相手のQBを壊してこい 悪質タックル
日大アメフット悪質タックル(反則)の経過
5月6日 |
日大と関学大の定期戦で日大の宮川選手の危険なタックルで関学大の選手が負傷 |
10日 |
関東学生連盟が宮川選手の対外試合出場を禁止、日大の内田監督を厳重注意処分 |
12日 |
関学大の鳥内監督らが抗議文送付を明かす |
14日 |
日大と法大、東大、立大のオープン戦が中止に |
15日 |
日大が関学大に、監督による意図的な反則行為の指示を否定する回答を提出 |
17日 |
関学大が会見し、日大の回答を疑問視し、真相究明と直接の謝罪を求める。 日大とのオープン戦、全6校が中止に |
19日 |
内田監督が関学大側に直接謝罪し辞任を表明。内田監督大阪空港で初めて会見。 |
21日 |
関学の負傷選手の父親の奥野氏が大阪府警池田署に被害届を提出したことを明らかに。 関東学生アメリカンフットボール共同宣言2018発表。 「自浄作用働かせ究明を」アメフト問題で日大教職員組合声明 |
22日 |
宮川選手が記者会見し、内田前監督と井上コーチの指示に従って行ったと説明 |
23日 |
内田前監督、井上コーチが意図的な反則指示を改めて否定。内田氏は大学の常務理事の職務を一時停止し謹慎すると明らかに。 |
24日 |
日大が関学大に再回答書を提出。 週刊文春、日大アメフト部内田監督「14分の自供テープ」を独占公開。関東高校連盟が「安全なフットボール宣言」発表。 日大教職員組合文理学部支部が声明発表 |
25日 |
日大の大塚学長が初めて会見し、一連の騒動を謝罪 |
26日 |
関学大が再回答書に対する見解を示し、捜査機関による捜査を要望。定期戦を当面、取りやめると発表。 負傷選手の父親は被害届を取り下げないとした上で、宮川選手への嘆願書を募ることを明らかにする |
29日 |
関東学生連盟が臨時理事会で日大・内田前監督と井上前コーチを永久追放に相当する「除名」処分。森ヘッドコーチは「資格剥奪」、宮川選手は条件付きで2018年度シーズン終了まで公式試合の出場資格停止処分とした。 「仲間救えず『私たちの責任はとても重い』『指示に盲目的に従って…』とする声明文を日大アメフト部が発表 |
30日 |
「真実語ってくれた日大部員に感謝」 アメフット負傷選手父がコメント アメフット監督会、日大の期限付き処分に疑義「体制改善なければ試合できない」 |
31日 |
関学選手側、内田日大前監督・井上前コーチを告訴 日大教職員組合、「内田前監督の常務理事解任を」要求 |
6月1日 |
日大理事会、内田正人氏の常務理事辞任を決定(5月30日付) 日大宮川選手側と関学奥野選手側の示談成立(5月31日付) 日大、弁護士7人で第三者委設置(5月31日付) 日大・田中理事長が理事会で謝罪。常務理事辞任の内田前監督は自宅待機 |
11日 |
日大が内田前監督の保健体育事務局長と人事部長の職を解任 |
19日 |
日大が監督、コーチを公募すると発表 |
26日 |
関東学連が社員総会で、内田前監督と井上前コーチの除名処分を正式決定 |
29日 |
日大が設置した第三者委が中間報告。内田前監督らの「指示」を認定。日大職員らが事実をもみ消すために部員に圧力をかけたことも明らかに |
7月16日 |
日大アメフト部新監督、元立命館大コーチの橋詰氏 |
17日 |
日大がチーム改善報告書を関東学連に提出。新監督に橋詰氏が内定したことも報告 |
27日 |
日大がチーム改善報告書を公表。問題の原因は内田前監督の圧迫的な指導体制と認定 |
30日 |
日大が設置した第三者委が最終報告。大学のガバナンス(組織統治)の機能不全が内田前監督の独裁体制を招いたと結論づけた |
日大選手 “反則は監督、コーチの指示”主張 内田前監督に真っ向反論
「QBをつぶせ」は「思い切って当たれ。試合前によく使う言葉」日大広報部がコメント
悪質タックル問題を米紙も報道「日本中に広がるフットボールの衝撃」
日大の内田前監督、大学職務停止 反則指示改めて否定、コーチ辞意
日大選手に寛大な処分求め嘆願書集める 関学大負傷選手の父親➡嘆願書
日大アメフト部が声明文 仲間救えず「私たちの責任はとても重い」「指示に盲目的に従って…」
アメフット日大・当該選手がコメント発表、関東学連の処分「重く受け止めております」
「真実語ってくれた日大部員に感謝」 アメフット負傷選手父がコメント
アメフット監督会、日大の期限付き処分に疑義「体制改善なければ試合できない」
日大・田中理事長が理事会で謝罪 常務理事辞任の内田前監督は自宅待機
内田正人監督(日大常務理事・人事部長)➡『(反則を)やるなら(試合に)出してやる』『試合に出場したかったら、1プレー目で相手のQBを壊してこい』(試合前)➡あれぐらいやっていかないと勝てない。やらせている私の責任」(試合後)➡事実なら言語道断➡試合メンバーの決定に影響力を持つ監督は選手にとって絶対的存在。
内田監督➡5月19日まで一切姿見せず
◆内田正人(うちだ・まさと)=1955(昭30)年8月9日、埼玉生まれ。日大豊山から日大に進み、アメリカンフットボールを始める。OLのセンターで4年時の77年に甲子園ボウル出場も、関学大に5連覇を許して日本一にはなれず。78年に卒業と同時にコーチ就任、79年に日大職員となる。篠竹前監督が退職して03年に監督となり、07年に17年ぶりで甲子園ボウルに進出。16年に退任したが1年で復帰し、5度目の甲子園ボウルで関学大を破り、日大として27年ぶり、監督としては初の大学日本一となった。
◆日大アメリカンフットボール部=1940年(昭15)に日本では6番目に創部した。55年に篠竹前監督が4年時に関東初優勝し、甲子園ボウルで関学大と引き分けて初優勝した。翌56年に単独優勝、59年に篠竹監督が就任して5連覇。アンバランスT、ショットガン隊形やスパルタ練習で常勝軍団となる。90年代から低迷も昨年27年ぶりで甲子園ボウル制覇。関学大の28度に次ぐ21度の優勝を誇る。ライスボウルは4度制した。フェニックスの愛称は50年代に最強を自負した全日大の不死鳥倶楽部に由来。チームカラーは赤。
特徴的なパス攻撃を繰り出す「ショットガン隊形」を導入し、日本大学アメリカンフットボール部を(2003年3月、定年により退職するまでの44年間の監督在任期間)17度も学生チャンピオンに導いた名将と謳われた(故)篠竹幹夫(しのたけ みきお、1932年8月29日〜2006年7月10日)氏(元日大教授)が退任して以来長らく低迷していた日大は、2017年12月の全日本大学選手権決勝(毎日甲子園ボウル)で関学大を破り、27年ぶりに学生王座に返り咲いた。 |
関東学生アメリカンフットボール連盟は2018年5月10日、東京・アミノバイタルフィールドで6日に行われた日本大学フェニックス対関西学院大学ファイターズの定期戦で、悪質な反則を3度犯して退場処分となった日大の当該選手に対し、追加的な処分が決定するまで対外試合への出場を禁止すると発表した。日大の内田監督も厳重注意する暫定的な処分を下した。同連盟は、規律委員会による調査を踏まえて来週にも追加的な処分を決める方針だ。両校は大学日本一を決める毎日甲子園ボウルで最多の29回対戦し、定期戦も今回が51回目だった。
その試合で日大守備選手は、関学大QBがパスを投げ終えた約2秒後に背後からタックルして負傷退場させたほか、不必要なラフプレーを重ね、3度目の反則では相手を殴って5プレー目で退場となった。
試合は、21対14で関西学院大が勝利した。
日大アメフット部は10日、「今回の事態を厳重に受け止め、これまで以上に学生と真摯(しんし)に向き合い指導を徹底する」として謝罪のコメントを出した。
本学選手による試合中の重大な反則行為について 5月6日に行われた本学と関西学院大学の定期戦において,本学選手による反則行為により大きな混乱を招き,関西学院大学の選手・関係者の皆さま,関東学生アメリカンフットボール連盟,また国内外のアメリカンフットボールファンの方々に多大な御迷惑と御心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。 今回の事態を厳粛に受け止め,今後はこのようなことがないよう,これまで以上に学生と真摯に向き合い指導を徹底してまいります。このたびのこと,重ねてお詫び申し上げます。 日本大学アメリカンフットボール部 |
関学大アメフット部の鳥内秀晃監督らが5月12日、兵庫県西宮市内で記者会見し、日大に対して、反則行為についてのチームとしての見解や、正式な謝罪を求める抗議文を送付したことなどを明らかにした。鳥内監督は「これが認められたらスポーツは成り立たない。あってはならないこと」と怒りをあらわにした。
負傷した選手は全治3週間と診断され、右脚にしびれが出ている。
報道陣を前に開かれた記者会見=17日午後、西宮市上ケ原一番町
記者会見する関西学院大アメリカンフットボール部の鳥内秀晃監督(右)と小野宏ディレクター=17日午後➡会見一問一答
関学大の鳥内秀晃監督らは5月17日、兵庫県西宮市の大学施設で記者会見した。反則行為への見解と謝罪を求める抗議文(10日付)に対する日大の回答(15日付)に対するもので、「疑問、疑念を解消できておらず、誠意のある回答とは判断しかねる」との見解を表明し、日大側の再回答を踏まえて対応を検討する方針を示した。
日大の回答は「意図的な乱暴行為を行うことなどを選手へ教えることはない。指導方針は『厳しさ』を求めるものだが、選手の受け取り方に乖離(かいり)が起きていた」と指導者の指示を否定。内田正人監督が試合後に「これが僕のやり方」などと発言したことには「反則行為を容認すると受け取られかねないもので、撤回する」とした。日大は事実関係の確認作業などを進め、24日をめどに改めて回答するとしている。
これに対して関学大側は▽部長と監督からの被害選手と保護者への直接謝罪▽反則プレーに至った経緯や指導内容などの具体的回答−−などを改めて要望。再回答に納得しない場合は定期戦を打ち切る意向であることを改めて示した。
関東学生アメリカンフットボール連盟は17日、日大が東京都内で予定していた春季オープン戦2試合が新たに中止になったことを明らかにした。対戦相手の明治大と成蹊大の申し入れによるもので、対戦を見合わせたのは5校になった。
27日に対戦が組まれていた明治大は中止の理由についてアメフット部の公式フェイスブックで「現状に鑑みて、十全な試合運営が期待できないため」と説明した。関東学連によると、6月16日に予定していた成蹊大は「けが人などによるチーム事情」との理由で中止を申し入れたという。
日大が所属する関東大学アメリカンフットボール1部リーグは17日夜、東京都内で日大を除く15校が参加して監督会を開き、日大との試合再開の条件について「真相究明と再発防止策の2点が明確になった時点」と話し合った。
関東学生アメリカンフットボール連盟は18日、日大と桜美林大が6月17日に東京・アミノバイタルフィールドで予定していた春季オープン戦の中止を発表した。日大の選手による悪質なタックルで関学大の選手が負傷した問題を受け、桜美林大が申し入れた。
桜美林大アメフット部は公式ブログで「関東学生連盟の規律委員会による調査が継続しており、同理事会による最終的な処分の決定がなされていないため」と説明した。
日大本部は18日、定例理事会を開いたが、反則行為への対応は議論しなかった。
日大の内田正人監督らが19日に関学大の鳥内秀晃監督、小野宏ディレクターと会い、謝罪と事情説明を行うと関係者が18日、明らかにした。
報道陣に囲まれる日大の内田正人監督(中央)=19日午後、大阪空港
ぶら下がり取材の冒頭、頭を下げる日大アメフト部の内田正人監督=19日午後3時38分、大阪府の大阪国際空港(伊丹空港)
内田正人監督は加藤直人部長(副学長)とともに19日、当該の選手や保護者に謝罪した。関学大の鳥内秀晃監督、小野宏ディレクターも同席し、謝罪を受けた。謝罪は両校の意向で非公開で行われた。内田監督が辞意を伝え、「全て私の責任です」などと謝罪の言葉を繰り返した。反則行為に至った経緯についての詳しい説明はなかった。時間はわずか5分だったという。
内田監督は同日、大阪国際空港で取材に応じ、「一連の問題の責任は全て私にある。監督としての私の責任。真摯に受け止めて監督を辞任いたします。弁解もいたしません」と表明、「若い学生の将来のために私が辞任し、新しい日大をつくっていかないといけない」と、反則タックルの全責任を認めた。また、悪質な反則を犯した選手に対しては「私はあの後、注意しておりません。私の責任です。私の判断の悪さ」と釈明。
直接謝罪が関学大側へ受け入れられたかについては「関学大さんが判断すること。私が受け入れられたかというのはおこがましいこと。全て関学大さんの判断に委ねようと思います」と語った。
反則を犯した選手が退部するのかとの質問には「私のところにそういう話はきていない」とし、詳細は24日が期限となっている関学への回答(書面)で行うとした。
なお、内田監督が関西(かんせい)学院大を「かんさいがくいん」と何度も間違えて発言したことについて、ツイッターでは「謝罪先の名前を不正確に言うのは誠実さに欠ける」といった書き込みが相次いだ。
内田監督は午後7時すぎに羽田空港で取材に応じ、「一連の問題についてはすべて私の責任で、監督を辞任したい」と話し、改めて監督を辞任する考えを示した。また、反則行為をして関東学生連盟から対外試合の出場禁止処分となっている選手については、「非常に落ち込んでいる」としたうえで「関東学生連盟が判断することですが、早く試合や練習に出られる立場にしていただきたい」と述べた。
関西学院大は、19日の謝罪の内容や受け止めについては、日大の調査結果が届いたあとに、その見解や今後の対応と合わせて会見して説明するとしている。
被害選手の父は20日、「日大選手がどうしてあのようなプレーをしたのかの説明がなかったし、指示があったかも(監督が)話されなかったのでログイン前の続き釈然としない。関東学生連盟にしっかり調査して真実を明らかにしてもらいたい」とコメントした。
負傷した関学大選手側が被害届 被害選手の父、涙声で「つらかった」
警察へ被害届を提出したことについて会見する関西学院大学アメリカンフットボール部選手の父親の奥野康俊さん=21日、大阪市中央区
被害選手の父親は21日、警察に被害届を提出したことを明らかにした。被害選手の父親、奥野康俊さん(大阪維新の会の大阪市議)が同日夜、大阪市内で記者会見して経緯を説明した。今後、警視庁が調べるとみられる。
記者会見の冒頭で奥野さんは「息子は元気に練習復帰できる状態になりました。正直つらかったです。1プレー目で退場してビデオを見た時に本当に大丈夫だろうか、という気持ちだった」と涙声で語った。
奥野さんは「加害者がなぜあそこまで追い込まれたのか。その1点をあちらの監督の会見で一言言ってほしかった」と話し、日大側の対応に不満を示した。また被害届を出した理由について「あちらのチームのそれぞれ皆さんが(調査に対して)正直にお答えいただいて、真相究明をしていただきたい」と説明した。
「自浄作用働かせ究明を」アメフト問題で日大教職員組合
日大教職員組合は21日、日大の田中英寿理事長、大塚吉兵衛学長宛てに「(他の)調査活動とは別に大学当局が自浄作用を働かせて公正かつ厳正な調査を実施して、真相を徹底的に究明しなければならない」などとする声明文を発表した。
日大には悪質タックル問題で事後対応の不透明さ、不誠実さに批判が集まっていた。
声明文では、健全なスポーツのあり方を再検討し、すべての競技選手にフェアプレー精神の重要性を再教育することや、問題の真相解明に全面協力し、協力者への圧力を禁じること、日大のあり方(姿勢、体質、構造)を反省し、人事および人心を一新することなどを求めている。
内田監督の指示と主張へ 日大選手22日会見
悪質なタックルで相手の選手を負傷させた日本大の守備選手が22日に東京都内で記者会見を開く。代理人が21日、明らかにした。悪質なタックルは19日に監督辞任を発表した内田正人氏らの指示によるものと主張する。
代理人は「監督・コーチの指示の有無、具体的状況について、できる限り事実を明らかにする」としている。
日大は守備選手の会見について「どういう内容か把握していないのでコメントできない」(広報部)と説明した。また、関学大の選手が被害届を提出したことを受け「心より謝罪とお見舞いを申し上げる。真摯(しんし)に受け止めたい」として、第三者委員会を設置して原因究明に取り組む考えを明らかにした。
日大選手 “反則は監督、コーチの指示”主張 内田前監督に真っ向反論
(2018年5月23日配信『読売新聞』)
会見で謝罪する日大アメフト部の選手=2018年5月22日午後3時3分、東京都千代田区
アメリカンフットボールの悪質反則問題で、関学大QBを負傷させた日大DL宮川泰介選手(20)が22日、都内で会見を開き、事情説明。悪質プレーの背景に、19日付で辞任届が受理された内田正人前監督(62)と井上奨(つとむ)コーチの指示があったことを明らかにした。
会見冒頭、代理人は「顔を出さない謝罪はないと会見を決意した」と説明。「反則行為の指示があったことを明らかにするのが会見の趣旨」だとした。
宮川選手は、コーチを通じ内田正人前監督から「相手のクオーターバックを1プレー目でつぶせば(試合に)出してやる」と指示を受けたと説明。「ここでやらなければ後がない」と思い、悪質なタックルをする意思を伝えたことに対し、内田前監督は「『やらなきゃ意味ないよ』と話した」と語り、試合直前にもコーチからも「できませんでしたじゃすまされない」と言われたとした。また、宮川選手は危険なタックルをした試合後に退部を申し出たが、内田前監督らに引き留められたと述べた。
今回のプレーに至ってしまったことについて、宮川選手は「監督、コーチの指示があったとはいえ僕がやったことは変わらない。とても反省しています。プレーに及ぶ前に自分に正常な判断をするべきだった」と反省の弁。内田前監督との関係について「日本代表に行くなという言われてもなぜですか?と言える関係ではなかった」と話した。
会見場で配布された資料 【5月6日以降の経過】 ▽8日 本人がグラウンドに行き、監督・コーチ、チームメイトと会う。 ▽9日 オフ(自宅) ▽10日 関学大アメフット部から日大アメフット部に対する申し入れ文書。 ▽11日 本人・両親が監督を訪ねる。個人として直接謝罪したい旨の話をしたが、止められる。事実について聞かれず。 ▽12日 本人・コーチが関学大に謝罪に行くが、断られる。 ▽13日 オフ(自宅) ▽14日 本人・父が呼び出される。19時以降、学生連盟の規律委員会からの事案聞き取り。 ▽15日 代理人弁護士に相談(父) ▽16日 代理人弁護士による本人・両親からの聞き取り。大学本部から本人への呼び出しがあり、父にはOBから呼び出しがあったが断る。代理人から大学本部に連絡。翌日午前に父・代理人が本部の事情聴取に応じることにする。 ▽17日 午前中、本部からの聞き取り(本人・父)。部からの事情聴取ではないことを確認。夕方の打ち合わせ時、代理人から関学大アメフット部に個人として謝罪したい旨を申し入れ。夜、翌日、父・本人が謝罪に行くことにする。 ▽18日 本人、両親が被害選手とその両親、関学大アメフット部ディレクターに面会して謝罪。代理人に、大学本部から、21日に本人から聞き取りしたい旨の申し入れ、午前11時に予約。 ▽19日 代理人事務所で本人の陳述書作成。 ▽20日 規律委員会(規律委員会代理人弁護士事務所)のヒアリング(本人、父、代理人西畠) ▽21日 大学本部から事情聴取。部としての聞き取りでないことを確認。大学の対応が遅いこと、部として事情聞き取りの予定がないことから、記者会見を決意、午後に、会見場確保。 ▽22日 本記者会見。 日大宮川選手の陳述書 日本大学のアメリカンフットボールの選手が試合中に関西学院大学の選手に後ろからタックルしてけがを負わせた問題で、反則行為をした日大の選手の陳述書の内容。 「やる気が足りない」「闘志が足りない」という指摘を受けるようになっていた 1:はじめに 平成30年5月6日に調布市のアミノバイタルフィールドで開催された日本大学アメリカンフットボール部(以下アメフト部といいます)と関西学院大学アメリカンフットボール部(以下「関学アメフト部」といいます)との定期戦において、私が関学アメフト部のクオーターバックの選手に対してタックルをして怪我をさせてしまった件(以下「本件」といいます)について、述べさせていただきます。 最初に、本件で怪我をさせてしまった関学アメフト部のクオーターバックの選手及びそのご家族、関学アメフト部及び関西学院大学関係者の皆様並びに日大アメフト部のチームメイトに対し、この度のことでご迷惑お掛けしましたことを深くお詫び申し上げます。 ただ、本件は、私の独断で行ったことではありません。以下に、本件の経緯を詳しく述べることにします。 2:5月3日 今年度の試合は、本件までに、4月22日、同月29日の2回行われています。そのいずれについても、私はスターティングメンバーで出場しました。 5月3日の実戦形式の練習でプレーが悪かったということでコーチから練習を外されました。これまで同じようなことはありませんでしたが、このころは、監督、コーチから「やる気が足りない。闘志が足りない」という指摘を受けるようになっていたので、このプレーをきっかけに外されたのだと思います。 その後全体のハドルの中で監督から、「やる気があるのか無いのかわからないので、そういう奴は試合に出さない。辞めていい」「お前が変わらない限り、練習にも試合にも出さない」と言われました。 3:5月4日 練習前に監督から「日本代表にいっちゃダメだよ」と、当時選抜されていた今年6月に中国で開催される第3回アメリカンフットボール大学世界選手権大会の日本代表を辞退するように言われました。監督に理由を確認することはとてもできず、「わかりました」と答えました。 この日は今年度初めて全体で行うディフェンスインディーの日でした。未経験の1年生がいたので、副キャプテンがタックルをして私が受けるかたちでメニューをやってみせるために私がダミーを持ちました。すると、コーチから「なぜ最初にダミーを持つんだ」と言われてグラウンド10周走らされました。 その日の実戦練習は、練習前にコーチに確認したところ「出さない」と言われて外されました。 「『相手のクォーターバックを1プレー目で潰せば出してやる』と言われた」 4:5月5日 この日も実戦練習は外されました。 練習後、コーチから「監督に、お前をどうしたら試合に出せるか聞いたら、相手のQBを1プレー目で潰せば出してやると言われた。『QBを潰しに行くんで僕を使ってください』と監督に言いに行け」と言われました。続けてコーチから「相手のQBと知り合いなのか」、「関学との定期戦が無くなってもいいだろう」、「相手のQBが怪我をして秋の試合に出られなかったらこっちの得だろう」、「これは本当にやらなくてはいけないぞ」と念を押され、髪型を坊主にしてこいと指示されました。ポジションの先輩●から、コーチに「『アラインはどこでもいいから、1プレー目からQBを潰せ』と言っとけ」と言われた旨を告げられました。 相手を潰すくらいの強い気持ちでやってこいという意味ではなく、本当にやらなくてはいけないのだと追い詰められて悩みました。 5:5月6日(本件当日) (1)いろいろ悩みましたが、これからの大学でのフットボールにおいてここでやらなければ後が無いと思って試合会場に向かいました。 試合のメンバー表に私の名前はありませんでした。その後の試合前のポジション練習時にコーチに確認したところ、「今行ってこい」と言われたので、私は、監督に対して直接「相手のQBを潰しに行くんで使ってください」と伝えました。 監督からは「やらなきゃ意味ないよ」と言われました。 戻った私は、コーチに、監督と話しをしたこと、監督から「やらなきゃ意味ないよ」と言われたことを伝え、さらに、コーチに対して「リード(DLの本来のプレーのこと)をしないでQBに突っ込みますよ」と確認しました。コーチからは「思い切りいってこい」と言われました。このことは、同じポジションの人間は聞いていたと思います。 その後、試合前の整列の時に、コーチが近づいてきて「できませんでしたじゃ、すまされないぞ。わかってるな」と念を押されました。 (2)本件直後は、何も考えられない状態でした。そのため相手のQBが怪我をして代ったことにも気づいていませんでした。普段の試合で、こんなことはあり得ません。 本件で問題になっている1プレー目の反則行為の後、2プレー目が終わり、コーチに呼ばれてサイドラインに戻った時に、コーチから「キャリア(ボールを持っている選手)に行け」と言われましたが、散々「QBを潰せ」と指示をされていたので、コーチの発言の意味が理解できず、再びパスをしてボールを持っていない状態の相手チームのQBにタックルして倒し、2回目の反則をとられました。 3回目の反則は、相手に引っ張られて尻餅をついた後、相手のオフェンスの方に行こうとした際に、正面から向かってきた相手選手を突いた行為に対して取られました。この反則は、普段から「相手が掴んできてもおとなしすぎる」などとコーチらから指摘されていましたし、「やる気がない」として外されていたので、むかってきた相手選手にやられっぱなしにできないと思って、意識的に行った行為でした。 「こいつが成長してくれるんならそれでいい。相手のことを考える必要はない」 退場になりテントに戻った後、ことの重大さに気づき泣いていたところをコーチに見られていました。 (3)試合後、スタメンと4年生が集められたハドルの時に、監督から「こいつのは自分がやらせた。こいつが成長してくれるんならそれでいい。相手のことを考える必要はない」という話がありました。 その後、着替えて全員が集まるハドルでも、監督から「周りに聞かれたら、俺がやらせたんだと言え」という話がありました。 コーチからは、私が退場になった後、●というDLの上級生リーダーが、私に相手QBに怪我させる役割をさせたことを済まなく思って、「自分にもやらせてほしい」と申し出たという話を紹介して、「●は自分にもやらせてくれと言ったぞ。お前にそれが言えるのか」「お前のそういうところが足りないと言っているんだ」と言われ、退場後に泣いていたことについても「優しすぎるところがダメなんだ。相手に悪いと思ったんやろ」と責められました。さらに気持ちを追い詰められました。 6:5月8日 (1)コーチから午後5時ころにグランドに呼び出されました。 私がグランドのクラブハウスで待っていると先輩が来て、私の様子を心配してくれました。先輩に「もうアメフトをやりたくない」と伝えると、先輩も「そうだよな」と応じてくれました。その後、学生のスタッフが来て、監督が待っているコーチ部屋に行くように言われました。 (2)当初、コーチ部屋には監督ひとりでした。 私と監督が話し始めると、遅れて2人のコーチが来て監督との話しを聞いていました。 私が監督に対し、「もうフットボールをやりたくない」と言うと、監督は、「お前の罰はあのとき、罰退になってるから、お前の処罰は終わってるんだからいい」「世間は監督を叩きたいだけで、お前じゃない。気にするな」と言われました。 その後、監督は練習に出て行ったので、2人のコーチと3人で話すようになりました。当然、2人のコーチからは事実関係の確認は無く、「お前が辞める必要はないだろう」「むこうとの試合がなくなろうと別にいいだろう」というような話をして、退部を申し出た私を引き留めようとしてきました。 しかし、私としては、あんなプレーをしてアメフトを続けるということはとても考えられませんでした。 結局、その日は、監督やコーチ、先輩たちと、7時間程度クラブハウス等で話をしました。 「怪我を負わせろ」と指示があったことの公表を求めるが「公表できない」 7:5月9日 森ヘッドコーチから三軒茶屋のキャンパスに呼び出されて、「やめるべきじゃない。フットボールで返していくしかない」「監督が厳しくいったことをそのままお前に伝えたコーチに責任がある」と言われました。 8:その後 (1)5月11日、前日の謝罪文公表を受けて、こちらからコーチに連絡をして、本部にある監督の部屋で、監督とコーチ、私と両親で面会しました。 父から「個人的にでも相手方選手と家族に謝りに行きたい」と申し入れたところ、監督から「今はやめてほしい」と言われました。 父から、「監督・コーチから選手に対して対戦校のQBに怪我を負わせろと指示を出し、選手はそれに従っただけ」である旨の公表を求め、そのメモを先方に渡しましたが、「公表できない」と拒絶されました。 面会のあと、コーチから父に連絡があり、理由の説明もなく「関学アメフト部の監督に謝りに行く」と言われました。父がアポイントを取って欲しい旨を求め、アポイントを取ろうとしたようですが、先方から断られたと連絡がありました。しかし、夜中に再度コーチから父に連絡があり、「謝りに行く、息子さんを行かせて下さい」と言われて、関西学院大学に行くことになりました。 (2)5月12日、謝罪のために私とコーチと関西学院大学を訪れましたが、再度先方から面会を拒絶されたため、関学アメフト部の監督にお会いすることはできませんでした。 (3)5月14日、コーチから父に連絡があり「三軒茶屋のキャンパスに来て欲しい」と呼び出され、父と二人で訪問しました。 (以下黒塗り) その日は、その後、私と父が、関東学生アメリカンフットボール連盟の規律委員会で聞き取り調査を受けました。 (4)5月16日、私は日本大学本部の体育局に、チームの幹部とともに呼ばれましたが、先方がどう出てくるかわからない不安が強く、体調もよくなかったため、私は行きませんでした。 (5)5月18日に、私と父で関学アメフト部クオーターバックの選手及びご両親を訪問し、直接謝罪の意を伝えました。 9:最後に 本件は、たとえ監督やコーチに指示されたとしても、私自身が「やらない」という判断をできずに、指示に従って反則行為をしてしまったことが原因であり、その結果、相手選手に卑劣な行為で怪我を負わせてしまったことについて、退場になった後から今まで、思い悩み、反省してきました。そして、事実を明らかにすることが、償いの第1歩だとして決意して、この陳述書を書きました。 相手選手、そのご家族、関西学院大学アメリカンフットボール部はもちろん、私の行為によって大きなご迷惑をお掛けした関係者の皆様に、改めて深くお詫び申し上げます。 以上 日大悪質タックル選手会見詳報(2018年5月22日配信『産経新聞』) 日大悪質タックル選手会見詳報(1)】 「顔を出さない謝罪はないだろう」…会見の趣旨を弁護士が明かした 《アメリカンフットボールの試合で日本大の選手が悪質なタックルをして関西学院大の選手を負傷させた問題が22日、新たな展開を見せた。社会に大きな波紋を呼んだ反則を繰り返した選手自らが記者会見に臨み「危険なプレーに及んだ理由」を説明する意向を示した。会見前の午後2時半過ぎには、東京・内幸町の日本記者クラブへ約300人の報道陣が集まった》 《事前に会見の主催者側からは記者会見で選手が実名を出し、素顔や声ををそのまま放送することが許可されたと明らかにした》 《選手の表情を逃すまいと、大勢の写真記者が陣取りカメラを構える。午後2時45分、2人の弁護士を伴い、固い表情で黒っぽいスーツにネクタイ姿の選手が会場に現れた。一斉にフラッシュがたかれる。長身にがっちりとした体格。日に焼け、丸刈りで精悍(せいかん)な印象だ》 「私、ご本人(選手)とご両親から依頼を受けております。このような顔を出した形でお話をするということは異例かと思います」 《弁護士の一人がマイクを握り、会見の趣旨や、会見に至るまでの経緯を話し始めた。通常は弁護士を伴っての会見を認めない日本記者クラブだが、選手が二十歳になったばかりの学生であること、社会的な影響などを考慮して弁護士の同席が許されたという》 「20歳を過ぎたばかりの未成年に近い方が、顔を出すことのリスクは私どもも承知をしております。しかし、ご本人、ご両親ともこの会見が事実についてつまびらかにするだけではなく、被害選手とそのご家族、関西学院大学アメリカンフットボールチームに対する謝罪の意味が強いという捉え方をしています」 「『顔を出さない謝罪はないだろう』『顔を出さないで何が謝罪だ』という考えで、あえて撮影を受けることにしました。氏名についても、あえて秘匿することはない。しかし代理人としては、長い将来のある若者です。この先、どのような不測の事態があるともかぎりませんし、被害を被らないとも限りません。できれば格別のご配慮をいただければと思います」 《事前に配布された経過表に沿って、弁護士が説明を始めた》 「5月6日に行われた日大アメフト部と関西学院大アメフト部との第51回試合において、当該選手が行った反則行為によって、関学大のクオーターバックの選手が負傷した件について、当該選手に対して監督、コーチからその反則行為の指示があったことを明らかにし、その具体的対応について説明することが目的の一つです。それが関係者、被害選手に対する謝罪の第一歩と考えて、この会見を開かせていただきました」 《弁護士は、内田正人監督やコーチからの「反則指示」があったと明言。具体的な経緯について説明を始めた》 【日大悪質タックル選手会見詳報(2)】 「大学と部の聞き取りは別だと言われた」 大学側の調査に不信感を示す弁護士 《アメリカンフットボールの試合で、関西学院大の選手に悪質なタックルをして負傷させた日本大の記者会見が始まった。反則をした選手は顔を出して、会見に臨む意向を表明。会見開始直前に配られた要旨には選手の『宮川泰介』と本人の実名が明記されていた》 《代理人の弁護士は会見冒頭、反則行為が内田正人監督らの『指示』だったと明言。問題の経緯を時系列で説明する》 「6日以降、大きな動きがあったのは5月10日でございました。関学大アメフット部から日大アメフット部に申し入れ文書が出されました。これを受け(宮川選手)本人とご両親は(内田)監督を訪ねました。個人として直接謝罪をしたいと伝えたのですが、監督からはそれを断られました。事実関係について、監督からもコーチからも質問は一切、ありませんでした。『なぜ君はあのようなことをしたのか』と、説明を求められることはありませんでした」 「5月12日、本人(宮川選手)とコーチが関学大に謝罪に行きますが、断られました。申し入れ文書に対する回答がない限り、謝罪は受け入れられないということでありました。5月14日、本人と父親がOBから呼び出されて大学の校舎に行きました。話はしたのですが、学生連盟の規律委員会からも事情を聴きたいとの呼び出しがあり、このとき、規律委員会にはかなり詳しく話をしました。事実経過について話をしたのは、この日が最初でございます」 「5月15日になって、(宮川選手の)お父さんが私のところに相談に来ました。この日、関学大の申し入れ書に対する日大の回答が出た。これを受けて、お父さんとしては謝罪をしたいけれども認められない、報道を見る限りは、監督やコーチからの指示があったことは否定されている。あまつさえ、本人が(指示はなかったと)否定しているとの報道さえありました。それをごらんになって、このままでは事実が明らかにならない。本人が勝手に突っ込んでけがをさせたことになってしまう。謝罪そのものが認められないのは納得がいかない。早めに実現させたいとして、私のところに相談にこられたわけです」 《弁護士は、宮川選手側と日本大アメフット部の対応に明確な齟齬が生まれていたと明かした》 「翌日、私は本人(宮川選手)から詳細な事実の聞き取りを行いました。大学本部からの聞き取り要請がありましたが、断りました。内部の聞き取りを断ったのはこのときだけです。その作業は私が行いました。17日、大学総務部からの要請で、本人とお父さんと私で大学に行き、事情聴取に初めて応じました。大学側に事実を説明したのはこの時が最初です。ただ、これは大学と部は別の組織であり、部の聞きとりは別だといわれました。また、謝罪に行きたいと再度申し入れをしました」 「17日の時点で、関学大の会見が行われました。あくまでも監督、コーチからの謝罪を求める意向が伝わってきました。それを聞きまして、何よりも、加害選手が監督、コーチよりも謝罪すべきではないかということになり、18日、あくまで個人として謝罪したい旨を関学大のディレクター(監督)に申し上げました。『明日でも大丈夫』とのご連絡をいただき、翌日、本人とご両親が大阪にうかがって、被害選手とそのご両親に謝罪をしました。その後、1時間ほど関学大チームのディレクターともお会いさせていただきました」 「21日、大学本部から聴取をしたい旨の連絡があり、事情聴取を受けました。規律委員会からも再度聞き取りをしたいとの申し出があり、詳しい説明をしました。このときも、あくまでも部としての聞き取りではないことを確認しました。私の方から、部から聞き取りがないのはおかしいのではないかと申し上げました。聞き取りがないにもかかわらず『指導者と選手の間に乖離(かいり)がある』という表現はおかしいのではないか。24日までに聞き取りも含めて回答するはずが、どうするのかという思いがありました」 《弁護士は不信感を口にし、会見に至った経緯を一気に説明した》 「『潰しに行くので僕を使ってください』と監督に言いに行け」 コーチの指示を詳述する宮川選手 《アメリカンフットボールの試合で関西学院大の選手に悪質なタックルをして負傷させた日本大選手の記者会見は、代理人弁護士の経過説明が終わった。ここで、反則行為に及んだ宮川泰介選手が檀上で椅子から立ち上がった》 「まず最初に、本件によりけがをさせてしまった関西学院大学のアメリカンフットボール部のクオーターバックの選手。および、そのご家族。関西学院大学アメリカンフットボール部と関係者の皆様に対し、大きな被害と、多大なるご迷惑をおかけしたことを深く反省しております。本当に申し訳ありませんでした」 《無数のカメラのフラッシュがたかれる中で、声を震わせながらも、落ち着いた表情で語った宮川選手。十数秒間にわたり、頭を下げ、謝罪の意思を示した。姿勢を戻すと、宮川選手は促されて席に座り今回の問題を説明する『陳述書』に沿って説明を始めた》 「試合の日までに至った経緯について、試合の3日前のことから話させていただきます。今年度の試合は本件までに、4月22日、同月29日の2回行われています。そのいずれについても私はスターティングメンバーで出場しました」 《しかし5月3日、実戦形式の練習でプレーが悪いとされた宮川選手はコーチから練習を外される。過去に同じようなことはなかったが、内田正人監督やコーチ陣から厳しい指摘を受けるようになった》 「このころは『やる気が足りない。闘志が足りない』という指摘をうけるようになっていたので、このプレーをきっかけに外されたのだと思います」 《さらに厳しい言葉が投げかけられた》 「その後、(選手らが集まって意思共有する)全体のハドルの中で、監督から『宮川なんかはやる気があるのかないのかわからないので、そういうやつは試合に出さない。辞めていい』。コーチからは『お前が変わらない限り、練習にも試合にも出さない』と言われました」 《さらに翌4日には、内田監督から日本代表の辞退を求められる》 「練習前に監督から『日本代表にいっちゃダメだよ』と当時、選抜されていた今年6月に中国で開催される第3回アメリカンフットボール大学世界選手権大会の日本代表を辞退するように言われました。監督に理由を確認することはとてもできず『分かりました』と答えました」 《宮川選手への厳しい“指導”はさらに続いたという》 「この日は、今年度初めて全体で行うディフェンスインディーの日でした。未経験の1年生がいたので、副キャプテンがタックルをして私が受ける形で、メニューをやってみせるために私がダミーを持ちました。すると、コーチから『なぜ最初にダミーを持つんだ』といわれてグラウンドを10周、走らされました。その日の実戦練習は、練習前にコーチに確認したところ『宮川は出さない』といわれて外されました」 《翌5日も状況は変わらなかったという》 「この日も実戦練習は外されました。練習後、コーチから『監督にお前をどうしたら試合に出せるか聞いたら、相手のクオーターバックを1プレー目で潰せば出してやるといわれた。クオーターバックを潰しに行くので、僕を使ってくださいと監督に言いに行け』と言われました」 「つづけてコーチから『相手のクオーターバックと知り合いなのか』『関学との定期戦がなくなってもいいだろう』『相手のクオーターバックがけがをして、秋の試合に出られなかったらこっちの得だろう』『これは本当にやらなくてはいけないぞ』と念を押され、髪形を坊主にしてこいと指示されました」 「(同じ)ポジションの先輩からコーチに『宮川にアライン(戦術上の隊形やポジション)はどこでもいいから、宮川に1プレー目からクオーターバックを潰せといっとけ』といわれた旨を告げられました。相手を潰すくらいの強い気持ちでやってこいという意味ではなく、本当にやらなくてはいけないのだと追い詰められて悩みました」 試合後に涙も「相手に悪いと思ったんやろ」とさらに責められ… ≪内田正人監督やコーチらから『相手を潰せ』と繰り返されながら、5月6日の関西学院大との試合当時を迎えた日本大の宮川泰介選手。陳述書にもとづき、当時の混乱した心境をさらに明かしていく≫ 「いろいろ悩みましたが大学でのフットボールにおいて、ここでやらなければ後がないと思って、試合会場に向かいました。試合のメンバー表に私の名前はありませんでした。その後、試合前のポジション練習時に井上コーチに確認したところ『今行ってこい』といわれたので、私は(内田)監督に対して直接『相手のクオーターバックを潰しに行くんで使ってください』と伝えました」 「監督からは『やらなきゃ意味ないよ』と言われました。戻った私は、コーチに監督を話をしたこと、監督から『やらなきゃ意味ないよ』といわれたことを伝え、さらにコーチに対して『リード(本来のプレー)をしないで、クオーターバックに突っ込みますよ』と確認しました。コーチからは『思い切り行ってこい』と言われました。このことは、同じポジションの人間は聞いていたと思います。その後、試合前の整列の時に、コーチが近づいてきて『できませんでしたじゃ、すまされないぞ。分かってるな』と念を押されました」 ≪そして、試合本番を迎えた宮川選手。最初のプレーで、ボールを手放し力を抜いた状態の関西学院大のクオーターバックに背後から激しくタックルした≫ 「直後は何も考えられない状態でした。相手のクオーターバックがけがをしてかわったことにも気づいていませんでした。普段の試合で、こんなことはありません。問題になっている1プレー目の反則行為の後、2プレー目が終わり、コーチに呼ばれてサイドラインに戻ったとき、コーチから『キャリア(ボールを持っている選手)に行け』と言われましたが、散々『クオーターバックを潰せ』と指示されていたので意味が理解できず、再びパスをしてボールを持っていない状態の相手チームのクオーターバックにタックルをして倒し、2回目の反則を取られました」 ≪われを失っていたと振り返る宮川選手。さらに、反則行為を繰り返した≫ 「3回目の反則は、相手に引っ張られて尻餅をついた後、相手のオフェンスの方に行こうとした際、正面から向かってきた相手選手を突いた行為に対して取られました。この反則は、普段から『相手がつかんできてもおとなしすぎる』などとコーチらから指摘されていましたし、『やる気がない』として外されていたので、むかってきた相手選手にやられっぱなしにできないと思って、意識的に行った行為でした。退場になりテントに戻った後、ことの重大さに気づき、泣いていたところをコーチに見られていました」 「試合後、スタメンと4年生が集められたとき、監督から『こいつのは自分がやらせた。こいつが成長してくれるんならそれでいい。相手のことを考える必要はない』と話がありました。その後、着替えて全員が集まると、監督から『周りに聞かれたら、俺がやらせたんだといえ』という話がありました。コーチからは、私が退場になった後、上級生リーダーが、私に相手クオーターバックをけがさせる役目をさせたことを済まなく思って『自分にもやらせて欲しい』と申し出たという話を紹介して『お前にそれが言えるのか』『お前のそういうところが足りないといっているんだ』といわれ、退場後に泣いていたことについても『優しすぎるところがダメなんだ。相手に悪いと思ったんやろ』と責められ、さらに気持ちを追い詰められました」 「もうやりたくない」退部申し出に一転、引き留め だが謝罪も経緯公表も禁じられ ≪日本大の内田正人監督やコーチらから『相手を潰せ』などと指示を受け、関西学院大のクオーターバックに危険タックルをしたと説明した宮川泰介選手。間もなく、重大な現実に直面していくことになる。試合2日後のことだ≫ 「コーチから午後5時ごろ、グラウンドに呼び出されました。私がクラブハウスで待っていると、先輩が来て、心配してくれました。先輩に『もうアメフットをやりたくない』と伝えると、先輩も『そうだよな』と応じてくれました。その後、学生スタッフが来て、(内田)監督が待っている部屋に行くように言われました」 「当初、部屋には監督が1人でいました。私と監督が話し始めると、遅れてコーチらが来て、監督との話を聞いていました。私が監督に対し、『もうフットボールをやりたくない』と言うと、監督は『お前の罰はあのとき、罰退になってるから、お前の処罰は終わっているんだからいい』『世間は監督をたたきたいだけで、お前じゃない。気にするな』と言われました」 「その後、監督は練習に出ていったので、コーチらと3人で話すようになりました。2人のコーチからは事実関係の確認はなく、『お前が辞める必要はないだろう』『向こうとの試合がなくなろうと、別にいいだろう』というような話をして、退部を申し出た私を引き留めようとしてきました。私としては、あんなプレーをしてアメフットをつづけるということは、とても考えられませんでした。結局、その日は監督やコーチ、先輩たちと、7時間程度、クラブハウスなどで話をしました」 ≪退部の意向を固めていた宮川選手に対して、部からは引き留めが続いた。5月9日にも、宮川選手は呼び出される≫ 「ヘッドコーチから三軒茶屋のキャンパスに呼び出され『辞めるべきじゃない。フットボールで返していくしかない』『監督が厳しく言ったことをそのままお前に伝えたコーチに責任がある』と言われました」 「その後、5月11日、前日の謝罪文公表を受け、こちらからコーチに連絡をして本部にある監督の部屋で監督とコーチ、私と両親で面会しました。父から『個人的にでも相手方選手と家族に謝りに行きたい』と申し入れたところ、監督から『今はやめてほしい』と言われました」 ≪宮川選手は謝罪を希望したが、拒絶され、事実関係も明らかにすることを否定されたと説明する≫ 「父から『監督・コーチから選手に対して、対戦校のクオーターバックにけがをおわせろと指示を出し、選手はそれに従っただけ』と公表を求め、そのメモを先方に渡しましたが、拒絶されました。面会のあと、コーチから父に連絡があり、理由の説明もなく『関学アメフット部の監督に謝りに行く』と言われました。父がアポイントメントを取ってほしいと求め、アポイントを取ろうとしたようですが、先方から断られたと連絡がありました。しかし、夜中に再度、コーチから父に連絡があり『謝りに行く、息子さんを行かしてください』といわれ、関西学院大学に行くことになりました」 ≪宮川選手とコーチは5月12日、関西学院大を訪れたが、面会を断られる。18日になり、父とともに相手方を訪問した宮川選手は、負傷させたクオーターバックの選手と両親を訪問し直接、謝罪の意を伝えた≫ 「最後に本件はたとえ、監督やコーチに指示されたとしても、私自身が『やらない』という判断ができずに指示に従って反則行為をしてしまったことが原因であり、その結果、相手選手に卑劣な行為でけがを負わせてしまった。そのことについて、退場になった後から今まで、思い悩み、反省してきました。そして、真実を明らかにすることが償いの第一歩だと決意して、この陳述書を書きました」 「相手選手、その家族、関西学院大アメリカンフットボール部はもちろん、私の行為によって大きな迷惑をかけた関係者の皆様に、改めて、深くおわび申し上げます。本当に申し訳ありませんでした」 《約1分間に渡り深々と頭を下げると、カメラのフラッシュ音が鳴り響いた。経過説明が終わると、報道陣からの質問が投げかけられた》 【日大悪質タックル選手会見詳報(6)】 「アメフット続ける権利はない この先も」 うつむく宮川選手 ≪アメリカンフットボールの日本大と関西学院大の定期戦で関学大の選手を悪質なタックルで負傷させた宮川泰介選手の記者会見。宮川選手の説明が終わると報道陣の質問が始まった≫ −−宮川選手にとって、内田監督やコーチの存在はどういうものか。今回の一件で監督らの存在意義は変わったか。今、監督らに伝えたいことはあるか。 「先ほども話した通り、いくら監督、コーチからの指示があったとはいえ、ぼくがやってしまったことは変わらないと思うので、それを反省しています。なので、監督、コーチに対してぼくがどうこういうことではないのかなと思います」 −−宮川選手にとって、部内における監督の存在はどういうものだったか 「『なぜですか』と、意見を言えるような感じではないです」 −−今、監督らに伝えたいことはありますか 「僕の方から伝えることはないです」 −−これまで、素晴らしいプレーを見せてきたあなたが、なぜああいったプレーに及んでしまったのか? 「危険なプレーに及ぶ前に、正常な判断をすべきでした」 −−けがをした選手たちへの謝罪は受け入れられたと思うか? 「聞いていただけたと思っています」 −−あなたの先輩で、こういったことをさせられてきたことはあったのか? 「僕の側では、把握していません」 −−明らかな反則行為。悔悟の念がよぎる行為をなぜ、してしまったのか。なぜ「指示」があなたのスポーツマンシップを上回ってしまったのか。 「監督、コーチからの指示に自分で判断できなかった。自分の弱さだと思っています」 ≪宮川選手は厳しい表情で、うつむき加減に語る中で、「自分の弱さ」という言葉に力を込めた≫ −−強い言葉で「弱さ」とおっしゃいました。監督や、コーチが怖い存在だったのですか? 「はい…」 ≪肩を落とし、宮川選手は悲しげに応えた≫ −−陳述書の内容にもかぶるが、(監督やコーチ側からの)指示は「潰せ」という内容だったのか? 「コーチから伝えられたことは『潰せ』という言葉でした。また、上級生を通じて『どこでもいいから潰してこい』『(今後の)関西との試合のときに、相手のクオーターバックがけがをしていたら得だろう』と…。私は、相手をけがさせる、という意味で認識していました」 −−相手のクオーターバック(QB)がけがをすれば、こちらの得だろうと伝えられたと話された。「潰せ」の意味を「けがをさせろ」ととらえたということだが、指導した(内田監督の)側と受け取った(宮川選手の)側に乖離(かいり)はなかったのか 「自分としては、(反則行為を)やるしかないという状況になっていました」 −−今回の反則行為によってアメフットができなくなりました。一方でもし、これ(指示)を拒否していたらどうなっていたと思うか? 「(反則行為をした)試合前、私は練習に入れてもらえませんでした。どうなっていたかはっきりとは分からないが、ずっと練習に出られない状況にはなりたくありませんでした」 −−ご自身にとって、アメリカンフットボールはどのような存在なのでしょうか。 「私自身、高校のころからアメリカンフットボールを始めたのですが、初めてコンタクトスポーツを始めて、とても楽しいスポーツだと思っていました。でも大学に入って厳しい環境になり、徐々に気持ちが変わっていってしまった部分もあると思います」 −−どう変わっていったのですか? 「好きだったフットボールがあまり好きではなくなってしまった、というのがあります」 −−それはどうしてですか 「厳しい環境に身を置くことになった。それで好きではなくなってしまったのかな、と思います」 −−今後、どのように過ごしていくことが望ましいと考えているか 「もちろん、アメフットを続けていくという権利はないと思っていますし、この先、アメフトをやるつもりもありません。今のところ、何をしていいのかもわからない状態です」 −−内田監督の会見は見ましたか? 「あまり見ていません」 −−ごらんになってどう感じましたか 「それに関しては、私がどうこういうことではないと考えています」 −−(内田監督から)「日本代表に行くな」という発言があったとき、否定はできない空気だったのでしょうか? 「基本的に監督と直接お話する機会はありませんでした。意見を言える関係ではありませんでした」 −−「厳しさ」の中に「理不尽さ」はあったと思いますか? −−「理不尽といえば、理不尽な部分もあったかもしれないが…」 ≪宮川選手はこれまでの日々を思い出すように考え込む。そのうえで、昨季の『甲子園ボウル』で関学大を倒し、27年ぶりに大学日本一の座に就いたことを振り返り続けた≫ 「そのすべてを含め、去年の結果も出たと思う。理不尽なことがありながらも練習していたと思います」 《日大の宮川泰介選手への質疑応答が続く。記者の質問に誠実に答えようとする一方、問題となった5月6日の試合や、コーチや監督とのやりとりに質問が及ぶと、小さくか細い声で答えた。代理人の弁護士が助け舟を出したり、代わりに回答したりする場面も前半に比べ増えてきた》 −−監督、コーチに信頼はありましたか? ≪ここで宮川選手は長い間を置き、一点を見つめながら応えた≫ 「コーチに関しては高2から監督をやっていただいていた。その頃から信頼していたかもしれない」 −−それでは、内田監督についてはどうでしたか 「そもそも、お話する機会がないので、信頼関係といえるものは、分からないです」 −−理不尽な指示があったということだが、どう感じたのか? 「まず、そもそもの指示があったにしろ、やってしまったのは私です。人のせいにするのではなく、やってしまった事実がある以上、私が反省することだと思います」 −−今後、調査でいろいろな点が明らかになり、アメフトをやって良いとなれば、やった方が良いと思う? 「今はそういうことを考えられません」 −−将来的に(日大の)仲間と一緒にやりたい気持ちはありますか? 「今のところはありません」 −−試合当日、コーチから『できませんでしたではすまされないぞ、わかっているな』と声をかけられたというが、これはコーチからの念押しか 「そうだと思います」 −−このコーチはいつもそういうことをいうコーチなのか 「そういう(緊迫した試合の)状況はあまりないのでわからないです」 −−この言葉を他の選手も聞いていたか 「整列をしていたときなので、隣の選手に聞こえていたかもしれないですけれど、はっきり聞こえていたかどうかはわからないです」 −−試合後、口止めの行為は感じたか 「口止めというのはないです」 −−今日の会見は、日大の監督、コーチなど、どこまで知りえているのか 弁護士「昨日の事情聴取の際、極めて近い将来に事実について話す場を設けることは伝えました。その時点ではまだ会場が決まっていませんでしたが、昨夜には決まりましたので、ご存じだと思います。大学側の窓口になっていただいている事務方には、会見を開くことは明確に伝わっています」 −−今後、監督やコーチと会う機会は設けられているのか。予定はあるか 弁護士「昨日大学の総務部で話をしましたが、これまでに監督やコーチから何かを聞きたい、事実について聞きたい、あるいはなぜそういう(反則)行為をしたのか聞きたいという話はただの一度もありません」 −−退部届を出して、それはまだ受理されていない状況か ≪新たな質問には、宮川選手が答える≫ 「退部届はよくわからないですが、退部の意志は固まっている状況です」 −−新監督ふくめ新たなチームやメンバーに何かひと言あるか 「僕のほうから言えることはないです」 《宮川選手は静かに答えると、頭を下げた。カメラのシャッターを切る音が絶え間なく、会場に響く》 −−まだ若く、これから先の人生も長いが、今回の件で一番勉強になったことは何か 「少し考えれば自分のやったことは間違っていると前もって判断できたと思う。もっと意志を強く持つことが…」 −−今振り返って、あの時反則をしない選択肢はあったか 「考えられませんでした。3日前のことと、1週間で追い詰められていたので、やらないという選択肢はなかったです」 −−今思ってもやっていたか 「…」 《質疑応答に移る前に読み上げた陳述書では、問題となった5月6日の試合前、5月3日にはコーチから実戦形式でのプレーが悪かったとの理由で、宮川選手は練習を外されたと明かした。監督らから『やる気が足りない。闘志が足りない』などの指摘も受けていたという。その時の心境を思い出したのか、質問に答えらえず、うつむいた。すかさず、代理人の西畠弁護士が『仮定の質問には答えられない』と回答した》 【日大悪質タックル選手会見詳報(8)完】 「やってしまったこと、真実を話さなければ」 今後のチームには「僕が言うべきでない」 《質疑応答も終盤に近づき、日大の宮川泰介選手は少し疲れた様子も見せる。問題の核心に迫ろうと、報道各社の質問が続いた》 −−追い詰められた状況で、酷な環境、そうした指導について、今後アメフトをやる後輩もいるがどう考えるか 「指導については僕が言える立場ではないので…同じようなことが起きないようにしてほしいです」 −−ここで伝えておかなければいけないメッセージもあると思うが 「自分の意志に反するようなことはすべきでないと思います」 −−指導する側についてはどう思うか 「指導する側については僕がどうこう言える立場ではないです」 −−最初に反則したプレーで審判の笛は聞こえていたか 「審判の吹いた笛の音は耳に入っていました」 −−プレーが終わったことは認識していた 「…」 《大きな身体を丸めるようにして、うつむく宮川選手。小さく「はい」と答えたように見えたが、広い会場に声は届かなかった》 −−危険なプレーが終わった直後の気持ちを振り返ってどうか 「何かを考えられる状況ではなかったです」 −−テントの中で涙をしていたとき、「優しすぎるからだめなんだ」という言葉をどう受け止めたか 「そのときはあまり…」 《長い沈黙のあと、やっと声を絞り出したが、言葉は続かなかった》 −−本人はきちんと説明している中、未だに内田正人監督や日大が真実についてきちんとした説明していないことをどう感じるか 「自分がやってしまったことなので、真実を話さなければいけないなと思っています」 −−内田監督や日大は被害を受けた関学大の選手にきちんと謝罪をしようとする気持ちは感じられるか 「僕の方からいえることではないです」 −−「クオーターバックをつぶせ」という指示は、日大アメフト部では通常あるものなのか、今回、特別具体的に指示があったのか 「特別だった」 −−昨年も甲子園ボウルで活躍しているが、なぜ今回それほどプレッシャーに追い詰められたのか 「やる気が感じられない、闘志が感じられないとコーチからいわれていたので、そうなのかと」 −−やる気がないように見える要因があったのか 「それは自分ではわからないです」 −−内田監督というのは、具体的な指示はコーチを通じて選手にするのか 「その場合が多いです」 −−今回の指示も、そもそもは内田監督の指示だと思うか 「僕はそう認識していました」 −−今回のタックルは暴力と言われて仕方がないと思うか。スポーツの中のプレーだったのか 《弁護士が質疑応答に割って入った》 弁護士「法的な責任の問題に関わりますので、ご容赦願います。客観的な行為から見て、刑事事件、民事事件の可能性が含まれている事件だと私は認識しています。そういう意味では、責任が生じるような形での質問をお控えいただきたいということです」 −−監督が辞任した。チームのためによいことと思うか ≪チームや、監督への思いを問う質問が続く中、宮川選手は相手方への謝罪を繰り返し強調した≫ 「僕は今日ここに来たのは謝罪をするため、真実を話すために来たので、今後のチームのことなどは僕の口からいうべきではないと思います」 −−報道が始まってからこれまでの期間、かばってくれない監督について、裏切られたような気持ちはあるか 「最初から指示があったということは伝えていたので、出してほしい気持ちはありました」 −−昨日、被害者の父親が被害届けを出したことについてどう感じるか 「被害届けを出されても仕方がないのではないか。選手お母さん、お父さんからしたら当然のことと思います」 《予定時間の1時間が経過し、質疑応答の終了が告げられた。弁護士は会見が問題の幕引きを急ぐためのものではなく、真実を明らかにするためのものであることを強調。今後の取材自粛を訴えた。最後に宮川選手の両親の気持ちを代弁するとして「どうか皆さまには、将来に向かって歩もうとしている本人の今後を静かに見守ってくださるよう、お願い申し上げます」と頭を下げた。宮川選手は固い表情のまま会見場を後にした》 |
「QBをつぶせ」は「思い切って当たれ。試合前によく使う言葉」日大広報部がコメント
日本大学広報部は同日、「アメリカンフットボール部・宮川選手の会見について」と題したコメントを報道各社にファクスした。
全文は以下のとおり。
本日、本学アメリカンフットボール部の宮川泰介選手が、関西学院大学フットボール部との定期戦でルール違反のタックルをし、相手選手にけがを負わせた件につきまして、心境を吐露する会見を行いました。厳しい状況にありながら、あえて会見を行われた気持ちを察するに、心痛む思いです。本学といたしまして、大変申し訳なく思います。
会見全体において、監督が違反プレーを指示したという発言はありませんでしたが、コーチから「1プレー目で(相手の)QBをつぶせ」という言葉があったということは事実です。ただ、これは本学フットボール部においてゲーム前によく使う言葉で、「最初のプレーから思い切って当たれ」という意味です。誤解を招いたとすれば、言葉足らずであったと心苦しく思います。
また、宮川選手が会見で話されたとおり、本人と監督は話す機会がほとんどない状況でありました。宮川選手と監督・コーチとのコミュニケーションが不足してたことにつきましては、反省いたしております。(日本大学広報部)
関学大鳥内監督神妙 日大当該選手の競技引退発言に「かわいそう」
関学大の鳥内秀晃監督は兵庫県西宮市内で取材に応じ、会見の冒頭で説明を行う様子を映像で確認したといい、アメフットを辞めるという本人のコメントに「かわいそう」と神妙な面持ち。また「非常に具体的だったので真実を語ってくれたと感じた。勇気を出して真実を語ってくれたことに敬意を表したい。立派な態度だった」と本人の姿勢をたたえると同時に、「このようなことがスポーツの場で起きたこと自体が信じられない。スポーツの範疇はんちゅうを超えているものだと改めて感じた」とした。また、本人が実名で会見をする事態まで発展した現状や会見の内容に対し「いやもう…愕然としますよね」と驚きを隠さなかった。
指示の有無について日大・内田前監督はまだ正式な形で見解を述べてはいない。これについては「向こうの回答を見てからわれわれも会見をしたい」と、24日を期限とする再回答書の内容をふまえた上で語るとした。
負傷選手の父親コメント「激しい憤りを覚える」
負傷した選手(19)の父親の奥野康俊氏(52)のコメントを発表した。
奥野氏は「激しい憤りを覚える。監督やコーチが最初から自分の息子をけがさせようとしていた。刑事告訴も検討せざるをえない状況だ」と述べた。
奥野氏が関学大を通じて出したコメントは次の通り。
激しい憤りを覚える。監督やコーチが最初から自分の息子をけがさせようとしていた。絶対に許されないことだ。このような指示を出すこと自体があってはならないことだし、さらに強制し、追い詰めるやり方は社会のルールを全く逸脱している。こうしたことが学校の中で起きていること自体が信じられない。
被害届を取り下げる準備もあったが、今回の会見を見て刑事告訴も検討せざるを得ない状況だ。24日の日大からの回答を待って家族・本人・関学アメリカンフットボール部とも相談して結論を出したい。
日大選手(宮川君)は自分のしてしまったことを償い、再生していただきたい。勇気をもって真実を話してくれたことに感謝する。
悪質タックル問題を米紙も報道「日本中に広がるフットボールの衝撃」
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は22日、アメリカンフットボールの定期戦で日本大の守備選手が悪質な反則行為で関西学院大のクオーターバックを負傷させた問題を詳細に報じた。日大の選手が謝罪の記者会見を行った様子や談話も盛り込んだ。
「日本中に広がるフットボールの衝撃」と見出しをつけた。野球、サッカー、相撲が人気の日本でアメリカンフットボールが注目されることはほぼないと紹介。ただ、この問題はパワハラや、権力者への従順とチームへの忠誠が高く評価される日本の特殊性が浮かび上がったことで関心を集めたとした。
日大の内田前監督、大学職務停止 反則指示改めて否定、コーチ辞意
会見する日本大アメリカンフットボール部の内田正人前監督(右)と井上奨コーチ=23日午後、東京都千代田区
日大は23日、内田正人前監督と井上奨コーチが東京都内で緊急記者会見を開き、内田前監督は大学の常務理事の職務を一時停止して謹慎する意向を示した。井上コーチは辞任を表明した。関学大の選手を危険なタックルで負傷させた宮川泰介選手への意図的な反則指示を改めて否定。宮川選手や関学大の選手、保護者らには謝罪した。
内田前監督は会見の冒頭、負傷した選手、関西学院大アメリカンフットボール部関係者、宮川選手の3者に向けて「誠に申し訳ありませんでした」と謝罪。「フィールド内で起きたことはすべて私の責任」とした。ただ、反則の指示については明確に否定し、「ルールを守るという原則でやっている」と強調。宮川選手が「(内田前監督から直接)やらなきゃ意味ないよと言われた」と説明していることに対しても、「その言葉は絶対に言っていない」と強く否定。宮川選手が前日の会見で自らの責任を認め、謝罪の気持ちを前面に出したのに対し、内田前監督らは反則指示への否定に終始し、対照的な会見となった。
また、宮川選手は前日の会見で競技をやめると言っていたことについて聞かれた内田前監督は「戻ってきてもらいたいのが率直な思いです。私とやるのが嫌だとしたら私はいませんし。もっとアメリカンフットボール界で活躍できる選手だと思います。それが率直な意見です。もっと成長させたい」と語った。
井上コーチも「彼にはアメリカンフットボールを続けてほしいです」と2人とも宮川選手の現役続行を望んだ。
内田前監督は自らの去就について、日大の第三者委員会の調査結果を待った上で「大学側の判断に任せる」と話した。
以下、冒頭のあいさつと一問一答。 内田前監督 一連の問題で関西学院大学のケガをされた選手、お父さん、お母さんに対しましては、誠に申し訳ありませんでした。そして関西学院大学のアメリカンフットボールの皆さま、関係者の皆さまに対しましても誠に申し訳ございませんでした。そして昨日、会見されました、そのような気持ちにさせてしまった宮川くん、非常に私と致しましても申し訳なく、反省している次第です。宮川くんに誠に申し訳ございませんでした。 井上 このたびは関西学院大学アメリカンフットボール部この件で、そしてその選手の父兄の方々、本当に申し訳ございませんでした。関西学院大学アメリカンフットボールの関係者の皆さま、本当に申し訳ございませんでした。そして、昨日、あのような形で会見するに至ってしまいました宮川選手、家族の方々、本当に申し訳ございませんでした。私の未熟な指導、未熟な人間性から起こった事だと思っています。 −誰の指示で起きたことか 内田 タックルしろというような、信じてもらえないと思うんですが、私からの指示ではございません。ですが、フィールドで起こったことですので、それはスタートからゴールまでの試合は私の責任です。申し訳ございません。 井上 監督から僕に「QBをケガをさせてこい」という指示はございませんでした。私は宮川選手に対して「QBを潰してこい」と言った事実です。 −宮川選手は監督に「QBを潰せ」と言われた言っている。宮川選手はウソをついたのか 井上 違います。私の宮川選手に言ったことは、彼は昨日の会見で言っております。彼に対する思いもあるんですが、QBを潰してこいと言った経緯がありまして、2日前から彼は試合形式の練習に入れていなかった経緯からあるんですが、そこから彼が試合に出ること出すことについて、「そういう気持ちでいきます。QBを潰してこいと」と監督に言って覚悟を決めてほしい。僕は彼に「QBを潰してこい」とそれは言いました。 以下、一問一答 −井上コーチになんと指示したのか 内田 普段の練習で「失敗を恐れないように」と全てのコーチに言ってまして、「まず失敗は誰でもするんだから。失敗を許せ。その上で失敗の次にしっかりやってくれ」とそういう指示していました。ルールを基本に、ルールを守ることを原則として我々はやっています。その中でいろいろな指示はしますが、とにかくルールを守って選手もコーチも練習もしています。そして練習中に強いタックルとかどうしてもある。危ないときはコーチは注意しております。我々はルールを厳守として、コーチは選手に愛情を持って親身になって選手を育てる毎日の練習でございます。 内田 これは言い訳になってしまいますが、その時ボールを見てしまいまして、宮川選手のプレーを見ていない。そしてアッと気づいたときにはあれよあれよで次のプレー次のプレーとなったのが正直なところです。本来全体を見なればならない役目なのですが反省すべきところです。 −試合後なぜ注意をしなかったのか その時、ビデオを見るまでどの程度の反則なのか、というのが分からなくて。最後のラフプレーは分かりました。小競り合いですので。その時は抜け落ちていたのが正直のところです。 −宮川選手が「QBつぶすので出して下さい」と申し出たことに対して「やらなきゃ意味ないよ」と言った 内田 たしかに僕は50ヤード付近にいた。彼が何を言っているのか分かりませんでした。3〜5メートルのところに来て帰って行った。その時の会話はなかったです。 −「やらなきゃ意味ないよ」とはどう意図か 内田 本当に申し訳ないのですが、言ってないと思います。 −試合前のセレモニーで宮川選手に対して井上コーチが「できませんでしたじゃすまないぞ」と言った 井上 セレモニーの時に彼のところに行って、「試合が終わって『何もできませんでした』じゃあかんぞ。やってこい」と彼に言いました。僕としては、彼に思いっきりやってほしかった。思い切りスタートして、タックルして彼への僕からの課題だった。いつもと違うプレーをしてほしいという意味です。 −彼にケガをさせる目的で言ったのか 井上 ケガをさせることを目的としてはやっていません。ただ「QBをつぶしてこい」といったのは確かです。 −ケガをさせろといったわけではないのか 井上 ケガをさせるような目的では言っていません。それくらいの気持ちで行ってこいと僕は言いました。 |
日大選手「おぼえている事実は全てお話しした」
日大の宮川選手は24日、内田前監督と井上奨つとむ前コーチの記者会見について、代理人の弁護士を通じコメントを発表。
22日に開いた自身の会見で「私がおぼえている事実は全てお話ししましたので、これ以上お話しすることはありません」とした。
関学大が日大の2回目回答書を受け取り
アメリカンフットボールの日本大選手による悪質なタックルの問題で、関西学院大は24日、日大から2回目の回答書を兵庫県西宮市で受け取ったと発表した。同日、日大コーチが関学大に持参した。
日大は15日付で問題の詳細などを回答していたが、関学大はタックルが内田正人前監督の指示ではないとする内容に不満と疑念を抱き、再回答を求めていた。関学大は26日、鳥内秀晃監督と小野宏ディレクターが、負傷した選手の父とともに記者会見して対応を説明する。
緊急監督会を退席した後、報道陣の前で謝罪する日大アメフト部の森琢ヘッドコーチ(24日午後7時26分、東京都世田谷区で)
日大アメフト部の森琢たくヘッドコーチは24日の関東学生アメリカンフットボール連盟の1部リーグ監督会で、今回の問題について謝罪したが、アメフト部の父母会や同大の学生らからは批判の声が相次いだ。
監督会は、危険なタックルをした日大の宮川泰介選手(20)や、内田正人前監督(62)らが相次いで記者会見を開いたことを受け、非公開で緊急開催された。監督会を途中退席した森琢ヘッドコーチは記者団に「今回の問題では、監督をはじめとした我々指導者の側に管理監督責任があった」と述べた➡一問一答。
日本大アメリカンフットボール部の選手による悪質タックルを巡る同部の対応に批判が噴出していることを受け、大塚吉兵衛学長が25日、東京都内で記者会見を開き、「関係者に謝っても謝りきれない事態。本当におわびしたい」と話した。
大塚学長は、22日に1人で会見した日大選手に対して「大学として追い込んだ責任を痛感している。学部復帰対策として、勉学はもとより、卒業進路まで力を注ぎたい」と述べた。また、内田正人前監督、井上奨元コーチと日大学生の選手の主張が異なっていることに「コメントは差し控える」と明言を避けた。
この日の会見では23日の記者会見で司会を務めていた日大広報部・米倉久邦氏は姿を現さなかった。
会見する日本大学の大塚吉兵衛学長。会見前に発言した女性が係員に退出を命じられた=東京・千代田区
記者会見をする関学大アメフット部の鳥内秀晃監督(右)と小野宏ディレクター。奥は被害選手の父・奥野康俊さん=兵庫県西宮市で2018年5月26日午後3時31分
アメリカンフットボールの日本大と関西学院大の定期戦(6日、東京)で日大の守備選手が関学大の選手に悪質なタックルをして負傷させた問題で、日大の再回答書に対する関学大の見解は次の通り。 【現時点での弊部見解】 これまでの事実経過および日大DL本人・代理人の会見、内田監督・井上コーチの会見の内容を合わせて勘案すると、再回答書の内容には多くの矛盾が存在し、真実とは到底認識できません。 前回の回答書と同様に、日大(部)はルールの範囲内でプレーすることを原則とし、相手に怪我(けが)を負わせる意図をもってプレーするような指示はしておらず、指導者の指示と学生の受け取り方に乖離(かいり)があったとの主張がなされていますが、特に以下の点に強い疑念・疑問があります(前回も指摘している点を含みます)。 @日大(部)として日大DLへのヒアリングが現在に至るまで行われておらず、1回目の回答書も今回の再回答書も日大DLのヒアリングが行われないまま記されています。申し入れも21日までありませんでした。もし内田監督・井上コーチが自らの指導した内容と日大DLの行為に乖離があったとするのであれば、日大DLに対して部としてすぐに正式にヒアリングをして乖離した理由を確認するのが当然のことと思われますが、それがなされていないのは極めて不可解です。
A日大DLの代理人・西畠正弁護士により、試合翌日以降に内田監督及び井上コーチとの複数回あった面会時にも反則行為の事実確認やそれが生じた理由や背景については一切質問されることはなかったことが確認されています。監督・コーチは、自分が指導した内容と日大DLの行為に乖離があったと認識していたはずなのに、面接した際に日大DLが異例の反則行為に至った理由を問わなかったことは極めて不自然に思われます。 B関学攻撃第1プレーで日大DLが反則行為(試合時は「アンネセサリーラフネス」と判定。試合後に関東学生アメリカンフットボール連盟が資格没収〈退場〉に値する「ひどいパーソナルファウル」に修正)を行い、井上コーチはそれを現認していたにも関わらず、日大DLをベンチに戻すこともしていません。内田監督は「ルールの範囲内でプレーすることを原則としている」と発言しているにもかかわらず、パーソナルファウル(重大な反則)の内容を確認せず、日大DLをベンチに戻すこともしていません。監督・コーチの指示と日大DLの行為に乖離があったというのであればすぐに反応したはずですが、試合の映像を見ても井上コーチに慌てる素振りがまったくないのは極めて不可解です。 C第1プレーについて内田監督は5月23日の記者会見で「見ていなかった」と発言し、再回答書においても「ボールの動きに着目していたため、反則については現認していなかった」と記しています。しかし、これは極めて重要な点でありながら、試合後のコメント、1回目の回答書、5月22日の記者説明、いずれにおいても言及がなく、非常に不可解です。 D第3プレーでも日大DLが重い反則行為(アンネセサリーラフネス)を行い、井上コーチはそれを現認していたにも関わらず、日大DLをベンチに戻して厳しく指導・注意するようなことをしていません。再回答書では、「井上コーチは2回目のファウルでボール保持者に向かってプレーするよう注意指導・指示を出しております」としていますが、映像で見る限りフィールド内の選手を呼び寄せて一言声をかけているだけで、「注意指導・指示をした」というレベルからは程遠いものです。内田監督はこの際も当該選手をベンチに下げて指導・注意する(あるいはコーチに指導・注意するよう指示する)ことはしていません。「乖離」がこれほど明確になっているにもかかわらず反応が乏しいのは極めて不可解です。 E第5プレーでも日大DLが重い反則行為(パーソナルファウル)を行い、短期間に3回の重い反則行為を重ねて資格没収(退場)という処分を受けたにも関わらず、ポジション担当である井上コーチは内田監督にすぐに報告をしていません。映像でも、監督およびコーチはベンチに戻った日大DLに誰も指導・注意をしているように見えず、極めて異例の事態でありながらベンチ全体が一連の行為をあたかも予測していたように振る舞っており、強い違和感を覚えます。 F内田監督・井上コーチが自分の指導した内容と日大DLの行為に乖離があったと考えるのであれば、日大DLが1プレー目に極めて例外的な反則行為を行ったことを内田監督が認識したとされる9日に、負傷した関学QBおよび弊部に対して謝罪の意を伝えようとするのが自然のことと思われます。しかし、日大(部)から弊部に連絡が初めてあったのは11日20時15分でした(井上コーチから)。弊部が最初の申し入れ書を送付したのが10日、到着が11日であり(配達証明あり)、弊部との文書による問答が始まるまで第1プレーの反則行為を映像で確認しながら「非常に危険で悪質な行為」(再回答書)とは認識していなかったという疑念が拭えません。 G井上コーチは「1プレー目でQBを潰してこい」と日大DLに指示したことや、「QBを壊す」ことを試合出場の条件に挙げていたことは認めていますが、「潰せ」という言葉に怪我をさせる意図はなかった、としています。また、日大DLが陳述した「井上コーチが『相手のQBが怪我をして秋の試合に出られなかったらこっちの得だろう』と発言した」という点についても否定しています。「潰せ」「壊せ」は日常的、慣例的にチーム内で使われ続けてきたと再回答書に記されていますが、「相手を潰せ」「関学を潰せ」は「勝て」と同義と理解し得るものの、「QBを潰せ」「QBを壊せ」という表現には結果として負傷させるという明確な目的が示されていると考えるのが自然です。まして「1プレー目で」(つまりは1プレーで)と条件を絞り込んでおり、日大DLが「相手を潰すぐらいの強い気持ちでやってこいという意味ではなく、本当にやらなくてはいけないのだ」とまで思い詰められるに至った理由を考えれば、指導者の指示と日大DLの受け止め方は整合していたと考える方が合理的です。 H日大DLは負傷した本学選手に対する謝罪の際に、弁護士は同席せずに自ら手書きで書いたメモに基づいて自らの口で事実経過を話していました。内容は会見とほぼ同じであり、一貫性も高く、事実関係と整合的で極めて信憑(しんぴょう)性が高いと考えられます。内田監督および井上コーチの会見での発言内容は、これを否定するのに十分な根拠があるとは思えません。 I再回答書では、本件が発生した原因を、日大DLが精神的に追い詰められていたため、井上コーチの言動を日大DLが誤って解釈したことにあると結論付けています。時系列に従って詳細な事実関係を振り返った日大DLの会見内容から見て、指導陣による単なる圧力で善悪の判断を逸脱してしまうような衝動性や短絡性があるとは到底思えません。本人へのヒアリングも行っていないなか、日大DLの精神状態を悪質プレーの原因とする内容は、日大DLの尊厳を著しく損ねるものでもあり、納得できるものではありません。 以上の点から、再回答書の内容および内田監督、井上コーチの会見での発言内容には極めて不自然な点が多く、指導者が真実を語っていると信じるには根拠が不足しており、誠意ある回答として受け取ることはできません。現段階では日大(部)の見解には強い疑念を抱かざるを得ず、これ以上の問答は平行線をたどる可能性が高いと考えます。 【弊部としての今後の方針】 ・以上の見解を踏まえて、日大(部)との試合については選手の安心・安全を担保することができないと判断し、日本大学との定期戦は十分な信頼関係を取り戻すまで中止することとします。 ・学校法人日本大学による第三者委員会、関東学生アメリカンフットボール連盟の規律委員会等による客観的な立場からの真相究明を強く要望いたします。真相究明にあたっては全面的に協力いたします。 ・しかし、上記いずれの団体・組織とも調査機能には限界があり、最終的には捜査機関の捜査によって真相が究明されることを強く希望いたします。捜査には全面的に協力いたします。 ・被害を受けた選手およびそのご家族の支援を継続していきます。 ・日大の当該選手およびそのご家族に対しても可能な限り支援の可能性を模索していきます。 ※本文書における内田監督、井上コーチという表記は試合当時のものです。内田監督は5月19日、井上コーチは5月23日にそれぞれ辞任を表明されています。 以上 2018年5月26日 関西学院大学体育会アメリカンフットボール部 【関学大「再回答書」会見】(2018年5月26日配信『産経新聞』) 会見場では所持品検査も… 「コーチは監督を気にせず真実を語ってほしい」 日本大アメリカンフットボール部の選手による悪質なタックル問題で、選手が負傷した関西学院大が26日、兵庫県西宮市内で記者会見。24日に日大から届けられた再回答書を「真実とは認識できない」と非難した。主なやりとりは以下の通り。 《問題の反則は6日に行われた定期戦で起きた。関学大の抗議に対し、日大は文書で、反則の原因を「指導と選手の受け止め方の乖離(かいり)」と回答。関学大はこの内容に疑念があるとして、詳細な経緯などについて再回答を求めていた。この日の会見はその回答書を踏まえて行われた》 《会見場の受付では、25日に行われた日大の大塚吉兵衛学長の記者会見に部外者がまぎれこんだ影響か、出席する報道陣のカバンを開け、所持品検査が行われた》 《会見には冒頭、鳥内秀晃監督(59)と小野宏(ひろむ)ディレクター(57)が出席。まず、日大アメフット部の加藤直人部長名による再回答書と、関学大の今後の対応をまとめたペーパーが配布された》 小野D「(再回答書の内容は)多くの矛盾が存在し、真実とはとうてい認識できません。これ以上の問答は平行線をたどる可能性が高いと考えます。日大との試合については選手の安心・安全を担保することができないと判断し、定期戦は十分な信頼関係を取り戻すまで中止することとします」 《ペーパーの概要を読み上げる小野D。会見は約130人の報道陣との質疑応答に移る》 −−再回答書について、鳥内監督の率直な感想は 鳥内監督「いまお答えしたように、前の回答とあまり変わりないなというのが印象。だから、第三者機関に調査していただきたいなと思っています」 日大選手、手書きのメモを手に謝罪 「態度を含め非常に信憑性が高い」 《質疑は危険なタックルをした日大選手から直接謝罪を受けた状況に移った》 −−18日に日大選手から謝罪を受けた。その状況は 小野D「日大選手とご両親が来られて、負傷した関学大選手と、そのご両親と会った。私は遅れて参加した。私が入っていった後、日大選手から(タックルに至る経緯を)説明していただいた。手書きのメモに基づいたきちんとしたもので、その内容は非常に信憑性が高いと、彼の態度を含めて感じた」 −−今後は関東学生連盟の規律委員会による処分が焦点になるが、関学大として納得できる処分はどういったものか 小野D「われわれが関わることではない。何か要望を出す立場にない。真相究明を期待しているが、要望はない」 −−今回の問題を踏まえ、大学スポーツのあり方や指導者によるパワーハラスメントについて見解は 鳥内監督「スポーツはもともと自分で考えることで自我が形成される。恐怖のもと、体罰のもとでやって教育が成り立つかといえば、あり得ない。(指導者の)顔色をみる人間になってしまう」 −−内田前監督が23日に行った記者会見への見解は 鳥内「本当に真相を解明する気があるのか。本当に最高責任者として考えているなら、あのような(危険なタックルを指示していないという)回答はできない」 −−日大の対応が遅いことについて 鳥内監督「試合の次の日に問題のプレーをビデオで見たが、うちの選手があのようなプレーをしていれば、すぐに謝罪にいきますよね。あのタックルに対する認識が、われわれと違うんでしょうね。あれはあってはならない。プレーではない」 −−危険なタックルをした選手以外の日大のアメフット部員が声明を出す動きがあるようだが 鳥内監督「正直に声明を発表すればいいのでは」 −−日大との定期戦を取りやめることは部員に伝えたか 小野D「まだ伝えていない。これから伝えると思う」 −−被害を受けた選手の現在の状況は 鳥内監督「今週前半から練習に参加している。明日の関西大アメフット部との試合に準備して、出るかもしれません。準備はします」 −−井上前コーチの「潰せ」いう指示は、けがをさせろという意味にとらえるか 小野D「単純に『潰せ、壊せ』という言葉はチーム内で出てくる可能性がある。だが、その対象が(関学大というチームではなく)クオーターバックに限定されていて、しかも『1プレー目で』と絞られているのは、けがをさせろという意味を含んでいるのでは。(日大選手は)『本当にやらなくては、と追い詰められた』と陳述書に記している。その意味は非常に大きい。『潰せ』と言ったけども、真意と選手の受け止めが乖離しているということは、本当にあり得るのか疑問だ」 −−クオーターバックを負傷させる意図での「潰せ」という発言は、内田前監督が指示したと思うか 鳥内監督「内田前監督が何にも言わないで、井上コーチが『潰せ』と指示するのかなと。何かがあったとは思います」 −−「潰せ」という言葉はチーム内で普通に飛び交うのか 鳥内監督「私が現役の頃にはあったが、今の時代に言うなと(周囲に)指示している。今はない」 日大選手に「アメフット続けてほしい」 支援の意向、「孤立しているのでは」と懸念も −−日大選手の謝罪には納得したか 鳥内監督「やったことは仕方ない。気持ちが入って誠実に話したのかなと思います」 −−他の日大アメフット部の部員についてはどう思う 鳥内監督「(内田前監督の前任の)篠竹幹夫監督(故人)時代から、日大の指導が厳しいのは聞いていた。それを引き継いで、その環境で練習するのがいいのか悪いのか。なぜOBがもっと声を出して、問題提起しなかったのかなとは思います」 −−この問題に忙殺され、チーム作りへの影響はあるか 鳥内監督「(今の時期は)土台作りですけど、学生には説明していて、『明日の関大戦を頑張ろう』と伝えています。ただ、なんであんなこと起こすんや、救える方法はないのか、と毎晩毎晩、考えてしまいます」 −−日大との定期戦が取りやめになることについてどう思うか 小野D「日大のOBも残念に思っていると思う。今はそれしかいえない」 −−加害者である日大選手を支援していくということだが、その意図は 小野D「彼は今、おそらく孤立した状態になっていると思う。いろいろ考えていることはあるが、ここでお答えするのは控えさせていただく。彼が主張していることと、内田前監督、井上前コーチのお話には差がある。そのような中、何か困っていることがあるなら支援しようと、可能性を模索したい」 −−日大選手は22日の記者会見で、もうアメフットをやらないと発言した。どう捉えているか 鳥内監督「私としては、続けてほしい。内田前監督は(23日の記者会見で「戻ってほしい」と述べたが)それやったらなんでそんな指導するんやと」 −−大学アメフットは本来、どんなスポーツか。この20日間でとても危険で卑怯なスポーツだという印象が広まってしまったが 鳥内監督「(問題のタックルの)映像が流れすぎてしまったが、あれはフットボールではなく、暴力行為。アメフットは分業制で、選手それぞれにいろんな役割がある。自分たちで考えることができ、できるから楽しい。想像力が湧き、知恵を絞り、それが楽しい。あとは対応力。フォーメーションを丸覚えでは勝てない。すごく奥が深くておもしろいスポーツですね」 −−定期戦を取りやめる方針は日大にいつ伝えるのか 小野D「これから。記者会見の後にすぐにお伝えする。文書でお送りする」 −−内田前監督と日大選手との間にあった距離感について、鳥内監督はどう指導で注意しているか 鳥内監督「(部員)全員と今年は面談が終わったが、何をやりたいか聞いて、それが分かった上で、グラウンド内外でそれがいいのか確認しようと。(部員は自分のことを)怖いと思っているとは思うが、話ができない関係ではない。(日大のように)監督とコーチが話ができない関係は異常だと思う。私は話します。そうでないと、選手が何を考えているか分からない」 −−日大選手は井上前コーチが「クオーターバックを潰すことで定期戦がなくなってもいい」と発言したと主張しているが 小野D「真っ向から言った、言わないの争いになっているが、私は選手が述べていることは真実だと確信しています」 鳥内監督「コーチに言われず、一学生がそんなことを考えるかなと思う。そのために一人の選手をあんな立場に追いやった。非常にショックだ」 −−関学の他の選手たちはどんな思いでいるか 小野D「できればケアをしたいが追いついていない」 鳥内監督「経過は説明しているが、毎日毎日は話していない。明日の(関西大との)ゲームに集中しようや、とやっている」 −−日大のガバナンス(組織統治)をどう思うか 小野D「日大アメフット部で真相を究明することをお願いしていたが、振り返ると難しいと思う。(問題の核心が)内田前監督の発言の有無というところがある。それを調査するのは(内田前監督が部のトップだったという)構造上、難しいと今は思う」 日大との“遺恨”は? 「やられたからやり返す」はしない −−内田前監督には名門を背負う重圧があったのかもしれないが、関学大アメフット部も常勝を求められている 鳥内監督「勝つことは目指すけども、勝ち負けはどちらもあるのでしゃあない。人間形成を大事にやっている」 −−闘志を引き出す指導方針とはどのようなものか 鳥内監督「(日大選手は)声が小さいとか指導されていたそうだが、性格にはいろいろある。そんなことまで矯正していいのか。僕はそんなことはしません。みんな好きなことには熱中する。(アメフットを)好きになっていって初めて、最大限に力を発揮すると思う」 −−今後の方針として、捜査機関による真相究明を強く希望するとしているが 小野D「(日大の第三者委員会などは)調査権限を強く持っているわけではない。(被害選手側が)被害届を出しておられることを考えると、捜査機関の捜査も必要かと。われわれも全面的に協力していきたい」 −−関学大は日本のフットボール界を牽引してきた。大きな視点で見て再発防止策は 小野D「私自身は、この事案は最初からスポーツの範疇を超えていると考えている。だから、われわれがいくら安全対策を進めても、あのような行為があったら(被害を受けるのは)防ぎようがない。スポーツとは切り離した議論をしていただきたいと思っている」 −−内田前監督は「何年か前の関学の方が汚い」と発言しているようだが 鳥内監督「どのプレーか分からないのでね。調べたんですけど、日大とは6年間で10試合くらいやっている。反則は私どもの方が1試合に1回くらい多いが、(内田前監督がいう)汚いプレーがどれかは分からない。ただ、意図的にけがさせるのはないんでね。そういうプレーはするなと言うことが監督の仕事ですし、絶対にやらせないようには指導している」 −−日大との間に遺恨が残る形にもなったが 鳥内監督「『やられたからやり返すのはやめとこう』と選手には伝えている」 −−日大は、危険なタックルをした選手にいまだにヒアリングしていない。これでは再回答書として成り立っていないのではないか。差し戻さないのか 小野D「これ以降は、また日大アメフット部に回答を求めるのは適切ではないと考えている。日大の第三者委員会での結果が公表されるのを待つのが妥当では」 −−25日に行われた、日大の大塚吉兵衛学長の会見をどう見たか 小野D「(学長は)日大選手と監督、コーチとの間に齟齬があると認識していたようだ。なので真相を究明していただけると考えている」 −−警察に被害届を出しているが、刑事告訴するのか 小野D「負傷した選手本人とご家族の判断に委ねたい」 −−内田前監督らが刑事処分に問われるのを希望するか 小野D「われわれが求めているのは真実の究明。刑事的な処分が下されるかどうかは最終的に捜査機関で判断される。ただ、もし捜査が行われるなら協力したい」 《鳥内監督、小野Dへの質疑応答は2時間近く続いて終了。入れ替わりで、負傷した選手の父親の奥野康俊さん(52)が記者会見に応じた》 |
日大選手に寛大な処分求め嘆願書集める 関学大負傷選手の父親
関学大の会見で嘆願書を手にする奥野康俊さん=26日午後
けがをさせられた関西学院大学の選手の父親、奥野康俊さんは、警察への被害届は取り下げないとする一方で、記者会見を行って謝罪などをした日大の選手の寛大な処分を求める嘆願書を集めることを明らかにした。
その理由について、「警察から、日大の選手を被疑者としなければ被害届を受理できないと言われた。しかし、日大の選手は、記者会見で謝罪し、勇気を持って真実を話してくれた。私や家族が心を痛めているのは、捜査の結果、日大の選手が重い刑事責任を負わされないかという点だ。すでに社会的な制裁を十分に受けていると思うので、さらに刑事責任を負うべきではない」と話した。
また奥野さんは記者会見で、けがの状態について「今も右足にテーピングをしていて、曲げる角度によっては多少、痛いところがあるが、走ることはできるので回復はしている。腰はあの衝撃を受けたので、まだ完治には至っていない」と話した。
被害選手の父「日大選手に寛大な処分求めたい」 嘆願書を募る考え 《関学大アメフット部の鳥内秀晃監督と小野宏ディレクター)に代わって、記者会見場に現れた負傷した選手の父親の奥野康俊さん(52)。怒りを抑えるように、息子の回復状況の説明から始めた》 「さきほど鳥内監督から、(27日の)関西大との試合にスタイル(防具を装着)をして出るかも知れないと初めて聞きました。全治3週間と診断された通り回復に向かっています」 《続いて、警察に被害届を提出した一方、加害者である日大選手に寛大な処分を求める嘆願書を集めることを明らかにした》 「今後、(刑事)告訴に向かうかどうかを息子、家族、関学大サイドと相談して決定したいと思います。あちらの2人(日大アメフット部の内田前監督と井上前コーチ)の23日の会見を見て体の震えが止まらなかったです。憤りから不信感、悲しみに変わっています」 「内田前監督を被疑者として被害届を出したかったのですが、法律上、タックルをした日大選手を被疑者にして届けざるを得なかった。しかし、捜査の結果、彼が重い刑事責任を負わされるのではないかと心を痛めています。彼を追い込んだ内田前監督、井上コーチに厳正な処罰を求めるため、被害届を取り下げるわけにはいかない。そこで、日大選手への寛大な処分を求める嘆願書を集め、検察に提出したいと思います」 《奥野さんは会見後、嘆願書の書式を自身のフェイスブックにアップすると説明した。その後、質疑応答が始まる》 −−刑事告訴は検討中か 「はい。関学大の説明にもあったが、日大の対応によっては検討したい。やはり、以前の会見でもお話しした通り、もやもやとして釈然としないのがすべてだと思います」 −−告訴するかどうかの判断基準は 「日大の選手たちが練習に参加できていないというのがショックで、いい方向に行っていない。大人たちが言えないことをはっきりと言って、収束に向かっていってほしい」
−−そこまでして日大側を追及しないといけないと思ったのはなぜか 「日大アメフット部員の保護者の方々の動きを含め、日大のみなさんが声明を出されるということで、やっぱりつらいですよね。そこには何の罪もない」 −−アメフット界から悪質な反則行為をなくさないといけないということか 「今回はあのタックルが行われた現場が動画で残っていて、ネットで判明したからよかったが、スポーツ界でいろんなことが起きている。やはりこれは日本のスポーツ界でルールの徹底と、倫理観の養成をしないといけないと思っています」 −−日大側の対応はどうか 「何かを隠そうとしているというのがあからさま。25日の大塚吉兵衛学長の会見はよく見ていないが、意味があったのかなという思いがある。真相究明にはつながっていない。私も子供が5人いて大好きなんですが、人格を完成させるのが教育なんですね」 −−嘆願書の目標は 「何枚とかは考えていない。日大の選手がかわいそうだという声もあり、被害届を取り下げてくれという意見もある」 《奥野さんは、反則行為を受けた息子が『危害を加える』という趣旨の脅迫を受けていたとSNSで明かしており、会見でも質問された》 −−脅迫を受けての対応は 「昨日、警察から連絡がきて、娘4人を含めた家族も脅迫の対象だということでした。本当だったら怖いです」 −−被害届を取り下げる条件は 「当初から、日大アメフット部が内田前監督をはじめ指導者を一新することと申し上げていた」 −−18日に日大選手が謝罪に訪れたときの印象は 「息子と家内と、向こうのご両親と本人に会って謝罪を受けた。向こうの母親は泣いていた。うちの家内も泣いていた。すべて聞いた後に『黙っておくからね』と伝えた。ご家族は身の危険に遭うようなこともあったと言っていた。真実を伝えたいという彼の気持ちは伝わってきた。彼がやったことには変わらないけど、最終的には息子と握手するのが収束なのかなと思います」 −−日大選手と家族に掛けたい言葉は 「一緒に頑張りましょうね」 −−内田前監督らの謝罪をどう思ったか 「到底、受け入れられないものだった。日大選手の記者会見の様子とは、天と地の差がありました。言葉では表現しにくいので、これ以上は控えさせていただきます」 −−息子さんのけがの回復具合は 「右足はテーピングをして、角度によって痛い部分があるみたいですが、走ったりはできている。腰はまだ完治まではいっていない。さきほど鳥内監督から『明日の試合に参加できるかもしれない』と聞いてうれしかった。じーんとしました」 《大阪市議を務める奥野さんはこの日までに、次回の市議選で立候補しないことをフェイスブックで表明。その真意を確かめる質問が飛ぶ》 −−次の選挙には立候補しないと表明されましたが 「今回の問題は本当に根深いものがある。自分の残された人生で、この問題に少しでも貢献できたらなと思っています」 −−売名行為では、という意見もあるが。将来的にどのような活動をするのか 「売名という批判はもう収まったと思う。今後は、アメフットに限らず、スポーツが安全な形で行われるように考えるのが活動の中心になるのかなと思っています」 −−息子さんのメンタルの面はどうか 「家族が心配する姿を見て、『アメフットをやるんじゃなかった』と言っていましたが、元気でやっている姿を見たらやっぱり好きなんだなと思います」 −−内田前監督らへの言葉はありますか 「2人についてはここで言葉にしたくありません。この一件が起きて20日経ってから会見を開いていることを、日大の学生さんたちがどう思っているのかなと思う」 −−脅迫への被害届を出す予定は 「ありません」 −−被害届を取り下げて、日大の第三者委員会に調査を委ねるという考えは 「調査よりは、捜査機関に委ねたほうが(日大側が受ける)プレッシャーが大きいと思っています。そういう意味で法に委ねて、いろんな膿を出してもらいたいと思っています」 −−第三者委の答えを待ち、納得できないのであれば刑事告訴するという考えもあるのでは 「告訴については、日大の対応いかんによっては検討せざるを得ないと思う」 −−これまで被害家族と関学大とで意見が合わなかったことはあったか。率直に言ってほしい 「信頼関係は強固で、息子を関学に通わせてよかったなと思っています」 −−息子さんから、あまり表に出てほしくなかったという言葉は 「もちろんありました」 《2時間半に及んだ記者会見は午後5時半ごろに終了。奥野さんは一礼し、カメラのフラッシュを浴びながら退室した》
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日大が再びコメント 関学大に「厳しいご批判甘んじて」
26日の関学大の記者会見に対して日大企画広報部がコメントを発表した。コメントは次の通り。
本学と関西学院大学とのアメリカンフットボール定期戦で、本学選手が違反プレーにより関西学院大学の選手を負傷させた件で、本日、関西学院大学フットボール部が記者会見を行い、本学アメリカンフットボール部からの回答書に対し、強い疑念と不信が表明されました。関西学院大学から示された厳しいご批判は甘んじてお受けいたします。 指摘されました疑念、疑問へのお答え、真相の究明は、既に事実関係の解明のために、大学が第三者委員会の設置を決め、その設立作業を進めております。真相の解明は、今後の委員会の調査と結論に全て委ねることに致したいと考えております。 本件につきまして、捜査機関に傷害事件として被害届が出されております。当然のことではありますが、本学として、捜査には全面的に協力してまいります。 日本大学企画広報部 |
関学負傷選手が実戦復帰 日大選手の競技続行願う➡詳細
関西大戦で実戦復帰したアメリカンフットボール関西学院大の奥野耕世選手(右)=27日、大阪府吹田市の万博フィールド
春の「関関戦」は3000人の観衆がスタンドを埋めた
日本大アメリカンフットボール選手の悪質な反則行為で負傷した関西学院大の2年生クオーターバックの奥野耕世選手が27日、大阪府吹田市の万博フィールドで行われた関西大戦で実戦復帰した。試合後には騒動後初めて報道陣の取材に応じ「あのタックルは本来起こらないプレー」と非難したが、反則を犯した日大選手について「また選手として戻ってグラウンドで正々堂々とプレーし、また勝負できたらいい」と競技を続けることを願った。
日大アメフト部が声明文 仲間救えず「私たちの責任はとても重い」「指示に盲目的に従って…」
日本大アメリカンフットボール部の守備選手による悪質な反則問題で、29日、選手一同が声明文を発表した。「大切な仲間であるチームメイトがとても追い詰められた状態になっていたにもかかわらず、手助けすることができなかった私たちの責任はとても重い」とした。
声明文の冒頭で「ケガを負ったQBの選手とご家族の皆さまにお見舞いを申し上げるとともに、関西学院大学アメリカンフットボール部関係者の皆さま、関東学生アメリカンフットボール連盟その他の関係者の皆さまに、多大なご迷惑とご心労をおかけしてしまったことを、私たち日本大学アメリカンフットボール部選手一同、心よりお詫び申し上げます」と謝罪。
反則をした宮川泰介選手(20)に対して「大切な仲間であるチームメイトがとても追い詰められた状態になっていたにもかかわらず、手助けすることができなかった私たちの責任はとても重いです」と打ち明け「これまで私たちは、監督やコーチに頼りきりになり、その指示に盲目的に従ってきてしまった。それがチームの勝利のために必要なことと深く考えることもなく信じきっていました」と組織、体制の問題点を挙げた。
今後については「私たちは、日本大学アメリカンフットボール部全体が生まれ変わる必要があることを自覚しています。今後、具体的に何をしていかなければならないかについては、これから選手一同とことん話し合って決めていきたいと思います」と誓った。
「そして、いつか、私たち日本大学アメリカンフットボール部が、部の指導体制を含め生まれ変わったと皆さまに認めていただいた時には、私たちが心から愛するアメリカンフットボールを他のチームの仲間たちとともにプレーできる機会を、お許しいただければ有難いと思っています。また、そのときには、もし可能であれば、私たちのチームメートにも再びチームに戻ってきてもらい、一緒にプレーできればと願っています」と切なる願いを記した。
日本大アメリカンフットボール部が29日に出した声明文は以下の通り。 ◇ 声明文 本年5月6日に行われました関西学院大学アメリカンフットボール部と私たち日本大学アメリカンフットボール部の第51回定期戦での私たちのチームメイトの反則行為について、ケガを負ったQBの選手とご家族の皆様にお見舞いを申し上げるとともに、関西学院大学アメリカンフットボール部関係者の皆様、関東学生アメリカンフットボール連盟その他の関係者の皆様に、多大なご迷惑とご心労をおかけしてしまったことを、私たち日本大学アメリカンフットボール部選手一同、心よりお詫び申し上げます。本当に申し訳ありませんでした。また、私たちの行為によりアメリカンフットボールという競技そのものへの信頼が損なわれかねない状況に至ってしまったことについて、アメリカンフットボールを愛する全ての皆様、そして社会の皆様に深くお詫び申し上げます。 今回の件が起こってから、私たちは、どうしてこのようなことになってしまったのか皆で悩みながら何度も話し合ってきましたが、まだ明確な答えが見つけられたわけではなく、これからも話し合いは続けていきたいと思います。また、これから捜査機関による捜査や大学が設置する第三者委員会の調査が行われるようですので、私たちも全面的に協力して、その結果も待ちたいと思います。なお、それらの捜査・調査に際しては、関係者の皆様にも、私たちが信じているチームメイトのように、誠実にありのまま全てをお話しして、その責任をしっかり受け止めて頂きたいと思っています。 ただ、少なくとも、私たちは、私たちの大切な仲間であるチームメイトがとても追い詰められた状態になっていたにもかかわらず、手助けすることができなかった私たちの責任はとても重いと考えています。これまで、私たちは、監督やコーチに頼りきりになり、その指示に盲目的に従ってきてしまいました。それがチームの勝利のために必要なことと深く考えることも無く信じきっていました。また、監督・コーチとの間や選手間のコミュニケーションも十分ではありませんでした。そのような私たちのふがいない姿勢が、今回の事態を招いてしまった一因であろうと深く反省しています。 私たちは、日本大学アメリカンフットボール部全体が生まれ変わる必要があることを自覚しています。今後、具体的に何をしていかなければならないかについては、これから選手一同とことん話し合って決めていきたいと思います。ただし、絶対に必要だと今思っていることは、対戦相手やアメリカンフットボールに関わる全ての人々に対する尊敬の念を忘れないこと、真の意味でのスポーツマンシップを理解して実践すること、グラウンドではもちろんのこと、日常生活の中でも恥ずかしくない責任ある行動を心がけるなど常にフェアプレイ精神を持ち続けることを全員が徹底することです。そのために何をしていく必要があるのか、皆様にご指導頂きながら、選手一人ひとりが自分自身に向き合って考え抜くとともに、チーム全体でよく話し合っていきたいと思います。 そして、いつか、私たち日本大学アメリカンフットボール部が、部の指導体制も含め生まれ変わったと皆様に認めていただいた時には、私たちが心から愛するアメリカンフットボールを他のチームの仲間とともにプレーできる機会を、お許しいただければ有難いと思っています。また、そのときには、もし可能であれば、私たちのチームメイトにも再びチームに戻ってきてもらい、一緒にプレーできればと願っています。 私たち選手一同の今の思いは以上のとおりです。私たちは、今回の件の深い反省のもと、真剣に、謙虚に、一丸となってチーム改革を実行していく所存ですので、どうかご指導のほど、よろしくお願い致します。 平成30年5月29日 日本大学アメリカンフットボール部選手一同 |
日本大アメリカンフットボール部の内田正人前監督らへの処分を発表する記者会見で、冒頭に謝罪する関東学生アメリカンフットボール連盟(関東学生連盟)の(左から)森本啓司専務理事(慶應義塾大学)、柿沢優二理事長(立教大学)、寺田昌弘監事(日本学生協会)=2018年5月29日午後9時30分
(2018年5月30日配信『毎日新聞』)
関東学生連盟は29日、内田正人前監督(62)と井上奨(つとむ)元コーチ(29)を最も重い除名処分としたと発表した。事実上の永久追放処分となる。指示を否定した内田前監督と井上元コーチの主張は虚偽と断じ、内田前監督は反則行為を容認していたと判断した。除名処分は初めてで、加盟チーム代表や理事らによる社員総会を1カ月以内に開催し、承認を得る必要がある。
日大の指導者2人は会見や関学大への回答書で悪質タックルの指示を否定していたが、選手、コーチ、審判らへの聞き取りの結果、規律委の森本啓司委員長(48)は争点となった反則行為の指示があったとする宮川選手の主張を「具体的で迫真性がある」と全面的に採用。井上前コーチの「相手選手がけがして出られなければ日大の得」、内田前監督の「やらなきゃ意味ないよ」といった発言を事実とし、「選手の受け取り方に乖離(かいり)が起きた」とした日大側を否定した。内田前監督と井上元コーチが虚偽発言を繰り返したと判断。また、また、タックルを見なかったと主張していた内田氏がタックルを実際は目撃していたと断定した。そのうえで、日大の体質を「監督の言うことは絶対だった」などとし、最も重い除名処分となった。
森琢ヘッドコーチはタックル指示への直接関与は認めなかったが、指示が出ていた事実を知りながら出場を認めたことが問題視し、2番目に重い資格剥奪(登録抹消)とした。
いずれの処分も効力は96チームが加盟する同連盟内に限られる。
宮川泰介選手(20)とチームに対しては今季の公式試合出場停止処分とした。ただし、宮川選手は、反省文を連盟に提出し、規律委員会との面談で再発の危険の払拭(ふっしょく)が確認でき、理事会で承認されれば処分解除される。日大チームは、原因究明を行い、再発防止策を策定・実施し、チーム改革・組織改革を断行し、理事会に改善報告書を提出。検証委員会で確認され、理事会で承認されれば処分解除される。
理事ら4人で構成する関東学連規律委員会は日大、関学大の関係者や審判ら約20人から聞き取りをした。この日、東京都内で開かれた臨時理事会では、規律委による処分案を賛成16、反対4で承認した。
会見では規律委員会を務めた森本啓司専務理事(48)が調査内容を報告した。「精神的に圧力をかけて選手を追い込んでいく内田前監督の指導で、運悪くイジメのターゲットになることを選手たちは『ハマる』と呼んでいた」と説明。「過去に『ハマった』選手たちは“もうやめようかと思った。地獄だった”と証言した。ただ、選手の中には“成長させてもらったいい経験でした”と前監督に感謝する声もあった」と述べた。
関東学生連盟会見の要旨 関東学生アメリカンフットボール連盟の記者会見要旨は次の通り。 一、関東学連の規律委員会は、日本大や関西学院大の関係者ら約20人からヒアリングを実施し検証。 一、日大の練習は半端でなく厳しく、選手は肉体的にも精神的にも追い込まれていた。 一、日大の内田正人前監督に対して選手やコーチらは何も言えない状況だった。 一、危険なタックルがあった直後にレフェリーが宮川泰介選手を怒鳴りつけ、同選手から謝罪があった。 一、宮川選手に対して内田前監督の「やらなきゃ意味ないよ」との発言があった。 一、日大の井上奨前コーチの「つぶせ」という指示について「けがをさせろ」という意味があった。 一、内田前監督も危険なタックルを目撃していた。 一、反則行為の指示を否定した内田前監督の供述は虚偽である。 一、内田前監督は反則を容認していた。 一、日大の首脳陣が主張している選手との認識の乖離について「乖離などは存在しない」と断定。 一、内田前監督が「結果を出さなければ干すぞ」と選手に圧力をかけ、選手の間では「はまる」と表現されていた。 |
◆関東学生アメリカンフットボール連盟➡関東地区の大学アメフト部を統括する組織で、関東大学リーグを主催している。1部全16チームの上位8校による「TOP8(トップエイト)」優勝チームが、全日本大学選手権の関東代表となる。
スポーツ庁の鈴木大地長官(右)に関東学連臨時理事会の結果を報告する日本協会の国吉誠会長(同2人目)ら
公益社団法人日本アメリカンフットボール協会(日本協会)の国吉誠会長(早稲田大学)と同連盟の柿沢優二理事長らはスポーツ庁を訪れ、鈴木大地長官と面会して処分を報告。東京都内で記者会見し、処分内容や調査結果を説明した。
国吉会長は「鈴木長官の方に、ご報告に上がりました。大変、大きな問題。日本に入って84年の中で記憶に残り、調べた中で初めての事案。まま、あることと誤解いただかないよう…極めて異例なことでありますけど、二度と起こさないと、アメリカンフットボール部界全体の解決として申し上げた」と語った。
なお、日本大への処分を決めた29日の臨時理事会は議論が紛糾してスポーツ庁への訪問、記者会見と自ら告知した時間に遅刻した。執行部の強引かつ稚拙な運営手法に、ある理事は「リーダーシップもなく、世間を騒がせた当事者意識もない」と憤った。
今回の裁定を受け、日大アメフト部の加藤直人部長(日大副学長)は「当該選手の一日も早い復帰並びにチーム活動の再開をお許しいただけるように、部を一新して、誠心誠意努めてまいります」などとコメントを出した。
裁定を受けて日大アメリカンフットボール部はコメントを発表した。以下の通り(原文まま)。 ◇ ◇ ◇ ◎関東学生アメリカンフットボール連盟の裁定を受けて 平成30年5月6日に行われました関西学院大学アメリカンフットボール部との定期戦において発生いたしました弊部選手の反則行為について、改めて、負傷されました関西学院大学アメリカンフットボール部選手へ謝罪させていただくとともに、心よりお見舞い申し上げます。また、関西学院大学アメリカンフットボール部の関係者の皆様、関東学生アメリカンフットボール連盟加盟各校関係者の皆様、ひいてはアメリカンフットボール界全体に大変なご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。 弊部といたしましては、本日受領いたしました、関東学生アメリカンフットボール連盟のご裁定を重く受け止め、真摯に対応させていただきたく存じます。今後、今回の事案の反省のもとに、早急に具体的な改善策を策定、実行し、二度とこのような事案が起こらないよう不退転の覚悟ですすめて参りたいと存じます。 また、弊部当該選手の一日も早い復帰並びにチーム活動の再開をお許しいただけるように、部を一新して、誠心誠意努めてまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。 平成30年5月29日 日本大学保健体育審議会アメリカンフットボール部 部長 加藤直人 |
関西学院大アメリカンフットボール部は「関東学生アメリカンフットボール連盟規律委の真相究明へのご尽力に深く敬意を表します。連盟の決定については、コメントを差し控えさせていただきます」とのコメントを発表した。同連盟からは電話で処分内容の連絡があったという。
関西学院大アメリカンフットボール部が、報道各社に送付した書面全文 本日(5月29日)、関東学生アメリカンフットボール連盟(関東学連)が、本学と日本大学の対戦における反則行為についての処分を決定しました。関東学連からは午後8時50分、本学に電話で処分内容の連絡がありました。まだ報告書そのものは届いておりませんが、会見を踏まえた本学のアメリカンフットボール部の見解(コメント)は次の通りです。 「関東学生アメリカンフットボール連盟規律委員会の真相究明へのご尽力に深く敬意を表します。同連盟の決定については、弊部としてはコメントを差し控えさせていただきます」 関西学院大学アメリカンフットボール部 |
日大アメフト父母会「新しいチーム作りサポートしたい」
アメリカンフットボールの日大の悪質タックル問題で、関東学生連盟が裁定を下したことを受け、日大アメフト部父母会会長が代理人の弁護士を通じてコメントを出した。
本日、関東学生アメリカンフットボール連盟が、日本大学アメリカンフットボール部に対して、2018年度終了までの公式試合の出場資格の停止(但書付き)という処分を決定したと承知しております。同部の父母会としましては、このような処分が科されたことを選手たち共々(ともども)厳粛に受け止め、選手たちが発表した声明文にもございますとおり、今後行われるであろう新しいチーム作り等を側面から全面的にサポートしてまいりたいと考えております。また、選手たちが愛して止(や)まないアメリカンフットボールができる日が早く訪れることを切に願っております。 日本大学アメリカンフットボール部父母会「櫻親会」会長 |
日本大学の大塚吉兵衛(きちべえ)学長が29日、日大の公式サイトで、企業の採用担当者に向けて就職活動中の日大の学生に対して配慮を要望した。内容は次の通り。
日本大学学長から採用ご担当者の皆さまへ(お願い) 採用ご担当者の皆さま 平素は本学学生の採用に関し、格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。 このたびは、本学に関する各種報道においてお騒がせをし、採用ご担当の皆さま並びに関係者の皆さまに多大なるご迷惑、ご心配をおかけしましたことを心より深くお詫(わ)び申し上げます。 今回の件を本学教職員一同、深刻に受け止め、学生の支援に今まで以上に最大限の努力を尽くし、また、一日も早く皆さまからの信頼の回復が図れますよう努める所存でおります。 就職活動中の本学学生はこれまで勉学に励み、真摯(しんし)に学生生活を送ってまいりました。採用ご担当の皆さまにおかれましてはこの点をご理解いただき、本学学生の就職活動へのご支援につきましては従前と変わらぬご高配を賜りますよう伏してお願い申し上げます。 略儀ではございますが、どうか今後とも変わらぬご指導、ご鞭撻(べんたつ)のほどよろしくお願い申し上げます。 平成30年5月29日 日本大学学長 大塚吉兵衛 |
関学選手の父「もう収束させたいのが本音です」
アメリカンフットボールの危険なタックル問題で、負傷した関西学院大の選手の父、奥野康俊さん(52)は30日、自身のフェイスブックを更新し、「関東学生連盟の会見で、一定の区切りがついたと思われます」とコメント。
そのうえで、「息子は、けがも回復し、試合にも復帰できたので、(この問題を)もう、収束させたいのが本音です」とした。
日大アメフット部OBに別組織 選手支援で父母会と活動
日本大アメリカンフットボール部の悪質反則問題で、日大アメフット部OBが、OB会とは別組織の「有志会」をつくって選手を支援するための活動を始めていることが30日、関係者への取材で分かった。部員一同の声明文作成に協力した父母会と一体となって支えていく方針。
従来のOB会は内田正人前監督に近く、今回の問題を受けての対応なども一切なかった。そのため、アメフット部の先行きを憂慮したOB有志が会を結成。27日に開いた最初の会合には約50人が集まった。現在も参加を呼び掛けており、数百人規模になる見込み。具体的な支援策は今後検討していくという。
アメフット日大・当該選手がコメント発表、関東学連の処分「重く受け止めております」
アメリカンフットボールの悪質反則問題で、日大の宮川泰介選手(20)が30日、代理人弁護士を通じてコメントを発表した。関東学連からは29日に、条件付きで18年シーズンの公式試合出場資格停止処分を受けており、「重く受け止めております」と記した。全文は以下の通り。
2018年5月30日 当該選手のコメント 1 内田前監督・井上前コーチの記者会見(5月23日)について 「すでに5月24日に代理人を通じて私のコメントをお伝えしておりますが、記者会見でお話しした以上にお話しすることはありません」 2 関学大アメリカンフットボール部の記者会見(5月26日)について 「関西学院大学アメリカンフットボール部の記者会見の最後に、私及び家族への支援を申し出て下さったことについて、加害側を思いやって下さるお気持ちは、大変ありがたく、御礼申し上げます」 3 当該選手から、被害選手とそのご家族にお伝えしたいこと 「被害選手が試合に復帰されたことを報道で知り、安堵いたしました。今後のご活躍をお祈りしております。また、被害選手のお父様が嘆願書の呼びかけをして下さり、多数の方々のご署名をいただいたとのこと、深く感謝しております」 4 関東学生アメリカンフットボール連盟の処分について 「関東学生アメリカンフットボール連盟からの処分を、重く受け止めております」 5 捜査への対応、及び、第三者委員会によるヒアリングについて 「警察をはじめ捜査機関による聴取には、進んで応じます。また、学校法人日本大学が設置する第三者委員会の聴取にも、進んでご協力いたします」 6 父母会・現役選手の声明について 「私の行った反則行為によって、チームの皆さまに多大なご迷惑をお掛けしたことにつき、改めて深くお詫びいたします」 以上 |
「真実語ってくれた日大部員に感謝」 アメフット負傷選手父がコメント
アメリカンフットボールの定期戦で、日本大選手による悪質な反則行為で関西学院大のクオーターバックの選手が負傷した問題で、被害を受けた関学大選手の父親奥野康俊さんが30日、関東学生連盟が日大の処分を決めたことを受け、自身のフェイスブックに「一定の区切りがついたと思われます。しっかりと真実を語ってくれた日大のアメフト部員に感謝いたします」などと投稿し、騒動の収束を希望した。
アメフット監督会、日大の期限付き処分に疑義「体制改善なければ試合できない」
関東学生アメリカンフットボール1部リーグの臨時監督会が30日、都内で開催された。
大山茂議長は「規律委員会の事実認定はかなり踏み込んだ内容で評価する」としつつ、「(日大チームは)期限付きの対応になっていた。1年間何も(改善が)なくても復帰するのかと。処分期間が明けても体制の改善がなければ試合できない」と主張した。この日は日大を除く15チームの代表者が出席した。
関東学連は規律委員会の調査結果を受け、日大・内田前監督から反則の指示があったと認定。内田前監督、井上奨前コーチに除名処分を科し、当該選手およびチームには条件付きでの18年シーズン終了までの公式試合出場資格停止処分を決めた。再発防止策などの条件をクリアすれば処分解除の可能性もあるが、現時点では19年3月末で処分が明けることになる。
24日の監督会では、日大の指導環境に改善がないかぎり、各大学は今秋のリーグ戦で日大との対戦を拒否することで一致していた。大山議長は「処分が軽い重いというより、期日をつけたことがおかしいと思う。(日大に対して)新しい体制をつくるように言っているが、1年という期日がつくのは疑問符」と話した。
日本大アメリカンフットボール部による悪質タックルで関東学生連盟から資格剥奪(登録抹消)の処分を受けた森琢ヘッドコーチ(HC)を含む3人のコーチが辞任の意向を示した。日大関係者が30日、明らかにした。アメフット部の加藤直人部長は「部を一新する」ことを表明しており、再編を進めている。
辞任の意向を示しているのは青山学院大出身の森HC、ともに立命館大出身の長谷川昌泳コーチと田中芳行コーチ。3人は内田正人前監督が招へいした。
関学大の選手側は31日、日大の内田正人前監督(62)と井上奨(つとむ)前コーチに対する傷害容疑での告訴状を警視庁調布署に提出し、署が受理した。
告訴状はタックルをした選手の減刑を求める嘆願書6348通(4万を超えるネットによる嘆願書は別)とともに提出された。この問題では、関学大の選手側からの被害届を受けて、試合会場の所在地の東京都調布市を管轄する同署が捜査している。被害届は犯罪の被害にあった事実を申告するものだが、告訴は事実の申告に加えて犯人への処罰を求める意思を示す手続きとなる。
告訴状の提出を受け、警視庁は捜査を本格化させるとみられる。28日には捜査員が日大の施設を訪れ、日大関係者から聞き取りをしていた。
「内田前監督の常務理事解任を」 日大教職員組合が要求➡記事
日本大アメリカンフットボール部の悪質な反則問題で、日大教職員組合は31日、内田正人前監督を常務理事など全ての役職から解任するよう求める要求書を公表した。田中英寿理事長宛てで、同日夕、日大本部に提出。趣旨に賛同する教職員の署名も集める。
要求書では、大学側の一連の対応で「保身や組織防衛のためには学生を平気で切り捨てる大学という負の烙印(らくいん)が押された」と批判。内田前監督ら五人の常務理事全員を解任した上で、田中理事長や大塚吉兵衛学長も辞任し「大学上層部の『解体的な出直し』を図るべき」だと強調した。アメフット部の部長やコーチ陣の解任も求めた。運動部の監督や部長を理事と兼任することを禁じ、権力の集中を抑える仕組み作りを提言した。
そのうえで、6月30日までに以下の4項目を実行することを迫った。
1 日本大学の社会的信用・信頼を失墜させ、名誉を著しく毀損した根源である内田正人前監督の常務理事や保健体育審議会事務局長をはじめとする全ての職【日本大学事業部を含む】を直ちに解任すること 2 アメフット部が引き起こした『事件』の重大性・悪質性及び社会的な影響を踏まえ、責任ある立場にある同部の部長・副部長並びコーチ陣を全員解任すること 3 職員採用人事における保健体育審議会出身者の優遇措置に代表される、不公平・不公正で不透明な仕組みを全面的に改めること、運動部監督、部長と、常務理事・理事の兼任の禁止、教職員による無記名直接選挙による学長選出、学長を名実ともに大学の最高責任者とする、など組織のあり方の抜本的見直し 4 内田常務理事だけでなく、企画広報担当常務理事を含む5人の常務理事の全員解任の上、法人組織の最高責任者である田中理事長と教学の最高責任者である大塚学長の辞任による大学上層部の解体的な出直し |
日大タックル問題、当該選手と被害選手の示談成立 被害者父がFBで報告
日大アメリカンフットボール部の悪質タックルの被害にあった関学大アメリカンフットボール部部員の父・奥野氏が1日、フェイスブックを更新し、タックルをした当該選手との示談が成立したと明らかにした。
当該選手との間で「双方の代理人を通じて、示談が成立することになりました。宮川選手の今後の人生を応援したいと思います」と明記している。示談成立日は5月31日。
示談金30万円は、これまでの交通費、記者会見会場費用など、今後かかる大阪東京、往復の実費交通費など相当額。弁護士費用は含んでいない。
また奥野氏は、SNSの拡散から明らかになった今回の問題に対し「SNSから始まり、メディアを含め応援いただいた皆さんのお力、その相乗効果の結果、日本で初の事案になるであろう形(捜査継続中)で、一定区切りがついた事、心から感謝申し上げます」ともつづった。
以後の行く末と応対は、政治家の最後の仕事として、教育基本法に照らし、大学の設置基準、税金から支払われる日大への補助金の投入の是非、理事長含め理事の選任の仕方、評議員の選定と役割等、あるべき姿に向け、提言していきたいと存じます」とした。
日本大学は6月1日、都内で理事会を開き、アメリカンフットボール部前監督の内田正人氏の常務理事辞任を決定したと報道各社にファクスで通知した。「今回学内外に多大な迷惑をかけたこと」が理由だという。内田氏が5月30日に自ら常務理事の辞任を申し出た。人事部長としては6カ月の自宅待機となった。
日大は送付した文書で「大学としまして、改めて被害選手及び保護者並びに関西学院大学アメリカンフットボール部の関係者の皆様、そして本学学生、教職員、校友をはじめ、関係各位にも深くお詫(わ)び申し上げます」と謝罪した。
日大は6月1日、真相究明とガバナンス(組織統治)体制などを検証するため、弁護士7人による第三者委員会を5月31日付で設置したと発表した。委員長は元広島高検検事長の勝丸充啓弁護士で、7月下旬に報告をまとめる予定。
第三者委は、(1)重大な反則行為にかかわる事実関係に基づく真相・原因の究明(2)アメフット部のガバナンス体制の検証(3)再発防止策の協議−−などを行う。
日大は第三者委設置の経緯について、「アメフット部の調査には限界があり、選手の主張と監督及びコーチの主張とは大きく異なっている。アメフット部の対応では、十分な事実関係及び原因の究明をできないと判断した」などと説明している。
第三者委員会の設置について 学校法人日本大学 平成30年5月6日に行われました関西学院大学アメリカンフットボール部と日本大学アメリカンフットボール部との第51回定期戦における日大アメフト部選手による反則行為につきましては、その発生の事実関係を解明すべく、これまで日大アメフト部として調査を行ってまいりました。 しかし、その調査には限界があり、当該選手の主張と監督及びコーチの主張とは大きく異なっていることから、本学としては、日大アメフト部の対応では、十分な事実関係及び原因の究明をすることが出来ないと判断いたしました。 また、本学としての日大アメフト部に対するガバナンス体制についても検証すべきと判断いたしました。 そのため、学校法人日本大学として、以下のとおり第三者委員会を設置いたしますので、お知らせいたします。 第三者委員会の設置に当たりましては、日本弁護士連合会が定める「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に則り、その独立性、中立性を担保し、中立公正な立場から調査を実施していただくために、学校法人日本大学とはこれまでに利害関係の一切ない弁護士に委員長を依頼することといたしました。また、委員の選任につきましては委員長に一任し、学校法人日本大学の意向は一切含まれておりません。 学校法人日本大学といたしましては、今後は、第三者委員会の調査に全面的に協力していくことはもちろんのこと、最終的に第三者委員会から報告される調査結果を真摯に受け止め、それを尊重し、今後の対処に当たる所存でございます。 なお、関西学院大学アメリカンフットボール部選手側からの被害届に基づく捜査にも、全面的に協力してまいります。 1 委員会名 「日本大学アメリカンフットボール部における反則行為に係る第三者委員会」(略称「日大アメフト部第三者委員会」) 2 設置目的 @ 重大な反則行為に係る事実確認に基づく真相究明及び原因究明 A 大学によるアメフト部に対するガバナンス体制の検証 B 再発を防止するための対策 C その他関連する事項 3 委員構成 委 員 長 勝丸 充啓 弁護士(元広島高等検察庁検事長) 委員長代理 辰野 守彦 弁護士 委 員 本田 守弘 弁護士 委 員 山口 幹生 弁護士 委 員 齋藤 健一郎 弁護士 委 員 和田 恵 弁護士 委 員 磯貝 健太郎 弁護士 4 スケジュール 設 置 日 平成30年5月31日(木) 結 果 報 告 平成30年7月下旬(予定) |
日大・田中理事長が理事会で謝罪 常務理事辞任の内田前監督は自宅待機
日大選手の関学大選手への悪質タックル問題に関し、日本大学の大塚吉兵衛学長らが1日、文部科学省及びスポーツ庁と東京都千代田区の同庁で面会を行い、この日、面会に先立って行われた理事会で決まった事項を報告した。30分の予定だった面会は約1時間30分にも及んだ。日大側が面会後に会見。理事会で田中英寿理事長が対応の遅れを謝罪したこと、常務理事を辞任した内田正人前監督(62)を自宅待機にしたことなどを明かした。
日大はこの日、面会に先立って行われた理事会で、内田前監督が大学で務めている常務理事の役職の辞任を承認。問題を調査する第三者委員会を立ち上げたことも報告した。
会見の主なやり取りは以下の通り。
――1時間30分もの間、何を話していたのか?
大塚学長「第三者委員会の設置、内田前監督の常務理事の辞任について、ご報告しました」
――なぜ田中理事長が公の場で報告しないのか?
大塚学長「現在は第三者委員会にお任せしておりますから、その折には理事長から報告することになると思います」
――内田前監督の常務理事辞任について。
総務部長・大里裕行氏「(5月)30日に内田常務から連絡がありまして、辞任したいと連絡がありました。ご迷惑をお掛けしたので、辞任したいとのことでしたので、書類を私が取りに行きました。病院に入院しておりましたので、その病室にうかがって辞表を受け取ってきました」
――解任ではなく辞任。
大里氏「学連の決定では被疑者にはなっておりますが、現段階では辞任の申し出を受けたということです」
――理事会で田中理事長はどのような発言をしたのか?
大里氏「このような問題になり、対応が遅れてしまったことを理事に謝罪しておりました」
――理事長が説明しないことを世間は納得するか?
大塚学長「それは難しいと思います。第三者委員会の最終結論をどのように受け入れるかについては、理事長から発言していただくことになると私は思っております」
――第三者委員会の結論はいつ出るのか?
大塚学長「文書でも発表しておりますが、7月いっぱい」
――スポーツ庁は7月いっぱいで納得している?
大塚学長「それは考えているようでしたが、部員の数も多いですし、ガバナンスの問題もありますので、時間をくださいというふうに申し上げました。」
大里氏「スポーツ庁からはなるべく1カ月程度という話はありましたが、(第三者委員会の委員に)対象範囲、対象人数をお伝えしたところ難しいという判断でした。2カ月はどうしてもかかるとのことでした。立ち上げが遅いことは重々承知しておりますが、大学としてきちんとした形で事実解明、原因究明をしていただきまして、それを真摯に受け止めて検証したいとの考えで、このようなスケジュールとさせていただきました」
――理事会で田中理事長が謝罪したのは誰に向けてか?
大塚学長「いろいろな問題がありましたので、皆さんに対してということだと思います。誰々に対してという具体的な言葉はありませんでした」
悪質タックル問題で揺れる日本大アメリカンフットボール部の立て直しを担う新監督に、元立命館大コーチの橋詰功氏(54)が内定した。辞任した内田正人前監督(62)の後任となる。日大関係者が16日明らかにした。外部有識者7人で構成された選考委員会が、日大OBを対象外とした上で公募した監督希望の候補者から選んだ。17日の常務理事会で承認後、現在の所属先との手続きを経て正式決定する。
橋詰氏は立命館大OBで、1994年に大学コーチに就任。その後、米オクラホマ大にコーチ留学。帰国後はショットガン隊形からのランを軸にした攻撃を導入し、03、04年の日本選手権(ライスボウル)2連覇に貢献した。08年から系列の京都・立命館宇治高を指導。14年から現在までは、滋賀・立命館守山高のコーチを務めている。
(2018年5月18日配信『日刊スポーツ』)
関西学院大学体育会アメリカンフットボール部(2018年5月12日) |
日大から関学大への回答全文(2018年5月12日) 関西学院大学体育会アメリカンフットボール部 部長 池埜聡様 ディレクター 小野宏様 監督 鳥内秀晃様 日本大学保健体育審議会アメリカンフットボール部 部長 加藤直人 監督 内田正人 |
日本大学との第51回定期戦における日本大学選手による反則行為について 5月6日に行われました関西学院大学と日本大学の第51回定期戦において、関西学院大学の選手(以下、関学QB)に対する日本大学の選手(以下、日大DL)による反則行為が発生しました。試合後にビデオ映像で確認したところ、日大DLは関学QBがボールを投げ終わって約2秒後に背後からタックルをしております。ボールには一切反応せず、QBだけを目掛けて突進し、明らかに力を抜いている状態の選手に背後から突き当たっており、さらに足を捻っており、競技プレーとはまったく関係なく当該選手を傷つけることだけを目的とした意図的で極めて危険かつ悪質な行為でした。関学QBはこのプレーで負傷退場し、試合後に医師から全治3週間との診断を受けましたが、現在足に痺れが出ており、改めて精密検査を受ける予定です。生命にかかわる重篤な事故につながる可能性がある行為だったと考えます。 また、日大DLはその2プレー後および4プレー後にそれぞれパーソナルファウルの反則を犯し、3回目の反則で資格没収となりましたが、同日試合後の日本大学監督のメディアに対するコメントは、これらの反則行為を容認するとも受け取れる内容でありました。 日大DLの1回目のパーソナルファウルについては、その後関東学生アメリカンフットボール連盟において「ひどいパーソナルファウル」として認定されたことが5月10日付で発表されましたが、弊部として同日の5月10日付で日本大学アメリカンフットボール部に対して部長および監督宛で厳重に抗議する文書を送りました。申し入れた内容の概要については以下の通りです。 ・日大DLの関学QBへの1回目のパーソナルファウルに対するチームとしての見解を求めると同時に、関学QBおよび保護者へのチームからの正式な謝罪を求める。 ・日本大学監督が試合後にメディアに対して出したコメントの見解と、コメントの撤回および前項の行為が発生したことについての指導者としての正式な謝罪を求める。 日本大学からの回答について、弊部として誠意ある内容であると判断できない場合、次年度以降の定期戦は行いません。 加えて、5月11日付で関東学生連盟に対しても要望書を提出いたしました。関東学生連盟では「ひどいパーソナルファウル」について規律委員会を設けて詳細を調査するとのことであり、その調査の過程で弊部へのヒアリングを行うことを強く要望しております。 2018年5月12日 関西学院大学体育会アメリカンフットボール部 |
第51回定期戦における弊部選手による反則行為に係る貴部からの申し入れに対する回答について 平成30年5月6日に行われました定期戦において発生した弊部選手の反則行為について、負傷された貴部選手にお見舞い申し上げますとともに心より謝罪いたします。そして、一日も早い回復をお祈り申し上げます。また、ご迷惑をおかけしました貴部関係者の皆様に深くお詫(わ)び申し上げます。 平成30年5月10日付で送付いただきました貴部からの申し入れに対し、以下のとおり回答いたします。 1.弊部選手の前半第1攻撃シリーズ1プレー目の反則行為に対するチームとしての見解及び行為を受けた貴部選手並びに保護者へのチームからの正式な謝罪について 弊部としましては、アメリカンフットボール公式規則に掲げるフットボール綱領を尊重しており、意図的な乱暴行為を行うこと等を選手へ教えることは全くございません。 弊部の指導方針は、ルールに基づいた「厳しさ」を求めるものでありますが、今回、指導者による指導と選手の受け取り方に乖離(かいり)が起きていたことが問題の本質と認識しており、指導方法に関し、深く反省しております。 弊部選手による反則行為を受けました貴部選手及び保護者の方に心よりお詫び申し上げます。 2.弊部監督が試合終了後にメディアに対して出したコメントに対する見解と同コメントの撤回及び指導者として当該事案が発生したことについての正式な謝罪について 上記1で御説明いたしましたとおり、弊部は規則に基づいた指導を行っております。同コメントは、もとより規則に違反してもよいと意図するものではなく、選手に「厳しさ」を求めていることから発したものでした。 しかし、真意が伝わらず反則行為を容認する発言と受け取られかねないものであり、本意ではありませんため、ここに、試合終了直後にメディアに対して発した弊部監督のコメントは、撤回させていただきます。 当該事案が発生したことについて、ご迷惑をおかけしました関係者の皆様に指導者として謝罪いたします。 また、一部メディアで報道されております、当日のミーティングにおける弊部監督が選手に対して発した発言も、規則に違反し貴部選手を負傷させる意図は全くなく、選手全員に「厳しさ」を求め、士気を上げるために行ったものでした。 繰り返しになりますが、ご迷惑をおかけしました関係者の皆様にお詫びいたします。 ※「事実」「経緯」等のチームとしての見解について 弊部として把握する事実、当該プレーに至った経緯、それまでの指導内容、試合後の対応等についてですが、速やかな回答が必要なことは十分に認識しておりますが、弊部において現在、確認作業及び再発防止策の策定を行っております。恐縮ですがお時間をいただき、平成30年5月24日(木)を目処(めど)に回答させていただければと存じます。何とぞ今しばらく猶予をいただきますようお願い申し上げます。 重ねてではございますが、このたびの反則行為により負傷された貴部選手並びに保護者の方に対し、心より謝罪いたします。また、ご迷惑をおかけしました貴部関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。 今後、二度とこのような行為が行われないよう、ルール及びスポーツマンシップ教育・指導の徹底を図ってまいりますことをお誓い申し上げます。 以上 |
関西学院大学体育会アメリカンフットボール部;日本大学からの回答および今後の対応について(2018年5月17日) 日本大学アメリカンフットボール部(以下、「日本大学」といいます。)からの5月15日付回答書(以下、「本件回答書」といいます。)に対する弊部としての現時点での見解は、以下のとおりです。 なお、本件回答書については、以下にPDFファイルで掲載いたしますので、あわせてご確認ください。 ・まず、現在に至るまで日本大学の責任ある立場の方より、本件で被害に遭った選手およびその保護者に対し、直接の謝罪の申入れがなかったことにつき、遺憾の意を表します。5月24日迄に追加の回答をいただく際には、日本大学の部長および監督から弊部の被害選手・保護者へ直接謝罪していただくことを要望いたします。 ・試合後1週間以上も経過しているにもかかわらず、本件回答書には本件に関する具体的な事実・経緯などチームとしての見解が記されていません。日本大学には、5月24日までに改めて1プレー目の反則行為に関して貴部が把握する事実、当該プレーに至った経緯、それまでの指導内容、試合後の対応等を具体的に回答していただきたく存じます。 弊部が特に疑問を抱いているのは、なぜ昨年の甲子園ボウルや今春の試合ではルールの範囲内でプレーをしていた選手が、突然このような意図的で危険かつ悪質な行為に及んだのかという点です。どのような指示・指導があり、本人がどのように理解・判断してこのような行為に至ったのか、本件回答書が「問題の本質」とする、指導者による指導と選手の受け取り方との間の乖離について真摯な調査に基づいた具体的な説明をいただきたく存じます。 ・日本大学の指導者はルールに基づいた「厳しさ」を求めていたとのことですが、@極めて悪質な1プレー目が反則(アンネセサリーラフネス)とされた時点で、指導者が当該選手の交代を指示し、当該選手を厳しく注意・指導しなかったこと、A2回目の反則行為の時点でも同様に指導者が当該選手の交代を指示し、当該選手を厳しく注意・指導しなかったこと、B3回目の反則行為により当該選手が資格没収となってチームエリアに戻るに至っても、指導者が当該選手を厳しく注意・指導する様子がうかがえないこと、C試合後に内田監督が「あれぐらいやっていかないと勝てない。やらせている私の責任」(日刊スポーツ 5/6配信)とコメントしていること等を勘案すると、ルールを逸脱した行為を監督・コーチが容認していたと疑念を抱かざるを得ません。 ・「監督に『責任はおれが取る』と言われていた」(MBS)「(日本大学)関係者は反則が内田正人監督の指示だったとも明かした」(日刊スポーツ)「『試合に出場したかったら、1プレー目で相手のQBを壊してこい』と指示した」(ハドルマガジン)など多数のメディアで日本大学の指導者が反則行為を指示したと思われる報道が相次いでなされています。仮にこれらの報道が事実とすると、本件回答書にある「規則に違反し貴部選手を負傷させる意図は全くなく,選手全員に『厳しさ』を求め,士気を上げるために行ったもの」という範疇を逸脱していると考えます。この点についても改めて真摯に事実確認を行っていただき、結果について5月24日の回答書において説明をしていただきますようお願いいたします。 以上のとおり、本件回答書によって、弊部の抱える疑問、疑念を解消できておらず、現時点では誠意のある回答とは判断しかねると考えております。 今後につきましては、本件回答書および5月24日までに届く回答書を踏まえ、対応を検討いたします。 なお、近日中に行われる関東学生アメリカンフットボール連盟規律委員会による弊部へのヒアリングにつきましては、当該選手および保護者とともにチームとして全面的に協力する所存です。 |
私たちは、アメリカンフットボールというスポーツを、心から愛しています。 しかし今、そのフットボールが、かつてないほどの危機を迎えています。 テレビでは毎日のように衝撃的な映像が繰り返し流され、フットボールを「危険なスポーツ」どころか「野蛮なスポーツ」と感じられている方が増えてきています。 このような現状で、80年以上の歴史を持つ日本のフットボールが将来も存続し得るのか、私たちは極めて強い危機感を持っています。 大きな身体の選手たちが、ものすごいスピードで身体をぶつけ合うことは、フットボールの魅力のひとつですが、ときには大きなけがに見舞われる選手もいます。 しかし、けがをする可能性があるからこそ、試合を行う上では、対戦相手へのリスペクトや最高のスポーツマンシップ、フェアプレー精神を持つことが大前提となります。 こうした精神は、人間として生来備わっているものに加え、日々の練習によってより高次のものを身に付けていく必要があり、フットボールに関わるすべての者がより高いレベルの精神を備えることができるよう、謙虚に取り組んでいく所存です。 そして、けがをする可能性があるからこそ、私たちは、脳震盪や熱中症などによる重篤な事故が起こらないよう、安全なタックルの仕方や最新知識の習得など、安全対策を何よりも優先するよう心掛けています。 フットボールは、学生スポーツの目的のひとつである「学生の成長」に適したスポーツです。 学生たちがフットボールから学ぶことは多く、さまざまな点で、非常に高い水準にあることが求められます。 規律や自制心、心身ともに自らの限界を超えていくこと、研究熱心であること、仲間と支え合って高みを目指すこと。自らの役割を全うするだけでなく、チームや仲間を優先する自己犠牲の精神も学びます。対戦相手との健全なライバル心や、チームの枠を超えた友情も育まれ、人格そのものが磨かれていきます。 私たち自身、決して机の上だけでは学べないようなことを、フットボールから学んできました。多種多様な局面に遭遇するフットボールは、まさに人生の縮図であり、間違いなく人生を豊かにしてくれるものだと言えます。 公式規則にある「フットボール綱領(The Football Code)」の前文には、以下の通り記されています。 「伝統的に、フットボールは教育活動の重要な一環を担っている。フットボールは激しく、力に満ちた、身体をぶつけ合うスポーツである。それゆえ、プレーヤー、コーチ、その他の試合関係者に対しては、最高のスポーツマンシップと行動が要求される。不正な戦術、スポーツマンらしからぬ行為、故意に相手を傷つけることは絶対に許されない」 フットボールに関わるすべての者は今一度、ここで述べられていることを胸に深く刻み込み、フットボールに向き合うべきだと考えています。 私たちは、フットボールという素晴らしいスポーツ、そして私たちが心から愛するスポーツに対して、今後も真摯な姿勢で取り組んでいくことを、志を同じくする関東学生アメリカンフットボールの仲間とともに、あらためてここに宣言します。 2018年5月21日 早稲田大学監督 高岡 勝 法政大学監督 有澤 玄 中央大学ヘッドコーチ 蓬田 和平 立教大学監督 中村 剛喜 慶應義塾大学監督 久保田 雅一郎 明治大学監督 岩崎 恭之 日本体育大学監督 大山 茂 横浜国立大学ヘッドコーチ 田島 聡嗣 桜美林大学監督 関口 順久 国士舘大学監督 大野 敦司 東京大学監督 三沢 英生 東京大学ヘッドコーチ 森 清之 東海大学監督 中須賀 陽介 駒澤大学監督 新倉 晴彦 東京学芸大学監督 山田 豊 専修大学監督 渡辺 卓史 |
アメリカンフットボールの関東高校連盟が、日本大による悪質な反則行為の問題を受け「安全なフットボール宣言」と題した声明を24日までに発表した。「現場指導者も困惑と憤りを感じつつとても遺憾に思います」と日大の反則を批判した上で「指導者は、生徒の人権を最優先に考え暴力行為を許しません」などと宣言。生徒の健全育成を最優先の目標に掲げた。
安全なフットボール宣言
平素より、関東高等学校アメリカンフットボール連盟にご尽力賜り感謝申し上げます。 さて、5月6日(日)に行われた大学の定期戦での、反則行為に関して、我々現場指導者も困惑と憤りを感じつつとても遺憾に思います。 ルールを遵守しアメリカンフットボールという競技を通して、生徒の健全育成を目標に指導している現場においては、理解に苦しみます。 関東高等学校アメリカンフットボール連盟では、安全対策部を設置し、大会運営に関しては、生徒の安全を最優先に考え、変革と共通理解を図り邁進してまいりました。
1.試合時間の短縮(熱中症予防) 2.全試合(地区予選含)ゲームドクター配置(救急体制の確立) 3.審判部との連携による安全なフットボールの構築(ルールの遵守) 4.指導者体罰根絶講習会(暴力根絶) 5.医師会主催の安全対策セミナー(安全なタックル等)
【宣言】 @指導者(顧問、監督及びコーチ)は、生徒と保護者との信頼関係を構築し、生徒の健全育成に努めます。 A指導者は、生徒の人権を最優先に考え暴力行為を許しません。 B指導者は、競技力の向上とフェアプレーの精神を備えた人材育成を行います。 C大会関係者は、安全に留意した大会運営に尽力いたします。 5月26日(土)から6月24日(日)の期間で関東大会を実施いたします。 今後とも、関東高等学校アメリカンフットボール連盟にご指導ご鞭撻を賜りますようよろしくお願いいたします。 平成30年5月23日 関東高等学校アメリカンフットボール連盟 東京都高体連アメリカンフットボール専門部 神奈川県高体連アメリカンフットボール専門部 埼玉県高等学校アメリカンフットボール連盟 茨城県高等学校アメリカンフットボール連盟 千葉県高等学校アメリカンフットボール連盟 静岡県高等学校アメリカンフットボール連盟 |
日大アメフト部による反則事件に関する声明文 2018年5月21日 学校法人日本大学理事長 田中英壽殿 学校法人日本大学学長 大塚吉兵衛殿 日本大学教職員組合 執行委員会委員長 菊地香 文理学部支部長 初見基 経済学部支部長 木暮雅夫 商学部支部長 竹内真人 船橋支部長 吉田洋明 湘南支部長 清水みゆき 2018年5月6日に行われたアメリカンフットボールの日本大学と関西学院大学の定期戦において、本学アメリカンフットボール部選手が関西学院大学チームのQB(司令塔)に対してきわめて危険な反則プレーを行い負傷退場させる「事件」が起こってしまった。このことをめぐって、連日、新聞・TV・ネットなどで大きく報じられ、その行為のみならず、本学の示した事後対応が不透明・不誠実であるとの批判・非難の声が強まったのは周知の事実である。 本学が教育機関であることを踏まえれば、上述した外部からの批判・非難の有無にかかわらず、本学の選手がなぜあのような悪質極まりない言語道断な暴力的行為におよんでしまったのかに関しては、第三者機関による調査活動とは別に、大学当局が自浄作用を働かせて公正かつ厳正な調査を実施して、真相を徹底的に究明しなければならない。また、被害者や関学アメフト部をはじめとする関係者の方々に納得していただくことができる説明と謝罪、ならびに補償と再発防止に向けた具体的な取り組みが示されなければならないことも当然である。 5月19日(土)の報道によれば、アメフト部の内田正人監督がすべての責任を認めて謝罪し、監督を辞する旨を表明した。だが、その対応は遅きに失し、もっとも肝心な点が一切言及されなかったため、監督の辞任だけでは済まされない状況を自ら作ってしまったと言えよう。さらに、今回の事件に関して、内田監督が本学の人事担当の常務理事という要職に就き、学内で絶大な権力を行使する立場にあることから、一スポーツ部の一監督や一選手のあり方ばかりか、本学の大学としてのあり方、なかんずく外部の関係者に対する「姿勢」(不誠実と呼ばざるを得ない対応)や「体質」(有無を言わせずに従わせる上意下達の体育会的気風)や「社会構造」(学内の意思決定のあり方、権力構造や人的資源の配分構造)にまで関連させて問題視する指摘が各方面から相次いでなされるようにもなってしまった。今回の事件は、こうした本学の抱える看過できない問題性が、図らずも衆目にさらされることとなったのである。 私たちは、スポーツマンシップ以前に人間としての基本姿勢に反する事件が起きたことに対して、高等教育機関であり、知の共同体であるべき本学の教職員一人一人が、この大学を創っているのだということを反省的に捉え返し、今後の歩みに生かしていく必要があるだろう。その上で、理事長、理事会と大学学長に対して、以下の諸事項の履行を強く求めるものである。 (1)付属学校も含めた本学における健全なスポーツのあり方を再検討し、すべての競技選手に対してあらためてフェアプレイ精神の重要性を再教育すると同時に、ラフプレーを行った当該選手が個人的な攻撃に見舞われないよう大学として最大限に配慮すること。 (2)第三者機関の徹底した真相究明に全面的に協力し、協力した者への如何なる圧力も禁じること。 (3)専断的でなく民主的な大学を創るために、一人一人の学生及び教職員を、それぞれ独自の意思を持つ人格的な存在として尊重し、権力を行使し得る立場にある自分たちと同等に位置づけ、多様な声に絶えず耳を傾けて、それを最大限に大学運営に反映させる制度を確立すること。 (4)運動部だけでなく、日本大学の全組織を挙げて、上意下達の体質を改め、パワーハラスメントになりやすい権力行使を抑制する仕組みを構築して、風通しの良い学内環境を醸成しつつ、自主創造の精神が十分に発揮される生き生きとした大学に再生させる行動計画を策定すること。 (5)本学のあり方(姿勢・体質・構造)に対する厳しい批判を真正面から受け止め真摯に反省し、人事及び人心を一新すること。 連日メディアでセンセーショナルに報道されているこの問題によって、本学に対するイメージと社会的信用は深く傷つけられてしまった。学生の勉学意欲や様々な対外活動、学部生・大学院生等の就職活動、教職員の士気、さらには受験生の本学に対する見方や教職員の採用に至るまで深刻な悪影響が懸念される。ひいては、このことが本学の教育を誠実に支えてきた教職員の労働環境悪化にもつながりかねないことを危惧するものである。 早急に本学の社会的信用を回復すべく、理事長、理事会と大学学長は直ちにことの真相をあますところなく明らかにして、関西学院大学の関係者に対してはもちろんのこと、上述した本学のイメージと社会的信用の低下に直面せざるをえない本学学生と教職員にも説明責任を果たすことが不可欠である。そして、この状況を踏まえた大学改革の道筋を、教職員からの声を充分に聞き届けたうえで社会に提示し、それを滞りなく推進していくべきである。 以上、問題の深刻さと社会的広がりをふまえて、現時での私たちの見解を表明しておくものである。 日本大教職員組合文理学部支部は5月24日、田中英寿理事長が記者会見を開いて被害者らに謝罪し、信頼回復に向けて大学の抜本的改革に乗り出すよう求める声明を出した。 声明は、大学当局の対応に疑問の声が上がっていることを念頭に「日本大の信用は地に落ちるばかりで、大学、付属校の存続にも関わりかねない。入試に向けて壊滅的な影響が表れる可能性がある」と危機感をあらわにした。 その上で理事会などの人事刷新を要求。問題の経緯解明と再発防止のため、公正な第三者委員会の立ち上げを求めた。 教職員組合は21日、人事や人心の一新を求めるとの声明を出している。組合文理学部支部は、その後に開かれた内田正人前監督らの記者会見が「大学側の不誠実さを広く世に知らしめた」などとして、新たな声明の公表に踏み切った。 田中英寿氏 日本大学教職員組合文理学部支部長 初見基 危険タックルを行った学生自身による5月22日の勇気ある記者会見、そして5月23日の内田正人前監督と井上奨コーチの記者会見によって、日本大学アメリカンフットボール部問題は、競技反則のあり方にとどまらず、大学法人本部の危機管理能力欠如をいよいよもって露呈させている。とりわけ23日の内田前監督らの会見は、司会者の不遜な態度を含め、大学側の不誠実さを広く世に知らしめた。このままでは、5月21日の組合声明で危惧したとおり日本大学の信用は地に落ちるばかりであり、大学、付属校の存続にも関わりかねない。そこで私たち教職員組合文理学部支部は、同声明での主張を踏まえ、以下を表明する。 1.法人本部に対して以下を求める。 (1)事態を混迷させた責任を明示するべく理事長が記者会見を開き、被害者はもとより関西学院大学アメフトチームやアメフト界、社会全般、さらに本学学生・教職員に謝罪し、危険タックル事件及び大学の不適切な事後措置に対して再発防止、抜本的改革を明言すること。 (2)責任ある立場の理事会及び法人本部の人事刷新を図るとともに、法人本部組織改革の工程表を公表すること。 (3)危険タックル問題の経緯解明と再発防止のため、理事会の意向を「忖度」することのない公正な第三者独立委員会を立ち上げて、どこに問題があったかの徹底究明を開始させること。 7月には各学部がオープンキャンパスの実施を迎える。それまでに社会からの信用回復について有効な手立てを講じないかぎり、教職員は受験生やその保護者からの問い合わせに真摯に応答することもあたわず、ひいては入試に向けて壊滅的な影響が表れる可能性が現実のものとなりかねない。上記事項は、7月初旬までに措置が講じられるべきである。ただし第三者委員会の結論は拙速を避けるべきであるので、その判断は第三者委員会にゆだねる。 2.マスコミ各社に対して以下を要望する。 本日発売の「週刊文春」には、日本大学理事会の数々の問題点が挙げられている。ここに記された理事会周辺をめぐる内容のいくつかはこれまでも巷間で囁かれており耳新しい内容ではなかった。もしこれが事実であるとするなら、それが放置・容認されてきたこと自体が、私たち教職員の責任を含め、由々しい問題である。ただし私たち教職員には調査能力に限界があるのもたしかだ。 一方学生のあいだでは連日の騒動を受けて動揺が拡がっている。マスコミ各社には、一過性のセンセーションを求め、たとえばキャンパス近辺で学生たちにマイクを突きつけるよりも、ジャーナリズムの本義にもとづき、プロフェッショナルの力量で日本大学の構造的問題を徹底的に追及していただきたい。 3.最後に日本大学教職員に対して以下を提起する。 今回の一連の事態に対して、在学中の学生・生徒、その保護者がいかなる心情で対しているか想像をめぐらすべきである。法人本部が適切な対応能力を欠いている以上、この非常事態のなかで毅然とした態度をとれるのは個々の教職員以外にない。社会に対する信用回復はもちろん、今回の件でもっとも矢面に立たされているアメフト部を含む学生・生徒・保護者・卒業生など日大にゆかりある人々の組織構成員に対する信頼をつなぎとめ、ひいては自分たちの職場を守るためにも、いまこそ一致して意思表示をするべき時であると、ご理解いただきたい。
「監督と選手に乖離」日大の再回答書全文 アメリカンフットボールの日本大と関西学院大の定期戦(6日、東京)で日大の守備選手が関学大の選手に悪質なタックルをして負傷させた問題で、日大が関学大に提出した再回答書は次の通り。 第51回定期戦における弊部選手による反則行為に係る貴部からの申し入れ等に対する回答について 平成30年5月6日に行われました貴部との定期戦において発生した弊部選手の反則行為について、改めて、負傷されました貴部選手へ謝罪し、お見舞い申し上げます。一日も早い回復を切にお祈り申し上げます。また、ご迷惑をおかけしました貴部関係者の皆様に深くお詫(わ)び申し上げます。 貴部より平成30年5月10日付けで送付いただきました申し入れに係る、弊部確認作業等のためご猶予いただきました項目及び5月17日付け文書で御指摘のありました項目について、以下のとおり回答いたします。 なお、弊部選手につきましては、部として事実の聞き取りが出来ておらず、メディアにて報道されました記者会見の情報を参考に、記載させていただいておりますことを申し添えます。 1 貴部との定期戦前半第1攻撃シリーズ1プレー目の弊部選手反則行為に係る弊部見解について @それまでの指導内容 弊部では、他の同僚大学アメリカンフットボール部と同様、コーチ制を採っており、監督の意向を受け、コーチが各ポジションリーダーまたは各選手に指示を出し、併せて、各ポジションリーダーは自らが担当するポジションの選手の取りまとめを行っております。 日常の練習においては、弊部コーチ及び各ポジションリーダーが、選手に反則行為があった場合、その都度当該選手に確認及び指導を行っております。また、弊部選手全員に対しても、場合によってはグラウンドで、通常はミーティング会場において、その行為がなぜ反則であるのか、共通認識を持つことを徹底しております。 A当該プレーに至った経緯 弊部選手は、日本代表に選ばれるほどの実力者であります。貴部が5月17日付けで作成されました見解にも記載がありますとおり、昨年の甲子園ボウルや今春の試合において、弊部選手はルールの範囲内でプレーをしておりました。弊部選手は、「気持ち」を前面に出すことで、さらに選手として成長できると非常に期待されておりましたが、その「気持ち」が、直前の連休期間中の練習では見られませんでしたため、気持ちを前面に出すようにとの指導を行いました。しかし、メンバーを決める段階ではそこまでのレベルにはなっていないと判断し、当初のメンバーには入れておりませんでした。しかし、試合直前、本人が試合に出たい旨申し出があり、強い「気持ち」があることを確認できたため、急遽(きゅうきょ)メンバーにすることを決めた経緯があります。 B当該プレーに関して弊部が把握する事実 当日、当該プレーに関し、貴部選手が味方にパスしましたが、その約2秒後、当該弊部選手が貴部選手の背後へ突進し、貴部選手の腰から大腿(だいたい)付近へタックルを行いました。貴部選手は無防備な状態でタックルされ、体がくの字になるほどの状態になり、その後、地面に叩(たた)きつけられました。 弊部選手はパスを阻止する役割を担っており、貴部OL選手のブロックをかわした後、一目散に下半身のみに目掛け、貴部選手へ突進したものです。通常では見られない長い距離を走り、貴部選手の下半身に向け、タックルを行いました。 C当該プレー後の指導者の対応 (ルールを逸脱した行為に対する監督・コーチの認識) 1回目の反則行為直後については、監督はボールの動きに着目していたため、反対方向で行われた反則については現認しておりませんでした。このため、当該選手への対応について、交代の指示や厳しい注意・指導を怠りました。この点に関しては、ルールに基づいた厳しさを求めると記載しながら、指導者として深く反省しております。井上コーチは現認しておりましたが、同コーチは、弊部選手に自信を持たせたいと考え、もう少しプレーさせようとしておりました。なお、2回目の反則行為後、コーチから当該選手に対し、ボール保持者に向かってプレーするよう注意指導・指示を出しております。 3回目の反則行為により資格没収となった際の対応については、厳しく注意・指導すべきでした。この点につきましても、指導者として深く反省しております。 当該プレーの深刻さについては、ビデオによって改めて認識した次第です。 試合直後の弊部監督による発言は、5月15日付けでご提出いたしました回答書記載のとおり、規則に違反してもよいと意図するものではなく、改めて、撤回させていただきます。 D試合後の対応 毎試合後、4年生、出場メンバー及びコーチで試合の反省会を行っております。当該プレーが起こった当日も試合終了後に反省会を行いましたが、特定の反則行為ではなく、全般について確認を行ったため、その時点で実際は謝罪の動きはありませんでした。 当該試合の翌日には、ディフェンスを担当する選手において、ビデオを用いての反省会を行い、反則行為について確認を行いましたが、この時も負傷された選手への謝罪の動きはありませんでした。 貴部選手は全治3週間の負傷をされましたが、同選手が後半も出場されていたことで当方の認識が甘くなってしまったところは実際ございます。非常に危険で悪質な行為であったことは間違いなく、その行為を真摯(しんし)に受け止め、プレー直後や試合後に反省し、貴部へ速やかに謝罪にお伺いするべきでした。 その後、弊部コーチと反則行為を行った選手が貴部へ謝罪にお伺いしましたが、貴部の、正式な回答があってからとのご回答でその場では受けられなかったご対応はもっともでございます。 その後は、文書のやりとりをさせていただき、弊部としましては、5月10日付けのお申し入れに対する回答を提出しましたが、ご猶予をいただきました項目について、当文書をもって回答させていただいているところです。 E監督の発言について 「監督に『責任はおれが取る』と言われていた」(MBS)、「関係者は反則が内田正人監督の指示だったとも明かした」(日刊スポーツ)、「『試合に出場したかったら、1プレー目で相手のQBを壊してこい』と指示した」(ハドルマガジン)等の報道については、「つぶせ」は、アメフトでは日常的、慣例的に過去からずっと使い続けてきた表現であり、反則を容認するものではなく、実際に犯罪としての傷害を指示する意図の発言ではありません。 それぞれの発言の真意は、あくまで、思い切ったプレーをした結果の反則は監督が責任を取るということであり、相手選手への傷害を指示したものではありません。 現在の確認作業では、当該選手に反則行為をうながすような指示や言動は確認できず、また、聴取したアメフト部の他の部員からは、監督が直接部員に指導することはほとんどなく、指示を出すときコーチ又(また)は4年生の幹部に指示して部員に伝えるという方法で行われたということになります。 今回確認した範囲内では、当該選手が、監督からプレー上の指示を直接受けたことがないということです。直接反則行為を促す発言をしたという事実は確認されておりません。もっとも、日大アメフト部内における監督とコーチ間で、いつ、どのように意思疎通や意思決定が行われているか等について、井上コーチの弊部選手に対する言動が、井上コーチの独断によるものか、監督の指示や合意に基づくものかは、判断がつきかねるところです。 F井上コーチの発言とその意図について 井上コーチが弊部選手に「QBを潰せ」という趣旨の発言をしたことは、井上コーチ自身が認めており、他の部員からの証言もあり、確認されております。 一方、井上コーチが「関学のQBを壊せば、秋の試合に出られなかったら、こっちの得だろう」と発言した点については、井上コーチは否定しており、確認作業の中においては、他の部員の中でもそのような発言を聞いた者がおらず、確認は得られませんでした。 井上コーチは、弊部選手を来年4年生のリーダーとして育てるため、同人のおとなしく、自分の感情や意見を表に出さない性格を改めさせ、向上心や闘争心を持たせたいと思い上記発言をしたと述べています。また、弊部では「潰せ」と言う言葉はよく使われており、強いタックルをする等の意味であって、相手選手に怪我(けが)をさせろという意味ではなく、本件においてもそのような趣旨から発したものではないと述べています。他の部員達も、「潰せ」という言葉については、よく使う言葉であり、相手選手に怪我をさせるという意味ではないと述べています。 井上コーチが上記発言をした趣旨、意図について、井上コーチは、弊部選手が日大豊山高校時代からアメフト部の監督を務め、以後日大入学後も合わせ5年の付き合いで信頼関係があり、同人が来年4年生になる折にアメフト部のリーダーの一人として育てようと、厳しく練習中指導をしていた旨述べていること、井上コーチが弊部選手の一連の反則行為をみて、弊部選手に対し、その後のプレーに先立ち「キャリア(ボールを持っている選手)を狙え」と注意した事実は確認できました。なお、他に井上コーチから同様の指示を受けて反則行為をした部員の存在は確認できませんでした。現状の確認作業においては、井上コーチの指示が、弊部選手をして、相手選手に怪我を負わせることを指示したり、意図したものとまで結論づけることはできないと考えています。 また、井上コーチは弊部選手に対し、単に「潰せ」と述べるにとどまらず、「アライン(セットする位置)は、どこでもいい」「1プレー目で相手のQBを潰してこい」と具体的な指示を出し、「QBを壊す」ことを試合に出るための条件として挙げるなどしており、これが一般的な声掛けの範囲に留まるものかについて、同僚の選手の証言では、当該選手が井上コーチから本気でQBを潰すような行為を指示されていると思い込んでいたことが窺(うかが)える発言もあり、今回の確認のみで井上コーチの真意を判断することは困難と考えています。 G今回の問題の原因について (1)まず、背景として、一昨年4位のチームが昨年度学生日本一となるために、かなり厳しい練習を続けてまいりました。今でも、他チームと同様の練習量・質では、関東でも優勝できる程のチームではないと考えています。それを、優勝へと引き上げるための厳しい練習が重なり、チーム内に無理が広がり、いわばチームに金属疲労を起こしている状態であったということが背景にあります。 (2)その上で、監督、コーチ及び各ポジションリーダーと、現場の選手との間の意識の差が、今回の問題の本質と認識しております。つまり、監督、コーチ及び各ポジションリーダーは、選手が思い切ってプレーすることで、結果として反則を取られても、それを反省することで次に繫(つな)がる、成長できる、との意識で選手を指導しておりました。特に本番である秋季リーグ戦に向け、この時期(春季)の試合はその意識が強くあります。繰り返しになりますが、指導にあたり、「強い掛け声」での「つぶせー」や「壊せー」は日常のことであります。しかし当然ながら、反則を容認するものではなく、実際に犯罪としての傷害を指示する意図の発言ではありません。 一方、受け取る側の選手について、通常であれば、一年生からの練習試合を通じて、そのような場合、どの程度のタックル、サックを求められているのかは、ゲームの中で理解し合えることであったと思われます。しかしながら、今回は、本当に壊す(怪我をさせる)と受け取り、今回の試合出場の条件として示された「相手を潰せ」を当該選手は「怪我をさせろ」と受け取ってしまったようです。 今回、試合の直前での先発メンバーに加えるにあたり、「1プレー目で相手のQBを潰してこい」との発言も、同様に「QBをサックしろ」との意味でいたしましたが、当該選手は言葉どおり「QBを潰す=怪我をさせる」と解してしまったようです。当初、先発メンバーから外れており、本人の直訴に対して出場するための条件として言われたことにより通常であれば考えられないような反則行為をやらざるを得ないと思わせてしまうような状況に追い込んでしまったことは、日々の練習における監督コーチと選手のコミュニケーション不足、信頼関係不足から起きたと思われ、深く反省しております。 なぜ、今回に限って今まで重大な反則行為を行ったことがなかった当該選手がそのような行為に及んだかという点については、以下が貴部の疑問に対する弊部のお答えになると思われます。 監督、コーチは「つぶせ」「壊してこい」を日常的、慣例的な指示として捉え、選手はなんとしても無理にでも「つぶす」「壊す」ためにタックルに行かなければならないと、いわば強迫的な感覚を持って向かっていったという、いわば決定的な認識の齟齬(そご)がなぜ起こったのかという点です。 これは、弊部選手が、通常の練習、連休中の集中練習、メンバー決定等の過程を経て精神的にかなり追い詰められていたという点が指摘できると思われます。その上での指示の捉え方に大きな影響を与えたと考えられます。弊部選手は、上記井上コーチの言動を相手選手の身体に損傷を与えるような反則行動を求めていると解釈して、反則行為を行いました。 その原因については、日頃から相当厳しい練習が重なっていたうえ、5月の連休に入ってからは実戦形式の試合に出してもらえず、積極性がないことを井上コーチから叱責(しっせき)され、一人だけグラウンドの走り込みを命じられるなど、急に弊部選手に対する指導や練習が強化され、精神的に相当追い詰められていた状況下、関学との試合に出るための条件として「QBを壊す」ことをコーチに挙げられるなどしたことから、文字通り「相手を潰す」ことを求められ、そのような反則行為をやらなければ試合に出してもらえないと思い詰めていったものと推察されます。 弊部選手が井上コーチから厳しい指導を受けていることについては、同部の4年生幹部が、井上コーチの弊部選手に対する期待が大きく、さらにリーダーとして飛躍させるために、本人のおとなしい性格を改めさせ、闘志を表に出させるためにあえて本人を追い込んでいたと観(み)ている者もいます。 もっとも、現在のところ、部として選手本人から直接事実の聞き取りが出来ておりませんことから、弊部選手の真意を正確に把握することはできておりませんが、なぜ、このようなことが起こってしまったかの原因についてですが、弊部といたしましては、弊部選手を追い込んだ精神状態にし、それによって弊部選手が思い込んでしまったことが、反則行為の原因であると考えております。 H第三者委員会設置について 現在の確認作業では、具体的な指示の内容やその真意、弊部選手が反則行為を行って相手選手を負傷させた原因や理由について、弊部選手を追い込んだ精神状態にし、それによって弊部選手が思い込んでしまったことが、反則行為の原因と考えておりますが、確定的な結論を出すに至っておりません。大学間のアメフト部の試合中に反則行為により相手選手が負傷するという重大な結果を招いた事案であるため、第三者委員会を設置し、調査をしていただき、原因究明、再発防止に繫げていく所存です。 I弊部選手について 今回の反則行為の原因は上記にてご説明しましたとおり、現状では、指導と指導を受ける側の認識の乖離と考えております。弊部選手もいわば追い込まれて今回の行動へ繫がったものです。このような状態に追い込んでしまった責任は指導者にあり、本人には責任はありません。フィールド上の責任はすべて監督にあります。 弊部選手がこれ以上不利益を被らないよう、貴部及び世間の皆様には、ご配慮いただきたく、伏してよろしくお願い申し上げます。 2 今回の反則行為を二度と起こさないための弊部再発防止策等について このたび、お騒がせしました責任を取り、弊部では以下のとおり再発防止を進めます。なお、部の存続については、大学スポーツであることから、学生としての活動の場、及び大学としての教育の機会を放棄せず、再発防止策を実行していきます。 なお、一般社団法人 関東学生アメリカンフットボール連盟における今回の行為に関する調査等については真摯に協力し、処分の最終決定に従ってまいります。 @指導者の意識改善 今回のような指導者と選手の意識の乖離を防ぐため、指導者は選手一人一人と向き合い、話し合いながら確認していきます。 具体的には、技術だけではない意識の部分や指導時の言葉・表現を含め、今回の反省を踏まえながら選手一人一人と接していき、ルールに基づいた指導を行うよう意識改革を行います。 A過去の試合映像等を利用したプレー検証の徹底 現在もプレーの検証は行っておりますが、今後も部員全員による過去の試合映像を利用したプレーの検証を行います。特にパーソナルファール、酷(ひど)いパーソナルファールについては、重点的に指導を行っていきます。 最終的な再発防止策は、弊部アメリカンフットボール部ホームページにおいて、公表いたします。 繰り返しになりますが、このたびの反則行為により負傷されました貴部選手並びに保護者の方に対し、心より謝罪し、お見舞い申し上げます。また、ご迷惑をおけかしました貴部関係者の皆様に深くお詫(わ)び申し上げます。 皆様との信頼関係を再度構築できますよう、再発防止に取り組みますことをここにお誓い申し上げます。 このたび、内田正人は、5月19日の謝罪でお伺いした際に申し上げましたとおり、負傷されました貴部選手、貴部関係者及び関東学生アメリカンフットボール連盟、弊部関係者ほか、ご迷惑をおかけしました全ての責任をとり、また、今回の反則行為が発生するに至ったチーム運営のあり方、指導のあり方の責任を取り、監督職を辞任することをご報告させていただきます。 また、井上奨コーチについても、5月23日の会見で申し上げましたとおり、コーチ職を辞任することをご報告させていただきます。 以上
本学に関するさまざまな報道を見聞きし,皆さんは心を痛めていることと思います。 このような事態となってしまいましたこと,心よりお詫び申し上げます。 私たち芸術学部の教職員は,皆さんが将来に向けて希望を持ち,誇りを持って社会に飛び立てるよう,皆さんのことを第一に考え,教育に取り組んでまいります。 皆さんが,「日藝に入学して良かった」,「卒業生として胸を張れる」と思えるよう,皆さんの持てる力をすべて安心して学修に向けられる環境を整えることに努めてまいります。 日藝は,学生の皆さんを必ず守ります。 藝ブランド力を共に高めていきましょう。 2018年5月25日 日本大学芸術学部長 日本大学大学院芸術学研究科長 木村政司 以上 |
日大アメフト部内田監督「14分の自供テープ」を独占公開
5月6日、関西学院大学との定期戦における悪質タックルが大きな批判を受けている日本大学アメフト部。22日の会見で宮川泰介選手(20)は、内田正人監督(62)から反則行為の指示を受けたと明かしたが、内田監督自身が試合直後、「僕、相当プレッシャー掛けてるから」などと反則プレーの指示について“全面自供”していたことが分かった。
「週刊文春」取材班が入手した「自供テープ」は14分に及ぶ。そこには関学大との試合後に行なわれた内田監督の囲み取材の模様が収録されていた。
「やっぱ、今の子、待ちの姿勢になっちゃう。だから、それをどっかで変えてやんないと。練習でも試合でもミスをするなとは言わないですよ。ミスしちゃダメよ、反則しちゃダメよと言うのは簡単なんですよ。(中略)内田がやれって言ったって(記事に書いても)、ホントにいいですよ、全然」
悪質タックルについては「あのぐらいラフプレーにならない」と答えた上で、「宮川はよくやったと思いますよ」と評価していた。
さらには関学の鳥内秀晃監督の「あれ(悪質タックル)で試合を壊された」とのコメントを聞かされ、こう言い放っている。
「よく言うよ、何年か前の関学が一番汚いでしょ」
5月24日(木)発売の「週刊文春」では「14分の自供テープ」の内容に加え、日大の最高権力者、田中英寿理事長を直撃した際の一問一答など、6ページにわたって日大問題を特集している。