2015年の不始末で禁酒宣言していた東大卒、松下政経塾出身の元官僚の日本維新の会丸山穂高衆院議員が酒に酔い

 

北方領土「戦争しないと取り返せない」と発言 

 

丸山穂高議員「竹島も戦争で取り返すしか…」

 

維新、丸山穂高衆院議員を除名処分

 

議員丸山穂高君の議員辞職勧告に関する決議案

 

議員丸山穂高君譴責(けんせき)決議案

 

北海道議会;日露両国における友好交流の一層の推進と相互の信頼関係に基づく外交交渉の推進に関する決議

 

「元島民には怒り心頭」丸山議員発言で根室市議会が議員辞職求める抗議決議

 

丸山氏、異例の糾弾決議案可決へ 6月6日にも、与野党が共同提出合意

 

丸山氏弁明書全文

 

議員丸山穂高君糾弾決議

 

「丸山穂高氏、辞職すべきだ」77% 毎日新聞世論調査

 

 

  

 

記事 / 

 

(2019年5月15日配信『毎日新聞』)

 

 

丸山議員

酒に酔って騒いだことについては謝罪したものの、戦争発言については「賛成か反対かを聞いただけ」だとし、「北方領土を戦争で取られたわけですから、取り返すということに対して賛成か反対か聞いたと。別にそういう話があってもいいわけじゃないですか。それに対して何をダメだとおっしゃっているのかよくわからないです」とコメント。

 

丸山穂高のプロフィール

名前:まるやま ほだか

年齢:35歳(2019年5月現在)

出身:大阪

身長:176cm

体重:65kg

血液型:A型

特徴:左利き、耳難聴(後天性の病気にて左耳が不自由に)

趣味:登山、温泉、座禅

座右の銘:「誠意、万策に勝る」

出身大学:東京大学経済学部。

議員歴:経済産業省職員、松下政経塾を経て、2012年の衆院選に大阪19区から日本維新の会公認で出馬して初当選。当選3回。15年末に東京都内の居酒屋で飲酒した後、複数の一般男性と口論になりもみ合いの末男性の手をかみ警察沙汰になり、16年に公職にいる間は断酒し、飲酒した場合は議員辞職する意向を示した「禁酒宣言」を維新幹事長に出した。また、17年には、日本維新の会の衆院選敗北を巡って橋下徹元大阪市長と対立。橋下氏について「実質的に党内で逆らえない人だ」と述べ、いったん離党届を出したが、その後撤回した。

所属委員会:沖縄及び北方領土に関する特別委員会(第197国会)

 

 

(2019年5月13日配信『北海道放送』)

 

 

 

 

 

 

 

「戦争で島を…」の発言(2019年5月13日配信『報道ステーション;テレビ朝日』)

 

「戦争で島を…」の発言 丸山議員「不適切」と謝罪(2019年5月14日配信『ANNテレビ朝日ニュース』)

 

(2019年5月31日配信『北海道新聞』)

 

俺は国会議員だから逮捕されない!」

「ビザなし交流」で娼婦と交流したがった酔漢!

日ロ交渉史に刻まれる「丸山穂高」暴言秘録

 今度ばかりは、酒の上の不始末では済まされまい。日本維新の会に所属していた丸山穂高衆院議員(35)が、北方領土へのビザなし交流訪問のさなか、元島民に戦争をけしかけていた“事件”。実は、彼が現地で繰り広げていた乱暴狼藉は、これだけではなかったのである。

 

5月11日、国後島への「ビザなし訪問」の最中、団長の大塚小彌太氏(90)に対し「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」などと発言した丸山穂高衆院議員(35)。

 野党による辞職勧告決議に対し、丸山氏は言論の自由などを理由に「絶対に辞めるわけにはいかなくなった」などと抗弁しているが、「戦争発言」以外にも問題となる言動が多数あったことが「週刊文春」の取材で明らかになった。同行した複数の訪問団団員が取材に応じ、当日の丸山氏の行状を証言した。

 丸山氏は“戦争暴言”の後、「俺は女を買いたいんだ」と禁じられている外出を試み、事務局スタッフや政府関係者ともみ合いになったという。売買春は日露両国で共に違法行為である。

 元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏が指摘する。

「戦争発言よりも、外出の方が大問題です。丸山氏が酔っ払ったまま敷地外に出ていれば、ロシア警察に保護されるはずです。しかし日本政府としてはロシアの管轄権を認められず、釈放を要求するしかない。そうなれば一気に外交問題となり、北方領土交渉に影響を及ぼしかねません」

「ビザなし訪問」を主催する「北方四島交流北海道推進委員会」は、「丸山議員が外出しようとしたため、それを止めたのは事実」と答えたが、言動の詳細についてはコメントしなかった。丸山氏にも取材を申し込んだが、期日までに回答はなかった。

 5月23日(木)発売の「週刊文春」では、「ビザなし訪問団」の団員、事務局関係者などに徹底取材。他にも、当日繰り返していたセクハラ発言や行動など、常軌を逸した丸山氏の行状を詳報している。

 

議員丸山穂高君糾弾決議(第198回国会、決議第4号)

 

2019年6月6日午後の本会議で事前に全会一致を申し合わせる「異議なし採決」

 

 議員丸山穂高君は、「令和元年度第1回北方四島交流訪問事業」に参加した際、憲法の平和主義に反する発言をはじめ、議員としてあるまじき数々の暴言を繰り返し、事前の注意にも拘わらず、過剰に飲酒し泥酔の上、禁じられた外出を試みて、本件北方四島交流事業の円滑な実施を妨げる威力業務妨害とも言うべき行為を行い、我が国の国益を大きく損ない、本院の権威と品位を著しく失墜させたと言わざるを得ず、院として国会議員としての資格はないと断ぜざるを得ない。

 よって本院は、ここに丸山君を糾弾し、ただちに、自ら進退について判断するよう促すものである。

 右決議する。

 

理 由

 去る5月30日の議院運営委員会理事会における政府関係者の説明によれば、議員丸山穂高君は、四島在住ロシア人と日本国民との相互理解の増進を図り、もって領土問題の解決を含む平和条約締結問題の解決に寄与することを目的とする「令和元年度第1回北方四島交流訪問事業」、いわゆるビザなし交流事業に参加し、国後島を訪問した際、事前に事業の趣旨や注意事項について十分に知らされていたにも拘わらず、5月11日に、ホームビジット先のロシア人島民宅で過剰に飲酒し、宿舎である「友好の家」に戻った際、禁じられている外出を強く希望し、そのために、政府同行者に議員が外出しないよう監視させる業務を強いる結果になったほか、食堂内で、コップで机をたたき、大声を張り上げ、団長に対する報道関係者の取材を妨害し、団長に対して、「戦争でこの島を取り返すことに賛成か」、「戦争しないとどうしようもなくないか」などと信じ難い暴言を吐いた。その後も、他の団員ともみ合いになり、自室に戻った後、再び出て騒いで、職員が戻るように促す、ということを翌日午前1時まで続け、その際、「私は会期中は不逮捕特権で逮捕されない」と述べたり、およそ品位のかけらもない卑猥な言葉を発したりするなどの多大な迷惑行為を行い、翌日には団員たちから、最も重要なロシア人島民の方々との交流会への参加の自粛を求められ、参加しなかったとのことである。丸山君の行動は、一歩間違えば日本とロシアの重大な外交問題に発展しかねない問題行動であり、これまで関係者が営々と築き上げてきた北方領土問題の解決に向けた努力を一瞬にして無に帰せしめかねないものであり、国民の悲願である北方領土返還に向けた交渉に多大な影響を及ぼし、我が国の国益を大きく損なうものと言わざるを得ない。また、かかる常軌を逸した言動は、本件北方四島交流事業の円滑な実施を妨げる威力業務妨害とも言うべきものであり、その卑猥な言動に至っては、議員としてというよりも人間としての品位を疑わせるものである。

 本件事業は、内閣府交付金に基づく補助金を受けた北方四島交流北海道推進委員会の費用負担により実施されているものであり、本院から公式に派遣したものではないにせよ、丸山君は、沖縄及び北方問題特別委員会の委員であるが故に、優先的に参加することができたものであり、他の団員からは、本院を代表して参加したものと受け止められており、また、その後の報道により、我が国憲法の基本的原則である平和主義の認識を欠き、およそ品位のかけらもない議員の存在を国内外に知らしめ、衝撃を与えた事実は否めず、本院の権威と品位を著しく貶める結果となったと言わざるを得ず、院として国会議員としての資格はないと断ぜざるを得ない。

 よって本院は、ここに丸山君を糾弾し、ただちに、自ら進退について判断するよう促すものである。

 以上が、本決議案を提出する理由である。

 

 

再び「戦争発言」 丸山氏は議員に値しない(2019年9月8日配信『徳島新聞』―「社説」)

 

 丸山穂高衆院議員がまた、「戦争肯定」の言動に及んだ。

 韓国の国会議員団が8月末に上陸した島根県・竹島を巡り、「戦争で取り返すしかないんじゃないですか」と自身のツイッターに投稿した。

 「朝鮮半島有事時を含め、『我が国固有の領土』において自衛隊が出動し、不法占拠者を追い出すことを含めたあらゆる選択肢を排除すべきではないのでは」とも書き込んでいる。

 憲法は武力による国際紛争の解決を禁じている。国会議員がそれをないがしろにすることは決して認められない。

 しかも日韓関係が悪化する中、両国の対立をあおり、関係修復が一層困難になるのを確信してのことだろう。常軌を逸しているとしか言いようがない。

 丸山氏は5月に北方領土へビザなし訪問した際も、元島民に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか」と迫った。発言を撤回して謝罪し、衆院からは糾弾決議を受けている。

 その反省もなく、開き直ったように戦争発言を繰り返す。もはや国会議員を名乗る資格はない。辞職すべきだ。

 丸山氏の所属する「NHKから国民を守る党」の対応にも首をかしげる。処分どころか、立花孝志党首は「何も発言しない国会議員よりいい」と擁護した。そもそも、衆院で「議員失格」の烙印を押された丸山氏を党に誘った立花氏の見識を疑う。

 丸山、立花両氏の無責任な放言は言論の府をおとしめている。国会として厳しく対処しなければならない。

 

丸山氏戦争発言 憲法への重大な挑戦だ(2019年9月7日配信『東京新聞』−「社説」)

 

 日本の領土が「不法占拠」されている状況は許し難いが、国会議員が戦争で取り戻せと軽々に発言することも聞き捨てならない。国際紛争解決の手段としての戦争を放棄した憲法への重大な挑戦だ。

 NHKから国民を守る党の丸山穂高衆院議員が、韓国の国会議員団が上陸した竹島を「戦争で取り返すしかないんじゃないですか」と自身のツイッターに投稿した。

 丸山氏は5月、北方領土へのビザなし交流訪問団に同行。酒に酔った状態で元島民の訪問団長に、北方領土の返還には「戦争しないと、どうしようもなくないですか」と述べた。それに続く、戦争による領土奪還発言である。

 議員の当落を決めるのは有権者による選挙であり、その地位は重い。しかし、選挙時に想定されていない言動があれば、その都度、議員の資格が問われて当然だ。

 外国の「不法占拠」が長年続く自国の領土を、武力によって奪還することは、国連憲章でも、日本国憲法でも認められていない。

 憲法は「国権の発動たる戦争」と「武力による威嚇又(また)は武力の行使」を「国際紛争を解決する手段として」は永久に放棄している。

 外国の「不法占拠」は許し難くても、武力でなく外交交渉で取り返すのが平和国家・日本の道だ。武力で領土を奪還しようとすれば相手国と戦争状態になるだけでなく、国際的に孤立し、国民の平穏な暮らしは脅かされる。そんな想像力もないのかと愕然(がくぜん)とする。

 国会議員が戦争で取り返すしかないと公に発言することは、戦争放棄の憲法九条と、国会議員の憲法尊重、擁護義務を定めた九九条に反する。一私人のざれ言ならともかく、全国民の代表である国会議員としては不適切極まりない。

 憲法に背く発言を続けた以上、すでに議員としての適格性を失っている。丸山氏には議員辞職という判断を重ねて求めたい。

 衆院では、北方領土訪問の際の丸山氏の一連の言動を「憲法の平和主義に反する」「わが国の国益を大きく損ない、衆院の権威と品位を著しく失墜させた」などとして、進退判断を促す糾弾決議を全会一致で可決している。

 しかし、丸山氏は辞職を拒み、日本維新の会を除名された後、N国に入党した。N国の立花孝志党首は「表現の自由。問題提起の範疇(はんちゅう)」と述べたが、丸山氏の度重なる戦争発言は、問題提起の域を超えている。放置するのであれば、公党としての責任を自覚していないと指摘せざるを得ない。

 

丸山議員の戦争発言(2019年9月7日配信『佐賀新聞』―「論説」)

 

一刻も早く厳しい対応を

 北方領土を戦争で取り返すことを肯定するような発言を行い衆院で「糾弾決議」を受けた、NHKから国民を守る党の丸山穂高衆院議員が、今度は韓国の国会議員団が島根県・竹島に上陸したことを巡って「戦争で取り返すしかないんじゃないですか」とツイッターに投稿した。

 立憲民主など野党5党派は衆院議院運営委員会で丸山氏から事情聴取するよう求めている。問題とすべきは今回の件だけではない。丸山氏は北方領土に関する発言を撤回、謝罪し、さらに「国会議員の資格はない」とした全会一致の糾弾決議までなされているのだ。謝罪した事実や衆院の決議さえも無視している。

 発言は、武力による紛争解決を禁じる憲法や国連憲章を踏みにじった上、国権の最高機関である国会の権威をおとしめている。

 丸山氏を国会に居座り続けさせることは国際的にも誤ったメッセージを発することになりかねない。一刻も早く厳しい対応を取るべきだ。

 丸山氏は投稿に対する批判に「問題提起であって憲法上も法律上もなんら問題ない。言論封殺の圧力には屈しない」とツイートで反論。NHKから国民を守る党の立花孝志党首も記者団に「問題提起という意味では、何も発言しない国会議員よりいいと思う」と擁護した。

 しかし、「戦争で取り返すしかないんじゃないですか」という内容が丸山氏の言う「言論」の名に値するのかどうか。

 丸山氏は「疑問形の問いかけ」とするが、これは明らかに反語表現である。つまり、「戦争で取り返すしかない」と言っている。これが憲法や国連憲章に違反していることは明白である。だからこそ、選択肢どころか議論の俎上そじょうにも載せられていないのだ。

 それを踏まえた上で、言論だと主張するならば、憲法などとの関係をどうクリアするのかを示さなければならないが、その点は見当たらない。

 また、仮にクリアできたとして「戦争で取り返す」ことが現実的に可能なのか。少し考えれば分かるが、まずその戦争に勝ち、実効支配した状態で終戦に持ち込まなければならない。

 自ら戦争で取り返すという行為に踏み切った以上、韓国側にも同じ大義名分を与えることになり、常に反撃に備えなければならない。また、丸山氏が先に言及した北方領土にも同じように行動するならばロシアとも戦争状態に入ることになる。

 日米同盟も機能しなくなり、国際的にも孤立する。そんな状態が何年続くかも予想がつかない。

 「これまで決定権や交渉権をもつ歴代政治家は竹島について何をしてきたのか」などとする丸山氏のツイッターからは自分が大きなタブーに挑んでいるような陶酔感も漂う。だが、タブーではなく、検討、議論の対象にもなり得ない話を繰り返しているだけである。

 北方領土を巡る発言では世論の批判が高まると撤回、謝罪したものの、衆院議運委の聴取には体調不良を理由に応じていない。ほとぼりが冷めると、懲罰対象の「国会内の発言」にならないようツイッターで発信する。

 ずる賢く国会の品位を汚し、秩序を乱している。一部議員が主張する衆院議長権限で、除名などを決められる懲罰委員会に付すことも検討すべきだ。

 

戦争発言再び 議員居座りは許されぬ(2019年9月3日配信『朝日新聞』―「社説」)

 

 衆院で全会一致の「糾弾決議」を受けながら、戦争による領土問題の解決を肯定するかのような発言を繰り返す。院の意思を冒涜(ぼうとく)する振る舞いであり、これ以上、議員への居座りを許してはならない。

 NHKから国民を守る党(N国)の丸山穂高衆院議員(大阪19区)が先月末、韓国の国会議員団の竹島上陸に関連して、自身のツイッターに「戦争で取り返すしかないんじゃないですか?」と投稿した。

 日本政府は竹島を固有の領土と主張しているが、1950年代から韓国が実効支配を続けている。丸山氏は外務省の韓国への抗議を「遺憾砲」と揶揄(やゆ)し、「朝鮮半島有事時を含め、自衛隊が出動し、不法占拠者を追い出すことを含めたあらゆる選択肢を排除すべきではないのでは?」とつぶやいた。

 憲法9条も国連憲章も、武力による国際紛争の解決を認めていない。この極めて重要な原則を、一顧だにしない発信を重ねることは、国会議員としてあるまじきことだ。

 丸山氏は今年5月、北方領土へのビザなし交流の訪問団に同行した際、元島民の団長に対し「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」「戦争しないとどうしようもなくないですか」と詰め寄った。

 問題が発覚すると、「誤解を与える不適切な発言」として謝罪・撤回したが、所属していた日本維新の会から除名された。

 その後、衆院は与野党一致で「院として国会議員としての資格はないと断ぜざるを得ない」と、実質的に議員辞職を促す糾弾決議を可決した。だが丸山氏はこれを拒み、衆院議院運営委員会の理事会による聴取も体調不良を理由に応じなかった。

 日韓関係はいま、徴用工問題などを契機に、国交正常化以来最も厳しい状況にあるといわれる。両政権による応酬が、経済関係や市民交流にまで悪影響を及ぼす深刻な事態だ。

 そのとき両国の政治家に求められるのは、対立感情をあおることではない。これ以上の関係悪化を防ぐために知恵を絞ることだ。韓国に批判的な世論の受けを狙うかのような言説は、その妨げにしかならない。

 「議員失格」を衆院から宣告された丸山氏を、それと知って招き入れたN国の責任は極めて重い。立花孝志党首はきのう「表現の自由。問題提起の範疇(はんちゅう)」と述べたが、丸山氏の発言は言論の名に値しない。無責任な言いっ放しでもある。

 糾弾決議を足蹴にされた格好の衆院は、この事態を見過ごしてはならない。与野党が一致して、議員辞職を迫る意思を明確に示すべきである。

 

丸山穂高議員「竹島も戦争で取り返すしか…」SNS投稿(2019年9月1日配信『朝日新聞』)

 

 韓国の与野党議員が、日韓が領有権を争う島根県の竹島(韓国名・独島)に上陸したことについて、丸山穂高衆院議員が31日、自らのツイッターに「竹島も本当に交渉で返ってくるんですかね? 戦争で取り返すしかないんじゃないですか?」と投稿した。

 丸山氏は5月、北方領土返還の手段に関連して「戦争」に言及。日本維新の会は丸山氏を除名し、衆院は実質的に議員辞職を促す「糾弾決議」を全会一致で可決したが、丸山氏は議員辞職を拒否。NHKから国民を守る党に入党した。

 丸山氏は同日、竹島について投稿を重ね、「竹島が不法占拠者らに占拠されており、尚且(なおか)つ相手側があんな状況と。各種有事での自衛隊派遣で不法占拠者を排除する以外の方法でどうやって取り戻すんですかね?」などと主張した。

 今回の投稿は、北方領土と同様、竹島も「戦争」を解決の手段とするような主張とも受け止められるもので、今後波紋を呼びそうだ。

 

 

丸山穂高氏への立法事務費月65万円「認めない」 衆院議運委筆頭理事(2019年7月31日配信『毎日新聞』)

 

 衆院議院運営委員会の手塚仁雄・野党筆頭理事(立憲民主党)は31日、「NHKから国民を守る党」(N国)に入党した丸山穂高氏(日本維新の会を除名)に関し、丸山氏が「立法事務費」の交付申請をしたとしても認めない考えを示した。

 

丸山議員入党のN国は「見識を問われる」 共産・小池氏(2019年7月29日配信『朝日新聞』)

 

写真・図版

共産党・小池晃書記局長(発言録)

 (北方領土返還に関して「戦争」に言及し、日本維新の会から除名された丸山穂高衆院議員が29日、「NHKから国民を守る党」への入党が合意したことについて)議会制民主主義以前の問題だ。全会一致で「議員の職に能(あた)わず」と糾弾決議があがるような人物を勧誘して、入党させる。政党としての見識が根本的に問われる。見識があるのであればだが。選挙前に丸山さんを入れるなんて一切言っていない。それで、選挙終わった直後に入れるのは有権者との関係でも非常に問題が大きいと思う。(29日、党本部で記者団に)

 

戦争発言の丸山氏、N国入党 立花氏と合意 「毒と毒」(2019年7月29日配信『朝日新聞』)

 

 

NHKから国民を守る党(N国)への入党を決め、記者会見をする丸山穂高衆院議員(右)とN国の立花孝志代表(左)=29日午後、国会内

 

 丸山穂高衆院議員は29日、国会内で「NHKから国民を守る党」(N国)の立花孝志代表と会談し、立花氏の要請に応じて同党に入党することで合意した。丸山氏は北方領土返還に関して「戦争」に言及し、日本維新の会から除名されていた。N国は丸山氏を加えて衆参2議席の政党となる。

 N国は受信料を払った人だけがNHKを視聴できるようにするスクランブル放送の実現を訴え、参院選で候補者たちは「NHKをぶっ壊す」と連呼してきた。丸山氏はこの日の会談後の共同記者会見で「NHKのスクランブル放送を実現する一点で共闘する。そのほかの政策への対応は一切自由だと合意に至った」と述べた。立花氏は「ドラフト会議とかで希望選手を獲得した監督のような気持ちだ」と語った。

 立花氏は25日、自らのツイッターに「毒をもって毒をせいす」と書き込んでいたが、丸山氏は会見で「『毒って私か』と思いながら……まあ、毒なんですが。でも立花代表も十分、毒で、混ぜて劇薬にして、変えなければいけない部分に突っ込む薬にしたい」。立花氏は「僕も丸山氏も自分の思いをはっきり言うのでたたかれる。毒は良い意味ですよ」と語った。

丸山氏の「戦争発言」で、衆院は全会一致で「糾弾決議」を可決したが、丸山氏はこの日も議員辞職を否定。立花氏は「丸山氏は犯罪をしたわけでもないのに『議員を辞めろ』と言うこと自体が国会議員の劣化だ」と丸山氏を擁護した。

 

 

「休養必要」の丸山穂高氏が登院 議員辞職を再び否定(2019年6月25日配信『朝日新聞』)

 

衆院本会議に臨む丸山穂高氏(前列左端)=2019年6月25日午後1時2分

 

 北方領土返還で「戦争」に言及し、衆院の全会一致で「糾弾決議」を可決された丸山穂高衆院議員(日本維新の会から除名)が25日、衆院本会議に出席するため登院し、議員辞職をしない意向を改めて記者団に示した。「北方領土を不法占拠しているロシアに糾弾決議を出すなら分かるが、私に出されるのは遺憾だ。任期をまっとうしていきたい」と述べた。

 丸山氏によると、登院したのは5月20日以来。衆院議院運営委員会は事実関係を聴取しようと、同月24日の理事会への出席を丸山氏に求めたが、丸山氏は体調不良を理由に欠席した。理事会に提出された診断書には「2カ月間の休養が必要」と記されていたという。

 今月6日に可決された糾弾決議は「院として国会議員としての資格はないと断ぜざるを得ない。ただちに、自ら進退について判断するよう促す」としている。

 

辞職ありません…丸山穂高氏、久々出席し不信任反対(2019年6月25日配信『日刊スポーツ』)

 

6月6日の糾弾決議可決後、初めて衆院本会議に出席した丸山穂高衆院議員

 

立憲民主党など野党5党派が提出した安倍内閣不信任決議案は25日の衆院本会議で、与党などの反対多数で否決された。本会議には、戦争による北方領土奪還論に言及し、衆院で糾弾決議が可決された丸山穂高衆院議員(35=日本維新の会を除名)が約1カ月ぶりに出席し、反対票を投じた。

5月下旬に「2カ月の休養が必要」とする診断書を出して以来、休養中の丸山氏。この日は「体調は万全ではないが重要な採決」と考え、国会に来たそうだ。

丸山氏が取材に応じたのは先月20日以来で、今月6日の糾弾決議の可決後、初めて。糾弾決議について「70年以上北方領土を不法占拠するロシアに出すなら分かるが、私に出すのは極めて遺憾」と不満を漏らしたが、武力で北方領土を取り戻すのが自身の政治思想かと問われると「議論の1つで、私自身がそうだとは思わない。交渉で帰ってくるなら喜ばしい」と、強硬姿勢は影を潜めた。「安倍総理の手腕が問われている。政治は結果責任だ。(大阪の)G20サミットで返ってくることを望みます」と、評論家のように語った。

不信任案に反対した理由については「出すか出さないか、野党は最後までブレブレ。国民から見ても茶番劇ではないか。解散総選挙があるなら出さないみたいな姿勢では、到底賛成できない」となどと述べた。4分あまりで取材を打ち切り、衛視にガードされて国会を後にした丸山氏。「辞職はありません。自分はブレずにしっかり仕事して、任期をまっとうしたい」。野党を皮肉ったつもりなのか、あらためて辞職を否定した。

 

消えた丸山穂高氏 地元「政治家は立場悪いとすぐ病気」(2019年6月14日配信『朝日新聞』)

 

 北方領土返還をめぐり、「戦争しないとどうしようもなくないですか」などと発言した丸山穂高衆院議員(日本維新の会から除名)。衆院は今月6日、全会一致で糾弾決議を可決したが、丸山氏は体調不良を理由に公の場から姿を消したままだ。

 丸山氏は5月24日、衆院議院運営委員会の理事会を「体調不良」を理由に欠席。今月6日のツイッターに「任期を全うし前に進んでまいります」と投稿後、更新されていない。

 12日に丸山氏の東京事務所を訪れると、ドアに「ただいま留守にしております」と掲示されていた。インターホンに反応はなかったが、しばらくすると秘書の男性が出てきた。一連の言動や出処進退に関する質問状を手渡したが、13日までに回答はなかった。

 これまでも問題が浮上すると、「捜査中」や「病気」を理由に表舞台から遠ざかる政治家はいた。

 2014年10月、政治資金問題が浮上した経済産業相(当時)の小渕優子氏は辞任を表明したが、小渕氏側は「捜査中」を理由に個別の取材に応じず、再び公の場でこの問題を説明したのは15年10月。政治資金規正法違反罪で元秘書2人に有罪判決が下ってからだ。不起訴が確定した小渕氏は秘書への監督責任を認めて謝罪。政治団体の不明朗な会計処理については「限界がある」と述べ、調査を打ち切った。

 16年1月には口利きに絡む現金授受疑惑で経済再生相(当時)の甘利明氏が辞任。翌月には「睡眠障害」の療養を理由に国会を欠席した。甘利氏と元秘書2人に対するあっせん利得処罰法違反罪などの不起訴が確定した同8月、甘利氏は国会に登院。その際、不起訴を理由に「これで決着した」と述べ、終止符を打った。

 ほかにも17年、衆院議員(当時)の豊田真由子氏は男性秘書への暴言・暴行が問題となった後に入院。公の場で謝罪したのは3カ月後だった。捜査中として暴行については言及しなかった。

大阪の選挙区「もう任せられへんな」

 北海道の地元住民や議会も厳しい視線を注ぐ。千島歯舞諸島居住者連盟(札幌市、脇紀美夫理事長)は5月23日付で、「発言やその前後の行動は常軌を逸したものであり、極めて遺憾」という抗議文を丸山氏の衆院議員会館に送付した。千島連盟の根室支部長を務める国後島出身の宮谷内亮一さん(76)は「糾弾決議で国会は一応のけじめをつけたけど、丸山議員は辞めずに国会にも出てこない。本当に困ったものだ」と話す。根室市議会は抗議決議を全会一致で可決した。「旧ソ連軍の侵攻によって強制的に島を追われ想像を絶する過酷な経験をしてきた元島民に対して、あまりに思慮のない言動」と指摘し、辞職を促した。

 地元・大阪の選挙区ではどうか。仕事で南海電鉄貝塚駅を訪れた泉佐野市の男性会社員(51)は「もう任せられへんな」。17年の衆院選では一票を投じたという。「政治を変えてくれると期待したけど、またかという思い。これでは政治に対する信頼がなくなる」と話した。南海電鉄貝塚駅近くの商店に立ち寄った主婦(34)は「自分のしたことに説明もしないで給料だけはもらえるなんて意味が分からない。もっと必要なところにお金を使うべきやのに」。子育て中といい、「国会議員は日本を代表する立場の人なのに示しがつかない。日本の将来が不安になる」とあきれた。

 仕事に向かう途中だった別の女性(48)は「政治家は不祥事や失言で立場が悪くなるとすぐに病気になる。都合のいい体だ」。丸山氏に対し「謝るべき時に謝れないのは政治家としてより大人として本当に情けないですね」と話した。

 維新の会の松井一郎代表(大阪市長)は13日、記者団に「衆議院として、議員にふさわしくないと言われている。お酒でああいう形の行動をとったわけなので、彼の人生のためにも専門家の診療を受けるべきだと思います」と話し、辞職すべきだとの考えを改めて示した。丸山氏も含め、病気を理由に説明を避ける政治家の振る舞いについては「いさぎ悪し。自民党にも睡眠障害で当面の治療が必要として長らく国会を休んだ幹部もいる。いさぎ悪しとしか思いません」と皮肉った。

在京6紙いずれも厳しい姿勢

 丸山氏に対し、在京6紙はいずれも厳しい姿勢を示している。国会議員の身分の重さに言及しつつ、憲法の平和主義に反する発言や説明責任を果たそうとしない振る舞いを問う報道が目立つ。

 4紙が7〜8日付の朝刊で社説を構えた。「潔く辞職すべきである」と指摘したのは毎日だ。戦前、反軍演説をして除名された斎藤隆夫を例に挙げ、特定の言論を数の力で排除する危険性を指摘する一方、丸山氏については「言論の名に値するものではない」と断じた。東京は「国際法上認められず、憲法九条の戦争放棄と、九九条の国会議員の憲法尊重、擁護義務にも反する」と非難。日経は丸山氏の不十分な説明姿勢について、「国会の場で、きちんと弁明しないなど、その対応はあまりに無責任である」と問題視した。

 8日付の社説で取り上げた読売は「武力で領土を取り戻すことを容認するかのような主張は、許されない」とし、見出しで「議員の資質を欠くのは明白だ」と訴えた。

 産経は5月16日付朝刊の1面コラム「産経抄」で、酒にまつわる政治家のトラブルを紹介し、「次の珍事を招く前に、潔く議員のバッジをはずした方がいい」と締めくくった。

 朝日は発言直後の5月15日付朝刊の社説「言語道断の『戦争』発言」で、「平和国家・日本の国会議員として失格である。速やかに議員を辞職すべきだ」と述べたほか、ルールに反して夜間に外出しようとした点も批判した。

政治評論家・有馬晴海さんの話

 自分の言い分は言いたい。でも人から言われるのは嫌だ。「体調不良」を理由に姿を現さなくなった丸山穂高氏は、雲隠れしているとみられても仕方がないだろう。国会議員は免責特権などが認められているが、その分疑義が生じた場合は説明を尽くす義務がある。過去にもそうした議員はいるが、ツケは本人に返ってくる。政治家として何かやろうとしても信用されず、大臣などの要職を目指す際に、改めて問いただされることになる。政治家の逃げ道を許してはならない。

 

丸山氏糾弾決議、全会一致で可決 衆院、本人は辞職拒否(2019年6月7日配信『東京新聞』)

 

 衆院は6日午後の本会議で、北方領土へのビザなし交流訪問の際、戦争で領土を取り返すことの是非に言及した丸山穂高衆院議員=日本維新の会を除名=に対する糾弾決議を全会一致で可決した。「国会議員の資格はないと断ぜざるを得ない」と非難し「直ちに、自ら進退について判断するよう促す」とした。丸山氏は本会議を欠席。ツイッターで「任期を全うし前に進んでまいります」と投稿し、辞職を重ねて拒否した。

 衆参両院事務局によると、国会議員への糾弾決議は初めて。糾弾決議に法的拘束力はない。自民党の小泉進次郎衆院議員は「国会で糾弾するのはふに落ちない」として採決を棄権した。

 決議は、丸山氏に対し「憲法の平和主義に反する発言をはじめ、議員としてあるまじき数々の暴言を繰り返した」などと批判。「国益を大きく損ない、衆院の権威と品位を著しく失墜させた」と強調した。自民党や立憲民主党など与野党8党派が共同提出した。

 丸山氏はツイッターで、出処進退は自分で決めるという勝海舟の言葉「行蔵(こうぞう)は我に存す。毀誉(きよ)は他人の主張」を引用した。決議後、高市早苗衆院議院運営委員長は丸山氏の秘書に決議文を手渡そうとしたが、連絡が取れなかったという。 

 丸山氏はビザなし訪問の際、国後島の宿舎で元島民の訪問団長に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか」などと質問。維新を含む野党六党派は議員辞職勧告決議案を提出したのに対し、与党は「猛省を促す」としたけん責決議案を出した。その後、与党がけん責より厳しい文言に改めた糾弾決議案を提出する方針を表明。賛同を求められた野党側も歩み寄った。

 

小泉進次郎氏が糾弾決議棄権で自民党から厳重注意(2019年6月7日配信『日刊スポーツ』)

 

自民党の小泉進次郎厚労部会長は7日、自身のブログを更新し、衆議院で6日に採決された丸山穂高衆院議員(35=日本維新の会を除名)に対する糾弾決議の採決を棄権したことについて、党から厳重注意処分を受けたことを明かした。その上で、ブログに、報道陣との取材のやりとり全文を掲載。「なぜ私が全会一致の糾弾決議に乗らなかったのか、伝われば幸いです」と記した。

同決議は全会一致で可決されたが、進次郎氏は6日の衆院本会議後の取材に、丸山氏の一連の言動について「かばえるものではない」とした上で、「議員の出処進退は、議員1人1人が判断すべき。みんなで糾弾するのは、自分の中では、ふに落ちない」と、棄権した理由を明かしていた。

また、「個人に対する個人の批判は自由だし、政治家も甘んじて受けないといけない立場と思うが、国会としてというのは、次元が違う話だと思う」と、衆議院としての全会一致の糾弾決議に疑問を表明した。

 その上で、「今回のことを災い転じて福となすという方向に進められるとしたら、『だから選挙、政治って大事なんだ、だから、政治家の言葉は大事なんだ』ということが、国民に届くこと。私がいちばん届いてほしいと思うのは、そういうメッセージです」と話していた。

 

進次郎氏が採決退席 丸山氏の糾弾決議「腑に落ちない」(2019年6月6日配信『朝日新聞』)

 

 自民党の小泉進次郎衆院議員は6日、衆院本会議で全会一致で可決された丸山穂高衆院議員に対する「糾弾決議」の採決時に退席した。「みんなで糾弾するということに自分の中では腑(ふ)に落ちなかった」と記者団に述べ、国会の対応を批判した。

 小泉氏は「丸山さんの言動はかばえるものは何もない。でも、議員の出処進退は議員一人ひとりが判断すべきことで、辞めなかったとき、その方をどうするかを判断するのは選挙だ。それが有権者に与えられた民主主義という力だ」と指摘。「決議理由には『人間としての品位を疑わせる』とまで書いている。個人の批判は自由で、政治家は甘んじて受けなければならない立場。だけど国会として(批判する)というのは、私は次元が違う話だと思っている」と述べた。

 衆院はこの日、北方領土返還に関し「戦争」に言及した丸山氏に対し、「院として国会議員としての資格はないと断ぜざるを得ない」などとして、事実上の議員辞職を促す「糾弾決議」を全会一致で可決した。事前に全会一致を申し合わせる「異議なし採決」のため、各議員の賛否はわからない。丸山氏は国会に提出した弁明書で議員辞職を否定している。決議に法的拘束力はない。

 

丸山穂高議員「糾弾決議」全会一致で可決 衆院本会議(2019年6月6日配信『毎日新聞』)

 

決議案を朗読する高市委員長

 

全会一致で可決(大島理森衆議院議長)

 

丸山穂高議員に対する「糾弾決議案」を全会一致で可決した衆院本会議

 

丸山穂高衆院議員に対する糾弾決議が全会一致で可決された衆院本会議で、欠席を示す倒れたままの丸山氏の氏名標=6日午後

 

 衆院は6日午後の本会議で、北方領土を戦争で奪還する趣旨の発言などをした丸山穂高衆院議員(35)=大阪19区=に対し、直ちに進退を判断するよう求める「糾弾決議」を全会一致で可決した。自民党や立憲民主党、日本維新の会など与野党8会派が共同提出し、丸山氏について「国会議員の資格はない」と明記し、事実上辞職を促す厳しい姿勢を示した。国会議員に対する糾弾決議は初めて。丸山氏は本会議を欠席した。

 決議では丸山氏が5月の北方四島ビザなし交流事業で戦争発言をしたことや禁じられている宿舎からの外出を試みたことなどを挙げ「議員としてあるまじき暴言」を繰り返したと指摘。交流事業の円滑な実施を妨げる「威力業務妨害」行為で、「院の権威と品位を著しく失墜させた」と批判した。そのうえで「ただちに、自ら進退について判断するよう促す」と明記した。ただ、可決されても法的拘束力はなく、進退は丸山氏自身の判断に委ねられる。

 丸山氏は、「2カ月の休養が必要」とする医師の診断書を提出して、衆院議院運営委員会理事会の聴取を欠席した。3日に提出された弁明書では、自身の言動が不適切だったとして謝罪する一方で、「刑事事件や違法行為があったわけではない」として、辞職する考えはないことを表明。与野党の動きについて「人民裁判的な決定を行う言論府となることが危惧される」などと反発していた。

 

丸山氏糾弾決議案 きょう可決 与野党 全会一致目指す(2019年6月6日配信『東京新聞』)

  

 自民、立憲民主など与野党八党派は五日、戦争による北方領土奪還に言及し、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員(35)=大阪19区=に「ただちに自ら進退を判断するよう促す」とした糾弾決議案を衆院に共同提出した。6日の衆院本会議で可決される見通し。与野党は全会一致での可決を目指す。可決されても決議に法的拘束力はなく、丸山氏は議員辞職しない考えを示している。

 決議案は、丸山氏が5月のビザなし訪問で国後島を訪れた際、戦争による島の奪還に言及したことを「憲法の平和主義に反する」と批判。泥酔して禁じられていた宿舎からの外出を試み、日本の国益や衆院の権威と品位を失墜させたとして「国会議員としての資格はない」と断じた。

 提案理由では、丸山氏が宿舎で大声を張り上げ、他の訪問団員ともみ合いになったことや「品位のかけらもない卑猥(ひわい)な言葉を発した」ことも認定。一連の言動を「議員としてというよりも人間としての品位を疑わせる」と厳しく非難した。

 丸山氏には、自民、公明両党がけん責決議案、立民など野党6党派が辞職勧告決議案を提出していたが、いずれも取り下げた。糾弾決議案提出後、衆院議院運営委員会野党筆頭理事の手塚仁雄氏(立民)は「事実上、辞職勧告決議案と変わらないものを全会一致で可決できる環境を獲得できた」と、与党と折り合った理由を記者団に語った。 

 

丸山穂高議員、「けん責」から「糾弾」 何が変わったの?(2019年6月6日配信『毎日新聞』)

 

 北方領土を戦争で奪還する趣旨の発言などをした丸山穂高衆院議員(35)=大阪19区=に対する糾弾決議案が6日の衆院本会議で可決される。自民党が当初提出していた「けん責決議案」よりも厳しい内容にしたもので、議員辞職勧告決議案を提出していた野党も合意した。では「けん責」と「糾弾」で何が変わったのか。

 衆参両院の事務局によると、けん責決議案も糾弾決議案も、今まで提出されたことはなく、どちらの案が「より重い」決議なのかは判断できないという。衆院の担当者は「けん責と糾弾の違いは分からない。事務局としては『法案の名前の違い』として対応するしかない」と説明する。

 

丸山氏糾弾決議案を提出(2019年6月6日配信『しんぶん赤旗』)

 

衆院の与野党全会派共同

 衆院の与野党全会派は5日、「北方四島交流訪問」参加中に「戦争」で島を取り返すようあおる暴言など常軌を逸した言動を行った丸山穂高衆院議員に対する糾弾決議案を衆院に提出しました。

 同決議案は、丸山氏が憲法の平和主義に反する「戦争」発言など数々の暴言を繰り返したほか、禁止されていたにもかかわらず、過剰な飲酒を行い、夜間外出を試みるなど、「北方四島交流事業」の円滑な実施を妨げる威力業務妨害とも言うべき行為で衆院の権威と品位を著しく失墜させたと糾弾。院として同氏には「国会議員としての資格はない」と断じ、「ただちに、自ら進退について判断するよう促す」ものです。

 同決議案の提出にともない与野党は、議員辞職勧告決議案と譴責(けんせき)決議案をそれぞれ取り下げました。

辞職勧告に相当 穀田氏が会見

 日本共産党の穀田恵二国対委員長は同日の記者会見で、糾弾決議案提出について、憲法の平和主義を逸脱する発言や常軌を逸した行為で院の権威と品位を失墜させた事実に照らせば、「自公両党が提出した譴責決議案では不十分だとの認識に至り、歩み寄ったのは当然だ」と指摘。決議案は衆院として「国会議員としての資格はない」ことを明らかにし、ただちに「進退」を判断するよう促し、丸山氏に“議員を辞めよ”と迫るもので、「われわれ野党が提出した議員辞職勧告決議案に相当する内容だ。与野党が一致して出すことに異論はない」と強調しました。

 

丸山穂高議員に糾弾決議案 与野党「議員の資格なし」(2019年6月5日配信『朝日新聞』)

 

大野新治・衆院事務総長(左から4人目)に、丸山穂高衆院議員に対する「糾弾決議案」を共同提出する議院運営委与党筆頭理事の菅原一秀氏(自民党、左から3人目)、同野党筆頭理事の手塚仁雄氏(立憲民主党、右から4人目)ら=2019年6月5日午前11時3分

 

 北方領土返還に関し「戦争」に言及した丸山穂高衆院議員(日本維新の会から除名)に対し、与野党は5日、「院として国会議員としての資格はないと断ぜざるを得ない」とする「糾弾決議案」を衆院に共同提出した。6日の本会議で可決される見通し。

 衆参両院事務局によると、議員に対する糾弾決議案の提出は初めて。ただ、可決されたとしても法的拘束力はない。

 「糾弾決議案」は、丸山氏の言動を「平和主義に反する発言をはじめ、議員としてあるまじき数々の暴言」と指摘。「国益を大きく損ない、本院の権威と品位を著しく失墜させた」と非難し、「院として国会議員としての資格はないと断ぜざるを得ない。ただちに、自ら進退について判断するよう促す」として実質的に議員辞職を促す内容となっている。

 北方領土へのビザなし交流事業での丸山氏の言動については、野党6党派が議員辞職勧告決議案、自公両党が譴責(けんせき)決議案を衆院に提出した。自公側は当初「議員の地位の取り扱いは慎重にすべきだ」との立場だったが、「院の意思を示すべきだ」と判断し、責任追及の度合いを高めた新決議案の提出を呼びかけ、野党側が同調した。

 新決議案の提出に伴い、自公は譴責決議案、野党6党派は議員辞職勧告決議案をそれぞれ取り下げた。

 丸山氏の「戦争」発言を巡っては、5日の参院本会議で、安倍晋三首相が「外交交渉によって北方領土問題の解決を目指すとの政府の方針とはまったく異なるもの」と指摘。「相互理解の増進を図るという四島交流事業の趣旨に反し、元島民の方々のお気持ちを深く傷つける遺憾極まりないものであった」と述べた。

 一方、丸山氏は3日までに衆院議院運営委員会の高市早苗委員長に提出した弁明書で、議員辞職については「最終的には選挙での判断によるべきだ」と否定している。

 

 

丸山衆院議員に糾弾決議案 与野党が提出、6日に可決へ(2019年6月5日配信『共同通信』)

  

 自民党や立憲民主党など与野党8党派は5日午前、北方領土へのビザなし交流訪問の際、戦争で取り返すことの是非に言及した丸山穂高衆院議員=日本維新の会を除名=に対する糾弾決議案を衆院に共同提出した。「国会議員の資格はないと断ぜざるを得ない」として直ちに進退判断を迫る内容。決議案は6日の衆院本会議で可決される見通しだ。安倍晋三首相は参院本会議で丸山氏の発言について「元島民の気持ちを深く傷つける遺憾極まりないものだった」と批判した。

 糾弾決議案は、丸山氏に関して「憲法の平和主義に反する発言をはじめ、議員としてあるまじき数々の暴言」を繰り返したと非難した。

 

首相「遺憾極まりない」丸山氏問題で 辞職是非は言及せず(2019年6月5日配信『毎日新聞』)

 

 安倍晋三首相は5日午前の参院本会議で、北方領土を戦争で奪還する趣旨の発言などをした丸山穂高衆院議員=大阪19区=の言動について「(日露の)相互理解を図るという北方四島交流事業の趣旨に反し、元島民の気持ちを深く傷つける遺憾極まりないものだ」と批判した。立憲民主党の石橋通宏氏の質問に答えた。

 首相は「外交交渉によって北方領土問題の解決を目指すという政府方針とはまったく異なる」とも指摘した。

一方で、丸山氏の出処進退については「国会議員である以上、自らの発言は自らが責任を持つべきもので、政府として答えは差し控える」と述べるにとどめた。

 

丸山穂高「女を買いたい」発言の直前に少女に抱きつき、キスまでしていた(2019年6月5日配信『デイリー新潮』)

 

 “解散”まで粘ってやるといわんばかりに雲隠れを続けるのは、元維新の会の衆議院議員・丸山穂高氏(35)。
 5月11日に北方領土をビザなし交流で訪れた丸山氏の愚行妄言の数々は、国益を損ねかねないものだった。ところが、
 「先週の『週刊新潮』で、泥酔した丸山さんの悪行を読みましたが、実際はあんなもんじゃなかったですよ」

 と憤るのは、同行者の一人である。
「現地では複数の班に分かれてロシア人家庭を訪問したのですが、そこで丸山さんはコニャックをしこたま飲んでしまった。その後、ムネオハウスに帰ってから、コトが起きたのです」
一体何があったのか。
「酩酊状態だった丸山さんはムネオハウスの入り口でタバコを吸うなどフラフラしていた。すると、そこに別の訪問先からロシア人家族に送られて帰ってきたグループが到着したんです。そのロシア人家族には、5歳くらいの小さな娘さんがいたのですが、丸山さんは何を思ったか、突然その少女に駆け寄り、抱きついてキスを繰り返したのです」
これは、丸山氏が“戦争発言”など、“本領”を発揮する数時間前の出来事だったといい、
「このときもロシア人の親や同行者は気持ち悪そうに見ていましたが、スキンシップの一環かとも思った。でも、その後の“女を買いに行かせろ”などの発言を聞いて背筋が凍る思いがしましたよ」
政府関係者の一人も顔をしかめる。
「彼は、訪問前日、日露外相会談の内容をブリーフしろと外務省関係者に詰め寄り“しないなら、国後・色丹に日本国旗を立ててやる”と脅しをかけていた。はっきり言って、酔っていたかどうか以前の問題ですよ」
一刻も早く“選良”の身分返上を(「週刊新潮」2019年6月6日号掲載)。

 

丸山氏、異例の糾弾決議案可決へ 6日にも、与野党が共同提出合意(2019年6月4日配信『毎日新聞』)

 

衆院議院運営委員会の理事会に臨む与野党筆頭理事=4日午前

 

 衆院議院運営委員会の与野党筆頭理事は4日、国会内で会談し、戦争で北方領土を取り返すことの是非に言及した丸山穂高衆院議員=日本維新の会を除名=について、直ちに進退判断を迫る「糾弾決議案」を共同提出する方針で一致した。6日にも衆院本会議で可決される見通しだ。丸山氏は3日に提出した弁明文書で「人民裁判」と反論。議員辞職にも否定的な考えを改めて示した。

 丸山氏に関して、与党が提出したけん責決議案と野党の議員辞職勧告決議案は取り下げる。衆参両院事務局によると、国会議員への糾弾決議案提出は例がないという。

 糾弾決議案は丸山氏について「国会議員としての資格はない」と糾弾し、「ただちに自ら進退について判断」するよう促している。丸山氏が「戦争」発言に加え、卑わいな発言をしていたのが明らかになったことを踏まえ、自民党が3日に提出方針を決めていた。

 既に提出されていた与党のけん責決議案、野党の辞職勧告決議案はいずれも取り下げる。

 

丸山議員「人民裁判的な決定」と反発 衆院議運へ弁明書(2019年6月4日配信『毎日新聞』)

 

 北方領土を戦争で奪還する趣旨の発言をした丸山穂高衆院議員(35)=大阪19区=は衆院議院運営委員会に求められて提出した弁明書で、与野党が検討している決議について「人民裁判的な決定を行う言論府となることが危惧される事態だ」と反発した。一連の言動を謝罪したうえで、「これまでの議員辞職勧告決議等の先例と比べ、相当の違法行為があったわけではない」「憲法違反であると到底言えない」などと主張した。

 

 

 

弁明書全文は次の通り。

 

 今回の国後島(くなしりとう)での案件につき、あの場での不適切性や元島民の皆様への配慮を欠いていたことについて、重ねて謝罪申し上げます。

 ただ、本件での各言動においては、これまでの議員辞職勧告決議案などの先例と比べてもそれ相当の刑事事件や違法行為があったわけではありません。

 またいわゆる、戦争関連の発言に対して平和主義を掲げる憲法への違反行為であるというのも無理があります。具体的行動ではなく懇親会での会話をもって直ちに憲法9条や99条違反だというのは飛躍しすぎており、憲法違反であるとも到底言えないものです。

 私の当日の言動が不適切であり配慮を欠くものであることは間違いありませんが、刑事事件における有罪判決相当でもない本件のような言動にて議員辞職勧告決議がなされたことは憲政史上、一度もありません。また譴責(けんせき)決議についても、過去のいかなる不適切な言動についても行われたことがないものです。本件に対して何かしらの対応がなされるというのは、院において長年積み重ねてきた基準や先例から明らかに逸脱するものです。

 加えて昨今でも、同僚議員各位における違法行為の疑いのある具体的行動についての報道、不適切で品位を損ねる院外での言動なども見受けられますが、これら他には何らの決議や聴取などのご対応もない中、要件を満たさぬ本件に対してのみ院として何かしら対応をなされるというのは公平性を欠くものと考えます。

決議案採決やその他何らかの対応をなされるというのであればそれはいかなる基準や要件に基づくものでしょうか。国権の最高機関である国会自体がいわゆる「空気感」をもって、これまでの基準や先例を逸脱した曖昧さで有権者の付託を受けた議員の身分などに関する何かしらの処分や決議がなされるのであれば、それこそ憲法上の疑義が生じる事態や、この令和の時代に多数者がルール・前例無しに人民裁判的な決定を行う言論府となることが危惧される事態でもあります。国会は裁判所ではありませんし、ましてや人民法廷でもないはずです。これまでの基準や先例相当に照らせば、本件における議員の出処進退はその議員自身が判断すべきことであり、報道も多数なされている中、最終的には選挙での有権者のご判断によるべきものかと存じます。上記の理由から、本件について院より何かしらの処分や決議を頂くことについては適当ではないと考える次第です。

 あの場での不適切性や配慮の無さについて会見などで謝罪と撤回を行い、所属政党よりの処分をお受けしました。また、これまでの本件における報道などでの一定の社会的制裁についても甘受すべきものと考えております。最後に改めて、心から謝罪申し上げますとともに、書面での返信となりますことと議運の先生方を始め多くの皆様にご迷惑をおかけしておりますことを重ねておわび申し上げます。

 令和元年6月3日

 衆議院議員 丸山穂高

 

丸山発言で維新・松井代表が謝罪 国後訪問団長に面会(2019年6月2日配信『毎日新聞』)

 

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丸山穂高衆院議員の「戦争発言」を謝罪するため、国後島元島民の大塚小弥太さんに面会しに札幌市を訪れた日本維新の会の松井一郎代表=同市中央区で2019年6月2日午後1時48分

 

 日本維新の会の松井一郎代表は2日、札幌市を訪れ、同党を除名処分になった丸山穂高衆院議員(大阪19区)が戦争による北方領土奪還を発言した相手で、丸山氏が参加した国後島へのビザなし交流訪問団の団長を務めた大塚小弥太さん(90)=同市在住=に面会し、謝罪した。 

 大塚さんは同島出身の元島民。松井氏によると、大塚さんは戦争発言について「大変ショックを受けた」と振り返り、丸山氏に対しても「何度も『戦争』という言葉をやめるように伝えたがやめなかった。重大性を認識しておらず腹が立った」と不快感を示したという。 

 松井氏は大塚さんに対し「党に所属していた議員が元島民を傷つけた。北方四島返還に向けた元島民の活動を踏みにじる発言でビザなし交流を台なしにし、心よりおわび申し上げる」と謝罪した。 

 5月11日に訪問先の国後島で酒に酔った丸山氏が大塚さんに対し、領土返還について「戦争をしないとどうしようもなくないですか」などと再三質問したほか、認められていない夜間外出を試み、「女性のいる店で飲ませろ」との趣旨の発言もしていた。

 

丸山議員の辞職を求め 根室市議会が衆議院議長に決議文提出(2019年5月31日配信『どさんこワイド179』)

 

 

 

北方領土へのビザなし交流で丸山穂高衆議院議員が、不適切な言動をした問題で、根室市議会は丸山氏の議員辞職などを求める抗議の決議文を衆議院議長らに提出しました。

根室市議会の本田俊治議長らは、衆議院の大島理森議長を訪ね、決議文を提出しました。根室市議会では30日、丸山穂高衆院議員が「戦争で島を取り返すしかない」との趣旨の発言をしたことを巡って、議員辞職などを求める決議文を全会一致で可決しました。決議文では、政府に対しても今後のビザなし交流に参加する国会議員について「厳正な人選」をすることを求めています。

(根室市議会 本田俊治議長)

「今回のことを契機に原点に立ち返っていただいて、返還運動と4島交流事業のあるべき姿を考えて参加してほしい」

本田議長らは、大島議長の他、宮腰光寛沖縄・北方担当大臣や道内選出の国会議員らにも決議文を提出しましたが、丸山議員本人には面会できなかったということです。

 

丸山氏、泥酔 外出企て(2019年5月31日配信『しんぶん赤旗』)

 

コニャック10杯以上 政府が国会に報告

 衆院議院運営委員会は30日の理事会で、丸山穂高衆院議員の「北方四島交流」参加中の行状について内閣府と外務省から報告を受けました。

 それによると、丸山氏は11日夕、国後島のロシア人島民宅を訪問した際、コニャックをショットグラスで10杯以上飲み、宿泊先に戻りました。酔った状態で元島民に「(領土は)戦争で取り返せばいい」などと暴言を吐いた後、ひわいな発言を繰り返して外出を図りました。

 制止して自室に押し込もうとした参加者ともみ合いになった丸山氏は「(国会議員は)不逮捕特権で逮捕されない」などと主張。12日午前1時ごろまで騒ぎ続けました。

 丸山氏の言動を問題視した他の団員が、翌12日夜の現地住民を招いての夕食交流会への参加は「遠慮してもらいたい」と申し入れ、同氏は自粛せざるをえなくなりました。11日夜に泥酔して「(移動の途中にあった)ネオンは飲み屋か、女がいるのか」などと発言したため、同氏を外出させないよう、政府職員が宿舎入り口で監視にあたっていました。

 また政府側は、「泥酔して外出しトラブルになった際、ロシア側警察に拘束される可能性があり、日本の法的立場(領土主権)を害するものとなることからだ」と述べ、丸山氏にも事前に、外出禁止について説明していたと述べました。

 報告を受け理事会は、丸山氏が「体調不良」を理由に事実関係の聴取を拒んでいる一方、ツイッター上で弁明の意思も示していることから、高市早苗委員長名で丸山氏に「弁明文書」を6月3日までに提出するよう求めることになりました。

 

丸山氏、酔って卑わいな発言を繰り返す 同行職員から事情聴取(2019年5月30日配信『毎日新聞』)

 

 北方領土を戦争で奪還する趣旨の発言などをした丸山穂高衆院議員(35)=大阪19区=を巡り、衆院議院運営委員会は30日の理事会で、北方四島ビザなし交流に職員を派遣した内閣府、外務省から事情を聴いた。政府側は「丸山氏はコニャックを10杯以上飲んだ」と説明し、酔って卑わいな発言を繰り返したと報告した。他の同行者ともみ合いになった際には「国会会期中は不逮捕特権で逮捕されない」とも述べたという。

 交流事業は5月10〜13日に国後島で行われた。丸山氏は衆院沖縄・北方問題特別委員会の推薦を受け、事業に参加していた。

 政府の説明によると、丸山氏は事業に先立ち、内閣府や実施団体による事前説明で、団体行動を取ることや飲酒は適量を心がけることなどの注意事項も受けていた。

 ところが丸山氏は国後島上陸後の同11日、ロシア人家庭を訪問しコニャックを10杯以上飲んだ。宿舎に戻った後、元島民に「北方領土は戦争で取り返せばいい」などと暴言を吐いたという。また「ネオンがついている所は飲み屋か」「おっぱいもみに行きたい」などと発言し外出を図った。同行者から自室に戻るよう促されるともみ合いになり、その際、「君たちは警察でもないのになぜ外出を止めるのか。私は会期中は不逮捕特権で逮捕されない」などと述べた。騒動は翌12日午前1時ごろまで続いたという。

 丸山氏は議運委が理事会出席を求めているのに対し「2カ月間の休養が必要」とする医師の診断を理由とし、応じていない。この日の理事会では丸山氏に対し、6月3日までに文書で弁明するよう求めることも決めた。与党は丸山氏の言動を重くみて、国会に提出しているけん責決議案の内容をより厳しい内容に修正する検討に入った。

 

「元島民には怒り心頭」丸山議員発言で根室市議会が議員辞職求める抗議決議(2019年5月30日配信『毎日新聞』)

 

丸山穂高衆院議員に厳重抗議する決議案を全会一致で可決した北海道根室市議会=根室市で2019年5月30日10時34分

 

 戦争で北方領土を取り返す是非に言及し、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員に対し、北方領土に隣接する北海道根室市議会は30日、緊急議会を開き、議員辞職などを求める抗議決議案を全会一致で可決した。31日に安倍晋三首相や河野太郎外相、衆参両院議長らに提出する。

 決議は、丸山氏に対し、「自ら国会議員を辞職すべきだ」と要求。北方領土・国後島をビザなし交流で訪問中、元島民の団長に「戦争しないとどうしようもなくないですか」と発言したことについて、「領土問題解決に向けた環境作りを進める交流の意義を否定するもの」、「平和主義に反する発言をしたのは断じて許せない」と強く批判した。

 市議会は元島民らも傍聴。決議後、千島歯舞諸島居住者連盟の河田弘登志副理事長は「戦争で四島を追われた元島民にとって、丸山議員の発言は怒り心頭に発し、到底受け入れられない。自ら議員を辞職してつぐなってほしい」と力を込めた。

 

根室市議会;丸山穂高衆議院議員の言動に対する厳重抗議と国としての今後の対応及び一刻も早い北方領土問題の平和的解決を求める決議

 

令和元年、第1回目となる北方四島交流訪問(ビザなし訪問)に参加した丸山穂高衆議院議員が、国後島において元島民である訪問団の団長に対し「戦争でこの島を取り返すのは賛成か」等という質問を執拗に繰り返し行った。それは旧ソ連軍の侵攻によって強制的に島を追われ想像を絶する過酷な経験をしてきた元島民の方々に対して、あまりに思慮のない言動である。また、日本国民と四島に暮らすロシア人住民との交流をすすめ、両国の友好と信頼の醸成をはかり、北方領土問題の解決にむけた環境づくりを進める四島交流の意義を否定するものである。

根室市は国民の総意のもとに一日も早い北方領土返還の実現を熱望し、全国の先頭にたって返還運動に取り組むとともに北方四島の隣接地域として、これまで住民同士の交流や人道支援、医療支援などに努めてきた。丸山衆議院議員の言動は元島民をはじめ多くの根室市民そして全国の返還運動関係者の思いを踏みにじる行為であり、強い憤りを覚える。

衆議院の沖縄及び北方問題に関する特別委員会委員でもある国会議員が、過去の戦争を教訓として恒久平和を誓った平和主義に反する発言をしたことは、断じて許されない。これらの言動は、北方領土問題の解決と平和条約締結のために大切な日ロ両国の信頼関係を損なうものである。よって丸山衆議院議員においては国会議員としての職を自ら辞するべきであり、根室市議会として厳重に抗議する。

また、国を代表して参加する国会議員については今後、厳正な人選とともに責任ある行動をとるよう国として必要な対策を講じるよう要望する。

終戦時に北方四島に居住していた17,291人の元島民は今年3月には5,913人まで減少し、その平均年齢は84歳を超えた。今回の問題が今後の四島交流をはじめ自由訪問や北方墓参などの事業並びに日ロ関係に影響を及ぼすことのないよう、政府としても必要な対策をとるとともに、なによりも一刻も早い北方領土問題の平和的解決に向けて、外交交渉を強力に推し進めることを強く求める。

以上、決議する。

令和元年5月30日

北海道根室市議会

提 出 先

 内閣総理大臣

 外務大臣

 内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)

 衆議院議長

 参議院議長

 衆議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会委員長

 参議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会委員長

 丸山穂高衆議院議員

 

丸山議員「戦争」発言は「失言ではなく本音」各方面から怒りの声(2019年5月28日配信『アエラドットコム』)

    

 またしても、政治家による耳を疑うような「失言」が相次いでいる。自民党が作った対策マニュアルが注目を集めるが、効果には疑問符が付く。それが議員たちの「本音」である場合が多いからだ。

*  *  *

「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」

「戦争しないとどうしようもなくないですか?」

 国後島への「ビザなし渡航」の最中、元島民の代表に対してこんな発言をして日本維新の会を除名された丸山穂高衆議院議員(35)。その発言は、ロシア国内でも波紋を広げている。

 ロシアの日刊紙「イズベスチア」(5月22日)は、「ロシア連邦クリル諸島の軍事的獲得に関する発言の後、党を去った日本の議員」との見出しで丸山議員の発言を報道。こうして、丸山議員が会見で謝罪する姿はロシア国民の知るところとなった。同紙は、丸山議員が発言当時に飲酒をしていたことにも触れ、事件の経緯を示した上でこう締めくくった。

「モスクワはクリル諸島を東京に引き渡す計画はない」

 丸山議員の発言は、日ロ間の外交交渉にどんな影響を与えるのか。ある自民党議員はこう憤る。

「北方領土は日本にとって最もセンシティブな外交課題であり、戦略を間違えると政権の支持率が急下降する可能性がある国内問題だ。歴代の政府が重ねてきた、話し合いによる領土返還交渉を台無しにしかねない最悪の言動だ」

「今年に入り、安倍政権はロシアに対し、外交青書から『北方四島は日本に帰属する』との文言を消してまでみせて反応をうかがっている。これは(2島返還という)名よりも実を取る賭けで神経戦は現在も続いている。そんな最中、一国会議員の発言が理由で、ロシア国内の世論が日本の望む方向とは反対の方向に炎上し、それを理由に交渉が打ち切られる可能性だってあった。本人が謝って済むものではない」

「戦争」発言は、来月、プーチン大統領も来日し、大阪で開催されるG20にも影響を与えかねないという。

「ロシアは、日本が本気で戦争という選択肢を持ち出して、領土問題を解決しようとしているとは思っていない。ただ、この発言が利用され、ロシア側が有利な立場で交渉を進める材料に使われないとも限らない」(前出の議員)

こうした懸念を払拭するかのように、発言の後、維新の会の片山虎之助・共同代表がロシア大使館を訪れ、ガルージン駐日大使と会談し、丸山氏の発言について謝罪した。

 しかし、当の本人は北方領土を実効支配しているロシアに対する「おわび」は、完全に意味不明な対応とツイッターに投稿し、不満を表明している。現在、ロシア政府は国営メディアを含め「静観」の構えだ。日本にとっては幸いなことに、日ロ関係、国際関係に強い関心を持っている政府関係者を除けば、丸山発言がロシアで炎上している様子はない。ただ、丸山議員に対する憤りを抱いているのは自民党関係者だけではない。

 ある現役の防衛官僚は「戦争」という言葉を安易に持ち出す「軽さ」を問題視する。

「そもそも領土が占領されているからと言って、戦争でこれを解決する行為が国連憲章で禁じられている。声高に戦争を口にする国会議員に限って、全く外交のリアリティーがなく無責任な発言をする。自衛隊はあくまで専守防衛で、領土を奪還するために戦争する組織ではない」

 丸山議員の選挙地盤である大阪19区の後援会などでは、あれは「失言」ではなく「本音」というのが共通認識のようだ。後援会関係者の一人は言う。

「場所が場所だったこと。そして発言が録音されていたことで発覚しましたが、あの発言は普段から口にしている持論ですよ。いつかこうした事態になると誰もが思っていました」

 大阪19区には特別なお国事情もある。そもそもこの選挙区は、大阪維新の会の幹事長である今井豊氏の地盤。それを引き継ぐ格好で立候補した丸山議員は、2017年の衆議院議員選挙では自民党公認の対立候補をおよそ9千票差で破り、再選を果たした。前出の後援会関係者はこう続ける。

「大阪都構想を実現させるという地元の市議団、府議団の地道な活動があったからこそ丸山議員は当選できた。しかし、今回の発言がメディアで騒がれても、まったく地元への配慮がなかった。仮に衆参ダブル選挙があっても、統一地方選挙で躍進した維新のブランドの地盤があれば、自分は安泰だと思っていたのではないでしょうか」

丸山議員本人にそんな思惑があったかどうかは分からない。ただ、日本維新の会は早々と丸山議員を除名する方針を決定した。大阪都構想実現のためには絶対に落とすことができない堺市長選、参議院選へのダメージを最小限にするためだ。

 そんな最中、今度は今夏に予定されている参院選比例代表で日本維新の会公認で立候補する予定だった元フジテレビアナウンサー、長谷川豊氏(43)による被差別部落への差別を助長する発言が発覚。党は23日、長谷川氏に対して参院選で予定していた公認を、当面、停止にすることを決定した。長谷川氏はかつて人工透析患者に対し、その多くは自業自得などとブログに掲載し、当時出演していた番組を降板した経緯がある。

 こうした差別や戦争にまつわる失言が続くと、日本維新の会そのものが、戦争や差別を助長する候補者を公認する政党と有権者に疑われても仕方がない。維新代表の松井一郎・大阪市長は大阪府知事時代、沖縄・高江の米軍ヘリパッド建設現場で、建設に抗議する市民に対し「ボケッ、土人が」と暴言を吐いた大阪府警の機動隊員を擁護し、謝罪しなかった過去もある。

 

丸山氏同行の政府職員聴取へ 本人聴取は「困難」と回答 衆院運営委(2019年5月28日配信『毎日新聞』)

 

 衆院議院運営委員会は28日の理事会で、北方領土を戦争で奪還する趣旨の発言などをした丸山穂高衆院議員(35)=大阪19区=を巡り、内閣府と外務省に対し、北方四島ビザなし交流に同行した職員への聞き取りを行い、30日の理事会で説明するよう求めることを決めた。少人数での丸山氏に対する聴取を検討していたが、丸山氏側から「医師と相談したが、現時点で対応は困難」と返答があった。

 丸山氏は「2カ月間の休養が必要」とする医師の診断書を提出し、弁明のため出席を求められていた24日の議運委理事会を欠席。議運委は、高市早苗委員長と与野党筆頭理事の少人数での聴取が可能かどうか丸山氏側に確認していたが、28日に「困難」との回答があったという。このため、内閣府と外務省のそれぞれで、同行職員の聞き取りから事実関係などを取りまとめてもらい、報告を受けることにした。

 丸山氏については、週刊文春と週刊新潮が、国後島を訪問中に「女を買いたい」などと言って、禁止されている外出をしようとしたなどと報道。議運委理事会では、「戦争」発言を受けて提出されたけん責、議員辞職勧告の両決議案の取り扱いを協議する前に、丸山氏本人か同行者からの事実確認が必要との認識で一致していた。

 

丸山議員「医療機関と相談し対応困難」 衆院議運の聴取(2019年5月28日配信『朝日新聞』)

 

 北方領土返還を巡り「戦争」に言及し、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員は28日、衆院議院運営委員会の理事会に対し、発言を巡る事実確認の聴取について「医療機関と相談し、対応は現時点では困難」と回答した。

 これを受け理事会は30日に外務省と内閣府から、北方領土へのビザなし交流事業に同行した職員から聞き取った内容の報告を受けることを決めた。そのうえで野党6党派が提出した議員辞職勧告決議案、自民、公明両党が提出した譴責(けんせき)決議案の取り扱いを協議する。

 丸山氏は24日、出席を求められた議運理を体調不良を理由に欠席。議運委は高市早苗議運委員長ら少数による聴取が可能か丸山氏側に打診していた。

 

戦争発言「領土交渉に影響与えた危険性」 北海道国際交流・協力総合センターの高田喜博客員研究員(2019年5月28日配信『北海道新聞』)

 

 ビザなし交流で丸山穂高衆院議員が、戦争による北方領土の奪回に言及した問題について、日ロ交流が専門で、丸山氏と同じ訪問団に参加していた北海道国際交流・協力総合センターの高田喜博客員研究員(61)に、丸山氏の一連の言動の問題点を聞いた。

 今回の言動は、酔った上で不適切な発言や行動をとったという、国会議員の資質に関する問題にとどまらない。日ロ間の外交問題に発展し、今後の北方領土交渉にも大きな影響を与えた危険性もあった。

 訪問団の大塚小彌太団長(90)に対する、「戦争をしないと、どうしようもなくないか」という発言は、武力による国際紛争の解決を禁じた憲法9条に反するものだ。憲法99条に定められた国会議員の憲法尊重擁護義務にも逸脱している。

 また、戦争で故郷を追われた元島民は、戦争の被害者。戦争による領土の奪回について言及するのは、元島民の気持ちを著しく傷つけるもの。議員としての見識が疑われる。

 滞在先の「友好の家」から外出を試みた行為は、ビザなし交流事業の枠組みを崩しかねないものだった。

 北方領土は、主権について日ロの主張が対立している地域。そこで酔って夜間に外出し、ロシアの警察や国境警備隊に拘束されることになれば、ロシアの主権を認めない日本の法的立場を害することになる。日本はロシアの法律を適用せず、丸山氏の釈放を求めることになり、非常に難しい外交交渉を強いられていただろう。

 1992年に始まったビザなし交流は、両国が主権に関する主張を棚上げし、パスポートとビザを持たない相互訪問を認めている。譲歩と妥協の上に成り立っている脆弱(ぜいじゃく)な制度だ。互いが表だって主権を主張し合う事態になれば成り立たなくなる。ビザなし交流は、日ロ間で実現を目指す、北方四島での共同経済活動の先例になる非常に重要な事業だ。その先例が失われれば、今後の領土交渉にも悪影響が出かねなかった。

 

与党、丸山氏への懲罰動議を模索か 「女性の店へ」発言発覚で事態一変(2019年5月28日配信『産経新聞』−「政界徒然草」)」

 

 北方領土を戦争で取り返す是非に言及し、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員(大阪19区)への対応について、与党が頭を悩ませている。失言が即座に議員辞職勧告決議案につながる先例作りを避ける思惑も働き、反省を促す「譴責(けんせき)決議案」にとどめたが、その後、丸山氏が現地で「女性のいる店で飲ませろ」などと暴れていたことが発覚。与党もバツの悪さは隠せず、最高で除名まである「懲罰動議」を模索する声も出始めた。

「失言即議員辞職」の先例化恐れ

 自民党の二階俊博幹事長は21日の記者会見で「(議員の身分を)一刀両断することには慎重であるべきだ」と強調。公明党と協議したうえで、与党として譴責決議案を共同提出した。

 丸山氏への対応は、与野党で大きく異なっている。

 丸山氏を除名処分とした日本維新の会を含む野党6党派は、「暴言は限度を超えている」(立憲民主党)などとして、衆院に議員辞職勧告決議案を共同提出した。与党にも同調するよう呼びかけたが、与党側は拒否した。同決議案はこれまで、主に有罪判決を受けたり逮捕・起訴された議員に出され、個別の発言を理由とするのは異例なためだ。

自民党では、4月に塚田一郎元国土交通副大臣と桜田義孝前五輪相が相次いで失言で辞任した。党内には発言に不安を抱える議員が少なくない。同決議案に同調し、可決された場合、決議案が失言をした閣僚らに対する野党の追及材料となる懸念もあった。

議長許せば「懲罰」可能

 与野党それぞれが提出した決議案は衆院議院運営委員会でたなざらしになる可能性もあったが、事態は22日に急変した。丸山氏が「戦争」発言をした際、大声で「女性のいる店で飲ませろ」などと語り、禁止されている宿舎からの外出を試みたことなどが判明したのだ。

 関係者によると、丸山氏は「俺は日本の国会議員で不逮捕特権がある」などと話し、政府関係者が玄関先で羽交い締めにして止めたという。

 衆院議運委理事会は24日に丸山氏を事情聴取することを決めたが、丸山氏は当日「体調不良」を理由に欠席。同委には、2カ月間の休養が必要との診断書を出した。

 今国会の会期は6月26日まで。今年は夏に参院選があり、大幅な会期延長が難しいことを考えると、診断書に従って丸山氏の「回復」を待っていたら、国会は閉会してしまう。

 与党の国対幹部は「丸山氏から一度話を聞かなければ、辞職勧告なのか譴責なのか、決議案の協議をスタートできない」と語る。ただ、別の自民党関係者は「(与党が譴責)決議案を出してから本人を聴取するのは、容疑者を逮捕してから証拠を集めるのと同じだ」と述べ、譴責決議案を提出する前にきちんと事情を聴くべきだったと悔やむ。

 そもそも、丸山氏は北方領土へのビザなし訪問団として、国会を代表して派遣された衆院議員だ。旅費には税金が使われている。

 長年苦労を重ねた元島民に泥酔して絡み、ビザなし渡航に関する日露間の申し合わせを破って力ずくで外出しようとした行為は、「戦争で取り返す」という発言の是非を論じる以前に、国会議員としてあるまじき言動だ。「失言したら即決議案」という前例ができることへの懸念とは、別次元の問題になりつつあるとの指摘もある。

 北海道議会は丸山氏の発言を批判し、外交による領土問題の解決を目指すことを確認する決議案を全会一致で可決した。根室市議会も抗議決議案を30日の緊急議会で可決する方針だ。

 元島民らでつくる千島歯舞諸島居住者連盟は、丸山氏に「発言やその前後の行動は常軌を逸したものであり、極めて遺憾」とする抗議文を送っている。

与党内では、丸山氏への懲罰動議の提出を模索する動きも出始めている。国会法では、問題行動が発生してから原則3日以内の動議提出を期限としているが、この期限を過ぎた場合でも、衆院議長が職権で懲罰委員会を開くことは可能だ。

 懲罰には「戒告」「陳謝」「一定期間の登院停止」「除名」の4種類がある。憲法58条2項の規定で、衆院本会議で出席議員の3分の2以上が賛成すれば、国会議員の身分を剥奪する除名処分も可能となる。

 国会は会期末まで、残すところ1カ月を切った。与野党が「看過できない」と一致する丸山氏の発言に対し、衆院が会期内に院としての意思表示ができるかどうか、難しい判断が迫られている。

 

鈴木宗男氏が丸山穂高氏を批判(2019年5月25日配信『共同通信』)

 

「出てきておわびを」

 政治団体「新党大地」代表の鈴木宗男元衆院議員は25日、札幌市で講演し、戦争で北方領土を取り返す是非などに言及した丸山穂高衆院議員=日本維新の会を除名=を「国会議員が戦争という言葉を使ってはいけない。申し訳ないと思うなら出てきておわびするべき」と批判した。

 鈴木氏は講演後に記者団の取材に応じ、丸山氏が病気を理由に衆院議院運営委員会理事会の事情聴取を欠席したことを「説明責任を果たさず無責任だ」と指摘。国会議員としての自覚と反省を求めた。

 鈴木氏は北海道出身で、対ロシア外交に詳しいことで知られる。

 

丸山穂高議員の懲罰委検討も あまりの対応不誠実で(2019年5月25日配信『日刊スポーツ』)

 

ビザなし訪問団で訪れた国後島で、酒に酔って戦争による北方領土の奪還論に言及した上、訪問目的を完全に逸脱した「おっぱい」などのハレンチ発言を次々と暴露されている丸山穂高衆院議員(35)は24日、出席を求められていた衆院議院運営委員会(議運)の理事会での聴取を、「体調不良」を理由に欠席した。

関係者によると、丸山氏側は病名を「適応障害」とする診断書を提出したといい、「2カ月間の休養が必要」と記されていたという。今国会の会期末は6月26日で、会期は残り約1カ月。診断書通りだと、現在の通常国会には事実上出席しないことになる。議員生命を左右しかねない説明責任を果たす機会を放棄した形で、「逃げた」といわれても仕方ない状況だ。

丸山氏は、野党が辞職勧告決議案提出を検討していた今月14日、ツイッターに「議運委や本会議では本人からの弁明機会すらない」と記述した。今回議運で弁明の機会を与えられたが、応じなかった。20日には、衆院決算行政監視委員会に出席して2度も取材に応じたが、全議員と顔を合わせる21日の本会議はなぜか欠席。ある野党議員は、「往生際が悪い」と切り捨てた。

 理事会は今後、高市早苗委員長と与野党の代表者が丸山氏を訪ね、事実確認を行う。拒否されれば、ともにビザなし訪問団に参加した政府職員から話を聴き、経緯を確認する。与党はけん責決議案、野党6党派は辞職勧告決議案をそれぞれ衆院に提出したが、今回の対応があまりに不誠実として、議決をもって登院停止や除名などを決められる衆院懲罰委員会の実施を検討すべきとの声も出始めた。丸山氏の行動は、裏目裏目になりつつある。

 

“おっぱい”丸山氏 次は“出所不明”300万円超の政治資金疑惑(2019年5月25日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 ビザなし訪問団で訪れた国後島で酩酊し、宿泊施設で戦争暴言を吐いた上、「おっぱい!」を連呼して「オレは女を買いたいんだ!」と大暴れした丸山穂高衆院議員が逃げ回っている。衆院議院運営委員会理事会が事情聴取を求めたが、「体調不良」を理由に欠席。病名を「適応障害」、「2カ月の休養が必要」と記された診断書を提出したという。どれを取っても国会議員失格だが、政治資金の扱いを巡っても不可解な点が浮かび上がった。

 本紙は、丸山議員が代表を務める「日本維新の会衆議院大阪府第19選挙区支部」の政治資金収支報告書(2017年分)を精査。すると、丸山議員の資金管理団体「穂高会」からの「借入金」として、12月31日付で400万円を受領したと記載があった。一方で、年間の収入から支出を引いた「翌年への繰越額」は24万7552円。400万円の借入金がなければ、収支は375万2448円の“赤字”だったということになる。

 支部は「世論調査」として11月6日付で115万円超、「Web対策費」として12月22日付で約26万円を支出。1回当たりの支出額が数十万円に上るケースも目立つ。大みそかに400万円を借り入れるまでの間、手持ちがない状態で支出を続けていたことになるのだ。

収入ごまかし?

 一体、どういう資金繰りなのか。そもそも、金融機関が休業中の大みそかに400万円も借り入れること自体も不自然である。事実関係の確認のため、丸山事務所に16日に質問状を送り、何度も電話をかけたが、ナシのつぶてだ。

 政治資金に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏はこう言う。

「常識的に考えて、赤字状態にもかかわらず支出を繰り返すのは、収支報告書に記載のない収入があったとみるべきでしょう。金額の大きさからいって、記載忘れは考えづらい。表に出せない収入をゴマカすために、『借入金』という名目でツジツマを合わせたのではないか。説明責任を果たすべきです」

 本紙は、国会議員に月100万円支給される文書交通滞在費の一部を、丸山議員が穂高会に移していた“不正蓄財”疑惑も報じてきた。こちらについても、いまだ丸山事務所から十分な回答はない。体調不良で“逃亡”は許されない。

 

丸山議員を「ばかな国会議員」 函館市長が強く批判(2019年5月24日配信『朝日新聞』)

 

工藤寿樹市長(左)と懇談するロシアのアンドレイ・ファブリーチニコフ総領事=2019年5月24日、北海道函館市

 

 在札幌ロシア総領事館のアンドレイ・ファブリーチニコフ総領事(57)が24日、北海道函館市の工藤寿樹市長を表敬訪問した。この席で工藤市長は、北方領土返還に関連して戦争に言及した丸山穂高衆院議員に触れ、「最近、ばかな国会議員が変なことを言った」と強く批判した。

 そのうえで、工藤市長は「ご存じと思うが、あんなのは例外で、みんなが考えているわけではない」と話した。ファブリーチニコフ総領事は苦笑しながらも、冗談を交えて返し、話を収めた。

 ファブリーチニコフ総領事は今夏にも離任予定という。函館市はウラジオストク、ユジノサハリンスク両市と姉妹都市になっているほか、ロシア極東大函館校や総領事館函館事務所もある。ロシアとのつながりが深いことから、離任あいさつのため訪れたという。

 

丸山議員、体調不良で聴取欠席 「2カ月休養」診断書(2019年5月24日配信『朝日新聞』)

 

 北方領土返還を巡り「戦争」に言及した丸山穂高衆院議員(日本維新の会から除名)は24日、事実関係の聴取のため出席を求められていた衆院議院運営委員会の理事会を欠席した。体調不良を理由に挙げ、理事会に提出された診断書には「2カ月間の休養が必要」と記されていたという。病名は公表していない。

 丸山氏欠席を受け、理事会は、今国会中にも高市早苗議運委員長や与野党議運筆頭理事の3人による本人聴取が可能か丸山氏側に打診することを決めた。聴取できない場合、北方領土へのビザなし交流に同行した政府職員からヒアリングを行うことを検討する。

 丸山氏に対しては、野党6党派が議員辞職勧告決議案、自民、公明両党が譴責(けんせき)決議案を提出。その後、23日発売の週刊文春が「戦争」発言とは別の、丸山氏の女性に関する不適切発言などを報道。理事会は二つの決議案の取り扱いを協議するため、丸山氏本人の聴取が必要と判断している。

 開会中の通常国会は6月26日に会期末を迎える。

 

長谷川・丸山氏 不祥事相次ぐ(2019年5月24日配信『しんぶん赤旗』)

 

維新の異常体質底なし

 日本維新の会の新たな暴言、不祥事が相次いで発覚しています。

 党参院選比例予定候補の長谷川豊氏(元フジテレビアナウンサー)が講演で部落問題に関し「人間以下と設定された人たちも性欲などがある。当然、乱暴などもはたらく」などと差別発言を行っていたことが分かりました。21日には部落解放同盟が同党の馬場伸幸幹事長に抗議文を提出しました。長谷川氏は22日、自身のブログで「江戸時代を含めた中世・近世の身分制度について、きちんとした知識を有しないにもかかわらず、安易に(述べた)」、「弁解の余地のない差別発言です」などと記し、発言を撤回し、謝罪しました。

 前日の21日付の同ブログでは発言への批判に対し、「僕の講演会の映像を切り取って、『差別だー』と言ってるそうですが、呆(あき)れ果てます」などと述べ、無反省の姿勢をあらわにしていました。同氏と幹部への批判が強まる中、1日で翻意した形です。維新は23日、当面の同氏の公認停止を決めました。

 一方、「北方四島」奪還は「戦争で」との暴言を吐き、衆院議員に居座る丸山穂高氏(日本維新の会を除名)からは、新たな暴言疑惑が浮上。23日発売の『週刊文春』(5月30日号)によると、同氏はビザなし交流訪問団に参加中の11日夜、外出を制止する政府関係者に対し「あの店には女がいるはずだろ。行かせろよ」「おれは女を買いたいんだ」などと述べ、露骨な女性差別を行ったといいます。

 日本国憲法を無視し、堂々と差別を行ってはばからない同党の異常な体質は底なしの状態です。

 

 

丸山議員「オッパイ揉む、女買いたい」 もはや人格崩壊暴言… 維新議員「国会議員にしたのが間違いだったようだ」(2019年5月24日配信『夕刊フジ』)

 

 北方領土を戦争で取り返すことの是非に言及し、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員(35)が、問題となった北方領土・国後島へのビザなし交流訪問中、酒に酔った勢いで「女性のいる店で酒を飲ませろ」という趣旨の暴言を吐いていたことが分かった。「オッパイ!」などとも叫んでいたという。言論の自由を掲げて議員辞職を拒否している丸山氏だが、かつての同僚議員からは、引導を渡す声も聞かれた。

 「丸山氏は酒に負けた。(報じられた)ひどい発言にあきれて、党として公認してきた責任を感じている。国会議員にしたのが間違いだったようだ。きちんとケジメを付けて、人間として立ち直ってもらいたい」

 維新の現職国会議員は23日朝、夕刊フジの取材にこう語った。

 訪問団員らによると、丸山氏は11日夜、国後島の宿泊施設「友好の家」内を酒に酔った状態で徘徊(はいかい)した。週刊文春(5月30日号)によると、「オッパイ! オッパイ! オレは女の胸を揉みたいんだ!」と絶叫したという。

 さらに、「女のいる店で飲ませろ」「女を買いたい」などと人間性を疑わせるような発言を連発したとされる。

 なだめる事務局スタッフには「俺は国会議員だ。日本の領土だろ。議員だから不逮捕特権があるんだ」とも悪態をついたという。

 丸山氏はこの直前、宿舎の食堂で元島民の団長にからみ、「ロシアが混乱しているときに(北方領土を)取り返すのはオッケーですか」などと発言した。

 抗議を受けて一連の暴言を撤回したが、維新を含む野党6会派から議員辞職勧告決議案を提出され、与党からはけん責決議案を突きつけられる事態に発展している。

 

丸山穂高氏の発言は「言語道断だ」 ロシア外務省(2019年5月24日配信『共同通信』)

 

 ロシア外務省のザハロワ情報局長は23日、ビザなし交流訪問に参加した丸山穂高衆院議員が北方領土を戦争で取り返す是非に言及したことについて「言語道断だ」と批判した。

 定例記者会見で日本メディアの質問に答えた。

 ザハロワ氏は、ビザなし交流は日露友好のために行われていると指摘。丸山氏の発言が「一人の政治家の極端な意見なのか日本のエリートの感覚を反映しているのか調べることは重要だ」と述べた。

 一方、丸山氏の発言後の日本政府や国会などの反応は「良い方向への期待を抱かせる」とし、議員辞職勧告決議案を通じて「妥協のない評価が下されることを期待している」と述べた。

 

丸山議員の発言に団員から批判の声 ビザなし本年度第2陣が根室で結団式(2019年5月23日配信『北海道新聞』)

 

本年度の北方四島ビザなし交流訪問団の第2陣が24日、根室港から色丹島に向かう。23日の結団式に集まった団員たちは、丸山穂高衆院議員が戦争による北方領土の奪回に言及したことや「女性がいる店に行こう」と何度も外出しようとした行動について、「日ロ交流の場でありえない」と憤るとともに交流への影響を懸念した。

 「絶対にまずい行動だった。丸山氏は議員を辞めるべきだ」。今回の第2陣の訪問団の中川昭一団長(76)=札幌市豊平区=は、そう語気を強める。

 中川団長は自民党員だが、辞職勧告ではなく、けん責決議案の提出にとどめた与党の対応にも「怒っている」。今回は国会議員はいないが、次回以降参加する場合は「領土問題の歴史をきちんと勉強する気持ちで来てほしい。いいかげんな認識では困る」と求めた。

 色丹島出身の石井守さん(75)=根室市=も「丸山議員は観光気分だから今回のような騒動になったのではないか」と批判した。今回が初参加となる国後島出身の福田春三さん(79)=オホーツク管内斜里町=は「丸山議員は恥をさらした」と批判した上で、「団員はみな友好的な気持ちを持って参加しているが、今回の件でロシア側に悪い印象を与えたのではないか」と心配している。

 丸山氏の問題を受け、実施団体の北方四島交流北海道推進委員会は団員向けの資料に「節度ある飲酒について」と題した項目を新たに設け、適量の飲酒を心がけることや、酔って周囲に迷惑をかけないことを呼び掛ける文言を追加した。

 

丸山議員戦争発言に千島連盟が抗議文「常軌逸し極めて遺憾」(2019年5月24日配信『北海道新聞』)

 

 本年度第1陣のビザなし交流訪問団の一員として訪れた国後島で、戦争による北方領土の奪回に言及し、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員に対し、元島民らでつくる千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟、札幌)が23日、抗議文を送った。

 抗議文では、訪問団の団長で千島連盟会員の大塚小彌太さん(90)に対し今月11日に、「戦争によって北方領土を取り戻すことを示唆する発言を行ったこと」と「その前後の行動」について、「常軌を逸したもので、極めて遺憾」と非難。また、発言は、元島民や家族の思いを踏みにじるもので、「強い憤りを覚えるとともに、到底容認できない」と、強く抗議している。

 抗議文の送付が23日になったことについて、千島連盟の脇紀美夫理事長は「あまりにもひどい発言で、取り合いたくないと思っていたが、その後も言い訳のような言動が続いたので、放置しておけないと思った」と説明。今後については、「抗議文を受けて連絡が来れば、その時点で対応を考える」と話した。

 丸山氏を巡っては、国後島滞在中に、「外に出て女性がいる店に行こう」と発言し、何度も外出しようとしたことも明らかになっている。

 

鈴木宗男氏が丸山議員へ「国後島にキャバクラない」(2019年5月23日配信『日刊スポーツ』)

 

鈴木宗男元衆院議員(71)が23日、代表を務める新党大地の定例会に出席し、丸山穂高衆院議員(35)がビザなし訪問団で訪れた北方領土の国後島で、酒に酔って戦争による北方領土奪還論に言及したことに対し、「悲しいのと、開いた口がふさがらない」とあきれかえった。

領土問題に取り組み、何度も北方領土に渡航した宗男氏は、国後島内の飲食及び娯楽施設について“解説”。丸山氏が「キャバクラに行こうよ」と発言したことに対し「レストランにカラオケをしたり、ロシア人が好きなコサックダンスなど踊れるスペースはあるが、国後島にキャバクラはない」と断言した。

 また、丸山氏が現地で「おっぱい」と言葉を発したことに対して「論外の話。赤ちゃんが2、3歳のころ、ミルクが欲しい時に『おっぱい』と言いますが、言葉が幼児。赤ちゃんプレーですね」と指摘。「言論の自由」とツイッターで反論したことには「開き直っている」と非難した。

 丸山氏の一連の発言は、宗男氏が建設に関わった宿泊施設「友好の家」(通称「ムネオハウス」)で起きた。宗男氏はビザなし訪問団の実現に尽力した経緯もあり「ビザなし交流の原理原則を分からないで行ったことがダメだ」と切り捨てた。禁止された宿舎からの外出を試みたことにも言及。「『鈴木宗男が(宿舎の)外に出て、(自分が)なぜ出られないのか』と言ったようだが、迷惑千万。私は飲み屋に行きたいと言ったことはない!」とまくし立てた。

 最後に「説明責任を果たした上で、きちっと責任を取るべき。議員辞職も含めて判断すべき話だ。事の重要性を認識してもらいたい」と自身の見解を示した。

 

丸山穂高氏、自民弁明要求に「体調不良で欠席」連絡 「女」発言(2019年5月23日配信『毎日新聞』)

 

 衆院議院運営委員会の理事会は23日、北方領土を戦争で奪還する趣旨の発言をした丸山穂高衆院議員(35)=大阪19区=を、24日の理事会に呼んで弁明を求めると決めた。23日発売の週刊誌で丸山氏の新たな不祥事が報じられ、菅原一秀・与党筆頭理事(自民党)が提案した。しかし丸山氏側は「体調不良で欠席する」と連絡してきたといい、24日に対応を協議する。

 週刊文春と週刊新潮は、国後島を訪問中の丸山氏が「女を買いたい」などと言い、禁止されている宿舎からの外出をしようとしたと報道した。これには与党内でも「国会議員としてあるまじき恥ずべき言動だ」(公明党の北側一雄副代表)などの批判が強まり、与党から丸山氏の弁明を提案することになった。

 丸山氏に関し、既に「戦争」発言を巡って野党6党派が議員辞職勧告決議案を出し、自公両党が辞職までは求めない「けん責決議案」を提出。高市早苗衆院議運委員長は記者団に「かなり国会の権威をおとしめる発言内容とのことで、確認せねばならない。二つの決議案に本人も反論があると思う」と述べた。

 与党は発言のみを理由とした辞職勧告には慎重だ。自民党の伊吹文明元衆院議長は23日の二階派会合で戦前の斎藤隆夫衆院議員の「反軍演説」に触れ、「陸軍ににらまれて除名された。多数の政党が少数政党の発言をとらえて辞職勧告決議案を乱発すれば、間接民主制と議会民主主義は一体どうなるのか。根本論を考えないといけない」と強調した。

 野党の一部には丸山氏を「懲罰」の対象とすべきだとの声もあるが、憲法58条は懲罰対象を「院内の秩序をみだした議員」としており、丸山氏の言動は対象外だ。ただ、丸山氏が議運委の要請に応じずに理事会を「正当な理由なく欠席した」場合は、対象となる可能性もあるという。

 

衆院議運委が「戦争」発言の丸山氏聴取を決定 与党から「弁明の機会を」との声(2019年5月23日配信『毎日新聞』)

 

 衆院議院運営委員会は23日の理事会で、北方領土返還に関し「戦争」に言及した丸山穂高衆院議員(日本維新の会を除名処分)を24日の同理事会に呼び、事実関係を聴取することを決めた。 

 丸山氏の発言を巡っては、維新と立憲民主党など野党6党派が17日、「平和主義に反し、国際問題にも発展しかねない」などとして議員辞職勧告決議案を提出。それに対して自民、公明両党は21日に問題発言を理由に辞職勧告決議を行った前例がないことなどから、けん責決議案を提出し、与野党間で折り合いはついていない。 

 与党内からは「本人からの弁明の機会を設けるべきだ」などの声が上がっており、23日の理事会では丸山氏の聴取を決定。そのうえで両決議案の取り扱いを協議する見通し。

 

丸山氏「ロシア女性紹介しろ」 ビザなし訪問中に外出試みる 関係者が繰り返し制止(2019年5月23日配信『北海道新聞』)

 

 ビザなし交流訪問団の一員として訪れた国後島で、戦争による北方領土の奪回に言及し、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員(大阪19区)が、同島の宿泊施設「友好の家」に滞在中、団員に対し「ロシア人女性の店に行こう」という趣旨の発言をし、単独行動が認められていないにもかかわらず何度も外出しようとして政府関係者らに止められていたことが22日、分かった。

 外務省はビザなし渡航に関し、単独行動によってトラブルが生じた場合、拘束されてロシアの法律が適用される恐れがあるため、四島滞在中の団体行動の厳守を求めている。

 複数の団員によると、丸山氏は友好の家に滞在中、団員に「外に出て女性がいる店に行こう」と発言。団員が断ると「ここは日本国なので問題ない」と再度誘った。別の団員には「ロシア人女性を紹介しろ」という趣旨の発言をしたという。丸山氏は10日夜と11日夜、友好の家から何度も外出しようとして、そのたびに外務省職員や他の団員に制止された。

 丸山氏は11日夜、友好の家の食堂で団員10人程度が懇談していた際、大声で卑猥(ひわい)な言葉を数回繰り返した。その後、丸山氏は食堂の端で同行記者2人の取材を受けていた大塚小彌太(こやた)団長(90)に対し、「戦争でこの島を取り返すのは賛成か、反対か」「戦争しないとどうしようもなくないか」などと話しかけた。

 北海道新聞は22日夜、丸山氏の事務所にコメントを求めたが、連絡が取れず回答は得られなかった。丸山氏に対しては衆院に辞職勧告決議案とけん責決議案が提出されており、今後の審議に影響を与えそうだ。 

 

丸山議員「女性いる店で飲ませろ」 北方領土訪問中、禁止されている外出を試みる(2019年5月22日配信『共同通信』)

 

 北方領土へのビザなし交流訪問に参加中、北方領土を戦争で取り返す是非に言及した丸山穂高衆院議員が「女性のいる店で飲ませろ」との趣旨の発言をして、禁止されている宿舎からの外出を試みていたことが22日、複数の訪問団関係者への取材で分かった。 

 訪問団員によると11日夜、宿舎の玄関で丸山氏が酒に酔った様子で「キャバクラに行こうよ」と発言して外出しようとし、同行の職員らに制止された。ある政府関係者は「女のいる店で飲ませろとの発言や、『おっぱい』という言葉は聞いた」と振り返った。

 

与党が丸山氏けん責決議案 野党「辞職勧告」と平行線(2019年5月22日配信『東京新聞』)

 

 自民、公明両党は21日、戦争による北方領土奪還に言及した丸山穂高衆院議員(35)=大阪19区=に対するけん責決議案を衆院に提出した。立憲民主党など野党六党派はすでに辞職勧告決議案を提出している。与野党は衆院議院運営委員会理事会で、二つの決議案の取り扱いを議論したが、平行線だった。与野党が歩み寄らなければ、両決議案とも採決されない可能性がある。

 けん責決議案は丸山氏の発言を「平和主義に反し、国益を大きく損なった。院の権威と品位を失墜させ、到底看過できない」と批判し、猛省を促す内容。衆参両院によると、けん責決議案の提出は初めて。

 衆院議運委の与党筆頭理事を務める自民党の菅原一秀氏は、辞職勧告決議案に賛同しない理由について「議員の身分は憲法上、一定程度保障される。出処進退は自分で決めるべきだ」と記者団に説明した。

 議運委理事会では、野党側は「憲法違反になる発言で辞職が妥当」と主張。与党側は丸山氏の発言を「不見識の極み」と批判する一方、衆院では事件絡み以外に辞職勧告決議案が出された例はないと指摘した。

 野党の辞職勧告決議案を採決するには与党の同意が必要。与党は単独でけん責決議案を採決できるが、夏の参院選を前に強行との批判は避けたいところだ。自民党幹部は「野党にも与党案に賛同してほしいから可能な限り努力する。その結果、審議未了になってもやむを得ない」と語った。

 与野党が6会期末まで折り合わず、決議案の採決を見送れば、国会が前代未聞の暴言に対して意思を示さないことになる。

 辞職勧告決議、けん責決議には、いずれも法的拘束力はない。丸山氏は辞職しない考えを示している。

 

「猛省を促す」 丸山穂高議員けん責決議案の全文(2019年5月21日配信『毎日新聞』)

 

 自民、公明両党は21日午前、北方領土返還に関し「戦争しないとどうしようもなくないか」などと発言し、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員(35)=大阪19区=に対する「けん責決議案」を衆院に共同提出した。決議案の全文は次の通り。

 

議員丸山穂高君譴責(けんせき)決議(案)

 

丸山穂高衆院議員に対する「けん責決議案」を向大野衆院事務総長(中央)に提出する衆院議院運営委員会の菅原与党筆頭理事(左)と理事の公明・佐藤氏=国会内で2019年5月21日午前9時19分

 

 去る5月11日の国後島訪問中の議員丸山穂高君の平和主義に反する発言は、我が国の国益を大きく損ない、本院の権威と品位を失墜させるもので、到底看過できないものである。

 よって本院は、ここに丸山君を譴責し、猛省を促すものである。

 右決議する。

<理由>

 衆議院議員丸山穂高君は、四島在住ロシア人と日本国民との相互理解の増進を図り、もって領土問題の解決を含む平和条約締結問題の解決に寄与することを目的とする「令和元年度第一回北方四島交流訪問事業」、いわゆるビザなし交流事業に参加し、国後島を訪問した際、5月11日夜に、ホームビジット先のロシア人島民宅及び宿舎である「友好の家」において飲酒した結果泥酔し、宿舎内で大声を出し他団員と口論をする等の迷惑行為を行い、同行記者団と懇談中の元島民の訪問団長に対し、「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」「戦争しないとどうしようもなくないですか」などの信じ難い暴言を吐いたと報道され、本人も事実関係を認めている。かかる常軌を逸した言動は、元島民の方々のお気持ちを傷つけただけでなく、特に、憲法の平和主義をおよそ理解していない戦争発言は、国民の悲願である北方領土返還に向けた交渉に多大な影響を及ぼし、我が国の国益を大きく損なうものと言わざるを得ない。

 本件事業は、内閣府交付金に基づく補助金を受けた北方四島交流北海道推進委員会の費用負担により実施されているものであり、本院から公式に派遣したものではないにせよ、丸山君は、沖縄及び北方問題特別委員会の委員であるが故に、優先的に参加することができたものであり、他の団員からは、本院を代表して参加したものと受け止められており、また、その後の報道により、我が国憲法の基本的原則である平和主義の認識を欠く議員の存在を国内外に知らしめ、衝撃を与えた事実は否めず、本院の権威と品位を著しく貶(おとし)める結果となったと断じざるを得ない。

 丸山君の発言は、極めて不穏当なものであり、擁護する余地は全くないものであるが、他方で、議員の身分に関わることは慎重に取り扱う必要があり、憲法上、本院が議員の身分を失わせることができるのは、懲罰による除名及び資格争訟裁判の場合に限られ、いずれも出席議員の三分の二以上の賛成を必要としているのに対し、議員辞職勧告決議は出席議員の過半数の賛成により議決されるもので、理論上は多数会派の意思で議決できるものであり、その観点からも慎重に取り扱われてきた経緯があり、これまで、明白かつ重大な違法行為に当たる場合にのみ議員辞職勧告決議を行ってきており、問題発言を理由に議員辞職勧告決議を行ったことはない。また、除名を含む懲罰は、憲法上、院内の秩序をみだした場合に限られており、本院からの公式派遣でもない本件は直ちには懲罰事案には該当しない。そうであるからと言って、議員の発言が自由に保障されている訳ではなく、仮に、院内での発言であれば、院外で責任を問われないという免責特権が与えられている代わりに、不穏当発言の場合は議院において懲罰を課すことはあり得るものであり、実際に、不穏当発言で懲罰を課せられた事例もある。もとより、丸山君の発言は、明らかに一線を越えたものであり、懲罰の対象とならないからと言って、決して許されるものではない。

 議員の出処進退は自ら決すべきことが基本であり、議員辞職するか否かは、最終的には自ら判断することではあるが、丸山君には、有権者の負託を受け、全国民の代表として議員となっている重みを十分に自覚し、常に、言動をよくわきまえ、適切な判断を下すよう、猛省を促したい。

 以上が、本決議案を提出する理由である。

   ◇  ◇

 提出者は、菅原一秀、御法川信英、赤沢亮正、大塚拓、松本洋平、熊田裕通=自民▽佐藤英道=公明――の各衆院議員。

 

丸山暴言問題 これはもう維新の体質(2019年5月21日配信『しんぶん赤旗』)

 

 北方四島の返還に関し、「戦争しないと」などと元島民に詰め寄り、市民と野党から辞職を求められている丸山穂高衆院議員(日本維新の会から除名処分)が居座りを決め込む態度をみせています。同党の松井一郎代表(大阪市長)は「今回の丸山議員の問題については、個人の資質っていうのが大きな話だ」(16日)と語っています。しかし、維新の政治家の言動を振り返れば、まさに維新の体質が露呈したものと言わざるをえません。

加害正当化

 維新の創始者・橋下徹氏は大阪市長を務めていた2013年5月13日、国際的に性奴隷制と批判されてきた旧日本軍「慰安婦」問題にかかわって、「慰安婦制度が必要なのは誰だってわかる」などと言い放ちました。まさに「人間の血が流れているのかと思うぐらい」(当時の日本共産党の市田忠義書記局長)の暴言に、世界中から厳しい批判の声が巻き起こりました。

 ところが当時、延々と言い訳やすり替えを続けた橋下氏を、維新の政治家たちは「現実に(慰安婦制度が)あったというのは、必要とされていた(からだ)」(松井氏)などと党ぐるみで擁護。同党全体で人権感覚が麻痺(まひ)していることをさらけだしました。

 維新は、日本の国政や外交を担うに値する勢力なのか、この一事をもってしても答えは明らかです。

差別を肯定

 松井氏自身も府知事だった16年10月、沖縄県東村高江の米軍ヘリパッド建設現場周辺で、建設に反対する住民に「土人」「シナ人」と差別発言を行った大阪府警の機動隊員を「出張ご苦労様」などと擁護。市民から発言の撤回と謝罪、辞任を求められたことがあります。

 彼らが維新の衆院比例候補として公認をしてきた政治家たちの発言も異常です。

 のちに自民党議員となり、LGBT(性的少数者)を差別する論文を月刊誌に寄稿して大問題になった杉田水脈衆院議員を最初に国会に送り込んだのも維新です。杉田氏は維新の比例票で当選した1期目から「男女平等」は「反道徳の妄想だ」などと国会で異様な主張(14年10月31日、衆院本会議)を展開していました。

 維新の足立康史衆院議員の暴言・暴挙も枚挙にいとまがありません。とりわけ、17年11月に、ツイッターで「朝日新聞、死ね」と報道機関への脅しともとれる暴言を発信したのは深刻な問題でした。

 にもかかわらず、維新はまだ、自身のブログに「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ! 無理だと泣くならそのまま殺せ!」などと題する文章を投稿した長谷川豊氏(元フジテレビアナウンサー)を参院全国比例区候補として国会に押し上げようとしています。

 維新に1票を投ずることでどんな政治家を誕生させることになるのか、個別の政策で維新に期待する有権者にも真剣に考えてもらう必要があります。

不正居直り

 地元大阪でも、維新議員は、不正・不祥事、居直りと居座りの多さで際立っています。

 17日にも大阪市議選で再選されたばかりの維新市議が買収の容疑で逮捕されました。

 堺市議会では、前の市議任期中、政務活動費の不正使用で辞職勧告決議を突き付けられたのに居座りを続けた2人の元維新市議や、同決議に反対した維新に市民の厳しい批判の声が広がり、リコール署名運動に発展。両議員が辞職に追い込まれた経過もあります。

 12年には、元日に飲酒運転でひき逃げ事件を引き起こした別の維新堺市議(事件後、維新を除籍)が有罪判決と2回の辞職勧告決議を受けたにもかかわらず同年6月まで居座ったこともありました。

 

ビザなし交流「選任慎重に」 根室市議会が決議案要旨(2019年5月21日配信『北海道新聞』)

 

根室市議会は20日、各会派による代表者会議を開き、戦争による北方領土の奪回に言及し、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員に対する抗議と、国に再発防止を求める決議案の要旨を固めた。国に対し「ビザなし交流に参加する国会議員については、慎重な選任に努めるなど対策を求める」とした。

 要旨には「国を代表し、顧問としてビザなし交流に同行した国会議員の言動に強く抗議する」ことを盛りむ。今後のビザなし交流に影響を及ぼさないよう、国に必要な対応を取ることも求めた。

 提出先は安倍晋三首相、河野太郎外相、宮腰光寛沖縄北方担当相などを想定。決議案は30日に予定する緊急議会で、無所属の議員を含む全会一致で可決される見通し。可決後、市議が国などに提出する。

 本田俊治議長は「丸山氏が北方領土問題を所管する衆院沖縄北方特別委員会の委員だったことを(特に)問題視している。国会議員には、市民や元島民がどんな思いでビザなし交流に参加してきたのか理解してほしい」と話した。

 

丸山議員は囲み取材わずか2分 本紙の直撃にも“逃げの一手(2019年5月21日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 

囲み質疑も「2分」で打ちきり、事務所も不在の丸山穂高議員     

 

「戦争しないとどうしようもなくないか」などと発言し、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員。本紙は2回にわたって丸山議員の政治資金をめぐる不透明なカネの疑惑を報じた。これまで取材を申し込んでも電話に出ず、質問状を送っても回答しなかった丸山議員だが、19日、ツイッターに〈明日(20日)は決算委があるので、まずは、もしそこに各社記者さんらがいれば見解や対応をお話しする〉と投稿。そこで本紙記者も委員会傍聴後、直撃した。

 丸山議員が出席した決算行政監視委は正午過ぎに終了。30人超の報道陣が待ち構える中、重い足取りで委員会室から出てきた丸山議員は、カメラを向けられるなりうつろな表情を浮かべ、視線は泳いでいた。報道陣に一斉に取り囲まれると、無表情のまま開口一番「次の予定があるので手短にお願いします」と言い放った。

 それから戦争発言などについて「公式の場で申し上げたことではない」などとノラリクラリはぐらかし、「北方領土を不法に占拠しているのはロシア側」「謝罪するのは間違い」などと持論を展開。先週の本会議欠席についても「手続きを取ったので問題ない」なんて開き直っていたから唖然ボー然。その時間、たった2分間だ。

そこで、あらためて本紙記者が報じた、国会議員に毎月支給されている100万円の「文書通信交通滞在費」が“使途不明”状態にあり、「蓄財」の疑惑が浮上している点を問いただすと、こう答えた。

「あのー、あれです。政治資金規正法上、全く問題はないと思っています」

 そして、警備員に守られながら足早に立ち去ってしまったからアングリだ。急いで後を追って丸山議員の国会事務所を訪ねると、ドアは鍵がかかったまま。〈御用の方は下記までご連絡下さい〉と地元事務所の電話番号が記載された紙が貼ってあるだけで、インターホンを押しても、ノックしても何ら応答なし。ツイッターでは勇ましい丸山議員だが、実際はクネクネと逃げ回っているだけ。

 口先だけの臆病者が「戦争」を口にするなんて全く論外だ。

 

丸山議員の譴責決議案を自公提出へ 辞職勧告は同調せず(2019年5月20日配信『朝日新聞』)

 

 北方四島を戦争で取り返す是非に言及し、日本維新の会から除名された丸山穂高衆院議員に対し、自民、公明の与党は、譴責(けんせき)決議案を21日に衆院に提出する方針を決めた。議員の身分を保障する憲法などへの配慮から、野党が提出した議員辞職勧告決議案には同調せず、注意喚起の内容にとどめた。

 丸山氏の発言をめぐっては、立憲民主党や維新など野党6党派が17日、「我が国の国是である平和主義に反し、国益を大きく損ねる暴言。国会全体の権威と品位を著しく汚した」として辞職勧告決議案を衆院に共同提出した。

 ただ、辞職勧告決議案はこれまで、主に刑事責任を問われた議員に出されており、「暴言」が理由となるのは異例。自民党はもともと、「辞職勧告は議員の身分を不当に奪いかねず、憲法上疑義がある」との立場。2002年には、議員の出処進退は自ら決すべき▽国会決議で身分を奪おうとすることは慎重を要する――などの確認事項を党決定した経緯があり、野党案には難色を示していた。

 とはいえ、野党案に反対するだけでは「丸山氏の発言を認めたと受け止められかねない」(自民党幹部)との懸念もあり、辞職は求めないものの、注意を促す決議案を検討。自民党の森山裕、公明党の高木陽介両国会対策委員長が20日、「譴責」で合意した。決議は国会各会派の全会一致が原則のため、衆院議院運営委員会で協議を求める方針だが、野党と調整がつく見通しは立っていない。

 

根室市議会 丸山穂高議員「戦争」発言に抗議と再発防止求める決議案可決へ(2019年5月20日配信『朝日新聞』)

 

決議案について協議する根室市議会各会派の代表者会議=北海道根室市で2019年5月20日午後2時4分

 

 北方領土返還に関し「戦争しないとどうしようもなくないか」と発言した、丸山穂高衆院議員(35)(日本維新の会を除名処分)に対し、北海道の根室市議会は20日、厳重抗議と国に再発防止を求める決議案を30日の緊急議会で可決することを決めた。

 市議会によると、決議後、議員団が首相や外相、衆参両院の議長らを訪ね、決議書を手渡す。決議案には元島民をはじめ、全国の返還運動関係者の感情を考慮し、丸山議員に辞職を求める内容も含める方針という。

 20日開いた市議会各会派の代表者会議で大筋合意した。終了後、本田俊治議長は「北方領土返還運動原点の地の議会として、丸山議員の発言は許し難く、厳重に抗議する。今後の交流事業に影響を及ぼすことのないよう、国として必要な対策を求めたい」とコメントした。

 

維新・松井代表 丸山穂高議員「一度治療を」 ツイートの意図を説明(2019年5月20日配信『毎日新聞』)

 

 

 日本維新の会代表の松井一郎大阪市長は20日、北方領土を戦争で取り返す是非に言及した丸山穂高衆院議員に過去飲酒トラブルがあったことを念頭に「アルコール依存症は精神的なダメージがあると聞いていた」と19日にツイートしたことについて、「一度治療した方が良いと申し上げた」と意図を説明した。

 

辞職否定の丸山穂高氏、依存症指摘に謝罪と訂正要求(2019年5月20日配信『共同通信』)

 

北方領土を戦争で取り返す是非に言及し、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員(大阪19区)は20日、野党が提出した議員辞職勧告決議案に関し「発言に対して出すのはゆゆしき事態だ。言論の府が自らの首を絞めかねない。可決されても絶対に辞めるわけにはいかない」と国会内で記者団に語った。自身の発言については「全くもって、憲法の理念を逸脱しているとは考えていない」と強調した。

丸山氏が取材に応じたのは、14日に維新が除名処分として以降初めて。

維新がロシア側に謝罪した対応を巡っては「ロシアに誤ったメッセージを送ることになる」と改めて指摘した。

維新代表の松井一郎大阪市長が19日、丸山氏に飲酒トラブルがあったことを念頭に「アルコール依存症は精神的なダメージがあると聞いていた」などとツイッターで言及したことには「遺憾だ。訂正と謝罪をしてほしい。どういう形でアルコール依存症と断定されたのか」と述べた。

丸山氏の反論に対し、共産党の穀田恵二国対委員長は取材に「よくぞ言えると思う。憲法の趣旨に反する発言をしても恥じないところに問題の本質がある」と批判した。

 

丸山議員が辞任否定 「前例をつくってしまいかねない」(2019年5月20日配信『朝日新聞』)

 

衆院決算行政監視委の前、記者の質問に答える丸山穂高衆院議員=2019年5月20日午前9時54分、国会内

 

 北方領土返還に関連して戦争に言及した丸山穂高衆院議員(日本維新の会が除名)は20日、国会内で記者団に対し、野党6党派が提出した自身に対する議員辞職勧告決議案について、衆院で可決された場合でも「絶対に辞めるわけにはいかなくなった」と述べた。

 丸山氏は「これまでの決議案は刑法犯とかがほとんどで、発言に対して出すということは非常におかしい。私が辞めることで前例をつくってしまいかねない」と説明し、議員辞職を重ねて否定した。

 丸山氏は自らの発言を謝罪・撤回した13日夜以降、自身のツイッターで議員辞職しない意向を示してきたが、記者団の取材に応じるのは初めて。

 丸山氏はまた「北方領土を不法に占拠してきたのはロシア側だ。謝罪すべきは私の(発言の)不適切さ、元島民に対する配慮を欠いたことだ」とも指摘。維新の片山虎之助共同代表らが17日、ロシア大使館でガルージン駐日大使と会談し、陳謝した対応について「ロシアに誤ったメッセージを送りかねない」と述べた。

 丸山氏は11日、北方四島ビザなし交流の訪問団の一員として国後島を訪れた際、酒に酔った状態で団長の元島民に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」と質問。さらに「戦争しないと、どうしようもなくないですか」とも発言した。

 維新や立憲民主党など野党6党派は17日、「我が国の国是である平和主義に反し、国益を大きく損ねる暴言」として、丸山氏に対する辞職勧告決議案を衆院に共同提出している。

 

丸山穂高氏の正当性強調で「はき違えている」の声(2019年5月20日配信『日刊スポーツ』)

 

戦争による北方領土の奪還論に言及して日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員(35)は20日、13日の謝罪会見後初めて取材に応じ、自身の発言の「正当性」を強調した上で、野党による辞職勧告決議案提出に強く反発した。

「発言に対して(決議案を)出すのは、言論の府が自らの首を絞めかねない。私が辞めれば前例をつくりかねず、絶対に辞めるわけにはいかなくなった」と、辞職勧告を拒絶。「あらゆる議論をした中での1つの発言で、何ら公式の場で申し上げたことではない」と開き直り、「憲法の理念を逸脱しているとは考えていない」とも言い切った。

その上で「謝罪すべきはあの場での(酒に酔った発言の)不適切さと、島民の皆さんに配慮を欠いたこと。わが国固有の領土である北方領土を不法に占拠しているのはロシア側。そこに謝罪するというのは間違っている」。過去に飲酒トラブルがあることから、維新の松井一郎代表がSNSで丸山氏のアルコール依存症に言及したが、この指摘には「アルコール依存症の方への配慮を欠く、ゆゆしき事態だ」として、筋違いの謝罪と訂正を求めた。

 謝罪会見後の発信は全部ツイッターで、この日の2回の取材対応も短時間。委員会後は日程を理由に質疑を打ち切り、国会を後にした。「『言論の自由』の意味をはき違えている」(国会関係者)と厳しい非難もあり、言葉を発するたびに丸山氏の立場は厳しさを増している。

 

丸山穂高議員、露に謝罪の維新を批判(2019年5月19日配信『共同通信』)

 

 北方領土を戦争で取り返す是非に言及し、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員は19日、駐日ロシア大使に丸山氏の発言を謝罪した維新幹部を批判した。「ロシアへの『おわび』は完全に意味不明な対応。おかしなことにはおかしいと申し述べる」と自身のツイッターに投稿した。20日に取材に応じる考えも示した。

 維新の片山虎之助共同代表と馬場伸幸幹事長は17日、東京都内のロシア大使館でガルージン大使と会い謝罪。「わが党にいた議員の発言で不快な思いをさせた。維新の考えでは全くない」などと伝えた。

 立憲民主党や維新など野党6党派は17日、議員辞職勧告決議案を衆院に共同提出。

 

 

自民、非難決議案提出で調整 丸山穂高氏発言問題(2019年5月18日配信『産経新聞』)

 

 戦争による北方領土奪還の是非に言及し、日本維新の会から除名された丸山穂高衆院議員について、自民党が丸山氏の発言に対する非難決議案を提出する方向で調整に入ったことが18日、分かった。複数の党関係者が明らかにした。

 立憲民主党や維新など野党6党派は17日、丸山氏の辞職勧告決議案を衆院に共同提出した。同決議案はこれまで、主に有罪判決を受けたり逮捕・起訴されたりした議員に出され、発言を理由とするのは異例。前例となれば、失言した閣僚らも対象に「際限がなくなる」(党幹部)との懸念もあり、自民党は別の決議案を提出する方針に傾いた。

 両決議案が可決された場合でも法的拘束力はない。自民党は懲罰動議を検討したが、大島理森衆院議長が難色を示した。自民、公明両党は20日にも対応を協議し、その結果次第では注意喚起にとどまる可能性もある。

 

北海道議会が抗議決議案を可決へ 丸山氏の戦争発言を問題視(2019年5月18日配信『共同通信』)

 

 

 丸山穂高衆院議員が戦争による北方領土返還を元島民に質問した問題を巡り、北海道議会の自民党会派が発言に抗議する決議案を開会中の臨時議会に提出する方針を固めたことが18日、関係者への取材で分かった。各会派が発言を問題視しており、22日に全会一致で可決される見通し。

 自民党会派は文面などを巡り、各会派と調整を進めている。根室市議会も抗議決議案を30日の緊急議会で可決する方針を固めている。

 丸山氏は北方領土へのビザなし交流訪問団に参加。11日夜、酒に酔い、宿舎で元島民の団長に「戦争をしないと、どうしようもなくないですか」などと質問した。

 

戦争発言で辞職勧告された丸山議員は雲隠れ「酒飲まないとナヨナヨしていた」と地元議員(2019年5月18日配信『週刊朝日オンライン』)

 

 北方領土返還問題で「戦争」発言をした丸山穂高衆院議員(大阪19区)に対する議員辞職勧告決議案が立憲民主党など野党6党派によって共同提案された。

 丸山議員は所属していた、日本維新の会から除名されているが、維新代表の松井一郎大阪市長は17日の会見で「けじめを早くつけた方がいい」と早期の議決を求めた。

 松井代表によると、辞職するよう何度も説得したが、応じない状況が続いているという。 

 丸山議員が問題発言をしたのは、5月11日夜。

 飲酒した席で「(北方領土を取り戻すには)ロシアと戦争しないとどうしようもなくないですか?」「戦争に賛成か、反対か」などと述べた。日本維新の国会議員はこう話す。

「酒は飲むなとずっと注意されてきたのですが…。ついに大事になってしまったなという印象ですね」

 訪問団の団長がマスコミに対応している際、酔っぱらった丸山氏が割り込んで「戦争発言」に及んだという。丸山氏は、2015年12月にも酒場で口論となった男性に噛みつきトラブルになった。その時も厳重注意を受けた。

<先日の不始末について猛省と自重の決意の証として自主的に、禁酒宣誓書を今井幹事長へ提出してまいりました。あらゆるトラブルを予防するため、今後の議員在職中において公私一切酒を口に致しません>と自らツイッターに書き込んでいた。だが、いつしか飲酒を解禁していた。

 丸山議員は東大経済学部卒後、経済産業省に入った、エリート。12年の衆院選挙で日本維新の会から立候補し、初当選して現在3期目。3度とも小選挙区で勝利している。

 丸山氏の地盤、大阪19区で活動する大阪維新の会の地方議員はこう話す。

 「丸山氏は、普段はおとなしくて、勉強熱心ですよ。どちらかといえば、ナヨナヨした感じで、女性っぽいところがあります。それが酒が入ると急にテンションがあがり、大声で絡んだりすることがちょくちょくあった」

 お酒を飲むと人が変わる

お酒の席でヒヤヒヤする発言も多かったという。

「戦争発言ほどじゃないが、『弱腰ではダメだ』『専守防衛というだけではいけない』という発言もあった。酒を飲むと人が変わってしまうんですね。15年のトラブルの後、しばらくは飲んでいなかった。酒席でも、お茶や水でしたよ。もともと酒はそんな強くないです。それが今年になってからビールを少し飲むのを見たことがある。禁酒はどうなったんだろうと思っていたら、こんなことになった」

 前出の議員によると、15年の飲酒騒動の時は「丸山先生もまだ若いし、しゃあないわ」と擁護する声が地元ではかなりあったという。

 「しかし、今回の騒動では維新の支持者から『どうなっとるねん』『こらすぐ丸山のポスターをはがせ』と怒りの電話が殺到。維新の市議、府議や関係者は丸山氏のポスターをはがすのに必死です。丸山氏に連絡を取っているのですが、まったく応答がない。地元の事務所にも誰もいません。4月の統一地方選では、維新は大勝利でした。その勢いで6月の堺市長選、7月の参院選でも勝てると思っていた。だが、丸山氏の戦争発言で全部、吹っ飛んでしもうた。おまけに、丸山氏は市長選が行われる堺市の出身ですわ。相手に攻撃される格好の材料を提供してしまった。自爆ですよ…」(前出の地方議員)

 支援者にも見放された丸山議員は今後、どうするのか。

 

戦争発言の丸山氏、なぜ辞職させられないのか(2019年5月18日配信『東洋経済オンライン』)

 

自民党は及び腰、勧告決議に強制力もなし

北方領土返還問題に絡めて「戦争」に言及した丸山穂高衆院議員(大阪19区、日本維新の会から除名)が議員辞職に抵抗している。

今回の丸山氏の言動には、与野党を問わず「完全に一線を超えている」「国会議員として非常識極まりない」などと非難ごうごうで、議員辞職を求める声が支配的だが、当の丸山氏は「辞職拒否」を貫く構えだ。

丸山氏本人は「居座り」を宣言

維新の松井一郎代表(大阪市長)は「早急に潔く身を処すべきだ」と語気を強めるが、丸山氏は自らのツイッターで「(辞職勧告決議案が)可決されようがされまいが、任期を全うする」と居座りを宣言した。

決議可決でも丸山氏が議員を辞めなければ、同氏への議員歳費支給など多額の税金投入を余儀なくされる。同氏は「今後も政策実現に邁進する」と主張しているが、「誰も彼の政策提案など受け入れないはずで、税金泥棒のそしりは免れない」(維新幹部)のが実情だ。このため、国民の激しい批判の中で、決議案が宙ぶらりんとなれば「暴言議員の始末もできない国権の最高機関」(有識者)として国会の機能不全も問われそうだ。

多くの国民を唖然とさせる「戦争」発言が飛び出したのは11日。丸山氏は北方四島ビザなし交流の訪問団に、衆院沖縄北方問題特別委員会の委員として参加した。一連の公式行事が終わった同夜、国後島の施設「友好の家」での懇親会中に、元国後島民の大塚小彌太団長に対し、いきなり「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」などと質問。「戦争はすべきではない」と困惑する団長に、「戦争しないとどうしようもない」などの発言を投げつけた。丸山氏は酒に酔っており、その後も大声を出し続けたとされる。

 現場に居合わせた訪問団員らから抗議を受けた丸山氏は、北海道・根室港に戻った13日の記者会見で「団長に考えを尋ねただけだ」と釈明。騒ぎが拡大した同日深夜には「心から今回の発言について謝罪し、撤回する」と頭を下げた。ただ、議員辞職については「党と相談する」とかわし、翌日には維新に離党届を提出した。

維新の松井代表は「辞職は当たり前」

突然の暴言騒ぎに巻き込まれた維新は、14日に代表の松井氏が「議員辞職は当たり前」などと発言し、同党は離党届を受理せず丸山氏を除名処分とした。15日午後に日本記者クラブで記者会見した松井氏は、丸山氏の議員辞職について「組織としては権限がない。最終的には本人の判断」としたうえで、「政治家の身分がよすぎるため、一度当選すれば(議席を)手放すことはしない」と国会議員の待遇の良さが辞職しない原因との見解も示した。

「国益を損なう発言」と批判しながらも、自民党が決議案採決に難色を示すのは、可決しても実効性がないとの理由もある。衆院に提出された議員辞職決議案が本会議で可決されたのは過去に3例あるが、逮捕や起訴など刑事責任を問われたケースばかり。しかも、可決された決議に法的拘束力がないこともあって、いずれも当該議員は議員辞職を拒否している。今回のように「犯罪行為ではない不適切な発言で議員辞職決議案を提出、可決するのは前例がなく、単なるパフォーマンスに過ぎない」(自民国対)というのが自民の言い分だ。

決議案に賛成せざるを得ない自民党

さらに、先の桜田義孝氏の五輪担当相辞任など、自民議員が失言や暴言で閣僚辞任に追い込まれた場合、自民党はいずれも野党側からの議員辞職要求を拒んできた。「今回、国会外での発言内容などを理由に辞職勧告決議を可決すれば、失言議員への責任追及の前例となり、乱用の恐れも出てくる」(自民幹部)というわけだ。

ただ、野党が提出した決議案の採決を自民が拒否するか、採決しても反対か棄権すれば「丸山氏の発言を容認するのかと、国民が猛反発する」(閣僚経験者)のは間違いない。維新の松井氏も「提出できれば自民も賛成せざるを得ない」と指摘する。にも関わらず、「自民は今国会で決議案を棚ざらしにして、廃案を狙うのでは」(国民民主国対)との見方もある。

こうした与野党調整の難航を見透かしたように、騒動後に国会から姿を消した丸山氏は、15日夕刻にツイッターで「憲政史上例を見ない、言論の府が自らの首を絞める辞職勧告決議案かと。提出され審議されるなら、こちらも相応の反論や弁明を行います」などと、議員としての居座りを宣言した。

確かに、過去の例と同様に辞職を拒否し続ければ、衆院が解散されない限り、丸山氏の議員としての身分は保障される。その場合、無所属でも議員歳費やボーナスに文書通信交通滞在費や秘書手当などが規定どおり支給されるため、「支給総額は最大で年間7000万円近くになる」(衆院関係者)という。

過去には上西小百合議員の例も

維新では過去に党を除名されても議員を続けた上西小百合元衆院議員(現在はタレント)の例がある。同氏は2012年暮れの衆院選で初当選し、その特異な言動で「浪速のエリカ様」などと話題を振りまいた。2015年3月に「体調不良」を理由に衆議院本会議を欠席した際、本会議前日に居酒屋やショーパブをはしごしていたことや男性秘書と不倫温泉旅行に出かけていたことが週刊誌などで報じられ、国会でも騒ぎとなった。

同氏は「不倫旅行はデマによる中傷」などと反発したが、維新の創業者で当時は党最高顧問だった橋下徹元大阪市長が、「国会欠席前日に居酒屋とショーパブに行ったことは議員としてアウト」と強く議員辞職を促した。しかし、上西氏は「法に触れない限りは議員の身分は奪われない」と拒否して除名処分となり、2017年秋の衆院解散まで無所属の議員として過ごした。

約2年半の無所属議員時代、上西氏は表舞台で政治活動をほとんどせず、「億を超える貯金ができたのでは」(維新若手)などと揶揄された。このため、今回丸山氏が議員を続ければ「歳費などの大半が丸儲けになる」(同)との見方も少なくない。自民党からも「首相が衆院解散をしなければ上西氏のケースと同じことが起こる」(国対幹部)との声が出ている。

元キャリア官僚の橋下チルドレン

丸山氏は大阪生まれで、東大経済学部から経産省に入省した元キャリア官僚。約3年で経産省を退官し、松下政経塾を経て、2012年の衆院選にいわゆる「橋下チルドレン」として維新から出馬して28歳の最年少で初当選した。現在3期目だが、その経歴から「政策通で維新のホープ」(維新若手)との見方もあった。

ただ、飲酒による一般人への暴行事件や、2017年衆院選後に党代表選実施を主張し、橋下氏の怒りを買って離党騒動を起こすなど、「異常な行動」(維新幹部)も目立っていた。維新は4月の大阪府知事・市長の「ダブル選」と衆院大阪12区補選に圧勝して、念願の大阪都構想実現に道筋をつけたばかり。今回の丸山氏の言動は「維新のイメージダウンにつながり、参院選にも悪影響が出る」(維新幹部)ことを懸念している。だからこそ、松井氏らが先頭に立って議員辞職の旗を振ったのだ。

16日の衆院議院運営委員会理事会では、立憲民主党が辞職勧告決議の検討を求めたが、自民党は「対応を協議中」とかわした。与党は辞職勧告の「基準を緩める」ことに慎重で、公明党も「丸山氏は辞めるべきだが、感情論でやるべきではない」(国対幹部)との立場からだ。このため、決議案提出を受けた週明けの議運委理事会で調整難航は避けられそうもない。そうした中、野党の一部からは「憲法や国会法に基づく懲罰」を求める案も出ている。懲罰なら除名や登院停止など罰則を伴うからだが、こうしたことも与野党協議の迷走につながっている。

当の丸山氏は依然としてツイッターでの抵抗を続けているため、与野党双方の苛立ちも募る一方だ。ただ、騒動の「当事者」とされる維新は丸山氏の説得もできずに「飼い犬に手を噛まれて、勢いがそがれた」(幹部)と嘆くばかり。その一方で、自民は“ブーメラン”を恐れて右往左往し、それを見透かした丸山氏が居座り決め込むという奇妙な構図だ。

永田町では、「こんな状況を続ければ、令和新時代の道筋を決める夏の政治決戦に向けて、国民の政治不信が強まるばかり」(首相経験者)との声も広がり、国民も納得する問題決着への道筋はまだ見えてこない。

 

丸山氏の辞職勧告案提出 野党6党派 自公同調せず(2019年5月18日配信『東京新聞』)

   

 立憲民主党など野党六党派は17日、戦争による北方領土奪還に言及した丸山穂高衆院議員(35)に対する議員辞職勧告決議案を衆院に共同提出した。自民、公明両党にも同調を呼び掛けたが、与党は提出会派には加わらなかった。今後、決議案への賛成を求める方針だが、自民党の森山裕国対委員長は「国会議員の身分は非常に重い」と現時点では採決に慎重な姿勢を示している。

 決議案は丸山氏の発言について「信じ難い暴言」だと批判。「国是である平和主義に反し、国際問題にも発展しかねない。国会全体の権威と品位を著しく汚した」と直ちに辞職すべきだと勧告した。

 提出に先立ち、衆院議院運営委員会の野党筆頭理事を務める立民の手塚仁雄氏は、自民党の菅原一秀与党筆頭理事と国会内で断続的に会談し、共同提出を要請した。菅原氏は決議案の表題変更も含め、20日まで検討する意向を示したため、野党側は与党の結論を待たず決議案を提出した。

 手塚氏は提出後、記者団に「タイトルが変われば、辞職勧告決議案でなくなる可能性がある」と話した。

 森山氏は、野党の決議案提出後、記者団に「刑事事件に絡む話ではない」などと共同提出に加わらなかった理由を説明。丸山氏に対する非難決議案提出などの代替案については「公明党と協議し、与党として責任ある対応をしたい」と検討する考えを示した。

 立民以外の提出会派は、丸山氏を除名した日本維新の会と国民民主、共産、社民各党と社会保障を立て直す国民会議。丸山氏は決議案が可決されても辞職しない姿勢を示している。議員辞職勧告決議に法的拘束力はない。 

 

与党、「発言」理由の辞職勧告案に慎重姿勢 野党6党派、丸山氏の「戦争」で共同提出(2019年5月17日配信『毎日新聞』)

 

 立憲民主党、日本維新の会など野党6党派は17日、北方領土返還に関し「戦争しないとどうしようもなくないか」と発言した丸山穂高衆院議員=維新が除名処分=に対する辞職勧告決議案を衆院に共同提出した。21日にも衆院議院運営委員会理事会で取り扱いが協議される見通し。だが、与党は発言を理由とした辞職勧告に慎重姿勢を崩しておらず、審議に応じるかどうか不透明だ。

 決議案は維新の要請を受け、立憲が国民民主、共産、衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」、社民と対応を協議し、共同提出に応じることを決めた。衆院議運委の手塚仁雄・野党筆頭理事は17日、菅原一秀・与党筆頭理事(自民党)と国会内で会談し、与党にも共同提出に加わるよう打診。しかし、与党側は辞職勧告以外の決議案への変更も検討したい意向を示したため、野党側はこれを拒否し、提出に踏み切った。

 国会議員の身分は憲法や国会法で保障されているうえ、過去の辞職勧告決議案の大半は刑事事件に伴うものだったことから、与野党ともに発言を理由とした辞職勧告に対して慎重意見がある。しかし、丸山氏の発言が憲法に違反し、外交問題に発展して国益を損ねる可能性があるとして、野党6党派は「限度を超えている」(手塚氏)と判断した。

 決議案では、丸山氏の発言を「国是である平和主義に反し、国際問題にも発展しかねない」と指摘。さらに国会議員を代表して北方四島交流訪問事業(ビザなし交流)に参加した際の発言だったことから「国会全体の権威と品位を著しく汚した」と非難した。また、丸山氏は所属していた維新から除名処分だけでなく議員辞職も促されたことに対し、15日に自身のツイッターで議員活動を継続する意思を表明しており、「事の重大さを全く理解していない」とした。

 手塚氏は提出後、記者団に「発言自体が問題だという認識は与野党を超えて共有できているわけだから、これからでも遅くないので真摯(しんし)に受け止めていただければと思う」と述べ、与党に改めて協力を呼びかけた。

 一方、自民党の森山裕国対委員長は記者団に対し「極めて遺憾な発言だ」としながら、「言論の自由や、国会内での議員の発言は何ら問われないことなどを考えた時に辞職勧告がいいのかどうか、慎重でなければならない」と指摘。「国会は前例主義だから、後世の歴史の中で批判を受けるようなことがあってはならず、慎重な対応が必要だ」と述べた。自民幹部は決議案の対応について「『取り扱いを協議中』のまま国会は終わりだ」と語った。

 丸山氏は11日、国後島を訪問した際、元島民に「戦争でこの島を取り返すのは賛成か反対か」と質問。「戦争しないとどうしようもなくないですか」と戦争を容認するような発言をした。

議員丸山穂高君の議員辞職勧告に関する決議案

<理由>

 衆議院議員丸山穂高君は、四島在住ロシア人と日本国民の相互理解の増進を目的とした、「平成三十一年度北方四島交流訪問事業」、いわゆるビザなし交流に参加した途上で、元島民の方に対し、「戦争でこの島を取り返すことに賛成か」、「戦争しないとどうしようもなくないか」などと信じ難い暴言を吐いた。元島民の方々のお気持ちを傷つけただけでなく、国民の悲願である北方領土返還に向けた交渉の阻害要因ともなる、言語道断の言動であると断ぜざるを得ない。我が国の国是である平和主義に反し、更には、事態は国際問題にも発展しかねない可能性もあり、我が国の国益を大きく損ねる暴言であることも指摘せざるを得ない。

 また、今回の件は一議員の言動としても決して許されないだけでなく、丸山君が、沖縄及び北方問題に関する特別委員会委員として、衆議院、参議院から推薦されるメンバーとして、いわば国会議員を代表する形で、公費で北方四島交流訪問事業に参加した中でなされた言動である。この論外の言動が、国会全体の権威と品位を著しく汚したという事実は拭い難い。

 丸山君は、その所属政党からも一刻も早い議員辞職を求められたにもかかわらず、未(いま)だにその職に留(とど)まる意思を示しており、事の重大さを全く理解していないと言わざるを得ない。丸山君はこの事態を重く受け止め、直ちに議員の職を辞するべきであると勧告する。

 以上が、本決議案を提出する理由である。

   ◇  ◇

 提出者は、手塚仁雄、武内則男=立憲民主▽牧義夫=国民民主▽塩川鉄也=共産▽遠藤敬=日本維新の会▽広田一=社会保障を立て直す国民会議▽吉川元=社民――の各衆院議員。

 

丸山氏は辞職を 維新の責任が問われている(2019年5月17日配信『しんぶん赤旗』)

 

 日本共産党の志位和夫委員長は16日の記者会見で、記者団から「北方領土」奪還は「戦争しないとどうしようもない」などの暴言を元島民に浴びせた丸山穂高衆院議員(日本維新の会を除名)に対する議員辞職勧告決議を求める動きについての見解を問われ、問題の発言は憲法と国連憲章に違反するもので、「ただちに辞職することを強く要求する」と表明し、維新が辞職をさせる責任を果たさないまま除名したことについて厳しく批判しました。

 志位氏は、丸山氏の発言は明らかに戦争をけしかけたもので、元島民が「そんなことはできない」と拒否しても同様の発言を繰り返したと批判。戦争の放棄を定めた憲法9条と閣僚や国会議員などの憲法擁護尊重義務を定めた憲法99条に反する「二重の憲法違反」の「最悪の発言」であり、「まったく国会議員の資格はない」と指摘しました。

 また、紛争の平和的解決を定める国連憲章にも違反するとして、「こういう発言が野放しになったら、国際社会で日本がまともに生きていけなくなるような深刻な問題だ」と強調。「議員の職を辞するというのは、あまりにも当たり前だ」と主張しました。

 さらに、志位氏は「維新の会には二重に重大な責任がある」と指摘。「一つは、こういう人物を(公認して)国会議員にした責任だ」「いま一つは、こういう事態が起こったあと、辞職させる責任を果たさなかった責任だ。“あなたはもう国会議員の資格はない”と辞職をさせた上で除名するのが政党の責任の果たし方だ」と厳しく批判しました。

 そのうえで志位氏は「維新の会は、辞職させる責任を果たさなかったのだから、各党に対して、辞職勧告決議案を採択するよう、要請する責任がある」と述べました。

 

丸山氏への辞職勧告決議案「たらい回し」で進展せず(2019年5月16日配信『日刊スポーツ』)

 

 

衆院本会議の議場で、倒れたままの丸山穂高氏の氏名標=16日午後

 

戦争による北方領土の奪還論に言及し、日本維新の会を除名処分となった丸山穂高衆院議員(35)は16日、問題発覚後、初めて開かれた衆院本会議を欠席した。衆院事務局に欠席届を提出したが、理由は不明だ。無所属となった丸山氏の議席は、野党エリアの最前列にお引っ越しし、欠席が余計目立つ形となった。

丸山氏は13日夜の会見以降、“雲隠れ”が続く。辞職勧告を拒否する意向などを、ツイッターで一方的に主張するばかりで、報道陣が待つ本会議場には現れず、説明責任の果たし方にも疑問符がつく形となった。

一方、野党が提出を検討する丸山氏への辞職勧告決議案をめぐっては、どの党が主導するかで「たらい回し」状態で、具体的に進展しなかった。過去に同決議案が可決された4人は刑事事件に絡むケースで、今回のように失言が理由となるのはそもそも異例。政治家の出処進退は自ら決めるという原則論に加え、失言で辞職勧告が可決されれば、「辞職へのハードルが一気に下がる」(野党関係者)という警戒感もくすぶる。

自民党で失言防止マニュアルが配られるほど、政治家の言葉の質が低下傾向にある中、失言はどの党派でも起こり得る。「ブーメラン」を避けようと、各党が二の足を踏んでいる状態だ。ただ、丸山氏は北方領土の元島民に酔った状態で「戦争」を口にするなど、単なる失言のレベルではなく、「衆議院としてけじめを示すべき」との声は強い。

維新は16日、立憲民主党に辞職勧告決議案の共同提出を提案したが、立民は与党も含めた各党との共同提出を目指す。提出の見通しは不透明で、今回の問題がうやむやになることへの警戒感もある。

 

丸山穂高議員の辞職勧告決議案 維新、立憲に協力要請(2019年5月16日配信『毎日新聞』)

 

 北方領土返還に関し「戦争をしないとどうしようもなくないか」と発言した丸山穂高衆院議員(日本維新の会を除名処分)を巡り、日本維新の会は16日、立憲民主党に丸山氏に対する辞職勧告決議案の共同提出を要請した。立憲は他の野党とも対応を協議する方針。

 維新の衆院議員(11人)は提出に必要な20人に満たない。維新は当初、丸山氏を既に除名処分にしたことなどから「決議案が出れば賛成する」との方針だった。これに対し、16日の衆院議院運営委員会理事会で立憲や共産党が「丸山氏が所属していた維新から各党に働きかけるのが筋だ」と反発した。

 野党内で折り合いがつかない中、維新の松井一郎代表(大阪市長)は16日、遠藤敬国対委員長に電話で「(共同提案を)立憲民主党に頼んできたらどうか」と指示。遠藤氏は国会内で衆院議運委の手塚仁雄野党筆頭理事(立憲)と会談し、「ぜひ力を貸していただきたい」と決議案提出を要請した。維新の方針転換は、夏の参院選などを控え、党のイメージ悪化を回避する思惑もあるとみられる。

 ただ、過去の決議案の大半が刑事事件に伴うもので、発言を理由とする辞職勧告には与党を中心に慎重論が根強い。立憲や国民民主党、共産など他の野党も、決議案提出には前向きの姿勢を示しつつ、「発言による辞職勧告」を前例とすることへの懸念もあり、各党間で協議することとした。

 与野党がまとまり、決議案が提出・可決されても法的拘束力はない。維新は丸山氏に辞職するよう説得を続けているが、丸山氏は15日、自身のツイッターへの投稿で「可決されようがされまいが任期を全うする」と辞職を否定した。 

 丸山氏は11日、北方四島ビザなし交流の訪問団の一員として国後島を訪問した際、元島民で訪問団長の大塚小弥太さんに「ロシアと戦争で取り返すのは賛成か反対か」と質問。大塚さんが「戦争なんて言葉を使いたくない」と答えたところ、「戦争をしないとどうしようもなくないですか」と戦争を容認するような発言をした。

 

「戦争で」暴言の丸山議員に国費2000万円ちょろまかし疑惑(2019年5月16日配信『日刊ゲンダイ』)

 

「言われたまま黙り込むことはしない。可決されようがされまいが任期を全うする」――。議員辞職勧告決議案の提出の動きに、ツイッターでこのケンカ腰だ。

 酒に酔った上で言語道断の「戦争で北方4島を取り戻す」趣旨の大暴言で、所属先の日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員(35)。本人はまったく懲りていないようだ。

 与野党に辞職勧告決議を呼びかける古巣の維新に対し、「憲政史上例を見ない、言論府が自らの首を絞める辞職勧告決議案かと」「こちらも相応の反論や弁明を行います」と反撃ツイートを連発。「言論の自由」をタテに取り、あくまで徹底抗戦の構えである。

 ここまで勇ましい発言を飛ばせるのなら、本紙がつかんだ「政治とカネ」の問題にもキッパリ答えて欲しい。ズバリ、丸山議員には「国費ちょろまかし」の疑いがある。

 維新は国会議員に税金から月額100万円が支給される「文書通信交通滞在費」(文通費)について、全所属議員の使途を2015年10月分からネット上で公開している。当然、丸山議員の文通費も公開中だが、怪しい支出が常態化しているのだ。

 丸山議員は15年10月から毎月74万〜90万円の幅の文通費を「資金管理団体の繰入(寄付)」として計上。主な内訳は「事務所賃料」「駐車場代・複合機リース費・等」と記載している。ところが、丸山議員の資金管理団体「穂高会」の政治資金収支報告書のうち、現在閲覧可能な15〜17年分をどれだけめくっても、「複合機リース費」なる支出は一切、出てこないのだ。

■文通費を虚偽の理由で横流しか

 報告書に計上されている月々5万円の「事務所賃料」と月々1万6000円の「駐車場代」を差し引くと、15年10月〜17年12月の27カ月間で総額2016万9676円の税金の使途が「宙に浮いている」状況である。政治資金に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏はこう指摘する。

「そもそも文通費は、使途制限のない歳費と違い、『公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため』に国会議員に交付される公金だと法は定めています。政治活動への支出は目的外支出として違法の疑いがあり、さらに虚偽の理由で資金管理団体に横流ししたのなら、より悪質性は高い。ここまで常態化していると、単なる記載ミスでは済まされません。丸山氏は説明責任を果たすべきです」

 この件について丸山議員の議員会館と地元・大阪府泉佐野市の事務所に繰り返し問い合わせても、誰も電話に出ない。ファクスで質問状を送っても、ナシのつぶてだ。丸山議員はツイッターでしか雄弁になれない“ツイート番長”なのか。

 

丸山穂高氏が衆院本会議欠席 戦争発言での辞職勧告は結論出ず(2019年5月16日配信『共同通信』)

 

 北方領土を戦争で取り返すことの是非に言及し、日本維新の会を除名処分になった丸山穂高衆院議員は16日、同日午後に開催される衆院本会議への欠席届を衆院事務局に提出し、欠席した。理由は明らかになっていない。衆院議院運営委員会は同日の理事会で、丸山氏に対する議員辞職勧告決議案提出について協議したが、結論は出なかった。

 理事会では立憲民主党が「日本維新の会が各党に決議案の提出を働き掛けるべきだ」と主張。維新は「わが党がお願いに回ることはない」と難色を示したという。

 

丸山議員「戦争」発言 根本に何が(2019年5月16日配信『しんぶん赤旗』−「主張」)

 

維新の「憲法観」をみる

 日ロ領土問題で「戦争による領土奪還」の発言で日本維新の会から除名された丸山穂高議員―。今回の問題は、除名にとどまらず同氏が議員辞職すべき大問題です。さらにこうした発言が飛び出す根本には、日本維新の会自体の、9条否定の根深い体質、常軌を逸する憲法否定の体質があることを指摘せざるを得ません。(中祖寅一)

9条否定の「創設者」

 維新の母体、大阪維新の会の創設者の橋下徹元代表・元大阪市長は、憲法9条について「憲法9条とは、突き詰めると平和には何も労力がいらない、自ら汗はかかない、そういう趣旨だ」などと決めつけ。さらに「9条がなかったときは、他人のために汗をかこう、場合によっては命の危険もあるかもしれないけど、そういう負担もせざるを得ないとやっていた」とさえ述べていました(2012年3月)。

 しかし「9条がなかったとき」とは戦前のことです。戦前の日本では、国民は「汗をかく」どころか「死は鴻毛(こうもう)よりも軽し」(「軍人勅諭」)とされ、国家によって強制的に命を投げ出すことが求められました。

 橋下氏が石原慎太郎元東京都知事と共同代表を務めた時代には、同会の綱領に、「絶対平和という非現実的な共同幻想を押し付けた元凶である占領憲法を大幅に改正」と書き込みました(13年3月)。石原氏に代表される特異な極右的主張すら受け入れたのです。戦前の軍国主義を賛美する体質を示すものです。

安倍改憲の“お先棒”

 こうした思想を背景に維新は、一貫して安倍晋三首相の改憲策動のお先棒を担いでいます。

 吉村洋文大阪府知事は4月の大阪12区衆院補選の応援演説で「憲法改正一生懸命やらないのが自民党。情けない。ダイナマイトみたいにボカンと国会でやりたい」などと改憲をけしかけています。

 また松井一郎代表・大阪市長は、3日の憲法記念日に談話を発表し「憲法制定当時、我が国が自衛隊を持ち、海外で平和維持活動をすることを誰が想像しえたであろうか。憲法は、国民的課題として常に議論され、必要であれば国会が発議し、国民投票をもって改正する。それが立憲主義の姿」などとして安倍9条改憲を支持しました。

 同日、安倍首相がビデオメッセージを寄せた日本会議系の改憲集会で、維新の足立康史衆院議員は「われわれが提示をした教育無償化に正面から向き合ってくれるのであれば、われわれが憲法9条改正に正面から向き合い、自民党と手を携えて憲法9条改正を前に進めるべきことは明らか」と宣言。「少々だらしない自民党の尻を叩(たた)いて、この令和の時代、2019年にしっかりと憲法改正の国民投票に道筋をつけていく」と述べています。同会は昨年、教育無償化、統治機構改革、憲法裁判所の設置などの改憲案をまとめています。

憲法審へ与党と協力

 維新は、衆参の憲法審査会での改憲論議の早期開始を狙う安倍首相や日本会議勢力を支援し、安倍改憲に反対する野党を攻撃し続けています。

 15日の日本記者クラブでの記者会見で松井一郎代表は「憲法審査会の開催を妨害している国会議員というのは、国民を愚弄(ぐろう)しているのではないか、民主主義否定だ」と述べました。昨年12月に開かれた日本会議のフロント組織「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の集会では、維新の馬場伸幸幹事長が「(憲法審査会の開催を)妨害しているのは私たちを除く野党6党だ。野党のケツを叩くのは維新の会に任せていただきたい」などと発言しています。

安倍首相とエール交換

 「大阪維新の会」の代表だった橋下徹大阪市長(当時)は、市職員に対し、政党支援活動への参加の有無などの思想調査を「業務命令」として実施(12年2月)。内心の自由を侵害する「明白な憲法違反」と厳しく批判され、その後、違憲判決も出ています。また橋下氏が知事時代に大阪府議会で通した「君が代」斉唱と起立を強制する条例(11年5月)により、斉唱時に職員の口元をチェックするという異常な介入まで行いました。

 こうした維新政治に対し、政権復帰前の安倍首相は、松井一郎府知事(当時)とのディスカッションで「憲法や教育基本法を含めた戦後体制、戦後レジームから脱却しないと、日本は真の独立ができない」「松井知事と維新の会の条例は、私たちの方向(戦後レジームからの脱却)とまったく合致している」(12年2月)と述べていました。

党代表・幹部の体質

 松井代表は丸山氏の発言を受けた13日の最初のコメントでは「武力で領土を取り返すという考えは一切ない」としつつも、丸山氏の発言については「言論の自由なんで、どこのどういう場で、どう発言するのかは」などと容認する姿勢を示していました。批判の高まりの中で厳しい態度に変えましたが、批判的視点の欠如を示しています。

 維新女性局長の石井苗子参院議員にいたっては自身のツイッターで「深酒は普段の鎧(よろい)を剥ぎ取って本心を吐き出させる力がある」とコメントし、発言が丸山氏の「本心」であることを認めています。「本心」自体より、それを表明してしまったことを残念がっているのです。恐るべき「体質」を示しています。

 

丸山議員の辞職求め一致(2019年5月16日配信『しんぶん赤旗』)

 

5野党・会派国対委員長 「論外の暴言」

 日本共産党、立憲民主党、国民民主党、社会保障を立て直す国民会議、社民党の5野党・会派の国対委員長は15日、国会内で会談し、「北方領土」奪還は「戦争しないとどうしようもない」などの暴言を元島民に浴びせた丸山穂高衆院議員(日本維新の会を除名)について、同氏は「北方四島交流訪問」に衆院から派遣されていたもので、院の対応が問われる問題だとして、議員辞職を求めていくことで一致しました。

 会談で日本共産党の穀田恵二国対委員長は、「憲法を順守すべき国会議員として論外の許されない暴言であり、議員辞職は当然だ」と表明。衆院の代表として参加しながら、憲法に違反し、元島民の気持ちを傷つけたことは許しがたいと批判しました。

 丸山氏の暴言問題は、同日の衆院議院運営委員会の理事会で協議され、野党側が提起した議員辞職勧告決議について引き続き協議することになりました。

 

領土問題どう解決? 丸山議員発言、国連憲章に照らすと(2019年5月16日配信『朝日新聞』)

 

 ロシアとの北方領土問題をめぐり、日本維新の会に所属していた丸山穂高衆院議員が「戦争しないとどうしようもない」と発言して問題になりました。専門家らも「武力による解決が国際法違反と知らないのか」などと批判しています。そもそも、領土問題はどうやって解決されるものなのでしょうか。北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターの岩下明裕教授(国境学)に聞きました。

 ――領土問題を解決するのに、国際的な決まりはありますか。

 領土問題だけでなく、幅広く国家間の「紛争」を解決する際には、国連憲章に書かれている「平和的手段による解決」「武力の不行使」の原則を守らねばなりません。紛争の当事者は、武力によってではなく、「交渉、審査、仲介、調停、仲裁裁判、司法的解決、地域的機関または地域的取極(とりきめ)の利用その他当事者が選ぶ平和的手段による解決を求めなければならない」とされています。

 でも、軍事的な手段で領土を自国へ組み入れたように見える事例もあります。例えば、2014年にロシアがウクライナからクリミア半島を併合する際、多数のロシア兵が投入されました。このときロシアは、軍事介入の理由を「(クリミアにいる)自国民の保護」と説明しています。「領土問題の解決のため」の武力とは言っていないのです。他の事例をみても、自衛的な目的だとか、表向きの説明をつけて武力行使をしています。

 こうしてみると、丸山議員は「領土問題の解決のために戦争を」と言っているので、明らかに国際法違反の内容であることが分かると思います。

 ――問題解決のため、具体的にはどのように進められますか。

 国際法的には「国家主権」が原則ですから、当事国同士が自分たちで話し合って決めていくことになります。日本とロシアが北方領土問題でそうしているように、首脳や外相らが会議をし、妥協点を探っていく作業をします。

 ほかに、国連の国際司法裁判所(ICJ)に持ち込んでの解決という方法もあります。世界の各地域から選ばれた裁判官が裁判を開いて検討し、法的拘束力のある判決を出します。

 ただ、ICJは原則的に、双方が紛争の存在を認めていないと事案を受けません。例えば、韓国との竹島問題は韓国側が紛争の存在を認めておらず、中国が領有権を主張する尖閣諸島については日本側が紛争の存在を認めていないので、ICJにかけることはできないことになります。

 北方領土問題は日本もロシアも紛争の存在を認めているので、ICJにかけることはできます。過去には、日本がICJによる解決を提案したこともあるんです。でも、結局は二国間で交渉していくことになりました。一般的に、アメリカやロシアのような大国はICJによる解決を好まない風潮があります。他の意見を聴かなければいけないことになりますから。

 北方領土問題は、ちゃんと当事国同士で交渉ができているという観点からすれば、竹島の問題よりは進んでいると言えます。交渉の中身は進んでいませんが、議論は続けていますよね。

 また、ICJ以外に、第三国の仲裁による解決などの方法もあります。

 ――今後、北方領土問題がICJにかけられる可能性はありますか。

 その可能性は低いと思います。ロシアは旧ソ連時代に、北方領土四島の法的地位についてひそかに検討していました。国後・択捉両島に関するロシアの立場は強いが、色丹・歯舞両島については日本の法的論拠の方が強いといった内容です。2島で不利になる可能性が高いものを、やりたくはないでしょうね。

 ――領土問題を平和的に解決できた例はありますか。

 中国とロシアの東部国境画定(2008年)の例や、インドとバングラデシュで国境地帯の飛び地を整理・解消した際(15年)では、武力は使われていません。また、ICJの判決が解決につながった例も複数あります。最後は平和的に解決する事例は、結構あるんです。(今さら聞けない世界)

 

丸山穂高「戦争」発言でも長谷川豊、百田尚樹はマスコミ報道を批判!「テレ朝がこっそり録音」とデマ(2019年5月16日配信『リテラ』)

 

日本維新の会・丸山穂高衆院議員の「戦争しないとどうしようもない」発言。ふだん戦争扇動発言には擁護的な安倍応援団やネトウヨ文化人も今回はさすがにまずいと感じたのか、だんまりを決め込んでいるようだ……と思っていたら、そうでもなかった。

 やっぱりバカはどんなときも止められないらしい。どう見ても擁護できないにもかかわらず、当の丸山議員でなく、発言を報道したマスコミに噛み付いたネトウヨ文化人がいたのだ。

 ひとり目は、2017年の衆院選で維新から出馬し落選、今夏の参院選で維新から候補者として公認を受けている元フジテレビアナのネトウヨ論客・長谷川豊氏。14日にこう連続ツイートした。

〈@丸山穂高さんの件について色々とコメントも来てますが、さすがに材料が無さすぎて良く分かりません。今分かってるのはテレ朝は「この録音がある」と。丸山さんは「切り取りだ」と。そこまでしか分からずにコメントしにくいです。前後もないし。

ただ、丸山穂高議員は少なくとも、国会の場において→〉

〈A素晴らしい追求や質問をいくつもしている代議士である事は疑いようもないと思います。

一つ言えることは「そもそも戦争なんて出来ない」訳だし、丸山さん、随分と酔っ払ってたのかなぁ…という程度でしょうか。前後もちゃんと聞けばコメントしようもありますけど。

ただ、今回の件で一つだけ。→〉

〈B元メディアにいて、取材を17年半してきた人間として言えるのは、このテレ朝のやり方(みんなで酔っ払った場でこっそり録音してそれを切り取って晒すという行動)は正直、好感が持てません。

こんな事やったら、もう政治家がみんな心を開いてくれなくなります。酒なんて飲みに行けないです。→〉

〈C丸山代議士の件はもちろん、党の執行部が対処されると思いますが、あくまでメディア人として見た感想としては「テレ朝さん、ちょいスジワルなんじゃない?これは」と言いたくなります。

あくまで元メディア人としてのコメントです。それ以上でもそれ以下でもありません。〉

 さらに、佐藤浩市氏の発言を切り取り、「三流」呼ばわりして批判を浴びているネトウヨ作家の百田尚樹氏も、右派系オピニオン誌の常連執筆者である政治評論家・加藤清隆氏のこんなツイートをRTした。

〈今回の丸山問題で最も気に入らないのが、同議員の発言を録音していた人間がいるということだ。もちろん酒に酔って、訪問団に絡んだことは十分に反省してもらわなければならないが、発言を外に出しことを前提に録音するなど、言語道断。そもそも話し合いで北方四島が戻ってくると考える方が甘くないか?〉

 百田本人はとくにコメントしていないが、これまでの RT傾向を見れば、明らかにこの主張に賛同して拡散したものと思われる。

こっそり録音」は真っ赤な嘘! 録音中の会見に丸山議員が乱入しただけ

 まったくあきれてものも言えない、とはこのことだ。周知のように、今回、テレビ朝日はプライベートの飲み会をこっそり録音していたわけではない。11日夜、「ビザなし交流」の友好の家で開かれた、記者が北方領土訪問団の大塚小彌太団長に取材していたところ、いきなり丸山議員が乱入してきて、大塚団長ら訪問団関係者に絡み始めたのだ。

 テレ朝を含むマスコミは、取材のためにカメラや録音機を回していただけであり、丸山議員の音声が録音されていたのは、勝手に丸山議員が割って入ってきただけに過ぎない。しかも、取材中である旨を説明し制止する記者に対しても丸山議員は恫喝を繰り返していた。

 こうした丸山議員の言動については、訪問団も怒って抗議しており、国会議員が北方領土友好事業を妨害したというトラブルを音声つきで公開するのは当たり前だろう。

 ところが長谷川氏は「切り取り」「こっそり録音」などとのたまい、百田氏は「録音は言語道断」などというツイートをRTしたのだ。ちなみに、長谷川氏はその後、〈あまりに度を越して突飛過ぎる発言だったので「切り取られてたのかなぁ」と思ってました。念のために関係者に聞きました。本当に単に酔っ払って絡んでただけだった、と。島の関係者の方々はかなり嫌な思いをしていた、と。なんでそこまでお酒飲んだんだよう…こんなの誰もフォロー出来ないよ…〉と、泣きを入れて修正していたが、百田氏はRTしっぱなしで、なんの釈明もしていない。

 しかし、この「録音」攻撃は事実誤認以前の問題だ。仮に、丸山氏の発言が取材中でなく、飲み会の発言だったとしても、なぜ政治家の発言を「録音して報道する」ことが「言語道断」ということになるのか。政治家の本音を暴くことは、報道機関として当然の行為ではないか。しかも、それが日本国憲法に反して「戦争しないとどうしようない」というような発言なら尚更だ。逆に政治家がプライベートの席で「戦争するしかない」と口にしていたのに、それを「公の発言ではないから」と報道しないとしたら、それはメディアの自殺行為だろう。

 百田は「沖縄の2紙を潰さなあかん」のときも「盗み聞き、卑劣」とマスコミ攻撃

 長谷川氏、百田氏ら安倍応援団は自分たちが支持するグロテスクな戦争扇動の本音を暴かれたことをごまかすために、取材手法に難癖をつけて、メディア批判に話をすり替えようとしているだけなのだ。

 百田氏は、4年前、自民党の文化芸術懇話会という勉強会で「沖縄の2紙を潰さなあかん」と発言して批判を浴びたときも、TwitterやFacebookでおなじような言い訳をしていた。

〈ギャグで言った言葉を切り取られた。しかも部屋の外から盗み聞き!卑劣!それにしても、報道陣は冒頭の2分だけで退室したのに、ドアのガラスに耳をつけて聞き耳してるのは笑った。しかし、正規の取材じゃなくて盗み聞きを記事にするのは、ルール違反だし、卑劣だろう!〉

〈私はラジオやテレビで不特定多数に向けて発言したわけではない。あくまで私的な集まりの場において話したにすぎない。内輪の席での発言だ。

 そういう場で口にした軽口が、大々的に報道され、あるいは国会で問題にされるようなことだろうか。

 しかも、私は議員でもなければNHK経営委員でもない。一私人である。〉

 百田氏は政党交付金を受けている公党の勉強会を、居酒屋の常連同士の会話と同じ「内輪の席」だと言い張り、政権与党の若手議員たちが何を考えているのかをチェックする報道を「盗み聞き」と批判したのだ。

 もはや笑うしかないような詭弁、スリカエだが、しかし、連中はこれまでつねにこういうかたちで、政権に不正や危険性を暴こうとする批判者の枝葉末節な取材手法を“倫理違反”だとわめき立て、安倍政権批判を封じ込めてきた。

 そして、ネットでは、ネトウヨ、安倍応援団だけでなく、リテラシーの低い一般市民もその“スリカエ”に騙されて、いつのまにか「どっちもどっちだよね」という感想を持つことになり、権力の悪行や言論封殺の危険思想がまんまと見逃される状態になっている。

 先日の佐藤浩市問題も同様で、安倍応援団が佐藤氏の発言を捻じ曲げて「首相を揶揄した」「難病を差別した」などでっちあげた結果、政治性のないユーザーまでが「難病をからかうのはよくない」などというツイートを書き込む事態となっている。

 おそらく連中はデマだろうが、スリカエだろうが、“言ったもん勝ち”だと図に乗っているのだろう。こうした批判封じ込めに対抗するためにも、安倍応援団の卑劣なメディアに対するフェイク攻撃を徹底的に暴いていくつもりだ。

 

丸山議員の人物像は 「主張譲らず。行間を読んだり弱者の視点で考えたりするのが苦手」と知人(2019年5月15日配信『毎日新聞』)

 

 丸山穂高衆院議員(35)=大阪19区=が国後島訪問中の11日夜、北方領土問題について元島民の男性に「戦争をしないとどうしようもなくないか」「(戦争をしないと)取り返せない」などと発言した問題。丸山氏はどんな議員なのか。地元・大阪の維新関係者は「党の選挙応援に入ったときは率先してマイクを握り、『私が頑張りますから少し休んでいてください』と年長者に気遣いができる青年だった」と振り返る一方、「ツイッターで断酒を宣言していたが、支援者らと地元で飲んでいるという話を聞いていたので心配していた」と話す。国会議員になる前の丸山氏を知る知人男性は、取材に「目立ちたがり屋で自分の主張を譲らないところがあった。何でも経済原理で説明しようとする癖があり、行間を読んだり弱者の視点で考えたりすることが苦手だった」と語る。

 ツイッター上でも「こんな人物に血税が何千万円も支払われるなんて」などと批判が相次ぐ。

 

「戦争」発言・丸山議員の辞職勧告案、自民は提出に慎重(2019年5月15日配信『朝日新聞』)

 

 北方領土返還の手段として「戦争」に言及した丸山穂高衆院議員(日本維新の会から除名)は議員にとどまるべきか。与野党は批判を強めるが、辞職勧告決議案提出では足並みがそろわない。野党側は憲法の平和主義を尊重する国会の意思を示すべきだとの立場だが、自民党には前例を逸脱すると慎重な意見がある。

 「辞職は促している。彼のこれからの人生のためにも早急に潔く身を処すべきだ。辞職勧告決議案が出れば賛成する」。維新の松井一郎代表(大阪市長)は15日、日本記者クラブでの会見で語気を強めた。

 党のイメージダウンを避けたい維新は14日に丸山氏を除名。松井氏が「今辞めるべきだ」と議員辞職を求めた。15日の国会議員団役員会では辞職勧告決議案が提出されれば賛成する方針を決めた。馬場伸幸幹事長は「与野党を問わず提出してほしい」と記者会見で呼びかけた。

 丸山氏が所属した維新が自ら決議案を提出せず、他党に提出を呼びかけたのは、提出には衆院議員20人以上の賛成が必要で、11人の維新単独では提出できないためだ。

 他の野党は決議案に前向きだ。国民民主党の玉木雄一郎代表は15日の記者会見で「丸山氏は議員辞職すべきだ。憲法、国連憲章から戦争によって物事を解決する手段をとらないのが日本の平和主義の根幹。国会としての意思を明確にすべきだ」と述べた。

 ただ、丸山氏は議員辞職しない考え。15日午後、ツイッターを更新し、「(決議案が)提出され審議されるなら、こちらも相応の反論や弁明を行います」と投稿した。

自民内、物議醸した議員も

 「国益を損なう発言だ。衆院を代表して派遣されている。発言は重い」。自民国対関係者は15日、丸山氏が沖縄北方特別委の委員として派遣された点を踏まえ、発言を批判。何らかの対応は必要との認識を示した。

 ただ、決議案提出には慎重な姿勢を崩していない。

 理由の一つは、過去の辞職勧告決議案が、有罪判決を受けたり、逮捕・起訴されたりするなど、刑事責任を問われた議員に出されることが多かったためだ。

 自民中堅議員は「議員の身分に関わるから、犯罪行為が立証されていない限りは基本的に前向きにはなれない」。発言が不適切だったことを理由に「辞職相当」と認めれば過去の事例との整合性がとれなくなるとの立場だ。

 党内には、問題発言などで物議を醸したことがある議員を抱える。決議案提出に賛同すれば、こうした議員への責任追及の前例になるとの懸念もある。

 自民国対幹部は「自民党だけが反対して可決しなかったら、戦争を認めているのかと受け取られてしまう」と悩む。「辞職勧告でなくても、国会として『遺憾』ということが言えればいい」と決議案以外の策も検討する方針だ。(斉藤太郎、永田大)

     ◇

〈議員辞職勧告決議案〉提出には、国会法の規定で提出者のほか衆院は20人以上、参院は10人以上の賛成が必要。対象議員が所属した政党などが本会議採決に応じず、廃案になる場合もある。本会議で可決されても法的拘束力はない。これまで決議可決を直接の理由として辞職した議員はいない。

 

衆院に提出された主な議員辞職勧告決議案■

 

提出時期

対象者(敬称略)

理由

結果

2002年3月

鈴木宗男

ODAなどを巡る汚職疑惑

可決

03年3月

坂井隆憲

政治資金規正法違反容疑で逮捕

可決

03年4月

松浪健四郎

暴力団関連企業から秘書給与の肩代わり

廃案

06年3月

西村真悟

弁護士法違反容疑などで逮捕

可決

10年2月

石川知裕

政治資金規正法違反罪で起訴

廃案

10年6月

小林千代美

陣営関係者による違法選挙資金事件

廃案

11年2月

石川知裕

政治資金規正法違反罪で起訴

廃案

11年9月

石川知裕

政治資金規正法違反罪で有罪

廃案

 

丸山氏の辞職勧告決議、維新が与野党に呼びかける方針(2019年5月15日配信『朝日新聞』)

 

 日本維新の会は15日の国会議員団役員会で、北方領土返還に関連して戦争に言及し、除名処分とした丸山穂高衆院議員について、辞職勧告決議案の衆院への提出を与野党に呼びかける方針を決めた。与党内にも賛同する声が出ている。自民党が賛成に回る場合、決議案は可決される。

 維新の松井一郎代表(大阪市長)は14日、丸山氏について「辞職するべきだ」と記者団に述べたが、丸山氏は自らのツイッターに「無所属にて活動する」と投稿、議員辞職はしない考えを示している。辞職勧告決議案は可決されても法的拘束力はない。

 維新を除く立憲民主党など野党5党派の国会対策委員長は、維新の役員会に先立ち国会内で対応を協議。立憲の辻元清美国対委員長は会談後、「けじめをつけないといけない。単なる暴言とはちょっと意味が違う」と記者団に述べ、辞職勧告決議案の提出に意欲を示した。

 丸山氏は11日、北方四島ビザなし交流の訪問団の一員として国後島を訪れた際、酒に酔った状態で団長の元島民に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」と質問。さらに「戦争しないと、どうしようもなくないですか」とも発言した。13日に都内で記者団に「謝罪し撤回する」と釈明し、14日に維新に離党届を出したが、受理されず除名処分を受けた。

 

 

安倍首相と丸山穂高に共通する戦争扇動(2019年5月15日配信『リテラ』)

 

安倍首相の思想は“戦争しないと”丸山穂高と変わらない! 過去に「日本人も血を流せ」「尖閣は外交でなく物理的な力で」発言

 維新・丸山穂高議員による「戦争しないとどうしようもなくないですか」発言。維新は火消しに躍起で丸山議員を除名処分にしたが、しかし、今回の問題、跳ね上がり議員が酒の勢いで口を滑らせた、ということで終わらせてはいけない。

 なぜなら、あの発言の根っこにあるネトウヨ丸出しの浅薄な“戦争扇動”思想は丸山議員にかぎったものではないからだ。歴史修正によって過去の侵略戦争を美化し、国民が国を守るために命をかけることを迫り、日本人が血を流す未来の戦争を煽る──。こうした姿勢の議員は政権与党である自民党にこそ、やまほどいる。

 そして、この頂点にいるのがほかでもない、総理大臣である安倍晋三だ。たとえば、安倍は2012年の総理に返り咲く数カ月前、こんな物騒なことを堂々と口にしていた。

「わが国の領土と領海は私たち自身が血を流してでも護り抜くという決意を示さなければなりません。そのためには尖閣諸島に日本人の誰かが住まなければならない。誰が住むか。海上保安庁にしろ自衛隊にしろ誰かが住む」

「まず日本人が命をかけなければ、若い米軍の兵士の命もかけてくれません」(「ジャパニズム」青林堂、2012年5月号での田久保忠衛・日本会議会長との対談)

 国民が血を流してでも国の領土を守らなくてはならない……こんな発言が野放しになり、再び総理に登り詰めたことには戦慄を覚えずにはいられないが、著書『美しい国へ』(文藝春秋)のなかではさらにこうも明言している。

〈尖閣問題について、よく「外交交渉で解決していく」という人がいますが、この問題に外交交渉の余地などありません。尖閣海域で求められているのは、交渉ではなく、誤解を恐れずにいえば物理的な力です。〉

 外交努力を放棄して物理的な軍事力でどうにかするしかないなどと主張するとは自分が政治家として無能だと曝け出しているに等しい。実際、安倍外交はものの見事に失敗しつづけているわけだが、その上、同書ではこんな危機煽動までおこなっている。

〈たとえば日本を攻撃するために、東京湾に、大量破壊兵器を積んだテロリストの工作船がやってきても、向こうから何らかの攻撃がないかぎり、こちらから武力を行使して、相手を排除することはできないのだ。〉

 東京湾に工作船がやってきたら、日本の領海なのだから攻撃されずとも当然、海上保安庁が排除に乗り出す。「相手を排除できない」などというのはあからさまな嘘だ。結局、安倍首相というのはこうやって危機を煽っては武力に物言わせるような強いポーズをとり、ネトウヨの支持を取り付けてきたのである。

 こうした攻撃的な発言はまだまだある。2003年には「兵器が進歩していく中で戦術も戦略も変わってきていますから、打撃力をすべてアメリカ任せというやりかたでいいのかどうか」(「諸君!」文藝春秋/休刊、2003年9月号)と述べて“打撃力=他国への攻撃能力”の見直しを訴えたかと思えば、「兵器がどんどん進歩し戦術・戦略が変わっていく中で、今までの専守防衛の範囲でいいのか」(2003年5月12日、読売国際会議の基調講演)と専守防衛にまで疑義を御呈したのだ。

 そして極めつきが、「核武装肯定」論だろう。2002年、早稲田大学で開かれた田原総一朗氏との対話のなかで安倍氏は「憲法上は原子爆弾だって問題ではないですからね、憲法上は。小型であればですね」と発言(「サンデー毎日」02年6月2日号/毎日新聞出版)。第一次政権時の2006年には「核兵器であっても、自衛のための必要最小限度にとどまれば、保有は必ずしも憲法の禁止するところではない」と答弁書に記したのである。

先制攻撃、核武装…安倍首相の“ネトウヨ脳”が自民党に拡散

“まずはこっちから撃ってしまえ”と専守防衛を無視した先制攻撃論から核兵器保持まで……。先の戦争の反省などまるでなし。むしろ安倍首相は「あの時には、あの時のわが国の主張があった」(『「保守革命」宣言 アンチ・リベラルへの選択』現代書林/栗本慎一郎、衛藤晟一との共著/1996年)などと正当化、好戦的な発言を繰り返してここまで登り詰めたのだ。

 無論、こうした安倍首相の“ネトウヨDNA”は第二次政権下で爆発的に自民党内に蔓延。その筆頭こそ、安倍首相自らが政治家へと一本釣りし、寵愛してきた稲田朋美・元防衛相だ。現に、稲田議員は安倍首相とそっくりの発言を連発してきた。

「国民の一人ひとり、みなさん方一人ひとりが、自分の国は自分で守る。そして自分の国を守るためには、血を流す覚悟をしなければならないのです!」(2010年に開催された集会での発言)

「靖国神社というのは不戦の誓いをするところではなくて、『祖国に何かあれば後に続きます』と誓うところでないといけないんです」(「WiLL」2006年9月号/ワック)

 また、安倍首相の“極右の盟友”のひとりで「自民党ネットサポーターズクラブ」(J−NSC)の初代代表である新藤義孝・元総務相も、「自分たちの国を自分たちで守る」ことを主張し、「いま、奪われている領土、取り戻しましょうよ。北方領土、竹島、しっかりとこれを主張するだけではなく行動しなければいけない」と訴えている(2012年、創生「日本」東京研修会での発言)。

 自分で自分の国を守る、そのためには血を流す覚悟をもて。安倍首相とそのエピゴーネン議員たちがこぞって唱えるこれらの主張の行き着く先、それこそが憲法改正だ。

安倍一派が目指す憲法改正の真の目的は「日本人が血を流すこと」

 象徴的な出来事がある。それは2018年1月に櫻井よしこ氏が理事長を務めるシンクタンク「国家基本問題研究所」が開催した月例研究会でのこと。「憲法改正を阻むものは何か」をテーマに、櫻井氏のほか安倍応援団の長谷川三千子氏や産経新聞の田北真樹子氏、そして当時財務副大臣だった自民党の木原稔・衆院議員が登場。木原議員といえば、言論弾圧発言が飛び出し問題となった自民党の「文化芸術懇談会」代表で、2017年には“「子供たちを戦場に送るな」と主張することは偏向教育、特定のイデオロギーだ”と糾弾、自民党HP上にそうした学校や教員の情報を投稿できる“密告フォーム”の設置を実施していた人物である。

 この場で櫻井氏は、こんな訴えをおこなった。

「明治維新のとき、日本人は、今のような生ぬるい議論をしていたのではなかったはずです。多くの人が殺されて、切り合って、議論をして、血を流して、自分の命を犠牲にして、日本国が列強諸国に飲み込まれないために戦ったのです。そして、日本国を守り通した。その発想が、今こそ必要なのです」

 揃いも揃って「血を流せ」などという言葉を平気で口にできるものかと唖然とさせられるが、問題はこのあと。櫻井氏の発言に呼応するように、木原議員は「本当に憲法、特に九条を改正しないと、国家の危機に直結します」と発言。そして、「安倍さんが『ここ一番、今だ、行くぞ』と言われたときが、『いざ鎌倉』、必ず立ち上がります。そして大きな国民運動のうねりの先頭に立って戦う。これが自民党の議員です」と宣言したのだった。

 国民が命を犠牲にする国に戻すため、憲法を改正する──。実際、安倍首相は今年の憲法記念日に「新憲法の2020年施行を目指す」と宣言したばかりだが、その本質は安倍首相やその取り巻きたちの発言が指し示すとおり、“戦争ができる国”“国民が血を流す国”づくりを推進させるためのものなのである。

「戦争しないとどうしようもない」という発言がワイドショーを含めこれだけ問題視される一方、好戦的であることを隠さず、国民の命を虫けら同然に扱うことをシラフで堂々と述べ、そのための憲法改正に本格的に乗り出そうとしていることへの危険性がまったく問題にならない現状。メディアは丸山議員だけでなく、安倍首相をはじめとする自民党の極右改憲派議員たちにも共通する根っこがあることきちんと指摘し、批判すべきではないのか。

 

丸山議員の戦争発言で注目 安倍官邸と維新の怪しい関係(2019年5月15日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 耳を疑うとは、このことだ。

「戦争でこの島を取り返すことは賛成ですか」――。日本維新の会の丸山穂高衆院議員(35)が北方領土の「ビザなし交流」に参加した際、元島民に対して、領土奪還の手段として「戦争」を持ち出したというのである。

 丸山のトンデモ発言があったのは11日夜。北方領土・国後島の宿舎で夕食後、訪問団の大塚小弥太団長との間で、こんなやりとりがあった。

丸山「団長は戦争でこの島を取り返すことは賛成ですか、反対ですか」

団長「戦争で?」

丸山「ロシアが混乱しているときに取り返すのはオッケーですか」

団長「戦争なんて言葉は使いたくないです。使いたくない」

丸山「でも取り返せないですよね?」

団長「いや、戦争はすべきではない」

丸山「戦争しないとどうしようもなくないですか?」 

団長「いや、戦争は必要ないです」

 この時、丸山は酒を飲んでいたというが、たとえ酔っていても「戦争で領土奪還」なんて発想は、普通は出てこない。あり得ない発言だ。

 丸山は13日に発言を撤回、14日離党届を提出したが、維新は受理せず、党紀委員会を開いて除名処分にすることを決めた。松井代表が「国会議員としてあるまじき行為、発言。辞職すべきだ」と、珍しくマトモなことを言っていたのが印象的だ。維新内部で丸山を擁護する声は皆無だったという。

「怒りの声しかありませんね。丸山はもともと酒癖が悪く、飲むとドンドン目が据わってくる。絡み酒の上に、人の話はまったく聞かへん。(戦争発言の)報道が出た時も驚きはなく、想像の範囲内やった。4年前に飲酒トラブルを起こしてから禁酒宣言をして飲み会には来なかったけど、最近はひとりで飲みに行っていると党内でウワサになってました」(維新の会関係者)

国際社会も警戒する危うさ

現在3期目の丸山は東大経済学部から経産省。約3年で退官し、松下政経塾を経て2012年の衆院選で初当選というピカピカの経歴を誇るが、お騒がせ議員としても有名で、さんざんトラブルを起こしてきた。

4年前には、居酒屋を出たところで一般人と口論になり、相手の右手に噛みついてパトカーが出動する騒ぎを起こした。銀座のホステスを口説いて“ヤリ逃げ”したと週刊誌に報じられたこともある。

維新の元代表・橋下徹氏との“バトル”でも知られる。

安保法が審議された15年、橋下の発言を<言うだけならただの評論家><ご引退の準備だとしたら少し寂しい>と揶揄。2年前にも代表選をめぐってツイッター上で橋下氏と口論になり、「ボケ!」と罵倒されて離党届を提出する事態になった。その時は撤回して許されたが、さすがに今回は除名処分になった。今後は無所属で活動を続けるという。

「橋下氏と折り合いが悪いことも、あっさり切られた原因のひとつでしょうが、国会議員が『戦争しないとどうしようもない』などと発言するようでは世も末です。議員辞職モノですよ。しかも、東大から経産省という立派なキャリアの持ち主ですから、国際社会も日本は危ういと警戒するでしょう。注意しなければならないのは、これは決して丸山議員の“個人の資質”だけの問題ではないということ。好戦的な姿勢は、安倍官邸と蜜月の松井代表や橋下氏にも共通します。国民が維新に対して感じている得体の知れない恐ろしさの正体が、今回の戦争発言で露呈したということです」(政治評論家・本澤二郎氏)

維新と組んで改憲をもくろむ軍拡政権のホンネを忖度

知事と市長を入れ替える大阪ダブル選挙で圧勝した維新はイケイケで、橋下氏は産経新聞(4日付)のインタビューで「安倍さんに負けないくらいの改憲論者である松井さんはダブル選の勢いに乗じ、公明を潰しにいくことを考えている」と指摘。「安倍さんが実現したいと強く願っている憲法改正に協力するための行動を起こすべき」とも言っていた。そんな中で飛び出したチンピラ議員の戦争発言。ここに底知れぬ不気味さを感じるのである。

「この6年間の軍拡予算を見れば明らかなように、米国と組んで戦争をしたいというのが安倍首相の本音です。そのために憲法9条の改稿をやりたがっている。維新と組んでの憲法改正です。そういう背景があって、丸山暴言が出てきた。安倍首相の本音を忖度して発言したのですよ。安倍政権で改憲派を名乗る人々は、みな丸山議員と同じ危険なにおいがします。憲法を読んだこともない人間がバッジをつけ、首相にまでなり、改憲と戦争をあおっている。それが安倍官邸と維新の本質なのです。丸山議員個人の責任に矮小化して済ませていい問題ではない。日本が恐ろしいところに来ていることに国民は気づかなければなりません」(本澤二郎氏=前出)

改憲のために維新と手を組む官邸の意向に寄り添うかのように、ダブル選で激しく対立した大阪自民も、維新の最重要政策である大阪都構想の住民投票を容認する姿勢に転じた。11日に府連会長に就任した渡嘉敷奈緒美衆院議員が、これまで対立してきた維新との連携を目指す考えを唐突に表明したのだ。

■融和の旗振る安倍チルドレン

「05年の郵政選挙で初当選した渡嘉敷氏は小泉チルドレンと言われますが、その実態は安倍首相が産み落とした安倍チルドレンです。安倍昭恵夫人と中学・高校の同級生で、自宅で飲み会をする仲だった。05年7月の東京都議選に立候補した時は法定得票数も取れずに落選したのに、直後の9月に自民党公認候補として大阪7区から出馬して当選したのだから、安倍夫妻は恩人でしょう。指示か忖度か分かりませんが、安倍官邸の先兵役として維新との融和路線を進める役割を担っているのです」(ジャーナリストの横田一氏) 

渡嘉敷は住民投票の実施だけでなく、都構想の賛成に舵を切ることも示唆しているが、こんなフザけた話があるか。

4月の統一地方選で、自民党は都構想反対を掲げて戦ったのだ。都構想の中身は選挙前と後で少しも変わっていないのに突然、容認に転じるからには、それなりの理由が必要だ。何の総括も議論もないまま、トップダウンで維新との連携に走るのは、都構想反対の自民党候補に一票を投じた有権者に対する冒涜ではないのか。これほど破廉恥な変節、国民愚弄をなぜ大マスコミは糾弾しないのか。これまた官邸への忖度か。

「官邸の野望のために国民を愚弄する自民党も、それを批判しないメディアも腐敗しきっています。大阪府連は府議・市議らとの事前協議も、全体会議での議論もないまま、官邸の意向を受けてコンセンサスなき融和路線が決められた。投票してくれた市民に説明がつかないと大阪市議団は猛反発しています。当然の反応ですが、官邸と維新が裏で手を組み、渡嘉敷氏を矢面にして大阪市議団を切り捨て、有権者の声を無視することに決めた。このところ、橋下元大阪市長が大阪市議団に対し、ツイッターで『維新と組んで憲法改正に取り組もう』といった書き込みをするなど、国政でも自民と維新が連携する流れが急速につくられています。そもそも、お腹が痛くなって辞めた憲政史上最弱の首相が返り咲いたのも、当時は人気絶頂だった橋下維新とのパイプを利用したおかげでした。維新と安倍首相はタカ派の教育政策や歴史認識、憲法改正などで共鳴し合っている。そういう中から、戦争で領土を取り戻すという発想も出てくるのです」(横田一氏=前出)

丸山発言の根は深い。安倍官邸と維新がタッグを組んで、国民をどこに連れて行こうとしているのか。薄気味悪いシナリオが進行している。

 

丸山議員が辞職勧告動きに徹底抗戦 SNS配信も(2019年5月15日配信『日刊スポーツ』)

 

戦争による北方領土の奪還論に言及し、党を除名された丸山穂高衆院議員(35)は15日、自身のツイッターを更新し、自らに辞職勧告決議案の提出の動きが出ていることに、強い調子で反論し、徹底抗戦する意向を明かした。

「これ以上荒立てるつもりはないのだが。議会案件で言われたまま黙り込むことはしない」とした上で、「可決されようがされまいが任期を全うする」と記し、議員辞職を拒否する考えを明かした。

辞職勧告決議案を「憲政史上例を見ない、言論府が自らの首を絞める」とした上で、提出される場合は「こちらも相当の反論や弁明を行います」と宣言。国会では主張の機会が限られるとして、YouTubeやSNSで「国内外へ様々な配信を」行うと、主張した。

今回の問題は、丸山氏の北方領土をめぐる発言が批判されている。しかし、丸山氏は「日ロ外交の問題から、与野党の議場で不問になっている過去の他議員不祥事、提出に賛成するなら維新も含めた各会派の問題点も同時にこの機に世に問いかける形に」と記し、他の問題を持ち出して、自身の問題とすり替えるような持論も展開。さらなる批判は避けられない。

 

維新・松井代表「丸山氏の議員辞職勧告に賛成する」(2019年5月15日配信『産経新聞』)

 

 日本維新の会代表の松井一郎大阪市長は15日、日本記者クラブで会見し、戦争による北方領土返還を元島民に質問し、維新から除名された丸山穂高衆院議員について「ことの重大さに早く気付いて、潔く身を処すべきだ」と述べ、重ねて議員辞職を促した。維新によると、松井氏は近日中に直接、北海道などを訪れ、元島民らに謝罪する。

 維新は同日の役員会で、立憲民主党などの主要野党から丸山氏に対する辞職勧告決議案が提出されれば、賛成する方針を確認した。松井氏は「今回の丸山氏の振るまいは、党派を問うことなく全ての人が一線を越えたという判断をなされると思う」と述べ、全会一致で可決されるとの見通しを示した。

 また、松井氏は会見で、安倍晋三首相が衆参同日選に踏み切るとの観測が出ていることに関し「いつ衆院選が行われてもおかしくない。参院選と一緒にやることで投票率も上がるだろうから歓迎する」と語った。

 憲法改正の議論については、立憲民主党など他の野党を念頭に「国会の憲法審査会の開催自体を妨害している国会議員は国民を愚弄している。民主主義の否定だ」と批判した。

 

田原総一朗氏「無知蒙昧な発言」 丸山議員に広がる怒り(2019年5月15日配信『朝日新聞』)

 

注;無知蒙昧(もうまい)知恵や学問がなく、愚かなさま。▽「無知」は知識がないこと。何も知らないこと。「 蒙昧」は物事の道理をよく知らない意。

 

 日本維新の会は14日、北方領土返還の手段として戦争を正当化するかのような質問を元島民にした丸山穂高衆院議員を、除名処分とした。ビザなし交流のさなかに飛び出した発言に、与野党などから一斉に批判の声があがった。

 北海道では、戸惑いや怒りが広がった。

 「戦争のために我々は島をとられて苦労した。だから戦争は絶対してはならない。そんなことをまさか国会議員が言うとは……」

 歯舞群島(勇留〈ゆり〉島)の元島民で、千島歯舞諸島居住者連盟根室副支部長の角鹿(つのか)泰司さん(82)は驚く。

 8歳の時にソ連軍の侵攻に遭い、翌年に命からがら島を脱出した。故郷に戻れる数少ない手段のビザなし交流が、規制で厳しくなることを懸念し、不安を口にした。「我々も年をとり、運動を2、3世に託す時にある。自由な交流ができないと、大きな支障となる」

 訪問団の一人で北見市の元島民2世の北村浩一さん(59)は、丸山氏の言動に有志の形で抗議した。「ロシアとの折衝にマイナスになるのであれば、本人はしっかり責任をとってほしい」と語った。

 1992年に始まったビザなし交流訪問団の実現に尽力し、95年に国会議員として初めて渡航した新党大地代表の鈴木宗男氏も「元島民も平均年齢84歳。人生限られた中、どんな思いで足を踏み入れているか。涙が出る思いだ。許せない」と非難した。

 国連憲章は、自衛と安全保障理事会が認めた場合を除き、武力行使を禁じる。日本は憲法9条で戦争放棄を定めている。ジャーナリストの田原総一朗さんは「戦争を経験していない政治家が増え、昭和の戦争への反省も知らない無知蒙昧(もうまい)な発言だ」と指摘。「日本は専守防衛を貫いてきたことさえ知らず、たるみきっている」と突き放した。

 自衛隊制服組トップの統合幕僚長を4月まで務めた河野克俊氏も取材に対して「非常に不適切で論外、むちゃくちゃです。自衛以外の戦争は国際法違反だと知らないのでしょうか」と語った。軍事アナリストで東京大先端科学技術研究センターの小泉悠特任助教は「戦争は日本がとりうる選択肢ではない。ロシアは北方領土を想定した軍事演習でも、核を使うシナリオを持っている。軍事的手段を軽々しく口にすべきではない」と話す。

 ロシアの通信社も、丸山氏の発言と、日本国内での反応を報じた。ただ、日本維新の会が丸山氏を除名処分にしたことや、丸山氏から質問された元国後島民の大塚小彌太団長が戦争による解決を明確に拒否したことなども伝えられているためか、ロシア国内で表だった批判や反応は見られない。

 ロシア上院のコサチョフ国際問題委員長は13日、丸山議員の発言について記者団から聞かされ、「もし(発言が)本当なら、日ロ関係にとって最低だ。そうした発言をするのは、問題の本質的な解決を望まない人物だけだ」と突き放した。

 

元島民ら丸山議員に反発「国会議員の態度じゃない」 コップで机をバンバン(2019年5月14日配信『毎日新聞』)

 

 北方四島ビザなし交流の訪問団の一員として国後島を訪問した日本維新の会の丸山穂高衆院議員(大阪19区選出)が11日、同島で元島民に対し、戦争による北方領土問題解決を肯定するような発言をしていた問題で、元島民らの間で「交流に支障が出かねない」「戦争なんてとんでもない」と反発が広がっている。

 同島出身で訪問団長を務め、丸山氏にその場で反論した大塚小弥太さん(89)=札幌市=は「『戦争』と聞いて驚き、とんでもないと思った。衆院沖縄北方問題特別委員会の委員でもあり、人選はよく考えてほしい」と苦言を呈した。丸山氏が酒に酔っていたとの説明には「酩酊(めいてい)でなく(意識が)はっきりしていた」と指摘。同行記者の取材中に割り込んで発言してきた経緯から「失礼だと思った」とも述べた。

 同じく訪問団に参加した同島出身の清水征支郎さん(80)=北海道浜中町=は戦争発言に「議員辞職かクビにすべきで、ビザなし交流の意義を損なう」と反発。「コップで机をバンバンたたいて大騒ぎをしており、国会議員の態度じゃないと腹が立った。翌日も嫌々謝罪し、本気でないように見えた」と批判した。

 丸山氏は11日夜、同島の宿泊施設「友好の家」での懇親の場で、団長の大塚さんに「(戦争でなければ北方領土を)取り返せない」「戦争をしないとどうしようもなくないですか」などと発言。大塚さんは戦争による解決を再三否定し、強く反論した。

 丸山氏は翌12日、団員の抗議を受け、2回にわたって謝罪したが、13日に北海道根室市に到着後の記者会見では謝罪せず、「(北方領土を)戦争で取られたことに賛成か反対か団長の考えを聞こうとした」として、自分の意見でなく質問として発言したと釈明。「意見交換する公の場でなかった」「真意を切り取られて心外」「言葉尻だけとらえられても困る」と開き直っていた。

 訪問団関係者によると、団員はロシアが実効支配する北方領土での不測の事態を避けるために夜間の外出を自粛しているが、丸山氏は夜中に外出しようとして制止を受けたほか、酒に酔って大声を上げるなどの迷惑行為があったという。

     

北方領土「戦争しないと取り返せない」 元島民に維新・丸山議員 ビザなし訪問団員に謝罪(2019年5月14日配信『北海道新聞』)

 

友好の家で昼食時に団員の前で謝罪する丸山穂高衆院議員=12日、国後島古釜布

 

北方領土「戦争しないと取り返せない」 元島民に維新・丸山議員 ビザなし訪問団員に謝罪記者会見で自らの発言について釈明する丸山穂高衆院議員=13日、根室市の千島会館

 

北方四島ビザなし交流訪問団の一員として国後島を訪問した日本維新の会の丸山穂高衆院議員(35)=大阪19区=が11日、滞在先の国後島古釜布の宿泊施設「友好の家」で、元島民の男性に対し、北方領土問題について「戦争をしないとどうしようもなくないか」「(戦争をしないと島を)取り返せない」などと発言し、トラブルになっていたことが分かった。

 同行記者団によると、丸山氏は11日午後8時ごろ、友好の家の食堂で懇談中、元国後島民で訪問団長の大塚小彌太(こやた)さん(89)に「戦争でこの島を取り返すのは賛成か反対か」と語りかけた。大塚団長が「戦争なんて言葉を使いたくない」と言ったのに対し、丸山氏は「でも取り返せないですよね」と反論。続いて「戦争をしないとどうしようもなくないですか」などと発言した。これに対し、大塚団長は「戦争なんてとんでもない話」などと話した。

 発言当時は訪問団員10人程度が懇談しており、丸山氏は酒に酔った状態だった。このほか丸山氏は訪問団事務局員らの制止を聞かず大声を上げて騒いだ。複数の団員が「元島民に失礼な発言だ」「騒がないでほしい」などとして丸山氏に抗議。丸山氏は12日、友好の家で団員を前に「ご迷惑をかけたことをおわび申し上げます」と謝罪した。

 丸山氏は13日、根室市内の記者会見で「団員の中ではタブーなく話せると聞いており、団長にも考えを聞いた。(領土問題は)交渉の中でわが国の国益を勝ち取るのが当然だと思う」などと釈明した。丸山氏は当選3回。衆院沖縄北方問題特別委員会の委員。

 訪問団員で国後島出身の清水征支郎さん(80)=釧路管内浜中町=は「訪問の全体を通じてロシア人島民とは友好的に交流できたのに、丸山議員の騒動で台無しになった。どういうつもりで(ビザなし交流に)参加しているのか」とあきれた。別の団員は「平和的な領土問題の解決を願って28年に渡りビザなし交流を続けてきたのに、戦争による解決に言及するなんてあり得ない」と憤った。

 

維新、丸山穂高衆院議員を除名処分(2019年5月14日配信『産経新聞』)

 

 日本維新の会は14日、北方領土へのビザなし交流訪問団に参加し、酒に酔って戦争による領土返還を元島民に質問した丸山穂高衆院議員(35)=大阪19区、当選3回=の除名を決めた。4月の大阪府知事・大阪市長の「ダブル選」や衆院大阪12区補欠選挙を制し、党が掲げる「大阪都構想」の実現に向けて勢いづく中、冷や水を浴びせられた形となり、夏の参院選を前に問題の早期収束を図った。

 「日本の根幹である『戦争の放棄』『平和主義』から大きく逸脱した発言だ。非常識極まりない」

 維新の馬場伸幸幹事長は14日、国会内で記者団にこう述べた上で、党としても謝罪の言葉を口にした。

 松井一郎代表は大阪市役所で記者団に「外交上も非常に大きい問題だ。議員を辞めるべきだ」と述べ、議員辞職を求めた。これに対し丸山氏は、自身のツイッターで「これより先の期間は無所属にて活動する中で、残りの政策の実現に向けて一つ一つ前に進めてまいります」と投稿し、議員辞職を否定した。

 丸山氏は14日、離党届を提出したが、維新は党紀委員会で離党届を受理せず除名を決定。その後の持ち回り役員会でも除名処分を了承した。

 丸山氏はこれまでも数々の騒動が報じられてきた。

 2015年末には東京都内で飲酒した後に複数の一般男性らともみ合いの末、相手の手をかむトラブルを起こした。

 

丸山議員発言は「不適切で論外」 前統合幕僚長が憤り(2019年5月14日配信『朝日新聞』)

 

 日本維新の会の丸山穂高衆院議員(大阪19区)が北方領土を取りもどすには「戦争しないとどうしようもなくないですか」と語ったことについて、自衛隊制服組トップの統合幕僚長を4月まで務めた河野克俊氏は14日、朝日新聞の取材に「非常に不適切で論外、むちゃくちゃです。自衛以外の戦争は国際法違反だと知らないのでしょうか。国会議員の発言で日ロ関係にもマイナスでしょう」と語った。

 ただ、丸山氏の発言に国民から批判が出たことや同党の松井一郎代表が辞職を促したことから、「政治全体がそうだそうだとならずに丸山さんに厳しい対応をしている。システムとしても自衛隊の出動までには何段階ものプロセスを踏むわけで、そこは政治を信頼しています」と述べた。

河野外相「プラスにならない」

 河野太郎外相は14日の記者会見で「このような発言、行動は(日ロ平和条約交渉に)決してプラスになるとは正直思わない」と批判した。

 河野氏は日ロ平和条約交渉の責任者。丸山氏の発言について「なるべく波静かな中で交渉していきたいのが私の本心だ」と語った。

 丸山氏は、北方四島ビザなし交流の訪問団の一員として国後島を訪れた際、訪問団長の元島民に対して「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」などと発言した。

 丸山氏の発言が、北方領土は日本固有の領土でロシアによって不法占拠されているとの日本政府の立場と異なるともとれることについて、河野氏は「特に政府からコメントすることはない」とだけ述べた。

 

「戦争で取り返すの賛成か反対か」丸山議員の音声データ(2019年5月14日配信『朝日新聞』)

 

日本維新の会の丸山穂高衆院議員(大阪19区)が北方領土を取りもどすには「戦争しないとどうしようもなくないですか」と語ったことについて、自衛隊制服組トップの統合幕僚長を4月まで務めた河野克俊氏は14日、朝日新聞の取材に「非常に不適切で論外、むちゃくちゃです。自衛以外の戦争は国際法違反だと知らないのでしょうか。国会議員の発言で日ロ関係にもマイナスでしょう」と語った。

ただ、丸山氏の発言に国民から批判が出たことや同党の松井一郎代表が辞職を促したことから、「政治全体がそうだそうだとならずに丸山さんに厳しい対応をしている。システムとしても自衛隊の出動までには何段階ものプロセスを踏むわけで、そこは政治を信頼しています」と述べた。

河野外相「プラスにならない」

 河野太郎外相は14日の記者会見で「このような発言、行動は(日ロ平和条約交渉に)決してプラスになるとは正直思わない」と批判した。

 河野氏は日ロ平和条約交渉の責任者。丸山氏の発言について「なるべく波静かな中で交渉していきたいのが私の本心だ」と語った。

 丸山氏は、北方四島ビザなし交流の訪問団の一員として国後島を訪れた際、訪問団長の元島民に対して「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」などと発言した。

 丸山氏の発言が、北方領土は日本固有の領土でロシアによって不法占拠されているとの日本政府の立場と異なるともとれることについて、河野氏は「特に政府からコメントすることはない」とだけ述べた。

 

維新・松井代表「丸山氏は議員辞職すべきだ」 党紀委員会で除名へ(2019年5月14日配信『毎日新聞』)

 

 日本維新の会の丸山穂高衆院議員(35)=大阪19区=が北方領土返還について「戦争をしないとどうしようもなくないか」などと発言した問題について、維新代表の松井一郎大阪市長は14日、「国会議員としての一線を越えた。これまで北方領土返還に向けて尽力してきた全ての皆さんの行為を踏みにじる発言で、辞職すべきだ」と述べ、丸山氏の議員辞職を促した。同党は、同日中に党紀委員会を開き、丸山氏の除名処分を決める見通しだ。

 大阪市役所で記者団の取材に答えた。松井氏は「党代表として心からおわびしたい」と謝罪。「北方領土問題にも悪影響を及ぼす可能性がある」と認めたうえで、政府の外交ルートで謝罪と交渉継続を要請してほしいとした。

 一方、菅義偉官房長官は同日午前の記者会見で「誠に遺憾だ」と述べ、「外交交渉によって北方領土問題の解決を目指す方針に変わりはない」と強調した。

 菅氏は丸山発言について「政府の立場とは全く異なる」とし、「日露交渉に影響を与えるとは考えていない」との認識を示した。宮腰光寛沖縄・北方担当相も会見で、「ビザなし交流事業に訪問団員として参加した国会議員が泥酔し、他の団員との間で口論のトラブルとなる事案が発生した」と説明した上で、丸山氏の発言を「はなはだ不適切で内閣府として誠に遺憾」と批判。「この発言が(北方領土)交渉に影響を与えないようにしなければいけない」と述べた。

 維新の政調副会長の丸山氏は14日朝に国会内であった政調役員会を欠席した。同党議員は毎日新聞の取材に「言い訳できない内容だ。党としてもかばえない」と突き放した。

 立憲民主党の辻元清美国対委員長は14日午前に国会内で開いた主要野党の国対委員長会談のあいさつで「こんな議員がいたのかと背筋が凍る思いがした」と語った。

 

維新 丸山氏の離党届を受理せず、除名へ 松井代表「一番厳しい処分」(2019年5月14日配信『毎日新聞』)

 

 日本維新の会の丸山穂高衆院議員(35)=大阪19区=が、北方領土返還に関し「戦争をしないとどうしようもなくないか」などと発言した問題について、維新代表の松井一郎大阪市長は14日午前、「国会議員としての一線を越えた。これまで北方領土返還に向けて尽力してきた全ての皆さんの行為を踏みにじる発言で、辞職すべきだ」と述べ、丸山氏の議員辞職を促した。大阪市役所で記者団の取材に答えた。

 松井氏は「党代表として心からおわびしたい」と謝罪。「北方領土問題にも悪影響を及ぼす可能性がある」と認めた。また、「一番厳しい処分を決定したい。除名だ」と述べた。

 丸山氏は14日午前に馬場伸幸幹事長に電話して離党届を提出したが、同党は受理せず、14日午後にも開く党紀委員会で除名処分を決める見通しだ。今後、党としてロシア政府関係者や、ビザなし交流の訪問団長に面会を申し入れ、謝罪する対応を検討している。

 一方、菅義偉官房長官は同日午前の記者会見で「誠に遺憾だ」と述べ、「外交交渉によって北方領土問題の解決を目指す方針に変わりはない」と強調した。菅氏は丸山氏の発言について「政府の立場とは全く異なる」とし、「日露交渉に影響を与えるとは考えていない」との認識を示した。

 宮腰光寛沖縄・北方担当相は会見で「ビザなし交流事業に訪問団員として参加した国会議員が泥酔し、他の団員との間で口論のトラブルとなる事案が発生した」と説明。丸山氏の発言を「はなはだ不適切で内閣府として誠に遺憾」と批判した。

 立憲民主党の辻元清美国対委員長は14日午前、国会内で開いた主要野党の国対委員長会談のあいさつで「こんな議員がいたのかと背筋が凍る思いがした」と語った。会談では「問題発言の域を超えている」との認識で一致し、維新の対応を注視することで合意した。また、国民民主党の玉木雄一郎代表は国会内で記者団の取材に応じ、「言語道断だ。国益を損なう行為で論外」と切り捨てた。

 維新の政調副会長の丸山氏は14日朝に国会内であった党政調役員会を欠席。同党議員は毎日新聞の取材に「言い訳できない内容だ。党としてもかばえない」と突き放した。

 

「北方領土を戦争で取り返す」発言の丸山穂高衆院議員だけじゃない、維新はネトウヨの巣窟だ!(2019年5月14日配信『リテラ』)

 

 またもや維新議員のトンデモ発言だ。日本維新の会の丸山穂高衆院議員が、北方領土をめぐる「ビザなし交流」の日本側訪問団に同行した際、「戦争しないとどうしようもない」などの発言をした。

 報道によれば、丸山議員は11日夜、ロシア側住人と日本側住人との「ビザなし交流」の友好の家で、訪問団の大塚小彌太団長が記者から取材を受けていたところへ、このように割って入った。

丸山議員「団長は戦争でこの島(北方四島)を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」

大塚団長「戦争なんて言葉は使いたくないです」

丸山議員「でも取り返せないですよね」

大塚団長「いや、戦争はするべきではない」

丸山議員「戦争しないとどうしようもなくないですか」

 言葉を失いかけるが、一応、つっこんでおこう。丸山議員は「戦争で北方四島を取り返す」と軽々しく言う。では、自衛隊員が奇襲をかけ、島々で生活する民間人を殺して制圧するというのか。それとも、主権をかけてロシアに宣戦布告し、全面戦争でも始めるのか。ロシアの反撃と報復、国際社会からの制裁はどのように想定しているのか。いずれにせよ、多くの血が流される。むろん、憲法違反でもある。

 そもそも「ビザなし交流」は、日本側とロシア側の住民同士の対話と相互理解によって、領土問題の平和的解決を目的とした取り組み。そこに、「戦争で島を取り返す」「戦争しないとどうしようもない」としゃしゃり出てきた丸山議員は、はっきり言ってどうかしているとしか思えない。

 日本テレビの報道によると、丸山議員はその後「基本的に酒をたくさんの飲んでいた」などと釈明し、謝罪した。丸山議員は2016年にも、都内で飲食した後、トラブルになった男性の手を噛むという不祥事をしでかしたことがある。当時、丸山議員はツイッターで〈猛省と自重の決意の証として自主的に、禁酒宣誓書を今井幹事長へ提出してまいりました。あらゆるトラブルを予防するため、今後の議員在職中において公私一切酒を口に致しません〉(2016年1月13日)と投稿していた。

 しかしながら、今回の発言は、酔っているかとか以前の問題だろう。むしろ酒が入っていたからこそ「戦争しないとどうしようもない」とあまりに軽々しく口をついたのではないか。ようは、この輩が常日頃から考えている本音にほかなるまい。

 そもそも丸山議員といえば、知る人ぞ知るネトウヨ議員。ネトウヨ御用達のネット番組『報道特注』の元メンバーであり、Twitterでも「帰化履歴を公表しろ」というようなヘイトまがいの発言や、露骨な安倍政権援護のリベラル派バッシングを繰り返してきた。そのタカ派気取りでネトウヨ気質丸出しの姿は、まさに、野党でありながら安倍政権にすり寄る「ゆ」党と揶揄される維新を象徴するような議員と言える。

衆院に立候補した橋下徹の元秘書の講演会を在特会元幹部の団体が主催

 今回の「戦争しないとどうしようもない」発言は、そんな愚か者による最も頭の悪い発言だが、もちろん、これは丸山議員個人だけの問題ではないだろう。周知の通り、維新の会は自民党と比肩するネトウヨ議員の巣窟と言っていい。

 その代表格が“暴言王”などと呼ばれて悦に入っている足立康史衆院議員だ。周知のように「アホ」「バカ」「死ね」が口癖で品性下劣そのもの。たとえば、加計学園問題では、朝日新聞の記事にリンクを貼るかたちで、〈朝日新聞、死ね。〉とツイート。また、森友学園問題では、辻元清美議員が豊中市に補助金を出させたなど、ネトウヨの間で流通していたデマをテレビで垂れ流し、街頭演説でも「森友問題は辻元のヤラセ」などと喧伝した。もっとひどかったのが、立憲民主党の蓮舫参議院議員(当時は民進党)の二重国籍問題のときだ。足立議員は、“蓮舫代表の言動は中国の回し者”とTwitterに投稿したあげく〈国籍のことを言うのはポリコレに反するので本当は控えたいのですが、ストレスたまると午後の地元活動に影響するので書いてしまいます〉などと「ストレス発散」でヘイトスピーチをバラまくことを自ら宣言してしまったのである。

 地元・大阪ではもっと露骨だ。2017年の衆議院選挙には、橋下徹氏の大阪市長時代の元秘書である奥下剛光氏が維新から立候補したが、その直前、ヘイト団体・在特会の元関西支部長である増木重夫氏が事務局長をつとめる団体が奥下氏を応援する講演会を開催しようとしていたことが発覚した。講演自体は取材の動きを知った奥下氏がキャンセルしたが、会には辻淳子・大阪市議ら維新の地方議員が参加していた。

 大阪では、こうしたかたちで維新とネトウヨ・ヘイト勢力の融合が進んでいるのだが、それ以前に政治家としての資質が問われる言動をする府議、市議が多数いる。維新所属または当時所属していた議員の不祥事をいくつか挙げてみるとこんな感じだ。

 経営していた整骨院で療養費をだまし取り詐欺罪で実刑判決をくらう市議、忘年会帰りに泥酔してタクシー内で暴れる府議、女子中学生らを集会に勝手に誘ってLINEで無視されると「ただで済まさない」「身元を特定している」などと恫喝する府議、宴席で女性市議の胸を触る写真が報じられ「触診です」と苦しい言い訳の市議、その女性市議の足の匂いを嗅ぐ市議、飲酒運転でひき逃げする市議(有罪)……。

 というか、そもそも松井一郎代表じたいが、今年4月の大阪W選挙でネトウヨサイトのデマをリツイートして拡散するような政治家だ。「透析患者は殺せ」の長谷川豊氏を2017年総選挙に続き今年の参院選と国政選挙に擁立しているという“実績”も忘れてはならない。

橋下徹が「自民党と協力して憲法改正のほうに突入していく」と宣言

 そうしたことを踏まえれば、今回、丸山議員がぶちかました「戦争しないとどうしようもない」発言は、彼自身の問題というよりも、こうした人物に公認を与えている維新という政党のグロテスクな正体を象徴するものと考えたほうがいいだろう。

 しかも、看過できないのが、このネトウヨかチンピラが入り込んだ政党が、ヨダレを垂らしながら自民党との連立政権を狙っているという事実だ。いまも維新に多大な影響力をもつ橋下氏は、大阪W選挙で勝利した翌日に出演した『とくダネ!』(フジテレビ、4月8日放送)で「公明党を壊滅させる」と宣言。「そうすると、日本の政治構造も大きく変わります。自民党との協力がね、公明党じゃなくてもしかすると維新となって、憲法改正のほうに突入していく」とまで言い切っていた。

 一方、大阪では維新のプレッシャーに負けた公明党が「大阪都構想」を決める住民投票への協力を約束、強く反目していた自民大阪府連も住民投票の実施容認の方針を決めた。中央政界で、改憲をめぐって、同じような動きが起きる可能性は非常に高い。

 その意味でもやはり、維新の丸山議員の問題発言は、大阪での限定的な人気しかない「ゆ」党の妄言として片付けるべきではない。繰り返すが、現実問題として、維新は安倍政権を支える存在なのだ。領土問題でナショナリズムを煽りながら、自衛隊を名実共に軍隊化しようとしている安倍首相と、「戦争しないとどうしようもない」なる言葉が飛び出す維新の結託がもたらすものは、何か。言うまでもないだろう

 

維新・丸山氏、国後島で「戦争しないと」 その後に撤回(2019年5月13日配信『朝日新聞』)

 

 北方四島ビザなし交流の訪問団の一員として同行した日本維新の会の丸山穂高衆院議員(大阪19区)が、国後島訪問中の11日夜、北方四島の返還に関し、「戦争しないと、どうしようもなくないですか」と訪問団の団長に詰め寄るなどして、訪問団から抗議を受けていたことがわかった。

 同行記者団などによると、公式行事が終わった11日夜、国後島の施設「友好の家」で懇談中、丸山議員が元国後島民の大塚小彌太団長(89)に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」などと大声で質問。団長が「戦争はすべきではない」と答えたが、戦争しないとどうしようもないとの発言を返した。丸山議員は酒に酔っており、その後も大声で議論を続け、決まりに反して友好の家の敷地から出ようとしたという。

 今回のビザなし交流は、10〜13日の日程。12日に訪問団員から抗議が出て、北海道・根室港に戻った13日、丸山議員は記者会見で当時の発言について「団長に考えをたずねただけだ。交渉でわが国の立場を伝えていくのが当然と考えている」と語った。丸山議員は、衆院沖縄北方問題特別委員会の委員。

 丸山議員は自らの発言が大きく報じられた後の13日深夜、都内で記者団に「心から今回の発言について謝罪し、撤回する」と表明。議員辞職するかについては「党と相談し、決めていきたい」と述べるにとどめた。

 

同行記者団の音声データに基づく、丸山議員と元島民とのやりとりは次の通り。

 

「騒いだことは申しわけないが、戦争で島を取り戻すなどとは考えていない」などと記者会見で釈明する丸山穂高議員、右は訪問団の大塚小彌太団長=13日、北海道根室市

 

維新・丸山氏「戦争しないと」 国後島で訪問団長に詰問

 

丸山氏「今日行ったお墓は、本当に骨が埋まっていないんですよね」

元島民「と私は思っているんです。もしあれでしたら千島連盟(千島歯舞諸島居住者連盟)の担当者に確認します」「骨があるかないかは、それは掘り返したわけじゃないから分かりません。(国後島の)古釜布に住んでいた人たちは、おれたちの墓はここじゃないと言っているわけですよ。違うところだと言っているわけですよ」

丸山氏「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」

元島民「戦争で?」

丸山氏「ロシアが混乱しているときに、取り返すのはオーケーですか」

元島民「戦争なんて言葉は使いたくないです。使いたくない」

丸山氏「でも取り返せないですよね」

元島民「いや、戦争するべきではない」

丸山氏「戦争しないとどうしようもなくないですか」

元島民「戦争は必要ないです」

 【中略】

丸山氏「何をどうしたいんですか」

元島民「何をですか」

丸山氏「どうすれば」

元島民「どうすれば、って何をですか」

丸山氏「この島を」

元島民「率直に言うと、返してもらったら一番いい」

丸山氏「戦争なく」

元島民「戦争なく。戦争はすべきではない、これは個人的な意見です」

丸山氏「なるほどね」

元島民「早く平和条約を結んで解決してほしいです」

 

北方領土「戦争しないと…」維新・丸山議員 国後元島民へ発言(2019年5月13日配信『毎日新聞』)

 

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国後島滞在中の発言について弁明する丸山穂高衆院議員=北海道根室市の千島会館で2019年5月13日午後2時8分

 

 北方四島ビザなし交流の訪問団の一員として国後島を訪問した日本維新の会の丸山穂高衆院議員(35)=大阪19区=が11日夜、滞在先の国後島古釜布(ふるかまっぷ)で元島民の男性に対し、北方領土問題について「戦争をしないとどうしようもなくないか」「(戦争をしないと)取り返せない」などと発言し、トラブルになった。

 同行記者団によると、丸山氏は11日午後8時ごろ、訪問団員との懇談中、元国後島民で訪問団長の大塚小弥太(こやた)さん(89)に「ロシアと戦争で(北方領土を)取り返すのは賛成か反対か」と語りかけた。大塚団長が「戦争なんて言葉を使いたくない」と言ったところ、丸山氏は「でも取り返せない」と反論。続いて「戦争をしないとどうしようもなくないですか」などと発言した。

 丸山氏はロシア人島民宅で飲酒した後で、訪問団員らの制止を聞かずに大声で騒いだり外出しようとしたりしたという。このため複数の団員が「日露友好の場にそぐわない」として丸山氏に抗議。丸山氏は12日、滞在先の古釜布で全団員の前で「ご迷惑をかけたことをおわび申し上げます」と謝罪した。

 一方、13日に北海道・根室港に戻った後の記者会見では「(マスコミに)発言を切り取られており心外。団員の中では領土問題についてタブーが無く話せると聞いており、団長にも考えを聞いた」などと述べた。

 発言を受け、日本維新の会の松井一郎大阪市長は同日、大阪市内で記者団に「(丸山氏を)厳重注意した」と語った。

 丸山氏は当選3回。衆院沖縄北方問題特別委員会の委員を務めている。

 

北方領土返還「戦争しないと」 維新・丸山議員が発言(2019年5月13日配信『日本経済新聞』)

 

北方四島ビザなし交流の訪問団の一員として国後島を訪問した日本維新の会の丸山穂高衆院議員=大阪19区=が11日夜、滞在先の国後島古釜布の宿泊施設「友好の家」で、元島民の男性に対し、北方領土問題について「戦争をしないとどうしようもなくないか」「(戦争をしないと)取り返せない」などと発言し、トラブルになっていたことが分かった。

丸山氏は11日午後8時ごろ、友好の家の食堂で懇談中、元国後島民で訪問団長の大塚小弥太さん(89)に対して「ロシアと戦争で(北方領土を)取り返すのは賛成か反対か」と語りかけた。大塚団長が「戦争なんて言葉を使いたくない」と言ったのに対し、丸山氏は「でも取り返せない」と反論。続いて「戦争をしないとどうしようもなくないですか」などと発言した。

これに対し、大塚団長は「戦争なんてとんでもない話。何の意味で(われわれが)来ているか」などと答えた。

丸山氏はホームビジット先のロシア人島民宅で飲酒した後だったという。発言当時は友好の家の食堂で、訪問団員10人程度が懇談していた。このほか、丸山議員は訪問団事務局や団員の制止を聞かずに、大声で騒いだり外出しようとしたりした。

複数の訪問団員が「日ロ友好の場にそぐわない」「夜遅くまで大声で騒いだ」「元島民に失礼な発言をした」として丸山氏に抗議。丸山氏は12日、滞在先の古釜布で全団員の前で「ご迷惑をかけたことをおわび申し上げます」と謝罪した。

一行が根室に戻った後、市内で開かれた記者会見で、丸山氏は自身の発言について「(マスコミに)発言を切り取られており、心外。団員の中では領土問題についてタブーが無く話せると聞いており、団長にも考えを聞いた」などと述べた。

丸山氏は当選3回。衆院沖縄北方問題特別委員会の委員。

 

維新 丸山氏「戦争で島を取り返すことに賛成か反対か」(2019年5月13日配信『NHKニュース』)

 

北方四島の「ビザなし交流」の訪問団に参加した日本維新の会の丸山穂高衆議院議員は、国後島の宿泊施設で酒を飲んで大きな声で話をするなどして、訪問団から注意を受け、謝罪しました。また、丸山議員は、訪問団の団長に、「戦争で島を取り返すことには賛成か反対か」などと質問していました。

ビザなし交流の訪問団に参加した日本維新の会の丸山穂高衆議院議員は、11日の夜、国後島の宿泊施設で酒を飲んで大きな声で話をするなどして、訪問団から注意を受け、翌日謝罪しました。

 また、11日の夜、丸山議員は、訪問団の団長に「戦争で島を取り返すことには賛成ですか、反対ですか」などと質問し、団長が、「戦争なんてことばは使いたくない」、「戦争をするべきではないし、したくない」と答えたということです。

 発言について、丸山議員は、13日の記者会見で、「団員にタブーなく考えを聞く中で、団長にも聞いたが、それが最善とは思っていない。交渉の中で国益を勝ち取るのが当然の話で、真意が伝わらなかった」などと述べました。

維新 松井代表「武力で解決の考えはない」

日本維新の会の松井代表は、大阪市役所で記者団に対し、「発言内容を精査しなければならないが、戦争で領土を取り返すという考え方は、われわれ維新の会として一切持っていない。今の領土を守ることは大変重要だが、実際に実効支配されている領土を取り返すのに、武力での解決というのは僕にはない」と述べました。

 

酒に酔い維新議員 島返還に戦争持ち出し元島民抗議(2019年5月13日配信『北海道テレビ放送』)

 

 13日、北方四島の国後島から帰港したビザなし交流の訪問団。この訪問団に参加していた日本維新の会の丸山穂高衆議院議員の発言をめぐり、元島民らから抗議を受けていました。

 丸山穂高衆議院議員は11日、現地で島返還の手段として戦争を持ち出し、元島民らから抗議を受けていました。

 同行した記者が録音した丸山議員の音声です。

 丸山議員音声「戦争でこの島を取り返すことは賛成ですか?反対ですか?」

 団長「戦争で?」

 丸山「ロシアが混乱しているときに取り返すのはOKですか?」

 団長「戦争なんて言葉は使いたくないです。使いたくない」

 丸山「でも取り返せないですよね?」

 団長「いや、戦争はすべきではない」

 丸山「戦争しないとどうしようもなくないですか?」 

 団長「いや、戦争は必要ないです」

 丸山議員とやりとりをした訪問団の団長で、元島民の大塚さんは「私は真っ向から反対いたしました。戦争で取るとか取らないか、そんなこと私は聞いたこともありませんしね」と話しています。丸山議員はこの発言の前に酒を飲んでいたということです。元島民らはこの発言に抗議しましたが、丸山議員は酒に酔って騒いだことについては謝罪したものの、戦争発言については「賛成か反対かを聞いただけ」だとし、「北方領土を戦争で取られたわけですから、取り返すということに対して賛成か反対か聞いたと。別にそういう話があってもいいわけじゃないですか。それに対して何をダメだとおっしゃっているのかよくわからないです」とコメントしています。

丸山議員の発言について日本維新の会の松井代表は、「戦争で取り返すようなことは、我々党として一切考えはありません。武力での解決というのは僕にはないですね」と話しています。

 

維新議員「北方領土を戦争で取り戻す」酔って発言 過去にトラブルで「禁酒宣誓書」提出...「いつ解禁したの?」(2019年5月14日配信『J−CASTニュース』)

 

  北方領土へのビザなし交流に参加した際、元島民で訪問団団長への「戦争で島を取り戻すことに賛成か」との発言をめぐって謝罪に追われた日本維新の会・丸山穂高衆院議員(35)は「酒が入っていた」というが、3年前にも飲酒トラブルを起こしていた。

  しかも丸山氏は当時「禁酒宣誓書」を幹事長に提出したとツイッターで明かしていた。そのため、ビザなし交流での事態を受けてインターネット上では「いつ解禁したの?」と呆れる声が相次いでいる。

「ホームビジット先でかなり酒を勧められ、酒が入っていた」

  北方領土問題の解決への環境整備を目的に、日本とロシアとの相互理解・信頼醸成を図って実施される「ビザなし交流」。2019年5月10日から訪問し、13日に戻った丸山氏だが、国後島の元島民で訪問団の大塚小彌太団長(89)に向けた言葉で波紋が広がった。

  テレビ朝日などは丸山氏と大塚さんの会話音声を報道。丸山氏は「団長は戦争でこの島を取り戻すことには賛成ですか? 反対ですか?」「戦争しないとどうしようもなくないですか?」などと質問し、大塚さんは「いや戦争なんて言葉は使いたくないです。使いたくない」「戦争は必要ないです」と強く反対した。

  「戦争で島を取り戻す」ことを肯定するかのような丸山氏の発言は物議を醸し、訪問団員らは抗議。丸山氏が

「こういう形でご迷惑をかけたことを改めてお詫び申し上げます」

と、謝罪した映像も報じられた。

   「戦争」発言の時は「酒」を飲んでいたという丸山氏だが、この釈明で過去の飲酒トラブルが掘り返されることになった。15年末、酒に酔って居酒屋から出た後で、一般男性と口論になり、手を噛んだというのだ。16年1月上旬に報道され、党(当時は、おおさか維新の会)から厳重注意処分を受けていた。

「禁酒宣言をしていたのに酒飲んでたのはまずい」

  さらなる問題はこのトラブル直後、丸山氏自身が「禁酒宣言」をしていたことだ。ツイッターで16年1月13日、

「先日の不始末について猛省と自重の決意の証として自主的に、禁酒宣誓書を今井(豊)幹事長へ提出してまいりました。あらゆるトラブルを予防するため、今後の議員在職中において公私一切酒を口に致しません」

と投稿していたのである。「32(当時)にもなって汗顔の至りでございますが、未だ至らぬ自らを刻苦精励してまいります」と反省する様子には、「応援してます」「失敗を成功に導ける議員であることを信じております」とエールも寄せられた。

  ところが約3年後の今回、再び飲酒時の言動で物議を醸すことになった丸山氏。発言は領土問題交渉にも影響しかねないとされている。ツイッターでは、

「丸山さんは過去に禁酒宣言してて飲酒自体が不祥事だからそこは本当にいけない」

「例の発言の真意は置いといて過去に公務中での禁酒宣言をしていたのに酒飲んでたのはまずい」

「過去に人の手噛んで、今後の議員活動中は禁酒宣言してなかったっけ??? いつ解禁したの? からの、戦争発言???」

「禁酒してた(すると言ってた)のにまたやっちゃったのか。もう議員辞職しかないんじゃない? お得意の『身を切る改革』でさ!」

と呆れた声が相次いでいる。

   なお、日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)は13日の会見で、丸山氏の発言について問われ、前後の脈絡を精査する必要があるとしながら、「戦争で取り返すようなことは、我々党として一切そういう考えはありません」と明言した。

 

 

(2019年9月17日配信『福井新聞』―「越山若水」)

 

世界的によく知られた日本人作家に谷崎潤一郎がいる。中でも人気の高い小説が「ザ・マキオカ・シスターズ」。大阪の旧家を舞台に4姉妹の悲喜こもごもを描いた「細雪」である

▼国内では「日本の伝統的な美を表現した作品」と評価される。しかし小説家の柳広司さんは純和風のタイトルにだまされているという。物語は意外なほど起伏が激しく、破産あり、洪水あり、婚外子の出産あり、医療過誤の壮絶死もありと、波瀾(はらん)万丈の展開を見せる

▼むしろこの小説が軍部の発禁処分を受け、谷崎自身が「職業作家たるもの読者におもねる作品ぐらい書けなくてどうする」とうそぶいていたことから、どぎつい作風で世に出る戦略、今で言う「炎上商法」だったと推測する(「二度読んだ本を三度読む」岩波新書)

▼さて、くだんの国会議員も同じ戦略だろうか。「竹島も戦争で取り返すしかないんじゃないですか?」。丸山穂高衆院議員のツイッターである。5月には酒に酔って「北方領土を戦争で取り返すのは賛成ですか?」と発言し、糾弾決議案が可決されても全く懲りない

▼常軌を逸した振る舞いにあきれるが、所属のN国党首は「問題提起している」と擁護する始末。度重なる過激な言動は選挙目当ての「炎上商法」と批判も出ている。独創性を目指す芸術家ならともかく、国民の負託を受けた政治家には禁じ手である。

 

丸山議員が「N国」党入り かくて無節操がはびこる(2019年8月2日配信『毎日新聞』−「社説」)

 

 自分が政界で生き残るためには政策など、もはや無関係なのだろう。

 北方領土を戦争で奪還する趣旨の発言をしたことなどにより、国会で糾弾決議が可決された丸山穂高衆院議員が、先の参院選で初の1議席を得た「NHKから国民を守る党」(N国)に入党した。

 続いて旧みんなの党代表だった渡辺喜美参院議員が、N国の立花孝志党首と参院で会派を作ったことにも驚く。こうして政治の節度が失われていく状況を深く憂慮する。

 N国は選挙中、NHK批判のみを繰り返し比例代表で約99万票を獲得した。その主張だけでなく、常識外れの政見放送が話題を呼び、一定の有権者の共感を呼んだのは事実だ。単一の政策を掲げる政党が生まれることを否定すべきではないだろう。

 看過できないのは、丸山氏がそもそもNHKの話に関心があったように到底見えないことだ。N国が問題視しているNHK受信料についても、丸山氏は以前「見ないから受信料を払わないというのは法令上通らない」とSNSで発言している。

 丸山氏は6月に事実上の辞職勧告を受けている。日本維新の会を除名されて無所属となり、国会で行き場を失っている中で、立花氏の誘いは渡りに船だったのだろう。自ら議員を辞職したうえで、次の選挙にN国から出馬するというのならまだしも、これは全く筋が通らない。

 渡辺氏は入党はしなかったが、同様に活路が見えない状況にある。会派結成は当面、国会での質問時間を確保するのが狙いのようだが、渡辺氏もNHKに関して「深く考えたことがない」とけろりと語っている。

 立花氏はさらに無所属議員ら複数の名を挙げて入党を呼びかけている。当選したらこうした行動に出ると選挙中に語っていなかったにもかかわらず、一転、政策は二の次で、とにかく議員数を増やすのが先という姿勢はやはり無節操だ。

 ドイツなどとは異なり、日本には「政党はこうあるべきだ」と規定するような政党法はない。思想・信条や結社の自由を束縛しかねない法律は必要ないと今も考える。

 ただし、それは政治家や政党が一定の節度や常識を持っていることが大前提だ。これでは政治そのものの劣化が激しくなるばかりである。

 

丸山議員糾弾決議/重く受け止め辞職すべきだ(2019年6月22日配信『河北新報』―「社説」)

 

 国会は26日の会期末をにらみ、与野党の駆け引きが最終盤に入った。7月4日公示、21日投開票が有力視される参院選を控え攻防一色となっているが、今国会では驚くべき議員の振る舞いがあった。

 戦争で北方領土を取り返すことの是非に言及し、日本維新の会を除名となった丸山穂高衆院議員である。

 北方領土へのビザなし交流訪問団に同行して酒に酔い、元島民の団長に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」「戦争をしないとどうしようもなくないですか」などと発言した。

 衆院は丸山氏の糾弾決議を全会一致で可決した。「憲法の平和主義に反する発言をはじめ、議員としてあるまじき数々の暴言を繰り返した」と批判。「国益を大きく損ない、衆院の権威と品位を著しく失墜させた」と指摘した。

 事実上の辞職勧告である。ところが、丸山氏はツイッターに「任期を全うし前に進んでまいります」と投稿し、辞職を重ねて拒否した。

 発言は戦争放棄をうたう憲法9条をないがしろにし、国会議員の憲法尊重擁護義務を定めた憲法99条にも反している。丸山氏が主張する言論の自由の枠内に当てはまらないのは明らかだ。

 都合の良い解釈は許されない。決議を重く受け止め、潔く辞職すべきだ。

 当初は与党がけん責決議案、野党が辞職勧告決議案を提出していた。野党は参院選をにらみ辞職勧告にこだわったが、発言を理由に辞職勧告する前例をつくりたくない自民党は同調しなかった。

 その後、ビザなし交流訪問時の丸山氏の問題行動が新たに発覚。政府側は酒に酔って下品な発言を繰り返し、禁止された外出を試みて他の参加者ともみ合いになった丸山氏の行動を報告した。

 決議案を放置して採決しないまま会期末で廃案になれば、それこそ国会の権威は失墜しかねなかった。自民党は、けん責より厳しい言葉である「糾弾」を採用。野党が主張した「国会議員の資格はないと断ぜざるを得ない」との文言挿入を受け入れた。

 糾弾決議に法的拘束力はないものの、衆院として「資格なし」と意思を明確に示したことは評価できよう。

 しかし、丸山氏に立法府の権威を踏みにじった自覚はないようだ。それどころか、体調不良を理由に公の場に姿を見せていない。

 政党も無関係ではない。日本維新の会は丸山氏を除名にしたものの、選挙で公認した事実は消えない。辞職を説くのが党としての責任だ。

 丸山氏は決議可決前に衆院議院運営委員会の理事会が求めた事情聴取を欠席。議員に執着するのなら、国会の要請に応えてきちんと弁明する責務があったのではないか。

 何よりも丸山氏が議員として無責任であり、資格がないことを自覚すべきだ。

 

丸山議員に糾弾決議(2019年6月11日配信『南日本新聞』―「社説」)

 

◆全会一致の意思極めて重い◆

 衆院は本会議で、北方領土へのビザなし交流訪問の際、戦争で領土を取り返すことの是非に言及した丸山穂高衆院議員=日本維新の会を除名=に対する糾弾決議を可決した。「品位のかけらもない議員の存在を国内外に知らしめ、本院の権威と品位を著しく貶(おとし)める結果となったと言わざるを得ず、国会議員としての資格はないと断ぜざるを得ない」。強烈な非難の言葉で進退を判断するよう促した。与野党が全会一致で示した意思は極めて重い。

群を抜く不見識発言

 言うまでもなく、憲法9条は紛争解決の手段として戦争を永久に放棄することをうたう。安易に戦争を口にする無神経さは、政治家のこれまでの失言と比べても質の悪さは群を抜く不見識なもので、本人が持ち出す「言論の自由」で許容できるものではない。

 元島民らを傷つけただけでなく、北方領土問題の解決に向けた環境整備の一環で実施されているビザなし交流を台無しにしかねない行為である。領土交渉でロシア側が態度を硬化させる口実にする恐れもはらむ。

 しかも、国後島訪問時にはコニャック10杯以上を飲み宿舎で下品な発言を繰り返し、禁止されていた外出をしようとして他の参加者ともみ合いになったことも新たに発覚した。国会議員の資質が決定的に欠落しているのは明らかだ。

 丸山議員は国会に提出した弁明文書で「決議は、多数者が前例なしに人民裁判的な決定を行う言論府になると危惧される事態だ」「進退は議員自身が判断すべきで、最終的には選挙での有権者の判断によるべきものだ」と反論し、辞職を拒否している。

速やかに辞職決断を

 自身のツイッターに寄せられた一部の意見だけに耳を傾け大局を見失っていく姿は、大いなる勘違いであり、ツイッター政治がもたらす負の側面が表れたと言えるかもしれない。

 当初、維新も含む野党は議員辞職勧告決議案を提出したのに対し、与党はけん責決議案を主張した。法的な拘束力はないとはいえ、議員の発言を理由に辞職勧告をした例がないからだ。ただ、国会の意思を明確にすべきだと与野党が折り合った。それだけ重大な言動と受け止めたのである。確かに、議員辞職勧告決議は多数による少数勢力排除につながりかねない危険性がある。

 議員の身分は軽くない。だからこそ、個々に厳しい自己抑制が求められる。決議に追い込まれるほどの事態を招いた自身の立場を認識し、出処進退を判断できる思慮分別は議員に不可欠な条件だ。裏返せば候補者を擁立する政党の責任も生じる。与野党からレッドカードを突きつけられた以上、国会で活動する舞台は限定されよう。それでも議員にしがみつき、国会を欠席しても歳費をもらい続けることは本意ではないはずだ。速やかに議員辞職を決断すべきだ。

 

糾弾決議 議員の資質を欠くのは明白だ(2019年6月8日配信『読売新聞』―「社説」)

 

 国会議員として資質を欠いている。衆院が一致して糾弾する決議を採択したことを踏まえ、丸山穂高議員は自ら進退を判断すべきである。

 日本維新の会に所属していた丸山氏は先月、北方領土の国後島へのビザなし訪問団に参加した。その際、泥酔して元島民の訪問団長らに対して、「戦争しないとどうしようもなくないですか」といった暴言を繰り返した。

 武力で領土を取り戻すことを容認するかのような主張は、許されない。ビザなし交流に参加する国会議員として極めて不適切だ。

 交流は、元島民らとロシア人が親睦を深め、領土返還の機運を高める狙いがある。ロシアの主権を認めることにならないよう、参加者は滞在中の行動に細心の注意を払わなければならない。

 丸山氏は、宿泊先から外出しようとして、制止する政府職員らともみ合いになったという。身勝手な振る舞いは目に余る。

 糾弾決議は、丸山氏の発言を「憲法の平和主義に反する」とし、「国会議員としての資格はないと断ぜざるを得ない」と厳しく非難した。その上で、自ら進退を判断するよう促している。事実上、議員辞職を求めたと言える。

 決議の可決後、丸山氏は改めて辞職しない意向を示しているが、全会一致で採択された重みを真摯しんしに受けとめるべきだ。

 丸山氏がこれまで取ってきた対応には疑問が多い。

 発言を謝罪して撤回する一方、衆院議院運営委員会の説明要求には応じず、体調不良を理由に国会を欠席し続けている。自ら積極的に説明する姿勢は見られず、無責任とのそしりは免れない。

 与野党の調整は曲折をたどった。自民、公明両党はけん責決議案、野党は議員辞職勧告決議案を提出したが、最終的に辞職勧告より抑制的な決議で折り合った。

 憲法は国会議員に特別の地位と権利を保障しており、辞職勧告は本来、軽々に扱われるべきではない。主に刑事事件に問われた議員を対象としてきた経緯もある。

 国会決議に法的拘束力はなく、議員が従わなければ、院の権威が損なわれる問題も抱える。与野党はそうした懸念よりも、丸山氏の言動を許容しないとの意思表示を優先し、採択に踏み切った。

 安倍内閣は北方領土問題の解決を目指して、プーチン露政権と平和条約交渉を重ねている。丸山氏の問題にかかわらず、政府はロシア側と信頼を醸成し、粘り強く交渉を進める必要がある。

 

丸山氏糾弾決議/「選良」に値せず辞職せよ(2019年6月8日配信『神戸新聞』―「社説」)

 

 北方領土へのビザなし交流訪問の際、戦争で領土を奪還することの是非に言及した丸山穂高衆院議員=日本維新の会を除名=に対して、直ちに進退判断を促す糾弾決議を衆院が全会一致で可決した。国会議員に対する糾弾決議は初めてだ。

 「戦争をしないと、どうしようもなくないですか」という元島民への質問は、憲法9条が定める戦争放棄の理念を踏みにじるものだ。長年かけてロシア人住民と元島民が築き上げた友好関係をないがしろにした上に、ロシアとの関係にも影を落としかねない。

 訪問先で酒に酔って禁止された外出を試み、下品な発言を繰り返すなど問題行動も起こした。国会議員として、社会人としての資質に欠けている。

 糾弾決議に強制力はない。しかし与野党が一致して「議員不適格」の烙印(らくいん)を押したことを重く受け止めて、直ちに辞職するべきだ。

 丸山氏は言論の自由を根拠に、自らの発言を正当化している。決議案に対しても文書で「人民裁判」と反論した。

 自由の意味を、はき違えているのではないか。憲法が保障するのは、国民に対する国の検閲や弾圧を禁じるのが趣旨だ。武力行使の容認を国会議員が国民に迫るような言動を、擁護できないのは明白である。

 丸山氏の発言が明るみに出た直後、野党は辞職勧告決議案を提出した。一方、与党は「議員の身分に関わることは慎重に」と、けん責決議案にとどめた。そのままの状態が続けば、会期末に両決議案とも廃案になるところだった。

 その後、数々の問題行動も公になり、与野党は糾弾決議案提出で折り合った。国会が毅然(きぜん)とした姿勢を示さなければ、国民は政治不信をいっそう募らせただろう。

 国会議員は「選良」とされる。識見や実行力にとどまらず、国民が信頼を寄せるに足る優れた人格を求められるからだ。

 参院選が近づき、ダブル選も意識して各党の候補者の顔ぶれが固まりつつある。「選良」にふさわしい人物を擁立し、有権者がその訴えを冷静に判断することが、政治への信頼を取り戻すために欠かせない。

 

丸山氏糾弾決議 辞職要求と受け止めよ(2019年6月7日配信『北海道新聞』―「社説」)

 

 衆院はきのうの本会議で、北方領土へのビザなし交流訪問の際、戦争による領土奪回に言及した丸山穂高衆院議員=日本維新の会を除名=に対する糾弾決議を全会一致で可決した。

 戦争発言に加え、泥酔して醜態をさらした言動が「国益を大きく損ない、国会議員の資格はないと断ぜざるを得ない」と非難した。進退について「ただちに、自ら判断するよう促す」としている。

 丸山氏に辞職の意向はないようだが、国会から議員失格とされて国民の負託には応えられまい。決議を事実上の辞職要求と受け止め、潔く議員バッジを外すべきだ。

 当初、野党は辞職勧告決議案を提出したが、与党は発言に関する辞職勧告には慎重であるべきだとして、けん責決議案を提出した。

 しかし、同行した政府職員への聴取などで丸山氏の耳を疑うような行状の数々が判明し、与党は表現の強い糾弾決議に変更し、野党と折り合った。衆院の一致した意思が示されたことは評価できる。

 丸山氏は禁止されている外出を試みたという。本当に外に出て騒動を起こしていたら、ロシア当局に拘束され外交問題に発展していた可能性がある。

 日ロの主権の問題を棚上げして成り立っているビザなしの枠組みを危うくしかねなかった。

 丸山氏の行動は、北方領土問題解決に向けて「関係者が営々と築き上げてきた努力を一瞬にして無に帰せしめかねない」と決議が指摘したのは、全くその通りだ。

 「女を買いたい」などと騒いだことに至っては、議員の資質以前に人間性が問われる。

 驚くのは、丸山氏が衆院議院運営委員会に提出した、開き直りのような弁明文書だ。

 戦争発言について「憲法違反だというのは飛躍しすぎている」と反論、決議に対しても「人民裁判的な決定を行う言論府となることが危惧される」と批判している。

 元島民に配慮を欠いたとして謝罪こそしているが、なぜ自分の言動が問題になったのかを反省する真摯(しんし)な姿勢が全く見られない。

 丸山氏は「進退は最終的には選挙での有権者の判断だ」としている。地元大阪19区の有権者の信頼は今も得られているのか、胸に手を当てて考えてもらいたい。

 議員の劣化を表すような問題発言や問題行動が止まらない。丸山氏を公認した維新をはじめ、国民の代表としてふさわしいかどうかを見極める政党の眼力が、今ほど問われている時はないだろう。

 

丸山議員に糾弾決議 速やかに議員辞職を(2019年6月7日配信『茨城新聞』―「論説」)

 

「品位のかけらもない議員の存在を国内外に知らしめ、本院の権威と品位を著しく貶(おとし)める結果となったと言わざるを得ず、国会議員としての資格はないと断ぜざるを得ない」。強烈な非難の言葉で進退を判断するよう促す決議が可決された。

北方領土へのビザなし交流訪問団に参加し、懇親会の席で元島民の団長に「(領土を取り返すには)戦争をしないと、どうしようもなくないか」などと発言した丸山穂高衆院議員(日本維新の会を除名)に対する糾弾決議。衆院本会議で与野党が全会一致で示した意思は極めて重く、丸山議員は速やかに議員辞職を決断すべきだ。

言うまでもなく、憲法9条は紛争解決の手段として戦争を永久に放棄することをうたう。安易に戦争を口にする無神経さは、政治家のこれまでの失言と比べても質の悪さは群を抜く不見識なもので、本人が持ち出す「言論の自由」で許容するわけにはいかない。

元島民らを傷つけただけでなく、北方領土問題の解決に向けた環境整備の一環で実施されているビザなし交流を台無しにしかねない行為である。領土交渉でロシア側が態度を硬化させる“口実”にする恐れもはらむ。

国後島訪問時には、コニャック10杯以上を飲み、宿舎で下品な発言を繰り返し、禁止されていた外出をしようとして他の参加者ともみ合いになったことも、新たに発覚した。国会議員の資質が決定的に欠落しているのは明らかだ。

丸山議員は国会に提出した弁明文書で「決議は、多数者が前例なしに人民裁判的な決定を行う言論府になると危惧される事態だ」「進退は議員自身が判断すべきで、最終的には選挙での有権者の判断によるべきものだ」と反論し、辞職を拒否している。

自身のツイッターに寄せられた一部の意見に耳を傾け、多数の声を聞こうともせず、大局を見失っていく姿は、大いなる勘違いであり、ツイッター政治がもたらす負の側面が表れたと言えるかもしれない。

 当初、維新も含む野党は議員辞職勧告決議案を提出したのに対し、与党はけん責決議案を主張した。法的な拘束力はないとはいえ、議員の発言を理由に辞職勧告をした例がないからだ。ただ、国会の意思を明確にすべきだと与野党が折り合った。それだけ重大な言動と受け止めたのである。

 確かに、議員辞職勧告決議は、多数による少数勢力排除につながりかねない危険性が指摘される。ならば、こうした決議は「全会一致」を担保しておくべきだろう。

 議員の身分は軽くない。だからこそ、個々に厳しい自己抑制や矜持(きょうじ)が求められているのではないか。決議に追い込まれるほどの事態を招いた自身の立場を認識し、出処進退を判断できる思慮分別は、議員になるための不可欠な条件だ。裏返せば候補者を擁立する側の政党の責任も生じる。

 所属していた維新が「身を切る改革」をいの一番に掲げ、議員歳費の削減などを訴えていることをまさか忘れてはいまい。与野党からレッドカードを突き付けられた以上、国会で活動する舞台はかなり限定されよう。それでも議員にしがみつき、国会を欠席しても歳費をもらい続けることは本意ではないはずだ。

 丸山議員に残された選択は議員辞職しかない。

 

丸山議員に糾弾決議 維新の責任で辞職説得を(2019年6月7日配信『毎日新聞』−「社説」)

 

 戦争で北方領土を奪い返す趣旨の発言をし、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員の糾弾決議が衆院の全会一致で可決された。

 決議は「国会議員としての資格はない」とした事実上の辞職勧告だ。丸山議員はこれを重く受け止め、潔く辞職すべきである。

 与党は野党の辞職勧告決議案に同調せず、厳しく叱る「けん責」にとどめる決議案を提出していた。間をとる形で糾弾決議に落ち着いた。

 発言から1カ月近くを要したものの、衆院としての意思表示がなされたことは評価できる。国家間の対立を戦争で解決することを容認したと受け取れる発言に対し、「憲法の平和主義に反する」との見解を国会が明確に示した意味は大きい。

 丸山議員の発言は北方四島ビザなし交流の訪問団に参加した際のものだ。飲酒して卑わいな発言をし、禁じられていた外出を強行しようとして団員らともみ合いになった。決議はこれらの言動が「本院の権威と品位を著しく失墜させた」と断じた。

 驚くのは本人にその自覚がないことだ。戦争発言は謝罪、撤回した一方で、衆院議院運営委員会の聴取に応じず、同委に提出した弁明書で「刑事事件や違法行為があったわけではない」などと反論した。

 選挙を通じて国民から負託を受けた国会議員の身分は確かに重い。特定の言論を理由に数の力で辞職を強いてはならないことは、「反軍演説」で知られる斎藤隆夫を除名した戦前のあしき前例が教えている。

 しかし、丸山議員の言動は言論の名に値するものではない。決議の提出理由には「議員としてというよりも人間としての品位を疑わせる」と異例の非難が盛り込まれた。

 丸山議員が初当選したのは関西を中心に維新が躍進した2012年衆院選だ。政党が前面に出た選挙戦を展開しておいて、除名して済まそうというのなら無責任である。維新は辞職の説得に力を尽くすべきだ。

 維新ではほかにも参院選の公認予定者が被差別部落への差別を助長するような発言で謝罪に追い込まれた。自民党でも12年初当選組が「魔の3回生」と呼ばれ、女性問題などで辞職や離党するケースが相次ぐ。

 擁立した候補者の質に最後まで責任を負うのは政党だ。

 

丸山氏、糾弾決議 国民代表の資格はない(2019年6月7日配信『東京新聞』−「社説」)

 

 全会一致での糾弾決議を重く受け止め、自ら議員を辞職するべきである。北方領土を戦争で奪還する旨を述べた丸山穂高衆院議員。戦争放棄の憲法に反する発言であり、国民の代表たり得ない。

 丸山氏への糾弾決議がきのうの衆院本会議で全会一致で可決された。丸山氏は北方領土へのビザなし交流訪問団に参加した際、現地で酒を飲みすぎ、団長の大塚小弥太さんに「戦争でこの島を取り返すことは賛成ですか反対ですか」「戦争をしないと、どうしようもなくないですか」などと発言。大声を張り上げたり、品位のない卑猥(ひわい)な言葉を発するなど多大な迷惑行為をした、という。

 糾弾決議は一連の言動を「憲法の平和主義に反する」「議員としてあるまじき数々の暴言」などと指摘。「わが国の国益を大きく損ない、衆院の権威と品位を著しく失墜させた」「国会議員としての資格はないと断ぜざるを得ない」として「ただちに自らの進退について判断するよう促す」内容だ。

 奪われた領土は戦争で取り戻すしかないとする発言内容は、自衛目的以外の武力の行使を禁じた国際法上認められず、憲法九条の戦争放棄と、九九条の国会議員の憲法尊重、擁護義務にも反する。

 丸山氏の発言は到底、容認できず、国会議員たる資格を満たしているとは言い難い。糾弾決議に法的強制力はないが、丸山氏は速やかに、自ら辞職すべきである。

 丸山氏は言動の不適切さを認めながらも「憲法九条や九九条違反だというのは飛躍のしすぎ」「出処進退は、最終的には選挙での有権者の判断によるべきもの」として辞職しない考えを示している。

 辞職を拒み、衆院議院運営委員会の聴取にも応じない丸山氏の態度は、代表を送り出す国民の立場としてはとても納得できない。

 議員の当落を決めるのは選挙だとしても、選挙の際に想定されない言動があれば、その都度、議員の資格を問われて当然だ。

 国会議員の地位は重い。所属する院で三分の二以上の賛成がなければ、議席を失うことはないとしても、国民の代表たる資格を有しているとは到底思えない議員を放置していいわけはない。

 国会としては、多数派による少数派抑圧に悪用されないよう留意しながら議員辞職をより強く迫る方策を模索すべきでなかったか。

 日本維新の会は丸山氏を除名したが、単に切り捨てるのではなく議員辞職を粘り強く説得するのが公認した政党の責任でもある。

 

丸山氏糾弾決議 議員の資質どう見極める(2019年6月7日配信『北国新聞』―「社説」)

 

 衆院は丸山穂高議員に対する糾弾決議を全会一致で可決した。北方領土を訪問した際の酒に酔っての言動は、国会議員として常軌を逸しており、出処進退を厳しく問われて当然である。

 糾弾決議に法的拘束力はないため、進退を決めるのは丸山氏自身であり、丸山氏が国会議員としてふさわしいかどうかの最終判断は有権者に委ねるほかない。それは代議制民主主義の原則として認めざるを得ない。

 丸山氏は2012年に結成された「日本維新の会」の公募候補として、同年末の衆院選で初当選した。これまでたびたび、国会議員としての資質や品格を疑わせる飲酒トラブルを起こしてきた。国後島での暴言を受けて、維新の会は丸山氏を除名処分にしたが、今回の騒動は、公募した人物の資質を見極め、公認候補として擁立する政党の責任についても、重要な問題を提起したといえる。

 公募は意欲、能力のある政治家志望者を発掘する有力な方法で、日本維新の会は結党後初の衆院選で、維新政治塾の塾生のほか、国会議員や地方議員の現・元職、さらに首長や公務員など行政経験者に限定して候補者を募った。

 急造の新党にとって、公募しか方法はなかったといえるが、候補者の資質を書類や面接だけで見極めるのは難しい。東大卒で経済産業省出身の丸山氏を選んだ党創設者の橋下徹氏も、今になって反省の弁を述べる結果となった。

 丸山氏の問題発言は、戦時に武力で奪われた領土を外交交渉で取り戻すことの困難さを強調する趣旨であり、現状への怒りや、いら立ちをはき出したに過ぎないようにも受け取れる。軍事力による奪還を本気で考えているとは到底思えない。が、そうであったとしても、外交解決をめざすべき国会議員の責務を放棄した、無責任な発言といわなければならない。

 丸山氏発言で1カ月近く大騒ぎした国会も、ほめられたものではない。丸山氏は弁明書で「人民裁判的な言論府」への危惧を述べているが、一歩間違うと、そのような危うさを否定できないことを各党は心得てほしい。

 

[丸山氏糾弾決議] 即刻議員辞職すべきだ(2019年6月7日配信『南日本新聞』―「社説」)

 

 北方領土を戦争で取り返すことの是非に言及し、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員に対する糾弾決議がきのう、衆院本会議で可決された。

 決議は「議員としてあるまじき数々の暴言を繰り返した」「国会議員の資格はないと断ぜざるを得ない」と厳しく非難した上で、「直ちに、自ら進退について判断するよう」に促した。

 丸山氏の発言は、平和主義を基本原則とする憲法をないがしろにするもので、到底許されるものではない。与野党が全会一致で下した国会の意思は重い。

 丸山氏は今のところ辞職を否定している。しかし、国会決議を真摯(しんし)に受け止めなければならない。即刻、議員を辞職すべきだ。

 問題発言があったのは、北方領土へのビザなし交流訪問団に参加していた5月11日夜のこと。酒に酔った上で、国後島の宿舎で元島民の訪問団長に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか」などと武力奪還の賛否を質問した。

 丸山氏は元島民らから抗議を受けて謝罪した。だが、平和的な返還を辛抱強く待ち続けてきた元島民の気持ちをどれほど踏みにじったか。発言を撤回して済む話ではない。国会議員として見識、資質を欠いているのは明らかで、本来ならば自ら議員バッジを外すのが筋だ。

 糾弾決議案は、自民党や立憲民主党など与野党8党派が共同提出した。衆参両院事務局によると、国会議員への糾弾決議は初めてという。

 ただ、当初は与野党の対応は異なった。議員辞職勧告決議案を提出した野党6党派に対し、与党は辞職までは求めないけん責決議案にとどめた。辞職勧告がこれまで主に刑事責任を問われた場合に出され、「議員の身分に関わることは慎重に取り扱う必要がある」との立場をとったからだ。

 与党がけん責より厳しい内容に改めたのは、丸山氏が下品な発言を繰り返すなど、新たな問題行動が発覚したことが大きい。禁止された外出を試み、止められると「不逮捕特権で逮捕されない」との発言にはあきれる。

 確かに、議員の身分は憲法で保障されている。それでも与野党が歩み寄り、結果的にオール衆院としての意思を示したのは、看過できない重大な言動と受け止めたからにほかなるまい。

 丸山氏の発言は現にロシアに伝わり、北方領土交渉に悪影響が出かねない状況になっている。

 丸山氏は3日に国会に出した弁明文書で「前例なしに人民裁判的な決定を行う言論府になる」と反論した。だが、戦後、築いてきた平和国家としての日本のイメージを傷つけた罪は大きい。議員として国益をも損なわせた政治責任を取るべきだ。

 

丸山議員糾弾決議 速やかに議員辞職すべきだ(2019年6月7日配信『熊本日日新聞』―「社説」)

 

 衆院は6日、北方領土へのビザなし交流訪問の際、戦争で領土を取り返すことの是非に言及した丸山穂高衆院議員に対する糾弾決議を全会一致で可決した。

 国会議員への糾弾決議は初めてという。与野党が一致した国会の意思は極めて重い。丸山議員は速やかに辞職を決断すべきだ。

 決議は、丸山議員について、「憲法の平和主義に反する発言をはじめ、議員としてあるまじき数々の暴言を繰り返した。国益を大きく損ない、衆院の権威と品位を著しく失墜させた」と非難。「国会議員の資格はないと断ぜざるを得ない。直ちに自ら進退について判断するよう促す」とした。

 決議に法的拘束力はなく、丸山議員は「前例のない人民裁判的な決定。最終的には選挙での有権者の判断によるものだ」などとし、任期を全うする考えを示している。

 与野党からレッドカードを突き付けられた以上、国会で活動する舞台はかなり限定されよう。それでも議員にしがみつき、歳費をもらい続けることに有権者の理解が得られるだろうか。

 丸山議員は、北方領土へのビザなし交流訪問団に同行。5月11日夕、国後島のロシア人家庭を訪問してコニャック10杯以上を飲んで宿舎に戻り、元島民の団長に「戦争をしないと、どうしようもなくないですか」などと質問した。

 下品な発言を繰り返し、禁止されていた外出をしようとして他の参加者ともみ合いになったことも発覚した。国会議員の資質が決定的に欠落しているのは明らかだ。

 安易に戦争を口にする無神経さは、政治家のこれまでの失言と比べても群を抜く。元島民らを傷つけただけでなく、北方領土問題の解決に向けた環境整備の一環で実施されているビザなし交流も台無しにしかねない失態で、本人が持ち出す「言論の自由」で許容するわけにはいかない。

 確かに、議員の身分は軽くない。だからこそ、個々に厳しい自己抑制や矜持[きょうじ]が求められよう。出処進退を判断できる思慮分別は、議員になるための不可欠な条件と言える。

 政治家としての資質を疑う発言や失言が後を絶たない。その責任は候補者を擁立する政党にも求められていることを自覚すべきだ。

 

[丸山氏糾弾決議]真摯に受け止め辞職を(2019年6月7日配信『沖縄タイムス』−「社説」)

 

 衆院は6日の本会議で、北方領土を戦争で取り返す是非に言及した丸山穂高衆院議員=日本維新の会を除名=に対する糾弾決議を全会一致で可決した。

 「国会議員の資格はないと断ぜざるを得ない」と非難した上で、直ちに自らの進退を判断するよう促した。決議は当然で、丸山氏は速やかに辞職すべきだ。

 衆参両院事務局によると、国会議員への糾弾決議は初めて。

 丸山氏は、5月に北方領土へのビザなし交流訪問団に同行した際、国後島の宿舎で酒に酔い、元島民の訪問団長に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」などと質問した。

 領土問題を戦争によって解決することを肯定するかのような発言は、「不適切」や「失言」のレベルではなく、国会議員としての見識・資質を欠いたものだ。

 決議では「憲法の平和主義に反する発言をはじめ、議員としてあるまじき数々の暴言を繰り返した」と批判。さらに、「衆院の権威と品位を著しく失墜させたと言わざるを得ない」と強調した。

 憲法9条では、戦争放棄を明文化しており、丸山氏の発言は、憲法の趣旨にも反する。糾弾決議に法的拘束力はないが、国会の総意は重い。

 丸山氏の発言を巡っては、維新を含めた野党6会派が提出した議員辞職勧告決議案、与党のけん責決議案をそれぞれ取り下げ、与野党で糾弾決議案の共同提出となった。問題の放置を避けるため歩み寄った形だ。

    ■    ■

 丸山氏が戦争に言及した後も、「女性のいる店で飲ませろ」という趣旨の発言をして、禁止されている宿舎からの外出を試みたり、下品な発言を繰り返したりしたことも明らかになった。

 浅はかな言動は言語道断だが、一議員の失態で済まされる問題ではない。

 ビザなし交流は1992年、北方領土問題の解決へ、元島民と北方四島に住むロシア人との交流を通じて、信頼関係を築くために始まった。平和主義を貫きながら重ねてきた交流は、関係者の努力のたまものでもある。

 そういう場で、戦争で解決しようと口にすることは、関係者を傷つけるだけでなく、国の信用も脅かす。

 決議でも「日本とロシアの重大な外交問題に発展しかねない問題行動」と指摘する。

 あらためて憲法がうたう平和主義に基づく外交の意味が問われよう。

    ■    ■

 糾弾決議の可決後、丸山氏はツイッターで「任期を全うし前に進んでまいります」と辞職しない考えを示した。

 国会に3日提出した弁明書では、一連の言動を謝罪した上で「違法行為はない」「人民裁判的な決定を行う言論府となることが危惧される事態だ」などと反論し、辞職を拒否していた。

 糾弾決議を突き付けられた以上、真摯(しんし)に受け止め、自身の立場を認識しなくてはいけないはずだ。

 決議に追い込まれる事態を招いた意味を分別できない国会議員はいらない。

 

丸山氏は議員たるに値しない(2019年6月6日配信『日本経済新聞』―「社説」)

 

北方領土を戦争で取り返す是非に言及した丸山穂高衆院議員への糾弾決議が衆院本会議で全会一致で可決された。言論の自由は尊重されなくてはならないが、丸山議員は国会の場で、きちんと弁明しないなど、その対応はあまりに無責任である。これでは議員を務めるに値しない。

戦前の帝国議会は、反軍演説をした斎藤隆夫を除名し、言論を封殺した。その反省から、戦後の国会は議員が罪を犯した場合でも辞職勧告にとどめてきた。

憲法は「議院で行った演説、討論または表決について、院外で責任を問われない」と定める。このルールは国会外での発言にもできるだけ当てはめるべきだ。

丸山議員の言動は極めて品位を欠くものではあったが、刑事事件を起こしたわけではない。その意味で、決議が「直ちに自ら進退について判断するよう促す」とする一方、名称を辞職勧告にしなかったのは妥当な判断である。

では、丸山議員は今後も職にとどまってよいのかといえば、そんなことはない。

北方領土へのビザなし渡航団に参加した際になされた「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」「戦争しないとどうしようもなくないですか」との発言が、公人として不穏当なのはいうまでもない。

しかも、かなり酔っていたようだ。以前に酒でトラブルを起こして、「公職の間は断酒する」と誓ったにもかかわらずだ。

最も問題なのは、その後の振る舞いである。辞職勧告決議案の上程が検討され始めると、「議場で不問になっている過去の他議員の不祥事」を暴露する、など脅迫めいた発言を連発した。世論の反発が強いとみるや、以降は表舞台から姿を消した。国政を担う資質に欠けることは明らかだ。

今年の夏は参院選があり、衆参同日選の可能性も取り沙汰されている。人物を見極めて投票しないと、こんな大ごとになるのだ。有権者の責任も重大である。

 

戦後日本型失言(2019年6月3日配信『信濃毎日新聞』―「斜面」)

 

政治家が失言で辞任する。でも、どうも恥じている様子がないのはどうしてだろう。先日亡くなった文芸評論家の加藤典洋さんが、20年前の著書「日本の無思想」で「タテマエとホンネ」を考えた時の問いだ。戦後日本型失言と呼んだ

   ◆

最初は1968年の倉石忠雄農相(衆院旧長野1区)だったとみる。「軍艦や大砲を持たねばだめだ。憲法は他力本願だ」などと発言し、野党が反発、国会が空転した。辞任に至ると「私の理想は理想として、政局を正常に戻すため」との談話を出した

   ◆

迷惑をかけたからタテマエ上は陳謝も辞任もするが、自分の信念(ホンネ)は無傷―。こうした考え方により、恥じない失言が生まれる。さらに言えば、内容の賛否は別にして、戦後日本は「発言はそれなりの理由がある」と了解をしているのだ、と加藤さんの鋭利な論考は続く

   ◆ 

ここでいう戦後日本型の失言と別次元の軽口が政治家から飛び出す時代になった。道路整備で首相らの意向を「忖度(そんたく)します」。同僚議員が「復興以上に大事」。北方領土を取り戻すには「戦争で」。失言とすら呼びたくない軽薄な言葉に、気が重くなる

   ◆

参院選を前に自民党が「失言防止マニュアル」を国会議員に配布したという。老婆心ながら皆さん、失言以前に、暴言や虚言の予防は大丈夫でしょうか。辞任のたび神妙な顔つきで「任命責任は私にあります」と繰り返し、後任者を決めるだけのタテマエには、もうウンザリとしています。

 

落ちた国会議員(2019年6月2日配信『中国新聞』―「天風録」)

 

 休日出番のきのう、同僚の机の電話が鳴った。取ると女性の声である。「突然、申し訳ありません。こちらは…」。こっちの返事も待たず、しゃべり続ける。人工知能の声らしい。参院選についての世論調査だった

▲任期満了まで2カ月を切っている。土日の2日間で有権者の胸中を測るのだろう。永田町では、衆院の「解散風」も気掛かりのようだ。衆参ダブル選は是か非か―。民意の風向きを知りたいのは与野党とも変わるまい

▲折も折とて、投票の意味合いは高まっている。国会議員の体たらくをこのところ見せつけられているからだ。「資質を欠く」くらいの形容では済まず、見るに堪えない

▲戦争による北方領土の奪還を口にして、日本維新の会から追われた衆院議員。「子どもを最低3人くらい産むように」が持論の前五輪相。「3人以上産んで」は自民党の専売特許なのか、昨年も衆院議員が述べ、撤回した。今回は謝罪も撤回もなし

▲自民党では先月、参院選対策として失言防止マニュアルを議員に配ったところだった。当の前五輪相らが失言で内閣を去った記憶もほやほやのうちに作ったと聞く。次はマニュアルをかみくだく虎の巻が必要かもしれない。

 

青い山脈(2019年5月26日配信『宮崎日日新聞』―「くろしお」)

 

 教師役の原節子さんは既に世を去り、女生徒役の杉葉子さんも逝った。戦後復興期に大ヒットして青春映画の代名詞になった「青い山脈」。不朽の名作に出演した女優たちだ。

 「ああ、変しい変しい私の変人。ぼくは心の底からあなたを変しておるのです」。漢字の「恋」を「変」と間違えて意味不明になった偽ラブレターの文面があまりに有名。子どものころ誤字脱字だらけの作文を持ち帰ると親から「変しい変しい」と笑われたものだ。

 今これほど変しい否、変な日本人はそうそういない。ビザなし交流訪問先の国後島で、酒に酔い元島民の訪問団長に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか」と問い「女性のいる店で飲ませろ」との趣旨の発言をした丸山穂高衆院議員。

 日本維新の会を除名され、与党からはけん責決議案を、野党6党派からは議員辞職勧告決議案を提出され四面楚歌(そか)の身である。おとといは衆院議院運営委員会が求めた理事会での事情聴取を欠席。身を引いて当然の立場のはずだが、本人は断固辞職しない構えだ。

 「青い山脈」の偽ラブレターの文面には続きがある。「悩」と「脳」も間違えて、「ぼくの胸はあなたを想う脳ましさでいっぱいです。ぼくは脳んで脳んで、脳み死ぬのではないかと思います」と書かれてあった。まさに恥の上塗りだ。

 戦後の新しい政治に期待したのだろう。「青い山脈」の登場人物に「国会で取っ組み合いする使命」という趣旨のセリフがあった。これ以上、恥の上塗りを許せば泉下の名女優たちに笑われそうだ。当の議員ばかりではない。国会もである。

 

国会議員の資質/止まらない劣化に歯止めを(2019年5月25日配信『河北新報』―「社説」)

 

 国会議員の失言や不祥事が後を絶たない。資質に欠けるという一言では片付けられない深刻な事態だ。

 戦争による北方領土奪還に言及し、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員。与党はけん責決議案を、野党6党派は辞職勧告決議案をそれぞれ提出した。

 丸山氏は北方領土へのビザなし交流訪問団に同行した11日夜、国後島の宿舎で酒に酔い、元島民の団長に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」「戦争をしないとどうしようもなくないですか」などと質問。団長は「戦争なんて言葉は使いたくない」と返答した。

 平和主義を基本原則とし、戦争放棄を規定する憲法9条をないがしろにする発言だ。国会議員の憲法尊重擁護義務を定めた憲法99条にも反する。

 撤回し謝罪したものの、国民の代表でありながら戦争を仕掛けるかのような発言は断じて許されない。にもかかわらず、丸山氏は「言論の府が自ら首を絞めかねない」と議員辞職を否定した。

 全くの筋違いである。憲法に反する暴言を棚に上げ、言論の自由を持ち出してまで議員の地位にすがりつく。居直りにしか映らず、あきれ果てる。けん責や辞職勧告を受けるまでもなく、速やかに議員辞職すべきだ。

 国会議員の劣化は丸山氏にとどまらない。丸山氏は2012年衆院選で初当選。当時の大阪市長だった橋下徹前代表が率いた維新の躍進で議席を得た。この時に大量当選した自民党の新人議員に不祥事が相次ぎ「魔の3回生」と呼ばれたことは記憶に新しい。

 育休取得宣言後の不倫発覚や女性問題、秘書への暴言暴行、準強制性交容疑での書類送検など、人間としての品格に欠ける不祥事が続いた。

 自民党議員のトラブル続きは「1強政治」による緊張感の欠如と無縁ではない。その緩みを映し出してきたのは閣僚らの失言だ。

 今年4月には塚田一郎元国土交通副大臣が道路整備を巡り「首相や副総理が言えないので私が忖度(そんたく)した」と発言した。桜田義孝前五輪相は「復興以上に大事なのは高橋(比奈子衆院議員)さん」と発言し、いずれも更迭された。

 政治は「言葉の芸術」と言われる。政治家は政策や主張を有権者に訴え、理解を得ようとする。有権者は党首や議員の言葉を聞き1票を託す。繰り返される不祥事や失言は、その重みを理解しない政治家が多い証左でもある。

 今回の丸山氏の発言には議員の劣化がここまで来たかと驚く。有権者が託した立法府の一員としての責務を踏みにじったと言えまいか。

 与野党ともに所属議員の資質を厳格に問い、劣化に歯止めをかける対応が必要だ。私たち有権者の側にも、国民の代表たり得るかどうかを見極める力が求められる。

 

日本維新の会 政党の見識が問われる(2019年5月24日配信『朝日新聞』―「社説」)

 

 また日本維新の会から、問題発言が飛び出した。

 こんどは今夏の参院選比例区に公認候補として立つ予定の元フジテレビアナウンサー長谷川豊氏が、被差別部落への差別をあからさまに助長した。

 本人は撤回、謝罪したが、差別意識むき出しの発言は断じて許されるものではない。

 長谷川氏は女性蔑視やセクハラ発言を繰り返してきた。人工透析の患者を「自業自得」と決めつけ、自身のブログに「全員実費負担にさせよ! 無理だと泣くならそのまま殺せ!」と書いたことさえある。

 それでも、その後の衆院選で維新の千葉1区の公認候補になっていた。

 北方領土をめぐって、現地で「戦争しないとどうしようもなくないですか」と語った丸山穂高衆院議員も、維新の公募候補で国会に出てきた。

 所属メンバーから非常識な言動が相次ぐ現状を、維新はどう考えるのか。長谷川氏の公認の当面停止で済ませるつもりか。政党としての見識が問われる。

 事態が深刻なのは、維新の議員らの暴言が、いまに始まった話ではないからだ。

 一昨年には、足立康史衆院議員が加計学園問題の審議の際、他党の議員3人を名指しして、「犯罪者だと思っています」と述べた。根拠なき中傷だった。

 他党に対する「アホ」「ふざけるなよ、お前ら」といった発言などで、何度も懲罰動議を受けてきた人物である。このときも、維新の対応が問われた。

 現状を見れば、その後も党員らの言動が改善されていないと言うしかない。

 維新は、ことしも13億円余の政党交付金を受け取る。公党として、議員や関係者の規律をただす責任がある。

 一方で、政治家の不見識な振る舞いは他党にも共通する。

 とりわけ、五輪相と国土交通副大臣が続けて職を追われた自民党で続発している。

 3月には、準強制性交の疑いが報じられ、衆院議員を辞職した者まであらわれた。いわゆる「魔の3回生」のひとりだ。

 暴言の類いも次から次だ。同性カップルを「生産性がない」と評して、性的少数者を差別した女性衆院議員や、東日本大震災が「東北でよかった」と発言した復興相もいた。

 自民党は今月、国会議員らに「失言防止マニュアル」を配って注意を促した。そこまで議員の質が落ちているわけだ。

 改めて確認しておこう。

 

国会議員の劣化 政党の責任が問われる(2019年5月23日配信『北海道新聞』―「社説」)

 

 国会には、国民の代表にふさわしい人材が本当に集まっているのか、疑問を抱かざるを得ない。

 戦争による北方領土奪還に言及し、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員をはじめ、国会議員の社会常識に欠けるような言動が止まらない。

 政党本位の選挙を目指すとした衆院への小選挙区制導入に伴い、いわゆる「風」に乗って若手議員が大量当選する傾向が強まっていることと無縁ではなかろう。

 議員の劣化は政治に対する国民の信頼低下を招き、議会制民主主義を危うくしかねない。

 議員一人一人が研さんを積むべきなのは当然だが、問われるのは選挙で公認した政党の責任だ。

 丸山氏は2012年、維新ブームに乗って議席を獲得し、当選3回を数える。

 当時、政権を奪還した自民党にも大量の新人議員が生まれた。しかし、その後に金銭トラブルや女性問題などで離党したり、議員辞職したりする例が後を絶たない。

 先月は田畑毅・元衆院議員が、議員辞職後に準強制性交などの容疑で書類送検された。

 17年に秘書への暴力・暴言が報道された豊田真由子氏、16年に内閣府政務官として長靴を履かずに被災地を視察し、職員におんぶされた務台俊介氏も12年当選組だ。

 政治家の資質どころか、社会人としての規範すら身に付けていないような人物が後を絶たない。

 政党は選挙で、候補者の人間性を見極めず、議席獲得のコマのように公認していないだろうか。

 安倍1強政権下で数を頼みにした国会運営が続き、政策論議によって若手議員が鍛えられる機会が奪われていないかも気がかりだ。

 ただ、問題発言は若手議員に限ったことではない。

 「忖度(そんたく)」発言、「復興以上に大事な議員」発言でそれぞれ国土交通副大臣、五輪相を辞任した塚田一郎、桜田義孝両氏は、一定の経験を積んだ中堅・ベテランだ。

 こうした事態を受け自民党は、「発言は切り取られる」「強めのワードに注意」などと書かれた、失言防止のマニュアルのような文書を所属議員に配布した。

 不見識な言葉がなぜ発せられるのかという問題の本質に目を向けずに、小手先の対応を取るだけでは何の解決にもなるまい。

 議員を国会に送り出すのは国民だ。選挙期間中のみならず、国政を託すに足る人物なのかどうか、有権者としても日ごろから言動に目を凝らしてゆきたい。

 

「戦争」発言 衆院として意思を示せ(2019年5月23日配信『朝日新聞』―「社説」)

 

 憲法の根幹である平和主義を理解せず、武力による紛争の解決を禁じる国際法にも反する。一線を越えた議員の暴言にどう対処するのか、国権の最高機関の見識が問われている。

 北方領土を戦争で取り戻すことを肯定するかのような発言をして、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員への対応である。

 維新を含む野党6党派は議員辞職勧告決議案を衆院に提出した。与党は自発的な出処進退を促す譴責(けんせき)決議案を出した。与野党とも採決は全会一致が望ましいとの立場で、取り扱いを協議中だ。折り合わなければ、両案ともに廃案の可能性がある。

 過去に可決された辞職勧告決議は、収賄などで逮捕や起訴された場合に限られている。丸山氏は発言内容を理由とする提出を「言論の自由が危ぶまれる」と批判し、可決されても辞職しないと明言している。

 しかし、ビザなし交流で訪れた国後島で、元島民の団長に向けられた発言は、戦争で故郷を奪われた者の心情を踏みにじり、領土問題の解決に向け、日ロ両国の信頼関係の構築をめざす交流事業の精神にも反する。

 内容のみならず、酒に酔っていたという状況からしても、言論の自由をうんぬんできる次元のものではない。国会議員として資質を欠くことは明らかで、自ら職を辞すのが筋である。

 辞職勧告、譴責の両決議案は、辞職を求めるか否かという結論こそ違え、丸山氏の発言が日本の平和主義に反し、国会の権威と品位を失墜させたという認識は共有している。ここはお互いに歩み寄り、衆院としての意思を明確に表明すべきだ。

 与党は譴責にとどめた理由について「議員の身分にかかわる問題には慎重であるべきだ」という。確かに、選挙で選ばれた国会議員の地位は重く、多数派が数の力で辞職勧告を乱用するようなことはあってはならない。しかし、丸山氏への辞職勧告が、身内に跳ね返ってくるのを避けたいという思惑があるとしたら、本末転倒である。

 政権内では最近も、同僚の選挙を「復興以上に大事」と述べた桜田義孝前五輪相や、安倍首相と麻生副総理を忖度(そんたく)して予算をつけたと語った塚田一郎前国土交通副大臣が辞任している。

 政権発足から今の地位にある麻生氏の問題発言も枚挙にいとまがない。憲法改正をめぐり、「ある日気づいたら、ワイマール憲法がナチス憲法に変わっていた。あの手口に学んだらどうかね」と述べたこともある。

 政治家としておのおのが自ら襟をただす。そのためにも「戦争」発言への対処をあいまいにしてはならない。

 

丸山氏の発言 国会は戦争否定の意思を(2019年5月23日配信『信濃毎日新聞』―「社説」)

 

 発言の真意を改めて説明するべきだ。

 戦争で北方領土を取り戻す是非に触れる発言をした丸山穂高衆院議員である。

 紛争を解決する手段に武力を容認する風潮につながりかねない。国会議員の発言として許されない。

 与野党が辞職や猛省を求める決議案を国会に提出している。

 野党6党派が提出した辞職勧告決議案は「国是である平和主義に反し、国際問題にも発展しかねない」と批判している。与党のけん責決議案も「平和主義を理解していない常軌を逸した言動」とした。当然だろう。

 問題の本質は、外国との問題を戦争という手段を用いて解決するという思考が、国会議員の口から飛び出したことにある。

 発言は、北方領土ビザなし交流訪問団の団長との間で交わされた。「戦争でこの島を取り返すことに賛成か、反対か」と質問した。団長が戦争を何度も否定しても「戦争しないとどうしようもなくないですか」と問い詰めた。

 見過ごせないのは、発言後の説明の中で、戦争という手段を明確に否定していないことだ。

 丸山氏は記者会見で「(戦争が)最善とは全く思っていない」と述べている。

 野党が辞職勧告決議案を提出した後には、「(発言が)憲法の理念を逸脱しているとは考えていない」と強調した。戦争を主張したのではなく、賛否を聞く形だったことを理由にしている。

 発言を撤回した理由が、北方領土返還を巡る外交の経緯や今後への影響、元島民への配慮だけだったともとれる。説明はまだ不足している。

 専守防衛を旨として、近隣諸国に軍事的な脅威を与えない抑制的な姿勢は日本の基本方針である。安倍晋三政権の方針で安全保障政策の転換が加速する中、国会議員は平和主義の意義を改めて自覚しなければならない。丸山氏は議員の資格を欠いている。

 失言などで閣僚などを辞めた議員を抱える自民党は、問題発言を理由とした辞職勧告決議案に同調せず、公明党とともにけん責決議案を提出した。国会議員の身分は憲法で保障されており、辞職勧告決議案が可決されても法的拘束力はない。丸山氏は可決されても議員を続ける意向を示している。

 国会は今回の問題を深刻に受け止める必要がある。丸山氏に真意をただすとともに、武力による紛争解決を明確に否定する姿勢を示さなければならない。

 

戦争忌避の力(2019年5月23日配信『京都新聞』―「凡語」)

 

 今は亡き作家、野坂昭如さんの「戦争童話集」に「凧(たこ)になったお母さん」という話がある。アニメになり教科書にも載ったから、ご存じの方もおられよう

▼空襲で火の海となった町を逃げる母と幼い男の子。母は炎からわが子を守るため、水の代わりに自分の汗を、涙を、母乳を、最後は噴き出る血を塗ってやる。やがて力尽きて干物のようになった母は凧のように空に吸われ、見えなくなる。そして母の帰りを待ち続けた子もやせ衰え、終戦の日に後を追うように空へ消えていく

▼そんな悲しい話だ。野坂さんは実体験から「戦争で最もひどい目に遭うのは子供たちだ」と書いている。名作「火垂るの墓」の通奏低音になっているものでもある

▼戦争だけは二度としてはならない。その思いは、丸山穂高衆院議員(35)から北方領土を戦争で取り返すのは賛成か反対かと問われ、「戦争なんて言葉は使いたくない」と答えた元島民も同じだったに違いない

▼90歳近い古老の言葉の背後にある戦争体験を、丸山氏は一度でも考えたことがあるのだろうか。国会議員の大半が戦後生まれとなり、歴史に学ばず、戦争を忌避する力が政治の場で薄れていくのを恐れる

▼不戦の砦(とりで)となるべき国会は、丸山氏の言動にどう決着をつけるのか。言論の府の意思も問われている。

 

(2019年5月22日配信『河北新報』ー「河北春秋」)

 

 酒呑(しゅてん)童子は京の都を荒らし回った伝説の鬼。源頼光らが酒を童子に飲ませると、童子は人間から本来の鬼の姿に変わり、眠ったところを退治される。そんな物語が浮世絵や歌舞伎の題材になった

▼こちらは酒に酔って鬼ならぬ、怖い本音が現れたのかもしれない。北方領土を戦争で取り返す是非に言及し、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員(35)である。飲酒し、元島民に「戦争をしないと、どうしようもなくないですか」と語った

▼何事にも越えてはいけない一線がある。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の憲法の三原則に反することは、越えてはならない一線の最たる例。戦争を問題解決の手段にするような丸山氏発言は明らかにそれを越えた

▼野党の辞職勧告決議案に続き、きのう与党がけん責決議案を提出した。本人は辞職の考えはなく、開き直る様子もある。3歳から酒を飲んだ童子ではないが、手に負えない子どものように見える

▼丸山氏は4年前にも飲酒トラブルを起こし、禁酒を誓った。東大卒、経産省の元官僚。人として大切なことを教える人は誰もいなかったのか。今は国会全体を敵に回す。議員を続けたいならば、有権者の審判を仰いでからの方がすっきりする。もう辞職をしないと、どうしようもなくないですか。

 

殊更に地元を卑下するのは愛郷心の裏返しで…(2019年5月22日配信『岩手日報』―「風土計」)

 

 殊更に地元を卑下するのは愛郷心の裏返しでもあるのだろうか。盛岡市の中心街を歩行中、声高に盛岡の至らなさを言い募る若い女性の二人連れと行き交い、しげしげと顔を見てしまった

▼正確には一方が語り、他方が返答に窮しているように見えた。すぐそばを、修学旅行と思われる中学生のグループが地図を片手にそぞろ歩く。彼女は、聞こえよがしに「盛岡なんてなんにもないのに」と言った

▼たまたま最近、県外で似たような言葉を聞いた。魅力的な歴史や文化に彩られた日本海側の中心都市。岩手からの訪問者と知った高齢女性が問わず語りに「ここは駄目でしょうか」とはにかむように聞いてくる

▼「駄目ですね」と言えば、にらまれたに違いない。くだんの盛岡の女性も「そんなことないよ」と地元の魅力をあげつらえば意に沿えただろうか。それにしても、中学生たちの耳に届いていなければいいと思う

▼住む土地に魅力を感じないと思う人はいるし、そう主張するのも自由だ。手を伸ばせば触れる距離に他県の子どもたちがいる場面で、聞こえるような声量で地元をけなすのも、憲法が認める権利といえば権利だ

▼国会議員の「戦争」発言が尾を引く。無配慮はわびたものの発言は撤回せず、国会も対応に手こずる。平和憲法の下、こんな議員もいると思わなければいけないのか。

 

(2019年5月21日配信『熊本日日新聞』―「新生面」)

 

 <政治家は心にもないことを口にするのが常なので、それを真に受ける人がいるとびっくりする>。1958年から11年余りフランス大統領を務めたドゴールが語ったという。『すごい言葉』(晴山陽一著、文春新書)にある

▼米英に追随しない独自路線を追求し、「フランスの栄光」を掲げた人の本音か。政治家にウソはつきものと認めた点は正直とも言えそうだが、現代日本には別の意味で「正直」な政治家があふれているようだ

▼ドゴールの言葉を借りれば<心に浮かんだことをそのまま口にするのが常なので、聞かされた方はびっくりする>。復興より同僚議員が大事、公共事業に絡み「自分が忖度[そんたく]した」、果ては北方領土の返還を巡り「戦争」を持ち出す議員まで飛び出した

▼参院選を前に危機感を募らせた自民党は「失言防止マニュアル」を作り国会議員に配った。だが、その後も九州新幹線長崎ルートで未着工区間の建設に反対する佐賀県に対し、「韓国か北朝鮮を相手にしている気分」と自民議員が発言したことが明らかになった

▼さらに、「戦争」発言で日本維新の会を除名された丸山穂高議員はきのう、辞職勧告決議案に関して「言論の府が自らの首を絞めかねない」と語った。国会議員なら何を言っても構わないと言いたいのか

▼<政治とは、情熱と判断力の二つを駆使しながら、堅い板に力をこめてじわっじわっと穴をくり貫[ぬ]いていく作業である>。ドイツの社会学者ウェーバーの言葉だ。決して言いたい放題が政治ではあるまい。

 

丸山穂高の暴言葬るのは簡単だが…(2019年5月20日配信『日刊スポーツ』―「政界地獄耳」)

 

★野党は共同して日本維新の会を除名された衆院議員・丸山穂高の議員辞職勧告決議を提出したが与党は、くみしなかった。維新創始者・橋下徹は辞職勧告決議については明確な基準がないことを理由に「選挙で落選させて現実を認識させた方がいい」と言い出した。自民党は丸山と思いは同じで同情しているのか、議員辞職勧告決議の要件にこの問題はなじまないとしたのか、いずれにしろ辞職勧告決議も党の見解もあいまいなのは間違いない。

★こういう時、自民党はずるい。では丸山の「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」発言の先には何が待っていたのか。維新の議員や自民党の面々が外交などさまざまな事情の先に武力行使も選択肢のひとつと考えているならば、今は戦前かと思わざるを得ない。もしそうでないのなら、ことさら強調するように党の声明を出すべきだろう。あいまいさの先にはその思いがよぎるからか。ここ10年ぐらいで与野党の政治家から「平和」という言葉が出なくなった。代わりに「安全保障」という言葉が多用されるようになるが、平和と安全保障は似て非なるものだ。加えて平和は1度手に入れたのち、それを維持するための不断の努力がものをいう。武器を買うことで平和を維持しているのとは意味が違う。

★丸山の暴言を議員辞職させて葬るのは簡単だ。だが、この歴史観や一方的な歴史認識を持つ議員は丸山のみならず保守系議員に多い。それを昨今の政治家の失言と同じようにくくるのは、本音を口にしてはいけないといっているのと同様だ。元首相・鳩山由紀夫は「議員の身分が重いにも拘わらず余りにも軽い発言が多過ぎるのではないか。歴史を知らない世代の右傾化がこの国を動かすとしたらとても恐ろしいことだ」とツイッターで書いたが、本質はそこにある。戦争すればいいと軽々しく口にするのは平和の意味もありがたみも理解していないからだ。

 

政治の言葉(2019年5月20日配信『佐賀新聞』―「有明抄」)

 

 現在の国会議事堂が完成して初の議会が開かれたのは昭和12(1937)年1月。質問に立った長老議員、浜田国松は前年の二・二六事件以降強まってきた軍部の政治干渉を批判した。「軍人に対する侮辱」と反発した寺内寿一陸軍相に対し、浜田議員は「速記録を調べて、侮辱した言葉があったら割腹して君に謝する。なかったら君が割腹せよ」と迫った。世に言う「腹切り問答」である

◆言葉に命をかけた議会人の気骨を思い返しては、近頃の「言論の府」は一体どうなっているのかと不安になる。忖そん度たく発言など舌禍が相次ぐ自民党が、今夏の参院選をにらみ「失言防止マニュアル」を配布した

◆発言は「切り取られる」ことを意識して、タイトルに使われやすい「強めのワード」に注意を。特に歴史認識や政治信条、ジェンダー、LGBTについての個人的見解、事故や災害、病気や老いに関する配慮に欠ける発言、受け狙いの雑談口調の表現に気を付けて。こんな指南まで必要なセンセイ方とは…

◆与党の足元を見てか、北方領土を巡る「戦争発言」の野党議員は辞職勧告の動きに「言論府が自らの首を絞める」などとSNSでうそぶいている。なめられたものである

◆「政治の言葉」が軽くなる。深刻なのは失言ではない。言ったことは実行する、責任を取る、そんな気概の乏しさである。

 

丸山氏の進退 自ら身を引くのが筋だ(2019年5月18日配信『北海道新聞』―「社説」)

 

 戦争による北方領土の奪回に言及し、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員に対し、立憲民主党など野党はきのう、衆院に辞職勧告決議案を提出した。

 発言を領土返還交渉の「阻害要因ともなる言語道断の言動」と断じ、わが国の国是である平和主義にも反すると非難した。

 野党は与党側にも共同提出を呼び掛けた。しかし議員の発言に関し辞職勧告決議が可決された例はないとして与党内には慎重意見が強く、提出に加わらなかった。

 丸山氏は、国の内外に多大な犠牲を出した先の大戦への反省に基づき戦争放棄を定めた憲法の理念をないがしろにした。

 しかも騒動を起こしたのは、国会を代表してビザなし交流訪問団に参加中、酒に酔ってのことだ。

 明らかに議員の資質を欠く。丸山氏は辞職はしないと言うが、事の重大性は謝罪と撤回では済まない。決議案の可否にかかわらず自らの意思で直ちに辞職すべきだ。

 辞職勧告決議案は、これまでほとんどが刑事事件や政治とカネの問題に関連して提出されてきた。

 一般論として言えば、言論の府である国会で、時の多数党が発言内容に関し数の力で辞職勧告を押し通すことはあってはなるまい。

 しかし丸山氏の言動が看過できないという点では自民党にも異論はないようだ。丸山氏を擁護するつもりはないと受け止めたい。

 根室市議会は抗議の決議案を可決する方針だ。本田俊治議長は「元島民や根室市民の感情を踏みにじるもので許されない」と話している。当然の思いだろう。

 ところが丸山氏は除名後に、辞職勧告決議案について「この国の言論の自由が危ぶまれる話でもある」とツイッターに投稿した。

 確かに言論の自由などの基本的人権は平和主義と並ぶ憲法の基本原則であり、尊重されなければならない。ただ憲法は権利を「濫用(らんよう)してはならない」とも規定する。

 つまり、言論の自由とは何を言っても構わないということではない。国会議員なら、なおさらだ。

 「戦争しないとどうしようもなくないですか」と暴言を吐いた本人が「自由」を持ち出すとは、開き直りと言われても仕方ない。

 民族の尊厳を傷つけ、憎悪をあおるようなヘイトスピーチが許されないのと同じように、戦争を肯定するかのような発言は、決して口にしてはならない。

 丸山氏には、実はいまだにその真摯(しんし)な認識と反省がないのではないか。そう疑わざるを得ない。

 

議員の戦争発言  重責自覚し潔く辞職を(2019年5月18日配信『京都新聞』―「社説」)

 

 北方領土を戦争で取り返すことの是非に言及し、日本維新の会を除名処分になった丸山穂高衆院議員への批判が止まらない。国会議員として常軌を逸した暴言であり、潔く辞職すべきだ。

 耳を疑うとはこのことだろう。丸山氏は北方領土へのビザなし交流訪問団に参加中、酒に酔い、団長の元島民に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」などと畳みかけた、という。

 戦争による解決を持ち出すこと自体、言語道断である。失言の域を超え、許しがたい。

 丸山氏は、厳しい批判が相次いだため発言を撤回し、離党届を提出した。丸山氏が過去に飲酒トラブルを起こし、断酒を誓った経緯もあり、維新は議員辞職を促したが応じず、除名処分とした。

 憲法は戦争放棄を明記し、国会議員に憲法の尊重、擁護を義務付けている。丸山氏に平和主義を掲げる国会にとどまる資格はない。

 加えて丸山氏は衆院沖縄北方特別委員を務め、国会議員としてビザなし交流に加わった。職責を顧みない言動により、平和的な返還を辛抱強く待ち望む元島民の気持ちを踏みにじったともいえる。

 難航する北方領土返還交渉への影響も危惧される。「忖度(そんたく)」発言の塚田一郎前国交副大臣や、失言が重なった桜田義孝前五輪相と比べても、国益を大きく損なうという点で、より重大である。

 維新を含め野党6党派は17日、丸山氏の議員辞職勧告決議案を衆院に提出した。ただ法的な強制力はなく、これまで勧告を受けた議員はいずれも辞職していない。

 国民の信託を受けた国会議員の身分は重く、勧告決議は慎重を期さねばならない。とはいえ可決されれば、国会の意思表示として極めて重い。丸山氏は断固、辞職を拒否する構えだが、常に国会議員としての重責を自覚すべきで、出処進退を誤ってはなるまい。

 それにしても維新の対応はお粗末だ。問題発覚当初、松井一郎代表は「言論の自由」を持ち出して丸山氏をかばうような発言さえしていた。厳しい風向きに一転して「国会議員として一線を越えた発言だ」と批判。急きょ除名に踏み切ったが、大阪都構想や夏の参院選を控え、党のイメージ悪化を食い止めたいとの思惑が透ける。

 維新は、丸山氏を除名しても責任を免れない。辞職勧告決議案の共同提出を他党に申し入れるなど火消しに躍起だが、まずは丸山氏が自主的に速やかに国会から去るよう説得する責任がある。

 

(2019年5月17日配信『デイリー東北』―「天鐘」)

 

「悪の枢軸」とは米国がイラクやイラン、北朝鮮を非難する際の蔑称だ。だがその前、第2次世界大戦に戦勝した連合国は敵対した日独伊などを「旧敵の枢軸国」と呼び、“無法者”呼ばわりした時代もあった

▼国連憲章の「敵国条項」。連合国の敵だった枢軸国への武力行使は安保理の承認が不要とされた。1995年、日本の切願でやっと削除が決議されたが、未だに中国やロシアが日本牽制の具に使うこともある

▼理不尽な条項がいつまた頭を擡(もた)げるか怖い。そんな折、丸山穂高衆院議員(35)=日本維新の会から除名=が北方領土問題で「戦争で取られた島は戦争で取り返すしかない」と危険な発言。報復律を展開したとか

▼また「戦争をしないとどうしようもない」とコップで机を叩(たた)いて迫ったが、団長は「戦争は必要ないです」と毅然(きぜん)と退けた。酒席での発言だからこそ本音か。護憲、改憲を問わず、救い難い言動に背筋が凍る

▼官邸も遺憾の意を表明。野党も辞職勧告決議案の検討に入った。当の丸山氏は「言論の自由」を盾に抗戦の構え。一方のロシアは「発言が本当なら日露関係にとって最悪」と一蹴、返還交渉への影響も懸念される

▼戦禍を知らず聞く耳を持たない頭でっかちの若者が、戦火に追われ、地獄も見てきた元島民に意見を申す。「平和ボケ」もここに極まれりである。そんな想像力の欠如こそが戦争の火種になった。

 

北方領土巡る暴言 即刻、議員辞職すべきだ(2019年5月17日配信『秋田魁新報』―「社説」)

 

 北方領土へのビザなし交流訪問団に同行した丸山穂高衆院議員が、滞在先で北方領土を戦争で取り返すことの是非に言及し、所属していた日本維新の会から除名処分となった。政治家としての資質を欠いていると指摘せざるを得ない。即刻辞職をするべきである。

 丸山氏は北方領土・国後島の宿舎で、酒に酔い、訪問団の団長の元島民に「戦争でこの島を取り返すのに賛成ですか、反対ですか」などと質問。団長は「戦争なんて言葉は使いたくない」と返答したという。元島民から抗議が相次ぎ、丸山氏はその後に謝罪、発言を撤回し、離党届を出した。これに対し、日本維新の会が、議員辞職を求め、除名処分としたのは当然だ。

 日本国憲法は9条で戦争放棄を定めており、99条で国会議員に対し憲法を尊重し擁護する義務を負うと規定している。衆院議員が憲法の規定を知らないはずがない。それなのになぜ北方領土を戦争で取り返すような発言をしたのであろうか。暴言としか言いようがない。何よりも平和を希求し、国民の生命や財産を守ることが、政治家の最大の務めである。

 自分たちの古里が戦場になることを望んでいる元島民はいないはずである。平和的な返還を辛抱強く待ち望んでいる元島民の気持ちを踏みにじる発言でもあった。

 国会では日本維新の会が、丸山氏について辞職勧告決議案を共同提案するよう立憲民主党に申し入れた。丸山氏は、決議案が提出されれば、反論や弁明を行うと自身のツイッターで表明。「言論府が自ら首を絞める行為に等しい」と書き込んだ上で、議員任期を全うする考えも示した。

 現段階で決議案が提出に至るかどうかは不透明である。しかし、決議案が提出されるか否かにかかわらず、丸山氏には速やかに自ら身を引くことを求めたい。

 ロシア上院の国際問題委員長はこの発言について、「日ロ関係の流れの中で最もひどい」と批判した。日本とロシアは1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速させることで、安倍晋三首相とプーチン大統領が合意し、協議を進めている。

 しかしラブロフ外相らが、北方領土は第2次世界大戦の結果として正式にロシア領となったことを受け入れるよう要求している。丸山氏の発言は、ただでさえ難航している交渉に悪影響を与えるのは必至である。

 丸山氏は2015年に、東京都内で飲食をした際に口論となった一般人の手をかむなどのトラブルを起こしている。党から厳重注意を受け、飲酒した場合は辞職する意向を示していた。

 1人の国会議員の発言が日本のみならず、国際社会にも波紋を及ぼす結果となってしまった。国益をも損ねた責任は極めて重い。

 

「戦争」発言 言論の自由とは言わぬ(2019年5月17日配信『東京新聞』−「社説」)

 

 開き直るのはやはりおかしい。北方領土を戦争で奪還する、と言って、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員。言論の自由を持ち出して辞職しない意向を示したが、筋違いも甚だしい。

 国会議員として許し難い暴言を吐きながら、居直って職にとどまることは言語道断だが、そんな議員に国会が毅然(きぜん)と対応できないのなら、国権の最高機関としての存在意義が厳しく問われる。

 衆院では丸山氏に対する議員辞職勧告決議案提出の動きが出ているが、丸山氏は提出された場合は「こちらも相応の反論や弁明を行う」と表明。与野党合意で審議に入れば「この国の言論の自由が危ぶまれる話でもある」として、可決されても議員辞職しない考えを重ねて示した。

 北方領土奪還には「戦争をしないと、どうしようもなくないですか」との丸山氏の発言は、自衛目的以外の武力の行使を禁じた国際法上認められず、憲法9条の戦争放棄と、99条の国会議員の憲法尊重、擁護義務にも反する。

 にもかかわらず「言論の自由」を持ち出して議員の地位に恋々とするとは何事か。自らの発言の重大性に気付かない時点で、国民の代表たり得ない。辞職勧告を待たず、自ら進退を決するべきだ。

 国会議員の不適切極まりない発言は丸山氏にとどまらない。

 4月だけでも塚田一郎元国土交通副大臣が道路整備を巡り「安倍晋三首相や麻生太郎副総理兼財務相への忖度(そんたく)」を公言、桜田義孝前五輪相も「復興以上に大事なのは高橋(比奈子衆院議員)さん」と発言し、いずれも辞任した。

 自民党は今夏の参院選を前に失言を防ぐための注意事項をまとめた文書を党内に配布した。それほどの議員の質の劣化には暗澹(あんたん)とするが、口をふさぐより、政治家としての考え方の方が問題だろう。

 政治指導者による言動の影響も見過ごすわけにはいかない。

 安倍首相はしばしば「悪夢のような民主党政権」と発言し、野党側から反発や批判を受けている。

 選挙に向けて自民党内の奮起を促す意図があるにせよ、政治権力の頂点に立つものが穏当を欠く言葉を使い続ければ、それが当たり前となり、政治を巡る言論空間が荒れるのは当然だ。

 政治は言葉を駆使して理念や政策を実現する「可能性の芸術」でもある。「言論の自由」を持ち出せば、何でも許されるわけではない。言葉選びは、慎重の上にも慎重を期すべきは当然である。

 

(2019年5月17日配信『神戸新聞』―「正平調」)

 

詩人の中原中也はいわゆる酒乱で、酔うと周りの誰かに突っかかった。あるときは自己嫌悪に陥り、親友にあてたわび状にこう記したという。「一人でカーニバルをやってた男」より−と

◆中川越(えつ)さんの著書「すごい言い訳!」(新潮社)より引いた。ひとりお祭り気分で酔っぱらい、場の空気をぶちこわす。酒のせいだと笑っていられるうちはいいけれど、この発言はどう言い訳をしても通るまい

◆「戦争でこの島を取り返すことは賛成ですか、反対ですか」「戦争しないとどうしようもなくないですか」。北方領土のビザなし訪問に同行した際、酒に酔って元島民にそう詰め寄った丸山穂高衆院議員である

◆大声で騒いでいたともいう。元島民がふるさとを訪ね、ロシア人との交流を深める。ゆっくりと醸成してきた友好の場に、陣太鼓を打ち鳴らして乱入してきたような感じがある。何をしに行ったのか、この人は

◆「戦争」発言の何があるまじきことなのかは小学生にも分かる、といえば小学生に失礼だろう。いまごろは国会を去るための荷物の整理に忙しかろうと思っていたら、たとえ国会から辞職勧告されても辞めないそうだ。いわく「反論や弁明を行う」とか

◆笑止。どうやら「一人カーニバル」はまだ続いているらしい。

 

丸山問題 党の責任は逃れられない(2019年5月17日配信『日刊スポーツ』―「政界地獄耳」)

 

北方領土返還に関し「戦争をしないとどうしようもなくないか」と発言した日本維新の会所属議員だった衆院議員・丸山穂高は酔っぱらいなのか、失言癖なのか、それとも衆院議員の資格すらないのか。ご本人は反撃のつもりか、言い分を聞いて欲しいのか、国会には現れず、ツイッターで「野党側の感情論で議案が出され、普段は冷静な与党まで含めて審議へ進むなら、まさにこのままではこの国の言論の自由が危ぶまれる話。可決されようがされまいが任期を全うする」と与野党で進められる辞職勧告決議が可決しても議員辞職する考えがなく、国会に対しても応戦する立場をとった。

ただ、日本維新の会の議員には議会で暴言を発言し続ける議員が幾人かいて党の体質ではないか、また議員の資質という意味でも公認候補として党が責任をもって推薦する候補者の選定が甘いのではないかという指摘がある。党代表・松井一郎は丸山を除名にして事なきを得ようとしているが、党としての責任は逃れられないのではないか。

時を同じくして、自民党でも議員の資質に手を焼いているようで、党組織運動本部遊説局が参院候補者らを対象に行った選挙プランナーのパブリックスピーキング研修会をまとめたものを議員に配布した。そこには「聴衆に『届く』演説を考える」「『失言』や『誤解』を防ぐには」と記され、発言は切り取られるなどの“対策”がつづられている。だが、その対症療法の指南よりも政治家を目指す者としての常識のチェックは最低限、国民に公認候補として推薦する政党の義務ではなかろうか。言論の府としての議会でのさまざまな議論はその許容範囲としても、暴言や認識不足、個人的見解の無責任発言の責任は党にもあるのではないか。その責任が丸山問題には潜んでいないか。

 

「戦争奪還」発言 国会議員の資格はない(2019年5月16日配信『岩手日報』―「論説」)

 

 国会議員からまさかこんな暴論が飛び出すとは。北方領土に絡む丸山穂高衆院議員の「戦争奪還」発言には信じられない思いだ。

 所属していた日本維新の会は除名処分とし、松井一郎代表は「議員を辞めるべき」と述べたが、本人はその考えを示さず無所属で活動する構えだ。しかし、議員としての資格はないと言っていい。速やかに辞職すべきだ。

 「戦争」の言葉は、丸山氏が同行していた北方領土へのビザなし交流訪問団の国後島の宿舎で、元島民の団長に対して発せられた。

 「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」と切り出し、団長が「戦争なんて言葉は使いたくない」などと答えても、しつこく尋ねている。

 団長の驚きはいかばかりだったか。旧ソ連に不法占拠され、追い出された元島民らは、不合理な思いに耐えながらも、交流活動による信頼構築を通じて道を開こうとしてきた。戦争がもたらす悲痛を知るからこそ、平和な解決を人一倍望んでいるはずだ。

 そんな思いと努力を丸山氏は踏みにじった。参加していた訪問団員の多くは発言を知って混乱し、影響を心配して泣く人もいたという。罪は重い。

 戦後の重要課題である領土返還には国民の認識の広がりが欠かせない。江戸時代に盛岡藩が警備に就くなど本県とも関わりは深く、北方領土返還要求運動県民会議が中学生視察団を北海道に派遣するなどして関心や理解の促進に努めている。

 そして政府は長年、交渉を積み重ねてきた。そんな中で手段として「戦争」を口に出したのは常軌を逸している。

 憲法で、国際紛争を解決する手段としては戦争を放棄する日本の国会議員として考えられない。議員の失言が相次ぐが、最低、最悪レベルと言っていいだろう。

 ロシア上院の国際問題委員長から「日ロ関係の流れの中で最もひどい(発言だ)」と批判が出ているように、ロシア側を刺激したのは間違いない。難航を極めている領土返還交渉に影響を及ぼし、国益を損ないかねない。

 丸山氏は酒に酔い、禁止されているのに宿舎から外出しようとしたという。外出して拘束されていれば外交問題に発展した可能性もある。かつて飲酒でトラブルを起こして党から厳重注意を受け、飲酒した場合は辞職する意向を示していたが、反省は形だけだったのだろう。しかし、今回は許されない。

 今月下旬に日ロの外務・防衛閣僚会議が開かれる。政府は平和主義を説明するとともに、領土に対する日本の立場を貫いてほしい。

 

「ジンゴイズム」とは好戦主義のことで…(2019年5月16日配信『毎日新聞』−「余録」)

 

 「ジンゴイズム」とは好戦主義のことで、19世紀の露土戦争の時に英国で生まれた言葉という。ジンゴ(jingo)はもともと手品師のかける呪文だったが、英軍派兵を後押しする歌のかけ声に用いられた

▲おかげでジンゴはロシア嫌いや対外強硬論、好戦論者の代名詞となる(ブルーワー英語故事成語大辞典)。この言葉はやがて米国にも伝わり、ジンゴイズムは帝国主義の時代の領土拡張的な好戦思想を表す政治用語として多用された

▲今日ジンゴイズムはほとんど死語となった。世界はまだ戦争の恐怖から解放されていないが、2度の大戦を経験した人類は前時代の好戦主義を歴史の表舞台から追放した。だがどっこい21世紀日本に出現した放言ジンゴイズムである

▲北方領土返還をめぐり元島民に「戦争しないとどうしようもなくないですか」とからんだ丸山穂高(まるやま・ほだか)衆院議員だった。ビザなし訪問に同行し、酒に酔っての放言だったが、「戦争はすべきでない」と元島民にピシャリとたしなめられた

▲「しらふの人は頭で、酔った人は舌で」ということわざを引き、本音が口に出たと皮肉ったのは露メディアである。元島民の地道な返還運動への敬意も、平和条約交渉への外交的配慮も、はなから眼中にない国会議員とは一体何者か

▲日本維新の会は丸山議員を除名処分とし、衆院では辞職勧告決議案提出の動きもあるが、当人には議員辞職の意思がないらしい。人を幻惑する手品の呪文に「戦争」を用いる政治家は現代世界には無用である。

 

「戦争を知らないお子さま」に戦慄さえ覚える(2019年5月16日配信『日本経済新聞』―「春秋」)

 

反戦フォークの名曲「戦争を知らない子供たち」がヒットしたとき、世に賛否が渦巻いた。戦後生まれの若者がやさしく平和を訴える内容に、旧世代は「甘さ」を感じたのである。こういう歌で戦争を語れるか、戦争はもっと苛烈なものだという思いがあったのだろう。

▼曲が生まれたのは1970年。戦後まだ25年である。過ちを身にしみて知る人々がたくさんいた。かたや、ギターを奏でる若者たちとて戦場の悲惨、空襲の恐怖を聞いて育った。戦争への怒り自体は社会が共有しているなかで、この歌は議論を呼んだに違いない。さて、それからまた半世紀――。景色の変容がすさまじい。

▼日本維新の会の丸山穂高衆院議員が、北方四島ビザなし交流で国後島を訪れたさいに元島民らに問い詰めた。「戦争で島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」「戦争しないとどうしようもなくないですか」。酔っていたらしいが言い訳にはならぬ。当年とって35歳。この「戦争を知らないお子さま」に戦慄さえ覚える。

▼東大経済学部卒、経産省へ。松下政経塾でも学んだ人である。そんなエリートの倒錯が痛ましく、反戦歌を歌いつつ戦争を風化させた歳月が悔しい。丸山さんは維新を除名された

 

(2019年5月16日配信『産経新聞』−「産経抄」)

 

「トラ大臣」と呼ばれた泉山三六は、若い頃から酒癖が悪かった。三井銀行の若手行員時代、職務質問に腹を立てて警察官を殴り飛ばし、留置場で夜を明かしたこともある。

▼昭和22年4月の総選挙で初当選すると、翌年吉田内閣で大蔵大臣に抜擢(ばってき)された。それからわずか2カ月後、「世界の議会史上曾(かつ)て聞かざる珍事」(時事新報)を引き起こす。国会内で、泥酔した泉山は女性議員に抱きついてキスを迫り、抵抗されるとあごにかみついた。醜態の後眠りこけた泉山は、蔵相の要職とともに、議員の職も失った。

▼日本維新の会の丸山穂高衆院議員(35)も、かねてアルコールがらみのトラブルが指摘されてきた。4年前には都内の居酒屋で酒を飲んだ後、もみ合いとなった相手の男性の手をかみ、警察沙汰となっている。その後議員在職中の禁酒を誓ったものの、いつのまにか「解禁」したらしい。

▼北方領土へのビザなし交流訪問団に参加中も酒を飲んでいた。「戦争でこの島を取り返すのは、賛成ですか、反対ですか」。記者の取材を受けていた大塚小弥太団長(89)に詰め寄り、同じような質問を繰り返した。

▼暴言は、ロシアとの返還交渉に水をさし、ビザなし交流に悪影響を与える可能性もある。謝罪と発言の撤回で済ませるわけにはいかない。もっとも、丸山氏には議員を辞職するつもりはなさそうだ。維新の会から除名処分を受けた後は、無所属で活動するという。

▼後に参院議員に転じた泉山は、『トラ大臣になるまで』と題した自伝を刊行する。事件への反省はなく、「人生は詩であり、詩は酒である」などといい気なものだ。令和の時代はそうはいかない。次の珍事を招く前に、潔く議員のバッジをはずした方がいい。

 

丸山議員の発言 離党だけでOKですか(2019年5月16日配信『信濃毎日新聞』―「社説」)

 

 国会議員の資格どころか、大人としての常識を欠いている。

 日本維新の会の丸山穂高衆院議員が、北方領土訪問団の団長に対し、「戦争でこの島を取り返すことは賛成ですか、反対ですか」「ロシアが混乱しているときに取り返すのはオッケーですか」と言い放った。

 高まる批判を受け、維新の会は丸山氏の離党届を受理せず、党で最も重い除名とした。丸山氏は議員は続ける意向で、他党は辞職勧告決議に向け動き始めた。

 平和国家としての歩みにも無理解なのだから、当然だ。

 丸山氏は大阪19区選出の35歳で当選3回。沖縄北方問題特別委員会に属し、10日に出発した「ビザなし交流」訪問団に同行した。

 宿舎で「戦争なんて言葉は使いたくない」と応じる大塚小弥太団長に、酒に酔った丸山氏は「戦争しないとどうしようもなくないですか」などと迫った。

 そればかりか、禁止されている夜間外出をしようとして大声で騒ぎ、翌朝、子どものように叱られている。ロシア当局に拘束されていたら、交流事業の継続が危ぶまれたかもしれない。

 国後、択捉、歯舞、色丹の帰属を巡るロシア側との交渉は難航している。

 昨年11月の日ロ首脳会談では、1956年の日ソ共同宣言を基礎に、平和条約締結交渉を急ぐことで合意した。宣言には、歯舞と色丹を日本に「引き渡す」と記されており、日本側では2島先行返還の観測が広がった。

 年が明けて外相会談が始まるとロシア側の姿勢は硬化する。北方領土がロシア主権下にあると認めることが交渉の絶対条件だと主張し、日本側が「固有の領土」「ロシアによる不法占拠」の文言を使うことにも抗議してきた。

 安倍政権は腫れ物に触れるように交渉を続ける。最近はプーチン大統領が「交渉のテンポは失われた」と述べ、早期の条約締結と領土返還は絶望的になった。

 元島民は固唾(かたず)をのんで情勢を見守っているに違いない。92年から続く交流事業で、ロシア住民との相互理解を育んでもきた。丸山氏の発言の影響を心配し、泣きだす人もいたという。

 維新の会の松井一郎代表は問題が発覚した当初、「言論の自由」を持ち出し、丸山氏をかばうような発言をしていた。

 関係者の心情や周囲への影響もお構いなしに、言いたいことを言うのが言論の自由なのか。政治家の言葉が軽くなるばかりだ。。議員辞職を求める声も強いが、辞めないという。ならば妄言を記憶にとどめるための反面教師として、みなが目を凝らし続けるほかあるまい。

 

「戦争」発言 速やかな議員辞職求める(2019年5月16日配信『新潟日報』―「社説」)

 

 北方領土返還の手段に戦争を持ち出すとは、衆院議員の資質も資格もないと言わざるを得ない。すぐに辞職すべきだ。

 日本維新の会の丸山穂高衆院議員は11日夜、北方領土へのビザなし交流の一環で訪れた国後島の宿舎で、訪問団長の元島民に対して「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」と問いただした。

 さらに、「ロシアが混乱しているときに取り返すのはオッケーですか」「戦争をしないと、どうしようもなくないですか」などと矢継ぎ早に問うた。

 戦争を領土問題の解決手段とするかのような言いぶりだ。

 敗戦で居住地を奪われた戦争被害者の元島民に対し、戦争を肯定するかのような言葉を投げ掛ける。インターネット上で飛び交うような極論をぶつける。その浅はかさには、開いた口がふさがらない。

 第2次世界大戦末期に占領された北方四島の返還に向け、日本がロシアと積み重ねてきた交渉にも影響を与えかねない。

 丸山氏の発言に元島民は戸惑いをにじませつつも、「戦争なんて言葉は使いたくない」「戦争はすべきでない」ときっぱりと答えた。

 苦難の経験から発せられたその言葉の重みを、かみしめなければならない。

 不戦の誓いから戦後の日本は歩みを始め、平和主義は国の根幹、国是とも言えるものだ。戦争をしない努力をすることは日本の政治家の責務だ。

 当時、丸山氏は酒に酔い、宿舎から出ようとしたり、大声で騒いだりしたという。

 酔っているがゆえに本音が出た可能性も否定できない。口に出すことも問題だが、戦争で領土を取り返すという考えを持つ国会議員がいるとすれば、それが何より大きな問題だ。

 丸山氏が所属する日本維新の会の代表の松井一郎大阪市長が、「国会議員としてあるまじき行為と発言」と厳しく批判するのも当然だ。

 維新の会は丸山氏を除名処分にし、議員辞職を求めたが、丸山氏はツイッターで「無所属にて活動する中で、残りの政策の実現に向けて一つ一つ前に進める」「任期を全うする」と、議員を続ける意向を示している。

 あらためて感じざるを得ないのが、政治家の質の低下、劣化である。

 経済産業省出身で35歳の丸山氏は2012年衆院選で大阪19区から立候補し、初当選した。自民党が政権を奪還した12年衆院選では、丸山氏を含めて多くの新人議員が誕生している。

 自民党では「魔の3回生」と呼ばれ、不祥事を起こしたり失言をしたりする議員が続出して問題となった。

 最近は閣僚や副大臣の失言も続き、辞任を迫られる事例が相次いでいる。

 今回の丸山氏の発言は憲法や外交に関わるという意味で、これまで以上に重大な問題をはらんでいる。国会としての対応も必要であり、丸山氏に対する辞職勧告を決議すべきだ。

 

「戦争」発言/丸山氏は速やかに辞職を(2019年5月16日配信『神戸新聞』―「社説」)

  

 国会議員として断じて許されない発言である。

 日本維新の会に所属していた丸山穂高衆院議員=大阪19区=が、北方領土返還問題について「戦争しないとどうしようもなくないですか」などと元島民に問い、抗議を受けて謝罪後に発言を撤回した。

 戦争による領土奪還を容認していると受け止められても仕方がない。失言の域を超え、撤回では済まない問題だ。

 戦争放棄を定めた憲法の理念を踏みにじり、憲法を尊重し擁護する自分の義務も立場も理解していない。そんな人物に国会議員の資格はない。一刻も早く自ら国会を去るべきだ。

 罪深いのは、北方領土へのビザなし交流訪問での発言だったことだ。交流事業は北方四島のロシア人住民と日本人が相互理解と友好を深める目的で1992年から続いている。

 衆院沖縄北方問題特別委員会委員として同行した丸山氏は国後島の宿舎で酒に酔い、元島民の訪問団長に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」などと質問した。

 団長は「戦争なんて言葉は使いたくない」と返答したが、丸山氏は「でも取り返せないですよね」とたたみかけた。自らの考えではなく「一般論だ」とする釈明は説得力に欠ける。

 戦争で住み慣れた土地を追われた人々の苦難や、長い時間をかけて草の根の信頼関係を築いてきた努力を思えば、こんな言葉は出てこないはずだ。元島民を失望させたばかりか、難航しているロシアとの返還交渉でマイナス材料になりかねない。

 政治家の究極の務めは、戦争を避けて国民の生命や財産を守ることだ。日本の国会に、戦争を容認する意見が存在していると国際社会に疑われるような事態は避けねばならない。

 丸山氏は、禁止されているのに宿舎から外出しようとしたり、大声で騒いだりしたという。過去にも飲酒トラブルを起こし禁酒を宣言していた。35歳の元エリート官僚は、何を志して政治家になったのだろう。

 維新は丸山氏を除名し、辞職勧告決議案が提出されれば賛成する方針だ。本人にその意思がないなら、国会の責任で辞職勧告を決断するしかない。

 

丸山議員の暴言 「不戦の誓い」忘れるな(2019年5月16日配信『中国新聞』―「社説」)

 

 国会議員としての自覚も思慮も欠く暴言である。日本維新の会の丸山穂高衆院議員(35)=大阪19区=が、北方領土へのビザなし交流訪問団に参加した先週末、ロシアからの領土返還には戦争という手段が必要だと言わんばかりの質問を元島民の訪問団長にぶつけていた。

 国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又(また)は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する―。そう憲法9条に記されている。戦争を放棄する平和主義の考えは国民主権、基本的人権の尊重と並ぶ憲法の三大原則である。憲法の根幹を踏みにじる言語道断の発言である。

 しかも国会議員は「この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と99条で定められている。国民の代表として失格である。

 日本維新の会は同党では最も重い除名処分にしたにとどまらず、「国会議員としてあるまじき行為と発言が理由だ。議員を今辞めるべきだ」と松井一郎代表は述べた。にもかかわらず、丸山氏は議員活動は続けるという。すぐ辞任すべきだ。

 丸山氏は、自らの言動を振り返る必要があろう。訪問団に衆院沖縄北方特別委員会の委員として参加し、宿舎で酒に酔って「戦争でこの島を取り返すことは賛成ですか反対ですか」「ロシアが混乱しているときに取り返すのはオッケーですか」と団長に問い掛けた。「戦争なんて言葉を使いたくない」との答えに「でも取り返せないですよね」「戦争をしないとどうしようもなくないですか」と自説を押し付けるような発言をした。

 禁止されているのに宿舎から外に出ようとしたり、大声で騒いだりもした。領土返還に向け多くの関係者が重ねてきた努力をないがしろにする言動だ。「長い時間をかけてロシア人との信頼関係を築いてきたのに、ぶち壊された」などと元島民らが憤るのも無理はあるまい。

 「著しく国益を損ねる」という野党の指摘通り、手詰まり感のある返還交渉に悪影響を及ぼしかねない。実際、ロシア上院のコサチョフ国際問題委員長は「日ロ関係の流れの中で最もひどい発言だ」と批判した。

 丸山氏は4年前にも酒に酔って市民とトラブルを起こし、党から厳重注意されていた。議員在職中の断酒を宣言し、飲んだら辞職する意向を示していた。

 気になるのは「不戦の誓い」が軽んじられる昨今の風潮である。とりわけ政治の場で顕著と言えよう。背景にあるのは8月15日の全国戦没者追悼式での式辞ではないか。安倍晋三首相は第1次政権の2007年は「戦争の反省を踏まえ、不戦の誓いを堅持する」と述べていた。しかし第2次政権発足後の13年から昨年までずっと「不戦の誓い」の文言は消えたままだ。

 過酷な戦争体験を持たない若い政治家が増えている。それでも戦争は二度と起こさないという「不戦の誓い」は、国民の記憶として忘れてはいけないはずだ。武力で島を追われた北方領土の人々も同じ思いだろう。

 政治家の質の低下を浮き彫りにするような言動が後を絶たない。平和国家日本で国民主権や民主主義を支える政治家には何が求められるのか。政治家自身はもちろん、候補者を決める政党や、票を投じる有権者もあらためて考える必要がある。

 

【丸山氏の発言】議員バッジを外すべきだ(2019年5月16日配信『高知新聞』―「社説」)

 

 35歳の国会議員による、戦争を経験した世代への、あまりに無自覚で非常識な「戦争」発言である。

 北方領土へのビザなし交流訪問団に同行した丸山穂高衆院議員が国後島で酒に酔い、元島民の団長に「戦争で島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」などと質問し、騒いでいたことが分かった。

 戦争を強く否定する団長に「戦争をしないとどうしようもなくないですか」とも迫っていた。武力による解決に賛同を求めたと受け取られても仕方がない言動だ。

 批判を受け丸山氏は、日本維新の会に離党届を提出したが、維新は受理せず、処分としては最も重い「除名」とした。党代表の松井一郎大阪市長は陳謝し、丸山氏に自ら議員辞職するよう求めた。

 当然だろう。もはや「失言」の域を超えている。酒が入っていたのだとしても、国会議員としての適性に欠けるのは明らかだ。議員バッジを外すべきである。

 日本国憲法は明確に戦争を放棄しており、国会議員らに憲法の尊重擁護の義務を課している。再び日本が戦争の道に向かわないよう平和主義を貫徹することこそが議員の責務といってよい。

 元島民らの心情への想像力も欠いている。

 北方領土のかつての住民は、1945年の旧ソ連の侵攻で郷里を失った。つらい抑留を経験した人も多いが、存命の関係者は平和な問題解決を願って現ロシアの住民らとも交流を続けてきた。

 北方領土返還に向けた日ロの外交交渉は遅々として進んでいないが、武力で故郷を奪還してほしいなどとは考えもしていないだろう。新旧の島民が長年温めてきた交流にも影を落としかねない。

 丸山氏は衆院沖縄北方特別委員会の委員を務めており、ロシア側からも批判の声が上がっている。いったい何のために訪問団に同行したのだろうか。

 与野党から議員辞職を求める声が強まる中、丸山氏は辞職を否定し、あくまで無所属で議員活動を続ける考えを示している。

 所属していた維新の姿勢も疑われよう。丸山氏は大阪19区選出の当選3回で、いずれも維新公認で当選した。除名はしても、党としての責任は免れまい。

 2015年にも飲酒が絡むトラブルを起こしているとなればなおさらだ。東京都内で一般人の手をかむなどし、維新は厳重注意にしている。その際、本人は議員在職中の断酒を宣言していた。

 維新は野党ではあるが、安倍政権と一定の関係を維持している。国会でもキャスチングボートを握る可能性がある政党だ。自浄作用があるのかが問われる。

 安倍政権内でも4月に、失言で塚田一郎氏が国土交通副大臣を、桜田義孝氏が五輪相をそれぞれ辞任したばかりだ。与野党を問わず劣化する国会議員の質に背筋が寒くなる。

 

(2019年5月16日配信『徳島新聞』―「鳴潮」)

 

 この人、前々から相当に酒癖が悪かったようである。2015年には飲酒後、口論になった一般人の手にかみつき、問題となっている。その際、断酒を宣言し、飲んだら議員を辞職する意向を示していた

 断酒の決意も、わずか数年で雲散霧消したらしい。北方領土へのビザなし交流訪問団に参加し、「戦争による領土奪還」に言及、批判を浴びている丸山穂高衆院議員である

 訪問団によると、丸山議員は酒に酔い、宿舎で大塚小弥太団長に「ロシアが混乱しているときに取り返すのはオッケーですか」「戦争をしないと、どうしようもなくないですか」などと絡んだ。大声で騒ぎ、禁止されている外出を強行しようともしたという

 ふざけるにもほどがある。信念とすれば、政治家の資格はない。89歳の元島民・大塚団長は「戦争なんて言葉は使いたくない」と返したそうだ。35歳の若造が戦争の何を知っている、と怒りに震えていたはずだ

 平和憲法を持ち出さずとも、戦争を仕掛けて領土を取り返そうなどという試みは、国際社会で通らない。そもそも、戦争になるような事態を招かないことが、政治家の最も大事な役割ではないか

 酒の誘惑にあっさりと負けてしまう意志薄弱、幼稚な議論を平気でふっかける不見識。およそ政治家には不向きな人である。速やかに国会から去るべきだ。

 

「戦争で」発言 ここまできた議員の劣化(2019年5月16日配信『西日本新聞』―「社説」)

 

 国会議員の劣化もここまできたか。あぜんとする思いだ。

 日本維新の会に所属していた丸山穂高衆院議員(35)が、北方領土へのビザなし交流訪問団に参加した際、元島民に対し、戦争による領土奪還をけしかけるような発言をしていた。

 訪問団によると、丸山氏は11日夜、酒に酔った状態で元島民である訪問団長に対し「戦争でこの島(北方領土)を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」と問いただそうとした。

 団長が「戦争なんて言葉は使いたくない」と答えると、「戦争をしないとどうしようもなくないですか」などと迫った。

 国会議員がしたとは信じられない発言だ。どこがどれほど不見識か、丁寧に説明したい。

 まず日本国憲法は9条で「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と明記している。丸山氏の発言は、憲法の大原則である平和主義を否定するものだ。

 また、国連憲章は国際紛争を平和的な手段で解決するよう加盟国に義務付けている。自衛以外の武力行使は、国際法の観点からも許されない。

 さらに日本とロシアの2国間関係でも、1956年の日ソ共同宣言で「紛争の平和的手段による解決」と確認している。現在、安倍晋三政権がロシアと北方領土に関わる外交交渉を進めているが、その信頼醸成に向けたビザなし交流の場で「戦争で」などと言い出す行為は、交渉に百害あって一利もない。

 そもそも、戦後の日本政治は、先の大戦の教訓に立って「いかに戦争を起こさないか」ということを最大の目標にしている。戦争の惨禍を軽視して手段のように取り扱うのは、歴史を学んでいない証拠である。

 こと領土問題はナショナリズムが絡み、インターネット上などでは威勢のいい強硬論が幅を利かせるものだ。そうした世間の空気に乗り、「戦争で」などとけしかけたのであれば、議員としては浅薄というほかない。

 丸山氏との会話で、元島民の団長は何度も「戦争はすべきでない」などと反論している。故郷を追われた無念がある中で、戦争を知る世代としての見識を示してくれたと感服する。

 日本維新の会は発言を問題視して丸山氏を除名し、自ら議員辞職するよう促したが、党としてこういう人物を公認した責任を痛感してほしいものだ。

 私たち有権者も議員の劣化を嘆くだけでは済まない。これ以上、底の浅い議員が増えないよう、イメージや勢いに乗せられず、政治家の人間性を見極める目を養いたい。

 

「戦争」発言 平和主義突き崩す暴言だ(2019年5月16日配信『熊本日日新聞』―「社説」)

 

 丸山穂高衆院議員が、北方領土返還を巡り、戦争を解決手段とするかのような発言をした。憲法の大原則である平和主義を根幹から突き崩し国益も損なう、失言の域を超えた暴言である。即刻、議員辞職すべきだ。

 発言は、北方四島ビザなし交流で国後島を訪問中の11日に元島民の訪問団長に対してなされた。「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」と質問し、「戦争はすべきでない」などと返答した団長に、「戦争しないとどうしようもなくないですか」と、重ねて述べたという。

 丸山氏は13日の会見で「他の方と話している中で、そういう意見もあり、どうお考えか聞きたかった」と釈明したが、やりとりの流れを読めば、自身がそう考えているとしか受け取れない。

 「(戦争を)国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」としている憲法9条の理念を、国民の代表である国会議員自らがないがしろにする言動だ。加えて、ロシアの現島民らとの交流で、信頼関係の構築を重ねてきた元島民たちの努力を踏みにじるものでもある。戦争を体験したからこそ平和的な北方領土返還を望む元島民たちとは対照的に、戦争を知らない世代の丸山氏の言葉は、あまりにも軽い。

 北方領土返還と平和条約締結を目指している日ロ交渉にも悪影響を与えるのは必至だ。事実、ロシア上院の国際問題委員長が早速、「日ロ関係の流れの中で最もひどい(発言だ)」と批判した。

 ロシア側の返還に反対する勢力の姿勢や世論が厳しくなるのは確実で、ただでさえ難航している交渉はより一層難しくなるだろう。

 丸山氏が所属していた日本維新の会代表の松井一郎大阪市長は当初、「厳重注意だ」として丸山氏の進退には言及していなかったが、14日になって除名処分にし議員辞職も求めた。

 しかし、丸山氏は無所属で議員活動を続ける意向を示している。党籍を失っただけで済む話ではあるまい。維新自らが主導して衆院での辞職勧告を進めるべきだ。そこまでしなければ、同党の憲法改正への積極的な姿勢も、平和主義を軽視するものではないか、との疑念を招きかねないだろう。

 

北方領土巡る暴言(2019年5月16日配信『宮崎日日新聞』―「社説」)

 

◆丸山議員即刻辞職すべきだ◆

 数ある政治家の失言、暴言の中で最低レベルだ。日本維新の会の丸山穂高衆院議員が、北方領土返還問題について元島民に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」などと質問し、元島民の抗議を受けて謝罪。その後、発言を撤回し離党届を提出したが、日本維新の会は受理せず除名処分とした。さらに、辞職勧告決議案の衆院への提出を与野党に呼び掛ける方針を決めている。

海外にも波紋広がる

 故郷の地が戦場になることなど望んでいるはずがない元島民に賛否を問いただす。こんな言動が、平和的な返還を辛抱強く待ち続けてきた元島民の気持ちをいかに踏みにじり、国民の怒りをどれだけ呼ぶものであるのか。日本維新の会代表の松井一郎大阪市長が議員辞職を求めたのは当然だ。

 波紋は国内にとどまらない。ロシア上院の国際問題委員長が、早速、「日ロ関係の流れの中で最もひどい(発言だ)」と批判した。難航しているロシアとの北方領土返還交渉にも悪影響を与えるのは必至だ。国益をも損なった丸山氏の罪は限りなく大きい。即刻、議員を辞職すべきだ。

 丸山氏は、北方領土へのビザなし交流訪問団に参加。国後島の宿舎で酒に酔った上、元島民の大塚小弥太団長に「ロシアが混乱しているときに取り返すのはオッケーですか」と尋ねるとともに戦争による奪還への賛否を質問。大塚氏は「戦争なんて言葉は使いたくない」と返答したという。

 日本とロシアは、1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約締結交渉を加速するとの安倍晋三首相とプーチン大統領の合意を受け、話し合いを進めているが、ラブロフ外相らが、北方四島は第2次大戦の結果として正式にロシア領になったと受け入れるよう要求して難航している。

返還交渉一層困難に

 10日、モスクワで行われた日ロ外相会談後の記者会見で、ラブロフ氏が、交渉を進めるには日本が第2次大戦の全ての結果を認める必要があると重ねて強調。河野太郎外相も「双方の立場の隔たりを克服できたわけではない」と述べざるを得なかった。

 そんな中での丸山氏の常軌を逸した言動である。菅義偉官房長官は14日の記者会見で「誠に遺憾だ。外交交渉によって北方領土問題の解決を目指す政府の方針に変わりはない」と述べるとともに「発言が事実だとすれば政府の立場とは全く異なるものであり、日ロ交渉に影響を与えるとは考えていない」と沈静化を図った。

 しかし、ロシア側の返還に反対する勢力や世論の姿勢が厳しくなるのは確実で、交渉はより一層、難しくなるだろう。

 このままでは日本の国会に戦争による領土奪還という考えが存在するとの印象を国際社会に与えかねない。戦後、築いてきた「平和国家」という日本のイメージを揺るがすことになるだろう。

 

(2019年5月16日配信『南日本新聞』―「南風録」)

 

95歳の影絵作家、藤城清治さんの作品は緻密だ。岩肌の細かい陰影、葉っぱの1枚まで再現する。宮崎市の宮崎県立美術館で開催中の作品展では、衰えぬ創作意欲に触れることができる。

 会場の一角に印象的な言葉が掲げてあった。「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」。宮沢賢治の一文だ。世界のどこかに苦境の人がいるのに、自分ひとりが幸せに浸る気分にはなれない。賢治の心境に藤城さんは共感したのだろう。

 そんな思いと対極にあるような発言である。北方領土へのビザなし交流訪問団に同行していた丸山穂高衆院議員が、元島民の団長に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか」と質問し、「戦争しないとどうしようもなくないですか」とたたみかけた。

 戦争でふるさとを奪われ長年苦境を味わっている人に対する言葉だろうか。そもそも世界の過去と現在を見渡せば、領土争いがどれだけ無益な戦争を引き起こしてきたかわかる。

 藤城さんは慶応大生時代、海軍予備学生として出征した。親友は指宿市の航空基地から沖縄に特攻出撃して帰らなかった。若者の命を浪費する戦争の実相を知る残り少ない世代だ。

 童話や神話を題材にした藤城さんの作品は優しげだが、平和への確固たる信念で貫かれている。粘り強い交渉で道を切り開く信念を貫いてこそ、平和憲法を掲げる国の政治家である。

 

領土返還「戦争で」 暴言の責任取って辞職を(2019年5月16日配信『琉球新報』−「社説」)

 

 国会議員の口から許し難い暴言が飛び出した。北方領土へのビザなし交流訪問団に同行し国後島を訪れた日本維新の会(その後除名処分)の丸山穂高衆院議員(35)=大阪19区=が「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」と元島民の団長に質問していたのである。

 丸山氏は「ロシアが混乱しているときに取り返すのはオッケーですか」「戦争しないとどうしようもなくないですか」と畳み掛けるように尋ねている。戦慄(せんりつ)を禁じ得ない。憲法の基本原理である平和主義を真っ向から否定する発言だからだ。

 言うまでもなく、戦争の放棄を定めた憲法9条は、筆舌に尽くし難い惨禍をもたらした、去る大戦の反省から生まれたものだ。さらに、憲法99条は国会議員などが憲法を尊重し擁護する義務を負うと定めている。

 戦争のない平和な社会を築くことは国会議員の最大の使命であるはずだ。丸山氏には、選良としての自覚と見識が欠けている。このまま議員にとどまれば、ロシアに対しても誤ったメッセージを与えかねない。暴言の責任を取って、直ちに辞職すべきである。

 日中戦争から敗戦までの日本人の戦没者は310万人に達する。沖縄ではおびただしい数の一般住民を巻き込んだ地上戦が繰り広げられ12万2千人余の県出身者が亡くなった。戦争がもたらすものは地獄以外の何物でもない。一度でも、犠牲者の身になって考えたことがあるのだろうか。

 丸山氏は酒に酔っていた。訪問団事務局が禁止しているのに外出しようとしたり、大声で騒いだりしたという。国会議員である以前に、社会人として失格だ。

 帰任後、自身の発言について「団員それぞれにタブーなく考えを聞く中で、団長にも聞いた。それが最善とは全く思っていない。交渉の中でわが国の国益を勝ち取るのが当然の話だと思う」と釈明した。

 問題化した13日の夜には「多くの方に不快な思いをさせ、おわびする。不適切な発言を撤回したい」と語った。だが翌日、自身のツイッターに「無所属にて活動する中で、残りの政策の実現に向けて一つ一つ前に進める」と投稿し、議員を続ける意向を示した。反省しているのだろうか。

 北方領土のロシア人住民と日本人の元島民らが相互に往来する「ビザなし交流」は1992年に始まったものだ。丸山氏の言動は、互いの理解を深めるという交流の趣旨に反する。「信頼関係が壊された」「足を引っ張る人は来ないでほしい」と元島民が憤るのは当然だ。

 丸山氏は衆院沖縄北方特別委員を務めている。国会議員が物見遊山的に訪問している実態がないか、この機会に検証する必要がある。

 日本維新の会は丸山氏を除名処分にしたが、それだけで済む話だろうか。同氏を公認してきた責任は重い。

 

[丸山議員「戦争」発言]退廃的で危険な発想だ(2019年5月16日配信『沖縄タイムス』−「社説」)

 

 失言や暴言という生やさしい話ではない。「無知」に「無恥」を上塗りしたような前代未聞の発言だ。影響の大きさは計り知れない。

 北方4島ビザなし交流に参加した丸山穂高衆院議員が、国後島の宿舎で酒に酔い、元島民で交流訪問団長の大塚小弥太さんに、驚くような質問をぶつけた。少し長くなるが、主なやりとりを紹介する。

 丸山氏「団長は戦争でこの島を取り返すことは賛成ですか、反対ですか」

 団長「戦争で?」

 丸山氏「ロシアが混乱しているときに取り返すのはオッケーですか」

 団長「いや、戦争なんて言葉は使いたくないです。使いたくない」

 丸山氏「でも取り返せないですよね」

 団長「いや、戦争はすべきではない」

 丸山氏「戦争しないとどうしようもなくないですか」

 団長「いや、戦争は必要ないです」

 領土返還の手段として戦争を持ち出しているのは35歳の丸山氏である。ソ連軍の侵攻で島を脱出した89歳の大塚氏は「戦争はすべきではない」と繰り返していたという。

 ビザなし交流は、元島民の墓参やロシア人住民宅への訪問などを通して両国の信頼関係を築くのが目的だ。

 そのような場で戦争による解決を持ち出すこと自体、非常識極まりない。

 丸山氏は「顧問」という立場で同行しながら、大声で騒いで事務局から注意を受けるなど行動にも問題があった。

    ■    ■

 丸山氏は、所属する日本維新の会に離党届を提出したが、同党はこれを受理せず、除名処分とした。維新の会を含め与野党に議員辞職を求める声が広がっている。

 議員辞職は当然である。だが、1人の議員が責任を取って辞めれば済むような軽い話ではない。

 領土交渉に悪影響を与えるかもしれない。日本が掲げてきた「平和主義」に対し、国際社会から空洞化を懸念する声が上がることも予想される。

 実際、集団的自衛権の行使容認に象徴されるように、空洞化の動きは急速に進んでいる。国際社会に向かって、日本の「平和主義」をあらためてアピールするような取り組みが必要だ。

 憲法は戦争放棄を明文化し、国連憲章は自衛などの場合を除き、武力行使を禁じている。国際的な戦争違法化の流れや戦争による犠牲と破壊が背景にあることを思い起こしたい。

    ■    ■

 俳優の故菅原文太さんは2014年11月、那覇市で開かれた集会であいさつした。

 「政治の役割は二つあります。一つは国民を飢えさせないこと、安全な食べ物を食べさせること。もう一つは、これが最も大事です。絶対に戦争をしないこと」

 戦争体験者が引退するか世を去った時に、戦争に対する心理的な障壁が急速に薄らいでいくといわれる。

 体験の裏づけを持たない勇ましい言葉がかっ歩し始めるのは危険な兆候だ。退廃的な暴言の根は深い。

 

丸山氏の戦争発言(2019年5月16日配信『しんぶん赤旗』−「主張」)

 

議員の資格がないのは明白

 日本とロシアとの領土問題をめぐり、日本維新の会の丸山穂高衆院議員が「戦争しないとどうしようもなくないですか」などと繰り返した暴論は言語道断という他ありません。戦争放棄を定めた憲法9条はもちろん、99条の国会議員の憲法尊重擁護義務に真っ向から反する違憲の言動であり、国会議員の資格を完全に欠いています。維新の会は、丸山議員を除名しましたが、それでは済みません。同氏が国会議員にとどまることは絶対に許されません。

「戦争」の言葉しつこく

 丸山議員の暴言は、ロシアに不法占拠されている南千島の国後島をビザなし交流で訪問した際の11日、元島民らとの懇談会の席でのものです。同行記者団が訪問団団長を取材していたところ、丸山議員が割り込み「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」と団長に質問し、団長が「戦争なんて言葉は使いたくない」などと答えると、丸山議員は「戦争しないとどうしようもなくないですか」などとしつこく述べたことが、音声データから明らかになっています。「ロシアが混乱しているときに、取り返すのはオーケーですか」とも発言しています。

 戦争による「領土奪還」をあからさまに口にしていることは疑問の余地がありません。丸山議員は問題が表面化した後、「自分自身の意見ではない」と釈明しましたが、一連のやりとりは、“確信犯”であることを浮き彫りにしています。

 憲法は前文で、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」と宣言し、9条では「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と明記しています。戦争に訴えて領土を取り返すことを露骨に求めた丸山議員の主張は、憲法とは全く相いれない暴論であることはあまりに明瞭です。さらに99条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定めています。二重三重に憲法を踏みにじった丸山議員は、国会議員を辞任する以外に道はありません。

 戦争で紛争解決というのは、国際的にも通用しません。国連憲章は、戦争違法化の立場から加盟国に「国際紛争を平和的手段によって解決する」ことを求めています。だいたい74年前の戦争で島を追われ、その悲惨さを身をもって知る人たちに向かって戦争をけしかける言葉を発すること自体、許し難いものです。そうした歴史も理解できない丸山議員は、政治家としての資質も根本から疑われます。

憲法破壊政治の危険明白

 丸山議員が、改憲勢力である維新の会の“論客の一人”だったという事実は重大です。維新の会は、9条改憲を狙う安倍晋三首相と連携・呼応し、改憲のお先棒を担ぐ役割を果たしています。

 安倍首相が憲法尊重擁護義務に反して国会に改憲議論を迫る先頭にたつなど、立憲主義破壊の政治を横行させていることと、丸山議員の違憲発言は、無縁といえるのか―。憲法を壊し、ないがしろにする政治の危険は明白です。

 丸山氏を選挙で公認し議席を与え、活躍と発言の機会を与えてきた維新の会の責任を決してあいまいにすることはできません。

 

(2019年5月16日配信『しんぶん赤旗』−「潮流」)

 

待ち望んでいた平和がよみがえる喜び、以前の生活に戻れる明るさに島々は包まれていました。しかしそれはソ連軍の侵略によって無残に打ち砕かれました

▼終戦後に響きわたった銃声。略奪、暴行、強制労働、命まで奪われた島民も。のちに彼らが口にしたソ連軍圧政下の体験談は北方の島を離れても決して忘れられない苦難でした。あの戦争が招いた悲しみは、今もつづいています

▼「戦争しないとどうしようもなくないですか」。日本維新の会の丸山穂高衆院議員が、国後島のビザなし交流の席で戦争をけしかける発言を重ねました。北方問題特別委員の立場で同行し、訪問団長の元島民に暴論をふっかけたのです

▼両国の信頼関係をつくる場。しかも身をもって戦争はすべきではないとくり返す団長に、しつように絡みつく異常極まる振る舞い。心なき謝罪や撤回はしたものの、勧められた酒のせいにし、議員を辞めるつもりもないという救いようのなさです

▼「国益」が口ぐせで改憲に前向き、核武装についても「検討すべき」と答えるような議員。きびしい批判を浴びて除名にしたとはいえ、安倍政権と一体で改憲に突き進み、こんな人物を国会に送り込んだ維新の会の責任は重い

▼北の島民だけではありません。どれだけの人びとが、戦争で悲惨を味わったか。だからこそ、二度とくり返さないと内外に誓った憲法のもとで日本は戦後の平和を歩みました。それを脅かす勢力は、国民の力で追い詰める。永久(とわ)に戦争を放棄した国として。

 

暴言の丸山議員 責任取り辞職すべきだ(2019年5月15日配信『北海道新聞』―「社説」)

 

 国民を代表する立場の者として口にすることが許されぬ暴論だ。

 北方四島ビザなし交流訪問団に参加した日本維新の会の丸山穂高衆院議員が滞在先で、元島民の大塚小彌太(こやた)団長に、四島返還について「戦争しないとどうしようもなくないですか」などと問うた。

 戦争による北方領土問題の解決を示唆したものと受け取られても仕方ない。

 日本は憲法9条で国際紛争を解決する手段として戦争と武力の行使、威嚇を永久に放棄している。その趣旨に反する著しく不適切な発言である。

 丸山氏は酒に酔っていたという。過去にも飲酒によるトラブルを起こしており、国会議員の資質を明らかに欠いている。

 丸山氏は発言を謝罪、撤回し、離党届を提出したが、維新の会の松井一郎代表は議員辞職すべきだとの考えを示した。当然である。

 ビザなし交流は領土問題の解決に向け、元島民とロシア人島民が直接触れ合い、互いの信頼を醸成する場だ。

 丸山氏は衆院沖縄北方問題特別委員会に所属しているにもかかわらず、交流の目的を理解していなかったのか。「戦争」に言及するとは常軌を逸している。

 丸山氏は自らの考えでなく一般論だと釈明したが、にわかには信じがたい。

 政府は大戦末期に不法占拠された北方四島を外交交渉によって取り戻そうとしてきた。発言はその立場と相いれない。

 政府と一体で返還運動に取り組み、交渉を後押ししてきた元島民の努力をも踏みにじるものだ。

 大塚団長は丸山氏から「戦争で島を取り返すのは賛成か反対か」と問われ「戦争なんて言葉は使いたくない」と反論した。その思いはよく分かる。

 心配なのは、ただでさえ行き詰まっている領土交渉への影響だ。

 丸山氏の発言について、ロシア上院のコサチョフ国際問題委員長は「日ロ関係の流れの中で最もひどい」と批判した。

 日本の国会議員から「戦争による領土奪還」の考えが示されたことで、ロシア側の反発が強まり、交渉が後退しかねない。

 改憲を目指す維新の会の国会議員から、戦争を容認するかのような考えが示されたことは見過ごせない。

 維新の会は丸山氏の除名を決定したがそれで幕引きはできない。発言自体の問題点と党の立場をより丁寧に説明してもらいたい。

 

賢者か愚者か(2019年5月15日配信『北海道新聞』―「卓上四季」)

 

作家の村上春樹さんは幼い頃、戦争中に父の所属する部隊が、中国で捕虜を処刑したことがあると父から打ち明けられたそうだ。残忍な光景は自分の心に強烈に焼き付き、部分的に継承したことになったと振り返る

▼さらに語る。「不快な、目を背けたくなるようなことであれ、人はそれを自らの一部として引き受けなくてはならない。もしそうでなければ、歴史というものの意味がどこにあるだろう?」(「文芸春秋」6月号)

▼「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」という言葉もある。村上さんのように歴史に学ぼうとしないなら、やはり愚者と言わざるを得まい。北方領土について「(戦争をしないと)取り返せない」などと発言した、日本維新の会の丸山穂高衆院議員だ

▼ビザなし交流訪問団の一員として国後島訪問中、酔って元島民の団長に言った。戦争で古里を奪われた人にこういう言葉をぶつける。その神経を疑う。何より戦争を容認するような発言は、決して許されない

▼作家の保阪正康さんは常々「戦争が政治の失敗の結果であることが自省されていない」と指摘してきた。戦争をしなければ島を取り返せないとするなら、それは政治家の無能さを裏付けることにほかならないと、本人は気付かぬらしい

▼丸山氏は謝罪したが、結局、党から除名された。日本は「戦争をしない」と誓った国である。国会議員の資格が問われる。

 

北方領土奪還発言 丸山議員は辞職すべきだ(2019年5月15日配信『茨城新聞』―「論説」)

 

数ある政治家の失言、暴言の中でも最低、最悪レベルなのではないか。

日本維新の会の丸山穂高衆院議員が、北方領土返還問題について元島民に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」などと質問し、元島民の抗議を受けて謝罪。その後、発言を撤回し離党届を提出した。

故郷の地が戦場になることなど望んでいるはずがない元島民に賛否を問いただす。こんな言動が、平和的な返還を辛抱強く待ち続けてきた元島民の気持ちをいかに踏みにじり、国民の怒りをどれだけ呼ぶものであるのか。日本維新の会代表の松井一郎大阪市長が議員辞職を求めたのは当然だ。

波紋は国内にとどまらない。ロシア上院の国際問題委員長が、早速、「日ロ関係の流れの中で最もひどい(発言だ)」と批判した。難航しているロシアとの北方領土返還交渉にも悪影響を与えるのは必至だ。

国益をも損なった丸山氏の罪は限りなく大きい。即刻、議員を辞職すべきだ。

丸山氏は、北方領土へのビザなし交流訪問団に参加していた11日夜、国後島の宿舎で酒に酔った上、元島民の大塚小弥太団長に「ロシアが混乱しているときに取り返すのはオッケーですか」と尋ねるとともに戦争による奪還への賛否を質問。大塚氏は「戦争なんて言葉は使いたくない」と返答したという。

 日本とロシアは、1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約締結交渉を加速するとの安倍晋三首相とプーチン大統領の合意を受け、話し合いを進めているが、ラブロフ外相らが、北方四島は第2次大戦の結果として正式にロシア領になったと受け入れるよう要求して難航している。

 10日、モスクワで行われた日ロ外相会談後の記者会見で、ラブロフ氏が、交渉を進めるには日本が第2次大戦の全ての結果を認める必要があると重ねて強調。河野太郎外相も「双方の立場の隔たりを克服できたわけではない」と述べざるを得なかった。

 そんな中での丸山氏の常軌を逸した言動である。菅義偉官房長官は14日の記者会見で「誠に遺憾だ。外交交渉によって北方領土問題の解決を目指す政府の方針に変わりはない」と述べるとともに「発言が事実だとすれば政府の立場とは全く異なるものであり、日ロ交渉に影響を与えるとは考えていない」と沈静化を図った。

 しかし、ロシア側の返還に反対する勢力や世論の姿勢が厳しくなるのは確実で、交渉はより一層、難しくなるだろう。

 さらに問題なのは戦争による領土奪還が丸山氏の考えなのか否かだ。

 丸山氏は発言を撤回した記者会見で「他の方と話している中で、そういう意見もあり、どうお考えか聞きたかった」と釈明しているが、大塚氏の回答に満足しない 丸山氏は「でも取り返せないですよね」「戦争をしないと、どうしようもなくないですか」とも述べている。

本当は、「他の方」などおらず、丸山氏本人がそう考えているとしか受け取れない。

このままでは日本の国会に戦争による領土奪還という考えが存在するとの印象を国際社会に与えかねない。それは戦後、築いてきた「平和国家」という日本のイメージを揺るがすことになるだろう。

 

維新丸山議員 言語道断の「戦争」発言(2019年5月15日配信『朝日新聞』―「社説」)

 

 領土問題の戦争による解決を肯定するかのような言動は、平和国家・日本の国会議員として失格である。速やかに議員を辞職すべきだ。

 北方領土へのビザなし交流の訪問団に、「顧問」として同行した日本維新の会の丸山穂高衆院議員である。

 丸山氏は11日夜、国後島の宿泊施設での懇談の場で、元島民の団長に対し、いきなり「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」と切り出した。「戦争するべきではない」と否定されると、「戦争しないとどうしようもなくないですか」とたたみかけた。

 丸山氏は酒に酔っていた。東京に戻った後、「誤解を与える不適切な発言」として、謝罪・撤回をしたが、「不適切」というレベルを超えた問題発言であり、酒の上でのことと見過ごすわけにはいかない。

 憲法9条は国際紛争を解決する手段としては、戦争を放棄するとしている。北方領土を武力で取り戻すという選択肢は、そもそも日本の国是に反する。

 しかも、1992年に始まったビザなし交流は、領土問題の解決に向け、元島民らと北方四島に住むロシア人との交流を通じて両国の信頼関係を構築するための事業だ。そのような場で、戦争による問題解決に言及するのは非常識極まりない。

 丸山氏はルールに反して、夜間に外出しようともした。この交流事業は、日ロ双方の法的立場を損なわないよう、微妙な取り決めのうえに成り立っている。言動には細心の注意が必要なのに、顧問である議員自ら規律を乱すなどもってのほかだ。

 90歳近い元島民の団長は、からむように質問を続ける丸山氏に対し、「戦争はすべきではない」と何度も繰り返した。戦争によって故郷を奪われた悲痛な体験を踏まえた見識である。戦後生まれの35歳の丸山氏と、なんと対照的なことか。

 丸山氏はきのう日本維新の会に離党届を提出したが、党は受理せず、除名処分とした。党代表の松井一郎・大阪市長は「国会議員として一線を越えた発言だ」と批判し、自ら議員を辞職するよう促した。

 丸山氏は15年末、東京都内で飲酒した際、トラブル相手の男性の手をかみ、警察沙汰となったことがある。党から厳重注意を受け、議員在職中の禁酒を誓ったが、17年の総選挙後に「解禁」していたのだという。

 政治家としての見識を欠き、自らを律することもできないのでは、国会議員の資格がないと言わざるを得ない。本人は無所属で活動を続ける意向を示した。となれば、衆院として辞職勧告を検討すべきではないか。

 

北方領土返還「戦争で」 潔く国会から去るべきだ(2019年5月15日配信『毎日新聞』−「社説」)

 

 国民の代表である議員として許容される範囲をあまりに逸脱した発言だ。もはや国会に籍を置くべきではなかろう。

 日本維新の会の丸山穂高衆院議員が、北方領土返還は戦争をしないと実現できないともとれる発言をした。ビザなし交流で元島民と国後島を訪れ現地での懇談で飛び出した。

 丸山氏が北方領土を「ロシアと戦争で取り返すのは賛成か反対か」と問い、元島民が「戦争なんて言葉を使いたくない」と応じると、「戦争をしないとどうしようもなくないですか」と述べた。

 国家間の問題をいとも簡単に戦争で解決しようと言う政治家がどこにいるだろう。現代では、政治の究極的な目的は戦争を起こさないことにある。あまりの見識の無さにあきれるほかない。 

 大戦末期、ソ連が中立条約を一方的に破棄して対日参戦し、北方四島を軍事占領したのは史実だ。

 戦後、北方四島の帰属をめぐって交渉が続けられてきた。そうした経緯を無視して武力で取り返せばいいというのは、時代錯誤も甚だしい。

 丸山氏は衆院沖縄・北方領土特別委員会の委員として同行した。35歳の丸山氏は経済産業省の元官僚だ。領土交渉を国会で審議する重要な立場だが、領土問題の歴史をきちんと理解しているのか疑わしい。

 ソ連侵攻時、北方四島に住んでいた約1万7000人のほぼ半数が脱出した。残りの島民も後に強制退去させられ、多くが抑留を経て日本に帰還した苦難を体験している。

 そんな戦争被害者である元島民に「戦争」を解決の手段として押し付けるというのは無神経に過ぎる。元島民が不快感を示したのは当然だ。

 現在、日露間の平和条約交渉で基礎となっているのが、1956年に締結された日ソ共同宣言である。

 宣言は、サンフランシスコ講和条約に参加しなかったソ連との戦争状態を終結させるものだった。

 平和的手段による紛争解決が明記され、両国の国会が批准している。それを履行する責任はいまの国会議員にも課せられている。丸山氏にその自覚があるとは思えない。

 維新は除名処分を決定した。しかし、党籍を失って済む話ではない。潔く議員を辞職すべきだ。

 

「戦争で奪還」 平和主義を踏みにじる(2019年5月15日配信『東京新聞』−「社説」)

 

 国会議員として許されない発言だ。丸山穂高衆院議員が戦争による北方領土奪還の是非を元島民に問うた。戦争放棄の憲法を無視する発言で国民の代表たる資格はない。議員を辞職すべきは当然だ。

 「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」

 日本国憲法9条第1項である。99条で「憲法を尊重し擁護する義務を負う」と定められた国会議員の一員なら、知らないでは済まされない条文だ。

 しかし、北方領土へのビザなし交流訪問団に同行していた丸山氏(35)=大阪19区、日本維新の会が除名処分=は11日夜、国後島の宿舎で、元島民で訪問団長の大塚小弥太(こやた)さん(89)に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか反対ですか」と問い掛けた。

 大塚さんが「戦争なんて言葉は使いたくない」と答えると、丸山氏は「戦争をしないと、どうしようもなくないですか」と述べた。

 丸山氏は酒に酔った状態で、訪問団事務局が禁止しているにもかかわらず外出しようとしたり、大声で騒いだりしたため、注意を受けた、という。

 丸山氏は13日深夜、東京都内で記者団に対し、「多くの方に不快な思いをさせ、おわびする。不適切な発言を撤回したい」と語ったが、発言を取り消せば済むという程度の話ではない。

 国内外に多大な犠牲を強いた先の大戦の反省から、戦争放棄と戦力不保持を憲法に明記した。平和主義は国民主権、基本的人権の尊重と合わせて憲法の三大理念だ。

 外国による「不法占拠」が続く日本固有の領土は平和的な外交手段によって取り戻すべきであり、戦争という強硬手段で奪還すべしと考えているのなら、極めて不穏当で、平和主義を踏みにじる。

 ましてや国会議員としての発言だ。憲法の条文を理解せず、尊重も擁護もできないのなら、そもそも国会議員たる資格はない。

 丸山氏は2015年末にも東京都内で飲酒後に口論になった一般人の手をかむなどのトラブルを起こした。当時、党から厳重注意を受け、公職にいる間は断酒し、飲酒した場合は議員辞職する意向を示したという。もはや丸山氏がいる場所は、国会にはない。

 憲法を理解せず、尊重しない人物が国会に送り込まれてはならない。国民の代表を選ぶ私たち有権者の責任を、戦争を放棄した憲法の重みとともに確認したい。

 

(2019年5月15日配信『東京新聞』−「筆洗」)

 

 「酒来れば知恵が去る」はイタリアのことわざだそうだ。英国では「酒は初め朋友(ほうゆう)にして後に敵となる」と伝わる。悪名が流れ、怒りを生み、知恵を損なうと仏教の経典にも飲酒の害が細かくある。古今東西、無数のことわざや格言がこれでもかと説くのが飲酒の害である

▼知恵が去り、本音が現れたようにみえる。「戦争をしないと、どうしようもなくないですか」「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか反対ですか」。北方領土の返還を巡る丸山穂高衆院議員の発言である。酔って口にしたそうだ

▼交渉に影響する恐れがあるだろう。ビザなし交流などにたずさわる元島民や関係者もショックを受けたであろう。一方、こんな人物が、国会にいて北方領土にかかわっていたことも、世に知られることになった。飲酒の害のおかげで、とあえていいたくなる

▼憲法の戦争放棄を知らないはずはないだろう。国々が領土を戦争で奪い合った19世紀から、20世紀の悲惨な両大戦で大きな犠牲を払って、国連憲章もできた。戦争で領土を奪おうとする国が激減している現代である

▼領土問題で、戦争に言及するような発想が許されるのは、ならず者の国であろう。党からは除名されたようだが、衝撃の残る発言である

▼戦争を知る人が減り、記憶が薄れることへの懸念がある。このような事態を指すのではないだろうかと思わされる。

 

(2019年5月15日配信『福井新聞』―「越山若水」)

 

戦後最大の思想家ともいわれる丸山眞男は、東京大助教授だった30歳のときに陸軍の二等兵として徴兵された。この超エリートを待っていたのは、暴力。「中学にも進んでいないであろう一等兵」から、たびたび理不尽に殴られた

▼その一等兵と同じように「『丸山眞男』をひっぱたきたい」と題した論文が、ひと昔前に話題になったことがある。「31歳フリーター。希望は、戦争」と副題にあって、胸がざわざわとした。何があっても否定されるべき戦争を持ち出したことに嫌悪感も湧いた

▼論文はネットでも読むことができる。詳しくはそちらに譲るとして、筆者の赤木智弘さんの目的は貧困に苦しむ自身ら若者世代の苦境と、前の世代との不平等を訴える点にあった。丸山眞男は「持つ者」の象徴であり、不平等をひっくり返す手段として戦争を挙げたのだった

▼またも「戦争」が出てきた。ビザなし交流訪問団に同行して、国後島を訪れた丸山穂高衆院議員だ。北方領土を取り返すのに「戦争をしないとどうしようもなくないですか」などと、公の席で元島民に問うたという

▼胸がざわつく、という程度では済まない。先の赤木さんとはまるで立場が異なる。まかり間違えば国を戦争へと導きかねないのに、あまりに無自覚なのが腹立たしい。同姓の思想家の話から始めたのに全く他意はなかったが、ひっぱたきたくなる。

 

北方領土「戦争」発言(2019年5月15日配信『中国新聞』―「天風録」)

 

 田中角栄元首相は、政治家の言葉の使い方について次のように分類していた。「言っていいこと・悪いこと、言っていい人・悪い人、言っていい時・悪い時」があると。中身と相手、そしてタイミングの3条件をわきまえよと教えた

▲この人の発言は、政治家以前の問題であろう。日本維新の会の丸山穂高衆院議員が、北方領土について「戦争をしなければ、島は取り返せないのでは」などと言い放った。ビザなし交流訪問団に参加し、国後島を訪れていたときというからあきれる

▲「戦争をするべきでないし、したくない」。旧ソ連によって故郷を奪われた元島民たちの言葉に心が痛む。3条件とも最悪の発言だ。謝罪し撤回もしたが、取り返しはつくまい。軽々しく「戦争」という言葉を使ったこと自体、政治家として不適格である

▲そもそも何のために北方領土まで出掛けたのか。ロシア側からは、日ロ関係を巡る「最もひどい発言だ」といった批判の声も上がる。進展しない領土交渉にも、悪影響を及ぼしかねない

▲党も「あるまじき行為」と除名処分にすることにしたようだが、当然のことだろう。せめて議員を辞めるタイミングくらいは、外さないでもらいたい。

 

北方領土奪還発言/議員辞職に値する(2019年5月15日配信『山陰中央新報』―「論説」)

 

 日本維新の会の丸山穂高衆院議員が、北方領土返還問題について元島民に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」などと質問し、元島民の抗議を受けて謝罪。その後、発言を撤回したが、日本維新の会は除名処分を決めた。丸山議員は議員を辞職すべきだろう。

 故郷の地が戦場になることなど望んでいるはずがない元島民に賛否を問いただす。こんな言動が平和的な返還を辛抱強く待ち続けてきた元島民の気持ちをいかに踏みにじることになるか。日本維新の会代表の松井一郎大阪市長が議員辞職を求めたのは当然だ。

 波紋は国内にとどまらない。ロシア上院の国際問題委員長が、早速、「日ロ関係の流れの中で最もひどい(発言だ)」と批判した。難航しているロシアとの北方領土返還交渉にも悪影響を与えるのは必至だ。

 数ある政治家の失言、暴言の中でも最低、最悪レベルで、国益をも損なった丸山氏の罪は限りなく大きい。

 丸山氏は、北方領土へのビザなし交流訪問団に参加していた11日夜、国後島の宿舎で酒に酔った上、元島民の大塚小弥太団長に「ロシアが混乱しているときに取り返すのはオッケーですか」と尋ねるとともに戦争による奪還への賛否を質問。大塚氏は「戦争なんて言葉は使いたくない」と返答したという。

 日本とロシアは、1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約締結交渉を加速するとの安倍晋三首相とプーチン大統領の合意を受け、話し合いを進めているが、ラブロフ外相らが、北方四島は第2次大戦の結果として正式にロシア領になったと受け入れるよう要求して難航している。

 10日、モスクワで行われた日ロ外相会談後の記者会見で、ラブロフ氏が、交渉を進めるには日本が第2次大戦の全ての結果を認める必要があると重ねて強調。河野太郎外相も「双方の立場の隔たりを克服できたわけではない」と述べざるを得なかった。

 そんな中での丸山氏の常軌を逸した言動である。菅義偉官房長官は14日の記者会見で「誠に遺憾だ。外交交渉によって北方領土問題の解決を目指す政府の方針に変わりはない」と述べるとともに「発言が事実だとすれば政府の立場とは全く異なるものであり、日ロ交渉に影響を与えるとは考えていない」と沈静化を図った。

 しかし、ロシア側の返還に反対する勢力や世論の姿勢が厳しくなるのは確実で、交渉はより一層、難しくなるだろう。

 さらに問題なのは戦争による領土奪還が丸山氏の考えなのか否かだ。

 丸山氏は発言を撤回した記者会見で「他の方と話している中で、そういう意見もあり、どうお考えか聞きたかった」と釈明しているが、大塚氏の回答に満足しない丸山氏は「でも取り返せないですよね」「戦争をしないと、どうしようもなくないですか」とも述べている。

 本当は、「他の方」などおらず、丸山氏本人がそう考えているとしか受け取れない。

 今回のような言動は、日本の国会に戦争による領土奪還という考えが存在するとの印象を国際社会に与えかねない。戦後、築いてきた「平和国家」という日本のイメージを揺るがしてはならない。

        

ロシアに戦争?(2019年5月15日配信『宮崎日日新聞』―「くろしお」)

 

 時代錯誤というよりもたぶん幼稚。これが選良の発言か。北方領土へのビザなし交流訪問団に同行していた丸山穂高衆院議員が、国後島の宿舎で元島民の団長に行った発言。

 「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」と質問したり、酒に酔い大声で騒いだりしたという。発言内容の重大性はともかく、質問という形が狡猾(こうかつ)な印象を与える。信念があるなら、政治家として立場を明確にした上で一般人の意見を聞けばいい。

 なのに「賛成か反対か」「これはオッケーか」「戦争しないとどうしようもなくないですか」とまるで詰問。団長が「戦争なんて言葉は使いたくない」とあしらったからよかった。苦難の時代を知る高齢の団長にはとんでもない質問だ。

 仮に団長が同調していたらどうなっていたか。問題は拡大しなかったか。炎上していたら、議員は元島民に責任を転嫁していたかもしれない。そう考えると実に罪深い。国民を扇動して、了解を得た形で戦端を開いた戦前の政治家や軍部の亡霊を見る思いがする。

 北方領土返還をめぐる交渉は、ロシアの感情的な反発を招かないように政府は慎重に進めている。4島一括か、2島決着に転換か、など議論があるが、政府は態度を明確にしていない。もっと議論をオープンにすべきだという意見はある。

 “戦争”発言は国内では幼稚で片付けられても、対外的には重大なメッセージと受け止められる危険がある。交渉の行方を左右するロシア住民の感情も悪化するだろう。撤回しても責任は大変に重い。議員としてとるべき道は限られている。

 

 

北海道議会;決議案第8号

日露両国における友好交流の一層の推進と相互の信頼関係に基づく外交交渉の推進に関する決議

 

北方領土問題については、現在、日露両国の政府間において、平和条約の締結に向け、相互に受け入れ可能な解決策を目指し、外交交渉が進められているところであるが、外交交渉を後押しするためには、北方四島交流や北方墓参、自由訪問といった既存の交流を一層推進するとともに、一日も早い北方領土の返還を望む元島民の方々や関係団体の思いを十分に酌み取り、北方領土返還要求運動を積極的に推進していくことが重要である。

中でも、北方四島交流事業は、この問題の解決に向け、日本人と四島在住ロシア人の相互理解を深めるために行われているものであり、1992年の開始以来、延べ2万3594名が往来し、元島民を初め、北方領土返還要求運動関係者などが交流するなど、双方の信頼関係の醸成に向けた努力を積み重ねてきた。

このような中、今年度第1回北方四島交流訪問に参加した国会議員から、外交交渉以外の手段での北方領土返還実現を示唆する発言がなされたことは、両国の友好・信頼関係に影響を及ぼしかねない極めて憂慮すべき事案であるばかりでなく、これまで信頼関係の醸成に努めてきた元島民や北方領土返還要求関係者はもとより、多くの道民にとっては到底受け入れがたく、強い憤りを禁じ得ないものである。

日露両国の友好交流を一層推進し、相互の信頼関係を深めることを通じて、北方領土問題が平和的に解決されることこそ元島民を初めとする道民全体の切なる願いであり、国においては、こうした道民の思いを念頭に置き、一日も早い北方領土の返還と、平和条約の締結に向けた外交交渉を進めていかなければならないものである。

以上、決議する。

令和1年5月22日

 

 

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