政府の森友文書対応「不適切」80%…読売調査(2018年3月11日配信『読売新聞』)

 

 読売新聞社が9〜11日に実施した全国世論調査で、森友学園への国有地売却を巡り、財務省内で決裁文書が書き換えられた疑いについて、政府が適切に対応していると思わない人は80%に上った。

 「適切に対応している」は11%だった。

 

森友疑惑 自殺した近畿財務局職員の妻の無念「1人で抱え込んだ」”主犯”は佐川前長官?(2018年3月11日配信『週刊朝日』)

 

 朝日新聞がスクープした森友学園への国有地売却の決裁文書「書き換え」疑惑が大きく動き出した。これまで「知らぬ存ぜぬ」を貫いてきた財務省が12日、ついに白旗をあげ、書き換えを認めるというのだ。

「書き換えの“主犯”は森友への国有地売却が発覚した昨年2月当時、理財局長を務めていた佐川宣寿前国税長官ら幹部。佐川氏は国会で売却の経緯を責任者として説明したが、決済文書の内容をそのまま、公表すると辻褄が合わなくなるので、近畿財務局幹部らに書き換えを指示したようです。関与した財務省幹部、近畿財務局職員らの処分が検討されています」(与党関係者)

 国会が疑惑解明へと動き出したきっかけは9日朝、永田町を駆け巡った疑惑のキーマンの1人とされる近畿財務局職員の自殺の一報だった。その直後、佐川前国税庁長官は逃げるように辞任している。

 遺書のようなメモを残し、神戸市内の自宅で7日、首を吊ったのは、森友学園の籠池泰典前理事長と直接交渉にあたっていた近畿財務局統括国有財産管理官(当時)の直属の部下だったAさん。

 Aさんの遺体は10日午前、故郷の岡山県内の葬儀場からひっそりと出棺された。

 遺族の知人は言う。

「奥さんは『どうしてこんなことになってしまったのか』『ひとりで抱え込んでしまって、ずっと休んでいた』『あんな担当になり、巻き込まれてしまった』と泣いていた」

 Aさんは体調を崩し、昨年秋から休職中だった。

 「Aさんは森友への国有地売却交渉がほぼ終わっていた時、前任者から引き継いだだけ。(昨年2月に)森友問題が発覚してからは、ずっと帰宅が深夜で、朝も早くから役所に来ていました。休職前もつらそうな顔で歩いていたので『大変ですね』と声を掛けると、小声で『ええ』という返事があっただけでした。もしウチ(近畿財務局)が文書書き換えに関与したのなら当然、Aさんの名前は思い浮かびます。『天の声でやらされて、休職に追い込まれてしまったのか』とずっと噂になっていました」(近畿財務局関係者)

Aさんは正月明けに職場に顔をみせていた

 Aさんは正月明け、新年のあいさつで職場に顔を出し、春の復帰を目指していたという。朝日新聞の報道(3月2日付)で文書書き換え疑惑が浮上した直後、再び職場にひょっこりと顔を出したという。

「かなり体調がよくなってきました」と関係各所にあいさつしたが、わずか数日後に自ら死を選んだ。

 Aさんの自殺について9日の会見で質問された麻生太郎財務相はこう言葉を濁した。 

「大変残念で誠に悲しい話だ。(佐川氏の)辞任と直接つながったように(メディアは)報道したいんだろうけど、私はわからない」 

  Aさんの妻の親族は麻生財務相、財務省に怒りを隠さなかった。

「麻生財務相の会見をテレビで見てて本当に腹が立ちました。このままでは、死人に口なしでAさん一人だけが悪者にされてしまう。洗いざらい全部、真相を明らかにしてほしい」

 昨年10月にはAさんの妻の父親の法事があり、Aさん夫妻は岡山に里帰りし、墓参りをしていたという。Aさん夫妻は互いの仕事を大事にし、子どもはいなかったという。

「Aさんは芯が強くて仕事もしっかりやれる人物。精神的にも、タフですよ。それが自殺とは、よほどのことがあったのではないか」(別の近畿財務局関係者)

 もともと近畿財務局は森友側との交渉には乗り気でなかった。財務省は1月、神戸学院大の上脇博之教授による情報公開請求に対し、森友学園への国有地売却関連文書を5件、2月には20件、計約300nにのぼる文書を国会に提出したが、それらをひもとくと、15年半ば、近畿財務局と森友側の交渉が暗礁に乗り上げていたことが読み取れる。

 同年4月には、森友側が軟弱な地盤を理由に貸付料の減額を求めてきたことに対し、省内で「『無理に本地を借りていただかなくてもよい』と投げかけることも考えている」と契約破棄も検討していた。

 ところが、安倍昭恵首相夫人が同年9月に小学校の名誉校長に就任したころから風向きがガラリと変わった。同年11月には、昭恵夫人付の政府職員が同省に「問い合わせ」、回答のファクスを森友側に送付。そのころから交渉内容が一変していく。賃貸契約の破棄を検討していたはずが、同年12月には「国有地の売買価格の交渉」、さらには「売買価格を学校法人に提示して買い受けの可否を判断させるなどの調整が必要」と変貌していた。

大阪地検特捜部の“やる気”は?

佐川氏が9日、辞任した後、麻生財務相は一連の経緯を説明したが、支離滅裂だった。

 辞任は佐川氏からの申し出だと説明したにもかかわらず、「国有財産行政に関する信頼を損なったことを踏まえ、減給20%、3カ月の懲戒処分にする」と発表。退職金から差し引くと言いながら、国税庁長官に任命した自らの責任を問われると、「彼はきわめて有能だし、真面目」「適材適所だった」と矛盾する弁明をした。

 上脇教授がこう批判する。

 「佐川氏を懲戒処分にしたのであれば、本来は更迭しなければならないはず。その理由は文書書き換えか、虚偽答弁か、文書破棄か。麻生財務相は説明する責任があるのに、まったく果たしていない」

 12日にも発表される財務省調査の中身がどこまで踏み込んだものになるのか、注目される。

 「佐川氏の辞任で財務省は事実上、これまでの虚偽答弁≠認め、白旗を揚げたようなものだった。新たな森友文書書き換え疑惑で告発状が出れば、本省もガサ(強制捜査)をかけられるかもしれない。上から捜査を終了してはどうかという打診も出ていたが、指揮する山本真千子・大阪地検特捜部長が粘り、まだ継続中です。2月末には、大阪高検検事長が上野友慈氏に交代した。上野検事長は大阪の特捜部時代にイトマン事件、横山ノック知事の強制わいせつ事件など大きな案件を手掛けた敏腕。森友疑惑を徹底してやると噂になっている」(大阪地検関係者)

 森友疑惑の核心にメスが入るのか? 

 

進次郎氏「自民は『しっぽ切り』しない」 森友文書問題(2018年3月11日配信『朝日新聞』)

 

 森友学園との国有地取引に関する財務省の決裁文書が書き換えられた疑いをめぐり、財務省は12日に与党幹部や国会に調査結果を報告する。すでに同省前理財局長の佐川宣寿(のぶひさ)・国税庁長官が引責辞任しているが、野党側は麻生太郎財務相の責任を追及する姿勢を鮮明にしている。

 希望の党の玉木雄一郎代表は11日、東京都内で記者団に「(書き換えが)事実だとしたら重大で、内閣全体の責任が問われる問題。麻生財務相の責任は免れない」と指摘。政治による関与の有無や安倍晋三首相の妻・昭恵氏との関係などについても、国会で説明を求めていく考えを示した。

 立憲民主党の長妻昭代表代行も「非常に情報公開に消極的だったという政治責任は当然、麻生財務相にはある」と言及。共産党の志位和夫委員長は佐川氏と昭恵氏について「国会招致は絶対に不可欠になってきた」と語った。

 政権はあくまで麻生氏を守る考え。副総理として政権の中軸を担う麻生氏の進退問題となれば、安倍政権を大きく揺るがすことになるためだ。

 一方、自民党内からも問題の究明を求める声が出始めている。

 小泉進次郎党筆頭副幹事長は11日、岩手県陸前高田市で、「書き換えが事実だとすれば、真実を国民に伝える必要がある」と記者団に語った。

 

森友文書 検察当局が書き換え前の文書の写しを財務省に提供(2018年3月11日配信『NHKニュース』)

 

「森友学園」への国有地売却をめぐる問題で、検察当局が書き換え前のものとみられる財務省の決裁文書を保管し、その写しを財務省側に提供したことが関係者への取材でわかりました。検察当局は決裁文書が書き換えられた経緯についても確認を進めているものとみられます。

「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書をめぐって麻生副総理兼財務大臣は今月9日の記者会見で、文書が書き換えられたのかどうか明らかにするうえで検察当局にも協力を要請する必要があるという考えを示していました。

関係者によりますと、検察当局は国会に提出された決裁文書とは一部、内容が異なる書き換え前のものとみられる文書を保管していて財務省側の要請に基づきその写しを提供したことが関係者への取材でわかりました。

提供したのは近畿財務局が作成した決裁文書の写しで、この中には国会に提出された文書にはない「本件の特殊性」などの文言が含まれているということです。

検察当局は決裁文書が書き換えられた経緯についても確認を進めているものとみられます。

 

共産 志位委員長“文書改ざんなら安倍内閣は退陣すべき”(2018年3月11日配信『NHKニュース』)

 

森友学園への国有地売却をめぐる問題で、財務省が決裁文書の書き換えを認める方針を固めていることについて、共産党の志位委員長は、文書が改ざんされたのであれば麻生副総理兼財務大臣だけの問題にとどまらないとして、安倍内閣は退陣すべきだという考えを示しました。

森友学園への国有地売却に関する財務省の文書が書き換えられた疑いがあると報じられたことについて、財務省は決裁文書に書き換えがあったことを認め、12日、国会に報告する方針です。

共産党の志位委員長は11日夜、記者団に対し、「どういう政治的圧力が働いたのか、何のための改ざんだったのかを徹底追及する必要があり、佐川前国税庁長官や、安倍総理大臣夫人の昭恵氏の国会招致が絶対不可欠だ」と述べました。

 そのうえで、志位氏は「改ざんとなれば、麻生副総理兼財務大臣1人の問題にとどまるわけはなく、安倍政権が総退陣する必要がある」と述べ、文書が改ざんされたのであれば安倍内閣は退陣すべきだという考えを示しました。

 

志位氏「役人が勝手に、あり得ない」 森友文書問題(2018年3月11日配信『朝日新聞』)

 

志位和夫・共産党委員長(発言録)

 森友学園の公文書改ざん問題で佐川(宣寿)国税庁長官が辞任した。今日の報道では、佐川氏の指示でやったという報道もあるが、役人が犯罪行為になるかもしれない公文書の改ざんを自発的な意思でやることがあるか。誰が考えたって、役人が勝手にやるってことはあり得ない。佐川氏ひとりに全ての責任をかぶせて幕引きさせることは絶対に許されない。

 どういう政治的圧力が働いたかが解明すべき肝心な点です。一体誰のための改ざんだったのか。森友学園の(小学校の)名誉校長を務めていた安倍昭恵さんのためにやったんじゃないか。誰でもそう考えるじゃないですか。

 改ざんの経過と責任、徹底的に糾明しようじゃないか。佐川さんにも昭恵さんにも、国会に出てきてもらおうじゃありませんか。

 これは絶対にあってはならないことなんです。立法府に行政府がうそをついていた。これでは国会審議や議会制民主主義は成り立たない。改ざんが事実だとなれば、麻生財務大臣が辞めただけでは済まない。安倍内閣に退陣をしてもらおうじゃありませんか。(国会前での反原発集会で)

 

森友問題の第一発見者が語る「歴史に対する犯罪」(2018年3月11日配信『日刊スポーツ』)

 

 財務省による決裁文書書き換え疑惑のキーマン、佐川宣寿国税庁長官(60)が、理財局長時代の対応などを理由に突然辞任しました。大阪市の学校法人「森友学園」が小学校用地として大阪府豊中市の国有地を格安取得した疑惑発覚のきっかけをつくった木村真・豊中市議(53)は一連の疑惑に何を思ったのでしょうか。森友問題の第一発見者に聞きました。

 佐川氏の辞任に木村氏は「ハッ!? いまさらなに言うてんねん」と憤り、さらにこう続けました。

 「もし公文書の書き換えが事実なら、もう役人1人が辞めて済むレベルではない。公文書の改ざんは、この国の根幹を崩す歴史に対する犯罪」

 森友問題が発覚したのは木村氏が問題の土地の売却過程に疑問を抱いたことがきっかけ。16年9月に木村氏が国有財産の処分を決める財務省近畿財務局に行政文書の公開請求をしたことが始まり。出てきた公文書は「黒塗り」だらけ。「絶対に何かある」と確信し、追及を始めました。

 国有地売却交渉が行われていた当時の財務省理財局長が佐川氏でした。国会では佐川氏らが答弁を担当。「すべて適正に手続きを行った」などと森友に便宜を図ったことを否定し続けました。もしこの答弁に沿ったかたちで書き換えが行われていたとしたら…。

 「特別扱いをしたことを隠そうとし、“虚偽答弁”合わせるためにウソにウソを重ね、書き換えていたなら、もうこれはとんでもなく悪質。絶対に越えてはいけない一線です」

 木村氏の怒りは収まりません。書き換えはウソが本当になる仕組み。おそらく「仕組み」なんて言葉を使うのは「適正」ではないでしょう。

 なぜ佐川氏は電撃辞任したのでしょうか。国有地売却をめぐり、近畿財務局で学園の案件に関わった男性職員が亡くなっていたことが分かりました。亡くなったのは、近畿財務局で国有財産の売却などを担当する管財部の所属。学園側と交渉に当たった担当者の部下でした。自殺とみられ、遺書のようなメモが残されていました。訃報が公になった後、佐川氏が電撃辞任しました。

 財務省は森友学園への国有地売却に関する決裁文書に書き換えがあったと認める方針を固めました。木村氏はもう1度、同じ言葉を繰り返しました。

 「もう役人1人が辞めて済むレベルではない」

 

森友文書:書き換え何のため 行政文書の信頼失墜(2018年3月11日配信『毎日新聞』)

 

 森友学園への国有地売却を巡る決裁文書が書き換えられたとされる疑惑。大阪地検による捜査を盾に説明を拒み続けた財務省が、書き換えを認める方針を固めた。何の目的で書き換えられたのか。行政文書の信頼をおとしめる事態に、財務省への批判が高まるのは必至だ。

 疑惑が指摘された文書は、森友学園への国有地取引を巡って2015〜16年、同省近畿財務局が作成した貸し付け・売買の決裁文書2件。今月2日付の朝日新聞は、決裁当初の文書にはあった「特例的な内容」「学園の提案に応じて鑑定評価を行い価格提示を行う」などの記載が、昨年5月以降に国会に提出されたものでは削除されていた−−などと報じた。

 報道に対し、麻生太郎財務相は2日の参院予算委員会で、捜査に影響を与える可能性があることを理由に「答えは差し控える」と説明を拒否。財務省も「調査は困難」と消極姿勢をみせていた。

 こうした対応に、自民党の二階俊博幹事長が記者会見で「理解できない」と述べるなど与党からも批判が出た。9日には前理財局長の佐川宣寿国税庁長官が辞任。書き換え疑惑により国会で混乱を招いたことを辞任の理由に挙げた。疑惑を巡って財務省の外堀は埋められていた。

 野党は「(安倍晋三首相の妻の)昭恵氏の関与を隠すためではないか」と書き換え疑惑を追及している。財務省が書き換えを認めれば、「そんたく」の有無についても改めて解明が求められることになる。

 大阪地検特捜部は、森友学園への国有地売却を巡る問題で、背任容疑や公用文書毀棄(きき)容疑で告発を受けている。今後、書き換え疑惑で捜査が進むのかも焦点になる。

 

森友公文書 指示・了承も刑法抵触の可能性(2018年3月11日配信『東京新聞』)

 

 Q 書き換え疑惑のある公文書ってどんなもの?

 A 森友学園に国有地を売却した2016年6月当時、財務省近畿財務局が局内で決裁を受けるために作成した文書です。森友学園の土地取引問題が発覚した一七年二月以降、国会議員に開示されましたが、交渉の経緯などを記した部分に違いがあると報道され、書き換えた疑惑が指摘されています。

 Q どんな罪にあたる可能性があるの?

 A 今回のケースで刑事責任を問われるとすれば、主に想定されるのは、刑法の虚偽公文書作成罪か公用文書毀棄(きき)罪です。決裁済みの公文書に手を加えてうその内容にすれば虚偽公文書作成罪。内容がうそとはいえない場合でも一部を削除していれば公用文書毀棄罪が成立する可能性があります。

 一方、行政文書の適切な作成、保存、公表などについて定めた公文書管理法には罰則規定がありません。

 Q 文書を書き換えたのなら、通常は公文書偽造罪にあたるのでは?

 A 公文書偽造罪は、公文書の作成権限がない人が偽造をした場合に限られ、作成権限のある人が一人でも関わっていれば成立しないとされています。

 Q 誰が罪に問われるのか?

 A 実際に公文書を書き換えた人に限らず、指示をした上司や了承した幹部も罪に問われる可能性があります。公文書は、国や自治体の動きについて国民に適切に説明する責務を果たすための重要な資料で、「民主主義の根幹を支える知的資源」と位置付けられており、私文書の改ざんなどに比べてより厳しい刑罰が定められています。

 

森友自殺者もどこ吹く風 昭恵夫人の変わらぬ脳天気ライフ(2018年3月11日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 急転直下の展開の連続で、いよいよ安倍政権を窮地に追い込んだ森友疑惑。ところが、政権を揺るがす疑惑の“震源地”でありながら、どこ吹く風なのが安倍首相の妻・昭恵夫人だ。

 朝日新聞が財務省の「決裁文書改ざん疑惑」をスッパ抜いた今月2日以降の夫人のフェイスブックの投稿をみると、反省の色なし。オツムの中はお花畑のような「浮かれっぷり」がヒシヒシと伝わってくる。

 スクープ当日の2日は<能舞台においてアジアのファッションショー。モデルの皆さんが全員足袋を履いているのが印象的でした>などと投稿。昭恵夫人の友人のフェイスブックによると、4日は高級なもので1粒1000円もする「ミガキイチゴ」を堪能していた。「そだねージャパン」のもぐもぐタイムじゃあるまいし、とても国会を騒がせている張本人とは思えない。

 7日は映画観賞を報告。<保護司の仕事、非行に走る少年少女たちを取り巻く環境や思い…多くのことを学び、感じる映画です>と書いたが、まず自分の「非行」に思いを馳せるのが先だろう。近畿財務局の森友担当職員の自殺が判明した9日は、<3月8日は国際女性デー。HAPPY WOMANのイベントに参加しました>などとシレッと投稿していた。

 ■安倍首相は谷村新司夫妻と会食

 8日昼に安倍首相は官邸に近いホテル内のレストランで、歌手の谷村新司夫妻と会食したが、なぜか昭恵夫人は欠席。この時期に芸能人とランチを堪能する安倍首相もイカれているが、昭恵夫人も相手夫婦がそろっていたのに、失礼だと思わなかったのか。マトモな大人なら持ち合わせている常識が欠落しているに違いない。

 さらに、2014年3月に投稿された森友学園の籠池夫妻とのスリーショット写真を、いまだフェイスブックに公開したままなのも謎だ。森友疑惑を巡って自殺者まで出たのに、今年2月に訪問先で語ったように依然として、「私が真実を知りたいと本当に思う」「何も関わっていない」という認識ならば神経を疑う。

 来週17日にも昭恵夫人は愛知県東海市で「対談会」を予定している。こんな“能天気ライフ”は卒業して、いい加減、国民に真実を語ったらどうか。

 

森友文書 財務省書き換え、佐川氏が指示 12日国会報告(2018年3月11日配信『毎日新聞』)

 

答弁にあわせる

 学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書が書き換えられたとされる疑惑で、財務省は10日、書き換えを認める方針を固めた。財務省の調査で、国会議員らに開示された決裁文書に複数の書き換えられた部分が見つかった。売却問題が発覚した昨年2月当時は、佐川宣寿前国税庁長官が理財局長を務めており、売却の経緯を説明する責任者として書き換えを指示したとみられる。書き換えの事実が判明したことで、安倍晋三首相や麻生太郎副総理兼財務相の責任を問う声が高まりそうだ。

 書き換えがあったのは、2016年6月に森友側と国有地の売買契約を結ぶ際に作成された決裁文書など。財務省の調査で、当時の文書にあった「特殊性」などの記述が、昨年、国会に提出された決裁文書からは削除されるなどしていたことが判明した。

 佐川氏は国会で「事前の価格交渉はなかった」などと答弁。森友への国有地売却の特殊性を否定していた。決裁文書は佐川氏の答弁に沿うように書き換えられていた模様だ。政府関係者によると、自身の答弁を正当化するため、佐川氏が書き換えを指示した可能性があるという。

 佐川氏は9日、「国会対応に丁寧さを欠き、審議に混乱を招いた」などとして、国税庁長官を辞任。麻生氏は佐川氏を懲戒処分とした。

 財務省は12日に国会に書き換えがあったことを報告する方針だが、書き換えに関与した職員の規模などについては不明な点も多いため、引き続き調査する。

 安倍首相は10日、「財務省において(大阪地検の)捜査に全面的に協力をする一方、文書の有無を明らかにするために全力を挙げなければならない」と述べた。そのうえで「来週早々には(調査)結果について示せるよう全力で取り組んでもらいたい」と財務省に早急な対応を求めた。視察先の福島県葛尾村で記者団の質問に答えた。

 

文書書き換え 「改竄ではなく訂正」 自民幹部「問題なし」冷静(2018年3月11日配信『産経新聞』)

 

 財務省が学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書に書き換えがあったと認める方針を固めたが、自民党幹部は「改竄(かいざん)ではなく訂正はあったようだ。そのレベルだ」と語った。与党幹部は書き換えについて「少なくとも近畿財務局内部の話とみられ、麻生太郎副総理兼財務相の進退問題には発展しない」と説明する。

 財務省の福田淳一事務次官は9日夕、自民党の二階俊博幹事長との会談で、12日の調査結果の報告について「全部出します」と強調した。同席者が「小出しにしたり、公文書偽造に当たることはないのか」と念を押すと、福田氏は問題ないとの認識を示したという。

 しかし、書き換えの時期などが現段階で明らかになっていないことから、財務省による12日の国会報告が不十分な内容だった場合、野党が反発を強めるのは避けられず、「佐川宣寿(のぶひさ)国税庁長官の更迭だけでは済まない」(自民党閣僚経験者)との懸念は消えない。

 これに関連し、自民党の岸田文雄政調会長も山梨県内で記者団に「国民が納得できるよう説明することが大事だ」と強調した。公明党の山口那津男代表は10日、視察先の福島県内で記者団に「(麻生氏は)政治的責任を負う中で、状況全体を把握し、とにかく説明責任を果たしてもらいたい」と注文をつけた。

 

文書書き換え 野党は徹底追及へ(2018年3月11日配信『産経新聞』)

 

 財務省が森友学園への国有地売却に関する決裁文書書き換えを認める方針を固めたことを受け、野党は政権への追及姿勢を一層強める構えだ。かねて求めている安倍昭恵首相夫人らの証人喚問に加え、麻生太郎副総理兼財務相の辞任も要求していくとみられる。

 立憲民主党幹部は10日夜、産経新聞の取材に対し「事実だとしたら麻生氏の監督責任は免れない。安倍晋三首相の責任も厳しく問われる」と語った。民進党の増子輝彦幹事長は、書き換え疑惑が浮上してから1週間以上を要したことを「遅きに失した」と断じ、「公文書改竄は立法府に対する冒涜(ぼうとく)だ。誰の指示で何のために書き換えたのかを明らかにする必要がある」と指摘した。

 希望の党の玉木雄一郎代表は「麻生氏は9日の記者会見の時点で書き換えについて把握していたと思わざるを得ない」と非難した。「昭恵夫人が(森友学園の小学校の)名誉校長に就任したことが、事案の『特殊性』を招いた疑いが強まった」とも主張した。

 日本維新の会の遠藤敬国対委員長は「国民の省庁に対する不信が高まることは間違いない。徹底した説明が必要だ」と強調した。

 

書き換え疑惑「政治の力働いた」 前川・前文科次官(2018年3月11日配信『朝日新聞』)

 

 森友学園への国有地売却に関する財務省の決裁文書が書き換えられた疑惑について、前川喜平・前文部科学事務次官は10日、「行政的に無理なことは、役人は自発的にやるはずがない。どうしても何らかの政治の力が働いているからこういうことが起こる。どういう政治の力がどう働いているかに、問題の本質はある」と岐阜市内で記者団に述べた。佐川宣寿(のぶひさ)・国税庁長官の辞任については「役人だった者としては気の毒だと思う気持ちはある。相当無理なことをしていたなあと。辞めるのであれば、もっと自由に発言したらいい」と語った。

 

森友公文書改ざん疑惑 市民・野党の共闘で解明を(2018年3月11日配信『しんぶん赤旗』)

 

共産党が緊急街頭演説

小池書記局長訴え 東京・新宿

 学校法人「森友学園」との国有地取引をめぐる決裁文書改ざん疑惑の徹底究明を求めて日本共産党は10日、全国各地で緊急の街頭演説を行いました。東京・新宿駅西口では小池晃書記局長、吉良よし子、山添拓両参院議員が「市民と野党の共闘で、疑惑の徹底解明を迫ろう」と訴え、多くの通行人が足を止め、訴えに熱心に耳を傾けていました。用意したビラや「赤旗」特別号外も20分ほどでなくなりました。

 小池氏は、決裁文書の国会提出時、財務省理財局長だった佐川宣寿国税庁長官が辞任したことについて、「森友疑惑に対する国民の深い怒り、6野党が結束してたたかった国会論戦が追い込んだ結果だ」と指摘。「同時に、辞めてすむ話ではない。証人喚問で真相解明を」と訴えました。さらに、佐川氏を「適材適所」といって国税庁長官に任命した安倍晋三首相、麻生太郎財務相の責任をあげ、「役人に責任を押し付けて、自分たちの責任は認めないのは、あまりに卑劣な態度だ。幕引きを絶対に許してはならない」と強調しました。

 また、自民党の森山裕国対委員長が、辞任した佐川氏は「一般人になったので、証人喚問は難しくなった」と発言したことに言及。「証人喚問から逃れるために辞めさせたと白状したようなものではないか」と批判。「森友」疑惑で与党が率先して証人喚問したのが、「一般人」の籠池泰典同学園理事長(当時)だったと述べ、「喚問逃れは絶対に許さない。その声を一緒に上げていこう」と訴えました。

 そのうえで、小池氏は、決裁文書の改ざんは国政調査権を蹂躙(じゅうりん)する歴史的暴挙だと強調。「こんなことがまかり通ったら、国会での議論は成り立たない」として「野党が今、足並みをそろえて正常な国会に戻せと与党に要求している。野党のたたかいを応援してほしい。政府に正しい資料を、改ざん前の資料を出させよう」と呼びかけました。

 さらに、小池氏は「安倍首相と、首相夫人が、土地取引にかかわっていたとにおわせる部分を削除したとしたら、これほどひどい改ざんはない」と指摘。南スーダンPKO(国連平和維持活動)の日報の隠蔽(いんぺい)、裁量労働制の労働時間をめぐるデータねつ造をはじめ、安倍政権下で次々と国民を欺く事態が生まれていることについて、「安倍首相が、今まで積み上げてきた政策決定を全部ひっくり返すようなやり方をするから、次々に矛盾が噴き出している」と訴えました。

 小池氏は「改ざんが事実であれば、安倍内閣は総辞職しなければならない」と指摘。「国政の私物化も情報の隠蔽も許さない。森友疑惑を解明し、新しい政治を市民と野党の共闘でつくっていく。そのために一緒に声を上げていこう」と訴えました。

 うなずきながら聞いていた神奈川県在住の女性(40)は、「佐川国税庁長官の辞任だけで収まる話ではない。政府には国民に説明する義務がある」と声を震わせました。

 

財務省が改ざん前文書公表の見込み(2018年3月10日配信『リテラ』)

 

財務省が改ざん前文書公表へ! 文書には政治家の実名が掲載との情報も、安倍官邸は財務省に責任を押し付け逃げ切る方針

 ついさっき、森友学園の土地取引にかんする決裁文書の改ざん問題で、財務省が「書き換えがあったと認める方針を固めた」というニュースが飛び出した。

 じつは、この情報は本日今朝から駆け巡っていた。いまのところ「書き換えを認める方針」と「近畿財務局の担当職員や本省幹部の懲戒処分を検討」という情報しか発表されていないが、本サイトが掴んだ情報によれば、財務省は週明け月曜12日の調査結果の公表の際、書き換えを認めるだけでなく、改ざん前の決裁文書も出すというのだ。

 これまで財務省は「近畿財務局に残っている文書の写しはこれがすべて」などと逃げ回ってきたが、これは財務省の判断ではなく安倍官邸の方針だった。だが、ここにきて、ようやく改ざん前文書を出すしかないと観念。財務省に根回しをおこない、月曜に出させることにしたという。

 改ざん前の決裁文書を出せば、公文書偽造という大罪を認めることになり、いよいよその責任を徹底追及される。それがわかっていて、なぜ官邸は絶対に隠し通すつもりだった問題の決裁文書を出すことを決めたのか。

「やはり、昨日、近畿財務局職員が自殺したことが大きく報道され、もう逃げ切れないと踏んだのでしょう。佐川宣寿国税庁長官の首を切ったとはいえ、佐川氏は改ざん当時の理財局長ではなく、問題の責任を取ったことにはならない。それに、改ざん前の決裁文書を出しても、財務省に罪を押し付けることはできる。実際、近畿財務局の担当職員や本省幹部の処分だけではなく、最悪の場合は、麻生太郎財務相を辞任させて幕引きをはかるつもりのようです」(全国紙政治部記者)

 さらに、改ざん前の決裁文書を出すことに決めた理由はもうひとつあるとみられている。じつは、一説によると、改ざん前の決裁文書には、自民党の大物議員の名前が記述されていたという情報もあるのだ。どうやらそれをクローズアップして、「森友は大物議員による口利き案件」として目を背けさせようという算段らしい。

 官邸は「決裁前に修正しただけで改ざんではない」という言い訳で責任回避を画策

 しかし、麻生財務相の辞任や別の議員の関与をもち出したところで、決裁文書を改ざんしていたという事実がなくなるわけではない。これは、れっきとした公文書の偽造という大罪であり、重大な国家犯罪だ。

 だが、姑息なことに官邸は、月曜に改ざん前文書を出すと同時に、「決裁する前に修正しただけだから改ざんではなく、問題はない」と主張する方針だとみられている。

 まったく、そんな子ども騙しの言い訳が通用するとでも思っているのだろうか。普通、公文書の修正をする場合は、二重線を引いて訂正印を押し、誰が訂正をしたかをわかるようなかたちにするのがルールだ。それをせずに修正することを「改ざん」と呼ぶのだ。

 そして、公文書に記された政府にとって都合の悪い部分を改ざんするという行為は、麻生財務相が辞める程度で責任が取れるような話ではなく、内閣総辞職に値する問題だ。しかも、本サイトの既報の通り、改ざん箇所は佐川前理財局長や麻生財務相の国会における答弁と連動したかたちとなっており、官邸と財務省がシナリオをつくって答弁の口裏合わせをし、それに沿うかたちで決裁文書の書き換えを近畿財務局に指示をしたとしか考えられない。官邸の関与こそがこの公文書偽造の核心であり、安倍官邸の暴走が問題にされなければ、責任の所在があきらかになったとは言えないのだ。

 ほんとうの追及は、月曜の改ざん前決裁文書が出されてからはじまる。そのとき、責任問題から遁走する安倍官邸をけっして許してはならない。

 

森友文書の書き換え認める 財務省、12日に国会報告(2018年3月10日配信『共同通信』)

 

 財務省は10日、学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書に書き換えがあったと認める方針を固めた。当初の記述を削除した例が複数判明したとの調査結果をまとめ、12日に国会に報告する。関与した近畿財務局の担当職員や本省幹部らの懲戒処分を今後検討する。複数の政府関係者が明らかにした。野党は「政権の隠蔽体質」への批判を強める構えで、安倍晋三首相や麻生太郎副総理兼財務相の政治責任を問う声が与党で高まる可能性もある。

 

自殺者が出て尻尾切り 悪魔のような政権を許していいのか(2018年3月10日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 安倍夫妻が深く関わっている底ナシの「森友疑獄」。とうとう自殺者まで出てしまった。

 近畿財務局に勤務していたノンキャリアの男性職員が7日、神戸市の自宅で首をつり、搬送先の病院で死亡していたことが分かった。遺書もあり、兵庫県警は自殺と判断している。

 男性職員は、国有地を8億円もダンピングして森友学園に売却した部署に所属していた。森友疑惑の発覚後、体調を崩し、昨年秋から欠勤がちだったという。

 朝日新聞が今月2日、近畿財務局が森友学園との取引に関する「決裁書」を書き換えていたと報じた後、再び職場に顔を出していた。遺書の中身は明らかにされていないが、森友疑惑の犠牲者なのは間違いない。

「自殺の直接の動機は、決裁書の書き換え問題だったのではないか。男性職員が亡くなる直前、財務省は近畿財務局で決裁にかかわった約30人から聞き取りを行っています。当然、登庁した男性も、聞き取りの対象だったはず。責任を感じていたか、あるいは自分ひとりに責任を押しつけられることを恐れていた可能性があります」(財務省関係者)

遺書には組織に対する恨みつらみが書かれていた、という情報も流れている。

「またか、という気分です。権力者が深く絡む疑惑が起きると、必ずと言っていいほど犠牲者が出てしまう。しかも、末端の役人や秘書というケースが多い。たまたま、担当部署に所属していたために、死ななければならないほど大きな問題を抱え、自ら命を絶ってしまったのではないか。もし、異常な行政が行われなければ、死を選ぶこともなかったと思う。歪んだ行政の犠牲者ですよ」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

安倍夫妻の犠牲者

自殺した男性職員は、安倍夫妻の犠牲になったようなものだ。

森友疑惑はすべて、安倍夫妻が発端だからだ。国有地が8億円も値引きされて森友学園に売却されたのも、昭恵夫人が小学校の名誉校長に就くなど、森友学園の広告塔になっていたからである。

実際、森友学園の籠池泰典理事長(当時)は、安倍夫妻の名前を度々口にして「グーンと価格を下げなあかんよ」と値引きを迫り、近畿財務局の職員も「ゼロに近い金額まで努力して」と応じていた。

近畿財務局が作った決裁書の「原本」に、「特例的な内容となる」「本件の特殊性」といった記述があるのも、安倍夫妻の案件だったからだろう。「原本」には、「本省理財局に相談」「理財局長の承認を得て」という記載もあるという。財務省をあげて、安倍夫妻のために国有地を安く売ったのは明らかだ。

その揚げ句、安倍夫妻を守るために「決裁書」の書き換えまでしている。財務省が絶対に決裁書の「原本」を出さないのは、ウソかマコトか、「原本」に昭恵という文字があるからだという説が飛び交っている。安倍首相は、国会で「妻や私、事務所が関係していたら総理も国会議員も辞める」と豪語している。もし、決裁書の「原本」に昭恵の文字があったら、安倍首相は即刻、議員辞職だ。

自殺した男性職員は、どんな役割を負わされていたのか。

自殺者が出たことで、告発を受けて捜査を続けている大阪地検特捜部は、真相解明のために、強制捜査に踏み切る可能性があるという。

「大阪地検の現場は、ヤル気満々です。近々、近畿財務局の職員のパソコンを押収するという話もあります。メールを調べていけば、財務省の本省からどんな指令があったかも分かる。捜査の展開次第では、あっと驚く新事実が出てくる可能性もありますよ」(霞が関関係者)

男性職員は誰の犠牲になったのか。絶対に真相を解明しないといけない。

「3選はなくなった」が政界の空気

男性職員が自殺しようが、安倍首相は、理財局長だった佐川宣寿国税庁長官を更迭することで森友疑惑を幕引きにするつもりだ。

しかし、佐川長官のクビを差し出したくらいで国民が納得すると思ったら大間違いだ。

もう、安倍政権は長く持たないのではないか。過去、自殺者を出した政権はその後、時間を置かずに崩壊しているからだ。血塗られた政権は長く続かない。やはり、人心が離れていくのだろう。実際、永田町の空気も一変している。「安倍3選はなくなった」というムードが、どんどん広がっている。

「安倍官邸も求心力が落ちていくことに危機感を感じているのでしょう。唐突に“解散風”を流しています。しかし、逆効果になっている。自民党議員は“やれるものならやってみろ”“すぐに引きずり降ろす”と、まったく怯えていない。もう、安倍首相に神通力はありませんよ」(政治評論家・本澤二郎氏)

それでなくても、“安倍1強”は音を立てて崩れはじめている。「決裁書」の書き換えが発覚してから、自民党内の“安倍離れ”が急速に進んでいる。

二階幹事長は、「国会から要求された資料を出さないということは、理解できない」と公然と安倍政権を批判。岸田政調会長も珍しく「予算を仕上げるために努力しなければならない。そこから先の話は何も決めていない」と、総裁選出馬への準備を進めると宣言している。

「安倍首相はなんとか風向きを変えようと必死です。4月初旬に訪米するのも、国民の目を森友問題からそらすためです。働き方改革も、場合によっては“高プロ”を削除するつもりです。“高プロ”を外せば、野党も賛成するので簡単に成立する。これ以上の失点を防ぎ、国会さえ閉じてしまえば、延命できると計算しているようです」(自民党関係者)

■「国政の私物化」が招いた悲劇

しかし、自殺者まで出しておいて、首相を続けようなんて許されない。

近畿財務局の男性職員の自殺は、安倍政治の行き着いた先だ。

「安倍政治の最大の特徴は、国政の私物化です。加計学園の獣医学部新設も、安倍首相の“腹心の友”のために、わざわざ国家戦略特区を設け、行政をねじ曲げて認可している。国政を私物化する安倍首相のために、省庁の役人は無理に無理を重ねているのでしょう。その結果が、決裁書の書き換えであり、近畿財務局の男性職員の自殺なのではないか。しかも、夫婦揃って国政を私物化している。昭恵夫人のために、専属秘書が5人もいたのだから異常です。日本の官僚は世界一優秀と言われていたのに、この5年間でぶっ壊されてしまった。一刻も早く、安倍首相を退陣させるべきです」(五十嵐仁氏=前出)

「モリ・カケ・スパ」――と、疑惑はすべて安倍首相の周辺で起きている。疑惑と混乱の中心に首相夫妻がいるなんて、ほとんどアフリカの発展途上国と同じだ。

近畿財務局の職員が自殺し、佐川長官が更迭されたことで、さすがに国民も安倍政権の異常ぶりに気づいたはずだ。

安倍首相は、国会を閉じる6月20日以降「私は秋の総裁選には出馬しません」と宣言するのではないか、という見方が広がっている。支持率が急落したら、一気に党内政局が勃発する。国民はトドメを刺さないとダメだ。

 

共産・小池氏「佐川氏、証人喚問逃れで辞めさせた」(2018年3月10日配信『朝日新聞』)

 

小池晃・共産党書記局長(発言録)

 佐川国税庁長官の辞任を受けて、自民党の森山国会対策委員長は、さっそくこんなことを言いだした。「佐川さんは一般人になったので、証人喚問は難しくなった」と。証人喚問逃れのために、辞めさせたと言ったようなものではありませんか。

だいたい、一般人になったらなんで証人喚問ができないのか。(森友学園の)籠池泰典さんは一般人なのに、与党が率先して証人喚問させたではありませんか。(佐川氏が)国税庁長官の時には(与党は)「国税庁長官は国会で答弁する前例がない」と言って逃げましたが、過去には国税庁長官だって答弁していた。民間人だって、あのロッキード事件のように証人喚問をやったんです。

 証人喚問逃れは絶対に許さない。その声を一緒に上げていこうではありませんか。(JR新宿駅前での街頭演説で)

 

麻生財務相の政治責任に言及 山口公明代表 検察、文書の写し提供も(2018年3月10日配信『産経新聞』)

 

 公明党の山口那津男代表は10日、森友学園問題に関する財務省の決裁文書書き換え疑惑を巡り、麻生太郎副総理兼財務相の政治責任に言及した。文書について、複数の法務・検察幹部は要請があれば原本の写しの提供を検討する意向を示した。政府の対応が焦点となる。

 山口氏は福島県浪江町で記者団に「(麻生氏は)政治的責任を負う中で、状況全体を把握し、とにかく説明責任を尽くしてもらいたい」と強調した。財務省が12日に報告する疑惑に関する調査結果については「説明責任が尽くされたと納得のいく結果を期待したい」と語った。

 決裁文書を巡っては、複数の法務・検察幹部は取材に「政府側の要請があれば、捜査に支障のない範囲で原本の写しを渡すことなどを検討する」と述べた。書き換えが指摘された文書が野党議員に開示されたのは昨年5月。佐川氏は当時、財務省で森友問題を担当する理財局長だった。書き換えの有無を知り得る立場だっただけに、野党は真相解明には佐川氏本人の説明が必要として証人喚問を要求している。

 

森友問題 佐川氏を聴取へ 大阪地検特捜部(2018年3月10日配信『毎日新聞』)

 

 学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り、大阪地検特捜部は公用文書毀棄(きき)などの容疑で佐川宣寿・前財務省理財局長に対する告発を受理している。特捜部は今後、国会の情勢を踏まえながら、佐川氏への事情聴取を検討するとみられる。

 関係者によると、特捜部が受理したのは、国と学園側の交渉記録を廃棄したとする公用文書毀棄容疑や、文書廃棄により背任の証拠を隠したとする証拠隠滅容疑。佐川氏は学園と売買契約を結ぶ直前の2016年6月に理財局長に就任していた。

 特捜部はこの他、近畿財務局職員らに対する背任容疑での告発も受理し、捜査を進めている。

 麻生太郎財務相は9日の記者会見で、佐川氏に捜査当局による捜査に協力するよう指示したことを明らかにした。

 

森友文書、書き換え問題 政権、幕引き許されず(2018年3月10日配信『東京新聞』)

 

 国有地売買を巡る決裁書の書き換え問題を朝日新聞が指摘してから1週間、森友問題について国会で説明してきた佐川宣寿国税庁長官が一転、辞任することとなった。安倍政権は佐川氏の辞任で問題の幕引きを図ろうとしているが、核心は国民の財産である土地の安値売却がなぜ起きたのかだ。それが明らかにならなければ、解決にはならない。

 佐川氏は辞任を申し出ながらもその理由については「混乱を招いた」とするのみ。自身の国会答弁が正しかったのかや文書の書き換えがあったのかなどについては、一切踏み込まず国民の疑問には答えなかった。

 佐川氏が国会で無理な答弁を続け、最後まで説明を拒否して守ろうとしているものは一体何なのか。

 森友への異常な取引自体は、同氏が理財局長になるずっと前の2015年から交渉され、レールが敷かれていた。安倍首相夫人側から財務省に問い合わせしたり、価格算定が行われたのも佐川氏が責任者になる前だ。

 安倍政権は森友問題について「丁寧に説明する」といいながら説明をはぐらかし疑惑は全く解明されていない。夫人が森友学園に関わってきた安倍首相や、当初から財務省のトップだった麻生太郎財務相がどう関わったのか。書き換えはあったのか。

 同問題の現場での担当官僚が自殺していたことも明るみに。

 麻生氏は自身の辞任は否定しており、政治家らは官僚に責任を押しつけ逃げ切りたいようにみえる。佐川氏の「トカゲのしっぽ切り」で終わらせてはならず、森友疑惑の全容解明が不可欠だ。

 

国税庁職員「トップだけ逃げ出した感じ」 佐川長官辞任(2018年3月10日配信『朝日新聞』)

 

 佐川氏の突然の辞任に、一連の問題の真相解明を求めてきた関係者からは、「幕引きにしてはならない」との声が上がった。

 近畿財務局に森友学園との交渉記録の開示を請求してきた上脇博之・神戸学院大教授は、「佐川氏は売却の経緯、一連の疑惑について説明する責任が残っている」と話す。NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は「辞任は当然だが、混乱の背景には、佐川さんの国会答弁を『良し』と支持してきた政府の姿勢がある。佐川さんだけが責任をとれば済む問題ではなく、政府こそ厳しく追及されなければならない」と指摘した。

 国税庁職員には戸惑いが広がった。確定申告の期間中で、様々な部署の職員が納税者への対応に当たるさなか。30代の税務署員は「トップだけ逃げ出したような感じ。納税者も『どうなっているんだ』と思う。時期としては最悪」と話す。国税局に勤務する40代職員は「『誰かに責任を取らせなければ』と政権が判断し、佐川さんが首を差し出しただけでは」。

 大阪市北区の飲食店オーナーの60代男性は「確定申告も終わってないのに辞任とは。国会で説明責任をはたすべきだ。辞任が終わりではなく問題追及の本当の始まりだ」と憤った。

 

官邸幹部「これでおしまいとは思っていない」佐川氏辞任(2018年3月10日配信『朝日新聞』)

 

 安倍晋三首相は、佐川宣寿氏を国税庁長官に充てる人事を「適材適所」とかばい続け、与党は国会招致も拒否してきた。だが、書き換え疑惑への対応が後手に回って国会の混乱が続き、追及に抗しきれぬ形で辞任に追い込まれた。政権にとって打撃となるのは確実だ。

 野党6党は、財務省職員への聞き取り調査結果が報告されないことなどを不服とし、9日も国会審議に応じなかった。公明党の井上義久幹事長も同日の会見で政府の対応の遅れを指摘し、「極めて遺憾だ」と不快感を示すなど、与野党問わず政府、財務省への不満が高まっている。

 国税庁長官の辞任で、政権は決裁文書の書き換え疑惑を少しでも収束に向かわせたい考えだが、疑惑の解明につながるものではない。官邸幹部も「これでおしまいになるとは思っていない」と語るなど、事態収拾は見通せていない。

 

「佐川さん犠牲者かも」「隠蔽はかる辞任」 野党が批判(2018年3月10日配信『朝日新聞』)

 

「森友文書」をめぐる野党合同ヒアリングで、財務省の職員ら(左側)から説明を聞く野党議員ら(右側)=9日午後2時11分、国会内、岩下毅撮影

 森友学園との国有地取引をめぐる真相解明に向け、財務省の佐川宣寿・前理財局長の国会招致を求めてきた野党各党は、佐川氏の国税庁長官辞任を「政権の責任逃れ」と一斉に批判。引き続き説明責任を果たすよう求める構えだ。与党側にも危機感が強まっており、週明けの国会が荒れるのは必至の情勢だ。

 「『佐川氏隠し』をやってきた安倍政権の責任は極めて重大だ」

 共産党の小池晃書記局長は9日、国会内で記者団を前にして語気を強めた。立憲民主党の辻元清美国会対策委員長も記者団に、「佐川さんも犠牲者かも知れない。政治家が政治的に責任を取るべき案件だ」と指摘。希望の党の玉木雄一郎代表は「隠蔽(いんぺい)をはかるための辞任ではないか。麻生大臣の責任も厳しく問われる」と記者団に語った。

 森友問題をめぐっては、立憲、民進、希望、共産、自由、社民の6党が一致結束して政権との対決姿勢を強めている。9日は、衆参両院の本会議と委員会の審議をそろって拒否。「ゼロ回答」を続ける財務省の担当者からのヒアリングを続けた。

 民進の増子輝彦幹事長は記者団に「要求資料がまったく出てこない。立法府がどうあるべきかが問われている。国政調査権を発動し、与党も一緒になって問題解決に取り組んでいくことが国民に対する責任だ」と説明。立憲幹部は「もうどんどん(審議を)やらないといけない」と述べ、審議に復帰して政権を追及する局面になったとの認識を示した。

 佐川氏辞任は与党側に衝撃を与えた。公明の大口善徳国対委員長は記者団に「佐川長官の辞任は遺憾であり、やむをえない」。自民の村上誠一郎元行革相は9日収録のテレビ番組で「辞めるだけでは責任を取ることにならない。なんでこういう風な事態に陥ったのかをきちんと説明する必要がある」と述べた。自民の別の閣僚経験者は、こう指摘した。

 「極めて異常だ。こんなことは過去に例がない。『佐川氏は適材適所』というこれまでの説明は何だったんだとなる。野党以上に与党も納得しないだろう」

 

佐川長官を減給処分 文書書き換え疑惑、12日調査結果(2018年3月10日配信『朝日新聞』)

 

 学校法人・森友学園(大阪市)への国有地売却問題で、麻生太郎財務相は9日、当時の財務省理財局長だった佐川宣寿(のぶひさ)・国税庁長官を減給処分とし、佐川氏が同日付で辞任したと発表した。同学園との土地取引をめぐっては、朝日新聞の報道で同省の決裁文書が書き換えられた疑いが浮上しており、麻生氏は佐川氏の辞任の理由として「決裁文書の国会提出時の担当局長だった」ことも挙げた。処分と同時の辞職で、事実上の更迭とみられる。

 財務省は週明けの12日、決裁文書の書き換えの疑いについて調査結果を公表する。

 麻生氏は9日の財務省での記者会見で、佐川氏の辞任の理由について@国会対応に丁寧さを欠き、審議の混乱を招いたA行政文書の管理状況について、さまざまな指摘を受けたB決裁文書の国会提出時の担当局長だった――の3点を挙げた。麻生氏自身の辞任は「いま特に考えているわけではない」と否定した。

 また、麻生氏は「行政文書への信頼感が落ちる結果を招いた」ことなどを理由に、佐川氏に対する減給20%3カ月の懲戒処分を発表。退職金から差し引くことを明らかにした。また、「退職後でも(大阪地検の)捜査や(財務省の)調査に協力し、結果次第でさらに重い懲戒処分に相当する可能性がある」とも説明。今後、新たな事実が明らかになった場合は、佐川氏に追加の処分を行うとする異例の措置も表明した。佐川氏が理財局長だった時期に、決裁文書の内容が書き換えられた疑いに対する調査については「きちんと対応させていただくということで、来週早々に(結果を)示したい」と述べた。

 一方、佐川氏は麻生氏の会見後、財務省内で記者団の取材に応じ、辞任の理由として「決裁文書について大きな議論がなされている最中で、その文書を国会に提出したときの担当局長だったので、国会の状況を踏まえ、辞職のお願いをした」と語った。一方、記者団に書き換えについて問われると、「捜査を受けているのでコメントを差し控える」と述べた。

 佐川氏は、学園との国有地売買契約交渉がほぼまとまった2016年6月に理財局長に就任した。朝日新聞が昨年2月、学園側への国有地売却時に大幅に値引きされていた問題を報じた後、佐川氏は「面会記録は廃棄した」と国会で答弁。しかし、交渉経緯が記された文書が後で見つかった。また、「価格交渉はなかった」とも答弁したが、財務省側が学園側に金額を示しながら交渉を進めていたことを示す音声データが明らかになっていた。

 野党は今国会で、佐川氏の更迭を要求。これに対し、麻生氏は「これまでの識見、経験を見ても極めて有能」などとして拒否してきた。

 

佐川国税庁長官 辞任 森友問題 国会混乱で引責(2018年3月10日配信『東京新聞』)

 

 学校法人「森友学園」への国有地売却問題で批判を受けていた財務省前理財局長の佐川宣寿(のぶひさ)・国税庁長官(60)が九日、麻生太郎財務相に辞表を提出し、同日辞任した。「交渉が適正だった」とする国会答弁の正当性が揺らいでいるほか、決裁文書を書き換えた疑惑も報道され、国会が混乱している責任を取ったとしている。佐川氏を昇格させた安倍政権に対して、野党は追及を強める構えだ。 

 佐川氏は記者団の前に姿を現し「(疑惑が報じられた)決裁文書の提出時の局長だったことで、国会の混乱の責任を感じた」と述べた。さらに「国会対応に丁寧さを欠き、(所得税の)確定申告中に混乱を招き申し訳なかった」と頭を下げた。

 麻生氏は記者会見で「行政文書の管理についてさまざまな指摘をうけている」などを理由に佐川氏が辞表提出したと説明。同時に行政への信頼を損なったとして減給処分にした。退職金は支給する。麻生氏は、自身の進退については「考えていない」と否定。書き換え問題についても「来週早々に調査結果を公表する」と述べるにとどまった。

 立憲民主党の辻元清美国対委員長は記者団に「これで幕引きにしようというなら、認めるわけにいかない」として佐川氏の国会招致を要求。希望の党の玉木雄一郎代表も「むしろ疑惑は深まった。麻生財務相の責任が問われるし、場合によっては安倍晋三首相にも責任がある」と指摘した。

 佐川氏は理財局長時代、国有地を約八億円値引きして売却した経緯について、事前の価格交渉を否定し、森友学園との取引手続きは「適正だった」と、繰り返し説明していた。だが、昨年七月に国税庁長官に昇進後、交渉経過を示す内部文書や音声データが次々見つかり、野党は佐川氏の更迭を要求してきた。しかし、安倍首相は「適材適所」、麻生財務相は「極めて適切な人物」と擁護してきた。

 森友問題を巡っては朝日新聞が森友学園との土地取引の決裁文書が国会議員に提出される際に書き換えられていた疑惑を報道。九日には近畿財務局の担当者が神戸市内の自宅で自殺していたことも発覚した。

<佐川宣寿(さがわ・のぶひさ)氏> 1982年に東大経済学部を卒業後、大蔵省(現財務省)に入省。故塩川正十郎財務相の秘書官や主計局主計官を務めた後、主税局総務課長など税務畑を主に歩み関税局長を経て、2016年6月から国有財産の管理を担当する理財局長に就任。

 

佐川氏辞任で小池氏主張(2018年3月10日配信『しんぶん赤旗』)

 

辞めて済む話ではない、証人喚問を

 

 日本共産党の小池晃書記局長は9日、国会内で会見し、学校法人「森友学園」への国有地売却問題をめぐり、財務省理財局長時代の答弁が批判を浴びていた佐川宣寿国税庁長官が辞任の意向を固めたとの報道について、「辞めて済む話ではない。国会で証言し、真相を全面的に明らかにする責任が佐川氏にはある」と主張しました。

 小池氏は、報道について、森友学園に関する決裁文書の書き換え疑惑への「国民の深い怒りと、国会での追及によって追い込まれた結果だ」と強調。文書改ざんの疑いが濃厚になってきているとして、佐川氏が「どう関与し、どのような指示が出されたのか、どのような改ざんが行われたのか厳しく問われる」と述べました。

 小池氏は、佐川氏が理財局長時代、森友学園との事前の価格交渉を否定したほか、交渉記録は廃棄したと主張していたことに言及。「虚偽答弁だった可能性が極めて高い。真相を明らかにするため、国会での証人喚問を引き続き強く求めていく」と語りました。

 また小池氏は、「適材適所」などとして佐川氏の国税庁長官への就任を擁護し、野党による証人喚問の要求にも背を向けてきた安倍晋三首相、安倍政権に対し「『佐川隠し』をやってきた責任は極めて重大だ。引き続き追及していく」と表明しました。

 

佐川国税庁長官が辞任 森友疑惑でキーマン自殺「数日前に姿見たのに…」財務省に激震 安倍政権崩壊も(2018年3月9日配信『週刊朝日』)

 

 安倍政権を昨年から揺るがしてきた森友学園疑惑で、ついに犠牲者が出てしまった。

 森友学園との国有地売却交渉に関わっていた財務省近畿財務局の男性職員Aさんが、神戸市の自宅で自殺していたことが9日にわかった。亡くなったAさんは、学園側との交渉に当たっていた現場責任者の同省統括国有財産管理官(当時)の直属の部下だった。

 Aさんの自殺が報じられた後、森友学園への国有地売却交渉の経緯を国会で説明していた当時の理財局長で現、国税庁長官の佐川宣寿氏はついに辞任した。

 事件の真相を知るキーマンの自殺に永田町や財務省では衝撃が走っている。

 自民党国対関係者はこう話す。

「森友問題に関係していた近畿財務局職員が自殺したという話で朝から野党が騒いで大混乱だ。森友絡みで昨年秋から仕事は休職していたようだ。えらいことになったな」

 財務省関係者も動揺を隠せなかった。

 「Aさんの休職は昨年の秋くらいからです。(昨年2月に)森友問題が発覚してからは、ずっと帰宅が深夜で、朝も早くから役所に来ていました。休職前もつらそうな顔で歩いていたので『大変ですね』と声をかけると、小声で『ええ』と返事が返ってきただけでした。正月明けに新年のあいさつで顔を出したそうですが……。大阪地検特捜部から事情を聞かれていたようで、その確認の意味もあって役所に来たようです」

 Aさんは、今月2日に朝日新聞の報道で公文書W改ざんW疑惑が浮上した後、再び職場に顔を出したという。その時、「かなり体調がよくなってきました」と関係各所にあいさつしたが、2時間程度で帰ったという。

 「朝日新聞の記事のように、もしウチ(近畿財務局)が改ざんに関わっていたなら、当然、国有財産管理官の部下であるAさんの名前は思い浮かびます。長期間休んでいることもあって、役所内では『隠蔽のようなことをやらされて、病気になってしまったのか』と噂話になっていました。自殺の連絡は昨夜、役所にあったそうです」(同)

 Aさんの上司である統括国有財産管理官は、国有地売買の価格交渉を担う責任者とされる。2016年5月に行われた森友学園側との交渉の場では、「われわれの見込んでいる金額よりも、(撤去費が)少なくても、われわれは何も言わない」と述べていたことが、音声データにも残されていた。これは、国会で「価格交渉はしたことはない」と答弁した同省の佐川宣寿・前財務省理財局長(現国税庁長官)の説明と真っ向から対立するもので、野党から繰り返し追及を受けていた。

 そもそも、森友学園側と近畿財務局の交渉は2015年半ばまで暗礁に乗り上げていた。財務省が今年2月に公開した資料によると、2015年4月には、学園側が軟弱な地盤を理由に貸付料の減額を求めてきたことに対し、省内で「『無理に本地を借りていただかなくてもよい』と投げかけることも考えている」と、学園との賃貸契約の破棄も検討していた。

 ところが、安倍昭恵首相夫人が同年9月に小学校の名誉校長に就任したころから風向きが変わり始める。同年11月には、昭恵夫人付の政府職員が同省に「問い合わせ」のFAXを送付。その頃から交渉内容が一変した。

 賃貸契約の破棄を検討していたはずが、同年12月には「国有地の売買価格の交渉」に変化。さらには、省内で法律関係の相談をした時は、方針が「売買価格を学校法人に提示して買い受けの可否を判断させるなどの調整が必要」となった。

 同省は2016年6月に学園との売買契約を結んだが、朝日新聞(9日付)の報道では、売却契約の際の決裁文書には、事案の概要などを8項目で記した「調書」があったという。

 だが、国会議員に公開された文書では「4.貸付契約までの経緯」が項目ごとなくなっていたという。契約当時の調書には、この項目で学園から「借り受けて、その後に購入したい」との要望があり、近畿財務局が「本省理財局に相談した」と記載してあったという。そして「学園の要請に応じざるを得ないとの結論」とも記載されていたが、国会議員に公表された文書にはこれらの文言はなくなっていた。

 朝日新聞報道やAさんの自殺報道を受け、野党は9日、国会に同省理財局次長の富山一成氏ら幹部を呼んで野党合同ヒアリングを実施。

 野党議員が「自殺したとされるAさんは家族に遺書を残していたというが、財務省が公開するなと圧力をかけたという話もある。本当なのか」と問い詰めたが、同省の幹部は「調査中なのでお答えできません」の一点ばりだった。

 問題当時の近畿財務局長だった武内良樹氏が昨夜、官邸を訪問し、安倍首相、麻生財務相と対応を話し合ったとみられる。森友疑惑の真相は今後、明らかになるのか。

 

佐川長官を辞任に追い込んだ 森友担当職員「遺書」の中身(2018年3月9日配信『日刊ゲンダイ』)

 

「確定申告の時期に辞めることをお詫び申し上げます」――。ノンキャリアの自殺が、キャリア中のキャリアの意味不明な謝罪とクビを招いた。森友学園問題で散々、偽りの答弁を繰り返した佐川宣寿・国税庁長官が9日、ようやく辞任した。

 麻生財務相は臨時会見で、「辞任は本人の意思。強制したわけではない」と強調したが、事実上の「更迭」とみるのが妥当だ。

「朝日新聞が決裁文書改ざん疑惑を報じて以降、官邸内も『佐川長官の辞任不可避』の意向でしたが、曲がりなりにも徴税機関のトップの顔を立て、辞めさせるのは確定申告の期限が終わる15日以降が絶対条件。それも税制など予算関連の日切れ法案の年度内成立に向け、野党との取引の切り札として取って置くというのが、共通認識でした」(財務省関係者)

 そんな国民をナメきったムードが一転。年度末まで残り20日以上もあったのに、安倍政権が「佐川切り」に追い込まれたのは、やはり近畿財務局職員の自殺が影響したのは間違いない。

 亡くなった職員は、国有地が破格の8億円値引きで売却された時期に、森友側と直接交渉していた管財部の現場責任者の直属の部下だった。この現場責任者こそ、書き換え疑惑の決裁文書の事実上の起案者で、当然、部下の職員も文書作成に関わったとみるのが自然だ。疑惑の真相を知る立場にあったに違いない。

 安倍政権にとって、疑惑のキーマンから“犠牲者”が出たダメージは大きい。官邸内の甘いもくろみは完全に消え、改ざん疑惑の幕引きを急ぐため、一刻も早く佐川辞任カードを切って、“スケープゴート”に仕立て上げたわけだ。

遺族は財務省に怒り心頭

 気になるのは、佐川氏を辞任に追い込んだ職員が残した遺書のような書き置きである。その中身を巡っては情報が交錯している。上司の実名を挙げて「やらされた」と改ざんへの関与をにおわす文言があるとの情報もあれば、森友問題関連の書類が添えられてあったとの情報もあるが、遺族が公開しない限り、“藪の中”だ。

 9日の財務省への野党合同ヒアリングで、民進党の杉尾秀哉参院議員は「遺書には書き換えに触れられている部分があるとの情報もある」と詰め寄り、「遺書について近畿財務局から、ご家族に口外しないで欲しいという話があったそうだが」と畳み掛けたが、「職員個人のことでもあり、コメントは差し控えさせていただきたい」(富山一成・理財局次長)と、ゼロ回答。ただ、慎重な口ぶりからは財務省が、遺書の内容について、神経を尖らせている様子が伝わってきた。

 「遺書を読んだ遺族は、かなり怒りを募らせているらしい。遺書には森友問題のシワ寄せが、全て自分に及んでいるという組織への恨みが書かれているのかもしれません。いくら財務省が口封じをしても、憤慨する遺族がメディアの取材に応じる可能性もあります」(捜査事情通)

 それにしても、安倍官邸の認識の甘さはふざけている。佐川長官の辞任は典型的な「トカゲのしっぽ切り」。来週早々に決裁文書の改ざんの有無を示した後に、麻生財務相を更迭したところで、森友疑惑の核心にいるのは安倍首相夫妻だ。安倍首相が辞めない限り、延々と疑惑をひきずることになる。

 死者を出した政権が長続きしないのは、松岡利勝農相の自殺以降、地滑り的に辞任に追い込まれた第1次政権時代に安倍首相も身を持って感じたはずだ。米朝首脳会談の受諾で、トランプ米大統領にハシゴを外された今、もはや安倍首相に政権を維持できる求心力は皆無だ。また、お腹が痛くなる前に、サッサと責任を取るべきである。

 

 

 学校法人「森友学園」の国有地取引をめぐり、財務省理財局長として国会答弁をしていた佐川宣寿(のぶひさ)・国税庁長官が辞任しました。麻生太郎財務相の記者会見、政権幹部の動向や野党の反応をタイムラインで追います(2018年3月9日配信『朝日新聞』)。

 

安倍首相は報道関係者と会食(21:23)

 激動の展開となった9日夜、安倍晋三首相は都内で会食をしていた。午後6時52分、東京・高輪の「高輪館」に入った首相の会食相手は、日本テレビの大久保好男社長と粕谷賢之報道解説委員長だった。

 会食は2時間半ほど続き、9時23分にお開きになった。車列が各社の「首相番記者」たちの前を通り過ぎた際、首相は車内で携帯電話を操作していた。首相が佐川宣寿・国税庁長官の辞任のニュースをチェックしていたのかどうかは、確認できなかった。

 

佐川氏「忖度ってのは、どういう意味でございましょうか?」(21:10)

 「忖度(そんたく)ってのはすいませんちょっと、どういう意味でございましょうか?」

 国税庁長官を辞任した佐川宣寿氏のぶら下がり取材では、佐川氏が記者団に「逆質問」する一幕があった。「国会答弁や文書管理で、政治への忖度はあったのか」との質問に答えている最中の出来事。佐川氏は「本当に一生懸命答弁しているし、行政文書の管理もルールに従ってやっていた。ただ、ずいぶん国会で批判頂き、時間もずいぶん使った」と振り返った後、「逆質問」が飛び出した。そしてこう続けた。

 「国会答弁は、ご質問いただいて誠実に答えたと思っている」

 

佐川氏「会見開かなかったことも、おわびしたい」(21:00)

 佐川宣寿氏は昨年7月の国税庁長官就任後、恒例の就任記者会見を開かず、批判を受けてきた。9日夜のぶら下がりで記者団からこの点を聞かれると、「長官会見は、所管行政について所信を述べる。ただ当時、広報に聞くと、所管行政以外についてずいぶん聞くと言うことだったので、本来の趣旨の会見にならないと私が判断した。その代わり所信を文章で出した。皆様から会見を開かなかったということ(指摘)もあるので、その点についてもこの場でおわびをしたい」。改めて頭を下げた。

 

佐川氏「決裁文書提出時の担当局長で責任者、その意味で辞職した」(20:52)

 午後8時52分、佐川宣寿氏が記者団のぶら下がり取材に応じ、国税庁長官を辞職したことを表明した。佐川氏は「大変申し訳ありませんでした」と述べ、5秒ほど頭を下げた。カメラのストロボが一斉にたかれた。

 佐川氏は「(辞職が)このタイミングという意味では、今回取りざたされている決裁文書、国会の状況もこうなっており、提出時の担当局長だったことで責任者であり、その意味で今回辞職した」。書き換え疑惑が報じられた決裁文書をめぐる問題を、辞職の最大の理由に挙げた。

 

麻生氏、責任問われ「仮定の質問には答えられない」会見終える(20:44)

 麻生太郎財務相の記者会見で出た最後の質問は、麻生氏自身の責任についてだった。「結果として(決裁文書の)書き換えがあり、(財務省が)組織的にやったと明らかになった時は、ご自身の進退も含めて考えるか」と記者が尋ねた。

 麻生氏は笑みも浮かべながら、「それもさっき答えたけどさ、仮定の質問には答えられない。何度も言ってんじゃん。同じ質問を何回もさせるのが姿勢?」と切り返した後、「えっへっへっへっへ。いいですか、終わります」と会見を終えた。午後8時44分。会見は1時間超に及んだ。

 

麻生氏「地検にある物見せて、なんて簡単に言えない」(20:20)

 麻生太郎財務相の記者会見では、文書書き換え疑惑をめぐって財務省が進めている調査についても質問が相次いだ。麻生氏が「来週早々」と表明した報告の前に、大阪地検にある決裁文書の原本を確認するのか、という質問も出た。

 麻生氏は「(省内を)調べている段階で、どれだけ進捗(しんちょく)しているか分からないが地検にある物を見せて下さい、なんて簡単には言えない。これ以上調べて『ない』という段階じゃないと、地検と話にならない。それを週末かけてやった上で、大阪地検にお願いすればいいのだと思う」と述べ、来週以降の判断になるとの見通しを示した。

 

麻生氏、記者に皮肉で返す「麻生節」(20:00)

 麻生太郎財務相は記者会見で、質問した記者に批判や皮肉で返す「麻生節」を随所で見せた。

 シャッター音が相次ぐ中、質問者の声が聞こえないと「よく聞こえないからはっきり言った方が良い。相手(麻生氏)は年寄りだから」。指名を求める記者には「俺が(記者を)指名するんじゃない」などと、不快感をにじませた。

 また、国税庁長官を辞任した佐川宣寿・前財務省理財局長の発言について問われると「直接本人に聞いたほうが良い。記者ってそういうもんじゃないの?」と切り返した。

 こうした麻生氏に対し、「会見を見ていて、大臣自身の反省が全くないと見受けられる」と、質問の中で指摘する記者もいた。

 

安倍首相「佐川長官の人事は適材適所

 佐川宣寿理財局長は、昨年7月5日付で国税庁長官に就任した。

 今年1月24日、枝野幸男氏(立憲民主)は衆院本会議での代表質問で、佐川氏の更迭を求めた。これに対し安倍晋三首相は「佐川長官の人事は他のすべての人事と同じく、適材適所の考え方に基づき行ったもの」として応じなかった。

 確定申告が始まった後の2月19日の衆院予算委員会では、麻生太郎財務相が「確定申告の初日においてもさまざまなご意見があった」としつつ、「国税の分野での豊富な経験を生かし、佐川に関して、私どもは十分に職責を果たしていると認識している」と擁護した。

 

自民・森山氏、佐川氏の証人喚問「一般人になられたわけで、難しくなった」(20:00)

 佐川宣寿氏の国税庁長官辞任を受け、与党も反応した。自民党の森山裕国会対策委員長は午後8時、記者団のぶら下がり取材に応じた。

 野党が引き続き佐川氏の国会証人喚問を求めていることについて、森山氏は「一般人になられたわけで、難しくなったと申し上げた方が分かりやすいんじゃないか」と否定的な見方を示した。

 また、「『トカゲのシッポ切り』との指摘もある」との質問には、「国税庁長官の辞職は非常に重い。シッポではなく、トカゲにたとえればアタマだと思う」と切り返した。

 

立憲・辻元氏「政治家が責任をとらないとダメ」 麻生氏を追及へ(20:00)

 「麻生大臣の会見を聞いていて、なんか佐川さん、かわいそうになってきちゃった」。こんな言葉を発したのは、意外なことに立憲民主党の辻元清美国会対策委員長だった。

 午後8時過ぎ、麻生太郎財務相の記者会見を受け、記者団の取材に応じた。「ご自身の責任をどう考えていらっしゃるのかしら、と思った。ちょっとびっくりしたというか、ひとごとのようにおっしゃっている」と述べ、麻生氏の姿勢を疑問視した。

 そのうえで、「これで済ませるわけにいかない。佐川さんだけ一身に背負わされて、辞めさせられた。やはり政治家が責任をとらないとダメだと痛感しました」と強調。佐川宣寿・国税庁長官の辞任を受け、麻生氏の責任を追及する考えを強調した。

 

麻生氏、書き換え疑惑の調査結果「来週早々にも」(19:45)

 麻生太郎財務相は記者会見で、財務省の決裁文書が書き換えられた疑いを受けた省内の調査結果について、「来週早々にも」明らかにする意向を示した。

 一方で、佐川宣寿・国税庁長官を任命したことについては「長官として不適任という認識は私にはない」「きわめて有能だし、真面目だ」「(辞任は)正直残念だ」などと語り、今回の辞任への無念さものぞかせた。麻生氏自身の任命責任については「適任な人を信任したと思っている」と述べた。

 

立憲・福山氏「官僚に責任転嫁するだけでは済まされない」(19:45)

 佐川宣寿・国税庁長官の辞任について、午後7時45分、立憲民主党の福山哲郎幹事長が「文書の改ざん疑惑が出てからお辞めになるのは、逆に改ざんの疑いがより深まった。官僚に責任転嫁をするだけでは済まされない。当然、政治の責任が問われる」と訴えた。

 自民党の二階俊博幹事長と国会内で会談後、記者団に語った。福山氏は二階氏に対し、佐川氏の国会証人喚問を引き続き求めたほか、米朝交渉など国際情勢への対応について安倍晋三首相に国会で報告させるよう求めたと述べた。

 

麻生財務相、佐川氏辞任の理由を3つ挙げる

 麻生太郎副総理兼財務相は9日夜、財務省で記者会見し、森友学園への国有地売却問題に関して理財局長時代に国会答弁に立っていた佐川宣寿・国税庁長官の同日付での辞任を発表した。辞任理由として、理財局長時代の国会対応に丁寧さを欠き、混乱を招いたこと▽行政文書の管理状況について様々な指摘を受けたこと▽決裁文書書き換え疑惑に関して担当局長だったこと、の3点を挙げた。

 決裁文書書き換え疑惑については、財務省で調査を続け、来週早々にも公表するとした。

 佐川氏について、国有財産の信頼を損ねたとして減給20%、3カ月の処分とした。「辞任後でも捜査当局の捜査や財務省の調査に協力させ、結果次第ではさらに重い懲戒処分になる可能性がある」と述べた。

 

麻生氏、佐川氏辞任「退職したいとの申し出があり…」(19:41)

 午後7時41分、麻生太郎財務相の記者会見が財務省で始まった。

 「佐川宣寿・国税庁長官から、局長時代の国会対応に丁寧さを欠き国会審議に混乱を招いたこと、行政文書の管理状況に指摘を受けていること、さらに今回取りざたされている決裁文書の国会提出の担当局長だったこと、などを踏まえて、国税庁長官の職を辞し退職したいとの申し出があり、本日付で退職させている」

 佐川長官の辞任を明らかにした。

 

佐川氏、理財局長時の答弁「記録が残っていない」「適切な対応だった」

 一連の問題発覚後、財務省理財局長だった佐川宣寿氏は「守り」の答弁に徹した。「記録」と「価格」にかかわる答弁が代表的と言える。

 「法令等に基づく契約手続きの前に、近畿財務局から森友学園側に対して土地の鑑定価格等を示した事実はない」(2月23日、衆院予算委)

 「同局と学園の交渉記録はない。面会記録は保存期間1年未満。2016年6月の売買契約締結で事案が終了しているので、記録が残っていない」(2月24日、衆院予算委)

 「開校が遅れ、学園から損害賠償の訴訟が起こされるおそれがあった。埋設物の撤去費用を見積もって売買価格に反映することで学校建設を進めようとした対応は適切な対応だった」(3月6日、参院予算委)

 

佐川氏、無言で財務大臣室に(19:16)

 午後7時16分、佐川宣寿国税庁長官が麻生太郎財務相の大臣室に入った。入室の際、「なぜ今まで出てこなかったんですか」などと問いかける報道陣にもみくちゃにされながら、無言を貫いた。

 

自民・二階幹事長、国会の3階に 沖縄から駆けつけ(19:00)

 自民党の二階俊博幹事長が午後7時前、国会に到着し、3階の会議室に入った。

 二階氏は6日の記者会見で、財務省の対応を「理解できない」と批判。7日夜には首相と会食している。8日から沖縄県石垣市長選の応援に出張しており、この日の帰京後、国会に駆けつけた。

 

安倍首相、無言で官邸を出る(18:30)

 安倍晋三首相は午後6時30分過ぎ、この日の執務を終えて首相官邸を後にした。官邸エントランスで記者団が「総理、佐川長官の辞任報道について一言お願いします」と、声かけ取材を試みた。首相は記者団のほうに視線をやったものの、言葉を発することはなく、硬い表情で歩き去った。

 

麻生財務相が午後7時40分から記者会見予定

 麻生太郎財務相が午後7時40分から財務省で記者会見する。同省が午後6時前に日程を明らかにした。テーマは明らかにしていない。

 

佐川氏、初の国会答弁は昨年2月 「土地の『時価』でもって売却した」

 国会の議事録を調べたところ、森友学園への国有地売却をめぐる一連の問題で、佐川宣寿氏が財務省理財局長として初めて国会答弁したのは、昨年2月15日だった。

 衆院財務金融委員会で、宮本岳志氏(共産)が「なぜこのような非常識に低い価格で売却したのか」と質問した。佐川氏は「更地の不動産鑑定価格から埋設物を撤去する費用をきちんと見積もり、撤去費用を差し引いた、まさに土地の『時価』でもって売却した」と答弁した。

 宮本氏は何度も追及したが、佐川氏は「いずれにしても、撤去費用は適正に算定されたものだ」との主張を変えなかった。

 

麻生財務相が首相官邸へ 記者団の問いには無言(17:10)

 午後5時10分、首相官邸で開かれる会議のため、麻生太郎財務相が官邸入り。エントランスで、記者団が麻生氏にぶら下がり取材を試みた。「佐川氏の辞任の報道について今日ご説明されるご予定はあるのか」との問いに、麻生氏は無言で歩み去った。

 報道各社は9日午後から相次ぎ、佐川宣寿国税庁長官が辞任の意向を固めたことを速報している。

 

希望・玉木氏「安倍首相自身も国会で説明を」 政府の対応を批判(17時前)

 希望の党の玉木雄一郎代表は午後5時前、記者団に「なぜ佐川長官を辞めさせたのか、安倍晋三首相自身からも国会でしっかり説明をしてもらわなくてはならない。民間人になってしまうと証人喚問などで(国会に)呼ぶことが極めて困難になる。説明責任から逃げるための人事だ」と述べ、政府の対応を批判した。

 立憲民主、希望など野党6党は、財務省の対応に反発し、国会審議をボイコットしている。玉木氏は「事実隠蔽(いんぺい)に官邸を挙げて加担していると言わざるをえない。国会審議はとても正常化できない」。佐川氏の辞任は、国会審議をいっそう混乱させる可能性もある。

 

共産・小池氏「『佐川隠し』やってきた安倍政権の責任」(16:45)

 午後4時45分、共産党の小池晃書記局長が国会内で記者団のぶら下がり取材に応じた。「森友問題に対する国民の深い怒り、さらに国会での追及によって追い込まれた結果だ」と指摘。同時に、「辞めて済む話ではない」と念を押した。

 小池氏は「文書改ざんの疑いが濃厚になっており、どう関与したのか、どのような指示が出されてきたのか、改ざんがあったのかも含めて厳しく問われる。理財局長時代に虚偽答弁だった可能性が極めて高い」と述べ、引き続き国会招致を求める考えを示したうえで、矛先を政権に向けた。「安倍晋三首相、そして安倍政権の責任だ。『適材適所だ』と言って擁護し、『佐川隠し』をやってきた安倍政権の責任は極めて重大だ」

 

重大政局前夜の様相 安倍辞任と霞が関総懺悔以外に道なし(2018年3月9日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 いつまで時間稼ぎを続けるつもりなのか。こんな子供だましの手口でゴマカせると思っていたら大間違いだ。

 森友学園の国有地売却問題で財務省が決裁文書を書き換えた疑惑で、与党幹事長からも「資料を出せ」と要請があったこともあり、財務省は8日、国会に文書を提出。だが、これはすでに国会議員に開示された資料と内容が同じものだった。

 参院予算委の理事会や、国会内で開かれた合同ヒアリングで、野党側は提出した文書の他にも文書があるのか、書き換え前の文書が存在する可能性はあるのかなど、何度も質問したが、財務省の担当者は「現在、近畿財務局にあるコピーはこれがすべて」と、まるで今後も違う文書が出てくることを想定しているような説明だった。質問には「調査中」「現時点ではお答えできない」と繰り返すばかり。書き換えの事実がないなら「ない」と言えば済む話なのに、朝日新聞が書き換え疑惑を報じた「別の決裁文書」の存否や書き換えの有無については明言しない姿勢を貫いている。

 安定の「ゼロ回答」に野党は「時間稼ぎ、隠蔽としか思えない」と猛反発で、きのうも審議をボイコットした。

「ただ、きのう提出された文書であらためて疑惑が深まっています。カラーコピーで配布されたのですが、書き換え疑惑が指摘されている冒頭6ページの『調書』以外の部分は青と黄色のペンで数字や文章をチェックした跡があった。2人以上がダブルチェックしたということでしょう。ところが、問題の『調書』部分にはチェックの印がない。ほかにもファイルにパンチで留められていたパンチ穴の跡があったりなかったり、少なくとも3種類の『原本』があることが分かっています。本来、決裁文書の原本はひとつのはずなのに、なぜ、いくつものバージョンがあるのか。今回も書き換え後のコピーを出してきた可能性が高いのです」(ジャーナリストの横田一氏)

■財務省の予算案なんて審議できない

 5日に野党議員が近畿財務局に赴き、局内に残っている決裁文書の写しのファイルから、調書部分のコピーを取らせた際も、不可解なことがあったという。

 調書6ページ分のコピーにしてはやけに時間がかかっているため、野党議員が事務官室に入ってみたところ、職員がファイルの調書とパソコン画面を念入りに照合していたというのだ。調書がひとつしかないなら、わざわざ照合する必要はないだろう。いったい何種類の原本があるのだ。

「財務省は本物の原本なのか疑わしいものを国会に出してきた上に、それとは別の文書があるかどうかもゴマカし続けている。国権の最高機関である国会がコケにされているわけで、与党の議員も怒らなければおかしいでしょう。安倍政権の延命と、この国の根幹や民主主義を守ることのどちらが重要なのかという命題です。改ざん疑惑を否定できない以上、財務省が出してくるものは一切信用できない。予算案なんて、審議できるわけがありません」(横田一氏=前出)

 来年度予算案は憲法の衆院優越規定で年度内成立が確定しているが、税制など予算関連の日切れ法案が年度内に成立しない場合、困るのは与党だ。やましいことがないのなら、安倍首相が行政のトップとして「書き換え前の文書があるなら出せ」と財務省に指示すればいいだけのこと。審議を滞らせているのは政府・与党の側なのは間違いない。

 朝日新聞が報じた「改ざん疑惑」の傍証になる文書の存在

 そんな中、毎日新聞がきのうの夕刊で、朝日の報道を補強するような内容を報じ、与党は右往左往だ。

 朝日が改ざん疑惑を指摘したものとは別の文書の中に、「本件の特殊性」「特例処理について本省承認決裁完了」などの記載があった。この文書は、問題になっている決裁文書と同時期に作成されたものだ。

「これは、『特殊性』『特例』などの文言が決裁文書の作成当時にはあったのに削除された疑いがあるという朝日の報道を裏付けるものです。少なくとも、財務省が森友学園との国有地取引を特殊な事例だと認識していたことはハッキリした。事前の価格提示があったことも書かれていて、理財局長だった佐川国税庁長官の答弁が虚偽だったことが確定しました。さすがに与党内でも麻生財務相の辞任は避けられないとか、佐川長官のクビを差し出すとかいう議論がされ始めたようですが、トンチンカンもいいところです。財務省の責任で終わらせていい話ではない。財務官僚が、公文書偽造という刑法に抵触する犯罪を犯して隠そうとしたことは何なのか。最高権力者との関係しか考えられません。森友事件の本質は安倍夫妻なのです」(政治評論家・本澤二郎氏)

 森友学園が設立を目指した小学校は、もともと「安倍晋三記念小学校」として開学する予定だった。その名称で寄付金も集めていた。そこで名誉校長を務めていたのが昭恵夫人であり、1年前の国会で安倍が「私や妻が国有地の払い下げに関わっていたら総理大臣を辞める」と逆ギレしたことが、すべての発端だ。

■民主主義とは似て非なる国

それにしても気の毒なのが、7カ月も拘置所暮らしを強いられている森友学園の籠池前理事長夫妻である。彼らに証拠隠滅の恐れがあるのか。証拠隠滅というのなら、財務省や官邸の方がよほど悪質だ。

「財務省の決裁文書問題は、首相夫妻と森友学園の関わりを隠すために改ざんや隠蔽が行われてきたということでしょう。官邸の圧力か官僚の忖度かは分かりませんが、他の省庁でも改ざんや隠蔽が問題になっている。首相夫妻を守るために、いつの間にか、霞が関の官僚が犯罪集団になっていたのです。国家を破壊するテロが進み、民主主義国家とは似て非なる日本にされてしまった。政権を守るために国民を欺くなんて、どこの独裁国家ですか。この由々しき状況を正常化するには、安倍首相が辞任し、霞が関も幹部を一掃するくらいの総懺悔をする以外にありません。安倍夫妻の問題である以上、首相が居座っているかぎり、収束しない。自民党内では憲法改正の議論が進んでいますが、もはや安倍首相に憲法改正なんてできるわけがない。法律も守れない政権が憲法に手をつけるなんて、国民感情としては許しがたいと思います。まずは膿を出し切って、腐った政府の大掃除をしないと、何も前に進められません」(本澤二郎氏=前出)

ここで政権側が時間稼ぎをして問題を力ずくで隠蔽し、現下の危機を乗り切ったところで、安倍はいずれ野垂れ死にの運命だ。まとわりつく数々の疑惑はくすぶり続ける。改憲ができないとなれば、支持基盤からも見放される。惨めな最後を迎えるだけなのに、今なお権力にしがみつく醜態は奇々怪々だ。最高権力者の座を降りた途端、封じ込めてきた悪事が暴かれると恐れてのことなのか。ここまできたら、潔く責任を取って「名誉ある撤退」を選ぶのが身のためじゃないか。この国のためにも、もう、無駄な抵抗はやめた方がいい。

 

森友担当の財務局職員が自殺 倒閣へ追い込まれる安倍政権(2018年3月9日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 森友学園国有地売却を担当していた近畿財務局の職員が7日に神戸市内の自宅で首を吊って自殺していたことが、9日に分かった。自殺を図ったのは、2日に朝日新聞が報じた決裁文書改ざん疑惑が急浮上した5日後で、この日は野党国会議員が近畿財務局で国会議員提出の決裁文書にはないチェックマーク入りのコピーを入手。改ざん疑惑が深まった直後であった。

 この職員は、昨年11月から一時、精神的な理由のため、休職していたというが、最近になって、何度か登庁しており、聞き取りには応じていた可能性が高い。7日にも登庁したとの情報もあり、自殺と改ざん疑惑との関連性が非常に疑われるのだ。

 しかし、麻生太郎財務大臣は9日、「内容は聞いている」と述べただけで、いまだに改ざん文書の存否すら明らかにしていない。同日の野党合同のヒアリングで、「若い職員をこれ以上苦しめないためにも早急に一両日にも調査結果を報告すべきだ」「調査期限を麻生大臣が指示していないのはおかしい。時間稼ぎをしているとしか見えない」(山井和則・元国対委員長)といった批判が噴出したのはこのためだ。

 ■安倍政権倒閣気運が一気に高まる

 自殺した男性職員は、学園側と売却交渉にあたっていた統括国有財産管理官の直属の部下で、一連の経過を知り得る立場にあった。ヒアリングでは「遺書には改ざんの経過が書かれ、自殺の現場には決裁文書があったという報道もあるが」との質問も出たが、財務官僚は改ざん文書の存否も含めて具体的な事実関係については一切答えず、ゼロ回答の状態がこの日も続いた。

 改ざん疑惑解明に消極的な政府与党に野党は猛反発。8日には野党合同院内集会を開いて、「改ざん文書の存否を明らかにすることが審議再開協議の最低条件」で一致。一丸となって安倍政権(首相)の追及の態勢が整った。

 直前の立憲民主党代議士会では、枝野幸男代表が実質的な安倍政権倒閣の呼掛けをした。「『役所がおかしな文書を2つ作ってしまった』という話ではない」「行政機関が行政の勝手な行動で文書を偽造変造したことは過去にもあるが、その場合は政府が行政的な処分をすればいいだけの話」と指摘した上で、今回の改ざん疑惑の本質をズバリ指摘したのだ。

 「安倍総理が1年前の予算委員会で『関わっていたら総理もおろか、国会議員も辞める』と堂々と仰っていた件に関わって文書が変えられていたのではないか。政府与党全体の問題ではないか。その本質を見誤ってはいけない」

 印が押された行政文書を改ざんすることを罰する「有印公文書偽造罪」(最高で懲役10年以下)を優秀な財務官僚がしていた場合、官邸の政治的圧力や財務省幹部の忖度抜きには考えにくい。

 枝野氏はこう続けた。「与党には(改ざん文書が)ないなら『ない』とはっきり言えと。あるなら『さっさと出せ』と強く求めていきたい」

 そして所属議員に対して、次のように呼びかけた。「皆様にもそれぞれの地域で『単なる偽造変造に止まらない大きな問題である』と。そもそも森友学園の土地の問題は『10億円近い国有財産のダンピングだ』という税金の問題なのだということを是非、国民の皆様にしっかりとお伝えをしていただき、国対の最前線で頑張っている皆様を支えていただきたいと思っております」。

 実質的な安倍政権倒閣の呼び掛けといえる。そして直後の野党合同院内集会では、各党幹部が順次挨拶をして「国会への冒涜」「国政調査権の蹂躙」で一致、最後は頑張ろうコールで締めた。安倍政権を野党一丸で追及する気運が一気に高まったのだ。
(取材協力=ジャーナリスト・横田一)

 

安倍政権に打撃 麻生氏、佐川長官辞任を発表(2018年3月9日配信『毎日新聞』)

 

 麻生太郎財務相は9日、財務省の前理財局長、佐川宣寿前国税庁長官(60)から辞任の申し出があり、持ち回りの閣議で了承したと発表した。学校法人「森友学園」への国有地売却にかかわる決裁文書の書き換え疑惑で国会審議が滞るなど大きな影響が出ており、辞任を求める声があった。書き換え疑惑のある決裁文書が開示された当時、国有資産管理の責任者だった佐川氏の辞任は、安倍政権にとって打撃となりそうだ。

 佐川氏は、2016年6月に理財局長となり、17年7月に国税庁長官に就任。理財局長時代、森友学園への国有地売却問題を巡り、国会で森友側との事前の価格交渉を否定したほか、交渉記録は「廃棄した」などと答弁した。しかし、その後、価格交渉をうかがわせる音声データなどが発覚。野党は答弁との食い違いを問題視しており、国会への証人喚問などを求めていた。

 決裁文書の書き換え疑惑を巡っては、野党側が財務省に対し疑惑を明らかにするよう求めているが、財務省側は「大阪地検が捜査中」として書き換え前の文書の存否などを示していない。また、8日に国会に提出した決裁文書もこれまで開示したのと同じ文書で、野党側の反発を招いている。

 だが、批判の高まりを受け、麻生氏は8日の参院予算委員会で「捜査の最終的な結論が出る前の段階も視野に入れつつ、できるだけ早期に説明できるよう財務省あげて最大限に努力する」と答弁。大阪地検の捜査結果を待たずに調査結果を公表する意向を示した。

 

佐川宣寿国税庁長官が辞任 「森友問題」野党が追及、国会答弁・文書疑惑引責か(2018年3月9日配信『産経新聞』)

 

 政府は9日の持ち回り閣議で、学校法人「森友学園」への国有地売却問題で批判を受けていた佐川宣寿国税庁長官(60)の辞任を認める人事を決定した。前職の財務省理財局長時代に国会で行った答弁について野党から「虚偽だ」と指摘され、更迭を求める声が強まっていた。今月に入り森友学園に関する財務省の決裁文書が書き換えられた疑惑も浮上し、混乱の責任を取ったとみられる。国税庁長官は通例で1年程度務めることが多く、この時期の退任は異例。

 佐川氏は、国有地の売買契約交渉がほぼ終わっていた平成28年6月に理財局長に就任した。同局長時代に、国会で森友学園への国有地売却問題を追及され「適切な対応だった」「記録は廃棄した」などと主張したが、国側と学園との交渉記録などが次々と表面化。野党は当時の答弁を問題視していた。

 佐川氏は昨年7月の国税庁長官就任後、慣例の記者会見を開いておらず、公の場に姿を見せていない。確定申告の受付時期とも重なり、納税者からの非難も高まっていた。

 森友学園をめぐっては、国有地売却に携わっていた財務省近畿財務局の男性職員が、7日に神戸市内の自宅で死亡していたことが9日、捜査関係者への取材で判明。男性職員は自宅療養中で、現場の状況から自殺とみられるという。男性職員は28年当時、学園側と直接売却交渉をしていた職員の部下にあたる上席国有財産管理官を務めていた。

 

「佐川宣寿氏の辞任遅かった」与党、事態急転に困惑(2018年3月9日配信『産経新聞』)

 

 安倍政権内では9日、佐川宣寿国税庁長官辞任に関し「遅かった。もっと早く辞任させた方が良かった」(自民党幹部)などと事態の急転に困惑する声が広がった。

 野田聖子総務相は国会内で記者団に「国会の停滞を解消しないといけない」と述べ、やむを得ないとの認識を示した。政権に打撃となったと認め「とにかく早く決着させることだ」と語った。

 自民党参院幹部は「佐川氏が辞めるくらいで、国会正常化は見通せない」と、国会運営の見通しの厳しさを吐露した。党中堅は、国有地売却を担当した職員が自殺したとみられる事態も含め「政権にとって、死者が出たダメージは大きい。こんなことになるとは誰も予想できなかった」と表情を曇らせた。

 公明党幹部の一人は、佐川氏辞任に「むしろ疑念を深める結果になるのではないか」と不安を漏らした。

 

佐川国税庁長官の辞任決定…持ち回り閣議で政府(2018年3月9日配信『読売新聞』)

 

 政府は9日の持ち回り閣議で、佐川宣寿・国税庁長官(前財務省理財局長)の辞任を認める人事を決定した。

 佐川氏は昨年2月の学校法人「森友学園」への国有地売却問題発覚後、理財局長として国会で、学園との面会記録などを「破棄した」と答弁していた。しかし、財務省はその後、取引に関する文書を公開するなど答弁との食い違いの疑いが強まり、野党などから佐川氏の更迭を求める声が高まっていたことを受け、辞任する意向を固めていた。

 佐川氏は82年に旧大蔵省に入省。理財局長を経て昨年7月、国税庁長官に就任していた。

 

佐川宣寿国税庁長官が辞任 「森友問題」野党が追及(2018年3月9日配信『産経新聞』)

 

 野党は9日、森友学園問題で国民からも批判を受けていた佐川宣寿国税庁長官が辞任の意向を固めたことに関し「トカゲのしっぽ切りだ。辞めて済む話ではない」(立憲民主党の辻元清美国対委員長)として、引き続き安倍政権を追及する考えだ。財務省の決裁文書書き換え疑惑についても、国政調査権に基づく調査を求め続ける方針を崩していない。

 辻元氏は、森友問題を巡り「佐川氏の辞任により、政権が幕引きにしようというのであれば認めるわけにはいかない」と国会内で記者団に強調。麻生太郎副総理兼財務相や安倍内閣全体の責任に及ぶと指摘した。

 

国会と国民愚弄する政府(2018年3月9日配信『しんぶん赤旗』)

 

6野党、真相解明へ合同集会

 学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の決裁文書が改ざんされて国会に提出された疑惑で、日本共産党、立憲民主党、民進党、希望の党、自由党、社民党の6野党は8日、国会内で合同集会を開きました。衆参国会議員100人近くが出席し、真相解明へ結束してたたかう決意を固め合いました。

 民進の那谷屋正義参院国対委員長が情勢報告し、各党の代表が決意表明。共産の小池晃書記局長は、「与野党が一致して求めた資料が改ざんされていた疑惑だ。国会と国民を愚弄(ぐろう)し、国政調査権を蹂躙(じゅうりん)しており、容認すれば国会審議が成り立たなくなる」と厳しく指摘。「議院証言法1条、国会法104条に基づいて決裁文書原本の提出を求め、改ざんの有無とその経過・内容を明らかにするよう求める」と強調しました。

 小池氏は、国会事務所に激励の電話が相次いでいることを紹介し、「国民は私たちのたたかいを支持している。ここに確信をもち、野党が心ひとつにたたかいぬこう」と訴えました。

 立民の福山哲郎幹事長は、「国会空転の責任は政府・与党にある。(改ざん前の)別の文書の存否を明らかにすることが最低条件だ。与党も一致して国会法に基づく資料請求を採決し、政府に要求すべきだ」と力を込めました。

 民進の羽田雄一郎参院幹事長は、「与党にとっても重要な問題であり、参院予算委員会を強硬に進めることはあってはならない」と、同日の与党の委員会運営に抗議しました。

 希望の古川元久幹事長は「これまで野党や国民がもってきた疑念の根幹に関わる疑惑だ。一刻も早く国政調査権を発動して、問題を明らかにするために最後までたたかう」と表明しました。

 自由の玉城デニー幹事長は「多くの国民が野党の結集を応援している。ここから後、折れてはいけないと、気持ちを確かめよう」と呼びかけました。

 社民の吉川元幹事長は「この問題に与党も野党もない。与党は国権の最高機関の構成員としての矜持(きょうじ)を示せ」と求めました。

 

森友文書「改ざん」疑惑 事実なら「総辞職に値」 志位委員長が会見(2018年3月9日配信『しんぶん赤旗』)

 

 日本共産党の志位和夫委員長は8日、国会内で記者会見し、学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地取引に関する文書の改ざん疑惑をめぐり「仮に事実だとすれば、内閣総辞職に値する重大な問題だ」として、野党で一致して真相解明をしていくと表明しました。

 志位氏は、報道で問題発覚後の書き換えの疑いが指摘された決裁文書の写しを財務省が同日、国会に提出したことに言及。内容は議員への開示文書と同じで、書き換えがあったかどうかを同省が「継続調査中」として明言しなかったことに対し「国会の国政調査権が蹂躙(じゅうりん)されている」と指摘しました。

 志位氏は、学園側を特例的に扱ったことなどを示す「肝」の部分が記された文書を財務省から入手したとする同日付「毎日」夕刊の報道に触れ「『朝日』報道を裏付けるものだ。疑惑がいよいよ決定的になった」と強調。与野党が一致して国会に提出を求めた文書が改ざんされたとすれば「国会の審議が成り立たなくなる。政府がまともな審議の前提を壊している」と指摘しました。

 志位氏は、議院証言法第1条、国会法104条に基づいて「財務省の決裁文書原本の提出、改ざんの有無とその経過、内容を明らかにすることを政府に求める立場で野党は団結して頑張っていく」と表明しました。

 

森友文書「改ざん」疑惑 6野党の合意文書(2018年3月9日配信『しんぶん赤旗』)

 

 森友問題に関する財務省の決裁文書の改ざん疑惑に関する6野党の合意文書(7日発表)を紹介します。

 昨日の与党の回答は、国権の最高機関である国会の国政調査権の蹂躙(じゅうりん)という事の重大性をまったく理解しないものである。国会が政府行政に対する監視機能を果たすことによって、三権分立の民主政治は成り立っており、国会の国政調査権はそのための不可欠の権限である。

 いま問題となっているのは、森友学園への国有地処分に関する決裁文書が「改ざん」された上で国会に提出されたという疑惑である。公文書を「改ざん」して国会提出していたとすれば、それは国会の国政調査権を蹂躙し、国会と行政府の信頼関係を根底から突き崩すものである。

 この事態の重大性を理解するなら、「検察の捜査」を理由に決裁文書などの資料提出・開示を拒否することは許されない。

 国会は、速やかに国政調査権を行使し、議院証言法1条及び国会法104条に基づき、財務省の決裁文書原本の提出を求め、改ざんの有無とその経過、内容を明らかにしなければならない。捜査中の事案について、刑事訴訟法47条の「公益上の必要」の規定にもとづき、国会に提出・開示された前例は少なからずある。

 これこそ国会が国民の負託にこたえ、政治の信頼を回復する責務を果たす方法である。与党が国会の権威と信頼の回復のため、賢明な判断をするよう重ねて求めるものである。

2018年3月7日

立憲民主党  辻元清美

希望の党   泉健太

民進党    平野博文

日本共産党  穀田恵二

自由党    玉城デニー

社会民主党  照屋寛徳

 

【スクープ】加計問題でも「公文書改ざん」疑惑が浮上(2018年3月9日配信『日刊ゲンダイ』)

 

改ざん前と後とでは印鑑の数や、文章の長さが全然違う(C)共同通信社

 

「ゼロ回答どころかマイナス回答だ」――。8日の参院予算委は、森友問題をめぐる財務省の決裁文書改ざん疑惑で空転。野党が集中審議への出席を拒否し、テレビ中継が入る中での異例の「空回し」となった。財務省の往生際の悪さには“呆れるを通り越して怒り”しかないが、公文書改ざん疑惑は森友だけじゃなかった。日刊ゲンダイの調べで、愛媛・今治市の加計学園の獣医学部新設をめぐっても公文書改ざん疑惑が浮上したのだ。

■今治市が作成した国家戦略特区WG出席の報告書

 改ざん疑惑が見つかったのは、今治市の職員が2015年6月5日に国家戦略特区のワーキンググループ(WG)委員によるヒアリングを受けるため、内閣府へ出張した内容を記した「復命書」。市の職員服務規程(出張)によると、〈出張者が帰庁した場合は、速やかに復命書を提出〉とあり、同8日付で菅良二市長あてに出張内容を報告する「復命書」が作成された。

 16年秋に今治市民が、この「復命書」を情報公開請求し、一部が開示されたのだが、昨年の通常国会で加計問題に注目が集まると、市は一転して「復命書」を含む関係文書を黒塗りして非開示扱いにした。

 本紙は一部開示された当時の「復命書」と、その後、黒塗りで非開示扱いとなった「復命書」を入手。2つの文書を比べたところ、明らかに不自然な点が見つかったのだ。

 まず、一目で分かるのは、副市長や部長、課長などの印鑑が押された「供覧」の部分だ。2つの文書には印鑑の名前こそ同じだが、押されている場所や印影、数は全く違っていた。そして、出席人数も一部開示された方が少なく、肝心の「議事要旨」についても明らかに一部開示の方が黒塗りよりも記載内容が短かったのだ。

 市の公用文に関する規程には〈「復命書」等〉とあり、復命書は紛れもなく公文書だ。どちらも情報公開請求を受けて開示しているから「途中経過」や「決裁前」の文書はあり得ない。なぜ、一部公開と黒塗りで異なる2つの「復命書」が存在するのか。起案した市企画課に質問書を送ったが、「担当者がいない」などとノラリクラリで、締め切り時間までに回答は得られなかった。

 ちなみに加計問題の国会審議を振り返ると、この時のWGのヒアリングには愛媛県や今治市の職員のほかに加計学園の関係者3人も参加していたことが判明しているが、WGの議事要旨には加計学園の記載がなく、野党が「加計ありきを隠したのではないか」と追及する要因にもなった。

 「今治加計獣医学部問題を考える会」共同代表の武田宙大氏がこう言う。

 役所が情報開示した公文書が2種類ある時点でアウトでしょう。おそらく、一部開示の方は意図的に何かを隠したのではないか。そうとしか考えられません。現在、弁護士と有印公文書変造の罪などで市担当者に対する告発状を提出できないかを検討しています」

 安倍案件の公文書改ざんは当たり前――なんて事態になれば、もはや法治国家じゃない。こんな悪辣政権は一刻も早く総辞職に追い込むべきだ。

 

別文書で確認 財務省にとって森友はやっぱり“特殊”な存在(2018年3月9日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 森友学園の決裁文書改ざん疑惑を巡って、8日の毎日新聞夕刊の報道で、永田町に衝撃が走った。記事は、財務省が昨年5月、国会に開示した文書とは別の決裁文書に「本件の特殊性に鑑み」と記されていたと伝えた。財務省にとって森友学園がいかに「特殊案件」だったかが、改めて浮き彫りになった。

 日刊ゲンダイも毎日新聞と同様の決裁文書を入手。近畿財務局が学園に国有地の売却予定価格を通知した際の「2016年5月31日付文書」(@)と、近畿財務局が学園に国有地を1億3400万円で売却する方針を国交省大阪航空局に通知した「16年6月16日付文書」(A)がそれで、神戸学院大の上脇博之教授が昨年9月に近畿財務局に情報開示請求し、今年1月4日に出てきた文書だ。

 改ざん疑惑が浮上している「普通財産売払決議書」(B)の決裁完了日は16年6月14日。「特記事項」欄には、決裁内容を「大阪航空局宛てに通知」との記載がある。財務省内での決裁を経た後、6月16日にAとして航空局に通知したということだろう。

3つの文書を見比べると、いくつか疑問が湧く。@とBには共に「調書」が添付され、冒頭の「事案の概要」との項目はほぼ同じ文言が記載されている。しかし、Bで「(森友からの)申し出」と記されている箇所は、@では「要請」との表記。「要請」の文言は他にも複数確認できた。またAには、「財務局と航空局との協議」という項目に「本件の特殊性に鑑み」とハッキリ記されている。

 それぞれが別の文書で日付も違うが、当然、全て森友学園への国有地売却についての決裁を示したものだ。にもかかわらず、Bには「要請」や「特殊性」という単語が一切使われていない。やっぱり改ざんされたのではないか。

 「官僚が作成する文書は、同一の契約であれば別々の文書だとしても内容に一貫性を持たせ、慎重に整合性をとるはずです。『要請』『特殊性』という重要な文言が、ひとつの文書の中にだけ存在しないというのは、いかにも不自然。国会答弁の整合性をとるため、売払決議書が後から書き換えられた可能性が高まったと思います」(上脇博之教授)

 8日は、森友問題を追及する「国有地低額譲渡の真相解明を求める弁護士・研究者の会」の阪口徳雄弁護士らが、会計検査院に申し入れ書を提出。会計検査院法に基づき、検査院が佐川宣寿前理財局長(顔写真)らを懲戒免職にすることを求めた。もうゴマカシはきかない。

 

佐川国税庁長官が辞任の意向 森友学園問題で連日答弁(2018年3月9日配信『朝日新聞』)

 

 財務省前理財局長の佐川宣寿(のぶひさ)・国税庁長官が辞任の意向を固めた。複数の政権幹部が認めた。学校法人「森友学園」の国有地取引を巡り、佐川氏は昨年2月の問題発覚後、理財局長として国会で連日答弁し、「全て適正だった」などとしてきたが、その後、答弁の食い違いが疑われる事実が相次いで明らかになっていた。

 佐川氏は国有地の売買契約交渉がほぼ終わっていた2016年6月に理財局長に就任。昨年の国会で一貫して、手続きに問題はないとの答弁を繰り返してきた。

 昨年7月には事務次官級の国税庁長官に起用された。政権に不利な答弁を一切しなかった佐川氏の国税庁長官起用には与野党から疑問の声が上がったが、安倍晋三首相は「適材適所」とかばってきた。

 

佐川宣寿国税庁長官が辞任の意向 森友学園問題で批判(2018年3月9日配信『産経新聞』)

 

 佐川宣寿国税庁長官(60)が辞任の意向を固めたことが9日、分かった。政府関係者が明らかにした。学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題をめぐり、前職の財務省理財局長時代に国会で行った答弁が野党から批判を浴び、更迭を求める声が強まっていた。今月に入り森友学園に関する財務省の決裁文書が書き換えられた疑惑も浮上し、混乱の責任を取ったとみられる。

 佐川氏は国有地の売買契約交渉がほぼ終わっていた2016年6月に理財局長に就任。理財局長時代に国会で森友学園との事前の価格交渉を否定したほか、交渉記録は廃棄したと主張。その後、交渉を行っていたことをうかがわせる音声データや内部文書の存在が明らかとなり、野党は虚偽答弁だとして問題視していた。

 佐川氏は、2017年7月に国税庁長官に就任。通例では1年程度務めることが多く、この時期の退任は極めて異例となる。

 

近畿財務局職員が自殺か 森友学園との交渉担当の部署(2018年3月9日配信『朝日新聞』)

 

 学校法人・森友学園(大阪市)との国有地売買をめぐる交渉・契約を担当した財務省近畿財務局の部署に所属していた男性職員が、神戸市内の自宅で死亡していたことが9日、捜査関係者への取材でわかった。遺書があり、自殺とみられるという。

 関係者によると、職員は国有地の売却などを扱う管財部門に所属。2016年3月、10年以内の土地売却を約束した定期借地契約から、森友学園側の要望を受けて早期の売却に方針転換し、学園側と同部門が交渉していた。近畿財務局は同年6月に8億円超を値引きして売却。朝日新聞はこうした経緯を昨年2月に報道し、表面化した。関係者によると、数カ月前から欠勤がちだったという。

 一方、国有地の貸し付けや売却契約の決裁文書が書き換えられた疑惑をめぐり、財務省は関係職員の聞き取り調査を進めていた。

 麻生太郎財務相は報道陣に9日、この職員の死亡について問われ、「内容は聞いています」と答えた。

 一連の問題をめぐっては、大阪地検特捜部が背任容疑の告発を受理。また、文書管理をめぐる公用文書等毀棄(きき)容疑や証拠隠滅容疑の告発も受理している。

 

「森友学園」国有地売却に携わっていた近畿財務局職員が自殺 問題との関連は不明(2018年3月9日配信『産経新聞』)

 

 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却取引に携わっていた財務省近畿財務局の男性職員が7日に神戸市内の自宅で死亡していたことが9日、捜査関係者への取材で分かった。現場の状況から自殺とみられるという。

■朝日新聞の報道後…「遺書あった」

 国有地売却問題との関連は不明だが、財務局をめぐっては、大阪地検特捜部が不当に安い価格で国有地を売却したとする背任罪などで捜査しているほか、今月2日には財務局作成の決裁文書が書き換えられた疑惑が報じられていた。

 捜査関係者によると、男性職員は7日夕、神戸市灘区の自宅で死亡しているのが発見され、遺書もあったという。男性職員は当時、学園側と直接売却交渉をしていた職員の部下にあたる上席国有財産管理官を務めていた。

 近畿財務局は取材に「現状で事実は把握していない」としている。

 学園をめぐる一連の疑惑が発覚して以降、大阪地検特捜部は背任罪のほか、学園側との交渉記録を廃棄したとする公用文書毀棄(きき)や証拠隠滅の罪で告発状を受理。関連資料の提出を求めたり、職員らに事情を聴いたりするなど任意の捜査を進めている。

 

麻生太郎財務相「朝日新聞の取材能力のレベルが分かるな」 森友文書の書き換え疑惑で同種の質問重ねる記者に苛立ち?(2018年3月9日配信『産経新聞』)

 

 麻生太郎財務相は9日の閣議後会見で、学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却をめぐり、財務省が取引の決裁文書を書き換えた疑惑について同種の質問を重ねる朝日新聞記者に対し、いらだちをみせる場面があった。

 麻生氏は書き換えの有無の調査結果の報告については、「地検の捜査への影響も十分に見極めながら対応する」と述べ、報告時期などの明言は避けた。

 この発言に対し、朝日新聞の記者が「国民の関心事である書き換えの有無について、先に発表する予定はないか」と質問すると、麻生氏は「ありません。捜査に影響を与えないことが基準なので」と説明。

 記者が「先に発表する考えはないということか」と再度確認すると、「捜査に影響を与えないのであれば(発表する)ということを申し上げている」と応じた。

 だが、記者が「捜査に影響を与えないならば発表する可能性はあるのか」と食い下がると、麻生氏の表情は一変。「その質問を(これまで)5〜6回してない? あなた」と記者をただし、「捜査の答えが出ていない。捜査は終了したのですか」と逆質問した。

 記者が「それは分かりません」と答えると、麻生氏は「朝日新聞の取材能力のレベルが分かるな」と吐き捨て、会見場を後にした。

 

クローズアップ2018 森友文書問題 晴れぬ疑惑、政府苦境 与党からも突き上げ(2018年3月9日配信『毎日新聞』)

 

 

 財務省は8日、学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書の写しを国会に提出したが、文書が書き換えられたとされる疑惑は解明されなかった。毎日新聞が入手した別の文書には「本件の特殊性を鑑み」などと学園への対応が特例だったことを示す表現があったことも判明。政府の立場は厳しさを増しており、自民党総裁3選などの安倍晋三首相の政権戦略にも影響を及ぼしかねない。

 「原本に当たる文書は大阪地検に提出した。写し以外で、ということなら調査は継続中です」

 「財務局に現在あるコピーはこれで全てです」

 財務省の富山一成理財局次長は8日朝の参院予算委員会理事会で、書き換え前と書き換え後の2種類の文書が存在するのかしないのかについて、言を左右にし続けた。

 同じ写しを既に入手していた野党は「他に文書がないと明言してほしい」(立憲民主党の蓮舫参院国対委員長)、「文書はこれが全てだと明言してくれないと議論を始められない」(民進党の川合孝典氏)と猛反発。野党議員の多くが午前9時から予定された予算委集中審議を欠席した。

 空席が目立つ委員会室で最初に質問した自民党の三木亨氏は「地検の捜査に配慮する」という政府の釈明に理解を示したが、「財務省から十分な説明がない」と苦言。安倍晋三首相は時折手元に視線を落としながら、「早期に説明できるよう、財務省を挙げて最大限努力してもらいたい」と低姿勢に終始した。

 この日の財務省報告は、文書の存否をあいまいにし続ける政府の対応を懸念した自民、公明両党幹部が、期限を切って異例の要請を行った結果だ。首相は前夜に自民党の二階俊博幹事長と会食した際、森友問題には具体的に触れず、二階氏の杯へ日本酒をついで、政権運営への協力に「ありがとうございます」と頭を下げた。菅義偉官房長官も8日の記者会見で「審議が円滑に進むよう、国会の要請には一つ一つ誠実に対応したい」と配慮した。

 だが肝心の文書の存否は「ゼロ回答」で、与党からもさらに説明を求める声が強まる。自民党の岸田文雄政調会長は8日の派閥会合で「もし書き換えがあったとしたら、これはもう言語道断で、許すことはできない」と強調。財務省は職員からの聞き取り調査の結果も参院へ報告しておらず、公明党の北側一雄副代表は「(報告は)終わっていない」と指摘した。

 野党が求めた「元の文書」が開示される見通しも立っていないようだ。麻生太郎副総理兼財務相は8日の参院予算委で「捜査の最終的な結論が出る前の段階も視野に入れる」と、詳細な説明の時期に言及。ただ、法務省の辻裕教刑事局長は「捜査に支障を生じる恐れがあり、極めて慎重に判断する」と文書の開示に否定的な姿勢を示した。首相官邸幹部は「問題が長引けばボディーブローのように効いて、内閣支持率が下がりかねない」と懸念を口にした。

 逆に野党は、あいまいな説明が続くほど安倍政権に「グレー」の印象が濃くなるとみている。立憲の辻元清美国対委員長は「政府は二階さんの顔にも泥を塗った」と強調。毎日新聞が報じた「特殊性に鑑み」との文書について、民進党の大塚耕平代表は「『国有地の地下ごみが特殊だった』と政府が抗弁するなら、地下にごみが埋まっていたということを、さらに論証しなければならない」と追及する姿勢を見せた。

 仮に今後書き換えが確認された場合、政権への打撃は計り知れない。麻生氏の進退に発展する可能性を問われ、自民党幹部の一人は「バカな。ありえない」と一蹴したが、推移を見守るだけの中堅議員は「書き換えがあったのかなあ」と不安そうに漏らした。【遠藤修平、光田宗義】

首相の強気、鳴り潜め

 安倍政権は、公文書などを巡る問題で再三ダメージを受けている。

 南スーダンに派遣した自衛隊の国連平和維持活動(PKO)を巡っては、フリージャーナリストによる情報公開請求で「陸上自衛隊で廃棄済みにより不開示」とされていた日報について、陸自内で保管されていたことをNHKが昨年3月に報道。稲田朋美防衛相(当時)は直後の国会で、「(陸自から)報告されなかった」と答弁し、安倍晋三首相も稲田氏をかばい続けた。

 しかし、その後に陸自が稲田氏に報告していたと一部メディアが報じると、状況が一変。昨年7月の防衛省特別防衛監察の結果、「防衛相に(幹部から)何らかの発言があった可能性は否定できない」と指摘されたこともあり、稲田氏は辞任に追い込まれた。

 首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡る問題では、政府は当初強気の姿勢で沈静化を図ろうとした。昨年5月17日、獣医学部の新設が「総理のご意向」などと書かれた文部科学省の内部文書が明らかになると、菅義偉官房長官はその日の記者会見で「怪文書みたいな文書。出所も明確になっていない」と指摘。文科省は2日後、「文書の存在は確認できなかった」との調査結果を発表した。

 ところが、前川喜平前文科事務次官が記者会見して「文書は真正のもの」と明らかにし、新たな文書の存在も次々と明らかになったことで同省は再調査に追い込まれ、文書の存在を認めざるを得なかった。

 そして、森友学園への国有地売却問題。開示された公文書を盾に首相は激しいメディア批判を展開していたが、今回の疑惑報道で政府は守勢に回っている。

 学園が国有地に小学校を設立するため、財務省に提出した「(小学校)設置趣意書」について、同省は当初、計画されていた学校名を黒塗りにして野党議員らに開示。朝日新聞は昨年5月、籠池泰典前理事長への取材を基に、校名に「安倍晋三記念小学校」と記されていると報道したが、同省は昨年11月、黒塗りを解いた文書を明らかにし、「開成小学校」と記されていたことが判明した。

 これ以降、首相はこの朝日新聞報道を開会中の通常国会で繰り返し取り上げ、「間違い」「裏取りがない」と批判している。

 これに対し、決裁文書が書き換えられたとされる朝日新聞による疑惑報道では、財務省は現時点で「調査中」を理由に説明を拒んでいる。元文科省大臣官房審議官の寺脇研・京都造形芸術大教授は「報道が事実か否かは1日もかからず分かることで、役人の世界を知る者からすると理解に苦しむ。報道は事実で、時間稼ぎをしているとしか思えない」と苦言を呈した。

 

森友文書、項目ごと消える 貸付契約までの経緯(2018年3月9日配信『朝日新聞』)

 

 学校法人・森友学園(大阪市)との国有地取引をめぐり、財務省の契約当時の決裁文書と、その後に国会議員に開示された文書の内容が異なっている問題で、2016年の売却契約時の文書では1ページあまりにわたって記されていた「貸付契約までの経緯」という項目が、その後の文書ですべてなくなっていることがわかった。この項目には、財務省理財局長の承認を受けて特例的な契約を結ぶ経緯が記されていた。

 同省は学園と、15年5月に土地の賃貸、16年6月に売買の契約を結んだ。朝日新聞が確認したところ、項目ごとなくなったのは売却契約の際の決裁文書のうち、事案の概要などを8項目で記した「調書」の「4.貸付契約までの経緯」。

 契約当時の調書には、この項目で、学園から「借り受けて、その後に購入したい」との要望があり、近畿財務局が「本省理財局に相談した」と記載。計画が小学校の新設で公共性があることなどから、「学園の要請に応じざるを得ないとの結論」になったとしている。

 また、10年以内の売買を約束した貸し付け契約が「特例的な内容となる」として「理財局長の承認を得て処理を行う」とし、15年4月30日付で承認を得たなどと記されている。

 ところが、昨年2月の問題発覚以降に国会議員に開示された文書では、これらの記載は項目ごとなくなった。代わりに契約当時の文書で5番目だった項目が4番目に繰り上がり、「4.本件売払いに至る経緯について」となっている。

 この「売払いに至る経緯について」でも、契約当時の文書では「金額が納得できれば」「損害賠償等を行わない」との学園側の提案に触れ、「学園の提案に応じて鑑定評価を行い価格提示を行うこととした」と記されていた。しかし、その後の文書ではこうした記載がない。

 また、「1.事案の概要」の項目で「価格等について協議した結果、学園が買受けることで合意した」との部分は、「売払申請書の提出があった」という記載になっていた。

 調書はA4判全7ページだったが、複数箇所で文言がなくなったり変わったりし、国会議員に開示された文書は5ページになっている。それと同じ内容の文書が、8日に国会に提出された。

 一方、毎日新聞は同日、朝日新聞が内容の違いを指摘している文書とは別の文書に、「本件の特殊性」との文言があったと報じた。文書は、情報開示請求などに開示されたもので、この文言のほか、「貸付契約までの経緯」の項目があった。朝日新聞が確認したところ、項目の内容は、売却契約当時の決裁文書にあり、その後、項目ごとなくなっているものとほぼ同じだった。

 

「0.1ミリも進まぬ」 財務省の文書開示が混迷に拍車(2018年3月9日配信『朝日新聞』)

 

 森友学園との国有地取引に関する財務省の決裁文書をめぐる疑惑は、財務省が過去に開示した内容と同じコピーを提出したことで、さらに混迷の度合いを増す結果となった。野党の反発は強まり、国会審議の先行きは見通せない。政府・与党内にも深刻なダメージを懸念する声が出始めた。

 「国会審議が空転し、混乱しているのは、すべて財務省の対応に起因するものだ」。8日昼に開かれた立憲民主党など野党6党の幹事長・書記局長会談後。立憲の福山哲郎幹事長が財務省への怒りをぶつけた。

 財務省が朝の参院予算委員会理事会に提出した決裁文書のコピー。これまで国会議員に開示された文書と同じ内容だった。野党の質問は、書き換え疑惑を解明するうえで、文書が他にあるのかどうか、という点に集まった。

 野党議員の一人が「これですべてなのか」と問うと、財務省の富山一成理財局次長は「近畿財務局にあるコピーはこれがすべてでございます」といったんは答えた。ところが立憲の蓮舫氏が「この他に文書が作られていないと明言してくれますね」と迫ると、富山氏は「『これ以外』というところは調査継続中です」と発言を後退させた。

 蓮舫氏は理事会終了後、記者団に「審議入りどころか、0・1ミリも前に進んでいない」とぶちまけた。与野党はこの日の審議再開で合意していたが、理事会の紛糾によって日本維新の会などを除く野党議員は委員会をそろって欠席。野党6党は国政調査権に基づく資料提出を求める方針で再び足並みをそろえた。

 理事会休憩後に開かれた野党6党の合同ヒアリングでも、財務省の対応の遅さへの不満が噴出。「職員を総動員して調査していて、なんで書き換え前の文書が存在しているかという一点がわからないのか」などと追及が続いた。追い込まれた富山氏は「可能な限り早く結論を出したい」と繰り返し、同席した理財局課長も「自分や同僚が罪になるかもしれないという聞き取りを行っているので」と回答に時間がかかっていることへの理解を求めた。

 野党6党は午後、国会内で集会を開き、疑惑解明に向けた気勢を上げた。共産の小池晃書記局長は「これを容認したら、国会で質問するたびに『この文書は改ざんしていないでしょうね』といちいち確認しなければいけなくなり、国会が成り立たなくなる」と述べ、財務省の姿勢を皮肉った。

狂う目算、政権に危機感

 財務省による決裁文書のコピー提出で、正常化に向かうはずだった国会の空転が続いたことで、与党の国会運営の目算は再び狂い始めている。

 大半の野党が欠席したまま開かれた8日の参院予算委員会。森友学園問題では時折、声を荒らげることもある安倍晋三首相だが、この日は手元の紙に目をやりつつ、慎重に答弁した。

 

自民党派閥で財務省への苦言相次ぐ 伊吹文明氏「朝日も『確認した』をもう少し具体的に」(2018年3月8日配信『産経新聞』)

 

 森友学園への国有地売却に関する財務省の決裁文書が書き換えられた疑惑があるとの朝日新聞報道を受けて、自民党の8日の派閥会合では財務省への苦言が相次いだ。

 岸田派会長の岸田文雄政調会長は「書き換えがあったならば言語道断であり問題だ。財務省にしっかり説明責任を果たしてもらわなくてはならない」と注文した。麻生派会長代行の山東昭子元参院副議長は「国民からみて、財務省は日本の国の財産を預かる信頼できる存在の役所であるはずだ。きちんとした対応をしてもらいたい」と語った。

 二階派最高顧問の伊吹文明元衆院議長は「行政に対する国民を代表した質疑権は国会にある。朝日報道が全て事実ならば、憲法上大きな問題が生じる」と指摘した。

 同時に、朝日に対しても、「決裁当時の文書」を「入手」でなく「確認」としていることについて「どういうことなのかもう少し具体的に話してほしい。慰安婦問題では紙面を挙げて大謝罪をした前科がある」と注文を付けた。

 

森友文書「戦後初めての深刻な疑惑」共産・志位委員長(2018年3月8日配信『朝日新聞』」)

 

志位和夫・共産党委員長(発言録)

 (森友学園への国有地売却問題で)国会に公式に提出された文書が改ざんされていたとなると、国会審議は成り立たない。野党が審議拒否しているのではない。政府与党が国会のまともな審議の前提を壊している。

 公文書改ざんで疑惑を覆い隠すという問題は戦後記憶にない。戦後初めてと言っていい深刻な疑惑が今、提起されている。事実とすれば、内閣総辞職に値する深刻な問題だ。公文書の偽造となれば、刑事犯罪になる可能性も大いにある。

 この問題は日本の民主主義にとって絶対に引けない、徹底的に追及する必要がある問題だ。

 ロッキード事件のときは、司法の解明と国政調査権(の活用)が車の両輪になった。司法と国会の究明が、お互いに矛盾することはない。それぞれ解明することがそれぞれの解明を促す。司法の捜査を理由に(説明を拒否)することは、絶対に成り立たない。それはロッキード以来の国会の歴史が証明している。(国会内の記者会見で)

 

野党、森友問題別文書の存否追及 国会不正常、財務省対応に抗議(2018年3月8日配信『毎日新聞』」)

 

 野党6党は8日午後、学校法人「森友学園」への国有地売却問題に関する財務省の決裁文書書き換え疑惑を巡り、国会内で合同集会を開いた。立憲民主党の福山哲郎幹事長は、財務省がこれまでの開示文書と同じ内容の決裁文書の写しを国会に提出したのを受け、別の文書の存否を追及する考えを示した。財務省の対応が不十分なため、国会が不正常な状況になっているとも強調した。

 福山氏は「政府、与党、財務省に強く抗議する。別文書の存否を明らかにするのが、今後の協議に応じる最低条件だ」と述べた。

 合同集会には希望、民進、共産、自由、社民各党の幹事長、書記局長らも参加した。

 

森友学園を巡る財務省の決裁文書書き換え疑惑について、合同集会を開き気勢を上げる野党議員=8日午後、国会

 

森友文書 別文書に「特殊性」の表現 国会開示にはなし(2018年3月8日配信『毎日新聞』―「夕刊」)

 

「本件の特殊性に鑑み」などと記された財務省の決裁文書

 

 

 学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の決裁文書が書き換えられたとされる疑惑で、同省が国会に開示した文書とは別の決裁文書に、「本件の特殊性に鑑み」「学園に価格提示を行う」などの表現があることがわかった。毎日新聞が同省近畿財務局への情報公開請求で入手した。これらの表現は国会に昨年提出された売買に関する開示文書にはなく、文書作成の経緯や疑惑との関連性が議論になりそうだ。

 「特殊性」との表現があるのは、財務局が2016年6月、学園に国有地を鑑定価格より約8億円安い1億3400万円で売却する方針を国土交通省大阪航空局に通知した際の決裁文書。「財務局と航空局との協議」と題した項目に、「本件の特殊性に鑑み、売買契約締結後に契約書に基づき国が行う行為については、近畿財務局と大阪航空局が必要に応じて協議を行い、これを実行するものとする」と書かれていた。文書には、国有地の地中から大量のごみが見つかって新たな契約を結ぶことや、国がごみに関する責任を一切負わないとの特約を盛り込むとの記載があり、こうした経緯を特殊性と表現した可能性がある。

 また、財務局が学園に売却額の予定価格を通知した際の決裁文書(16年5月)では、「学園から早期に土地を買受けたいとの要請を受け」「学園に価格提示を行う」などの記載があった。

 文書は昨年9月に毎日新聞が情報公開請求し、今年1月に開示された。

 一方、財務省が昨年5月、国会に提出した売却時の決裁文書にはこうした表現はなく、学園からの「要請」は「申し出」との表現になっている。

 朝日新聞は今月2日付朝刊で、契約当時の決裁文書には「本件の特殊性」「価格提示を行う」などの表現があったが、昨年2月下旬以降に書き換えられた疑いがある、と報じていた。

 

刑事局長、資料提出は「慎重に判断」 捜査支障の恐れ(2018年3月8日配信『産経新聞』)

 

 森友学園問題に関連し、法務省の辻裕教刑事局長は8日の参院予算委員会で、一般論とした上で検察の捜査に必要な資料を出すかどうかは「捜査に支障が生じる恐れがあることなどから、極めて慎重に判断するものと考える」と述べた。公明党の横山信一氏への答弁。

 辻氏は、国政調査権に基づく資料の提出要請があった場合の検察の対応について「国政調査権の行使には、法令が許す範囲でできる限り協力すべきものだ」と強調。その上で捜査中の事件の場合、「国会に提出すると捜査資料そのものが公になり、支障が生じる恐れがある」と指摘した。

 

野党が審議欠席 財務省説明は「中身ゼロ」(2018年3月8日配信『朝日新聞』)

 

参院予算委の開会前、麻生太郎財務相(右)と言葉を交わす安倍晋三首相=8日午前9時21分

 

 安倍晋三首相や麻生太郎財務相らが出席して参院予算委員会が開かれています。森友学園との国有地取引に関する決裁文書の書き換え疑惑をめぐり、財務省が文書のコピーを提出しましたが、野党側は開示済みの文書と同じだとして反発。審議を欠席しています。タイムラインで予算委の模様などをお伝えしていきます。

 

 

安倍首相、答弁1回だけ 午後の審議(18:00)

 午後6時、この日の参院予算委員会が終了した。野党の多くは朝の財務省の文書開示の姿勢に反発し、審議をボイコット。結局、質問者10人のうち6人が欠席し、実質的な審議は予定の半分以下にとどまった。

 委員会後、安倍晋三首相は与党議員らとしばらく会話を交わした後、委員会室を後にした。午後の審議で、首相の答弁はわずか1回。普段の審議で質問が集中する首相にとっては珍しい。「不完全燃焼」だったか、「穏やかな時間」となったのか。

 

猪木氏「元気ですか−。元気はウソつかない」(17:45)

 「元気ですか――」。午後5時45分、最後の質問者、アントニオ猪木氏(無所属クラブ)の大声が響いた。「元気があれば何でもできる。元気と『インディアン(アメリカ先住民)』はウソつかない」と切り出し、「(文書書き換え疑惑が)議論されているが、どれが本当でどれがそうでないのか。いろいろ出る書類も含めて、本当に国民の目から見ると混乱するばかり」と苦言を呈した。

 猪木氏の前の質問者だった福島瑞穂(社民)、福山哲郎(立憲民主)の両氏は審議に応じず、「空回し」となった。この間、NHKの国会中継は自然風景の映像を流していた。

 

維新は審議拒否に同調せず(16:45)

 参院予算委員会は午後も引き続き、野党の多くが欠席したため「空回し」が続いた。4時45分、共産党の持ち時間が終了。次の質問者・浅田均氏(日本維新の会)が質問に立った。維新は野党だが、審議拒否には同調していない。

 浅田氏も文書改ざん疑惑を取り上げ、「財務省で今まで決裁文書の改ざんはなかった、国民を裏切る行為はなかったという理解で良いか」とただした。麻生太郎財務相は過去10年分の記録を確認したとして、「決裁文書の修正が、決裁ルールに抵触した処分事例はない」と述べた。

 

衆院に混乱波及、午後の本会議取りやめ(12:00)

 財務省の文書開示を受けて、この日の国会は「大荒れ」となっている。参院予算委員会は野党の大半が欠席したまま、午前の審議を終えた。夕方に再開するが、多くの野党は引き続き欠席する見通しだ。

 混乱の影響は衆院にも波及。衆院議院運営委員会は午前の理事会で、この日午後に予定していた本会議の開催に合意が得られず、開かないことを決めた。今後の国会日程は不透明な情勢となった。

 

会談に臨む野党の幹事長、書記局長、国対委員長ら=8日午前11時22分

 

野党の大半欠席のまま昼休憩に(11:55)

 午前11時55分、横山信一氏(公明)が質疑を終え、参院予算委員会は昼休憩に入った。午後4時に再開する。財務省の文書開示に対し反発し、野党の大半が欠席したままとなっている。

 

文書問題、麻生氏「早期説明に努力」(11:20)

 午前11時20分、本人が欠席したまま大野元裕氏(民進)の持ち時間が「空回(からまわ)し」状態で終了した。次の横山信一氏(公明)は出席しており、質疑が始まった。

 横山氏は冒頭、財務省の文書改ざん疑惑を取り上げ、「さらに説明できることがあれば」と麻生太郎財務相に答弁を求める。麻生氏は「捜査の最終的な結論が出る前の段階も視野に入れつつ、できるだけ早期に説明できるように財務省挙げて最大限の努力をしたい」として、引き続き「文書の確認、職員への聞き取り調査」を進めるとした。

 

与野党、衆参で断続的に協議(10:55)

民進党の難波奨二氏の質問時間となり、質問者不在のまま、審議時間は過ぎていった・

 財務省の文書提出を受けて、衆参両院で与野党が断続的に協議を続けている。衆院では野党の国会対策委員長が会談。終了後、立憲民主党の辻元清美国対委員長は記者団に「今日出た文書では承服しかねる。前と同じだ。これ以外にあるのかどうかも明確にされず、『調査する』としか言っていない」と憤った。

 さらに「(財務省は)二階幹事長の顔に泥を塗っているんちゃうかな」と辻元氏。自民党の二階俊博幹事長は6日の記者会見で「(政府の対応は)理解できない」と述べ、財務省に資料提出を促していた。

 

野党欠席のまま審議再開 時間空費の「空回し」(10:17)

 参院予算委員会は野党のうち民進、共産などが欠席している。金子原二郎委員長(自民)がいったん審議を止めて出席を呼びかけていたが、午前10時17分、審議を再開させた。質問者が欠席していて、やりとりのないまま持ち時間を消化していく方法で、「空回し」と呼ばれる。

 このため、参院予算委は、質問席に質問者がいない状態で進行している。予算委の審議は、自民、民進、公明、共産、日本維新の会などの順番で予定されていた。トップバッターの三木亨氏(自民)は10時過ぎに終えていた。

 

野党側「1ミリも前に進んでない」(10:10)

 野党のうち民進、共産などは財務省の説明に反発し、参院予算委員会の審議を欠席している。それぞれの理事らは朝の理事会後、記者団に理由を語った。

 川合孝典氏(民進)は「財務省に『これが全てか』と言った所、『今出せるものは全て』との回答。6日の時点から1ミリも前に進んでいない。到底、受け入れられない」と説明。

 辰巳孝太郎氏(共産)は「改ざん後と思われる資料しか出てこなかった。財務省は書き換えられた後のコピーである可能性を否定できなかった。だとすれば審議の前提が崩れる」。山本太郎氏(自由)は「これだけの紙が出てきたが、結局中身ゼロ。まさに時間稼ぎ。(自民の金子原二郎)委員長が、委員会を進める大前提が崩れたにもかかわらず強行した」と語った。

 

参院予算委が開かれる第1委員会室を退室する民進党、共産党などの野党議員ら=8日午前9時14分

 

参院予算委が始まる(9:25)

 参院予算委員会が始まった。9時28分、安倍晋三首相が最初の答弁に立つ。「できるだけ早期に説明できるよう、財務省を挙げて最大限努力してもらいたい。政府も誠意を持って対応していく考えだ」。紙を読み上げながら、一語一語ゆっくりと説明した。

 三木亨氏(自民)への答弁。三木氏は「誠実に対応を」と述べた。野党のうち民進、共産などは現時点で審議を欠席している。

財務省、計4種類のコピー提出(9:15)

 参院予算委員会理事会はいったん休憩に入った。財務省はここまでの時点で、同理事会と、野党のヒアリングの双方に問題の決裁文書を提出した。文書は、貸付時と売却時それぞれについて、「紙」と「PDF」双方のコピーで、計4種類。野党は昨年2月以降に国会議員に開示された文書と同じものだとして反発している。

 野党はこうした決裁文書がすでに書き換えられていたものではないか、という点を追及しており、財務省がどのように説明するのかが焦点になっている。

 

決裁文書コピーか、理事会に段ボール(9:10)

 午前8時40分、国会内で参院予算委員会理事会が始まった。財務省の職員が、理事会に示す決済文書のコピーが入ったとみられる段ボールを理事会室に運び込む姿が見られた。理事会は、委員会開始予定の8時55分を過ぎても続いている。財務省が文書を理事に開示し、現在も各党とのやりとりが続いている模様だ。

 

 

参院予算委理事会で財務省が提出した、森友学園関連の決裁文書「原本」の写し=8日午前

 

森友文書 財務省提出文書、チェックマーク以外は同じ内容(2018年3月8日配信『産経新聞』)

 

 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却に関する財務省の決裁文書が書き換えられた疑惑があるとの朝日新聞報道をめぐり、財務省は8日午前、参院予算委員会の理事会に決裁文書の「原本の写し」を提出した。写しは財務省が昨年、国会議員に開示した文書とチェックマークがついている以外は同じ記載内容だった。

 異なる記載内容の文書の存否について財務省側が「(この写しが)近畿財務局にあるすべて」と明言しなかったため、民進、共産、希望の会(自由・社民)、立憲民主の野党4会派の委員が反発し、委員会への出席を拒否した。

 その後始まった予算委の集中審議で、安倍晋三首相は「財務省は捜査に対する影響を配慮しつつ、国政調査権ということも重々踏まえ、調査を進めていると承知している。国会でこれだけ大きな問題となっており、早期に説明できるよう財務省を挙げて最大限努力をしてもらいたい」と述べた。「政府としても誠意をもって対応していく考えだ」とも強調した。予算委は出席を見送った民進党議員の質疑時間に議事が一時中断した。

 民進党の那谷屋正義参院国対委員長は8日、自民党の関口昌一参院国対委員長と国会内で会い、野党側が欠席のまま参院予算委の審議を進める与党の対応に抗議。立憲民主党など野党6党は8日の国対委員長会談で、財務省が参院予算委理事会で提出した写しについて「承服しかねる」という認識で一致した。

 財務省が理事会に提出したのは「貸付決議書」「売払決議書」の写し。それぞれ紙のものとPDFファイルを印刷したものがあり、計4種類で計約500枚ある。

 立憲民主党の蓮舫参院国対委員長は財務省の対応について、記者団に対し「1ミリどころか0・1ミリも前に進んでいない。既に明らかになっていることを『実はありました』といわれても、とても納得できない」と批判した。

 

財務省、他文書有無は明言せず 野党「何の意味もない」(2018年3月8日配信『朝日新聞』」)

 

 森友学園との国有地取引に関する財務省の決裁文書が書き換えられた疑いをめぐり、財務省は8日、参院予算委員会の理事会に文書のコピーを提出した。これまで国会議員に開示された文書と同じ内容だった。野党は疑惑の解明につながらないと反発。立憲民主党など大半の野党が出席しないまま、委員会が始まった。

 財務省が国会に提出したのは、2015年5月に貸し付け契約を結ぶための決裁文書と、16年6月に売買契約を結ぶための決裁文書。朝日新聞が確認した契約当時の文書には「特例的な内容となる」などの文言があったが、この日の提出文書にはなく、昨年2月の問題発覚後に国会議員らに開示されたものと同じ内容だった。

 理事会で野党側は、今回提出した文書以外に残っていないのか追及した。財務省の富山一成理財局次長は「現在、近畿財務局にあるコピーはこれが全てだ」と強調したものの、他に文書が残っているかは明確にしなかった。このため民進、共産、立憲などは「書き換えられた後のコピーである可能性を否定できなかった。審議の前提が崩れる」(共産党の辰巳孝太郎氏)と判断。理事会後に始まった委員会への出席を拒否している。

 自民、公明両党と日本維新の会などが出席して始まった委員会で、安倍晋三首相は「できるだけ早期に説明できるよう財務省を挙げて最大限努力をしてもらいたい。政府としても誠意を持って対応していく」と述べた。自民党の三木亨氏の質問に答えた。

 三木氏に続いて質問する予定だった民進議員が出席しておらず、委員会は首相や与党議員らが着席したまま、民進議員の持ち時間が終わるのを待つ状態が続いた。

 野党は断続的に幹部間の会合を開き、対応を協議している。国会内では別途、ヒアリングを行い、財務省から同じ文書の提出を受けた。この場でも他に文書があるのかについて質問が集中したが、財務省は「現時点ではお答えできない」などと話し、野党議員らは「何の意味もない」「時間稼ぎ、隠蔽(いんぺい)としか思えない」と批判を強めている。

 

森友の決裁文書コピー提出 野党反発「開示済みと同じ」(2018年3月8日配信『朝日新聞』)

 

 学校法人「森友学園」との国有地取引に関する財務省の決裁文書が書き換えられた疑いをめぐり、財務省は8日、参院予算委員会の理事会に文書のコピーを提出した。野党はこれまで国会議員に開示された文書と同じで疑惑の解明につながらないと反発。立憲民主党など野党議員は出席しないまま、委員会が始まった。

 提出されたのは「貸付決議書」「売払決議書」で、それぞれ紙のコピーと、電子ファイルを印刷したものがあり、計4種類。理事会で野党側は、他に文書がないのか追及したが、財務省は「調査中」としか答えなかったという。予算委理事を務める立憲の蓮舫・参院国会対策委員長は記者団に対し、「納得できない」と語気を強めた。

 一方、安倍晋三首相は委員会で「できるだけ早期に説明できるよう財務省を挙げて最大限努力をしてもらいたい。政府としても誠意を持って対応していく」と述べた。自民党の三木亨氏の質問に答えた。

 文書をめぐっては財務省は6日、「捜査の対象となっており、直ちに確認できない」とし、開示を拒んでいた。しかし、財務省の説明に野党だけではなく、与党も批判。近畿財務局に残っていたコピーを提出することになった。

 

スクープ直後に内調トップと 安倍首相が朝日“ネタ元”潰し(2018年3月8日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 ロコツな犯人捜しにうごめいている。森友問題をめぐる文書改ざん疑惑で、ロクに回答しなかった財務省のせいで、6日の参院予算委は中止と国会は空転状態。改ざんをリークしたのは財務省関係者といわれているが、朝日新聞の報道以後、安倍首相自らスクープの「ネタ元」潰しに血道を上げているという。

 朝日新聞の文書改ざん疑惑報道で参院予算委が“炎上”した今月2日、安倍首相の行動はロコツだった。首相動静によると、参院予算委終了後の17時55分、官邸でイの一番に会ったのは、内閣情報調査室(内調)トップの北村滋内閣情報官。その後、複数の用事を済ませ、19時15分から東京・有楽町のフランス料理店「アピシウス」で、北村情報官の他、田中一穂日本政策金融公庫総裁らと会食している。

 北村情報官は、加計学園問題を告発した前川喜平前文科次官の「出会い系バー」通い調査を行い、“レイプもみ消し”疑惑が報じられた山口敬之元TBS記者が泣きついた相手と報じられている。安倍首相の“懐刀”で「官邸のアイヒマン」の異名を取るスゴ腕だ。

一方、田中総裁は第1次安倍政権で首相秘書官を務め、15年7月から1年間、財務事務次官を務め上げた。在職中に、財務省は森友学園への国有地売却を決裁。疑惑の核心を知り得る立場にいたキーパーソンである。

 さらに、今月5日付で、警察庁を管理する国家公安委員会の委員に安倍首相と近い大手メディアの取締役が就任。委員会は5人の委員で構成され、1枠は“マスコミ枠”といわれている。これまでもメディア幹部が就任してきたが、5日に就任した取締役は過去、モリカケ問題をめぐり、政権を擁護する論説を何度も展開。安倍首相ともたびたび食事を共にしてきた。そんな“アベ友”記者が、国会同意が必要な捜査機関の要職に就任とは、不可解なタイミングだ。

 まるで、改ざんを流出させた“犯人”を特定するため、側近と協議し、捜査機関に“御用記者”を送り込んだかのようだ。

 

「財務省をかばう気はない!」 与党に広がる危機感…幕引き急ぐ 野党は引き続き攻勢強める(2018年3月7日配信『産経新聞』)

 

 自民、公明両党は7日、学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却に関し、財務省の決裁文書が書き換えられた疑いがあるとの朝日新聞報道をめぐり、政府に「8日まで」と期限を区切って報告を求める厳しい対応を取った。平成30年度予算案や予算関連法案を参院で審議しており、悪影響が出かねないからだ。一方、野党は安倍晋三政権に打撃を与える好機とみて引き続き攻勢をかける方針だ。

 「財務省は一両日中に調査結果を国会に報告すべきだ」。公明党の井上義久幹事長は7日朝、自民党の二階俊博幹事長らとの会談で、こう切り出した。二階氏も「そうすべきだ」と応じ、首相官邸に申し入れることを約束した。

 参院予算委員会は、野党側が財務省の説明が「ゼロ回答だ」として審議拒否に転じたため、6、7両日の審議がストップした。30年度予算案は憲法の衆院優越規定により年度内成立が確定しているが、税制など予算関連法案の成立が4月以降にずれ込めば、国民生活に影響が出る。

 さらに、このまま逆風が続き、安倍政権が事実解明に及び腰と映れば支持率が急落しかねないため、与党内には早期の幕引きを求める声が広がった。財務省の姿勢に対し「かばう気はない。『ふざけるな』と思っている」(自民党国対幹部)などと厳しい声が噴出する。

 一方、立憲民主党の辻元清美国対委員長は7日の党会合で「決裁文書がフェイクなら首相自身が責任を取らなければいけない」と語った。希望の党では同日、一部議員が執行部に求める分党協議について古川元久幹事長が回答する予定だったが、古川氏は「森友問題で国会が緊迫している」と回答を保留し、政権追及に注力する方針だ。

 ただ、与党内には、朝日新聞の報道が問題の文書の存在を「確認した」とあるだけで、入手の有無に触れていないことへの疑問も広がる。財務省は8日、参院予算委の理事会で、大阪地検に提出した決裁文書の写しを示すが、財務省が「異なる記載内容の決裁文書はない」と断言した場合、報道した朝日新聞の対応も注目される。

 

決裁文書のコピー提示へ 森友問題、自民と民進が合意(2018年3月7日配信『朝日新聞』)

 

 森友学園との国有地取引に関する財務省の決裁文書が書き換えられた疑いで、自民党の関口昌一・参院国会対策委員長と民進党の那谷屋正義・参院国対委員長は7日、同省が8日朝の参院予算委員会理事会で、決裁文書のコピーを出すことで合意した。財務省は文書は大阪地検に提出したとしていたが、コピーが残っていたという。

 野党は財務省が捜査を理由に十分に説明しなかったとして、7日以降の国会審議の日程協議に応じない構えを示していた。政府・与党が情報開示に前向きな姿勢を示したことから、国会も正常化に向かう可能性が出てきた。今後は8日に出される文書のコピーの内容や書き換えの有無などが焦点になる。

 

森友文書 開示済み写しを提出へ 財務省が参院予算委に(2018年3月7日配信『毎日新聞』)

 

8日に安倍首相出席し、参院予算委の集中審議

 学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の決裁文書が書き換えられたとされる疑惑で、同省は8日、大阪地検に提出した決裁文書の写しを参院予算委員会理事会に提出する。与野党の要求を受け入れた。ただ、財務省は7日の野党の会合で、提出する決裁文書の写しは、国会議員に既に開示した文書と同じだと説明した。

 自民、公明両党の幹事長・国対委員長は7日、東京都内で会談し、8日までに調査結果を報告するよう財務省に求める方針で一致。これを受け、自民党の二階俊博幹事長は党本部で西村康稔官房副長官に「提出できるものは、できる限り早く出せ」と伝え、資料提出など政府の速やかな対応を求めた。

 自民党の森山裕国対委員長は記者団に、「そんなに多くの人が関わってきた話ではない。国会審議が進むように対応してほしい」と述べ、決裁文書の写しの提出にとどまらず、財務省内での聞き取り調査の結果などについても説明が必要との認識を示した。これに関連し、西村氏は7日夜のBSフジの番組で「財務省には(関係者の)聞き取りを急がせて、一定の報告をしたい」と語った。

 与党側が決裁文書の写しを国会に提出させる方針を野党側に伝えた後、与野党は8日に安倍晋三首相が出席して、参院予算委の集中審議を行うことを決めた。

 参院予算委では6、7両日に予定されていた11時間の審議が取りやめとなった。民進党の那谷屋正義参院国対委員長は記者会見で、8日からの審議再開について「(自民側は)8日の理事会に写しを出すと明言した。一定の前進と見ている」と語った。

 一方、立憲民主、希望、民進など野党6党の国対委員長は7日、国会内で会談し、国会法104条に基づき国政調査権を発動し、政府に資料提出を要求する方針で一致。立憲の辻元清美国対委員長は自民党の森山氏と会談し、野党の方針に賛同するよう求めた。森山氏は「捜査を続けている司法の立場もあり、よく吟味したい。政府も真摯(しんし)に対応している」と述べるにとどめた。

 

森友文書 自公、財務省に資料提出を要求 8日期限(2018年3月7日配信『毎日新聞』)

 

 自民、公明両党の幹事長・国対委員長は7日午前、東京都内で会談し、学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の決裁文書が書き換えられたとされる問題について、8日までに調査結果を報告するよう財務省に求める方針で一致した。自民党の二階俊博幹事長は会談後、西村康稔官房副長官に対し、資料などを速やかに国会に提出するよう要求。菅義偉官房長官は記者会見で「与党の要請を踏まえて財務省にしっかりと対応させたい」と語った。

 自民党の森山裕国対委員長は記者団に「大阪地検に押収されている資料の写しはあると思うので、しっかり対応してもらいたい」と述べ、写しを国会に提出することも検討すべきだとの考えも示した。また「財務省は省を挙げて調査、聞き取りを可及的速やかに行う必要がある」と指摘した。

 明確な説明を避ける財務省に野党が反発して国会審議が空転しており、さらなる対応が必要と判断した。

 自公幹部の会談では、公明党の井上義久幹事長が「決裁書類に関する資料調査と関係者聴取の結果を一両日中に報告すべきだ」と提案し、二階氏も「そうすべきだ」と応じた。二階氏はこの後、党本部で西村氏と会い、「(資料など)出せるものはできるだけ早く出せ」と要求。西村氏は「出せるものは出します」と応えた。

 財務省は6日の参院予算委員会理事会で「文書をただちに確認できない」などと説明した。野党は「ゼロ回答で不十分だ」と一斉に反発し、国会審議に影響が出ている。

 一方、立憲民主、希望、民進など野党6党の国対委員長は7日午前、国会内で会談した。国会法104条に基づき国政調査権を発動し、政府に資料提出を要求する方針で一致。立憲の辻元清美国対委員長は森山氏に賛同するよう申し入れたが、森山氏は財務省の調査報告を待つべきだとの考えを示し、事実上拒否した。

 

森友文書 「あいまい戦術」政府限界 自民、首相に不満(2018年3月7日配信『毎日新聞』)

 

 森友学園への国有地売却に関する決裁文書が書き換えられたとされる疑惑で、「ゼロ回答」を強行した財務省に対し、野党だけでなく自民党幹部からも「国民の理解を得られない」と批判が噴出した。首相官邸は「出せるものは出した」(幹部)と反論するが、早期の対処を迫る自民の圧力は強まる。支持率急落で危機に陥った昨夏の轍(てつ)を踏むわけにもいかず、安倍政権の「あいまい戦術」は限界に近づいている。

 「明らかにしないと、国会審議が進まないじゃないですか」。自民党の二階俊博幹事長は6日の記者会見で、財務省が書き換えの有無を明らかにすべきかと問われ、不快そうな表情を浮かべた。「事実なら政府に厳重に抗議する」という前日の発言から一段とトーンを上げた形。自民党の実力者が「理解できない」と、公に政府を批判したインパクトは大きい。

 直前の党副幹事長会議では、安倍晋三首相に近い議員を含めて「ゼロ回答なら野党が審議を止めるのは当然だ」「与党の自浄作用が試される」と訴える声が続出。竹下亘総務会長も6日の会見で「政府にきちんと対応しろと言い続ける」と二階氏に同調した。

 その背景には首相が強気の対応を続けて傷口を広げた昨年の苦い記憶がある。加計学園の獣医学部新設を巡る内部文書▽森友学園への国有地売却価格8億円値引き▽南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報。

 今国会でも、首相は裁量労働制に関する異常データを「問題ない」と押し切ろうとしたが、「国会がもたない」と判断した二階氏らが、働き方改革関連法案から裁量労働の対象拡大を削除させたばかりだ。ともすれば「安全運転」から強気へと傾きがちな官邸への不満が、自民党内にはくすぶる。

 9月の党総裁選を見据えた綱引き、という側面もある。「安倍の後は安倍」といち早く支持を表明した中間派の二階氏が立場を変えれば、首相の3選戦略は揺らぐ。首相が盟友の麻生太郎副総理兼財務相に「遠慮してモノを言わない」(自民幹部)とされる中、二階氏には、これを機に「政高党低」のバランスを党側へ引き戻して、自らの発言力を高める狙いがある。この日の発言を聞いた自民ベテラン議員は「あれは二階さん流だよ」と苦笑した。

 それでも官邸はなお強気だ。西村康稔官房副長官は6日、二階氏や自民国対幹部の部屋を訪れ、野党への説明と同じく「資料は全て大阪地検に提出してしまった」と伝えた。官邸幹部は「捜査中だから、こちらにやましいことは全くない」と言い切った。

 ただ今回は、首相側近や官僚の「そんたく」が働いたかではなく、書き換え前と後の文書があるのか否かという事実の問題だ。それも答えない財務省に、野党は「子どもに悪いが、子どもの返事以下だ」(民進党の那谷屋正義・参院国対委員長)と強く反発。与党は防戦一方に終わった。

 首相は昨年、加計問題などで「なかったことは証明できない。悪魔の証明だ」と野党に反論していた。しかしこの日、首相に近い自民幹部と、首相から距離を置く幹部の2人がくしくも同じ言葉を口にした。

 「今回はそんなことを言える雰囲気はない」

書き換え有無、政権左右

 財務省が決裁文書を早期に開示した場合、仮に書き換えが判明すれば、安倍晋三首相を5年間支えてきた麻生太郎副総理兼財務相の進退だけでなく、政権は屋台骨が揺らぐ深刻な事態に陥ることになる。

 麻生氏は6日の記者会見で、書き換えが事実だった場合について「仮定の質問にはお答えしかねる」とかわした。ただ麻生氏はこれまで国会で「真実なら極めて由々しき事態だ」と答弁しており、立憲民主党の辻元清美国対委員長は、政府全体の責任が問われるとの見方を示した。勢いづく野党からは「内閣総辞職」の言葉も出始め、首相に近い自民党議員は「総辞職はさすがに飛躍だが、麻生さんの責任問題になる前に収束させないと」と焦る。

 書き換えが事実なら、その次は「誰の指示か」も焦点だ。首相官邸はあくまで財務省の問題だと切り離しに躍起で、菅義偉官房長官は会見で「麻生氏と財務省の答弁に尽きる」と多くを語らなかった。政府内からは「決裁文書は途中で変わるケースもある」と予防線を張るような声も漏れるが、それで世論や野党を説得できる可能性は低い。

 政権の体力がじりじり削られ、森友、加計問題などで内閣支持率が急落した昨夏の再現につながれば、首相の求心力は一気に低下。働き方改革関連法案どころか、自民党総裁の3選に黄信号がともりかねない。

 逆に書き換えが事実でないと証明された場合、今回の疑惑は収まり、政権は最悪の事態を避けられる。ただ森友問題では今年、新たな内部文書の存在が多数発覚。佐川宣寿国税庁長官の国会招致などを求める野党の攻勢は続くとみられ、政権が楽観できる状況にはないのが実情だ。

 

財務省改ざん疑惑 捜査中でも決裁文書の国会開示はできる(2018年3月7日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 参院予算委の理事会は6日行う予定だった一般質疑を見送った。午前の理事会で、森友学園の国有地払い下げを巡る財務省の決裁文書の改ざん疑惑について、財務省の富山一成理財局次長が「告発を受けた捜査の対象となっており、全ての文書を直ちに確認できない状況」とゼロ回答したことに野党が猛反発したためだ。

 「現在、大阪地検において、背任のほか、証拠隠滅や公用文書毀棄について告発を受けて捜査が行われている状況」「捜査に影響を与えないよう留意して、全省を挙げて文書の確認、職員への聞き取りなど調査を進めていきたい」

 財務省が提出した書面の中身はこれまで通り、刑事捜査を理由に答えられない――というもの。刑事訴訟法47条は〈訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない〉とあり、同省も麻生財務相もこの規定をタテにしているわけだが、この条文には〈但し、公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない〉とある。つまり、公益上、必要であれば可能なワケで、国会が国政調査権に基づいて証拠の提出を求めることができるのだ。

 実際、2010年9月に尖閣諸島沖で中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突した際の映像が流出した事件では、公判前に衆院予算委が国政調査権に基づいて那覇地検に提出を求めることを全会一致で議決。同11月に衆参両院の予算委員長、理事らに編集ビデオが公開された。過去には、田中角栄元首相が逮捕されたロッキード事件で、“灰色高官”のリストが特別委で提示されている。

 早速、野党は6日、国政調査権による資料提出や与野党委員長会談の開催を与党に文書で申し入れたのだが、問題は与党が受け入れるかだ。

「財務省の公文書改ざん疑惑は、日本の統治機構に関わる問題であり、事実であれば議会制民主主義の否定です。本来は与野党関係なく調査に同意すべきです。仮に反対する与党議員がいたとすれば、それは『公文書改ざんOK』という意味。国民はそんな議員をどう思うでしょうか」(衆院事務局に33年間勤めた元参院議員の平野貞夫氏)

 尖閣諸島の衝突映像流出事件よりも、今回の財務省公文書改ざん疑惑の方がよっぽど重大。国民も与党対応をよ〜く見た方がいい。

 

書き換え疑惑「問題の質が違う」…小泉進次郎氏(2018年3月7日配信『読売新聞』)

 

 学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書の書き換え疑惑で、財務省が国会に報告した省内調査の状況は、大阪地検の捜査を理由に書き換えの有無について言及を避けるなど苦しい内容に終始した。

 疑惑が長引けば安倍内閣にも深刻な打撃を与えかねないとして、政府・自民党には危機感が広がっている。

 6日午前、自民党が国会内で開いた副幹事長会議は森友問題一色となった。

 「今までの問題とは質が違う。与党としての自浄能力も試されている」

 小泉進次郎筆頭副幹事長が言及すると、他の出席者からも「きちんと対応しないとまずいことになる」との意見が飛んだ。二階幹事長も6日の記者会見で「国会から要求された資料を出せないのは理解できない」と叱責しっせきするなど、自民党内で財務省を突き放す声が相次いだ。

 

森友文書「改ざん」疑惑 国政の根幹揺るがす事態(2018年3月7日配信『しんぶん赤旗』)

 

6野党 真相究明へ一致

 財務省は6日、参院予算委員会理事会に、学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却に関する決裁文書の「改ざん」疑惑について「調査の状況」を報告しました。報告は大阪地検の捜査を理由に「改ざん」文書の有無にすら触れませんでした。野党各党は「疑惑に全く答えておらず、論外だ」として再報告を要求、同日の予算委員会の開会は見送られました。

財務省、文書の有無 答えず

 日本共産党、立憲民主党、希望の党、民進党、社民党、自由党の野党6党は同日、国対委員長会談を開き、「疑惑が事実であれば、国政の根幹を揺るがす極めて深刻な事態だ」との認識で一致。合意文書をとりまとめ、自民・公明両党に国対委員長会談を呼びかけました。

 合意文書は「この問題は、与党・野党を問わず、国権の最高機関である国会の国政調査権を蹂躙(じゅうりん)するものである。行政府と立法府の信頼を回復し国会が国民の負託に応えるためには、国政調査権を十分行使し、議院証言法及び国会法104条に基づく政府への資料提出要求など、速やかな真相究明を行わなければならない」としています。

 日本共産党の穀田恵二国対委員長は「問題は、国会の国政調査権を蹂躙され、国会自身が冒(ぼうとく)されたということだ。与党も真相究明の立場に立って、国対委員長会談に応じるべきだ」と述べました。

 野党は、衆参両院で国対委員長らが断続的に会談を行いました。各委員会の理事会で野党側は国会の国政調査権という審議の前提が問われているときに新たな審議日程は設定できないとして、与党側の対応を求めました。

 同日夜に開かれた自民党と立憲民主党の国対委員長会談で、自民党は、検察の捜査を理由に、国政調査権に基づく資料提出などを拒否する意向を野党に伝達。野党側は到底受け入れられないとして徹底究明を迫っていくことを確認しました。

与党内に矛盾と焦り 自民・二階氏「理解できない」

 学校法人「森友学園」への国有地売却の決裁文書が改ざんされた疑惑で6日、財務省が「捜査中」を理由に真偽の説明を拒否したことをめぐって与党内で矛盾と焦りがあらわになりました。

 国政調査権行使による資料提出を求めた野党側に与党側は同日、「提出させるべきではない」と回答しましたが、自民党の二階俊博幹事長はそれに先立つ記者会見で「(文書を)出せないのはちょっと理解できない」と苦言を呈し、「(提出しないと)国会の審議が進まない」と述べました。

 同党内では竹下亘総務会長が「政府に『きちっと対応しろ』と言い続ける」と語り、吉田博美参院幹事長も「財務省は説明責任を果たすべきだ。野党が納得いかないし、与党からもそういう声が出る」と呼応する発言が続きました。

 財務省が文書の扱いを報告した参院予算委員会理事会では自民党の石井準一筆頭理事が「与党としても説明は納得できない」として、さらなる調査・説明責任を要求しました。

 

森友疑惑「調書」 差し替え痕跡(2018年3月7日配信『しんぶん赤旗』)

 

“二つの文書が存在”

辰巳議員が指摘

 学校法人「森友学園」との国有地取引疑惑に関連して、一部記述の削除などの改ざんが疑われる財務省近畿財務局作成の「調書」に、原本との差し替えをうかがわせる“痕跡”があることが、野党が5日、同局で新たに入手した「調書」の写しでわかりました。


 「調書」は、問題の大阪府豊中市内の国有地を売却するための決裁文書「普通財産売払決議書」に添付されているもの。新たに入手した「調書」には、点検のために鉛筆で付けたとみられる線状の印(しるし=写真上)が鮮明なものだけで18カ所確認できますが、日本共産党など各党議員が財務省から入手した同じ決裁文書の写し(写真下)には、金額などに丸い筆先で付けた小さな丸印が付けられている一方、添付されている「調書」には、点検の印などの痕跡は一切みられません。しかし、二つの「調書」の内容は、いずれも書き換え後のものと指摘されている同一の文書でした。

 財務省などの官庁には、文書を点検するさいに、小さな印をつける習慣があります。今回、新たに入手した「調書」と決裁文書の異なる印は、点検を別の人物が行った形跡を示すものです。

 近畿財務局の「調書」の控えに印がついていたのは、原本を改ざんして文書をプリンターで印刷し、点検の印を付けたものを保存用としたもので、同じ「調書」をさらに一部印刷して決裁文書に添付した可能性をうかがわせます。

 日本共産党の辰巳孝太郎参院議員は6日の野党合同ヒアリングの席上、異なる印や印の有無の違いがあることについて「原本とわれわれ国会議員が受け取った文書が違うものだということだ。改ざん前か後のものかはわからないが、二つの文書が存在することが明らかになった」と追及。財務省側は「あらためて確認する必要がある」と認めました。

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▲新たに近畿財務局から入手した「調書」(自由党・森ゆうこ議員提供)。鉛筆で付けたような点検のあとがあるが、決裁文書に添付された「調書」にはこの印がない

 

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▲金額の右下に小さな薄い丸印のある決裁文書の写し(辰巳議員提供)

 

森友文書改ざん疑惑 ゼロ回答(2018年3月7日配信『しんぶん赤旗』)

国会と国民を愚弄

 「捜査対象になっている」「捜査に影響を与えないように」―。学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地取引に関する文書の改ざん疑惑をめぐり、参院予算委員会で調査結果を報告するよう求められていた財務省が6日、大阪地検から同省が捜査を受けていることを盾に取り、真相解明を拒む「ゼロ回答」の文書を示しました。国会と国民を愚弄(ぐろう)する憲政史上、類をみない事態へと発展しています。


なぜ改ざんを疑われるのか

消えた?「特例」「価格提示」

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財務省が作成し、国会に提出した国有地取引の決裁文書(個人情報は黒塗りにしました)

 問題の文書はどう改ざんされた疑いがあるのか―。

 国会で改ざん疑惑が指摘されている文書は二つです。ひとつは2015年5月に財務省近畿財務局と国有地(大阪府豊中市)の貸し付け契約を結んだ際に、省内で決裁をとるための文書です。

 もうひとつは、2016年6月に国有地の売却契約を結ぶにあたり作成された省内の決裁文書です。いずれも、昨年2月に国有地取引疑惑が発覚して以降、国会に提出されています。

 国会に提出された貸し付けの決裁文書には、「調書」と題して、取引の概要や経緯が12ページにわたり記されています。

 朝日新聞(3日付)によると、契約当時の調書には「特例的な内容になる」という内容がありました。ところが国会に提出された文書からは消えているというのです。

 国有地の取引は売却が原則です。それを財務省は学園に資金がないため、10年定期借地した後に売却する貸し付け契約を結びました。

 当時、学園前理事長の籠池泰典被告=詐欺罪で起訴=は、自民党の有力議員にも援助を求めていました。日本共産党の小池晃書記局長が入手した自民党の鴻池祥肇参院議員事務所の面談記録によると、籠池被告は、頻繁に鴻池事務所を訪ね、「賃借料をまけてもらえるようお願いしたい」と頼んでいたのです。

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答弁する佐川宣寿理財局(当時)=2017年3月24日、参院予算委

 国会では学園との契約が、“特別扱い”だとして財務省が何度も追及されました。昨年2月24日の衆院予算委員会では、当時の佐川宣寿理財局長(現、国税庁長官)が、「すべて法令に基づいて適正にやっている」などと答弁。あくまでも特例ではない、という姿勢を貫きました。

 もし契約当時に財務省が「特例」と認識していたならば、佐川氏の答弁と整合性が問われます。

 貸し付け契約をした約3カ月後の2015年9月5日には、安倍晋三首相の妻、昭恵氏が、学園が国有地に建設予定だった小学校の名誉校長に就任します。

 この後、学園の“特別扱い”はさらに加速します。

 2016年6月には、国有地に「新たなゴミ」が埋まっていたことを理由に約8億円の値引きをうけ売却契約を締結。異例の値引きだけでなく、金額まで非公表にしていました。

 前出の「朝日」によると、売却契約をした際の決裁文書にも書き換えがありました。契約当時の文書には、「学園の提案に応じて鑑定評価を行い」「価格提示を行う」という文言がありました。それが国会提出の文書からは消えていたとしています。

 価格提示について、佐川氏は昨年3月15日の衆院財務金融委員会で、「価格について、こちらから提示したこともないし、先方からいくらで買いたいといった希望があったこともない」と述べています。

 日本共産党の辰巳孝太郎議員は参院予算委員会(5日)で、こう指摘しました。

 「なぜ消されたり、書き換えられたりしたのか。森友学園へ便宜を示す文言だからではないか。とりわけ佐川氏は価格提示をしていないと国会で答弁しているが、それに合わせて改ざんしたのではないか」

国政調査権と捜査は「車の両輪」

財務省の言い分 通用せず

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2014年3月に初めて対面した際に撮られた安倍昭恵氏と籠池夫妻の写真(昭恵氏のフェイスブックから)

 国会は、国民を代表する国権の最高機関であり、立法とともに政府行政を監視する役割をもっています。しかし、財務省は森友疑惑をめぐって、二重三重に国会の調査権限を踏みにじってきました。

 佐川前理財局長は、国会審議で「交渉記録はない」「価格について、こちらから提示したことも、先方からいくらで買いたいといった希望もない」と強弁。ところが、「ない」といったはずの文書が見つかり、財務省が森友学園と価格交渉をしていたことを示す音声データも新たに発覚しました。国会で虚偽答弁を繰り返してきた事実は明白です。

 重大なのは、そうした背信行為を重ねた財務省が国会に提出された、森友学園との国有地貸付、売却契約の決裁文書という公文書まで改ざんしていた疑いが浮上していることです。事実であれば、「公文書の偽造という犯罪行為の可能性があり、しかも国会と国民を欺いたことになる。内閣全体の深刻な責任が問われる」(日本共産党の志位和夫委員長)重大問題です。

 国会が憲法62条で定められた国政調査権を十分に使って、自ら真相解明に乗り出すことは当然の責務です。

 財務省は、大阪地検による捜査を理由に、改ざん疑惑に関する一切の説明を拒んでいます。しかし、これは国会が国政調査権を発動して真相解明することを妨げる理由にはなりません。

 かつて首相が外国の航空機会社からわいろを受け取り、「首相の犯罪」と問題になった1976年のロッキード事件では、ロッキード問題の真相解明、調査特別委員会の国会設置などとともに、国会が「政治的道義的責任の有無について調査する」という合意(76年4月21日)を結びました。検察が取り組むのは、刑法上の刑事責任に限られますが、この合意はそれにとどまらず、政治的道義的責任を含めて国政調査権を行使し、究明にあたったのです。

 これまで隠ぺいを繰り返してきた財務省に真相解明の調査を委ねることはできません。司法当局が厳正な捜査を行い、関係者の刑事責任を問うことは当然ですが、それにとどまらない政治的道義的責任を国政調査権で調査する必要があります。国政調査権と司法の捜査を「車の両輪」として真相解明を行うことが求められています。

 

霞が関の造反か 「森友改ざん」リークで財務省は犯人捜し(2018年3月7日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 森友学園との国有地取引で、財務省の決裁文書が書き換えられたのではないかという疑惑。財務省は6日の衆院財務金融委員会で「調査結果を報告する」と約束していたが、この間、省内で熱心に行われた調査は、もっぱら情報をリークした“犯人捜し”だったという。

 森友文書の改ざん問題がスクープされたのは、2日の朝日新聞だった。前日に理財局の担当課長に事実関係について確認の取材があったという。

「朝日新聞から取材を受けた時点では、担当者も何が起こっているのか分からなかったようです。当然、すぐに幹部内で情報が共有され、財務省から漏れた可能性があると判断したようですが、誰が朝日新聞にリークしたのか、すぐには把握できなかった。それで当面は『地検による捜査中のため答えられない』という答弁でしのぐことにした。『6日に調査結果を報告する』と言ったのも時間稼ぎです。その間に“犯人捜し”が行われました」(財務省関係者)

しかし、“省庁の中の省庁”と呼ばれ、鉄の結束を誇る財務省から“造反者”が出るなんて、異例のことだ。よほどの動機があるのか。別のキャリア官僚はこう言う。

「厚労省の問題が影響しているのではないか。裁量労働制のデータ偽装が発覚し、安倍首相が目玉と位置付ける働き方改革関連法案から、裁量労働制の拡大が削除された。これに官邸サイドは怒り心頭で、厚労省の担当者は近く処分される見通しです。こういうやり方を見ていれば、政権を支えるために捏造や隠蔽のような悪事まではたらいても、結局はトカゲの尻尾切りに遭うと思い知らされる。厚労省が『ない』と言い張っていた調査原票が、数日後に地下室で段ボール32箱に入った状態であっさり見つかったのも、官邸に対する意趣返しなのでしょう」

このままでは自分たちも犯罪の責任を一方的に押し付けられると危惧した財務官僚がいたのか。      

財務省は原本の存否を含め、6日、国会に調査結果を報告するはずだったのに、5日になって「調査の方針や留意点など、調査の状況について報告する」と後退させた。原本の存否や改ざんの事実はあったのかなど、具体的な内容には触れないつもりなのだ。

しかも、同日に開かれた野党6党の合同ヒアリングでは、原本は「大阪地検に提出した」と言い出している。提出時期は、朝日新聞が疑惑を報じた2日より前だという。2日の合同ヒアリングでは「原本は近畿財務局にある」と言っていたのに、おかしな話だ。ガサも入っていないのに、なぜ原本が地検の手元にあるのか。

政治ジャーナリストの山田厚俊氏が言う。

「何か問題が起きても揉み消し、ゴマカそうとするのが現政権の姿勢ですが、その片棒を担がされる官僚に自責の念はないのでしょうか。不正が行われたなら、ハッキリさせるべきです。財務省の中からも文科相の前川前次官のような人物が現れて、自浄作用を発揮して欲しい。一般国民が『納税者一揆』のデモを行っているのだから、マトモな国に戻すため、官僚組織も立ち上がればいいのです。官邸に幹部人事を握られ、尻拭いをさせられてきた鬱屈は霞が関に相当たまっていると聞きます」

その一端が、今回の文書改ざんのリークということか。霞が関全体が反乱を起こせば、安倍政権はひとたまりもない。

 

森友文書の存否、攻防 財務省、いったん「原本ある」(2018年3月6日配信『朝日新聞』)

 

 森友学園(大阪市)との国有地取引をめぐり、契約時点とその後に国会議員らに示した公文書の内容が違っている問題で、財務省は5日、契約時点の文書の存否を明らかにせず、6日の参院予算委員会理事会で調査方針を報告する考えを示した。野党は説明を先送りする政府の姿勢に強く反発。安倍政権に対する責任追及を強めている。

 「原本を見せて頂きたい」。5日夕、大阪市の財務省近畿財務局。国会に提出された公文書の確認を求め、立憲民主、希望、自由、社民の野党4党の国会議員が財務局側に詰め寄った。

 この日午前の参院予算委では、麻生太郎財務相が「『個別に調査を』と言われるが、捜査当局は口裏合わせと取りかねない」と主張。内部調査そのものに後ろ向きな政府の姿勢に4党は反発。そのまま、近畿財務局に乗り込んだ。

 希望の今井雅人氏によると、近畿財務局の担当者は「本省の指示がないと動けない」と説明を拒否。今井氏は「真実を明らかにしようという気がまるで感じない」と記者団に話した。

 財務省本省も、太田充理財局長が午後の参院予算委で「捜査への影響が予見しがたい」などと述べ、先週と同様、具体的な説明を避け続けた。共産党の辰巳孝太郎氏は「週末はどうしていたのか。(文書の存否確認は)電話一本で済む話。文書はあったのか」と追及。自由の山本太郎氏も「どうして改ざん前の文書に限って存在の有無さえ言わないのか」と批判した。

 予算委後に野党6党が合同で実施したヒアリングは、文書の保管場所についての財務省の説明をめぐって紛糾した。

 富山一成理財局次長は当初、野党6党の国会対策委員長らに「原本は近畿財務局にある」と説明していたのに、中村稔・理財局総務課長が近畿財務局を訪問していた野党議員らへの電話で「捜査当局に出していて現物は近畿財務局にもない」と説明を変えたからだ。

 立憲の辻元清美国対委員長は「不可解なことが起こっている。1時間の間になぜ変わるのか」と指摘。富山次長は陳謝した。出席した野党議員から「その『原本』とは書き換え前の原本のことか」と問われた財務省は「その点も含めて6日に報告したい」と述べた。

 自民党参院幹部によると、財務省は6日の参院予算委理事会で「(一連の)文書は大阪地検に任意提出し、手元にはない」と説明するという。(竹下由佳、南彰)

 ■政権、「否定後認める」続出

 加計学園問題、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題、裁量労働制の不適切データ問題。安倍政権は行政記録の存在をいったんは否定しながら、その後、一転して認める対応を繰り返してきた。

 「役人が政権のために尻ぬぐいをさせられている」。立憲民主党の福山哲郎幹事長が5日の参院予算委で指摘したのも、この点だ。文書書き換え疑惑で答弁に立ち続ける財務省の太田充理財局長に「気の毒だ」と語った。

 森友学園への国有地売却問題では、佐川宣寿理財局長(現国税庁長官)が国会で「交渉記録は廃棄した」と答弁したが、その後、交渉経緯を含んだ内部文書を開示することに。加計学園問題では、獣医学部新設を「総理のご意向」などと記した文科省の文書の存在が報じられたが、菅義偉官房長官が「怪文書みたいなもの」と一蹴。後に調査で存在が確認された。日報問題でも、防衛省は情報公開請求に対して「廃棄した」として開示を拒否したが、後に見つかっている。

 共産党の小池晃書記局長は5日の記者会見で「強引な政策決定が矛盾を来している。隠蔽(いんぺい)とか改ざんとか問題が同時に出ているのは、決して偶然ではない」と述べた。

 

<森友文書>「捜査は理由にならぬ」ゼロ回答に識者ら反発(2018年3月6日配信『毎日新聞』)

 

 「森友学園」(大阪市)への国有地売却に関する決裁文書が書き換えられたとされる疑惑を巡り、大阪地検の捜査を盾に、国会で「ゼロ回答」を続ける財務省に、批判が強まっている。捜査や行政の実務に詳しい有識者からは「説明を拒む理由にはならない」と疑問の声が上がった。

 「司法の捜査権より、国政調査権が劣るのか」。6日午後、国会内で開かれた、野党6党による合同ヒアリング。財務省理財局幹部らが「捜査にかかわることなので(説明は)差し控えたい」と繰り返す中、野党議員の怒号が飛んだ。

 決裁文書については、森友問題の真相解明を訴える神戸学院大の上脇博之教授が昨年、財務省に情報公開請求し、国会議員に示されたものと同様の文書の開示を受けている。上脇氏は毎日新聞の取材に「別の文書があるなら、真実の文書開示を受けていないことになる。知る権利や情報公開請求権の侵害だ」と反発した。

 学園への国有地売却では、財務省前理財局長の佐川宣寿・国税庁長官らが証拠隠滅や公用文書毀棄(きき)などの容疑で告発されており、同省は「捜査の対象になっており、すべての文書を直ちに確認できない」と国会に報告。これに対し、東京地検特捜部元検事の若狭勝弁護士は「国権の最高機関である国会の要請という重みを考えれば、調査を拒否する理由にはならない。検察に文書を提出していたとしても、写しなどを提供してもらうことは可能なはず」と指摘した。

 また、元総務相の片山善博・早稲田大公共経営大学院教授は「改ざんがないのなら、出せばいいだけのこと。捜査の妨げになるとはとても思えない」と同省の対応を疑問視した。

 ◇公文書修正も保存義務

 官公庁の公文書は、公文書管理法に基づき、職員が職務上作成して組織的に用い、役所で保有しているものと定義され、意思決定に至る過程などが検証できるように作成するよう義務付けられている。このうち、責任者が部下から提出された案を認めたことを示す印鑑(決裁印)が押され日付の入ったものが、決裁文書と呼ばれる。

 内閣府公文書管理課によると、決裁後、意思決定に関わる修正があった場合、修正の経緯が分かる文書を残さなければならないとされる。明文規定はないものの、早川和宏・東洋大教授(行政法)は「そのまま保存するのは公文書管理の上で当たり前で、中身を書き換えるようなことを公文書管理法は想定していない」と説明。こうした文書を書き換えると、刑法の公文書偽造や変造などの罪に問われるのか。早川教授は「書き換えの程度などによる」と指摘する。

 報じられているような書き換えは霞が関で行われているのか。ある省庁の職員は「まずあり得ない。決裁を取り直すのが普通だ。ただ、誤字脱字のような場合、(該当箇所に)線を引いて判子を押して直すことはある」と語る。一方、別の省庁で文書管理を担当する職員は「決裁印の押してある1枚目の文書の修正は難しいが、2枚目以降でデータや字句の誤りに気づけば、担当者で判断したり、上司に相談したりして直すことがある。記録を残すこともしない」と証言した。

 

民主主義も官僚機構も すべてを破壊したアベ政治の大罪(2018年3月6日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 もはや「問題」なんて生易しい言葉じゃ収まらなくなってきた。森友問題をめぐる財務省の決裁文書改ざん疑惑。事実であれば、日本の憲政史に残る大事件に発展するのは間違いない。「記憶にない」「記録もない」「書類は廃棄した」とゴマカシ続けた揚げ句、国民の代表者である国会議員に辛うじて示された公文書が改ざんされていた疑いが極めて濃厚なのだ。

 これが許されるのであれば、法治国家じゃない。早くから森友問題の取材、報道を続けてきた「日本会議の研究」の著者・菅野完氏は本紙に〈決裁文書改ざんが事実だとすれば、敗戦直後にあらゆる役所が公文書を焼却した証拠隠滅と全く同じ。日本の近代官僚制度も議会制民主主義も完全に腐敗してしまったということ〉と言っていたが、国権の最高機関である国会をないがしろにしたのも同然で、まさに議会制民主主義の破壊につながる暴挙だろう。

 「6日調査の方針、留意点などの調査の状況について報告させることになった」

 5日の参院予算委の集中審議で、決裁文書改ざん疑惑を追及された麻生財務相は相変わらずノラリクラリだったが、改ざんを正当化する屁理屈作りのための時間稼ぎだとすれば愚の骨頂だ。

 麻生はまた、大阪地検特捜部が捜査中であることを示唆しつつ「捜査が終わってきちんとして(から)でないと、個別の調査がなかなかしにくい」と言い、詳しい説明は捜査に影響を与えかねない――みたいな口ぶりだったが、バカも休み休み言ってほしい。

 国会質疑と刑事捜査は目的も手続きも全く違うし、刑事捜査中の案件について国会質疑を禁止する根拠法も存在しない。憲法63条は〈内閣総理大臣その他の国務大臣は、議院で答弁又は説明のため出席を求められたときは出席しなければならない〉とあり、過去の政府答弁では、国会法第74条に触れつつ〈(閣僚らは)誠実に答弁すべきもの〉とある。つまり、麻生は国会で誠実に答える義務があり、刑事告発をこれ幸いとばかりに利用して答弁拒否を続けるなんて言語道断なのだ。

 ■公文書改ざんは官僚の士気低下の表れ

 それにしても、超難関の国家公務員T種試験(総合職)を突破した財務官僚が公文書改ざんに手を染めていたとすれば驚愕だ。

 財務省では「資料をまとめる過程で多少削るなどした部分はあるが、改ざんには当たらない」との声が出ているらしいが、「多少削る」行為を改ざんというのだ。“キング・オブ霞が関”と呼ばれる財務官僚が、気でも狂ったのかと思ったら、財務省以外の省庁も今や凋落の一途だ。

 裁量労働制の適用拡大をめぐる厚労省のデータ捏造問題では、素人でも分かるインチキ数字が次々と見つかった上、厚労相が国会答弁で「ない」と否定していた調査原票が入った段ボール箱が30以上も発見される始末。加計学園の岡山理科大獣医学部の新設認可で迷走した文科省、南スーダンPKO(国連平和維持活動)派遣部隊の「日報」隠蔽が発覚した防衛省……。世界に冠たる存在だった日本の官僚機構の姿は見る影もない。元文科省審議官の寺脇研氏(京都造形芸術大教授)がこう言う。

「どの省庁でも、ふつうは係長、課長、局長の段階で政策立案にかかわる資料の不自然な点はすぐに見つかる。それが見過ごされているというのは現場の職員がいかに政権の意向で動いていて、士気低下が著しいのかということ。財務省の改ざん疑惑はそれが限界に来ている表れだと思います」

いったん決めたら、世論批判も国会審議も一切無視の安倍政権

「石が流れて木の葉が沈む」。優秀な官僚機構がならず者の非常識集団に様変わりした理由は分かっている。安倍政権が2014年5月に官邸直轄の内閣人事局を設置し、各省庁幹部の人事を握ったからだ。

 それまでは各省庁が責任とプライドを持って政策の中身を吟味してきた。しかし、安倍政権では「岩盤規制を崩す」「規制改革」の名の下、安倍と近しい“アベ友”で固められた官邸主導の有識者会議が政策の大枠を決めて閣議決定後に各省庁に丸投げ。官邸の“下請け機関”に成り下がった各省庁は、政策が過去の政府方針と相いれなくても、不備が見つかっても、見て見ぬフリをするか、厚労省のようにインチキデータで取り繕うしか選択肢はなくなった。

 「おかしい」と正論を言おうものなら、官邸にキバをむいたと判断され、前川喜平前文科次官のようにマスコミに私生活までリークされてパージ(追放)だ。モリカケ問題では、安倍政権に対する霞が関官僚の「忖度」という言葉が話題を集めたが、ナチスさながらの異様な暴力政治、絶対服従の独裁手法がすべての元凶。改ざん疑惑で削除されていたのが「特例的な扱い」「価格の提示」など、安倍の関与をうかがわせる文言だったのが証左だ。そもそも、この5年を振り返ると、安倍政権が破壊したのは官僚機構だけじゃない。特定秘密保護法の強行成立から始まり、歴代の自民党政権ですら「憲法違反」としてきた集団的自衛権の行使容認を強引に閣議決定し、多くの憲法学者や国民の反対を押し切って戦争法を強行成立させた。南スーダンPKO派遣部隊への「駆け付け警護」を付与し、北朝鮮情勢を理由に「米艦防護」などの任務を実行。武器輸出を全面的に認める「防衛装備移転三原則」を閣議決定したほか、委員会審議を途中で打ち切る「中間報告」という禁じ手で現代の治安維持法と呼ばれる共謀罪も成立させた。とにかく、いったん決めたら世論批判も国会審議も一切無視。立憲主義なんてクソ食らえと言わんばかりに押し通してきたのだ。これほどの暴君、極悪政治家は世界でも数えるぐらいだろう。

 ■安倍暴走を止めるために国民も官僚も決起するべき

 何の恥じらいもなく自分の名前を付けた「アベノミクス」というデタラメ政策でも市場経済は瓦解寸前だ。安倍政権は黒田日銀の尻を叩き、物価上昇率「2年で2%」を掲げて「異次元緩和」と称した大規模金融緩和を実施。年間80兆円をメドに国債の“爆買い”や、年間6兆円規模のETF(上場投資信託)購入を続けてきたが、「2%」は5年経っても一度も達成されていない。「物価が上がれば賃金が上がる」とも言っていたが、実質賃金は第2次安倍政権誕生前の年間391万円から377万円と14万円も減っているのだ。

「アベノミクス」の失敗を糊塗するため、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も“動員”して官製相場で株高を演出してきたが、ここにきて米国の利上げや、鉄鋼・アルミニウムの輸入制限方針で株価は大暴落だ。元日銀金融研究所長の翁邦雄・法大客員教授は本紙に〈(今や)政府は財政規律を失い、銀行は経営を圧迫され、株式市場や債券市場も日銀による買い支えで歪むなど、金融の不均衡は著しく増している〉と指摘していたが、これがまっとうな見方。安倍政権は議会制民主主義も官僚機構も立憲主義も市場経済も、戦後の日本が築き上げてきた近代国家の礎をすべて焦土化してしまったのだ。そして、それが如実に表れたのが厚労省のインチキデータ問題であり、極め付きが財務省の公文書改ざん疑惑なのだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏はこう言う。

「この5年で安倍政権は一強という状況の下、強権的な手法で民主主義と経済をぶっ壊し、歪めてきた。結果、日本を戦争ができる国に変え、経済格差を広げました。この罪は極めて大きいと思います」

安倍暴政を止めるには、前川前文科次官のように公憤に決起する官僚の存在が必要だろう。良識ある国民もアベ政治を許さないという強い思いが必要だ。

 

森友学園の文書問題 財務省「捜査対象で文書確認できない」(2018年3月6日配信『NHKニュース』)

 

 「森友学園」への国有地売却に関する財務省の文書が書き換えられた疑いがあると報じられたことについて、財務省は、参議院予算委員会の理事会で、文書は、捜査の対象になっているため直ちに確認できない状況だと説明しました。これに対し野党側は反発し、午前中に予定されていた予算委員会の審議は見送られました。

学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書が書き換えられた疑いがあると報じられたことについて、財務省は、6日の参議院予算委員会の理事会で、これまでの調査の状況を報告しました。

この中で、財務省は「現在、大阪地検で捜査が行われており、財務省としては全面的に協力している。捜査に影響を与えないよう全省をあげて、文書の確認や職員への聞き取りなどの調査を進めていきたい」と述べました。

そのうえで、「文書は告発を受けた捜査の対象になっており、すべての文書を直ちに確認できない状況になっている」と説明しました。

さらに、野党側が「改ざん前の文書は大阪地検にあるのか」と質問したのに対し、財務省は「決裁文書の原本は大阪地検にある」と述べるにとどめ、文書の書き換えがあったかどうかには言及しませんでした。 

これに対し、野党側が「ゼロ回答で納得できない」、「前の理財局長の佐川国税庁長官を国会に招致して話を聞くしかない」などと反発して、午前中に予定されていた参議院予算委員会の審議は見送られました。

決裁文書「書き換え疑惑」の報道とは

学校法人「森友学園」との国有地取引をめぐる財務省の決裁文書が書き換えられていた疑いがあるとする疑惑は朝日新聞が今月2日と翌日の朝刊で報じました。

記事では平成27年から28年にかけて近畿財務局の管財部門が作成した「貸し付け契約の際の決裁文書」と「売却契約の際の決裁文書」が、契約当時のものと去年2月に森友学園をめぐる問題が発覚したあとに財務省が国会議員に開示したもので内容に違いがあるとしています。 

このうち貸し付け契約の際の決裁文書では、契約当時のものには学園との交渉経緯をまとめた部分に「特例的な内容となる」という文言があったのに、国会議員に開示されたものにはなくなっているとしています。また学園側の「要請」と書かれていた複数の箇所が「申し出」という表現に変わっているとしています。 

一方、売却契約の際の決裁文書では、契約当時のものには「学園の提案に応じて鑑定評価を行い」とか「価格提示を行う」という文言があったのに国会議員に開示されたものにはなくなっているとしています。

 そして複数の関係者への取材で去年2月に一連の問題が発覚した後に書き換えられた疑いがあるとしています。この報道の根拠となる契約当時の決裁文書について画像の紙面への掲載はありませんが、朝日新聞は内容を確認したとしています。

自民 二階幹事長「ちょっと理解できない」

自民党の二階幹事長は記者会見で、「われわれとしても、改めて問いただしてみたいと思うが、どういう理由で国会から要求された資料が出せないのか、ちょっと理解できない。明らかにしないと国会の審議が進まないので、速やかに対応するよう重ねて要望したい」と述べました。

 自民党の吉田参議院幹事長は記者会見で、「財務省は、きちんと説明責任を果たすべきだ。ただ、野党は、予算委員会の審議を止めるのではなく、審議で究明していくことが極めて大事であり、1つの理由で審議に応じられないというのは理解できない。与党の中にも疑問点があるので、与党も財務省に対する質疑をしっかりやるべきだ」と述べました。

自民党の竹下総務会長は記者会見で、「政府が、きちんと対応すべき課題であり、事実なら、ゆゆしき問題だという重たい意識を持たなければならない。われわれとしては、今は、政府に『きちんと対応しろ』と言い続ける」と述べました。

公明党 山口代表「やむを得ない対応」

公明党の山口代表は記者会見で、「大阪地検の捜査が行われている中で、財務省としては、捜査に全面的に協力し、影響が及ぶような言動は控えたいというトーンだろう。捜査の対象であれば、言及を控えるという対応は妥当だ。また、決裁された元の文書は、大阪地検にあるということなので、そのものを確認する手立ては外部の者にはなく、やむを得ない対応だ」と述べました。

民進 那谷屋参院国対委員長「子どもの返事以下」

民進党の那谷屋参議院国会対策委員長は記者団に対し、「『自分たちが検察に出したものが何であったのか分からない』などという、ばかな話はない。ごまかし以外の何物でもなく、子どもには悪いが子どもの返事以下だ。相当の怒りを覚えており、財務省への信頼が置けない状況では予算案の審議はできない」と述べました。

維新 片山共同代表「役所も劣化か」

日本維新の会の片山共同代表は党の役員会で、「国民の皆さんが大変、心配しており、しっかり真相を解明してほしい。今回の改ざん疑惑の問題を考えると、役所も、ちょっと劣化しているのかなと思う。役所は、ある意味で国民の代表なので、政治家と一緒に国民の先頭に立って頑張ってもらいたい」と述べました。

 日本維新の会の馬場幹事長は記者会見で、「報道が事実なら犯罪に近い事件だと思うので、財務省の自助努力で事実をつまびらかにしていくことが求められる」と述べました。一方、馬場氏は、「国会は、これから年度末を控え、『森友事件』だけではなく、多くの国民生活に関わる問題を議論する重要な局面なので、委員会を止めるのは賛同しかねる。すべての委員会に絡めていくことは賛成できず、特別委員会を設置して議論すべきだ」と述べました。

 

朝日新聞の森友文書“改ざん”疑惑 新たな「第三の文書」を徹底検証(2018年3月6日配信『AERA dot.』)

 

写真左と写真中は、昨年2月に国会議員に配布された決裁文書。写真左は、数字部分などの確認後に入れたと思われる「・」(黒ポツ)のチェック印があるが、朝日が「書き換えた」と報じた写真中の「調書」の記述部分には、チェックを入れた形跡がない。一方、5日に近畿財務局が提示した決裁文書(写真右)の「調書」部分には、「/」(スラッシュ)印でチェックが入っている(赤字のマルは財務省職員が付けたチェック印と思われる部分で、編集部による追記)

 

 朝日新聞が放ったスクープが、政界を激震させている。

 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却をめぐり、朝日新聞は3月2日、財務省が省内で作成した決裁文書に改ざんされた疑いがあると報じた。報道を受けて財務省は6日午前、調査状況を参院予算委員会理事会で報告。ところが、「(文書は)捜査の対象になっており、すべての文書を直ちに確認できない状況だ」と文書の存否すら明らかにせず、疑惑はさらに深まっている。

 一方、現時点で改ざんされた文書を確認しているメディアは朝日だけ。そのため、読売、毎日、産経などの新聞各紙は、国会での与野党議員の攻防が報道の中心となっている。

 はたして、文書の改ざんは真実なのか。ある全国紙記者は、朝日が連日一面でこの問題を取り上げていることから「かなり自信を持った報じ方をしている」と分析する。一方、原本となる改ざん前の文書について、記事では「入手」ではなく「確認」と書かれていることや、原本の写真が掲載されていないことから、記事の真贋をめぐって場外戦もはじまっている。

 新たな疑惑も飛び出した。改ざんが疑われている文書には、書き換えの痕跡と思われる記述も残されていたのだ。

 民進党の小西洋之参院議員は、5日に国会内で開かれた財務省などへのヒアリングで、財務省の職員が決済文書の内容を確認するために付けたと思われる「・(黒ポツ)」のチェック印が、改ざん疑惑がある文書には存在していないことを指摘した(資料写真参照)。

 小西議員はこう話す。

「私は官僚出身なのでよくわかるのですが、決裁文書を作成する際は、数字や文章の内容に間違いがないよう、職員が一つずつチェックします。国会議員に配布された決裁文書にある『・』はペンなどで付けた確認済みのチェック印と思われます。しかし、朝日の報道で改ざんの疑いが指摘された計6ページの『調書』の部分だけ、『・』でチェックされた形跡がありません。おそらく、急いで作成したため、そこまで作業ができなかったのでしょう」

新たな疑惑 第三の文書に“改ざん”の痕跡?

小西議員ら野党は、国会議員に提出された文書の原本の確認も財務省に求めている。

「本当に文章が書き換えられたのなら、作成から1年以上経った後と思われます。1年あれば紙は経年劣化するので、差し替えられたページだけ新しくなる。他のページと色が違っている可能性もあります」

 一方、5日、野党の調査団の訪問を受けた近畿財務局は、朝日が原本を「書き換えた」と指摘した国会議員への配布文書とは、異なる「第三の文書」を提出した。

 この第三の文書は6日、自由党の森ゆう子参院議員が国会で公表したが、「決裁文書のコピー」として同局から提供されたものだという。

 本来であれば、この文書は昨年2月に国会議員に提出されたものと同じなはずだが、森氏が入手した文書は、少し異なっていた。

 文章の内容は改ざん疑惑のある文書と同じだが、小西氏が「ない」と指摘したはずのチェック印が書き込まれていたのだ。

 しかも、そのチェック印は「・」ではなく、「/(スラッシュ)」で書き込まれている(資料写真参照)。昨年2月、国会議員に一部を”改ざん”した文書提供した後、何者かが数字や文書の確認をして、「/]のチェックを入れた可能性もある。

 この疑惑について財務省は「情報公開請求に答える中でチェック印を入れるなど、何種類かのバージョンの文書があるのかもしれない」と説明している。

 安倍晋三首相は、今国会で森友学園についての一連の朝日の報道を「間違い」「裏取りがない」と繰り返し“口撃”していた。ところが、文書の改ざん疑惑が報道された後は、麻生太郎財務相が「事実であればゆゆしき事態」と述べるにとどめている。

 それもそのはず、有印公文書の偽造は、懲役10年以下の重大な犯罪だ。似た事件としては、過去に厚生労働省の郵便不正事件で、大阪地検特捜部が証拠品を改ざんした事実が明らかになり、担当検事やその上司ら3人が逮捕され、懲戒解雇された。さらに、検察庁のトップである検事総長の大林宏氏も引責辞任した。森友学園の問題では、昭恵夫人も関与が指摘されていてことから、政権に与える打撃は、大阪地検特捜部の証拠改ざん事件の比ではない。

財務省が文書の存否を明らかにできない理由

 だが、自民党も反撃に出ている。和田政宗参院議員はツイッターで「今回と同様の文書は、決済印を押す紙の後の2枚目以降は決裁途上で差し替えることがあり、朝日が見た文書は決裁途上の文書の可能性も」と、記事に説明不足の部分があると指摘した。

 時事通信(電子版)も3日、政府関係者のコメントとして、財務省では「資料をまとめる過程で多少削るなどした部分はあるが、改ざんには当たらない」との説明で乗り切る案が浮上していると報じている。

 ただ、この説明で野党が納得するとは考えにくい。朝日の記事によると、文書の原本と、昨年2月に国会議員に配布された改ざん疑惑の文書では、1枚目にある文書番号や起案日、決済完了日が同じだと報じている。文書を一部差し替えたのなら、決済は最初からやり直す必要があるが、その形跡はないようだ。

 そのほかの説明としては、財務省職員の単純ミスとして「作成途中の文書が誤って決済された公文書の中に入り込んでしまった」と理由付けすることも考えられる。

 しかし、この説明にも無理がある。朝日の報道では、原本では「学園側の提案に応じ」や「価格提示を行うこととした」といった記述があるという。「単純ミス」で説明すると、原本の文書と記述内容の存在を認めることになる。佐川宣寿・前財務相理財局長(現国税庁長官)は、学園側と「事前の価格交渉はしていない」などと国会で答弁しているので、原本の存在を認めることは、結果として佐川氏の虚偽答弁が確定させることになってしまう。

 希望の党の古川元久幹事長は「事実であれば、内閣総辞職に値するくらい極めて重大な問題だ」と述べ、報道をきっかけに政局が動き始めている。

 文書改ざんが真実なら、安倍内閣への批判が高まることは必至。国会での審議の行方に注目したい。

 

森友文書 書き換え有無回答せず 財務省報告に野党反発(2018年3月6日配信『東京新聞』)

 

 学校法人「森友学園」への国有地売却問題を巡り、財務省の決裁文書が問題発覚後に書き換えられた疑いがあるとの朝日新聞報道を受け、財務省の富山一成理財局次長は6日、参院予算委員会理事会で、文書原本は大阪地検特捜部に提出しており「近畿財務局にはない」と説明した。書き換えの有無については回答しなかった。野党は反発し、午前に予定していた予算委は見送られた。

 与党側も自民党の石井準一筆頭理事が理事会で「与党としても納得できない」と財務省を批判した。野党側は書き換えの有無を確認するため、佐川宣寿前理財局長(現・国税庁長官)を国会に呼ぶよう求めたが、与党は回答しなかった。

 財務省が理事会に提出したのは、調査結果でなく、今後の調査方針。財務省は大阪地検の捜査に協力する段階にあるとし、調査は「捜査に影響を与えないように」するとした。その上で「多くの文書は捜査対象で全てを直ちに確認できない」とし、事実確認は「裏付けをとるなど慎重に行う」とした。

 富山氏は予算委理事会で大阪地検に提出したのは、森友学園に国有地を売却した契約と、それに先立つ貸し付け契約に関する決裁文書の原本と説明した。

 民進党の那谷屋正義参院国対委員長は記者団に「このような状況では議論しても、答弁に信憑(しんぴょう)性を感じることができない。国会、国民をばかにしてはいけない」と語った。

 麻生太郎副総理兼財務相は6日の閣議後の記者会見で「担当局以外の職員も関与させ、全省挙げて調査を進めていきたい」と述べた。

 財務省の太田充理財局長は6日までに調査し「できる限り努力し報告する」としていた。

 森友問題では、大阪地検特捜部が近畿財務局長らの背任容疑や、保存義務のある交渉記録を廃棄したとする公文書毀棄容疑で捜査している。

 朝日新聞が2日に報道。森友側との交渉を担った近畿財務局が作成した決裁文書に関し、契約当時の文書と国会議員に開示していた文書で内容に違いがあり「特例」などの文言が複数箇所でなくなっていると指摘した。

◆財務省が国会に提出した「調査の状況の報告」

 現在、大阪地検において、背任のほか、証拠隠滅や公用文書毀棄(きき)について告発を受けて、捜査が行われている状況にあり、財務省としては、この捜査に全面的に協力している段階にある。

 こうした状況の中、捜査に影響を与えないよう、以下の点に留意して、直接の担当である理財局・近畿財務局以外の職員も関与した上で、全省を挙げて、文書の確認、職員への聞き取りなど調査を進めていきたいと考えている。

1.文書の確認

 調査にあたっては、多くの文書の確認が必要となるが、これら文書は、告発を受けた捜査の対象となっており、すべての文書を直ちに確認できない状況となっている。

2.職員への聞き取り

 調査にあたっては、広く職員への聞き取りを行う必要があるが、決裁文書の作成にかかわった職員への聞き取りにあたっては、捜査に影響を与えないよう、捜査当局による事情聴取との関係に留意し行う必要がある。

3.事実関係の確認

 事実関係の確認に当たっては、裏付けをとるなど慎重に行う必要がある。

 

 

森友問題 文書の存否、答えず 書き換え問題で財務省報告(2018年3月6日配信『毎日新聞』)

 

 財務省の富山一成理財局次長は6日午前、参院予算委員会理事会で、学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の決裁文書が書き換えられたとされる疑惑について「(大阪地検の)捜査の対象になっており、すべての文書を直ちに確認できない状況だ」と報告した。決裁文書の原本の開示を求めていた野党は「ゼロ回答」に猛反発。自民党の二階俊博幹事長は記者会見で「国会から要求された資料を出せないのはちょっと理解できない」と財務省を批判した。【高橋恵子、真野敏幸】

 理事会で野党は「捜査結果が出るまで時間稼ぎをしようとしている」(民進党の川合孝典氏)と財務省の説明に納得せず、6日午前9時から予定されていた参院予算委の開催は午後以降にずれ込んだ。

 富山氏は「捜査に全面的に協力している」と述べ、当事者の財務省理財局や近畿財務局以外の職員も含めて「全省を挙げて調査を進めていきたい」と理解を求めた。一方で「事実関係の確認は裏付けを取るなど慎重に行う必要がある」として、詳細の把握には時間がかかるとの認識を示した。地検に提出した決裁文書の原本と、国会に昨年開示した文書が同一かどうかは明らかにしなかった。

 財務省が原本の有無を曖昧にし続けて国会審議に影響すれば、麻生太郎副総理兼財務相は苦しい立場に追い込まれる。麻生氏は6日午前の記者会見で「責任論に発展するか」と問われ、「内容が分からない段階で、仮定の質問には答えかねる」とかわした。

 しかし、財務省の対応には自民党からも批判が続出。二階氏は「国会審議が進まない。速やかに対応するよう(同省に)要望したい」と表明し、石井準一氏は理事会で「与党としても理財局の説明は納得できない」と述べた。同党幹部は「地検の捜査が終わるまで消化不良の説明を続けたら、持たない」と語った。

 野党は6日午前、衆参両院でそれぞれ国対委員長らが会談し、対応を協議した。立憲民主党の辻元清美国対委員長は「(与党と)今後の日程協議はできない。政府の情報が書き換えられたということになれば、国会審議が無意味になる」と記者団に語り、衆院側でも徹底抗戦する意向を示した。

 

森友原本は所持せずと財務省 決裁文書書き換え報道で説明(2018年3月6日配信『共同通信』)

 

 学校法人「森友学園」への国有地売却問題を巡り、財務省の決裁文書が問題発覚後に書き換えられた疑いがあるとの一部報道を受け、財務省の富山一成理財局次長は6日、参院予算委員会理事会で「文書の原本は大阪地検にあり、近畿財務局にはない」と説明した。野党は真相解明のため原本の提示を要求していた。

 麻生太郎副総理兼財務相は6日の閣議後の記者会見で、書き換えの有無について「担当局以外の職員も関与させて全省挙げて調査を進めていきたい」と述べた。

 森友問題では、大阪地検特捜部が近畿財務局長らの背任容疑や、保存義務のある交渉記録を廃棄したとする公文書毀棄容疑で捜査している。

 

財務省「全ての文書を直ちに確認できない」 野党は反発(2018年3月6日配信『朝日新聞』)

 

 森友学園との国有地取引をめぐり、財務省の決裁文書の内容が書き換えられた疑いが出ていることについて、財務省は6日朝の参院予算委員会理事会で「すべての文書を直ちに確認できない状況となっている」などと報告した。問題となっている文書の有無は明らかにしなかった。

 これに対し、野党各党は「ゼロ回答だ」と反発し、理事会はいったん休憩に入った。参院予算委の開始は見通しが立っていない。

 財務省は参院予算委理事会で、「調査の状況の報告」と題した文書を提出した。文書は「全省を挙げて、文書の確認、職員への聞き取りなど調査を進めていきたい」としているが、文書の有無については「多くの文書の確認が必要となるが、捜査の対象となっている」と説明。職員への聞き取りについても、「捜査当局による事情聴取との関係に留意し、行う必要がある」とした。

 また、財務省は文書について理事会で「大阪地検にある」「文書は提出した」「任意か強制かは言えない」などと説明した。野党筆頭理事を務める民進党の川合孝典氏は6日、記者団に「(現状のままでは)捜査の結果が得られるまで何も動きが取れないということになる。時間稼ぎをしようとしているのは明らかだ」と批判した。

 

本気の倒閣へ舵 安倍首相vs朝日新聞が「最終戦争」突入へ(2018年3月6日配信『日刊ゲンダイ』)

 

「朝日新聞が政権転覆に舵を切った」――。

 森友学園関連の決裁文書を財務省が改ざんした疑いについて朝日が1面トップで伝えた先週金曜(2日)、永田町では自民党議員からも冒頭のような声が上がった。

 朝日の報道の通りなら、麻生財務相のクビどころか、内閣が吹っ飛ぶような国家犯罪だが、朝日は本気で安倍政権を倒しにいくつもりなのか。

「朝日の幹部が国会議員OBに会った際、こう言っていたそうです。『自分たちはそれなりにやってきたつもりだが、国会の委員会での安倍首相の名指し攻撃は度を越している。そこまでやるなら、こっちも腹を決めて勝負に出る。森友学園問題に関して隠し玉がある』と」(永田町関係者)

 どうやら朝日は材料を集めていたようで、それはこの財務省の一件だけではないらしい。    

 「平昌五輪期間中を避けて、一番効果的な記事化のタイミングを見極めていたところ、不適切データの問題で裁量労働制拡大の法案提出が断念に追い込まれた。そこで、弱り目にたたり目のこのタイミングで勝負を懸けたということでしょう。スクープは1発だけではなく、第4弾、第5弾まで用意しているそうです」(前出の永田町関係者)

■自らの説明責任は棚に上げて朝日攻撃

 もともと朝日嫌いの安倍首相だが、年明け以降の朝日攻撃は確かに異様だ。

 昨年5月、森友学園の籠池前理事長が小学校の設立趣意書に「安倍晋三記念小学校と書いたと証言した」と朝日が報じたが、設立趣意書の文言は「開成小学校」だった。安倍首相はこれに噛みつき、朝日攻撃を繰り返している。1月28日の衆院予算委で「(朝日は)籠池被告が言ったことをうのみにした」、31日の参院予算委でも「安倍政権を攻撃するためだったのか、朝日新聞は裏を取らずに事実かのように報道した」と猛批判。

 それだけじゃない。自民党議員のフェイスブックに「哀れですね。朝日らしい惨めな言い訳」とコメントを書き込み、2月13日の衆院予算委では、30年前の朝日新聞カメラマンのサンゴ落書きや、13年前のNHK番組への自らの政治介入報道まで持ち出して口汚くケナした。

 設立趣意書の件に関していえば、籠池前理事長は当初、小学校への寄付金の「払込取扱票」に「安倍晋三記念小学校」と書いていたし、財務省が開示した設立趣意書は校名の部分が黒塗りされていたのだから、朝日の記事は決して誤報とはいえない。それなのに、自らの説明責任は棚に上げて朝日攻撃。政治評論家の本澤二郎氏が「最高権力者が国会で特定メディアを激しく批判するのは、言論弾圧にも等しい破廉恥な行為」と言っていたが、まさに常軌を逸している。

 朝日は4日の朝刊1面で、裁量労働制の違法適用で当局から指導された野村不動産の社員が過労自殺していたことをスッパ抜いた。これも“倒閣”の一環なのだろう。働き方改革への野党の批判が勢いづき、「スーパー裁量労働制」と呼ばれる「高度プロフェッショナル制度」の創設も怪しくなってきた。 焦点は、決算文書改ざん疑惑について財務省がどう説明するのかだ。

 自民党内では「朝日は過去に、福島原発事故の吉田調書の件などでチョンボをしている」と誤報に期待をかける向きもあるが、もし誤報なら、逆に朝日の社長のクビが飛ぶ。安倍首相か朝日か、どちらが倒れるか――。いよいよ最終戦争に突入した。

 

文書改ざん疑惑 小池書記局長が会見(2018年3月6日配信『しんぶん赤旗』)

 

国会と国民を愚弄

 日本共産党の小池晃書記局長は5日、国会内で記者会見し、学校法人「森友学園」(大阪市)との国有地取引で、財務省が改ざんした文書を国会に提出した疑惑をめぐり、野党の調査要求に応じようとしない政府を厳しく批判しました。

 財務省が6日に調査状況を報告するとしていることについて小池氏は、「明日(6日)報告できるのなら、なぜ今日説明しないのか」と批判。5日の参院予算委で、麻生太郎財務相が、証拠隠滅(いんめつ)などで告発されて大阪地検から捜査を受けており、「口裏あわせをしたと取られないよう、捜査当局から控えるようにいわれている」として改ざん疑惑の調査は難しいと述べましたが、小池氏は、「今のようにまともに答えずに、時間稼ぎをする対応こそ口裏あわせをしていると取られても仕方がない」と批判しました。また、麻生氏が「明日、調査の方針、留意点などの調査状況を報告する」と述べたことについても、「調査内容を報告するつもりがないということではないか」と指摘しました。

 その上で小池氏は、書き換えられたとされる文書は、「森友疑惑」真相究明のために与野党の合意で同委員会が提出を求めたものだと指摘。「これは野党だけではなく国会全体の意思をふみにじる行為だ。与野党が合意して求めた資料が書き換えられたのであれば国会と国民を愚弄(ぐろう)するもので許されない」「野党各党が、こぞって内閣総辞職に値する、内閣が吹き飛ぶような問題だと批判しているが、そういう問題に発展する可能性がある」と厳しく批判しました。

 

野党国対「原本提出を」(2018年3月6日配信『しんぶん赤旗』)

 

参院 森友文書改ざん疑惑協議

 参院の野党国対委員長会談が5日、国会内で開かれ、国会に提出された森友学園への国有地貸付、売買契約に関連する文書が改ざんされていた疑惑をめぐる国会対応で協議しました。

 日本共産党の井上哲士参院国対委員長は、「国会審議の土台が崩れる疑惑であり、政府・財務省の対応も看過できない」と指摘。政府に改ざんの有無の回答、契約書原本提出を求め、政府の対応によっては厳しい国会対応が必要だと主張しました。

 協議の結果、与党に対し、与野党国対委員長会談を呼びかけ、原本提出などを政府に迫ること、政府の対応によっては、7日に予定されている本会議での所得税法改定案の趣旨説明・質疑などの国会運営に影響する事態もありうるとの認識を共有しました。

 

内閣総辞職に値する(2018年3月6日配信『しんぶん赤旗』)

 

辰巳議員 文書改ざん 事実なら重大

 学校法人「森友学園」(大阪市)との国有地取引で財務省が作成し、国会に提出した公文書が改ざんされていた疑惑について、辰巳議員は、「法治国家として許されない」とのべ、「改ざんが事実であれば内閣総辞職に値する」と安倍晋三首相に迫りました。

 改ざんが疑われているのは、学園との土地取引で近畿財務局が局内の決裁を受けるために作った文書。朝日新聞(3日付)は、2015年の貸し付け契約と16年の売却契約の際の決裁文書と報じています。

 辰巳氏はこれらの文書の電子データはあるのかと質問。財務省の太田充理財局長は一般論として「基本的にはない」とのべるだけで存在を否定しませんでした。

 文書の内容について辰巳氏は貸し付け契約では「特例的な内容」という文言が削除され、売却契約では「学園側の提案に応じて鑑定評価を行い」「価格提示を行う」という言葉が消えているなどと報道されていることを紹介。理財局長だった佐川宣寿国税庁長官が事前の価格提示を国会で繰り返し否定したことをあげ、「国税庁長官として適材適所なのか」と迫りました。麻生太郎財務相は「適材適所」と答弁し、安倍首相は「所管大臣が答弁した通り」と佐川氏をかばいました。

 辰巳氏は「改ざんが事実なら内閣総辞職に値する。最高責任者としてしかるべき責任をとるのか」と強調。安倍首相は「仮定の質問にはお答えできない」と答弁を拒否しました。

 また辰巳氏は、財務省が国会に提出した学園との交渉の法律相談書について、会計検査院が昨年4月、6月に近畿財務局に実地検査をした際、文書を保管していた法務部門の職員が「同席していたことはなかったのか」と質問。太田氏は同部門の職員も同席したことがあると認めました。

 

「森友」文書問題 新たな虚偽答弁の疑い(2018年3月6日配信『しんぶん赤旗』)

 

辰巳議員ただす 参院予算委

 5日の参院予算委員会で、学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる、財務省近畿財務局の決裁文書の改ざん疑惑を追及した日本共産党の辰巳孝太郎議員。財務省は、改ざんの事実が有るのか否か、回答を避け続けました。

 辰巳氏は、公文書改ざんの疑惑が浮上したことで、森友学園問題が「全く新しい段階に入った。改ざんが事実であれば、内閣総辞職に値する」と厳しく指摘しました。問題の文書は、国政調査権に基づいて国会議員に開示されたものです。改ざんが事実なら、国有地売却にあたって国政私物化があったのか否かの核心部分の検証が不可能になり、国会審議が成り立たなくなる重大問題です。

 辰巳氏は、2日の改ざん疑惑の浮上直後から、大阪地検の捜査を理由に答弁を「控える」としてきた財務省に、「改ざん前の文書が有るのか、無いのか」と迫りました。

 

 

 辰巳孝太郎議員 捜査と、国権の最高機関である国会で真相を明らかにすることは何ら矛盾しない。近畿財務局に電話1本かければ済む話だ。

 太田充財務省理財局長 電話1本で済む話ではない。(決裁文書に関する)調査の方針や留意点など調査の状況は、明日(6日)報告する。

 辰巳 無いなら「無い」と言えばいいのに、言えない。

 辰巳氏は、決裁文書の電子データが残っているかも追及。太田理財局長は、廃棄したとは言いませんでした。

 辰巳氏はさらに、国会議員に開示された文書を手元に掲げ、報道された“改ざん前”の文書と比較(図)。「消されたり、書き換えられたりしたのは、森友学園への便宜を示す文言だからではないか」と強調し、改ざんは「(事前に)価格提示を行うことはない」と繰り返してきた佐川宣寿前理財局長の答弁に合わせたものではないかと批判しました。

 辰巳氏は、「事実なら、改ざん資料を国会に提出し、政府はそれをもとに答弁してきたということだ。そうであれば、政策決定過程の検証は不可能となり、国会審議が成り立たない」と述べました。

 辰巳氏の質疑では、財務省が開示した別の文書をめぐっても、新たな虚偽答弁の疑いが浮上しました。焦点となったのは、国有地売却の交渉担当だった財務省近畿財務局が、同局法務担当者に法律相談した記録。財務省が今年になって国会に開示しました。財務省は、文書を会計検査院に提出しなかった理由について、検査への対応窓口だった国有地売却担当部門とは別の、法務部門に保存されていることに「気づかなかった」と釈明しています。

 ところが、辰巳氏の追及で、会計検査院による近畿財務局への実地検査に、法務部門の職員が同席していたことが明らかになりました。

 辰巳 実地検査の際に、法律相談文書に気づかなかったということは、法務部門の職員はその場にいなかったのだな。

 太田 同席していたことはある。

 辰巳 では、法律相談文書について説明したのか。

 太田 法律相談の話が出て、(文書が)必要だと気がつく状況は生じなかった。

 辰巳氏は、「全く苦しい答弁だ」と批判。重要な内部文書の隠ぺいだとして、財務省に検証を求めました。

 

財務省の森友文書“書き換え”疑惑で安倍政権に激震「事実なら総辞職級」(2018年3月5日配信『週刊朝日』)

 

 森友学園への国有地激安売却問題で新たな疑惑が浮上し、安倍政権に激震が走った。財務省が学園との契約に関する決裁文書を書き換えて国会に提出した疑いが、3月2日付の朝日新聞などで報じられたのだ。

「この報道が事実であれば、財務省は国会議員に捏造した資料を渡したことになり、大問題。安倍政権を守るために隠蔽したということであれば、財務省の担当者が処分されるだけの話では済まず、内閣総辞職につながるような話」(立憲民主党の辻元清美国対委員長)

 朝日新聞によれば、2015〜16年に財務省近畿財務局が学園と土地取引をした際に作った文書と、問題の表面化後に国会議員に開示した文書の一部が異なり、当時の文書にある「特例的な内容となる」「価格提示を行う」などの文言が開示文書からは消えていたという。財務省は佐川宣寿国税庁長官(当時の財務省理財局長)らの国会答弁で同学園との価格交渉を一貫して否定していた。

 国会で事実関係を問われた麻生太郎副総理兼財務相は「差し控えさせていただく」と逃げの一手。

 立民、民進党、希望の党ら野党が2日午後、合同で開いたヒアリングに財務省官僚を呼ぶと大荒れになった。希望の階猛衆院議員はこう迫った。

「(報道が)事実なら虚偽有印公文書作成罪になり、実際にそれを国会に提出したのだから、同行使罪にも当たり、懲役10年の嫌疑がかけられる。そんな記事が出たら朝一番で事実か否かを確定させ、(誤報なら)朝日を訴えないと組織として成り立たないでしょう」

 しかし、財務官僚は「私が確認できているのは、『調査をします』ということでございます」を連発。その疑惑について霞が関官僚は驚きを隠さなかった。

 「公文書管理法で行政機関の意思決定の過程などを公文書に書き残すことが義務づけられている。文書を訂正、書き換える必要が出た場合、その経緯は訂正に印鑑を押すなどキチンと過程を残さなければならず、改ざんはあり得ない話だ」

 財務省は6日までに何らかの調査報告をすると表明したが、裁量労働制拡大の断念に続き、安倍政権はやっかいな火種を抱えることになった。(週刊朝日 2018年3月16日号)

 

近畿財務局決裁文書、書き換え事実なら麻生太郎財務相辞任も 高橋洋一氏「政権か朝日が倒れる究極の戦い」(2018年3月5日配信『産経新聞』)

 

 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却をめぐり、財務省が取引の決裁文書を書き換えた疑いがあるとの朝日新聞報道が政界を揺るがせている。野党は報道が事実なら「安倍晋三首相の内閣総辞職は必至だ」と攻め立てる。一方で、朝日は5日現在で、書き換え前とする「契約当時の文書」を「入手」したのではなく「確認」したとしており、これが与野党の神経戦の激化を招いている。

 最大の焦点は、朝日の報じた「契約当時の文書」が財務省近畿財務局の「決裁文書」と同一なのかどうかだ。報道が事実なら、国有地売却問題の発覚後に国会議員に開示された文書は決裁後に書き換えられた位置づけとなる。財務省は、公文書を作り替えたそしりは免れず、関係者が刑事罰を受ける可能性もある。

 5日の参院予算委員会では「改竄(かいざん)される前の文書があるのか、ないのか」(共産党の辰巳孝太郎氏)など、契約当時の文書に関する質問が集中した。財務省の太田充理財局長は「大阪地検の捜査にどのような影響を与えるか予見しがたいため、答弁を差し控える」などと繰り返した。

 仮に財務省が書き換えを主導したならば、開示文書をもとに国会で経緯を説明してきた安倍政権は窮地に陥りかねない。

 朝日によると、契約当時の文書では、取引について「特例的な内容」「本件の特殊性」「学園の提案に応じて鑑定評価」などと記されていたが、開示文書にはこうした文言はない。

 野党は森友学園問題で、安倍首相や昭恵夫人の「関与」や役所サイドによる「忖度(そんたく)」を疑ってきた。書き換えられたとされる内容は、いずれも野党の主張を後押しするものといえる。

 自民党関係者は最悪の場合として「省ぐるみの意図的な犯行なら、逮捕者が出かねない。麻生太郎副総理兼財務相の辞任もありうる」と語る。首相の盟友で内閣の屋台骨である麻生氏が揺らげば、政権のダメージは計り知れない。

 近畿財務局が独自に書き換えを行い、財務省本省が関知していなかったケースも想定される。それでも、昨年野党の国会議員に文書を開示した財務省の責任は避けられない。

 一方「契約当時の文書」が実際の決裁文書ではない場合はどうか。政府内には、朝日が文書を「入手」としていないことを疑問視する向きもある。政府関係者は「資料はすべて大阪地検に押収されており、5日の時点で近畿財務局に朝日のいう『契約当時の文書』はない」と強調する。

 元大蔵官僚の高橋洋一嘉悦大教授は「政権か朝日のどちらかが倒れる究極の戦いだ。報道が事実なら近畿財務局がお取りつぶしになるなど、財務省の解体がありうる。誤りなら朝日が危機だ」と話した。

■朝日新聞の報道内容

 朝日新聞は、2日付朝刊の1面トップで「森友文書 書き換えの疑い」と報じた。3日の朝刊1面トップでも続報した。

 朝日によると、平成27〜28年の学校法人「森友学園」との国有地取引の際、財務省近畿財務局の管財部門が作成した決裁文書について、契約当時の文書と、国有地売却問題の発覚後に国会議員らに開示した文書の内容が違っていた。朝日は契約当時の文書を「確認」と記した。

 決裁文書は、1枚目に決裁の完了日や局幹部の決裁印が押され、2枚目以降に交渉経緯などが記されている。2つの文書とも、起案日、決裁完了日、番号が同じで、ともに決裁印が押されていた。しかし、契約当時の文書には財務省が否定していた「価格提示」との記載があり、開示文書にはないなどの違いがあった。

 朝日は「関係者によると、文書の内容が変わったのは、朝日が問題を報じた昨年2月下旬以降とみられる」としている。

 

野党「原本を」 財務局「本省指示ないと…」 森友文書(2018年3月5日配信『朝日新聞』)

 

 

 森友学園(大阪市)との国有地取引をめぐり、契約時点とその後に国会議員らに示した公文書の内容が違っている問題で、財務省は5日、契約時点の文書の存否を明らかにせず、6日の参院予算委員会理事会で調査方針を報告する考えを示した。野党は説明を先送りする政府の姿勢に強く反発。安倍政権に対する責任追及を強めている。

 「原本を見せて頂きたい」。5日夕、大阪市の財務省近畿財務局。国会に提出された公文書の確認を求め、立憲民主、希望、自由、社民の野党4党の国会議員が財務局側に詰め寄った。

 この日午前の参院予算委では、麻生太郎財務相が「『個別に調査を』と言われるが、捜査当局は口裏合わせと取りかねない」と主張。内部調査そのものに後ろ向きな政府の姿勢に4党は反発。そのまま、近畿財務局に乗り込んだ。

 希望の今井雅人氏によると、近畿財務局の担当者は「本省の指示がないと動けない」と説明を拒否。今井氏は「真実を明らかにしようという気がまるで感じない」と記者団に話した。

 財務省本省も、太田充理財局長が午後の参院予算委で「捜査への影響が予見しがたい」などと述べ、先週と同様、具体的な説明を避け続けた。共産党の辰巳孝太郎氏は「週末はどうしていたのか。(文書の存否確認は)電話一本で済む話。文書はあったのか」と追及。自由の山本太郎氏も「どうして改ざん前の文書に限って存在の有無さえ言わないのか」と批判した。

 予算委後に野党6党が合同で実施したヒアリングは、文書の保管場所についての財務省の説明をめぐって紛糾した。

 富山一成理財局次長は当初、野党6党の国会対策委員長らに「原本は近畿財務局にある」と説明していたのに、中村稔・理財局総務課長が近畿財務局を訪問していた野党議員らへの電話で「捜査当局に出していて現物は近畿財務局にもない」と説明を変えたからだ。

 立憲の辻元清美国対委員長は「不可解なことが起こっている。1時間の間になぜ変わるのか」と指摘。富山次長は陳謝した。出席した野党議員から「その『原本』とは書き換え前の原本のことか」と問われた財務省は「その点も含めて6日に報告したい」と述べた。

 自民党参院幹部によると、財務省は6日の参院予算委理事会で「(一連の)文書は大阪地検に任意提出し、手元にはない」と説明するという。(竹下由佳、南彰)

存在否定から一転認める 加計学園・PKO日報・裁量労働制…

 加計学園問題、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題、裁量労働制の不適切データ問題。安倍政権は行政記録の存在をいったんは否定しながら、その後、一転して認める対応を繰り返してきた。

 「去年から文部科学省も防衛省もそう。役人が政権のために尻ぬぐいをさせられている」。立憲民主党の福山哲郎幹事長が5日の参院予算委員会で指摘したのも、この点だ。文書書き換え疑惑で答弁に立ち続ける財務省の太田充理財局長に「気の毒だ」と語った。

 森友学園への国有地売却問題では、佐川宣寿理財局長(現国税庁長官)が国会で「交渉記録は廃棄した」と答弁したが、その後、交渉経緯を含んだ内部文書を開示することに。加計学園問題では、獣医学部新設を「総理のご意向」などと記した文科省の文書の存在が報じられたが、菅義偉官房長官が「怪文書みたいなもの」と一蹴。後に調査で存在が確認された。日報問題でも、防衛省は情報公開請求に対して「廃棄した」として開示を拒否したが、後に見つかっている。

 共産党の小池晃書記局長は5日の記者会見で「強引な政策決定が矛盾を来している。隠蔽(いんぺい)とか改ざんとか問題が同時に出ているのは、決して偶然ではない」と述べた。

 

麻生の首では済まない 森友改竄で内閣は2つ分飛ぶ<>(2018年3月5日配信『日刊ゲンダイ』)

 

■6日に説明すると言うが、完全に“詰んで”いる財務省の命運

 将棋でいえば、もう完全に詰んでいる。朝日新聞がスッパ抜いた森友学園への国有地売却問題の新たな疑惑。取引の経緯を記した財務省の決裁文書が書き換えられた疑いがあるのだが、書き直したとされる部分には、その意図が垣間見える。

 朝日が確認したところ、決裁時にあった「特例的な内容となる」「本件の特殊性」という文言や「学園の提案に応じて鑑定評価を行い」「価格提示を行う」との記載が、国会議員らに昨年開示された文書ではなくなっていたというのだ。いずれも財務省が否定し続けてきた内容ばかりだ。

 朝日の記事によると、文書の内容が変わったのは昨年2月下旬以降とみられる。安倍首相に「便宜を図ったのか」と迫る野党の追及が過熱し始めた時期と、ちょうど重なる。なぜこの時期なのか。誰の指示なのか。

 当時、理財局長だった佐川宣寿国税庁長官の“虚偽答弁”とのつじつま合わせに書き換えた可能性もあるし、安倍昭恵夫人が森友学園が国有地に設立予定だった小学校の名誉校長に就任していたことが「特例的」で「特殊」だったことを隠すため、文言を削除した可能性だってある。

 考えられる「動機」を挙げればキリがないことに、この問題の闇の深さが表れているが、公文書の改ざんは「懲役1年以上10年以下」の重罪である公文書偽造などに問われかねない立派な犯罪だ。財務省の太田充理財局長は野党の追及を受け、「6日までに、できる限り調査状況を報告する」と確約したが、いったい何を説明するのか。

 近畿財務局に、国有地売却をめぐる森友学園との交渉記録の情報開示請求をしてきた神戸学院大教授の上脇博之氏はこう言う。

「『捜査中』を理由に答弁を控えている時点で、書き換えを認めたも同然です。改ざんしていなければ、国会でそう明言しても捜査に影響は出ない。

財務省は『捜査に全面的に協力』と公言しながら、省内から逮捕者が出るのを恐れて、捜査を妨害しているとみるのが自然でしょう」

6日の報告でも「ゼロ回答」なら疑惑はますます深まり、改ざんを認めたら即アウト。財務省内で関与した官僚が次々と特定されていけば、98年の「ノーパンしゃぶしゃぶ接待事件」以上の大スキャンダルに発展しかねない命運なのだ。

■もはや佐川のレベルを超えた憲政史上空前の悪辣と破廉恥事件で、麻生の首はもちろん、安倍内閣は総辞職

公文書が権力側に都合よく改ざんされたのなら、もはや単なる官僚個人の犯罪ではない。今回の疑惑の破廉恥さは国家ぐるみでスキャンダルをもみ消そうとしたウォーターゲート事件に匹敵する。当時の責任者だった佐川長官のクビひとつでは済まされない。

「国権の最高機関である国会を愚弄し、憲法で保障された国民の知る権利を脅かす悪質極まりない国家犯罪です。麻生財務相の辞任はもちろん、安倍内閣の総辞職に値する憲政史上空前の国民への背信行為です」(政治評論家・森田実氏)

むろん、こんな大それた罪を一官僚が独断で犯すわけがない。忖度なのか、圧力なのか。いずれにせよ、背後でよほど大きな力が動いたことは間違いない。

前出の上脇博之氏はこう言った。

「今回の疑惑は、行政府の信頼を根本から揺るがす重大問題です。根っこにあるのは、国民の『知る権利』をないがしろにして説明を怠り、誰も責任を取らない安倍政権の隠蔽体質そのもの。森友問題は会計検査院から『不適切』と判断された上、検査に必要な文書も提出していなかった。安倍政権は財務省の責任者に懲戒処分を下すべきなのに、誰も処分していない。官僚を攻めたら“返り血”を浴びるとでも思っているのでしょうか。だとすれば、森友問題には安倍政権にとって、よほど都合の悪い真実が隠されていることになる。国民に何ひとつ真相を説明できない安倍政権の姿は、近代以降の国家の体を成していません」

任期途中でクビを差し出したニクソン大統領のように、安倍ももう辞任から逃れられない。

■嘘と隠蔽、ごまかし、国会愚弄、そのうえ、疑惑逃れの解散総選挙を断行した安倍首相の凄まじい悪事

安倍が首相の座に返り咲いてからの5年間はウソと隠蔽、ごまかしに塗り固められてきた。

看板政策に掲げるアベノミクスはとうに破綻。異次元緩和で市場をマネーでジャブジャブにしても、潤うのは大企業と富裕層だけ。貧しい者も“おこぼれ”にあずかれるトリクルダウンはいまだに実現していない。欧米が金融緩和の出口戦略を探り始めた16年の伊勢志摩サミットもメチャクチャだった。2カ月後に迫った参院選対策で消費増税先送りをもくろみ、「世界経済の現状はリーマン・ショックの直前と酷似している」と大ボラを吹いてG7首脳をのけぞらせた。

一方で、悲願の憲法改正に向けた準備は着々。世論の猛反発には一切耳を貸さず、米国と一緒に戦える国にすべく「戦争3法」をまとめた。特定秘密保護法と安保法は強行採決、共謀罪法は禁じ手の中間報告を使う卑劣なやり方だった。

森友疑惑の最中に浮上した南スーダンPKO日報問題では組織ぐるみの公文書隠蔽が露見し、インチキ答弁を繰り返した稲田朋美防衛相が引責辞任。“腹心の友”への便宜供与が疑われる加計学園問題も炸裂し、逃げ回る安倍は早々に国会を閉じ、憲法53条に基づく野党の臨時国会召集要求を無視し続けた。ようやく応じたと思ったら冒頭解散し、600億円もの血税をつぎ込んだ総選挙を断行したのである。これほどの国会愚弄はない。

高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。

「昨秋の総選挙は紛れもなくモリカケ疑惑逃れでした。森友学園への国有地売却額の妥当性を調べた会計検査院の調査がその前に公表され、財務省のお手盛りが明るみに出ていれば、自民圧勝はあり得なかった。かつての政権であれば、何度総辞職したか分からないほど、安倍内閣は醜聞にまみれている。それでも首相のイスにしがみつくのは羞恥心や痛感の乏しさに加え、権力を失った途端に起き得る何かに怯えているのではないか。そう勘繰ってしまいます」

スパコン不正受給やリニア談合事件にもアベ友の影が見え隠れする。国家私物化の限りを尽くす安倍の凄まじい悪事の数々を考えれば、塀の中に落ちても不思議はない。そして、憲政史上最悪の汚点の原点にいる昭恵夫人ともども、キッチリとオトシマエをつける必要がある。

■菅野完氏がいみじくも予言した「内閣が2つ分くらい飛ぶ」の不気味

ちょうど1年前、マスコミに追われる森友学園の籠池泰典前理事長の代理人状態だった「日本会議の研究」の著者・菅野完氏は、「籠池さんの持ってはるモンが全部出てきたら、内閣が2つ分くらい飛ぶ」と口にしていた。その予言が不気味なほど、ものの見事に的中している。

理事長夫妻は昨年7月末に補助金詐取などの詐欺罪で逮捕。保釈は認められず、接見は弁護人のみの厳しい監視下で拘置所暮らしを強いられているが、森友疑惑の特異性を裏付ける物証は次々に出てきている。

財務局と森友サイドの協議内容を収めた音声データでは、籠池氏が安倍夫妻との関係をチラつかせて「グーンと下げていかなアカンよ」と迫り、財務局側は「理事長がおっしゃるゼロに近い金額までできるだけ努力する」と応じていた。

佐川長官は事前の価格交渉をかたくなに否定し、「交渉記録は廃棄した」と強弁していたのに、〈売買金額については、できる限り学校法人との事前調整に努めるものとする〉と記された文書が財務省から出てきた。そして、トドメが今回の決裁文書改ざん疑惑である。

 改めて菅野完氏に聞いた。

「森友学園はカルト的極右団体の日本会議の会員であり、2006年の教育基本法改正で子どもに教育勅語を奉読させる教育を愛国教育だと認識するような人物が運営する教育機関だった。公人の立場からすれば間違いなくヒヤリ・ハット案件です。そこに首相夫人が何らかの形で関与し、官僚が忖度して便宜を図ったとなれば国家的な危機でしょう。それに、決裁文書改ざんが事実だとすれば、敗戦直後にあらゆる役所が公文書を焼却した証拠隠滅と全く同じ。日本の近代官僚制度も議会制民主主義も完全に腐敗してしまったということです。安倍政権が倒れても、腐った仕組みは元には戻らない。そういう意味でも、〈内閣が2つ分くらい飛ぶ〉と言ったのです」

■これほどの重大事件をNHK以下、ほとんど報じない大メディアの神経

朝日のスクープを受け、永田町は大騒ぎ。野党の追及に理財局長は「6日までに調査状況を報告する」と言わざるを得なくなった。

ところが、政権がこれほど狼狽する大スクープなのに、他の大メディアは国会でのやりとりなどを報じる程度。朝日が改ざん文書の現物を明らかにしていないこともあるが、後追い取材がないどころか、NHKなどはあえて触れないようにしているから理解しがたい。これだけ重大な国家犯罪の疑いを前に、どうして静観しているのか。

元NHK政治部記者で評論家の川崎泰資氏がこう言う。

「朝日を孤立化させようという政府の作戦にメディアは完全に乗っかってしまっています。政権にとって不都合な報道をすれば朝日と同じようにニラまれる。それが怖いから萎縮してしまうのでしょう。きのう(4日)のNHK日曜討論もひどいものでした。野党議員が今回の重大疑惑を問題にしているのに、司会者は議論がその件に及ばないようにしていた。NHKはすっかり安倍政権のスポークスマンですからね」

麻生は2日の会見で「捜査に協力しないという印象には書くなよ。あんたらの書き方は信用できないから」と朝日記者を“ドー喝”牽制したという。他メディアへの萎縮効果は絶大だったろう。

 同日、安倍もBSフジの番組関連イベントに出席した際、「電波、通信の大改革を行いたい」と、テレビ局が恐れる「電波オークション」への意気込みを語っていた。わざわざ、このタイミングで。暗にテレビ局に“圧力”をかけたといえる。

 大メディアは悪辣政権にいつまで平身低頭を続けるのか。そろそろ反旗を翻すべきだ。

こうなったら、安倍内閣だけでなく共犯の自民党、腐敗堕落した霞が関幹部の一掃と完全解体が必要

 この5年間の「安倍1強」体制下で強権政権への忖度は、今や霞が関全体にはびこっている。いい例が厚労省だ。「過労死法案」から裁量労働制の対象拡大を削除、今国会での成立断念の契機となった労働時間調査の不適切なデータ問題も、政権に都合のいいデータを用意するために「捏造」した疑いが晴れない。朝日がきのう報じた野村不動産の過労自殺問題もヒドいものだ。

 裁量労働制が過労死や過労自殺を招くとの批判に、安倍や加藤厚労相は違法適用を取り締まった“成果”として同社への特別指導に言及。批判をかわしてきたが、指導のきっかけは過労自殺した社員の遺族の労災申請だったことが判明した。

 制度の乱用を暴けたのは犠牲者が出た後で、現行制度でも過労死を招く乱用を防げていない実態が露呈したわけだが、東京労働局は昨年12月26日に野村不動産を特別指導し、是正勧告したと公表。労働法に違反した企業への是正勧告は原則、公表されないため、異例中の異例だった。

一方で調査の端緒となった過労自殺は通常通り公表しないという二重基準のご都合主義。異例の公表は、1月4日の年頭会見で安倍が今国会を「働き方改革国会」と名づけた直前のタイミングだ。厚労官僚が安倍に忖度し、野党の批判をかわす格好の材料にした狙いが透けて見える。前出の森田実氏はこう言った。

 「霞が関の幹部官僚が、ここまで時の政権に迎合する姿を過去に知りません。日本の歴史上、最悪の状況です。安倍政権が幹部官僚の人事権を常軌を逸した形で乱用しているとはいえ、ゴマすりどころか、われ先にと権力者の意向を忖度する。自分の出世のためなら、国民の知る権利などお構いなし。善悪の区別すらつかず、完全に腐敗、堕落しきっています。『官邸の下請け』に成り果て安倍1強を支えてきた自民党も同罪です。英国の自由主義的歴史家のアクトン卿は、1世紀も前に『権力は腐敗する。絶対的な権力は絶対的に腐敗する』という言葉を残しましたが、まさに今の安倍独裁を言い当てています。今回の疑惑を機に、国家を大掃除しなければ、この国はいずれ立ち行かなくなりますよ」

 日本の将来を考えれば、腐りきった霞が関幹部と自民党政治家の一掃と完全解体が必要だ。

 

 

追い詰められるモリカケ3悪人 納税者の一揆はさらに拡大(2018年3月5日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 モリカケ疑惑解明の“カギ”を握っている3人に対する市民の怒りがピークに達している。その矛先は、野党が証人喚問を要求している、佐川宣寿国税庁長官、安倍首相の妻・昭恵夫人、安倍首相の“腹心の友”の加計孝太郎理事長だ。

 3日行われた「第2弾 モリ・カケ追及!緊急デモ!」、いわゆる「納税者一揆」で、先月16日の参加者(約1100人)を上回る約1500人の市民が霞が関の財務省・国税庁前で怒りの声をあげた。

「国民の財産を横流しするな!」「お友達に横流しするな!」「佐川は逃げるな!」「昭恵夫人を喚問だ!」――などのシュプレヒコールが霞が関に響き渡る中、多くの参加者が頭上に掲げていたのは「昭恵さん、佐川さん、孝太郎さん、証人喚問で説明を!」と書かれたプラカードだ。

 この疑惑の“3悪人”に関する安倍首相の国会答弁は、怒りの火に油を注いでいる。

加計理事長と「獣医学部について話したことは一度もない」、佐川長官は「適材適所」、森友学園と昭恵夫人とのやりとりは「大切な問題じゃない」――などと答弁しているのだから、市民が激怒して当然だ。

 ■追及強める野党6党を後押し

 デモ参加者に渦中の3人について話を聞くと、こう憤りを語っていた。

「疑惑を持たれても、誰も何も説明しない。正直、呆れ返っています」(70代女性)

「佐川さんはどこを向いて仕事をしているのか。公僕として国民のために仕事をするべきなのに、公務員失格ですね」(40代男性)

「首相の“お友達”が優遇されるなんて、国民を愚弄しています。税金が使われている以上、昭恵さんも、佐川さんも、加計さんも表に出てきて説明しないとダメでしょ」(60代男性)

デモを主催した「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」の醍醐聰東大名誉教授は、第3弾の「納税者一揆」を計画しているという。

「デモのカンパや感想をいただくなど、反響が大きい。政府を追い詰めるために何が一番効果的か、タイミングと内容を思案している最中です。野党6党が国会で安倍政権への追及を強めているので、それを後押しできたらいいですね」(醍醐聰名誉教授)

 政府が“3悪人”をかばい続けたところで、市民の怒りがおさまることはない。いい加減、公の場に出てきて疑惑について口を開いたらどうか。

 

森友文書、存否明かさず 書き換え疑惑で財務省(2018年3月5日配信『朝日新聞』)

 

 学校法人・森友学園(大阪市)との国有地取引をめぐり、財務省の公文書の内容が契約当時のものと問題発覚後に国会議員らに開示したものとで違っていることについて、野党は5日の参院予算委員会で、開示したものと別の文書があるのか政府にただした。麻生太郎財務相は存否を明らかにせず、6日に調査の方針などを報告する、と述べた。

 民進党の足立信也議員が「どういう調査をやって、そしてどういう責任を持って臨むか」などと質問。これに対し、麻生財務相は「明日、調査の方針、留意点などの調査の状況について報告をさせる」と述べるにとどめた。また、「個別に調査をとよく言われるが、捜査当局は口裏合わせと取りかねない」とし、「(大阪地検の)捜査が終わらないと、個別な調査がなかなかしにくい」とも答弁した。

 文書が書き換えられた疑惑については「事実だとしたらゆゆしき事態と理解している」と述べる一方、「改ざんがあったかどうか、今捜査の段階。お答えできる範疇(はんちゅう)にない」と話した。

 これに先立つ参院予算委の理事会では、同省の富山一成・理財局次長が「精力をあげて作業を進めているが、本日ここではお話しできるような状況ではない。明日の理事会で状況について話したい」と説明。野党側は「まったくのゼロ回答」と反発した。

 菅義偉官房長官は5日午前の定例会見で、「文書の作成は各行政機関が責任を持って行っており、財務相が述べたものに尽きる」と話した。

 

森友文書 麻生財務相、書き換え「調査困難」 捜査理由に(2018年3月5日配信『毎日新聞』)

 

参院予算委が集中審議

 参院予算委員会は5日午前、安倍晋三首相らが出席し集中審議を行った。学校法人「森友学園」への国有地売却問題を巡り、財務省の決裁文書が書き換えられたとの疑惑に関し、麻生太郎副総理兼財務相は「個別の調査については口裏合わせをしたととられないように、捜査当局から控えるように言われている。個別調査はなかなかしにくい」と述べた。

 麻生氏は「大阪地検による捜査の途中だ。資料は地検に持っていかれており、お答えできない」などと繰り返した。「(疑惑が)事実であれば由々しき事態だ」とも語った。

 また、同省の太田充理財局長は決裁の責任者が、近畿財務局の管財部次長だったことを明かした。

 足立信也氏(民進)経の答弁。足立氏は「公文書の改ざんは犯罪だ。今日中に(予算委に)財務省の調査結果を報告すべきだ」と速やかな対応を求めた。

 予算委に先立つ理事会では、財務省が6日朝の同委の理事会に調査状況を報告すると説明。野党は「ゼロ回答であり、納得できない。今日報告がなければ審議を続けられない」と反発した。

 これに関連し、麻生氏は予算委で「明日、調査の方針、留意点などの調査状況について報告させる」と述べ、報告では調査内容に踏み込まない可能性を示唆した。

 財務省が決裁文書を書き換えた疑いがあるとの疑惑は、朝日新聞が2日に報じた。学園と土地取引をした際の決裁文書の内容について、原本と問題発覚後に国会議員らに示したものに違いがあると指摘した。

 

麻生氏、森友問題「個別調査しにくい」 書き換え疑惑(2018年3月5日配信『日経新聞』)

 

 麻生太郎財務相は5日午前の参院予算委員会で、学校法人「森友学園」への国有地売却問題で、詳細な調査は難しいとの認識を示した。国有地売却の決裁文書を財務省が問題発覚後に書き換えた疑惑について「改ざんがあったかないかは捜査の段階で、答えられる範疇(はんちゅう)にない」と指摘。6日に調査状況を国会に報告するとした上で「個別調査はしにくい」と語った。

 同疑惑は朝日新聞が2日の朝刊で報じた。民進党の足立信也氏は「公文書の改ざんは間違いなく犯罪だ」と追及した。麻生氏は「事実なら由々しき事態だと理解している」と述べるにとどめた。個別調査に関し「捜査当局から口裏合わせに取られかねないとして、控えるように言われているのは事実だ」と主張した。

 財務省は予算委に先立つ理事会で、森友学園問題に関する調査報告を6日の衆院財務金融委員会に示すと説明した。野党は「参院での議論が発端になっているので、参院で先に報告するのが筋だ」と反発。与党からも5日中に事実関係を確認し、理事会に報告するよう求める意見が出た。

 参院予算委は安倍晋三首相と関係閣僚が出席し、働き方改革に関する集中審議を開いた。加藤勝信厚生労働相は、働き方改革関連法案から切り離しを決めた裁量労働制について、健康確保措置の強化も「全面削除し、実態を把握した上で議論していく」と語った。

 民進党の石橋通宏氏は、高度専門職を労働時間規制の対象から外す「脱時間給制度」の創設に反対の姿勢を示した。加藤氏は「盛り込む方針で議論をしている」と強調した。

 

書き換え前文書の有無、回答避ける 参院予算委で財務省(2018年3月5日配信『朝日新聞』)

 

 学校法人「森友学園」との国有地取引に関する財務省の決裁文書が書き換えられた疑いをめぐり、5日朝の参院予算委員会の理事会で野党側は書き換える前の文書があるのかただした。しかし、財務省は存否を回答せず、6日の理事会で説明すると理解を求めた。これに対し、野党は「ゼロ回答だ」と反発した。

 参院予算委には5日、安倍晋三首相や麻生太郎財務相も出席する。野党側は、森友学園問題や働き方改革などについて政府を追及する構えだ。

 

6日の回答は「調査方針」と説明 森友文書書き換え疑惑で麻生氏(2018年3月5日配信『東京新聞』)

 

 学校法人「森友学園」問題を巡り、財務省の決裁文書が問題発覚後に書き換えられた疑いがあるとの一部報道について、財務省の富山一成理財局次長は5日の参院予算委員会理事会で、調査状況は「6日朝までには回答したい」と述べた。麻生太郎副総理兼財務相は5日の参院予算委で、回答は「調査方針、留意点などになる」と説明した。

 麻生、富山両氏は書き換え前の文書が存在するかどうかは明言しなかった。立憲民主、希望など野党6党は5日、真相究明のため、所属議員が午後に同省近畿財務局を訪問すると明らかにした

 

立憲・枝野氏「国家や社会がぶっ壊れる」 森友文書問題(2018年3月4日配信『毎日新聞』)

発言録

 (森友学園問題をめぐって)公文書を改ざんするという、とんでもない疑惑が出てきた。民主主義とか国家とか社会というものがぶっ壊れてしまいます。役所はそういうことをしないと思っているから、例えば、皆さんも納税の通知書がくれば、「正しいだろう」と思って税金を納めるんじゃないですか。

 改ざんなんてあってはいけないことだから、(国会で質問されれば)「そんなことあるはずがありません」と普通は答えますよね。(政府が)そう答えられないと見ざるをえない。5年続いたおかしな政治が、ようやく「おかしい」と気づかざるをえないような状況に追い込まれつつある。しっかりと今の政権のおかしなところにメスをいれて、政治をまっとうな方に戻していくために全力を挙げる。(4日、横浜市内の党会合で)

 

共産・志位氏「一番大事な部分が改ざんされた疑い」(2018年3月4日配信『朝日新聞』)

発言録

 (森友問題をめぐり財務省の公文書が書き換えられた疑いが出ていることについて)非常に深刻な問題で、仮に事実だとすると犯罪行為になる可能性がある。これまでも財務省の森友問題の対応はひどいことの連続でした。記録を捨てたと言った後、記録が出てくる。そういう一連の問題と比べても、今度の問題は次元が異なる異次元の問題だ。速やかに調査結果を出すことを求めていきたい。

 (内閣の責任は)非常に重い。改ざんしたといわれている箇所は、特例的な扱いを必要とするんだと、価格の提示をやるんだという肝の部分。一番大事な部分が改ざんされた疑いがあるわけで、ちょっと表現が不十分だから整理したというようなものではない。しかもそれが、公式に国会に提出されているわけだから、国会で国民を欺き、公文書を偽造したことにもなる。事実と言うことになると、内閣全体の深刻な責任が問われる。(東京都内で記者団に)

 

森友文書 「改ざんしてないと言えないのか」(2018年3月4日配信『しんぶん赤旗』)

 

小池書記局長 財務省追い詰める

 「改ざんしてないなら、してないって言えばいいじゃないですか」―。日本共産党の小池晃書記局長は2日の参院予算委員会で、再三にわたり財務省の太田充理財局長をただしました。同日浮上した学校法人「森友学園」との交渉記録が書き換えられていた疑惑。委員会室では野党議員から「国会の調査権の軽視だ」の声も飛びました。

 小池氏は、元の文書を出すよう麻生太郎財務相に要求。麻生財務相は「大阪地検の捜査にどういう影響を与えるか予見しがたい」と答弁を拒否しました。資料の有無さえ言わないため押し問答になりました。

 小池 捜査に影響を与えるなら、元の文書があるということだ。

 財務相 捜査に影響がないと考えられるならその段階で調べる。

 小池 改ざんしてないなら、ないと言えばいい。言わないことは(文書が)あると認めたことになる。

 麻生財務相の答弁を受けた太田局長は「捜査への影響」を口実に7度にわたり「お答えを差し控えさせていただきたい」と繰り返しました。与野党の理事は答弁についてその都度協議。委員会室は「証拠隠滅だ」などの声で騒然となりました。

 小池 改ざんしていないと言えないのか。

 太田理財局長 捜査の影響がないと考えられる段階で、必要があれば調べる。

 小池 すぐに調べなければだめだ。

 理財局長 捜査に対する影響を十分配慮しつつ、調査したいと思う。

 小池氏は麻生財務相に再度確認。麻生財務相は「私の段階で分かるわけがない」と答弁を拒否。小池氏は「結局、書き換えていないと言えない。国民は何かやったんだと思う」と指摘しました。

 委員会後、小池氏は「書き換えがないというだけなら捜査に支障をきたさない。言わないのは書き換えたことになる」と指摘し、「公文書の改ざんなら重大問題だ。価格交渉が書かれていれば、また虚偽答弁になる」と強調。「参院予算委が開示を求めた文書が書き換えられたなら、国会、ひいては国民を愚ろうすることになる。今後徹底的に追及していきたい」と批判しました。

 

森友文書疑惑で攻防=財務省の説明焦点(2018年3月3日配信『時事通信』)

 

 週明けの国会は学校法人「森友学園」への国有地売却に関し、財務省の公文書書き換え疑惑をめぐる攻防が激しくなりそうだ。野党側は「事実なら内閣総辞職に値する」として攻勢を強める方針で、6日までに予定される財務省の調査状況説明が焦点となる。「自民1強」の国会は、波乱含みの展開となってきた。

 疑惑は、財務省近畿財務局が学園との契約の際に作成した決裁文書に関し、契約当時と問題発覚後の時点で内容に違いがあり、書き換えられた可能性があるとするもの。価格交渉が行われたことを示す記載が消えるなどしたという。朝日新聞が報じた。

 当面の論戦の舞台は、5日に安倍晋三首相や麻生太郎副総理兼財務相らが出席して参院予算委員会で行われる集中審議。8日にも行われる方向だ。6日午後には衆院財務金融委員会も開かれる。

 麻生氏は2日の衆院財金委で、大阪地検が捜査中であることを理由に事実関係の確認を避ける一方、「改ざんが真実なら極めて由々しき事態だ」と表明。財務省の太田充理財局長は、6日の同委までに「調査の状況を報告する」と確約した。

 政府関係者によると、財務省では「資料をまとめる過程で多少削るなどした部分はあるが、改ざんには当たらない」との説明で乗り切る案が浮上。別の関係者は「近畿財務局の担当レベルの文書であり、本省幹部は事情を知らない」と語り、政権中枢に累が及ばないよう神経をとがらせている。

 これに対し、立憲民主党の枝野幸男代表は2日、「財務省限りで、できるような話とは思えない」と記者団に強調。野党側は首相への忖度(そんたく)がなかったか、改めて財務省に問いただす構えだ。担当閣僚で安倍政権の「骨格」でもある麻生氏の辞任を求める声も出ている。前理財局長である佐川宣寿国税庁長官の証人喚問要求も、さらに強める方針だ。

 参院予算委の審議では、「働き方改革」関連法案も論点となる。首相が裁量労働制の対象拡大を撤回したのを受け、野党は高収入の専門職を労働時間規制から外す高度プロフェッショナル制度を次の照準に据え、引き続き導入断念を迫る。

 昨年秋の衆院選で圧勝した自民党には今通常国会を楽観する向きもあったが、一転して「嫌な流れだ」(若手)と危機感が漂い始めた。公明党関係者からは「改ざんが本当なら、政権が吹き飛ぶ」との声が漏れる。

 

土地の賃貸と売却契約の決裁文書、書き換えか 森友問題(2018年3月3日配信『朝日新聞』)

 

 学校法人・森友学園(大阪市)との国有地取引をめぐり、財務省の公文書の内容が契約当時とその後に国会議員らに提示したものとで違っている問題で、朝日新聞が文書を確認したところ、2015年の貸し付け契約の際の決裁文書と、16年の売却契約の際の決裁文書が、いずれも違っていたことがわかった。ともに、学園との交渉経緯についての記述が消えていたり、別の内容に変わっていたりしていた。

 財務省近畿財務局は15年5月、10年以内に売却することを前提とした貸し付け契約を学園側と結んだ。その後、学園側が「地中から新たなごみ」がみつかったとして買い取りを希望したことから、翌16年6月、大幅に値引きした価格で売却契約を結んだ。

 学園側との土地取引をめぐっては、この二つの契約が大きな節目で、いずれも契約当時、財務局内部で決裁を受けるための文書が作成され、それぞれ決裁されている。決裁文書には決裁の完了日や幹部の決裁印が押されている。

 

森友文書 財務省改ざん疑惑 朝日報道、野党国会で追及(2018年3月2日配信『毎日新聞』)

 

 麻生太郎副総理兼財務相は2日の参院予算委員会で、学校法人「森友学園」への国有地売却問題を巡り、財務省が決裁文書を書き換えた疑いがあると朝日新聞が同日朝刊で報じたことについて、大阪地検の捜査に影響を与える可能性があるとして「答えは差し控える」と述べた。共産党の小池晃書記局長が「元の文書を出してほしい」と求めたのに対し、麻生氏は「手元にその資料は一切ない」と答えた。

 朝日新聞は記事で、財務省が2015〜16年に学園と土地取引をした際に作成した文書と、昨年2月の問題発覚後に国会議員らに示した文書に違いがあると指摘した。小池氏はこれを基に政府を追及した。

 参院予算委後に開かれた衆院財務金融委で、「改ざんだ」という無所属の会の野田佳彦前首相の指摘に対し、麻生氏は「改ざんが事実だとするならば極めて由々しき事態だ」と答弁した。財務省の太田充理財局長は「来週の火曜日までにできる限り努力し、調査状況を報告する」と述べ、6日の財金委で事実関係を報告する考えを示した。

 大阪地検は、公用文書毀棄(きき)や証拠隠滅などの容疑で市民団体から告発を受け、財務省近畿財務局などを捜査している。

 

「捜査」盾の財務省、国会紛糾し方針転換 森友文書問題(2018年3月2日配信『朝日新聞』)

 

 

 森友学園への国有地売却問題で、財務省の公文書の重要部分が書き換えられた疑いがある――。2日、公文書管理の根幹に関わる疑惑が明らかになった。財務省は国会で一日中追及を受け、調査実施の表明に追い込まれた。一部の政府関係者には不安も広がる。

 「財務大臣と財務省局長の国会答弁に尽きる。必要であれば財務省にお問い合わせ頂きたい」「財務省における文書の作成、管理の問題だ」

 菅義偉官房長官は2日、午前と午後の定例会見で繰り返し質問を受けたが、同じような回答に終始し、財務省の責任であることを強調した。昨年、加計学園をめぐる文部科学省作成の文書を当初は「怪文書」と切り捨てた会見とは対照的に、言いぶりは慎重だった。

 官邸内には、問題の文書が最終決裁に至る前の未確定の文書であるかのようなとらえ方をする幹部もいた。その一人は「決裁の過程で上司が部下の文書を書き換えることはよくある」と述べた。

 財務省が「調査」に言及した点についても冷ややかで、官邸関係者は「書類は全て検察に渡しているので本格調査はできない」と語り、真相解明に積極的な姿勢はうかがえない。

 しかし、別の政府関係者は「決裁印が押された後に議員への開示用に改変するのはダメだ。普通そんなことはしない」と語り、問題が深刻化することへの不安をのぞかせた。

 安倍政権は、厚生労働省のデータ問題で、働き方改革関連法案から裁量労働制拡大の全面削除を決めたばかり。野党が攻勢を強める中、与党は事態の推移を見守る姿勢だ。定例会見で自民党の竹下亘総務会長は「実態を調べないとコメントする状況にない」、公明党の井上義久幹事長は「検察の捜査で明らかにしていただくことが一番だ」と述べるにとどめた。

 「捜査に全面的に協力している段階」「捜査にどのような影響を与えるか予見しがたい」

 2日の参院予算委員会。文書の書き換えの有無を問う共産党の小池晃議員に対し、政府は30回以上にわたって「捜査」という単語を使い、説明を避けた。小池氏は「出せないということは、(書き換えが)あるということじゃないか」と批判。審議は紛糾し、何度も中断した。

 麻生太郎財務相は「今、私どもの手元に資料が一切ない」と説明。小池氏が「近畿財務局にないのか、財務省にないのか」と迫ると、太田充理財局長は「財務局で把握して保存しているものは国会に提出している」と述べた。

 野党は、財務省が1〜2月に新たな関連文書25件を公表し、国会で質問に答えてきた経緯を挙げ、「なぜ今回だけ『捜査に影響がある』のか」と批判した。

 大阪地検は公用文書等毀棄(きき)や証拠隠滅の容疑で告発を受理している。容疑の内容は、同省が学園との交渉記録を廃棄したことに関するもので、決裁文書の書き換えではない。だが、太田氏は「ある意味で、今回の報道は証拠隠滅、公用文書等毀棄のそのものの話だ」として書き換えの事実確認に応じなかった。

 一方、省内の調査に関する答弁は、一日で大きく変わった。午前の野党議員の会合では富山一成・理財局次長が「財務省として調査をする気はない」と断言した。だが午後に「改ざんしてないと言えないのか」と詰め寄られると、太田氏が「捜査の影響がないと考えられる段階で、なお必要があれば調べる」と方向転換。夕方の衆院財務金融委員会では、6日までに調査結果を報告すると確約することになった。

 ただ、書き換えの有無につながる部分は、正面から答えないまま。夕方にあった野党の会合。理財局の中村稔総務課長は、前日に朝日新聞から取材を受けた後で財務局に書き換えの有無を確認したか問われると、「捜査への影響」などを理由に明言を避けた。

 

財務省、6日までに報告へ 森友文書の書き換え疑惑調査(2018年3月2日配信『朝日新聞』)

 

 森友学園(大阪府)への国有地売却に関する決裁文書を財務省が書き換えていた疑いを巡り、同省は2日、調査状況を6日までに国会に報告する方針を明らかにした。太田充理財局長が2日の衆院財務金融委員会で「来週の火曜日(6日)までにできる限りの努力をして、調査の状況を報告する」と述べた。

 立憲民主党の川内博史氏が6日までの報告を求め、小里泰弘委員長(自民)が「調査の調査状況は報告を頂けるか」と促したのに対して答えた。太田氏は「(大阪地検の)捜査への影響を十分配慮し調査をし、その状況を報告する」と述べた。

 

森友文書、財務省が書き換えか 「特例」など文言消える(2018年3月2日配信『朝日新聞』)

 

 学校法人・森友学園(大阪市)との国有地取引の際に財務省が作成した決裁文書について、契約当時の文書の内容と、昨年2月の問題発覚後に国会議員らに開示した文書の内容に違いがあることがわかった。学園側との交渉についての記載や、「特例」などの文言が複数箇所でなくなったり、変わったりしている。複数の関係者によると、問題発覚後に書き換えられた疑いがあるという。

 内容が変わっているのは、2015〜16年に学園と土地取引した際、同省近畿財務局の管財部門が局内の決裁を受けるために作った文書。1枚目に決裁の完了日や局幹部の決裁印が押され、2枚目以降に交渉経緯や取引の内容などが記されている。

 朝日新聞は文書を確認。契約当時の文書と、国会議員らに開示した文書は起案日、決裁完了日、番号が同じで、ともに決裁印が押されている。契約当時の文書には学園とどのようなやり取りをしてきたのかを時系列で書いた部分や、学園の要請にどう対応したかを記述した部分があるが、開示文書ではそれらが項目ごとなくなったり、一部消えたりしている。

 

財務省「決裁文書、開示したものだけ」 書き換え指摘に(2018年3月2日配信『朝日新聞』)

 

 森友学園との土地取引の際に財務省が作成した決裁文書が、契約当時のものと、問題発覚後に国会議員に開示したもので内容に違いがあることがわかった。財務省の中村稔・理財局総務課長は1日、決裁後に内容が変更されていないか、との朝日新聞の取材に対し、「我々が決裁文書として持っているものは、情報開示請求などに出しているものだけだ」と答えた。

 

「朝日は誤報なのか」に麻生氏答弁せず 森友文書(2018年3月2日配信『日刊スポーツ』)

 

 森友学園に対する国有地売却問題に関し、財務省が作成した決裁文書が、昨年2月の問題発覚後に書き換えられた疑いがあると、2日の朝日新聞が報じた。

 麻生太郎財務相や、財務省の太田充理財局長は同日の参院予算委員会で、共産党の小池晃氏から、原本の文書を出すよう再三求められたが、大阪地検特捜部の捜査中であることを理由に「捜査に影響を与えるか予見しがたいので、答弁は差し控える」との答弁を再三繰り返した。

 小池氏は「(書き換えた事実が)ないなら、ないと言えばすむ話。捜査に支障があるというなら、別の文書があるということだ」と迫ったが、財務省側は同じ答弁を繰り返した。小池氏は「ないと言えないなら、あると認めているということだ」と指摘した。

 小池氏は麻生氏に「朝日新聞の報道は誤報なのか」とまで踏み込んで質問したが、麻生氏は「判断する立場にない」と、答弁を避けた。

 

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