茶化すこと自体許されない。自民党が極めて劣化している

 

北朝鮮ミサイルで自民 竹下氏「島根に落ちても意味ない」

 

ジェンダー差別発言;ワースト2位に竹下氏。1位「子供4人以上産んだら…」

 

 

 2016年11月8日夜、自民党の竹下亘国対委員長は、自民党の井上貴博衆院議員が都内で開いたパーティーに出席。挨拶でJR博多駅前の大規模道路陥没事故にふれ、体格が大きい井上氏を引き合いに「朝、国対で『井上が歩いたんじゃないか』という話になった。そしたらそこにいるから、犯人は井上氏じゃないなということになった」と発言した。

 

竹下 亘(たけした わたる)。1946年11月3日〜。衆議院議員(島根県第2区。当選回数6回)。自由民主党島根県支部連合会会長。NHK記者、竹下登秘書、環境大臣政務官、財務副大臣、第2次安倍改造内閣復興大臣として初入閣(第3次安倍内閣でも留任)。衆議院予算委員長、自由民主党組織運動本部本部長などを歴任し、現在は自民党国対委員長。島根県出身。慶大卒。

 

自民党の竹下亘国対委員長

JR博多駅前の大規模道路陥没事故

 

 井上氏は事故現場となった福岡市博多区を含む衆院福岡1区選出。井上氏は、2015年6月、自民党内の勉強会文化芸術懇話会において、「福岡の青年会議所理事長の時、マスコミをたたいたことがある。日本全体でやらなきゃいけないことだが、広告の提供(スポンサー)にならないということが一番(マスコミは)こたえる」などと述べた。これに対して自由民主党幹事長の谷垣禎一(当時)は、井上氏を厳重注意とした

 

 国対委員長は党の国会運営の司令塔役で、竹下氏は環太平洋経済連携協定(TPP)承認案をめぐる山本有二農林水産相のパーティー発言に端を発した混乱の収拾に当たっていた。

 

 竹下氏はパーティーに先立つ8日夕の記者会見では「引き続き緊張感を持ってやっていただきたいと強く思う」と語っていた。

 

同党幹部の一人は「変なリップサービスをしてしまうから、パーティーは一番発言に気を付けなければいけない。(危うい発言が)続いているのは、党内の緩みなのかもしれない」と漏らした。

 

事の大きさに気付いたのか、竹下氏は9日午前に記者団の取材に答え「特に意図があったわけではない」と釈明。「重大事故との認識で党、国会として対応することが仕事だ」と強調した。

 

公明党の大口善徳国対委員長も「避難者が出て、地元が懸命になっていることを冗談で発言したならば不適切だ」と苦言を呈した。

 

民進党の笠浩史国対委員長代理は9日の記者会見で、「緊張感の欠如であり、緊迫した国会の陣頭指揮を取る立場の方がそういう発言すること自体、まさに緩みの極みだ」と批判。事故について「一歩間違えば大惨事につながりかねない深刻な事故だ」との認識を示した上で、竹下氏に対し「こういうタイミングで許されない発言をしたことは猛省を促したいし、抗議もしたい」と述べた。

 

 共産党の穀田恵二国対委員長は9日の記者会見で、「ガス漏れや停電もあり、もしかしたら命にかかわる問題をああい風にちゃかすこと自体が許されない」と批判したうえで、「こういう発言をしたら国民がどう思うか、当たり前の常識がない」と指摘。「有り体にいえば、茶化すこと自体許されない。自民党が極めて劣化している」と批判した。

 

自民党の竹下亘国対委員長は11月14日夜、東京都内で開かれた会合で、国会運営に関し「すぐ強行採決し、ぐじゃぐじゃになる結果を今国会でも経験した」と述べた。4日の環太平洋連携協定(TPP)承認案などの衆院特別委員会採決が念頭にあるとみられ、与党の国会対策責任者が自ら「強行採決」を認めた形だ。

 

 これに先立つ参院特別委で、安倍晋三首相は民進党議員の質問に「わが党は立党以来、強行採決をしようと考えたことはないのは事実だ」と答弁。衆院特別委採決に関し「野党である日本維新の会は出席し賛成した」と述べ、強行採決ではないとの認識を示し、会見で自身の発言を事実上撤回した。

 

 

北朝鮮ミサイルで自民 竹下氏「島根に落ちても意味ない」

 

北朝鮮は2017年8月9日、グアム周辺への新型中距離弾道ミサイル発射計画で島根、広島、高知3県の上空通過を飛行ルートとして予告したが、それに関連して2017年9月3日、自民党の竹下総務会長(衆院島根2区選出)が広島市で開かれた党の会合で、「広島はまだ人口がいるけど、(北朝鮮の弾道ミサイルが)島根に落ちても、何の意味もない。あれだけ実験したので、多少、安心していた。東京や大阪、あるいは、アメリカ軍の基地を狙ったものが間違って島根に落ちることはないと思っていた」などと発言した。

 

一方で竹下氏は、(グアム島周辺に向けた発射を念頭に)「上を通過するというから、もう一回考え直して色々なことを対応していかなければ」と指摘した。「この上を通過するというから、もう一回考え直して、いろんな対応をしていかなければならない。国家というのは何のために存在するか。いちばんは国民の命と暮らしを守ることだ」と述べ、国民の安全を守るために万全を尽くす考えを強調した。

 

広島市内で開かれた党会合であいさつする自民党の竹下亘総務会長=3日

 

竹下氏の発言を巡っては、野党が「暴言で、当然撤回すべきだ」などと批判しているが、竹下氏は4日、「島根には米軍基地があるわけでもなく、軍事戦略上意味がないという趣旨で言った」「離島だろうと島根だろうと、落ちれば日本国の安定に極めて重大な事態。その上で戦略的に考えた場合、北朝鮮が島根を狙っていることはないという思いを話した」と釈明。記者団から撤回するかどうか問われ、「どこが不適切ですか。教えていただければ、考えさせて頂きますが」とも語り、発言撤回は否定した。

 

北朝鮮のミサイル発射に関する自身の発言について報道陣の質問に答える自民党の竹下亘総務会長=首相官邸で2017年9月4日午後0時25分、

 

 公明党の山口代表は4日、政府・与党連絡会議後、首相官邸で記者団に、閣僚や自民党幹部から不適切な発言が相次いでいることについて、「国民の不安や心配を招くことがないよう発言には気をつけることが重要だ」と述べた。

 

日本共産党の小池晃書記局長は4日、「国民の命を守ることを真剣に考えているのかと疑問を持たざるをえない暴言だ。自分の選挙区の住民の命をまともに顧みない発言であり、到底理解できるものではない」と厳しく批判した。

小池氏は、麻生太郎副総理が自民党幹事長だった2008年9月にゲリラ豪雨で被害を受けた愛知県岡崎市などについて「安城や岡崎だったからいいけど」と述べた発言や、今村雅弘復興相(当時)が、東日本大震災は「東北だったからよかった」と述べた発言(17年4月)を振り返り、「自民党には、地方を無視し、切り捨てる思想が脈々と受け継がれているのではないか」と指摘した。

さらに麻生氏が8月29日、ヒトラーを引き合いに「いくら動機が正しくてもだめだ」と言った発言は罷免に値すると述べた上で、その直後に障害者への差別発言を行ったことを指摘し、「日常的にあのような会話をしているから、舌の根も乾かぬうちに問題発言が繰り返されるのではないか」と述べ、「問題発言の連続は断じて許されない」と批判した。

 

ジェンダー差別発言;ワースト2位に竹下氏。1位「子供4人以上産んだら…」

 

 男女差別などジェンダーに関する問題発言の2017年ワーストを選ぶネット投票の結果が2018年1月9日、公表された。1457人から投票があり、最も票が多かったのは「子供を4人以上産んだ女性を厚生労働省で表彰することを検討してはどうか」との自民党、山東昭子元参院副議長による発言だった。

2位には同党の竹下亘総務会長の「(国賓の)パートナーが同性だった場合、私は(宮中晩さん会への出席には)反対だ。日本国の伝統には合わないと思う」が選ばれた。

 大学教員や弁護士らで作る「公的発言におけるジェンダー差別を許さない会」が、2017年あった政治家による問題発言を5つ選び、ワースト候補としてネット上に公開。12月29日から9日間、投票を募った。1位は605票、2位は578票を集め、3位以下を大きく引き離した。女性の半数近くが山東氏の発言をワーストに選んだのに対し、男性では竹下氏の発言を選んだ人の方が多かった。

 同会は「2つの発言に票が集中したのは、あからさまに差別的でひどさが突出していたからだろう。ただ、これらの発言は氷山の一角。今回のキャンペーンが公人によるジェンダー差別発言を終わらせる時期がきた、という認識を広げるための一歩となれば」としている。

 

 

1位=自民党の山東昭子・元参院副議長が、2017年11月21日の自民党役員連絡会で、「子供を4人以上産んだ女性を厚生労働省で表彰することを検討してはどうか」と発言。終了後、山東氏は「女性活躍社会で仕事をしている人が評価されるようになって、逆に主婦が評価されていないという声もあるので、どうだろうかと発言した」と述べた。申請制にして希望者を表彰する案という。

 

3位=207年6月3日にシンガポールで開かれた「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)」で、シンガポール政府への敬意を示したあと、壇上いた共に女性のオーストラリアとフランスの国防担当大臣に触れて「見たら分かるように、(私たち3人には)共通点がある。同じ性別で、同じ世代で、全員がグッドルッキング(容姿が良い/美しい)」と演説をした。

 

 4位=2017年10月の衆院選についての報道各社インタビューで「自民党の女性候補者割合が7.5%にとどまる」との質問に答え、自民党の二階俊博幹事長の「自然の成り行きでいいんじゃないか」と発言。「女性議員が自然には増えにくい男性中心の政党文化や政治活動の問題を意識することなく、著しい男女格差の現状を容認した」としてベスト5に選ばれた。

 

5位=石原慎太郎元東京都知事(85)が2017年10月16日、自身のツイッターで衆院選について触れ、立憲民主党を立ち上げた枝野幸男代表(53)を「本物の男に見える」とたたえた「今度の選挙では候補者達の卑しい人格が透けて見える。戦の前に敵前逃亡、相手への逃げ込み、裏切り。まるで関ケ原の合戦の時のようだ。その中で節を通した枝野は本物の男に見える」(原文のまま)

 

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島根じゃ意味がない(2017年9月5日配信『中国新聞』−「天風録」)

 

 人口は七十万、神様は八百万(やおよろず)―。過疎を逆手に取った地元の島根県お得意の自虐カレンダーに倣おうとしたのだろうか。おととい広島市内であった自民党の会合での竹下亘総務会長の発言である

▲「広島はまだ人口がいるけど、島根に落ちても何の意味もない」。グアム沖を狙うミサイルが島根や広島の上空を通過するとの北朝鮮の予告に触れて、そう述べた。何が言いたかったのか、言葉足らずでは誤解を招く

▲「戦略的に考えれば島根が狙われるようなことはないという意味だ」と弁明したが、相次ぐミサイル発射で北朝鮮への脅威が高まっているさなか。6回目の核実験を強行した日でもあった。標的になるとの指摘もある原発には目配りせず、軽率な発言だったと言われても仕方なかろう

▲東日本大震災の被害が「東北で、あっちの方で良かった」と言い放った元復興相を思い出す。共通するのは人口が多い少ないという物差しだ。それだけで地域の価値は見極められまいに

▲島根県民はどう受け止めているのだろう。発言を撤回しないのなら、「島根はミサイルなんか飛んでこない安全な土地です」と宣言してはどうか。例のカレンダーには採用してもらえまいが。

 

 

 

 

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