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毎日聞世論調査;内閣支持率30% 3ポイント下落

 

加計学園関連論説No2論説No1

 

「四国で新設することになった」「加計に決めました」 

 

府説明 77%が納得できない(2017年8月 日経調査)

 

国家戦略特区ワーキンググループ(WG、八田達夫座長)が2015年6月、獣医学部の新設提案について愛媛県と同県今治市からヒアリング

 

黒川敦彦@加計の図面戦争なう

 

柳瀬唯夫氏参考人招致;愛媛県の中村時広知事の記者会見(要旨)

 

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 (2018年5月21日配信『東京新聞』)

 

2018年5月14日配信『共同通信』

 

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2018年5月13日配信『しんぶん赤旗』

 

(2018年5月12日配信『朝日新聞』)

 

(2018年5月11日配信『朝日新聞』)

 

(2018年5月11日配信『毎日新聞』)

 

 

(2018年4月10日配信『朝日新聞』)

 

獣医学部新設をめぐり、愛媛県が作成したとされる記録文書(2018年4月10日配信『朝日新聞』)

 

2018年4月11日配信『東京新聞』

 

(2018年4月10日配信『毎日新聞』)

 

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2018年4月12日配信『東京新聞』

 

2018年4月13日配信『共同通信』

 

(2018年4月13日配信『産経新聞』)

 

 

森ゆう子ツイッター

 

(2018年4月13日配信『読売新聞』)

2018年4月13日配信『東京新聞』

 

安倍内閣支持、低迷31% 不支持52% 朝日世論調査

2018年4月15日配信『朝日新聞』

 

内閣支持率26・7% “発足以来”最低に NNN調査

 

 

(2018年4月15日配信『NNN」

 

2018年4月17日配信『毎日新聞』

 

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2018年4月21日配信『東京新聞』

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 2018年4月21日配信『東京新聞』

 

(2018年4月21日配信『朝日新聞』)

 

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2018年4月24日配信『東京新聞』

 

(2018年5月11日配信『毎日新聞』)

 

(2018年5月11日配信『毎日新聞』)

 

 

柳瀬氏だけじゃない 加計問題で依然“記憶喪失”の疑惑人物(2018年5月17日配信『日刊ゲンダイ』)

 

「総理へ報告したことは一切ございません」

 加計学園の獣医学部新設を巡る問題で、2015年4月2日の加計関係者との面会を国会で追及され、柳瀬唯夫元首相秘書官(現・経産審議官)はこうシラをきっていた。柳瀬氏ばかり注目されているが、もう一人、忘れてならない“記憶喪失”の人物がいる。前川喜平前文科次官から加計問題の「キーパーソン」と名指しされている和泉洋人首相補佐官だ。

 和泉氏は、2016年9月から10月にかけて前川前次官と複数回面会し、「獣医学部の新設について早く対応しろ」「総理に代わって言う」などと圧力をかけたとされる疑惑の人物。参考人として招致された昨年7月の閉会中審査で、このドーカツ発言について「まったく記憶がない」と全否定したが、前川前次官の主張と食い違ったままだ。

「和泉さんは、小泉政権から構造改革特区構想を手掛けてきた特区のスペシャリスト。菅官房長官の覚えがめでたく、特区の専門家として補佐官に抜擢された経緯があります。国家戦略特区についても当然、熟知している。正式決定前に、加計学園が国家戦略特区で獣医学部新設を目指す予定だったことは知っていたはずです」(加計問題を取材するノンフィクション作家の森功氏)

和泉氏は、国家戦略特区の前身である構造改革特区の時代から加計が十数回にわたって獣医学部新設に挑んでいたことを知る立場だ。これまで国会で「私は加計問題には一切関わっていません」という主張を貫いてきたが、とても通用しない。加えて、2013年の第2次安倍政権から補佐官であることを考えれば、国家戦略特区において加計の名が挙がっていることを、安倍首相が強弁する「2017年1月20日」以前に安倍首相と話していたとしても不思議じゃない。

 

「まったく記憶にない」は柳瀬氏同様、安倍首相を守るための言い逃れなんじゃないのか。柳瀬氏のように、自身の言動について記憶を取り戻してもらわないと膿は出し切れない。和泉氏は今度は証人喚問で洗いざらい話したらどうか。

 

柳瀬氏面会 首相「知ったのは今月」 政務秘書官 昨年7月に把握(2018年5月16日配信『東京新聞』)

 

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 学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設を巡り、柳瀬唯夫元首相秘書官が学園関係者と面会していたことを、政務担当の今井尚哉首相秘書官が昨年7月の時点で把握しながら、安倍晋三首相は今月初めまで報告を受けなかった、と説明している。野党は、柳瀬氏と加計学園の面会についてただしてきたが、政府は答弁を避け続けてきた。

 柳瀬氏は10日の参考人招致で「学園の事務局の方、専門家の方から話を伺った記憶はあると、昨年7月の(国会の)集中審議の前には今井氏に答えた」と語り、面会の事実を伝えたことを明らかにした。

 今井氏は現在6人いる首相秘書官のうち唯一の政務担当で筆頭格。第1次政権から秘書官を務める側近中の側近だ。首相は、今井氏から初めて報告を受けたのは今年の大型連休中の5月初めだったと、14日の参院予算委員会で説明した。今井氏が報告しなかった理由については、首相は「私と柳瀬氏と口裏を合わせることはあってはならないので、伝えない方がいいだろうということだった」と語った。

 昨年7月以降の国会では野党議員が柳瀬氏と学園関係者の面会について確認を求めていたが、官邸内で政務の首相秘書官が事実を知りながら、首相らは説明してこなかった。国民民主党の今井雅人氏(当時希望の党)の質問に対し、昨年11月には首相が、今年3月には内閣官房審議官がそれぞれ答弁したが、いずれも学園関係者については直接言及しなかった。 

 

安倍首相“悪辣答弁” 前川前次官の猛反論でごまかしバレた(2018年5月16日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 悪質な印象操作に対する当然の反応だ。前川喜平前文科次官が15日、安倍首相の国会答弁に反論するコメントを出した。問題の答弁は、安倍首相が14日の衆院予算委で加計学園の獣医学部新設を巡る前川前次官の発言について触れた箇所。

 安倍首相は、「加計ありき」との指摘について、<前川前次官ですら、京産大(京都産業大学)はまだ準備が十分ではない、熟度が十分でないという認識の上に、加計学園しかなかったということをおっしゃっていた>と答弁。あたかも前川前次官が「加計と比べて京産大は熟度が足りない」と考えていたかのように答えたのだ。

 これに対し、前川前次官は、京産大の提案内容を知らされていなかったため<加計学園と京産大の提案とを比較考量することは不可能>だったと反論した。

 加えて、加計学園の獣医学部新設が<安倍首相自身の強い意向だという認識を持っていた>と明言し、<首相が加計学園の獣医学部新設に自分が関与していないと主張するための材料として、私の名前に言及することは極めて心外>とクギを刺した。

 

加計問題「1校限定 断定せず」 京都に「難しい」伝達認める(2018年5月16日配信『東京新聞』)

 

 学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部開設を巡り、山本幸三地方創生担当相(当時)が2016年10月、学園と同様に学部新設を求めていた京都府側に、2校は「難しい」と伝えたとされることについて、山本氏の事務所は15日、本紙の取材に書面で「獣医学部の新設は難しい話だという趣旨のことを申し上げたが、『一校に限る』などと断定的なことを申し上げたことはない」と回答した。 

 学部開設を巡っては、学園や愛媛県、同県今治市の担当者が15年4月2日、首相官邸で柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面会。県文書によると、柳瀬氏から「本件は首相案件」として国家戦略特区の活用を勧められたとされる。県と今治市は同年6月に特区申請し、京都府と京都産業大はその後の16年3月に特区申請した。

 14日の参院予算委員会で田村智子氏(共産)は、内閣府の文書を独自に入手したとし、山本氏が16年10月24日、陳情に訪れた京都府副知事に「経過もあり、1校しか認められない。難しい状況なので、理解してほしい」と述べたと指摘。陳情に同席した西田昌司参院議員(自民、京都選挙区)は本紙に「2校認めてくれないかと話したら『難しい』と言われた」と証言した。

 山本事務所は回答で「獣医学部の新設はそれまでの経過もあり大変困難な岩盤規制改革で、難しい話だという趣旨のことを申し上げた。同趣旨のことは16年9月、加計学園にも申し上げている」とした。

 国は17年1月、「1校に限り」獣医学部新設を認めると告示し、唯一応募した加計学園が事業者に決まった。

 

加計側の車を使い「官用車」と記載か 内閣府次長の出張(2018年5月16日配信『朝日新聞』)

 

 内閣府で国家戦略特区を担当していた藤原豊地方創生推進室次長(現・経済産業省貿易経済協力局審議官)が2015年8月に愛媛県今治市などに出張した際、移動のために学校法人「加計学園」の車を利用した問題で、出張記録には「官用車利用」と記載されていたことが分かった。虚偽記載だった可能性があり、内閣府は法令上の問題がなかったかを調べている。

 内閣府の資料によると、藤原氏は15年8月5〜6日に熊本県、岡山県、愛媛県に出張し、国家戦略特区・構造改革特区に関する意見交換などを行った。梶山弘志地方創生相は14日の国会で、移動手段の一部に「民間事業者が管理運用する業務用車両」を使ったと認め、「公務への疑いを招く結果とならないよう、常日ごろから慎重に対応する必要がある」と述べていた。

 一方、内閣府が15日に野党の合同ヒアリングに提出した出張記録によると、藤原氏が8月5日に熊本空港〜熊本市内、熊本市内〜熊本駅を移動した際と、翌6日に岡山駅〜今治市内、今治市内〜松山空港を移動した際は「官用車利用」と記されていた。このほかに車で移動していた区間はなかった。内閣府によると、車での移動について旅費の請求はなかったものの、虚偽記載だった可能性がある。

 今治市は15年6月に国家戦略特区での獣医学部新設を申請しており、加計学園は当時、獣医学部の事業者になることを目指していた。国家公務員倫理規定は、交通事情などから相当と認められる場合に、利害関係者が日常的に使っている車に限って、車の提供を受けることを認めている。

 

内閣府 加計の車を「官用車」 当時の次長、虚偽記載か(2018年5月15日配信『共同通信』)

 

公表された内閣府職員の出張記録。「岡山駅〜岡山市内〜今治市内〜松山空港は官用車利用」と書かれていた

 

野党合同会合で職員の出張記録を公表 新たな疑惑が浮上

 内閣府地方創生推進室の職員が2015年8月、愛媛県今治市などに出張した際、学校法人「加計学園」(岡山市)の車を使用した問題で、内閣府は15日の野党合同会合で、交通手段の欄に「官用車」と記した職員の出張記録を公表した。学園側から便宜供与を受け、虚偽記載をした可能性がある。内閣府担当者は矛盾を認め「確認中」と説明。学園の獣医学部新設に関する新たな疑惑が浮上した。

 この職員は当時、内閣府地方創生推進室次長だった藤原豊経済産業省官房審議官。学園が獣医学部新設に活用した国家戦略特区を担当していた。

 

加計学園と面会7回(2018年5月15日配信『しんぶん赤旗』)

 

衆院決算委 宮本徹氏に内閣府答弁

 加計学園が内閣府と2015年以降少なくとも7回面会していたことが15日、明らかになりました。衆院決算行政監視委員会で日本共産党の宮本徹議員に答えました。同じく獣医学部新設を計画していた京都産業大学とは16年に3回会ったのみです。

 内閣府の村上敬亮審議官によると、今治市との打ち合わせは(1)15年4月ごろ(2)6月上旬(3)8月6日(現地視察)(4)12月10日(5)同月15日(6)16年3月30日前後(7)同年11月9日の数日前―に行われていました。

 宮本氏はまた、安倍首相の加計学園は十数年前から獣医学部新設を準備していて「京産大はまさに最近」とする答弁(14日)について「訂正が必要だ」と主張。京産大が国家戦略特区に提出した資料でも2006年に鳥インフルエンザ研究センターを設立して以来、獣医学部が必要だと文部科学省や農林水産省に求めています。

 同大学の働きかけが06年段階であったかについて、斎藤健農水相は「相談があった可能性は否定できない」と述べ、林芳正文科相も「04年から相談があった可能性はある」と認めました。加計学園の獣医学部新設の申請開始は07年です。

 宮本氏は「京産大は正面突破で働きかけていた。ところが政府は『加計学園の方が早くから計画していた』という。こんなおかしな話はない。極めて不公平なことははっきりしている」と批判しました。

 

特区の「透明性」うそ(2018年5月15日配信『しんぶん赤旗』)

 

参院内閣委 田村氏「公表とは別のWG」

 日本共産党の田村智子議員は15日の参院内閣委員会で、加計学園問題に関連して、愛媛県今治市の獣医学部新設構想をめぐる国家戦略特区ワーキンググループ(WG)の意思決定過程が非公開になっているとして、「透明性が高い仕組み」と説明してきた安倍晋三首相のうそを追及しました。

 国家戦略特区制度は、自治体などからの提案を受けてWGが提案者や関係省庁にヒアリングし、その後、特区諮問会議(安倍首相が議長)が採用する構想を決定する仕組み。安倍首相は「透明性の高い仕組み」「WGは全てがオープン」だと述べています。

 田村氏は、WGから諮問会議へ議論が持ち上がる際に、今治市の構想が数ある特区申請の中でなぜ選ばれたのか、選定過程が不透明だと指摘。内閣府が開示した文書によると、議事録が公表されたWGとは別に、2016年11月1日に「ワーキンググループ」と題して開かれた会議で、選定をめぐる議論が行われているとして、「この会議は一体何か」と追及しました。梶山弘志地方創生担当相は「WGとは違う」と答えました。

 田村氏は、公表されたWGと11・1の会議で、委員への謝金や座長の出欠・出席委員の定足数に関する扱いに差はなく、「議事録をつくらない、公表しない点しか差はない」と指摘。「11・1の会議は影のWGであり、これこそオープンにすべきだ」と、政府の隠ぺい体質や、「透明性の高い仕組み」と喧伝(けんでん)する安倍首相を批判しました。

 

BS番組 小池氏、加計問題与党に反論(2018年5月15日配信『しんぶん赤旗』)

 

柳瀬氏面会 極めて大きな意味

 日本共産党の小池晃書記局長は14日、BSフジ番組「プライムニュース」に出演し、学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐり同日の衆参両院の予算委員会で開かれた集中審議について、与野党代表と議論しました。

 柳瀬唯夫元首相秘書官と学園関係者との首相官邸での面会について、自民党の柴山昌彦副幹事長が「国家戦略特区の制度を説明しただけだ」と、「加計ありき」を否定。これに対し、小池氏は、国家戦略特区での規制緩和の重要項目は23ある中で、柳瀬氏が首相官邸で関係者と面会したのは獣医学部の問題だけと指摘し、「この面会によって、国家戦略特区で獣医学部新設が極めて重要な案件だということが特出しされる状況になった。この面会の意味は極めて大きい」と反論しました。

双方を呼ぶべき

 柳瀬氏が安倍首相に「報告していない」とした不自然さを指摘された柴山氏は、「安倍首相が国家戦略特区諮問会議の議長なので関わり合いを持つべきでないと柳瀬氏が判断した」と、大臣規範を持ち出して強弁しました。

 小池氏は、「それなら、なぜ安倍首相と加計孝太郎学園理事長が何度も会食していることを周りは止めなかったのか。大臣規範に抵触するかもしれないから報告しなかったとは柳瀬氏も言っていない。無理がある」と反論しました。

 柳瀬氏の答弁に反論している中村時広愛媛県知事や加計孝太郎氏らの国会招致を与党が拒否していることについて、小池氏は安倍首相と加計理事長が会食した際のやりとりの記載を柳瀬氏が否定している点など「重要な部分で話が食い違っている。公平性からいっても双方を呼んで問えばいい」と指摘しました。

事態引き延ばし

 柴山氏が「中村知事は記者会見で話している。参考人招致で真相に迫ることはできるのか」と釈明すると、立憲民主党の逢坂誠二政調会長代理が「どういう文脈で発言が出たのかおっしゃっていただければより真相に近づける」と反論しました。

 小池氏は、「野党が追及しても、資料はない、記憶にないと全部否定しておいて、後になって新しい資料が出てきて新たな議論が始まる。政府・与党のこうした態度がこれだけこの事態を引き延ばしている」と批判しました。

 

愛媛知事を呼ばない矛盾 国会招致(2018年5月15日配信『東京新聞』)

 

 加計学園の獣医学部新設を巡り、与党は14日の衆参両院の予算委員会理事会で、柳瀬唯夫・元首相秘書官の国会答弁を「事実と違う」と指摘する愛媛県の中村時広知事を国会招致する野党の要求を「当事者ではない」として拒否した。与党は中村氏と同じく「当事者」とは言えない加戸守行前知事を招致しており、対応に矛盾が生じている。

 同日の衆院予算委員会では、国民民主党の玉木雄一郎共同代表が、中村氏の招致を「問題解決の一番の近道」と主張。これに対し、安倍晋三首相は「誰を呼ぶかは国会が決めること」と答えるにとどめた。

 中村氏招致を拒否する理由について、衆院予算委の菅原一秀与党筆頭理事(自民)は委員会後「(柳瀬氏と面会した)県職員の話を知事が伝聞で聞き、記者会見している」と、面会の場にいた当事者ではないことを記者団に強調した。

 中村氏は、県職員を国会に出すことは「勘弁して」と、県を代表して自身が代わりに出席する意向を表明している。

 野党が中村氏招致を強く求めるのは、柳瀬氏と学園関係者や県職員との面会に関し、柳瀬氏と中村氏の説明が多くの点で食い違っているからだ。

 柳瀬氏は「学園関係者の(吉川泰弘)元東大教授が情熱的に話し、県職員が発言した記憶はない」と主張する。一方の中村氏は「面会に吉川氏はいなかった。職員は県の立場を説明した」と反論し、柳瀬氏の説明を「強烈な言葉で言うなら、うそ」と批判している。

 柳瀬氏の説明が仮に事実と違うとすれば、「首相の指示もないし、報告もしていない」とした部分を含めた答弁全体の信ぴょう性が揺らいでくる。

 与党は10日の参院予算委員会で、中村氏と同様に面会に同席せず、当時は知事でもなかった加戸氏を参考人で招致した。

 

江田憲司氏「秘書官は外部の民間人と会わない」(2018年5月15日配信『読売新聞』)

 

 自民党の伊藤達也、無所属の江田憲司両衆院議員は15日、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、学校法人「加計かけ学園」の獣医学部新設を巡る問題について議論した。

 柳瀬唯夫・元首相秘書官が2015年に学園関係者と3回面会したことを巡り、安倍首相が「報告は受けていない」と国会で答弁したことについて、伊藤氏は「少し違和感は感じる。(首相の)お友達の関係者が来たわけだから報告してもおかしくない」と述べた。江田氏は「報告しているに違いない。秘書官は本来、外部の民間の人とは会わない」と批判した。

 

前川喜平氏、安倍首相答弁に「私の名前使わないで」(2018年5月15日配信『産経新聞』)

 

 文部科学省前事務次官、前川喜平氏は15日、安倍晋三首相が14日の参院と衆院の予算委員会での答弁で、前川氏に言及したことについて、「内容は私の事実認識に反する」とするコメントを代理人弁護士を通じて報道機関に出した。

 学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐり、安倍首相が「前川次官も含め、誰一人として私から何らか指示を受けていない」などと答弁したことに対し、「(獣医学部新設への関与を否定する材料として)私の名前を使わないでいただきたい」と抗議している。

 

 全文は以下の通り。

 5月14日の衆参両院の予算委員会において、安倍首相は再三にわたり私の名前に言及しましたが、その発言内容は私の事実認識に反するものでしたので、以下の点を明らかにしておきたいと思います。

 1 国民民主党玉木雄一郎衆院議員の質問に対し、安倍首相は、「(加計学園は)ずっと構造改革特区のときから岩盤規制に穴を開けようとしてきたのは事実であります。安倍政権になってからも構造改革特区については安倍政権では4回却下をしているわけであります。そこであの前川前次官ですらですね、前川次官ですら、京産大はすでに出していたんですが、そのことをですね、そのことはまだ準備が十分ではないという認識の上にですね、熟度が十分でないという認識の上に、加計学園しかなかったということをおっしゃっていたわけであります。」と述べましたが、この発言は事実に反します。

 国家戦略特区ワーキンググループが2016年10月17日に京都府・京都産業大学からのヒアリングを実施したこと及びその内容については、その当時私は全く知りませんでした。文部科学省はこのヒアリングに呼ばれていなかったからです。「加計学園しかなかった」という認識は持っていましたが、それは首相官邸や内閣府が初めから加計学園の獣医学部新設を認めようとしていたこと、すなわち「加計ありき」という認識を持っていたということです。2016年10月17日の京産大の提案内容を知らされていない私が、加計学園の提案と京産大の提案とを比較考量することは不可能でした。

 したがって、加計学園と比べて「(京産大は)まだ準備が十分ではない」「熟度が十分でない」という認識を私が持っていたとする安倍首相の発言は事実に反し、極めて心外です。

 2 公明党中野洋昌衆院議員の質問に対し、安倍首相は、「これまでの国会審議を通じて、柳瀬元秘書官のみならず、前川前次官も含め、誰一人として私から国家戦略特区における獣医学部新設について、何らの指示も受けていないことが、すでに明らかになっています。」と述べました(共産党田村智子参院議員の質問に対しても同様の答弁あり)。

 たしかに、私は、国家戦略特区における獣医学部新設について、安倍首相から直接の指示は受けておりません。

 しかし、私は、2016年9月9日に和泉洋人首相補佐官に首相官邸へ呼ばれ、国家戦略特区における獣医学部新設について速やかな対応を求められました。その際、和泉補佐官は「総理は自分の口から言えないから、私が代わっていう。」と発言されましたので、私はこれを安倍首相自身の意思だと受け止めました。

 また、内閣府から文科省担当課に伝えられた内容を記録した文書(「官邸の最高レベルが言っている」や「総理のご意向」と記された文書)からも、私は加計学園の獣医学部の平成30年度新設が安倍首相自身の強い意向だという認識を持っていました。

 したがって、安倍首相が加計学園の獣医学部新設に自分が関与していないと主張するための材料として、私の名前に言及することは極めて心外であり、私の名前をこのように使わないでいただきたいと思います。

 2018年5月15日

       前川喜平

 

内閣府幹部、加計の車で今治など視察 創生相「問題か精査」(2018年5月15日配信『東京新聞』−「夕刊」)

 

 学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部開設を巡り、梶山弘志地方創生担当相は14日の衆院予算委員会で、藤原豊・内閣府地方創生推進室次長(当時)が2015年、愛媛県今治市などに出張した際に学園の車を利用していたことを明らかにした。梶山氏は不適切だったとの認識を示し、「法令上に問題がないか精査中」と述べた。

 梶山氏は15日の記者会見で「(藤原氏の)記憶を含めて確認作業をしている。仮に旅費法や国家公務員倫理規程に抵触するようなことがあった場合、国家公務員倫理審査会に相談を掛けなければならないので、これ以上はコメントを差し控えたい」と答えた。

 14日の衆院予算委の梶山氏の答弁によると、問題の視察があったのは15年8月5、6両日。藤原氏は学園本部のある岡山市や獣医学部建設予定地の今治市などに出張し、移動手段の一部として学園の車を利用したという。

 愛媛県作成の文書によると、学園や県と市の担当者は同年4月2日、首相官邸に柳瀬唯夫首相秘書官(当時)を訪ねる直前、藤原氏とも面会し、「要請の内容は総理官邸から聞いている」「かなりチャンスがある」と告げられたとされる。

 県と市は同年6月、国家戦略特区での獣医学部新設を申請した。

 予算委で質問に立った中野洋昌氏(公明党)が「学園から便宜供与を受けたのであればとんでもないこと」とただすと、梶山氏は「(旅費法や国家公務員倫理規程など)法令上の問題がないとしても、民間業者との関係が公務への疑いを招く結果とならないよう慎重に対応することが必要だ」と指摘していた。

 また、川内博史氏(立憲民主党)は「他に飲食の提供や物品の贈答などがなかったか調査すべきだ」と追及。梶山氏は「調べさせていただく」と答えた。 

 

獣医学部新設問題 内閣府幹部の視察、学園車両で 担当相「問題か精査」(2018年5月15日配信『毎日新聞』)

 

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藤原豊氏

 

 学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡り、梶山弘志地方創生担当相は14日の衆院予算委員会の集中審議で、2015年に内閣府地方創生推進室の藤原豊次長(当時)が愛媛県今治市などを視察した際に学園の車を利用していたことを明らかにした。梶山氏は、適切ではなかったとの認識を示し、法令上の問題がなかったか精査すると説明した。一方、安倍晋三首相は、柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)が同年に学園関係者と首相官邸で3回面会していたことについて「報告は受けていなかった」と強調した。

 国家戦略特区を担当していた藤原氏は同年8月5、6日に熊本県、さらに学園が運営する岡山理科大がある岡山市やその後同大の獣医学部が新設される今治市に出張したことが既に分かっている。野党は学園側から便宜供与があったのではないかと追及。立憲民主党の川内博史氏は11日の衆院文部科学委員会でも質問したが、内閣府はこれまで調査中だと回答を避けてきた。

 梶山氏はこの日の予算委で、公明党の中野洋昌氏の質問を受け、移動手段の一部に学園の業務用車両を利用していたことを明らかにした。

 そのうえで「国家公務員倫理規程や(国家公務員)旅費法との関係については現在精査中」とし、「仮に法令上の問題がないにしても、民間業者との関係が公務への疑いを招く結果とならないよう慎重に対応することが必要」と述べた。川内氏は「他に飲食の提供や物品の贈答などがなかったか、きちんと調査をすべきだ」と要求した。

 この日の衆参両院の予算委では、柳瀬氏が10日の予算委で面会を首相に報告していなかったと答弁したことを巡って野党が追及。首相は「国家の重大事でない限り、(秘書官から)途中段階で説明を受けることはほとんどない」と指摘。獣医学部新設を含む規制改革の全体像の説明を受けたことはあるとしながらも「今治市や加計学園など個別具体的な話は全くしていない」と語った。

 

安倍首相が集中審議で前川前次官の発言を捏造!「前川も京産大は熟度が十分でない、加計しかないと認めた」と大嘘(2018年5月15日配信『リテラ』)

 

「膿を出し切る」とは一体何だったのか。昨日、衆参予算委員会で集中審議がおこなわれたが、与党は愛媛県の中村時広知事の参考人招致を拒否。そして安倍首相は、柳瀬唯夫・元首相秘書官の答弁について「愛媛県や今治市との面会は『記憶にない』と言っていたが、加計学園関係者と会っていないとはいままでも証言したこともない」「嘘はついていない」とし、あの茶番答弁を「3年前の記憶をひもときながら正直に話していた」と評価したのだ。

 いや、自分の不正をごまかすために、元秘書官の嘘を評価しただけではない。安倍首相は昨日の答弁で、唖然とするようなでっちあげまでおこなった。

 それは、国家戦略特区に京都産業大学ではなく加計学園を選んだという選定が正当であった理由を強弁したときのことだ。

「前川前次官ですらですね、京産大はすでに出していたんですが、そのことはまだ準備がまだ十分じゃないという認識の上に、熟度は十分ではないという認識の上に、加計学園しかなかったとおっしゃっていたわけであります」

 じつは安倍首相は、先週生出演した『プライムニュース イブニング』(フジテレビ)でも、同じようにこう主張していた。

 「そういうなかにおいて、前川前次官も認めていることなんですが、そういう意味における熟度の高かったところが加計学園であり、積極的なアプローチをしたということなんだろうと」

 前川喜平・前文科事務次官が、京産大よりも加計学園のほうが熟度が上だったと認めている……? そんな話は聞いたことがない。むしろ、前川氏はこれまで“京産大は恣意的に排除された”と語っており、「サンデー毎日」(毎日新聞出版)2017年12月3日号に掲載されたインタビューでは、京産大の提案を「京大のiPS細胞研究所とタイアップする、というそれなりに立派な構想だった」と評価し、「国家戦略特区法が求める国際的な競争力はむしろ京産大の方があったかもしれない」と話していたのではなかったか。

 前川氏は「京産大より加計が熟度が高かった」などと一切発言していない

 実際、前川氏の過去の発言を総ざらいしてみたが、「熟度の高かったところが加計学園」という発言はまったく確認できなかった。

 にもかかわらず、安倍首相がこんな妄言を語ったのは、どうやら、昨年7月の閉会中審査で、前川氏が口にした「京都産業大学が意向があるということは確かにございましたけれども、具体化したようなものではなかった。むしろ、その時点で具体的な計画として意識しておりましたのは、やはり今治市の加計学園しかなかったわけであります」という発言を指したものらしい。

 しかし、そのときの質疑応答を見返せばすぐにわかるが、言葉がまったく違っているのはもちろん、趣旨もまったく違う。

 前川氏の発言は、2016年9月9日、和泉洋人首相補佐官に呼び出され、「総理は自分の口からは言えないから、私が代わって言う」と言われ、獣医学部設置の特例について文科省の対応を早くしろと圧力をかけられたことについての説明のなかで出てきたものだ。自民党の小野寺五典衆院議員から「(和泉補佐官の発言を)なぜ加計学園と指したものだと確信したのか」という質問に対して、「その時点では」京産大の計画が具体化していると認識していなかったから、加計学園のことだと受け止めたと答えただけなのである。

 

 じつは、前川氏はこのとき、さらに小野寺議員から「前川さんも実は、獣医学部をつくる、その成熟した計画があるのは加計学園の岡山理科大しかなくて、京産大もある面ではまだそこまでいっていない、そういう認識だったということか」と揚げ足を取るような質問をされていた(実際、小野寺議員は質問の前に「これはちょっと言葉をやったとったかもしれませんが」と、揚げ足取りを認めるような発言をしている)。

 しかし、前川氏は「実際に京産大がどの程度の具体化した計画を持っていたかということは、その時点で私は承知しておりませんでした」と、これをきっぱり否定している。

 つまり、前川氏の発言は、準備や計画の熟度が低いという意味ではまったくなく、前川氏自身が9月9日時点で具体的な計画を知らなかった。そう言っているにすぎない。

 実際、京産大は2016年3月に国家戦略特区の申請をおこなったが、9月9日の時点ではまだ、国家戦略特区ワーキンググループからのヒアリングを受けていなかった。そういう意味では、前川氏が京産大の具体的な計画内容を知らなかったとしてもなんら不思議はなく、加計のヒアリングしかおこなっていない段階で「文科省の対応を早くしろ」と迫った和泉首相補佐官の指示を加計の認可を早くしろ、という働きかけと受け取ったのも当然だろう。

 しかも、前川氏が京産大について「準備や計画の熟度が低い」などと考えていかなったことは、その後の前川氏の発言からもはっきりしている。約1カ月後の10月17日、京産大が正式に国家戦略特区ワーキンググループからヒアリングを受けて、21ページにも及ぶ資料を提出すると、その日、前川氏は再び和泉首相補佐官から呼び出され圧力を受けているが、そのときの自分の返答について「その時点では、強力なライバルである京都府、京都産業大学が具体的な構想を持っているということも承知していた」「10月17日の時点では、やはり引き続き検討中ですという以上の答えはできなかった」と語っているのだ。

 一体これのどこをどう解釈すれば、「前川前次官も加計のほうが熟度が上だったと認めている」という話になるのか。前川氏は閉会中審査の時点で小野寺議員の「成熟した計画があったのは加計のほうという認識か」という質問を否定し、その後、「強力なライバルである京産大が具体的な構想を持っている」とまったく逆の発言をしているのに、安倍首相はあたかも前川氏が加計と京産大を比較した上で「加計のほうが熟度が上だった」と認めているかのようにテレビや国会で主張したのである。

 山本前地方創生相が京産大の獣医学部新設を断念するよう圧力をかけていた

 よくもまあ、こんな捏造、でっちあげができたものだが、これ、どうも元ネタはネトウヨらしい。実際、この閉会中審査の後、ネトウヨが一斉に前川氏の発言を歪めて「前川が京産大は論外だったと証言した」などとわめきたてていた。おそらく最近になってそれを知って「これは使える」とそのまま口にしたのだろう。

 まったく一国の首相とは思えないフェイク体質だが、しかし、不正をごまかすためにいくら必死で嘘を重ねても、そのあとから、次々に嘘がばれているのがいまの安倍政権の状況だ。

 昨日の集中審議でも、安倍首相が「熟度が十分でなかったから」と説明した京産大に関して当時の山本幸三地方創生相が獣医学部新設を断念するよう圧力をかけていたという新事実が明らかになった。共産党の田村智子参院議員が独自入手した文書によると、獣医学部新設を1校に限るという方針が決まる2カ月も前の2016年10月に、山本地方創生相が京都府に対して、「経過もあり、1校しか認められない。難しい状況なので理解してほしい」と説得していたというのである。この面談内容について、梶山弘志地方創生相は「行政文書は残していない」などと逃げたが、自民党の西田昌司参院議員のブログには、京都府副知事とともに山本地方創生相のもとに陳情に訪れたことが写真とともにはっきりと書かれている。

 安倍首相はこれまで「加計学園のために1校に絞るということにしたわけではなく、広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限る、1校に限るという要件は獣医師会等の慎重な意見に配慮したもの」などと答弁してきた。だが、これもやっぱり嘘で、実際は加計を通すために「京産大は断念しろ」と迫っていたのである。

 JNNの世論調査では、参考人招致の際の柳瀬氏の説明について、「納得できない」と答える人は80%にものぼった。安倍首相の口にしていることが真っ赤な嘘であることは、いまや全国民周知の事実なのだ。にもかかわらず、安倍首相とその応援団たちの間でだけ、パラレルワールドのような嘘が堂々と流通している。

 こんな“フェイク総理”をいつまでも放置していたら、それこそこの国の価値観や常識そのものがおかしくなってしまいかねない。

 

加計集中審議 首相、追及かわし続ける 麻生氏、渋々謝罪(2018年5月14日配信『毎日新聞』)

 

 安倍晋三首相が出席して行われた14日の衆参予算委員会集中審議。野党は学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡る問題に加え、財務省の福田淳一前事務次官のセクハラ問題を巡る麻生太郎財務相の責任もただした。安倍首相が野党からの度重なるヤジにいらだちを見せつつ追及をかわし続けた一方、麻生氏が審議を中断させる場面もあり、深まらない論戦が続いた。

 「自分がしゃべりたいんだよ、この人は」。衆院予算委で、国民民主党の玉木雄一郎共同代表が北朝鮮非核化を巡って政府の考えをただした際、麻生氏が閣僚席からこう発言し、質疑は一時紛糾した。再開後、玉木氏は「閣僚がこのような態度では、まともな審議ができない。国会を不正常にしているのは安倍政権だ」と抗議。河村建夫委員長も「閣僚もそうだが、質疑中は静粛に願いたい」と注意した。

 柳瀬唯夫元首相秘書官は10日の参考人招致で、加計学園関係者と計3回面会しながら首相に報告しなかったと答弁した。野党の質問はこれを受け、加計学園問題に集中。首相は「手続きに問題はない」と繰り返したが、重なるヤジに、「私が話してますから、ちょっと静かにしてください」などといら立つ様子も見せた。

 午後の参院予算委でも、野党議員は「柳瀬氏の報告がないのは不自然だ」「(首相が加計孝太郎)学園理事長と親しいなら、獣医学部についても会話しているのでは」と追及。だが、首相は「加計氏と仕事の話はしない」と批判をかわし続けた。

 一方、麻生氏は衆院予算委で、前事務次官のセクハラ問題で女性社員のセクハラ被害を申し出たテレビ朝日に対し「おわびを申し上げます」と陳謝した。

 立憲民主党の川内博史氏から「被害女性への謝罪はないのか」と求められた麻生氏は「文書でおわびという形を申し上げており、向こうからも『深く受け止めております』というご返事をいただいた」「役所としてはきちんと申し上げたと思っている」と自説を展開。川内氏に「改めて口頭で言えということを言っておられるんですか」と問い返し、「最初からおわび申し上げていると思うが」としたうえで、渋々謝罪した。

報告なし、信じられない

 元総務相の片山善博・早稲田大院教授(政治学)の話 秘書官の作法として、首相と近しい人物との面会は首相のあだになる可能性もあり本人に相談する。指示がないのに柳瀬唯夫元首相秘書官が加計学園関係者と面会し、報告もしなかったとは信じられず、首相答弁は作り話としか思えない。「チーム安倍」の柳瀬氏が指南する時点で、加計ありきだったとの印象は拭えない。首相が一点の曇りもないと言うのなら、与党は野党が求める証人喚問などに応じるべきだ。

審議停滞は首相の責任

 岩本美砂子・三重大教授(政治学)の話 柳瀬唯夫元首相秘書官が加計学園関係者と3度会っていたことが判明しても、首相は新設を昨年1月まで知らなかったと言い張っている。誰もが分かる矛盾で、完全な行き詰まりだ。審議が進まないのは「野党がサボっているから」という声があるが、このような答弁をする首相の責任だ。これでは国民の信頼は得られない。森友・自衛隊の日報隠し・セクハラ問題もあり、支持率にボディーブローのように効いていくと思う。

 

安倍首相、柳瀬氏を擁護 加計学園側と面会「問題ない」(2018年5月14日配信『朝日新聞』)

 

 政府の国家戦略特区による学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設をめぐり、安倍晋三首相は14日の衆参両院の予算委員会で、特区担当だった柳瀬唯夫・元首相秘書官(現・経済産業審議官)が学園関係者と面会したことについて「問題ない」と述べた。首相は自らの関与を否定し、新設が決まった過程の正当性を改めて強調した。

 柳瀬氏は学園関係者と首相官邸で2015年4月2日を含め3回面会したとしている。これに対し、首相は「行政の公正、公平が保たれなければならないことは大前提ではあるが、秘書官として現場の声や生の情報に耳を傾けることが必要と考えることもあるだろう」と擁護した。

 首相は、15年4月2日の面会については「あったんだろうと思う」としつつ、「この面会が全く影響を与えていないということは(政府の国家戦略特区ワーキンググループの)八田(達夫)座長をはじめ、皆さん明確に言っている」と主張した。

 一方、国家戦略特区による獣医学部新設を1校に限定する方針の決定前に、政府が獣医学部を誘致していた京都府側にその方針を伝えていた疑いも出てきた。

 共産党の田村智子氏は参院予算委で、16年10月24日に山本幸三地方創生相(当時)が京都府副知事らから獣医学部新設の要請を受けた際、「経過もあり1校しか認められない。難しい状況なので理解してほしい」と発言したと記された文書を入手したと明らかにした。1校に限る方針が正式に決まったのは、2カ月以上後の17年1月だった。

 山本氏の後任の梶山弘志地方創生相は事実確認を求められ、「承知していない」と答弁。面会記録の要求には、「(京都府が持ってきた)要望書の写しがあり、それをもって記録としている」として、山本氏と京都府側との具体的なやりとりの記録の存在については認めなかった。

 

柳瀬氏の面会「問題ない」 衆院委 首相「報告も受けず」(2018年5月14日配信『東京新聞』)

 

 安倍晋三首相は14日午前の衆院予算委員会で、学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設に関し、柳瀬唯夫・元首相秘書官が学園関係者と面会していたことについて、国家戦略特区の議論に影響を与えていないとして「問題ないと考えている」と語った。自身への報告も否定し「(秘書官が)報告してくるのは、私が何らか判断する必要がある時だ。国家の重大事でもない限り、途中段階で説明を受けることはほとんどない」と主張した。

 柳瀬氏は先の衆参両院予算委に参考人として出席し、2015年4月前後に計3回、加計学園関係者と面会していたことを認め、そのうち1回は愛媛県や同県今治市職員が同席していた可能性にも言及した。

 首相は柳瀬氏の在任中、国家戦略特区諮問会議の開催などに先だって「獣医学部新設を含む規制改革項目の全体像について説明を受けたと思うが、今治市や加計学園などといった個別具体的な話は全くない」と強調した。

 梶山弘志地方創生担当相は、国家戦略特区を担当する内閣府職員が15年8月に今治市などを訪れた際、加計学園側の車を利用したとされることについて、法令に抵触するか確認中だと説明。その上で「民間業者との関係は公務の疑いを招く結果とならないよう、常日頃から慎重に対応することが必要だ」と述べた。

 首相は北朝鮮による日本人拉致問題を巡って「最終的には日朝で話し合わないと完全に解決できない」と指摘。一方で「日朝首脳会談は拉致問題の解決につながるものでないといけない」と北朝鮮の出方を見極める考えを示した。

 来月12日にシンガポールで行われる米朝首脳会談の後、トランプ大統領から「直接話を聞きたい。どのような形かは今後調整したい」と首脳会談も含め説明を受ける方針を説明した。

 野党は14日朝の衆院予算委理事会で、柳瀬氏との面会記録を公表した愛媛県の中村時広知事らの国会招致を要求した。与党は拒否した。中村氏は県職員が首相官邸で柳瀬氏と面会し、メインテーブルに座って説明したなどと、柳瀬氏と異なる主張をしている。

 

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首相、柳瀬氏面会「報告受けていない」(2018年5月14日配信『毎日新聞』)

 

 安倍晋三首相は14日午前、衆院予算委員会の集中審議で、学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡り、柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)が2015年に学園関係者と首相官邸で3回会っていたことについて、「報告は受けていない」と述べた。学園が国家戦略特区の事業者に認定される前に面会していたことについても、「問題ない」と話し、認定プロセスは適正だったと重ねて説明した。

 柳瀬氏は10日の予算委で、面会を首相に報告していなかったと答弁していた。首相は「国家の重大事でない限り、(秘書官から)途中段階で説明を受けることはほとんどない」と指摘。獣医学部新設を含む規制改革項目の全体像の説明を受けたことはあるとしながらも、「今治市や加計学園など個別具体的な話は全くしていない」と語った。

 また、政府の国家戦略特区諮問会議ワーキンググループの八田達夫座長が10日の衆院予算委で「柳瀬氏から働きかけはない。有識者の議論に影響を与えたことはない」と述べたことを紹介し、「面会は問題ない」と語った。さらに「誰一人私から何らの指示も受けていないことは明らかになっている」と強調した。

 ただ、首相は学園理事長を親友の加計孝太郎氏が務めていることに触れ、「国民から疑念の目が向けられることはもっともだ。このことを十分に意識し今後とも事実に基づき説明したい」と述べた。

 一方、愛媛県の中村時広知事は、柳瀬氏を「全ての真実を語っていない」と批判している。国民民主党の玉木雄一郎代表は「解決への近道は一堂にそろうことだ」と中村氏や柳瀬氏の証人喚問を求めたが、首相は「全会一致が慣例だ」などと否定的な考えを示した。

 午後には参院でも予算委集中審議が行われた。

 

「うみを出し切る発言、その通りの行動を」小泉進次郎氏(2018年5月14日配信『朝日新聞』)

 

小泉進次郎・自民党筆頭副幹事長(発言録)

 (安倍晋三首相の予算委員会での発言について)北朝鮮の問題とかで大きく世界の構図が変わろうとしている局面で、いつまでたっても、こういった(加計)問題に時間をとられ、与党も国民から信頼を失い、野党も長く欠席が続くこと自体も評価されず、政治全体、行政全体の信頼が失墜しているということは本当に不幸なことですよね。

 国会審議を欠席した野党を非難するのではなくて、この問題にいつまでたっても終止符をうてないことを自分たちは反省しないといけない。(首相が)「うみを出し切る」と言ったわけですから、その通りの行動をしなければいけない。疑惑払拭(ふっしょく)、国民が納得してくれるために必要なことはちゃんとやるべきだと思いますね。(視察先の北海道訓子府町(くんねっぷちょう)で記者団に)

 

柳瀬氏答弁、納得せず75% 働き方法案不要68% 共同世論調査(2018年5月14日配信『共同通信』)

 

 共同通信社が5月12、13の両日に実施した世論調査によると、加計(かけ)学園の獣医学部新設を巡り、安倍晋三首相の関与を否定した柳瀬唯夫(やなせただお)元首相秘書官の国会での説明に関し「納得できない」が75・5%に達した。納得できるは14・7%だった。安倍政権が今国会の最重要法案と位置付ける働き方関連法案に関し、今国会で成立させるべきかを尋ねたところ「必要はない」が68・4%で、「成立させるべきだ」が20・3%だった。

 内閣支持率は38・9%で、4月14、15日の前回調査から1・9ポイント増。不支持は50・3%だった。加計学園の獣医学部新設に関する手続きが「適切だったと思わない」との回答は69・9%で、「適切だった」の16・9%を大きく上回った。安倍首相の下での改憲に「賛成」は31・7%、反対は57・6%。

 前財務事務次官のセクハラ問題を巡り麻生太郎財務相が女性記者にはめられた可能性が否定できないとの見方を示し、その後撤回したことに関し、麻生氏の責任を聞くと「辞任すべきだ」が49・1%で、「辞任の必要はない」は45・5%だった。

 6月にシンガポールで朝鮮半島の非核化を巡り協議する米朝首脳会談に「期待する」は58・0%で「期待しない」は37・3%。結党した国民民主党に「期待する」は18・1%にとどまり、「期待しない」は74・3%だった。

 政党支持率は自民党が前回比0・3ポイント増の37・1%、立憲民主党も1・4ポイント増の13・3%となった。国民民主党1・1%、公明党3・7%、共産党4・5%、日本維新の会1・5%、自由党0・7%、新「希望の党」0・7%、社民党0・8%。「支持する政党はない」とした無党派層は34・2%だった。

 

「加計」疑惑 柳瀬氏答弁(2018年5月13日配信『しんぶん赤旗』)

 

首相かばうウソ? 喚問は不可欠

 学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐる柳瀬唯夫元首相秘書官の国会答弁が、“加計ありき”の疑惑をさらに深めています。ウソの証言をすれば罪に問われる証人喚問は待ったなしです。

指示・報告ない、メモとらない

みんなあり得ない

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 “指示を受けたことはない”“報告したこともない”“面会のメモもとっていない”。柳瀬氏は、安倍首相にかかわる事実を問われると、ないない尽くしの答弁を繰り返しました。

 加計学園の加計孝太郎理事長と安倍首相が「友人関係だろうということは認識していた」と認めながら、安倍首相の関与だけはキッパリ否定する不自然な答弁の数々…。これには、秘書官・閣僚経験者からも疑問の声が上がっています。

 自民党の石破茂元幹事長は「総理に秘書官が報告しないことは普通考えられない。秘書官は個人ではなく、(総理の)分身として会っていて、誰に会ったか報告するのが普通だ」(10日、記者団に)と指摘。橋本龍太郎首相の秘書官を務めた経験のある無所属の会の江田憲司衆院議員も「総理秘書官は総理大臣と一心同体だ。許認可や補助金の対象事業者と会うと、それは総理に累が及び、疑念を招く」「その常識を覆してまで(加計学園関係者と)会ったということは、やはり総理大臣か政務秘書官、首席秘書官からの指示があったとしか考えられない」(10日の衆院予算委員会)と指摘しています。

 さらに、面会には首相秘書官付のスタッフを同席させていたことを認めながら、柳瀬氏は「私のスタッフも通常、同席してメモを取ることはない」と答弁。とても信じられる説明ではありません。

無理な答弁重ねる

 では、なぜ、柳瀬氏は無理な答弁を重ねるのか―。文部科学省の前川喜平前事務次官は11日、弁護士を通じて出したコメントで「柳瀬氏の答弁で最も不自然な部分は、同氏が加計学園と3回面会し、国家戦略特区で提案するとの報告を受けておきながら、『総理に対して報告したことも指示をしたことも一切ありません』と主張した点だ」と強調。「これは、秘書官の職務遂行上ありえないことであり、安倍首相をかばうための虚偽答弁だと考えざるをえない」と指摘しています。

 実際、安倍首相は昨年7月の衆院予算委員会で、加計学園の獣医学部新設計画を知ったのは学園が事業者に決定した2017年1月20日だったと答弁しています。一方、柳瀬氏は15年の面会時点で、加計学園が獣医学部新設を目指していることを認識。柳瀬氏は「今治市と加計学園が連携しながらやっていた」とも述べており、安倍首相に面会の事実を報告していれば、安倍首相の方の国会答弁が根底から崩れることになります。

 柳瀬氏の参考人質疑では、国民の疑念が晴れるどころか、ますます深まっています。真相解明のためには、安倍首相自身が国会で国民の納得する説明を行う責任があります。そして、何より当事者である加計理事長をはじめ、関係者の証人喚問が不可欠です。

面会3回、詳細な助言

「加計ありき」鮮明

 官邸側の筋書きには沿うものの、愛媛県の主張とは真っ向から対立する説明をしてみせた柳瀬氏。どんなに言い繕っても、加計学園を特別扱いした事実は消せません。

 柳瀬氏は加計学園関係者と「2015年2月か3月」「4月2日」「6月4日前後」の3回、首相官邸で会いました。首相秘書官が、将来的に許認可や補助金の対象となる事業者と事前に会うこと自体が異例です。その上、獣医学部新設のために関係省庁や獣医師会への対策を助言し、国家戦略特区を活用するよう提案しました。

 面談した理由について柳瀬氏は「外の方からアポイントがあれば時間が許す限り会うようにしていた。総理の親友だからということはない」と、あたかも誰とでも会っているかのように主張しました。国家戦略特区には300近い認定事業者がいますが、柳瀬氏は「特区の関係で会った民間の方(事業者)は加計学園だけ」と、ここでも異例の扱いです。

 経過を見ても同様です。柳瀬氏は2月から3月に加計学園関係者と会ったとき、獣医学部新設のため今治市と一緒に構造改革特区を申請していることを確認しました。

 4月2日の面談では加計学園に対し、構造改革特区でもよいが国家戦略特区の方が安倍政権として力を入れていると詳しく説明。同席していた愛媛県職員は「首相案件」だから確実に成功すると理解しました。

 6月4日前後の面談では、加計学園から「(今治市が)国家戦略特区の提案を出すことになった」と報告を受けました。

 3回とも加計学園関係者を主とした面談で、愛媛県や今治市はついてきた格好です。加戸守行前愛媛県知事は「4月2日の会合で国家戦略特区のアドバイスをいただいたことが、今治獣医学部の認可につながった点では感謝したい」(10日、参院予算委員会)と答弁しました。

 一方、同じく獣医学部新設を目指していた京都産業大学に対して安倍政権は、18年4月開学などの条件を17年1月の公募で発表。京産大は教員確保が間に合わないと国家戦略特区への申請を断念しました。

 安倍首相の親友である加計孝太郎氏が理事長を務める加計学園には手とり足とり教え、そうでない大学は容赦なくふるい落とす。一連の経過が「加計ありき」の証拠です。

 

加計疑惑 柳瀬答弁 ボロボロ(2018年5月13日配信『しんぶん赤旗』)

 

愛媛側反論で矛盾 再び説明責任

 学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題をめぐり、衆参両院の予算委員会参考人招致での柳瀬唯夫元首相秘書官の答弁(10日)の信ぴょう性が疑われる事態になっています。愛媛県との面会、県側が発言していたことを明言しない柳瀬氏に、中村時広県知事は、面会時に交換したという柳瀬氏の名刺など物的証拠を示して反論。“柳瀬答弁”の矛盾は広がるばかりです。

 中村知事が批判したのは、官邸で加計学園幹部とは面会したが、愛媛県や今治市の職員の同席や発言は「記憶にない」という柳瀬氏の答弁。中村知事は「県職員は県の立場を説明するために行き、しっかり発言している」と反論し、職員が保管していたという柳瀬氏の名刺を公表しました。

 柳瀬氏の、メインテーブルには吉川泰弘元東大教授(現・岡山理科大学獣医学部長)と学園幹部が座っていたという話に関しても、「職員はメインテーブルに座っていた」「(吉川氏は)いない」と主張。出席人数も「10人近く」とする柳瀬氏に対し、中村知事は「こちら側が6人で、そのうち3人が県」だといいます。

 柳瀬氏が「本件は、首相案件」と述べ、獣医学部新設への道筋を懇切丁寧に助言したと記されている県の面会記録をめぐっても、中村知事は「ありのままに書いている」と強調。「伝えたかった趣旨と違う」「『首相』という言葉は使わない」とする柳瀬氏の主張を、「脚色はない」「(総理も首相も)われわれからすれば全く同義語」だと一蹴しました。

 面会記録のうち、柳瀬氏が「覚えがない」とかたくなに認めなかった「下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっている」の部分についても「あの通りだ」と明言しました。下村氏の発言は、安倍晋三首相と学園の加計孝太郎理事長の会食の際に話題になったとされており、安倍首相が事の経緯を知っていたか、自ら学園に便宜を図ったかの疑惑の核心に関わる箇所です。

 愛媛県側の反論があったにもかかわらず、安倍首相は、柳瀬氏を「誠実に答えていた」と評価。菅義偉官房長官は「地方自治体のことに対してコメントする立場でない」の一点張りで、与党は中村知事の国会招致を拒否しています。

 日本共産党の塩川鉄也議員が「中村知事の反論により、説明責任は政府に返ってきている」と指摘(11日、衆院内閣委員会)するように、官邸での面会内容をめぐる柳瀬氏の答弁の信ぴょう性は早々に崩れ、さらなる真相解明が必要になっています。その一歩として柳瀬氏の証人喚問と中村知事の参考人招致が急務です。

 

枝野氏「総理の期待通りなら報告なしでもおかしくない」(2018年5月12日配信『朝日新聞』)

 

枝野幸男・立憲民主党代表(発言録)

 (柳瀬唯夫・元秘書官から加計学園関係者と面会した報告がなかったことについて、安倍晋三首相が「全然問題ない」と話したことを問われ)加計学園(の加計孝太郎理事長)がお友達ということは、すでに柳瀬さんも知っている状況だから、学園の思った通りの結論になれば、中間報告はいらないというのはその通りかもしれない。

 安倍さんと加計さんの関係を知った上で行動しているのは、柳瀬さんも認めている。従って、総理の期待通りに動いているところでの報告はなかったとしても、おかしくない。

 しかし、そもそもなぜ学園とアポが取れたのかということ自体が、「それはお友達だったからでしょう」というのは、はっきりしている。今さら細かいことの話をするよりも、構造がはっきりしてるので、どう責任、けじめをつけるのかという話だ。(さいたま市で記者団に)

 

真偽を検証 柳瀬氏答弁「アポがあれば誰とでも」は大ウソ(2018年5月12日配信『日刊ゲンダイ』)

 

ウソしかない…(右が佐伯秘書官)

 

「時間の都合がつく限り、どなたであってもアポイントがあればお会いした」

 柳瀬唯夫元首相秘書官(現・経済産業審議官)に対する10日の参考人招致で、野党議員が一斉に「えーっ」と仰天の声を上げたのが、この答弁だった。

 首相秘書官という重責を担う国家公務員が、アポがあれば誰とでも官邸で面会し、話の中身はメモに取らず、首相にも報告しない。しかも記録も一切残さない――。スパイが大喜びする柳瀬氏のこの発言を確認するべく、日刊ゲンダイ本紙記者はさっそく、11日、官邸にアポの電話を入れた。面会を要望した相手は、柳瀬氏と同じ経産省出身で、国会審議中に質疑者にヤジを飛ばして厳重注意となった佐伯耕三首相秘書官だ。

 最初に電話対応した官邸の担当者は「折り返し連絡する」と返答して電話を切り、3時間ほどして佐伯秘書官付の職員から連絡が来たのだが、いきなり「プレスの方との面会は、取材であるか否かにかかわらず、全てお断りしています」とピシャリ。本紙記者が「取材ではない。柳瀬さんは誰とでも面会していたではないか」と食い下がったのだが、「秘書官は基本的に『裏方』の業務を担当しており、表で取材を受ける立場にありません」と門前払いだったからフザケている。

 柳瀬答弁は何から何まで全てウソだ。

 

「特別待遇」浮き彫り=面会は加計のみ3回−柳瀬氏答弁〔深層探訪〕(2018年5月12日配信『時事通信』)

 

 学校法人「加計学園」獣医学部の愛媛県今治市への新設をめぐる10日の参考人質疑で、柳瀬唯夫元首相秘書官は関係者と面会を重ねていたと明かした。学園の加計孝太郎理事長が安倍晋三首相と親しいことを認識していたとし、国家戦略特区の申請者で面会したのは学園関係者だけとも答弁。学園の学部新設計画が「特別待遇」で進んだことが浮き彫りになった。

 ◇整合性崩さず

 「(2015年)4月2日だったと思うが、学園関係者と面会した」。柳瀬氏は10日の衆院予算委員会で、首相官邸での面会を初めて認めた。さらに「2月か3月」と4月2日より後の1回ずつを含め計3回、学園側と会ったと説明した。

 首相秘書官が首相官邸で、個別案件の利害関係者と短期間に面会を重ねるのは異例。柳瀬氏も「特区の申請者の中でアポイントの申し入れがあったのはこの件だけ」と語った。13年5月に山梨県鳴沢村にある首相の別荘で加計氏と顔を合わせたと答え、「(首相と)友人関係だろうとは認識していた」と述べた。

 柳瀬氏はこれまで、愛媛県と今治市の担当者との面会について「記憶の限りではお会いしたことはない」と話し、首相の関与を疑う野党に言質を与えずにきた。しかし、今年4月、県作成の文書に、県と市、学園の3者による柳瀬氏への面会記録があることが発覚。関係府省からも面会を裏付ける資料が見つかった。

 こうした状況下で臨んだ参考人招致で柳瀬氏は、国会で過去に質問を受けなかった学園との面会を認めつつ、県と市の担当者については「随行者の中にいたかもしれない」と曖昧に答弁。従来の説明との整合性を重視したとみられるが、特区申請も学園から聞いたと答えたため、野党から「加計ありきそのものだ」と批判を受ける結果となった。

 ◇「受験生に合格答案」

 愛媛県文書に、柳瀬氏が「本件は首相案件」と述べたと記されていることの真偽も焦点だった。柳瀬氏は「普段から『首相』という言葉は使わない。私の発言としては違和感がある」と主張。首相の関与についても「報告したことも指示を受けたことも一切ない」と強調した。

 ただ、「面談で獣医学部新設の解禁は総理が早急に検討していくと述べている案件だという趣旨は紹介した」と言及。社民党の福島瑞穂副党首は参院予算委員会で「事業者に3回会って特区について指南している。試験の監督官が受験生に合格答案を教えるようなもの」と述べ、学園を特別扱いしたと断じた。

 野党側は、首相が17年1月20日に学園の計画を知ったと主張し、柳瀬氏による学園側との面会時期と2年近くずれている点も取り上げた。

 柳瀬氏は「首相に『こういう方と会った』といちいち報告したことはない」と説明したが、首相秘書官の経験がある衆院会派「無所属の会」の江田憲司氏は、「首相に進捗(しんちょく)状況を報告しないのは職務懈怠だ」と指摘。「首相秘書官の常識に反することばかりで驚いている」とも強調した。

 ◇収束見通せず

 「徹底的に事実を解明するという目的はなお果たされていない」。10日の参考人質疑について、自民党の石破茂元幹事長はこう指摘。野党側は「疑惑は深まったというよりも予想以上に深刻な問題だ」(立憲民主党の長妻昭代表代行)と受け止め、引き続き追及する方針で、政権が目指す加計問題の収束は依然として見通せない。

 

困った時のフジ頼み 安倍首相“緊急出演”内容ゼロの40分間(2018年5月12日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 窮地に陥ると、いつもこのパターンだ。11日、安倍首相がフジテレビの「プライムニュースイブニング」に“緊急生出演”。午後5時20分ごろから40分以上にわたって電波を占拠した。

 加計学園の獣医学部新設については、「プロセスに一点の曇りもない」「私から指示された人はひとりもいない」と従来通りの主張を繰り返すだけ。前日に国会招致された柳瀬元首相秘書官が、加計学園関係者と会ったことを安倍首相に報告していないと答弁したことも、ニタニタしながら「まったく問題ない」と言い放った。

「フジは安倍首相べったりの日枝元会長が今も隠然たる影響力を発揮している。プライムニュースで質問役を務めた反町キャスターも完全に安倍応援体制に組み込まれています。安倍首相は、政権浮揚策に位置付けていた日米首脳会談が財務省のセクハラ次官に話題をかっさらわれて話題にならず、支持率回復に結びつかなかったことに立腹でした。支持率回復を狙って、フジの番組に生出演したのでしょう。応援団メディアなら厳しい質問を浴びせられることもないので、記者会見より安心ですからね」(一般紙の政治部デスク)

 

 

「過去にないウソつき政権」自民内に危機感 加計問題(2018年5月12日配信『朝日新聞』)

 

 愛媛県職員は確かに面会し、発言もした――。加計(かけ)学園の獣医学部新設計画をめぐる柳瀬唯夫・元首相秘書官の国会答弁に、愛媛県の中村時広知事が11日、反論を展開した。柳瀬氏と県の主張の矛盾を追及しようと、野党は中村知事の参考人招致を要求。政権や与党は防戦一方だ。

 「職員には地方公務員としての誇り、人間としての誇りもある」。11日、愛媛県庁内の会議室。中村時広知事は約40人の報道陣を前に語気を強めた。前日の柳瀬唯夫・元首相秘書官の答弁を「県の信頼にかかわる」とし、反論を繰り出した。

 問題視したのが2015年4月2日に学園関係者と面会した際、県職員らが「いたかどうか分からない」とした柳瀬氏の答弁だ。この日、中村知事は面会した職員から改めて聞き取りを実施。「(会った、会わないという)問題に終止符を打ちたいという職員の思いがあった」とし、「物証」となる柳瀬氏の名刺の公開に踏み切った。

 さらに「県職員は、首相官邸で県の立場を説明するために行っている。子どもの使いで行っているわけではない」と述べ、柳瀬氏の「あまりお話しにならなかった方は記憶からだんだん抜けていく」といった答弁に不快感を示した。当時どんな説明をしたか、県職員が覚えている内容をまとめたA4判のメモも公開した。獣医師養成系大学設置の必要性▽県と市のこれまでの取り組み▽今後の対応――として計15項目が記されていた。

 中村知事によると、職員は上司から「県を代表して首相官邸で説明する以上、メモなしで行うように」と指示を受け、「一生懸命頭にたたき込んで発言した」と知事に説明したという。

 困った時のフジ頼み――。安保法を衆院で強行採決した直後の2015年7月20日にも、安倍首相はフジの夕方のニュースに生出演。模型などを使って安保法の必要性や正当性を一方的に訴えた。当時も支持率が30%を下回り、政権運営が危ぶまれていた時期だ。

 元衆院議員で政治学者の横山北斗氏が言う。

「今回も安倍首相は自分が言いたいことだけ言って、さっさと帰ってしまった印象です。キャスターの質問に対する答えもピントはずれで、かみあっていなかった。あらかじめ用意した原稿を読んでいるだけのように見えました。加計問題にしても、自己正当化に終始するばかりで、一般の視聴者は『ますます怪しい』と感じたのではないでしょうか。安倍首相のための放送でしかなく、国民にとっては何のメリットもない。あれだけの時間を割く必要があったのか疑問です」

 都合よくメディアを利用する安倍首相と、権力者の言い分を垂れ流すメディアのもたれ合いは、醜悪きわまりない。

 

柳瀬氏、愛媛県関係者に謝罪「記憶にも限りがあるので」(2018年5月11日配信『朝日新聞』)

 

 学校法人加計学園の獣医学部新設をめぐり、国会に参考人招致された柳瀬唯夫・元首相秘書官(現経済産業審議官)は11日、前日の自身の答弁について「私の言葉に配慮が足りなかったことで、愛媛県の関係者の皆様に不快な思いをさせたのであれば、大変申し訳なかった」と陳謝した。

「人には誇りってのがある」愛媛知事、柳瀬氏発言に憤り

 経済産業省内で記者団に語った。愛媛県の中村時広知事が11日の会見で柳瀬氏の答弁を批判したことについて、柳瀬氏は「記憶にも限りがあるので、そこに違いがあるのかもしれない」と釈明した。

 また、中村知事が柳瀬氏の名刺を公表したことについて、記者団が「会って名刺を交換したのではないか」とただすと、「覚えている限りのこと、記憶があいまいなところも含めて申し上げた。それ以上、申し上げることはない」と明言を避けた。

 

愛媛県、柳瀬氏名刺を公開 「職員、県の立場説明」知事が会見(2018年5月11日配信『共同通信』)

 

 

 

 学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡り、柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)が国会の参考人招致で、2015年4月2日の愛媛県職員や学園関係者らとの首相官邸での面会について曖昧な発言を繰り返したことに対し、同県の中村時広知事は11日の定例記者会見で「終止符を打ちたい」として、名刺交換で職員が受け取った柳瀬氏の名刺のコピー、県側が説明した内容を改めてまとめた文書を公開した。面会時は「職員がメインテーブルについて県の立場をはっきり説明した」と強調した。

 柳瀬氏は県職員作成の文書に記載された面会時の「首相案件」発言を否定したが、中村知事は改めて「ありのままを書いたものだ」と指摘。柳瀬氏に対して「愛媛県の信頼を損ねる部分があった」と重ねて不快感を示し、「(関係する機関などが)それぞれ正直に言えば終わる話だと思っていたが残念だ」と話した。

 中村知事によると、10日の参考人招致を受けて改めて職員から聞き取りをし、面会した3人のうち1人が「会った会わないでずるずるしてはいけない」と名刺を持ってきたという。

 中村知事は10日、柳瀬氏の発言について「真実でないレベル(の発言)もいくつかあった」と指摘し、面会に同席した職員から聞き取りし、詳細な見解を述べるとしていた。

 

愛媛県の中村時広知事の記者会見(要旨)(2018年5月11日配信『毎日新聞』)

 

 −−柳瀬唯夫元首相秘書官の10日の国会答弁について。

 ◆既存の獣医学部は関東に集中し、なかなか岩盤が崩れない中、国家戦略特区を使ったらどうかという内閣府の助言があり、(愛媛県今治市での)開学につながった。県として歓迎している。このような記者会見をするのは残念だ。特に(柳瀬氏の)一部の発言は県の信頼にかかわる。地方公務員として誇りやプライドがある。

 県職員と会った会わないという単純な話をなぜずるずるしなければいけないのか。この問題に終止符を打ちたい。県職員は県の立場を説明するために首相官邸に行った。子どもの使いではない。

 −−県職員は後ろにいたのか。

 ◆違う。メインテーブルがあり、こちら側は6人。右側3人が愛媛県だ。

 −−2015年4月2日の面会で吉川泰弘元東京大教授はいたか。

 ◆いなかった。

 −−備忘録を作る際に録音はしたか。

 ◆確認できていない。

 −−「首相案件」に関して柳瀬氏は「私は首相という言葉は使わない」と言っている。

 ◆いろいろなとらえ方があるが、「総理」とは地方ではあまり言わない。「総理」を「首相」と書いた可能性は否定できない。しかし、総理案件も首相案件も同義語だ。

 −−柳瀬氏は、下村博文文部科学相(当時)に関するやり取りの部分を否定している。

 ◆あの(愛媛県文書の)通りだ。

 −−加計学園からの発言としてあった?

 ◆はい。

 −−柳瀬氏は面会時に10人近くいたと言っている。6人だと、もう4人は?

 ◆聞いていない。

 −−そもそも面会の目的は何だったのか。

 ◆今治市が主だが、県の応援態勢、熱意を伝えるためだった。

 −−国会に知事が出席する考えはあるか。

 ◆国会が決めることだ。私がどうこういう気持ちはない。県職員を国会に引っ張り出すなら、私が行く。

 −−首相案件と言われ、いい感触だと思ったか。

 ◆国家戦略特区そのものが首相案件だと思う。政府一体で力を入れていただいているのではないか。

 −−県職員は正直に書いたのか。

 ◆県職員は過小に書く習癖はあるかもしれないが、過大に書くことは経験がない。

 

「首相案件、総理案件は同義語」 愛媛知事の会見要旨(2018年5月11日配信『朝日新聞』)

 

 愛媛県今治市への加計学園の獣医学部新設計画をめぐり、10日の国会に参考人として出席した柳瀬唯夫・元首相秘書官の答弁。愛媛県の中村時広知事は11日、答弁の事実関係などについて職員から聞き取った結果を定例記者会見で発表し、柳瀬氏を改めて批判した。柳瀬氏の名刺も公開した。会見の主な内容は次の通り

愛媛知事「職員は子供の使いじゃない」柳瀬氏の名刺公開

 ――職員への聞き取り結果は

 「昨日の(柳瀬氏の)一部の発言は、県の信頼というものにかかわるようなこともあったので、非常に残念に思っている。職員には地方公務員としての誇りやプライド、人間としての誇りやプライドもある。そこにも思いをはせてほしい。残念ながらこちらの意図は通じていなかったのかなというところがあった。違うところは申し上げておかないといけないと思っている」

 「1点目。そもそも会った会わないで、なぜこんなに単純な話がずるずるとひきずられないといけないのか。この問題には終止符を打ちたいという職員の思いがあったので、4月2日に職員が官邸に行った時に柳瀬秘書官と交換した名刺について後ほど公開する」

 「もう1点。県職員は、首相官邸で県の立場を説明するために行っている。子どものつかいで行っているわけではありません。4月2日で、転勤の季節だった。担当者は鮮明に覚えていて、当時の上司から『県を代表して県の姿勢を説明し、ましてや場所が首相官邸で行われる以上、メモを見ながら話すなんて、県職員の誇りとしてやってはだめだ。すべて頭にたたきこんでメモなしで意見を述べるように』と指示があったそうで、一生懸命頭にたたきこんで、発言をしたということだった。残念ながらその時の記録は残っていないが、どんなことを言ったかはある程度覚えていると。メモとして作成してもらっている」

 

愛媛知事「職員は子供の使いじゃない」柳瀬氏の名刺公開(2018年5月11日配信『朝日新聞』)

 

 愛媛県今治市への加計(かけ)学園の獣医学部新設計画をめぐり、10日に国会に参考人招致された柳瀬唯夫・元首相秘書官の答弁について、愛媛県の中村時広知事は11日、定例記者会見で改めて批判し、会見後に柳瀬氏の名刺を公開した。柳瀬氏の発言として「本件は、首相案件」と記した県職員作成の文書と、答弁の内容に食い違う部分があったため、職員に詳しい報告を求めていた。

 県の文書は、柳瀬氏が2015年4月2日に首相官邸で県や今治市の職員と面会した際の記録。中村知事は記者会見で「(柳瀬氏の)一部の発言は愛媛県の信頼に関わる。一般論として真実ではないこと、極論で言えばウソで、他人を巻き込む」と述べた。

 柳瀬氏は国会で、加計学園の関係者との面会は認める一方、県と今治市の職員については「今でもわからない」「いたのかもしれない」と主張した。中村知事は「会った会わないでこんなに引きずらないといけないのか」と批判し、当時職員が柳瀬氏と交換した名刺を会見後に公開した。「27・4・―2」という面会の日付の赤い押印があり、柳瀬氏の出身省庁を示すとみられる「(経産)」と手書きで記されていた。

 柳瀬氏は、10日の答弁で当初、面会相手が10人近くいて、主に話したのはメインテーブルの吉川泰弘元東大教授(現・岡山理科大獣医学部長)や学園の事務局の職員らだったとし、「あまりお話しにならなかった方は記憶からだんだん抜けていく」とも述べていた。

 中村知事は「職員はメインテーブルに座っていた。後ろじゃない」と説明。面会したのは加計学園の関係者、県職員、今治市職員の計6人で、全員がメインテーブルに座ったとし、「職員に聞いたところ、この日は吉川氏はいなかった」とも述べた。

 また、「県職員は子どもの使いじゃない」とし、職員が積極的に発言した、とも主張。発言した職員が記憶をもとに作成した発言内容のメモを会見後公表した。このメモには、県や市の獣医学部新設への取り組みや、獣医師会への今後の働きかけなど、県としての発言が10項目以上記されている。

 

愛媛県知事「職員は柳瀬氏と名刺交換」名刺と発言メモ公表(2018年5月11日配信『NHKニュース』)

 

加計学園の獣医学部新設をめぐる柳瀬元総理大臣秘書官の10日の参考人質疑を受けて、愛媛県の中村知事は11日の記者会見で、3年前に県職員が総理大臣官邸を訪問した時、「県職員はメインテーブルに座り柳瀬氏と名刺も交換し、しっかりと県の立場を発言した」と述べて柳瀬氏の発言を批判しました。

そして、柳瀬氏から受け取った名刺と、職員が発言した内容のメモを公表しました。

10日の衆参両院の参考人質疑で柳瀬元総理大臣秘書官は、愛媛県今治市が国家戦略特区に提案する2か月前の平成27年4月2日に官邸で加計学園の関係者と面会したことを認めましたが、愛媛県と今治市の職員については「記録は残っておらず、県の方がいたのかどうかは今でもわからない」と述べるにとどまりました。

これについて、愛媛県の中村知事は11日の記者会見で、「県職員が柳瀬氏に会った、会わないということについては、終止符を打ちたい」としたうえで、「県職員3人はメインテーブルに柳瀬氏側の3人と向かい合って座った。柳瀬氏と名刺も交換し、しっかりと県の立場を発言している」と述べて、10日の柳瀬氏の発言を批判しました。

そして、柳瀬氏から受け取った名刺と、総理大臣官邸で職員が県の取り組みについて発言した内容のメモを公表しました。

メモには愛媛県と今治市が獣医学部新設にむけて、平成19年から15回にわたり、構造改革特区に提案したことや、公務員獣医師を確保するため、獣医学部の新設が必要なこと、さらに、獣医師会の強い反対を踏まえて、今後は賛同が得られるよう、粘り強く働きかけていくなどと発言したと記されています。

また、柳瀬氏が県が作成した文書に記載されていた「首相案件」という発言を否定したことついては、「県の文書はありのままのことを書いたものだ」という認識を示しました。

 

愛媛知事「どうして正直に言わないのか」 柳瀬氏発言に(2018年5月11日配信『朝日新聞』)

 

 柳瀬唯夫・元首相秘書官の参考人招致での発言をめぐり、愛媛県の中村時広知事は10日夕、報道陣の取材に応じ、「どうして全て正直に言われないのかわからない」と憤った。

 中村知事は柳瀬氏の発言について、「県の信頼を損ねるような発言があったのは非常に残念」と反発。その上で柳瀬氏が「首相案件」と語ったとする愛媛県の文書の記述について、「伝えたかった趣旨とは違う」などと反論したことを問題視し、「担当(職員)は一言一句漏らさずに報告したいという気持ちがあり、ありのままに書いたと言っている」と述べた。

 また柳瀬氏は加計学園の関係者との面会は認める一方、愛媛県と今治市の職員については、「今でもわからない」「いたのかもしれない」と述べるにとどまった。中村知事はこれにも言及。「(職員は)案件を突破、実現するために、それなりの思いを持って、発言しにいった」と主張した。

 さらに柳瀬氏の答弁の事実関係や感想について職員に報告を求めたことを明らかにした。11日の定例会見で発表するという。

 また今治市の菅(かん)良二市長もこの日、職員が柳瀬氏と面会していたことを初めて明らかにした。

 

今井秘書官は把握 柳瀬氏「面談隠し」やっぱり官邸ぐるみ(2018年5月11日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 やっと行われた柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人招致。相変わらず、記憶の曖昧さが際立つも、安倍首相の関与だけはキッパリと全否定。周到に練ったシナリオに従い、うまくしのいだかに見える柳瀬氏だが「オヤッ」という場面があった。

 官邸の実力者、今井尚哉首相首席秘書官の名前を出したシーンだ。柳瀬氏の「加計面談隠し」は、官邸ぐるみで行われた疑いがある。

 柳瀬氏は2015年3〜6月の短期間に3回も加計関係者と面談していたことを認めた。安倍首相への報告を問われた柳瀬氏は「全く総理にお話ししたことはございません」と答弁したが、今井秘書官についてはこう答えた。

「昨年7月、閉会中審査があった。今井秘書官から、事実関係の問い合わせがあり、加計学園の事務局の方や元東大教授と官邸で会ったという事実を伝えた」

昨年7月の閉会中審査も、柳瀬氏が出席し、加計問題について何を語るか注目されていた。恐らく、気が気でない今井秘書官が「おい柳瀬、大丈夫か」と問い合わせたのだろう。

「加計面談」を隠し続けた柳瀬氏に批判が集中しているが、昨年7月の時点で、安倍首相と一心同体である今井秘書官も「加計面談」を把握していたということだ。どうにも怪しいのは、翌8月、朝日新聞の取材に対し、柳瀬氏が加計幹部の同席を「記憶にない」と、かたくなに否定していることだ。

■認可直前の最悪のタイミング

いったい、柳瀬氏は今井秘書官とどんなやりとりをしたのか。実は、安倍官邸はその頃、加計面談が表に出ることを極度に嫌がっていたという。

「7月の閉会中審査で柳瀬氏が何を語るのかは、安倍首相も大きな関心を持っていたはずです。というのも、加計学園の獣医学部設置を認めるかどうか、文科省・大学設置審の認可の判断が8月末に迫っていたからです。もし、認可判断直前に柳瀬秘書官が3回も官邸で加計関係者と面談していたことがバレると“大炎上”は避けられない。認可どころでなかったはずです。安倍官邸は、加計面談を隠したかったはずです」(官邸関係者)

結局、獣医学部設置は11月に認可答申され、今春、開学にこぎつけている。今井秘書官への報告を明かした柳瀬氏の本意は不明だが、加計面談は柳瀬氏ひとりで抱えていたわけではない。野党は今井秘書官を追及すべきだ。

 

愛媛県困惑 首相案件否定「言い逃れ」 柳瀬氏参考人招致(2018年5月10日配信『東京新聞』−「夕刊」)

 

 学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡り、柳瀬元首相秘書官が10日の国会での参考人招致で、学園関係者との面会を認める一方、愛媛県作成の文書に記載された「首相案件」という発言をしたとされる点を否定したことに、県幹部は「ずるい言い方。言い逃れの感じがある」と不満を口にした。

 新設計画に携わってきた県地域政策課の担当者も「県は正直に報告している。柳瀬氏も正直に話してほしい」と注文。「質問の内容によって答弁のニュアンスを変えている気がする」と困惑した様子も見せた。

 衆院予算委が始まった午前9時すぎ、同課では職員数人が通常業務に当たり、時折、柳瀬氏の答弁を中継するテレビ画面に顔を向けていた。中村時広県知事は松山市内で公務に当たった。

同県今治市役所では、菅良二市長が同日午後に取材に応じる予定。市職員の一人は「今はコメントできない」と言葉少なに業務を続けた。市民団体「今治市民ネットワーク」の村上治共同代表は、柳瀬氏の答弁を「具体的な話を避けていて、実態が見えない」と批判。安倍首相と一緒の際に学園関係者と会ったと説明したことに「その時から『加計ありき』の全てが始まったのではないか」と話した。

 

「疑惑は深まった」野党、柳瀬氏の喚問求める(2018年5月10日配信『毎日新聞』)

 

 

 野党各党は10日、柳瀬唯夫元首相秘書官が衆参両院の予算委員会で、首相官邸で加計学園関係者と2015年に計3回会っていたと答弁したことを巡り、追及する姿勢を強めた。「加計ありきの疑惑は深まった」として、柳瀬氏の証人喚問などを求める構えだ。一方、与党は「一定の区切りがついた」(自民党の森山裕国対委員長)として幕引きを図ろうとしている。

 立憲民主党の逢坂誠二衆院議員は10日の党会合で「加計学園だけが、3度も官邸で首相秘書官のアドバイスを受けている。これを特別扱いと言わずになんと言うのか」と強調。安倍晋三首相が加計学園の選定に「一点の曇りもない」と繰り返していることに触れ、「試験問題も答えも知っている人は試験会場で不正はしない。だから一点の曇りもないことになる」と指摘した。

 柳瀬氏が首相への報告をしていないとした点にも批判が続出。立憲の長妻昭代表代行は記者団に「首相に一切報告しない首相秘書官ってあり得ない」と指摘した。国民民主党の大塚耕平共同代表は記者会見で「今度は首相発言の信ぴょう性がますます疑われてきた」との認識を示した。

 加計学園の加計孝太郎理事長は首相の親友で、2人は食事やゴルフを何度もしている。首相は昨年の国会答弁で代金負担について「私の時も先方の時もある」としており、「無所属の会」の江田憲司衆院議員は「首相の意向を受けた秘書官が加計ありきでやったとすれば、贈収賄やあっせん利得罪にも当たる案件になりかねない」と記者団に語った。共産党の志位和夫委員長は「学園関係者と3回も会っていたこと自体が加計ありきの首相案件だったと示すものだ」と批判した。

 

注目の柳瀬招致 「話す中身」が事前に漏れるアホらしさ(2018年5月10日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 ある程度、予想されていたとはいえ、予定調和の質疑に釈然としない思いを抱いた国民も多かったに違いない。学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡り、10日、国会で行われた柳瀬唯夫元首相秘書官(現経産審議官)の参考人招致のことだ。

 とにかく、摩訶不思議の現象だったのは、参考人招致の開催が決まる前から、新聞・テレビで柳瀬の答弁方針や内容がワンサカと報じられていたことだろう。

〈柳瀬氏は参考人招致で学園関係者との面会は認める一方、県や市の職員は学園関係者の後ろにいて記憶に残らなかったと説明する見通し〉

〈自民党幹部は「大勢の面会客の中に県や市の職員が交じっていて気付かなかったのなら、柳瀬氏が嘘をついたことにはならない」と指摘した〉

〈柳瀬氏は参考人招致で、県と市の担当者については「周りにいる関係者の全てを把握しているわけではない」などの表現を検討しているとみられる〉

〈自民党幹部は「すとんと落ちる話になる」として、野党の追及をかわせると自信を示す〉

 国政調査権に基づく参考人招致で、開かれる前から参考人の予定答弁が細かく報道されたケースは聞いたことがない。柳瀬自身がベラベラと話していたとは思えず、誰がメディアにリークして報道させていたのかといえば容易に想像がつく。政府・与党しかない。つまり、柳瀬は「誠実にしっかりとお話しさせていただきたい」なんて言っていたが、しょせんは安倍政権の操り人形で、参考人招致は単なるガス抜きの舞台回しに過ぎない。そんな状況で、とてもじゃないが真相解明を期待できるハズもない――とのあきらめのような雰囲気が国民にもジワジワと刷り込まれていたため、しらけムードが漂っていたのだろう。

■新聞・テレビは柳瀬の虚偽答弁を正当化するアリバイ作りに加担

 〈自民党幹部は「すとんと落ちる話になる」として、野党の追及をかわせると自信を示す〉

 国政調査権に基づく参考人招致で、開かれる前から参考人の予定答弁が細かく報道されたケースは聞いたことがない。柳瀬自身がベラベラと話していたとは思えず、誰がメディアにリークして報道させていたのかといえば容易に想像がつく。政府・与党しかない。つまり、柳瀬は「誠実にしっかりとお話しさせていただきたい」なんて言っていたが、しょせんは安倍政権の操り人形で、参考人招致は単なるガス抜きの舞台回しに過ぎない。そんな状況で、とてもじゃないが真相解明を期待できるハズもない――とのあきらめのような雰囲気が国民にもジワジワと刷り込まれていたため、しらけムードが漂っていたのだろう。

■新聞・テレビは柳瀬の虚偽答弁を正当化するアリバイ作りに加担

 それもこれも新聞・テレビが何ら批判的な視点を持たず、「柳瀬の方針」などと称する政府・与党の言い分をタレ流し、結果的に虚偽答弁を正当化するためのアリバイ作りに加担していたからだろう。

「野党や国民の地道な活動によって、ようやくこぎ着けた加計問題の参考人招致を、政権側は幕引きのセレモニーに逆利用しようとした。本来であればメディアがきちんと分析して報じるべきなのに、それを怠ったワケです」(元共同通信記者の浅野健一氏)

 貴重な国会審議を台無しにした責任は大マスコミにもあるのだ。

 メディアも野党も安倍政権の描いたシナリオに踊らされている

 そもそも、政府・与党は、柳瀬が加計学園関係者との面会を認めても問題ナシ――と考えていたようだが、冗談ではない。国家戦略特区を所管する事務担当の首相秘書官が、よりによって国家戦略特区を活用して獣医学部新設の申請を検討している、いわば“利害関係者”と官邸で面会していたのだ。当時、獣医学部新設を検討していた京産大関係者は選考過程中に官邸に呼ばれたことは一度もない、と朝日新聞の記者に語っていたというから、行政の手続きとしては不公正、不公平極まりないのは明らかだ。

 まさに「加計ありき」で、前川喜平前文科次官が指摘していた通り、「行政のプロセスが歪められた」証左であり、エコヒイキだ。しかも、柳瀬と会っていた加計学園関係者は単なる事務担当じゃない。きのう(9日)の毎日新聞朝刊は、柳瀬が政府関係者に明かした話として、面会した相手は〈当時の加計学園系列の千葉科学大副学長で現岡山理科大獣医学部長の吉川泰弘氏〉だった――と報じていた。ナント! 現獣医学部長が獣医学部新設について直接、首相秘書官に「陳情」していたワケで、自治体の公共事業担当者に猛プッシュするゼネコン営業マンと変わらない。国家公務員であれば、「ヘタをすれば贈収賄を疑われかねない」と考えて、特定業者とは絶対、面会しないだろう。ましてや、首相秘書官であればなおさらだ。

 にもかかわらず、柳瀬がリスクを冒してまで、なぜ、加計学園関係者と接触したのか。フツーの感覚を持ったメディアであれば、毎日新聞のスクープ報道を後追いするはずだが、多くの新聞・テレビはスルーだったから、加計問題を本当に理解しているのかとクビをひねってしまう。

■徹底抗戦から審議復帰した野党も意気地がない

 メディアもだらしないが、野党もグダグダ。森友問題を巡る決裁文書改ざんや、福田前財務次官のセクハラなどの問題が財務省で相次いだのを受け、トップである麻生財務相のクビを取るまで徹底抗戦だったはずなのに、一部メディアから、ヤレ16連休だ、ヤレ17連休だ――などと揶揄されると、あっさり19日ぶりに審議復帰だ。柳瀬が参考人招致で加計学園との面会を認める方針を決めたのが理由らしいが、政府・与党が証人喚問ではなく、参考人招致でお茶を濁そうとしているのはアリアリなのに、なぜ簡単に審議復帰を決めたのかサッパリ分からない。

 大体、安倍首相は柳瀬に対してコトの真相を明らかにするよう指示もせず、「信頼している」とトンチンカンなことを言ってケムに巻いていた。いかに加計問題についてテキトーに考えているのかがよく分かるではないか。

 公文書を改ざんしようが、国会に捏造資料を提出しようが平気の平左の官僚と、セクハラ発言が問題になっても「セクハラは罪じゃない」と開き直る大臣……。

 政治家も官僚もどれだけめちゃくちゃをしようが開き直り、居座る。これほど腐り切った政権はかつてなく、もはや政治の体をなしていないと言っていい。

 元NHK政治部記者で評論家の川崎泰資氏がこう言う。

「メディアも野党も全くだらしないの一言に尽きますよ。なぜ、もっと徹底的に報道し、追及しないのか。このままだと、『政治決着』という安倍政権の描いたシナリオの通りに物事が進むだけです。国民を愚弄していますよ」

 腐敗堕落政権が振り付けした茶番劇をグルになって支えているのが大マスコミなのだ。

 

参考人招致 「疑惑は深まった」野党、柳瀬氏の喚問求める(2018年5月10日配信『毎日新聞』)

 

 野党各党は10日、柳瀬唯夫元首相秘書官が衆参両院の予算委員会で、首相官邸で加計学園関係者と2015年に計3回会っていたと答弁したことを巡り、追及する姿勢を強めた。「加計ありきの疑惑は深まった」として、柳瀬氏の証人喚問などを求める構えだ。一方、与党は「一定の区切りがついた」(自民党の森山裕国対委員長)として幕引きを図ろうとしている。

 立憲民主党の逢坂誠二衆院議員は10日の党会合で「加計学園だけが、3度も官邸で首相秘書官のアドバイスを受けている。これを特別扱いと言わずになんと言うのか」と強調。安倍晋三首相が加計学園の選定に「一点の曇りもない」と繰り返していることに触れ、「試験問題も答えも知っている人は試験会場で不正はしない。だから一点の曇りもないことになる」と指摘した。

 柳瀬氏が首相への報告をしていないとした点にも批判が続出。立憲の長妻昭代表代行は記者団に「首相に一切報告しない首相秘書官ってあり得ない」と指摘した。国民民主党の大塚耕平共同代表は記者会見で「今度は首相発言の信ぴょう性がますます疑われてきた」との認識を示した。

 加計学園の加計孝太郎理事長は首相の親友で、2人は食事やゴルフを何度もしている。首相は昨年の国会答弁で代金負担について「私の時も先方の時もある」としており、「無所属の会」の江田憲司衆院議員は「首相の意向を受けた秘書官が加計ありきでやったとすれば、贈収賄やあっせん利得罪にも当たる案件になりかねない」と記者団に語った。共産党の志位和夫委員長は「学園関係者と3回も会っていたこと自体が加計ありきの首相案件だったと示すものだ」と批判した。

 

立憲・長妻氏「283事業者で柳瀬氏会ったの加計だけ」(2018年5月10日配信『朝日新聞』)

 

長妻昭・立憲民主党政調会長(発言録)

 (国家戦略特区をめぐって)仕組みの議論はあるものの一般論として、おかしな規制に穴を開けるのは正しいと思うが、穴を通れるのは安倍総理のお友だちだけ。その穴は一つだけで閉まってしまい、既得権益グループにお友達も仲間入りをした。(加計学園には)私学助成も今後出るわけで、国民の税金だ。

 国家戦略特区は安倍内閣で始まったが、認定事業数が283と、相当の事業者がいる。その中でも、柳瀬唯夫・元首相秘書官が会ったのはたった一つ、加計学園だけ。「アポがあれば誰でも会うんだ」とおっしゃっていますが、これだけ多くの事業認定数にもかかわらず、加計学園だけに3回も首相官邸で会う。徹底的に真相究明していくことが必要だ。(党会合のあいさつで)

 

言い逃れの「記憶にない」は尋問技術必要 亀石倫子さん(2018年5月10日配信『朝日新聞』)

 

 柳瀬唯夫氏が、10日の国会招致で、加計学園関係者との首相官邸での面会を認めた。

亀石倫子さん(弁護士)

 柳瀬氏の話を聞いて感じたのは、官邸での面会に関する様々な文書が出てきて、認めざるを得ない部分は認めつつ、それ以外の点については「記憶にない」と逃げ、安倍首相からの指示や首相への報告といった点については強く否定する、という方針に基づいて、周到に調整された答弁だということです。

 弁護士になって9年間で、二百数十件の刑事事件の弁護を担当、否認事件のうち3件で無罪判決を勝ち取りました。経験から学んだのは、「記憶にない」と答える人には、本当に記憶がない人もいますが、言い逃れの場合もあるということでした。

 本当に記憶がない人には、記憶の喚起のため関連する書面や証拠物などを示すと多くは思い出します。しかし、言い逃れ目的の人の場合、若干尋問の技術が必要です。

 例えば、答えられないはずがない周辺の事実を一つずつ質問して答えさせて、それらは記憶しているのに、核心部分の事実だけ記憶していないことの不自然さを浮かび上がらせるという方法です。

 今回、柳瀬氏は、面会の際の相手方は「10人近く」とか、元東大教授が座った位置などを詳細に答える一方、愛媛県や今治市の職員がいたかどうかは「わからない」という答えでした。また、「首相案件」という発言の有無については、事前に用意したメモを必ず読み上げていました。不自然で、尋問しがいがある、と感じました。

 

「首相に報告せず」なぜ記憶鮮明なのか 高木光太郎さん(2018年5月10日配信『朝日新聞』)

 

 記憶は、もろいものです。写真やビデオとは仕組みも役割もちがう。周囲のさまざまなものの影響で変化します。

 柳瀬唯夫氏は、官邸での加計学園の関係者との面会は認めたうえで、愛媛県や今治市職員が同席したかについては「いまでもわからない」と説明しました。記憶の一般的な特性を踏まえれば、それほど不自然には聞こえません。3年前のことで、現在は別の役職にいる。記憶があいまいでも、不思議はありません。

 印象的だったのは、加計学園の件について、柳瀬さんが「総理に報告したことも、指示を受けたことも一切ない」と言い切ったことです。

 面会そのものは、同席者の記憶があいまいで、特区制度の趣旨についても「そういうことを申し上げたのかなということでございます」といい、細かく覚えていないようでした。その程度の重要性だったと聞こえます。面会がさほど重要でないなら、首相に伝えたかどうかも、記憶があいまいな方が自然です。

 もし本当に報告していないなら、二つの場合が考えられます。一つは日常的に報告していないケースですが、これは考えにくい。もう一つは、伝えてはいけないことだと明確に意識していたから、報告しなかった。この場合、面会についても特別な重みがあったはずで、より鮮明な記憶が残った可能性が高い。

 あるいは、本当は報告したのだけれど、あえて自らが泥をかぶって、事態を終わらせようと考えたかもしれません。真相はわかりませんが、あいまいな記憶と、きっぱり言い切る説明のギャップに、何かが隠されているのかもしれません。

 事件の事情聴取でも裁判の尋問でも、事実を知りたい場合は、相手に自由に話してもらうことが基本です。しっかり話を聞いたうえで、出来事の大きな流れだけでなく、言葉遣いの変化なども、説明が実体験に基づくのかどうか判断する手がかりになります。

 例えば、相手の行動を事細かに説明していた人が、ある出来事になると自分のことばかり話しだすなど、唐突に説明パターンが切り替わる。事実から(うそ)の世界に変わる時、こうした細かい変化が生じることがあるので、心理鑑定などでは特に注目します。

 国会の場合、時間の制約もあるのでしょうが、証人や参考人の説明を聞くより、言質をとることが目的のようにも見えます。逃げるような様子をさらすことで、怪しい感じを見せつけるとか。

 参考人招致でも証人喚問でも、事前に詳細な陳述書を出してもらうのが次善の策かもしれません。いつなにが端緒で、誰とどこで会って、どんなやりとりをしたのか。覚えている限り書き出してもらう。本人が書くことが大前提ですが。     ◇

 

 高木光太郎 65年生まれ。専門は法心理学。足利事件や大崎事件の供述心理鑑定に携わる。著書に「証言の心理学」など。

 

「加計に官邸で3回面会」 柳瀬氏「首相案件」否定(2018年5月10日配信『東京新聞』)

 

 衆院予算委員会は10日午前、安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡り、柳瀬唯夫(ただお)元首相秘書官(現経済産業審議官)を参考人招致した。柳瀬氏は2015年4月2日に官邸で学園関係者と面会したことを認め、官邸での学園関係者との面会は3回に上ると説明した。この面会内容を記録した愛媛県文書に「本件は首相案件」と柳瀬氏が発言したと記されていることについて「趣旨が違う」と釈明した。

 面会の経緯について、2013年の大型連休に首相の別荘で学園理事長の加計孝太郎氏や学園関係者と初めて会い「その後、学園の事務局から申し出があった」と語った。面会に愛媛県職員や同県今治市職員が同席したかどうかは「分からないが、10人近くの随行者の中にいたのかもしれない。報道や省庁の調査結果を見ると、愛媛や今治の方がいたのかなと思う」と述べた。保存している名刺に職員のものはなかったとも説明した。面会相手の中心は、獣医学部長に就任した吉川泰弘氏で、文部科学、農林水産両省からの出向者を同席させたと説明した。

 これまでは「記憶の限りでは会っていない」などと答弁してきた。その理由について「愛媛県や今治市職員との面会を問われたのでそう答えた」とした。

 学園関係者との面会に関連し「国家戦略特区の関係で会った民間の方は加計学園だけだ」と明らかにした。

 「首相案件」との記述については、14年の国家戦略特区諮問会議で民間議員提案の獣医学部新設を首相が早急に検討したいと発言したと指摘し「『総理が早急に検討すると述べている案件である』との趣旨を紹介した。今治市の個別プロジェクトが首相案件とは言っていない」と語った。

 愛媛県文書で、首相と加計氏が会食した際に獣医学部の新設が話題に上ったと学園関係者が語ったと記載されていることについては「そのような会話があった記憶は全くない」と否定した。

 首相は学園の計画を知った時期を「(事業者に正式決定した)17年1月20日」と答弁している。柳瀬氏は学園の計画を15年4月に把握していたが、首相には報告せず、指示も受けていないと明言した。首相と加計氏との間柄には「友人関係とは認識していたが、特別扱いしたことはない」として、学園を厚遇したとの見方を否定した。

 柳瀬氏と加計学園関係者との面会が国会で繰り返し質疑されていたのに、これまで加計関係者との面会を明らかにしなかったのは「特に照会がなかったから」と答えた。

 

かわす柳瀬氏 議論空転、加計「特別扱いでない」(2018年5月10日配信『日経新聞』)

 

 学校法人「加計学園」の関係者と首相官邸で3度面会していた――。10日、国会の参考人招致で答弁した柳瀬唯夫経済産業審議官は、面会に関する新たな事実を明かす一方で、首相の関与を繰り返し否定。野党側の「加計ありき」「特別扱い」との追及をかわし続けた。議論は深まらず、野党は柳瀬氏の姿勢を「不誠実だ」と批判した。

 「(愛媛県)今治市の個別プロジェクトを首相案件と申し上げることはない」。昼を挟み、約5時間に及んだ10日の衆参両院の予算委員会。柳瀬氏は首相秘書官だった2015年2〜6月ごろにかけて、加計学園関係者と首相官邸で3回会ったことを明かしたが、何度質問されても首相の関与は認めなかった。

 半年弱で3回の面会という新事実に、野党議員からは「多すぎる」「特別扱いでは」などの質問が相次いだ。しかし、柳瀬氏は「政策が机上の空論にならないよう外の方の話をできるだけ聞くようにしている」と淡々と説明。「話を聞くことと優遇するのは別の話」として、獣医学部を新設する国家戦略特区のプロジェクトが加計学園を前提に進んだ、とする見方を否定した。

 「会った記憶がない」として官邸での面会を否定した過去の国会答弁との整合性について、「今治市や愛媛県の方と会った記憶はなく、加計学園関係者と会った記憶はあるというのは当時から一貫している」と強調。「記憶を調整しているとかはまったくない」と、野党の追及に語気を強めて反論する場面もあった。

 こうした答弁姿勢に、質問に立った野党議員は「不誠実だ」「国民は納得できない」と口々に批判。深まらない議論に失笑が漏れる場面もあった。

 閉会後、質問に立った野党議員は「加計学園が主役となって話が進んだ構造が浮き彫りになり、疑惑はさらに深まった」と指摘。自民党幹部からも「秘書官が首相に全く報告をしないとは考えにくい。国民が納得できるとは言えず、苦しい答弁だった」とため息が漏れた。

 東京・霞が関では柳瀬氏に同情の声も。厚生労働省の男性職員は「記憶にないというこれまでの答弁自体が不自然すぎる。官邸側の指示なのだろうが、結局は政治の駒となっていてやるせない」。文部科学省のある中堅職員は、柳瀬氏が面会時の「首相案件」との発言を否定し続けたことについて「首相秘書官の仕事は並大抵のものではなく、関わってきた案件に疑念を抱かれるようなことは決して言えないのだろう」と心中を察した。

 柳瀬氏が籍を置く経産省では多くの職員が10日の答弁をテレビ中継で見守った。40代の男性職員は「何かを隠しているような歯切れの悪さを感じた。野党や国民から非難されても仕方ない」と失望。女性職員(34)は「省内のトップ級の人の言動で国会審議が滞り、申し訳ない気持ちでいっぱい」とうつむき気味に話した。

 加計学園は10日、「新学期の学務運営、在学生の対応で国会での案件について取材など受けられる状態でなく、コメントする立場にありません」とのコメントを出した。

 

加計関係者と「3回面会」 柳瀬氏が認める(2018年5月10日配信『日経新聞』)

 

 衆参両院の予算委員会は10日、国家戦略特区を使った学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡り、元首相秘書官の柳瀬唯夫経済産業審議官を参考人招致した。柳瀬氏は2015年に計3回、首相官邸で加計学園関係者と面会したと認めた。同学園の加計孝太郎理事長に関し「安倍晋三首相と友人であることは認識していたが、特別扱いしたことはない」と述べた。

 柳瀬氏は同年2月から6月ごろにかけて3回、加計学園関係者と会ったことを認めた。4月の面会時には約10人の随行者がいたといい「愛媛県や今治市の職員もいたのかもしれない」と語った。県や市の職員との面会を「記憶の限りではない」としてきた従来の発言を事実上、修正した。学園関係者との面会について、昨年7月の時点で今井尚哉首相秘書官に報告したことも明らかにした。

 一方、獣医学部の新設計画について、首相から指示を受けたことはなかったとも説明。学園関係者との面会を「首相に報告したことも一切ない」と強調した。自身が15年8月に首相秘書官を退任したことに触れ「(特区の)事業者の選定は17年になってからであり、私が関与する余地はなかった」と語った。

 首相は獣医学部の新設計画を知ったのは事業者が決まった17年1月20日と説明している。柳瀬氏は学園関係者と初めて面会した15年2〜3月ごろに計画を認識したと説明した。野党側は「空白期間がある」と首相と柳瀬氏の発言の整合性に疑問を呈した。

 愛媛県が作成した文書には、15年4月に柳瀬氏が首相官邸で学園関係者や愛媛県職員、同県今治市職員と会い、獣医学部の新設計画に関し「首相案件」と発言したとの記載がある。

 

柳瀬氏「記憶ない」一転 「首相案件」火消し答弁(2018年5月10日配信『日経新聞』) 

 

加計問題で参考人招致 首相の指示を強く否定

フォームの終わり

 柳瀬唯夫・経済産業審議官が首相秘書官だった2015年4月に首相官邸で学校法人「加計学園」関係者らと面会したことを認めた。「記憶がない」と答弁していた愛媛県今治市職員らとの面会は明言せず、矛盾を回避した柳瀬氏。「加計ありきだったのでは」と追及する野党議員に「『首相案件』は私の発言として違和感がある」と述べ、首相の関与は否定した。

 「加計学園の事務局の方から面会の申し入れがあり、(15年)4月2日だったと思うが面会した」。柳瀬氏は最初に質問に立った自民党議員に対し、手元の紙に目を落としてよどみなく答え、面会を認めた。

 ただ17年7月の国会答弁で追及され、「お会いした記憶はございません」としていた今治市の職員らとの面会。10日の答弁でも「(手元に)名刺はない」「10人近くの同席者の中に愛媛県や今治市の方たちがいらっしゃったのかもしれない」と明言を避けた。

 柳瀬氏は面会で主にやりとりをしたのは加計学園関係者と説明。今治市の職員らとの面会を「記憶がない」と繰り返したことについて「定かな記憶がないのに、必ずお会いしたとか、絶対お会いしていないとか、いずれの場合もうそになると思った」と釈明した。

 

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 一方で当時の答弁について「国会審議に大変なご迷惑をおかけし誠に申し訳ない」と謝罪した。

 愛媛県職員が作成した文書に柳瀬氏が「首相案件」との発言をしたとの記述があることについては、当時の自らの発言内容を詳細に語った上で「首相案件と申し上げることはない」「趣旨として違う形で伝わった」などと火消しの答弁を繰り返した。

 加計学園関係者との面会について「特別扱いではないか」との追及には「政府の外の方からのアポイントには時間が許す限り会うよう心がけていた。秘書官時代に断ったことはない」と強調する一方、「国家戦略特区の関係で会った民間の方は加計学園だけ」と答弁した。

 手元の紙を見ながら淡々と新たな事実を語る柳瀬氏。「なぜもっと早く答弁しなかったのか」と問われると「ご質問いただいたことに一つ一つお答えしてきた結果、全体像が見えなくなり、国民の皆様に大変分かりづらくなった」と説明した。

 安倍晋三首相と加計学園理事長についても柳瀬氏は「友人関係とは認識していた」としつつ、面会の事実について一切報告していなかったと主張。野党議員からは「ありえない」「首相秘書官失格だ」などと厳しいヤジが飛んだ。

 

元首相秘書官の江田氏、柳瀬氏は「常識外れ」(2018年5月10日配信『日刊スポーツ』)

 

 学校法人「加計学園」(岡山市)獣医学部新設に関して「首相案件」と発言したとされる、柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)が10日、衆院予算委員会に参考人招致された。

 国民民主党に参加せず、無会派となった江田憲司氏は、質問に立った際、自身が首相秘書官だった経験を踏まえて柳瀬氏を厳しく追及した。まず冒頭で「総理秘書官として常識外れのことばかり。1年生の時から知っているが、青雲の志を持っていた。別の言い方をすれば、首相の政策補佐。許認可や補助金の対象となる可能性のある事業者に会うことは常識に外れている。総理か政策秘書官から指示があったとしか思えない」と柳瀬氏を批判した。柳瀬氏は「総理からも秘書官からも指示は全くございませんでした」と答えた。

 江田氏が官邸で安倍首相と加計学園関係者と面会した時間について「4月2日は1時間半」と質問すると、柳瀬氏は「全く分かりません」と答えた。「多忙な奥の院の黒子がなぜサービスした?」と聞くと「基本的にアポイントがあればお受けした」と従前の主張を執拗(しつよう)に繰り返した。

 江田氏が「密室で、あなたがが主役になって話したのは加計だけではないのかと聞いている」と厳しく追及すると、柳瀬氏は「アポイントがあったのは加計だけ」と、またもこれまでの主張を繰り返した。

 江田氏が、堪忍袋の緒が切れたと言わんばかりに「特化戦略特区などの申請は、あまたある。加計以外に会ったことはないのか? どこと会ったのか?」などと聞くと、柳瀬氏は「自治体や民間企業の方とはお会いした。個別にお会いした方のことを口にするのは、いかがかと思うが、ベンチャーや民間の方、自治体の人と会うことはございます」と答えた。

 江田氏は安倍首相と一緒の時を含め、加計学園関係者と3回会ったと認めながら、首相に1度も報告していないと発言を繰り返す柳瀬氏に対して、首をかしげた。そして「あなたは総理と一心同体。あなたが会うと総理も? という疑念が湧く。普通、総理秘書官は自治体、事業者の要請は、担当部署がお会いして必要があれば…そういう流れで仕事する。それを異例中の異例の面談をしたことで疑念が湧く。自治体の人などに会う必要はあるのか?」と、追及の手をさらに強めた。柳瀬氏は出来るだけアポイントがあればお会いする」と、再び「アポイント」という言葉を口にした。これには江田氏も「リスク管理の、基本中の基本もわきまえていない秘書官だというのは、よく分かった」と、あきれ果てたように吐き捨てるように言った。

 江田氏は「桜の会に総理が行くのも知っていたはず。『数日前、学園の人にあって意見交換をした』と報告するのは職責じゃないか?」と突っ込むと、柳瀬氏は「特にお話ししたことは御座いません」と答えた。江田氏は「総理が立ち往生したり、知らないことがないようにするのが首相秘書官の仕事。加計理事長から『この前は、うちの人間に会ってくれて、ありがとう』と言われた時、首相がポカーンとしないように言うのが当たり前の職責」と追及すると、柳瀬氏は「長年のご友人…立ち往生ということは、なかなかない。あえてお耳に入れることではない」とかわした。

 江田氏は、自らが首相秘書官だった当時のことを引き合いに「私の時も、週に何回か総理とランチする。それに、日々の夕方の日程調整で雑談でもしなかったのか? おかしいじゃないか?」と追及したが、柳瀬氏は「一切お話しすることはございません」と答えた。江田氏は「あなたが口にばんそうこうでもしてない限り、絶対に言う」と首をかしげた。

 江田氏は「内閣法20条を知っていますか? 首相秘書官は総理の命を受けて補助するという(役割)。それを報告しないなんて、あなたのような優秀な官僚がそんなことをするのか?」と怒りをにじませて質問した。柳瀬氏が「個別の案件で総理に報告することはない」と答えると、江田氏は「ありえない」とあきれた。

 ただ、江田氏の質問に対し、柳瀬氏が明確に、やや強めに反論したシーンが一つあった。江田氏から、柳瀬氏が安倍首相の昭恵夫人付の政府職員だった谷査恵子氏と経済産業省の原子力政策課(経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部)課長時代に同僚だったと指摘した上で、谷氏が絡み疑念が膨らんだ森友学園問題について報告があったか? と質問が飛んだ。その時、柳瀬氏はやや語気を強め「根本的な事実誤認。私が課長時代に谷さんはいない。多分、時期はずれていると思う。私は谷さんは全く、存じない。森友について詳しく聞いたことは全くない」と完全に否定した。

 

柳瀬氏に長妻氏、今井氏「加計ありき」と厳しく追及(2018年5月10日配信『日刊スポーツ』)

 

 学校法人「加計学園」(岡山市)獣医学部新設に関して「首相案件」と発言したとされる、柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)が10日、衆院予算委員会に参考人招致された。

 

 柳瀬氏は、一連の答弁の中で、総理秘書官時代、官邸外の人から面会のアポイントがあった場合、物理的に不可能でない限り、全て応じていたと繰り返し主張。「(首相秘書官になって)違和感を覚えたのは外の話が聞けなくなる、世の中からぶれていくんじゃないか? と。友人ではなく、どなたであってもお会いした」などと答えた。

 

 その発言に対し、立憲民主党の長妻昭氏から「京都産業大学、京都府、新潟にはお会いした?」と、獣医学部新設に関して加計学園と競合関係にあった関係各位と会ったかと聞かれた。柳瀬氏は「アポイントがないのでお会いしていない。京産大は私の時はないと思う」と答えた。長妻氏から「誰でも会うとか言って、国家戦略特区で会ったのは、加計だけじゃないか?」と追及されると「特区の案件だからとか、そういうことで会っていない。実際、特区の件でアポイントがあったのはこの件(加計)だけ」と答えた。

 

 国民民主党の今井雅人氏からも「加学園が今治と一緒になって提案…提出者の今治市が言うのは分かる。(官邸で対面した)4月2日に加計学園が国家戦略特区の件を言ったと言う。加計ありきだったのでは?」と質問が飛んだ。柳瀬氏は「構造改革特区申請の時から(今治市と加学園は)一緒にやっていた。自治体は今治市、実施者は加計と認識していた。個別の提案の善しあしを言っているのではなくニーズがあるか。具体的提案でどこを採択するか、ずっと先の話」と、やんわりと追及の手をかわした。

 

 さらに「今治市がどこをパートナーにするかは関心がありません」とも答えた。これには今井氏も「加計学園が主導で今治市がついていっている構図というのがよく分かった」と、あきれ気味に返した。

 

蓮舫氏「記憶自在になくし思い出せる?」柳瀬氏批判(2018年5月10日配信『日刊スポーツ』)

 

 学校法人「加計学園」(岡山市)獣医学部新設に関して「首相案件」と発言したとされる、柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)が10日午後、午前の衆院予算委員会に続き、参院予算委員会に参考人招致された。

 立憲民主党の蓮舫氏は、厳しい口調で柳瀬氏を徹底的に追及した。冒頭で“先制パンチ”とばかりに「あなたの記憶は、自在になくしたり思い出したりするものか?」と迫ると、柳瀬氏は「当然、3年前の記憶だし、あいまいなもの。(人の話を聞き)そうだったんだ? と思うこともある。記憶を調整していると新聞に出ているが、全くないこと」と否定した。

 蓮舫氏は、柳瀬氏が17年7月の国会答弁以降、自身の主張は一貫していると主張すると「一貫して加計学園の関係者と会っていると言っていない」と厳しく批判。柳瀬氏が「今治市の方と会ったか? というから答えた」と返答すると「聞かれてないから答えないのは不誠実」と切り捨てた。

 蓮舫氏は、柳瀬氏が2015年4月2日に首相官邸で愛媛県今治市、加計学園関係者と会った際、当時加計学園系列の千葉科学大副学長で、現在は4月に今治市で開学した岡山理科大獣医学部長の吉川泰弘氏が出席していたか? と質問した。柳瀬氏は、午前の衆院予算委員会の際も、その件について聞かれた際、同氏を「東大の人」と評していたが「当時の記憶が定かではない。元東大の方だとはよく覚えている。(同年)2〜3月にいらっしゃたっところがクリアでないが、4月とどちらかには元東大の方はいらした」などと説明。「私は、お名前を記憶してございませんが半年前の朝、テレビのニュースで加計のニュースが流れた時(学部長の)候補に入っていた。見たことがあると思った」などと答えた。

 

柳瀬氏「首相案件」発言は「『首相』とは言わない」(2018年5月10日配信『日刊スポーツ』)

 

 学校法人「加計学園」(岡山市)獣医学部新設に関して「首相案件」と発言したとされる、柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)が10日、衆院予算委員会に参考人招致された。

 柳瀬氏は自民党の後藤茂之氏から、安倍晋三首相と、首相が「腹心の友」と呼ぶ加計学園の加計孝太郎理事長と友人関係だから会ったことはないと言えるか? と聞かれると「総理ご自身がご答弁されたとおり、友人関係とは認識しておりました」と答えた。

 柳瀬氏は、2015年(平15)2〜3月ごろ、加計学園事務局の方から面会の申し出があって、安倍晋三首相と一緒に会ったことを認めた。その上で「50年以上も獣医学部の新設がされていないなどとお話を受け、非常に違和感を覚えた。そして4月2日だと思いますがお会いしました」と認めた。そして「政府の外の方に関しては、アポイントは出来る限り会うように心がけています。私は総理秘書官時代に物理的に日本にいない、時間がない時以外がアポイントをお断りしたことはない」と、加計学園関係者だから会ったわけではないことを強調した。

 その上で、愛媛県職員が作成した文書の中で「首相案件」と語ったとされた件について、その種の発言をしたかと事実関係を問われると「国家戦略特区は、安倍政権の成長戦略の看板戦略として設置したとお話はした。総理からは早急に検討したいとお話があった。私は普段から『首相』とは言わないので、私の発言としては違和感がある。私の伝えたかった趣旨とは違う形で伝わっている」と否定する考えを示した。

 また安倍首相からこの件で話や注意があったか、安倍首相と加計学園関係者が会った際、獣医学部の新設の話があったか? と聞かれると「話を受けたことも注意を受けたこともない。学園関係者と総理が会った時、新設の話が出たこともない」と答えた。

 その後、公明党の竹内譲氏から、あらためて愛媛県文書に書かれていた「首相案件」発言に関し、言ったか? と問われると「(平成)26年、国家戦略特区の諮問会議から民間委員の(獣医学部新設の)提案に関し、早急に検討したいという旨を申し上げたが、今治市のプロジェクトの趣旨で申し上げたことはない」と否定。また「やらされモードではなく死ぬ気で」などと発言したとも書かれている件についても「細かいことを覚えていませんが、地方公共団体の意欲、熱意が前提条件なのは閣議決定事項」などと答えた。

 

柳瀬氏開き直り「メモ取った方が良いのはおかしい」(2018年5月10日配信『日刊スポーツ』)

 

 学校法人「加計学園」(岡山市)獣医学部新設に関して「首相案件」と発言したとされる、柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)が10日午後、午前の衆院予算委員会に続き、参院予算委員会に参考人招致された。

 立憲民主党の蓮舫氏は、愛媛県職員が書いた「愛媛文書」の中に、安倍首相と首相が「腹心の友」と呼ぶ加計学園の加計孝太郎理事長との会食について記載されていたことを引き合いに「何か言われたか?」と質問した。柳瀬氏は「備忘録が配られ、マスコミに出るの変な話。片方のメモを取った方が良いと言われるのはおかしい」と、半ば開き直りと取られるような発言をした。これには場内に失笑が漏れた。

 蓮舫氏が「愛媛県がウソを書いているということか?」と追及すると、柳瀬氏は「私が申し上げるのは、私が記憶がないということ」と返答。蓮舫氏は「2人(安倍首相と加計理事長)が疑われないようにするのが秘書官の仕事なのに、つないでいる。全ての面会記録を、黒塗りをなくし、愛媛県知事を参考人として来てほしい」と、愛媛県の中村時広知事の参考に招致を求めた。

 また蓮舫氏は、先に質問に立った国民民主党の川合孝典氏が、柳瀬に4月2日の面会が1時間半に及んだのでは? と指摘した件について「面会は40分じゃないですか?」と質問した。柳瀬氏は「90分はさすがに長すぎるかと」と答えた。「私の情報では40分で退席したと?」と追及すると、柳瀬氏は「90分はさすがにないかと」と繰り返した。

 蓮舫氏は自身の持っている情報として「(4月2日の)15時35分から安倍総理が(当時の文科省)下村大臣と会っている。空白の9分間に会っているのでは?」と追及した。柳瀬氏は「下村大臣とお会いした記憶はない」と返答。「安倍首相とは?」と聞いても「1日に5〜10回も会うので、そこでお会いしたか記憶を引き出せない」などと答えた。

 蓮舫氏は「3月24日の面会後に4月2日に面会。3月に国家戦略特区でいこうと助言してないか?」と質問した。柳瀬氏は「具体的な話を記憶していないが(面会の時には)国家戦略特区はスタートしていた。安倍政権の大事な政策だったのでPRした。国家戦略特区の話になったと思うが、どれくらい具体的な話か分からない」と答弁した。

 蓮舫氏は「(国家戦略特区の)申請者は自治体(愛媛県、今治市)で、加計学園が手を挙げられるのは、その20カ月後の1月4日。途中で京都(産業大学)が排除され、前川(喜平前文部科学)事務次官が『行政がゆがめられた』という…全てつながった。そのスタートは4月…加計ありきだったのでは?」と質問した。柳瀬氏は「加計ありきという話だが、今治市が最初から加計を念頭に置いていたが、正当な手続きで決まっていったと理解している」と主張した。

 

参考人招致 柳瀬氏、首相からの指示否定 衆院予算委(2018年5月10日配信『毎日新聞』)

 

 柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)は10日午前、衆院予算委員会に参考人として出席し、学校法人「加計学園」による国家戦略特区を利用した獣医学部新設を巡り、同学園関係者と2015年4月2日に首相官邸で面会したことを認めた。

 同学園の加計孝太郎理事長は安倍晋三首相の友人で、首相の関与の有無が焦点になっている。面会について柳瀬氏は「首相に報告したことも、首相から指示を受けたこともない」と述べた。

 柳瀬氏によると、会ったのは加計学園が愛媛県今治市に開学した岡山理科大獣医学部の吉川泰弘学部長。愛媛県の文書では柳瀬氏が計画を「首相案件」と述べたとされるが、柳瀬氏は同市での計画を指したものではないと説明した。面会以降、関係省庁に「具体的な指示をしたことはない」とも述べた。

 自民党の後藤茂之氏らの質問に答えた。

 

柳瀬元秘書官の墓穴 国会招致は「加計ありき」証明の場に(2018年5月9日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 柳瀬唯夫元首相秘書官(現・経済産業審議官)の参考人招致が10日、行われる。官邸で加計学園関係者と面会した事実を認める方針――と報じられているが、もし、その通りであれば、政府のこれまでの説明はひっくり返ることになる。

 「誠実にしっかりと国会でお話しさせていただきたい」。参考人招致を前に報道陣の囲み取材に対して、こう語った柳瀬氏。だが、昨年7月の衆参予算委で答弁していた姿は、「誠実」にはホド遠かった。野党議員が繰り返し、「2015年4月2日に官邸で愛媛県や今治市の職員らと面会したのか」と質問したのに「記憶」という単語を20回近くも使って否定し続けていたからだ。

 柳瀬氏が加計学園関係者との面会を認めざるを得なくなったのは、愛媛県などで面会の事実を示す「物証」が相次いで見つかったためだ。過去の答弁との整合性を図るために「愛媛県や今治市の職員との面会は記憶にないが、加計学園関係者とは会った」というインチキ説明をムリヤリひねり出したのだろう。だが、そうなると新たな問題が浮上する。「プロセスにおいて問題はない」と安倍首相が強調してきた説明の根幹が崩れるからだ。

 「獣医学部新設は、加計学園だけじゃなく、京産大(京都府)や新潟市も国家戦略特区での申請を検討していました。なのに柳瀬さんは、加計学園の関係者とだけ面会していた。どう考えても不公平、不公正でしょう。そもそも、首相秘書官が、官邸で特定の民間事業者と面会するなどあり得ないことです。しかも、加計学園は利害関係者ですからね。まさに特別扱いであり、『加計学園は首相案件』を示す証左と言っていい。プロセスそのものに問題があったということです」(野党国会議員)

 今治市在住で「モリカケ共同追及プロジェクト」の黒川敦彦共同代表が言う。 

 「おそらく(政府や柳瀬氏は)法的にはクロじゃない、と考えて加計学園との面会を認めるのでしょう。しかし、今治市が作成した議員協議会資料に『<総理・内閣主導>の枠組み』と太文字で書かれていたように特別扱いだったことは紛れもない事実。安倍首相の政治的責任は免れないでしょう」

 もはや、どう考えても「加計ありき」。安倍首相はクビを洗っておいた方がいい。

 

文書改ざん「どの組織でもあり得る」 麻生氏、再び「セクハラ罪ない」(2018年5月9日配信『東京新聞』)

  

 麻生太郎財務相は8日の記者会見で「どの組織だって改ざんはあり得る話だ」と述べ、森友学園への国有地売却を巡る決裁文書の改ざんは職員個人の資質によるところが大きい、との見方を示した。

 文書改ざんの経緯に関する財務省の調査は終わっていないが、当初から財務省は「理財局の一部の職員が(改ざんを)行った」と説明している。この日の会見で麻生氏は「大蔵省(財務省)に限らず、会社だってどこだって、ああいうことをやろうと思えば個人の問題だから、組織としてどうのこうのという意識で見ていない」と話し、組織ぐるみの不祥事を否定した。

財務省は3月に発覚した文書改ざんに加え、4月24日付で辞職した福田淳一前次官のセクハラ問題も抱えている。8会見で麻生氏はセクハラに関し、訪問先のマニラで行った4日の会見と同様「『セクハラ罪』という罪はない」とあらためて述べた。

 麻生氏の4日の発言を受け、東京・霞が関の財務省前や札幌市などで女性を中心に抗議の動きが広がった。これについて麻生氏は「(セクハラは)親告罪で、訴えられなければ罪ではない。(福田氏が)訴えられているという話も聞いていない。事実を話しているだけだ」と反論した。

 財務省は先月27日、矢野康治官房長が記者会見し、福田氏がテレビ朝日の女性社員にセクハラをしたことを認めた。福田氏のセクハラの事実認定について記者からあらためて問われた麻生氏は「財務省として発表した通りだ」と述べるにとどめ、謝罪はしなかった。

 

「首相案件」と発言?柳瀬氏が国会へ…加計問題を解説(2018年5月9日配信『朝日新聞』)

 

 「首相案件」と書かれた文書が見つかり、新たな疑問が浮上した加計学園問題。発言したとされる柳瀬唯夫・元首相秘書官は当初、「記憶の限りではお会いしたことはない」とし、文書を作成した愛媛県などとの面会自体を否定しました。柳瀬氏の国会招致が10日に決まりましたが、今回なにが焦点になっているのか。そもそも加計学園問題とはなにか。いちから解説します。

 昨年1月、加計学園に対して、52年ぶりに獣医学部の新設が認められました。安倍政権の成長戦略の柱の一つである「国家戦略特区」の制度を利用したものでした。

 加計学園の理事長は安倍晋三首相が「腹心の友」と呼ぶ加計孝太郎氏が務めており、野党は「特区で総理の長年の友人が利益を受けている」と批判。一方、安倍首相は「私がもし働きかけて決めているのであれば、責任を取る」(昨年3月13日参院予算委員会)などと述べ、獣医学部新設への関与を否定しました。

 そして昨年5月、加計学園の計画について「総理のご意向」と書かれた文部科学省の文書を朝日新聞が報道。文科省が特区を担当する内閣府から言われたとするもので、「官邸の最高レベルが言っている」とも書かれていました。

 この文書について、菅義偉官房長官は「怪文書みたいな文書」として、信頼性を真っ向から否定しました。しかし、獣医学部新設の手続きが進んでいた当時の文部科学事務次官だった前川喜平氏は、文書の存在を認めたうえで、「行政がゆがめられた」などと証言しました。

 さらに今年4月に入り、首相秘書官を務めていた柳瀬氏が、愛媛県などの職員に対して、「本件は、首相案件」と伝えていたとする愛媛県の文書の存在が明らかになりました。

 一方、柳瀬氏は「記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはない」とし、食い違いが生じました。国会で柳瀬氏が面会したことを認めるかどうかが焦点になります。

 また、安倍首相は、加計学園の獣医学部新設を初めて知ったのは、昨年1月20日だったと国会で答弁しています。しかし、愛媛県の文書では、柳瀬氏が「首相案件」と言ったとされるのは2015年4月で、安倍首相が知ったとする時期よりも1年9カ月早い時期です。この点について、安倍首相の答弁の整合性も問われることになります。

 

自治体職員 面会「異例中の異例」 元官邸スタッフら本紙に証言(2018年5月7日配信『東京新聞』)

 

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 柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と愛媛県課長、加計学園幹部らとの2015年の面会を巡り、元官邸スタッフや秘書官経験者から「首相秘書官が自治体課長クラスの訪問を受けることは、一般的にはない」との証言が相次いでいる。柳瀬氏は国家戦略特区の活用を勧めたとされるが、官邸側が自治体に直接助言するのもあり得ないとされ、面会の異例さが浮かび上がる。

 「知事が陳情に来ることはあっても、自治体の課長クラスの訪問は見たことがない。そもそも秘書官の面会相手は大半が中央省庁で、自治体職員と会う機会はないはず。ましてや助言なんてあり得ない」

 15年当時、官邸スタッフとして首相秘書官と共に仕事をしていた職員が振り返る。「県の課長らに助言までしていたとしたら、どういう経緯だったのか。見当もつかない」

 県の面会記録文書によれば15年4月2日、県と今治市の担当課長、学園事務局長らが官邸を訪問。構造改革特区の申請が15回連続で認められなかった獣医学部新設について、柳瀬氏から「本件は首相案件。内閣府の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい」と国家戦略特区の活用を勧められた。「既存の獣医大学との差別化を図った特徴を出すこと」など助言も受けたという。

 かつて橋本龍太郎首相の秘書官を務めた江田憲司衆院議員は「秘書官が自治体の課長に会うことは絶対にない。あるとしたら首相の地元の市町村長くらい。地元でもない自治体の課長と面会したとすれば、異例中の異例だ」と強調。

 15年当時、官邸に出向していた官僚も同様に「秘書官が自治体職員の訪問を受けるのは一般的でない」と証言する。

 秘書官が通常、自治体課長クラスと会わないのは、自治体の相談相手となる中央省庁が存在することに加え、「格の違い」という霞が関の論理もある。当時、官邸に詰めていた別の官僚は「秘書官は省庁の局長級に相当する」と説明。「私のような省庁課長に会いに来るのも、自治体なら部長クラス以上だ」と話す。

 特別な面会が実現した理由について「首相案件だからでしょうか」と推測し、こう続けた。「国家戦略特区は本来、どこかを特別扱いできる仕組みではないのに」

 

野党足元見られ…柳瀬氏招致で安倍政権描く幕引きシナリオ(2018年5月5日配信『日刊ゲンダイ』)

 

「国会に呼ばれたら、誠実にお答えしたい」――。GWど真ん中の2日、柳瀬唯夫元首相秘書官が官邸で加計関係者と会ったと認める意向と報じられた。

 はたして、GW中に記憶が戻ったのか。恐らくウソがつける参考人招致で、政権に都合の良い「記憶」を駆使し、疑惑をケムに巻く作戦だ。野党はこんな茶番に付き合わず、意地でも審議拒否を続けたらどうだ。

 野党6党は「4条件」を求め、先月20日から審議拒否を続けてきた。4条件とは@セクハラ問題や決裁文書改ざんを踏まえた麻生財務相の辞任 A柳瀬氏の証人喚問 B財務省の改ざん問題の調査結果の早期公表 C自衛隊日報問題の究明――だ。

 財務省は大型連休直前のドサクサに紛れ、福田前次官のセクハラ行為を認めたが、本人は否定。懲戒名目の退職金減額は総額のたった2.6%の141万円。改ざんの調査報告も未提出で、麻生財務相は辞任どころか、国会の了承を得ぬまま、GW中にのうのうとフィリピンに出かける始末だ。

 イラク日報も問題解明に程遠く、ウソのつけない柳瀬喚問要求も、与党は参考人招致でお茶を濁す。つまり、4条件はゼロ回答。この間、審議拒否について、64%が「適切でない」と答えた日経の世論調査が出た。世論の厳しい視線もあって「審議拒否は長く続かない」と野党は足元を見られ、完全にナメられているのだ。

 ここで野党が審議に復帰すれば、安倍政権の幕引きシナリオに利用されるだけだ。まず柳瀬氏は、これまでの「記憶にない」という説明をこう繕うという。

「15年4月2日の官邸訪問は、加計学園が主で、愛媛県と今治市の職員は随行だった。参考人招致では、加計関係者との面談を認め、県と市の職員は『後ろにいたから記憶にない』とし、これまでの説明との整合性を取るようです」(自民党関係者)

 疑惑の本丸である加計関係者に県と市の職員が隠れていたから「記憶にない」とは、“究極の言い逃れ”だが、昨年7月の閉会中審査における柳瀬答弁を追うと成り立ちかねない。衆院で9回、参院で7回も「記憶にない」を連発したが、野党の質問はすべて今治市職員と会ったかどうかのみ。柳瀬氏は加計関係者との面談については何も語らなかった。当時、野党は加計関係者が一緒とはユメユメ思っていなかったからだ。

 また、柳瀬氏が「首相案件」と発言したとする“愛媛文書”発見時のコメント(4月10日付)も「自分の記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはありません」と加計関係者への言及はなかった。

■あとは会談ラッシュで目くらまし

「柳瀬さんは、官邸での面談自体は認めた上で『首相案件と言った記憶はない』『首相の指示はなかった』と、首相の関与を否定する方向に持っていくのでしょう。与党は、参考人招致さえ終えれば乗り切れると考えています。5月末に日ロ首脳会談を控え、5月中にも世界注視の米朝首脳会談が開かれる。さらに、6月8日からカナダ・シャルルボワサミットと外交日程がたて込み、世論の関心を外に向けられますからね。会期末は6月20日。政権の逃げ切りを阻止するには残り時間はあるようで、ないのです」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)

 政権側に落ち度がある限り、野党の審議拒否には大義がある。有権者に「パフォーマンス」と見られたくなければ、野党は「4条件」をしつこく追及すべきだ。

 

加計問題で柳瀬氏の面会認める方向 野党が参考人招致(2018年5月3日配信『東京新聞』)

 

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 学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設を巡り、柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)が、首相官邸で2915年に学園関係者と面会していたことを一転認める方向になった。与党関係者が明らかにした。「記憶の限りでは会っていない」との国会答弁を事実上修正する。これを受け、柳瀬氏の証人喚問などを求めて審議を拒否してきた野党は、柳瀬氏を参考人招致する与党の提案を受け入れ、大型連休明け後に審議復帰し、追及していく方針に傾いた。

 与党幹部によると、柳瀬氏は今後、学園関係者とは会ったことを認め、同席者が愛媛県や今治市の職員との認識はなかったとの説明に切り替えることを検討しているという。

 愛媛県作成文書によると、柳瀬氏は15年4月2日に官邸で県や市、学園関係者と面会し「本件は首相案件になっている」などと発言したとされる。柳瀬氏は「記憶の限りでは県や市の方に会ったことはない」と否定してきた。

 文部科学省や農林水産省からも同様の記録が見つかったため、面会の否定は無理があると判断する一方、「首相案件」などの発言内容は引き続き否定する方針とみられる。だが、柳瀬氏は学園関係者との面会もこれまで語ってこなかったため、説明の信用性がさらに問われることは必至だ。

 立憲民主党の辻元清美国対委員長は2日、記者団に「首相側近がなぜ官邸で学園関係者らと会うのか。一学校関係者は首相秘書官と普通会えない。首相の関与も含め疑惑はますます深まった」と指摘。「(審議拒否の)圧力で窓が少し開いた。柳瀬氏に早期に国会で話してもらう必要は強まった」と強調し、他の野党と調整を急ぐ考えを示した。

 与党と日本維新の会は2日、衆院厚生労働委員会で「働き方」関連法案の審議を主な野党不在のまま行い、野党の時間として割り当てた4時間以上は質疑がないまま終わった。 

 

柳瀬氏面会問題 究明たらい回し 文科・農水「出向先のこと」 官邸「各省が回答」(2018年5月2日配信『東京新聞』)

 

 

学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部開設を巡り、愛媛県幹部らが2015年4月に柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面会した際、官邸スタッフとして文部科学省と農林水産省から内閣官房に出向していた職員も同席したとされる問題で、官邸と両省がともに事実の確認を避けている。官邸側は「(出向元の)各省が答えるもの」と主張し、一方の両省は「出向先のこと」といずれも真相究明をたらい回しにしている。

 同席の有無について、出向先の内閣官房担当者は本紙の取材に「愛媛県職員らの官邸の入館記録がなく面会した事実を確認できないので、答えるのは難しい」と説明。両省には「各省がそれぞれの立場で答えるもの」と伝えたという。

 これに対し、両省は「内閣官房での仕事についてコメントは控える」と繰り返し、事実関係を調査する姿勢を見せていない。出向していた両省幹部本人に直接確認しようと、加計問題の合同会合への出席を求める野党の要請にも、両省は応じていない。

 柳瀬氏との面会を記した愛媛県文書では、柳瀬氏が、獣医学部開設を「首相案件」と発言したとされる。柳瀬氏は「記憶の限りでは会っていない」と否定しているが、両省からの出向職員が面会に同席していたと確認できれば、県文書の信ぴょう性は高まる。

 加計学園理事長とじっこんであることから、自身の関与も疑われている安倍晋三首相は「うみを出し切る」と関係省庁での徹底調査を表明している。しかし、実際の官邸や省庁の対応は真相究明を遠ざけており、野党議員からは「総理はうみを出し切ると言ったはず」「出向者本人に聞けないのは都合が悪いことがあって隠しているのでは」などと批判が相次いでいる。 

 

加計問題 柳瀬氏、面会認める意向 国会答弁へ(2018年5月2日配信『毎日新聞』)

 

 学校法人「加計学園」による国家戦略特区を利用した獣医学部新設を巡り、柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)は、2015年4月2日に同学園関係者と首相官邸で会ったことを認める意向を固めた。面会をうかがわせる文書が愛媛県や農林水産省などで見つかり、否定し続けるのは難しいと判断した。与野党が国会招致で合意すれば、答弁で説明する。自民党幹部が明らかにした。

 愛媛県と同県今治市職員、加計学園事務局長らが柳瀬氏と面会したという県職員作成の文書が報じられた4月10日、柳瀬氏は「記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはありません」とのコメントを出した。文書では柳瀬氏が「本件は、首相案件」と述べたとされるが、柳瀬氏は「私が外部の方に対して、首相案件になっているといった具体的な話をすることはあり得ません」と否定した。

 その後、愛媛県の文書とほぼ同じ内容の文書が農水省で見つかり、文部科学省が内閣府から受け取ったメールには、15年4月2日に柳瀬氏と愛媛県や今治市職員、加計学園幹部らが面会する予定と記されていた。

 立憲民主党など野党6党は柳瀬氏の証人喚問を要求し、参考人招致にとどめたい与党と駆け引きが続いている。いずれの方法にせよ国会招致は避けられない状況になり、安倍晋三首相は4月26日、衆院予算委員会で「柳瀬氏は国会に呼ばれれば、しっかりと誠実にお答えする。知っていることをすべて明らかにしてもらいたい」と答弁した。

 柳瀬氏は、面会の有無が国会で問題になった昨年7月、職員らと会った可能性を周辺に認めていたことが明らかになっている。名刺交換しなかったため、記憶がないという。

 自民党幹部は1日、柳瀬氏の4月10日のコメントを踏まえ「愛媛県や今治市の職員は加計学園関係者の後ろにいたから、記憶に残っていないのだろう。学園関係者との面会を認めても、うそをついたことにはならない」と述べ、従来の説明との整合性はとれるという見方を示した。

 しかし、柳瀬氏が加計学園側との面会を認めれば、特区での認定が「加計ありき」だったという疑いはより深まる。野党が会談内容を追及するのは確実で、政府はさらに追い込まれる可能性がある。

 

「加計」疑惑 柳瀬元首相秘書官 証人喚問待ったなし(2018年5月1日配信『しんぶん赤旗』)

 

面会の裏付け文書次々

 学校法人「加計学園」が愛媛県・同県今治市とともに進めた国家戦略特区での獣医学部新設をめぐって、当時首相秘書官だった柳瀬唯夫経済産業審議官の関与を示す文書が次々明らかになっています。しかし柳瀬氏は、なおも関与を否定。虚偽答弁や証言拒否をすれば偽証罪に問われる証人喚問での真相究明は待ったなしです。


 「何らかの機会があれば、柳瀬氏は知っていることを全て明らかにしてもらいたい」。安倍晋三首相は4月26日の衆参両予算委員会でこう述べましたが、日本共産党など6野党が求めている証人喚問には言及しませんでした。野党の要求に対し「まずは参考人として招致」と喚問を突っぱねる与党の立場を代弁した形です。

 柳瀬氏の関与をめぐっては、愛媛県と今治市が国家戦略特区に獣医学部新設を申請する2カ月前の2015年4月2日、首相官邸で学園幹部や県・市職員と面会し、学部新設の計画について具体的に指南した問題が焦点になっています。

 一学校法人、自治体職員に首相秘書官が官邸で対応するというこの異例の面会は“加計ありき”そのものだとして、野党側が昨年7月の衆参両予算委で追及。当時参考人として出席した柳瀬氏は「記憶の限りでは会っていない」「記録もとっていない」と面会そのものを真っ向から否定しました。

 ところが、今年4月に入ってその面会を裏付ける文書が次々判明。愛媛県作成の面会記録では柳瀬氏は「本件は、首相案件」と発言。安倍首相が友人の加計孝太郎・同学園理事長と会食した際、獣医学部の計画が話題になったことをうかがわせる記述などもありました。

 さらに農水省でも、愛媛県文書とほぼ同じ記述の文書が判明。学園幹部、県・市職員らが15年4月2日午前11時半から、藤原豊・地方創生推進室次長(当時)の面会後、午後3時から柳瀬氏に面会予定と記した内閣府から文科省あてのメールも見つかりました。

 ところが、こうした面会を決定付ける文書を前にしても柳瀬氏は「記憶の限りで会ったことはない」とコメントする始末です。

 うその答弁をしても罪に問われない参考人招致だからこそ柳瀬氏は、「記憶がない」の一言でこの間明らかになった事実を否定してきました。証人喚問に背を向ける与党の姿勢は、疑惑隠し・幕引きそのものです。

 

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自民・総裁特別補佐「柳瀬氏に新フェーズでの発言期待」(2018年4月26日配信『朝日新聞』)

 

柴山昌彦・自民党総裁特別補佐(発言録)

 (公文書改ざんや前事務次官によるセクハラ発言といった問題で野党が要求する)麻生太郎財務大臣の辞任は、国会や党の立場でなにかできることではない。そういう要望があることを真摯(しんし)に受けとめて欲しいと政府に要求している。特に財務省の(文書改ざん問題の)調査はもっとスピードアップして、しかるべきタイミングでタイムリーに発表して欲しい。

 (学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設をめぐり)農水省から(当時の柳瀬唯夫首相秘書官と)愛媛県の担当者が打ち合わせたような文書が出てきた。柳瀬氏が「記憶の限りでは(愛媛県や今治市の方にお会いしたことは)ない」と言った時とフェーズ(局面)が変わった。国権の最高機関である国会が柳瀬氏をなんらかの形で呼ぶとなったら、新しいフェーズでの発言も期待できるのでないか。(BSフジの番組で)

 

首相「私の意識が不十分だった」 衆院予算委、国会正常化に努力と説明(2018年4月26日配信『日経新聞』)

 

 安倍晋三首相は26日午前の衆院予算委員会で森友学園や加計学園の問題に関して「私の意識が十分でなく、国会審議が政策論争以外に集中してしまう状況を招いた。率直に反省しなければならない」と述べた。

 その上で「国民の厳しい目が注がれていることを十分に意識しながら、事実に基づき、丁寧な上にも丁寧な説明をしていく努力を重ねていきたい」と述べた。自民党の後藤茂之氏への答弁。

 安倍首相は冒頭で1720日の訪米について報告。立憲民主党、希望の党、民進党、共産党など野党6党は麻生太郎財務相の辞任などを求めており、審議を欠席した。

 

加計側・柳瀬氏と同席の出向者 文科・農相「調査せず」(2018年4月24日配信『東京新聞』)

 

 学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設を巡り、2015年4月2日に愛媛県や学園の幹部らが首相官邸で柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面会した際、官邸スタッフとして文部科学省と農林水産省から出向していた職員が同席していたとする本紙報道について、林芳正文科相と斎藤健農相は24日の閣議後会見で、「出向時のことだ」などとして事実関係を調査する考えはないことを明らかにした。

 県が作成した面会記録の文書では、県側が柳瀬氏と官邸で面会し、「首相案件」などと説明を受けたとされるが、柳瀬氏は否定している。文科、農水両省の出向者の同席が事実なら、県文書の信ぴょう性を裏付けることになるが、両大臣は事実解明に後ろ向きな姿勢を見せた。

 この日の会見で、林文科相は「当時の内閣官房の職員に関する事項なので、文科省としてコメントすることは差し控えたい」と説明した。ただ、官邸での面会の予定を知らせるため15年4月2日に内閣府が文科省に送ったメールを巡り、同省がこの幹部にも聞き取り調査をしたところ、幹部は面会の話題に自ら触れ、同席について「覚えがない」と話したという。

 一方、斎藤農相は会見で「事実関係は把握していない」とした上で、「出向している場合は出向先の指揮監督を受けるので、その時の仕事ぶりについて調査するわけにいかない」と述べた。

 政府関係者によると、柳瀬氏との面会の場に同席していたのは、現在、文科、農水両省の幹部で、当時は官邸に出向していた内閣官房内閣参事官。これまでの本紙の取材に文科省幹部は「取材対応は控える」、農水省幹部は「当時のことはよく覚えていない」と明言を避けている。 

 

文科職員「同席覚えない」 文科、農水両省は職員出向中のため「把握できず」(2018年4月24日配信『産経新聞』)

 

 学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画を巡り、愛媛県職員らが2015年4月に当時の柳瀬唯夫首相秘書官と面会したとされる際、文部科学省と農林水産省の職員2人が同席していたとの一部報道について、林芳正文科相と斎藤健農水相は24日の閣議後記者会見で、それぞれ事実関係を把握していないと説明した。文科省職員は「覚えがない」と話しているという。

 職員2人は当時、内閣官房に出向していた。林氏は「内閣官房の職員に関する事項なので、文科省としてコメントすることは差し控えたい」と述べた。斎藤氏は「仮に事実だったとしても、農水省で行われているものではなく、把握しようがない」とした。両省とも職員が出向先の指揮監督下にあったことから、事実なのかどうかを調べる予定はないという。

 

閣僚が次々造反 安倍政権は「麻生辞任」が終わりの始まり(2018年4月22日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 まさに政権末期だ。次々にスキャンダルが押し寄せている安倍政権。末期的なのは、閣僚たちが半ば公然と“造反”し始めていることだ。閣僚をコントロールできなくなったら、政権の終わりは近い。

 アベ1強が続いた、この5年間、閣僚が安倍首相に逆らうことは皆無だった。独裁者に恨まれたら、どんな仕打ちをされるか分からないと怯えたからだろう。ところが、ここにきて空気が一変している。安倍首相が困ると承知しながら、自分の考えに従って行動し始めているのだ。

 そもそも、モリカケ疑惑が再びここまで大きくなったのは、斎藤健農水大臣が「省内に残っていた」と、愛媛県の職員が作った「備忘録」を公表したことが発端である。愛媛県と今治市の職員が、柳瀬唯夫秘書官(現・経産審議官)と官邸で面会し、柳瀬秘書官が「これは首相案件」と明言したことを証明する文書である。愛媛県の職員が農水省の官僚に手渡していた。

 20日は、林芳正文科大臣が「文科省にあった」と「内部文書」を公表。こちらは、愛媛県と今治市の職員が官邸を訪問した当日、内閣府から文科省にメールされたもの。「本日15時から柳瀬総理秘書官とも面会するようです」と具体的に記されていた。

 農相と文科相の2人が「内部文書」を公表したことで、もはや柳瀬審議官が「会ったことはない」と嘘をつき続けるのは不可能となった。

 さらに、野田聖子総務相は、財務省の福田淳一次官のセクハラについて、「メディアで働いている女性の生の声を聞きたい」と、近々、セクハラ被害の実態を聞く場を設けると発表した。総務大臣が女性記者と懇談すれば、またセクハラ問題が話題になるのは間違いない。

「安倍首相は内心、農相、文科相、総務相の3人に対してはらわたが煮えくり返っているはずです。3人とも、わざわざ騒動を大きくして、結果的に安倍首相に打撃を与えていますからね。閣僚への抑えが利かなくなるのは、政権末期の特徴です。アベ1強が続いていたら、農相も文科相も内部文書を公表しなかったでしょう。ポイントは、3人とも、もともと安倍首相とは“敵対関係”にあることです。安倍首相本人は、うまく取り込んだつもりだったのでしょうが、完全に裏目に出ています」(政治評論家・山口朝雄氏)

 ■麻生財務相は連休後に辞任か

 いま「いつ安倍首相を見放すのか」と注目されているのが麻生財務相だ。第2派閥を率いる麻生財務相が安倍首相に見切りをつけたら、安倍政権は完全に終わりだ。

 「意外にスジを通すタイプの麻生さんは、閣内にいるうちは安倍首相を支え続けるでしょう。でも、閣内を離れたら、もう義理はない。問題は、いつ財務大臣を辞めるのかです。タイミングは、公文書の改ざんについて、財務省の調査がまとまり、誰を処分するか決まった時でしょう。調査結果と処分を発表する時、麻生さんは『トップの私が責任を取る』と辞任するつもりでしょう。時期は、連休明けだとみられています。検察の捜査も連休後に決着するとみられています。麻生さんが辞める時が、安倍政権の終わりの始まりになるのではないか」(自民党事情通)

 政権が弱体化したら、この先、閣僚の“造反”が、さらに増える可能性が高い。“造反”が続けば、さらに政権が弱体化していく。安倍政権の終わりが近づいている。

 

教授も安倍シンパ 加計獣医学部参考書に朝日新聞“批判本”(2018年4月22日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 

 蛻芬≠ヘ、岡山理科大学獣医学部には2018年4月に兼任講師として就任。2019年4月に教授就任予定)

 

開学にこぎつけた「加計学園」の獣医学部。「首相案件」だった証拠が次々に発覚し、大炎上中だが、「授業内容まで首相案件か!」と批判が噴出している。

 加計学園「岡山理科大」の公式ホームページに掲載された「講義概要(WEBシラバス)」によると、なんと獣医学部1年生の教養科目「現代人の科学A」で、参考書として「『森友・加計事件』朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」(小川榮太郎著)を採用しているのだ。

 同書は、タイトル通りモリカケ問題を巡る朝日新聞の報道を徹底批判。著者の小川氏は、民主党政権時の2012年、「安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会」の発起人を務めたほどの“安倍シンパ”である。同書で「安倍晋三は、報道犯罪の被害者である」「森友学園、加計学園問題は、いずれも安倍首相とは何ら全く関係ない事案だった」と断じているのだ。朝日新聞は小川氏と出版元を名誉毀損で訴えている。

 さらに、岡山理科大の客員教授にも“安倍シンパ”が採用されている。

 一人は、ツイッターで「STOP!朝日新聞プロパガンダ」などと投稿し、安倍首相を礼賛している米カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバート氏だ。今月初旬、ネットのニュース番組で客員教授に就任したことを告白。さらに、番組で「(経済評論家の)上念司さんも客員教授になった」と打ち明けていた。その上念氏も、小川氏同様、「有志の会」の発起人メンバーだ。

 なぜ、小川氏の著書を参考書として採用し、安倍シンパの2人を客員教授にしたのか。加計学園に見解を求めたが、返答はなかった。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。

「加計学園は、理事長が総理と近かったから優遇されたとの疑惑を招いているわけです。これでは、参考書や教員まで“縁故主義”で選ばれたかのように見えてしまいます。本来、参考書などはできる限り偏らないように選ぶべきです。学園は、『マスコミの報道は間違いで学園の考えこそ正しい』と生徒たちに印象づける狙いがあるのではないか。そう疑われても仕方がありません」

 加計理事長は、言いたいことがあるのなら、国会に来て語った方がいい。

 

文科・農水の出向者同席 官邸訪問 柳瀬氏と面会時(2018年4月21日配信『東京新聞』)

 

 学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部開設を巡り、2015年4月2日に愛媛県や今治市、学園の幹部ら一行が首相官邸で柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面会した際、官邸スタッフとして文部科学省と農林水産省から内閣官房に出向していた職員も同席していたことが20日、政府関係者への取材で分かった。柳瀬氏は「記憶の限りでは、県や市の方に会ったことはない」と否定しているが、県幹部らの官邸訪問が関係省庁の間で広く情報共有されていたことになる。

 政府関係者によると、柳瀬氏と一行が面会した場に同席していたのは、現在、文科、農水両省の幹部で、当時は官邸に出向していた内閣参事官2人。官邸への出向者は、出向元の省庁とのパイプ役も担っている。政府関係者は「出向者を通じて、官邸訪問の情報は両省にも伝わっていた」と証言している。

 獣医学部開設には獣医師が不足しているかどうかが焦点の一つで、文科省や農水省は当時、「獣医師は足りている」として開設には慎重だった。政府関係者は「官邸側には、獣医学部開設が『首相案件』というメッセージを、出向者を通じて両省に伝え、計画を進める狙いがあった」と話す。

 同席の事実について、出向していた文科省幹部は本紙の取材に「取材対応は控える」、農水省幹部は「当時のことはよく覚えていない」と明言を避けた。

 文科省は20日、これに関連して官邸訪問当日に内閣府職員が文科省職員に宛てた2通のメールを公表した。1通目の午前9時52分に受信したメールは、一行が藤原豊内閣府地方創生推進室次長(当時)と面会することを事前に伝えていた。2通目の午後零時48分に受信したメールは、藤原氏との面会結果を伝える内容で、愛媛県文書の趣旨とほぼ一致する。「本日15時から柳瀬総理秘書官とも面会するようです」と、一行が直後に官邸を訪ねることにも触れていた。

 文科省は、学園幹部らの官邸訪問が3月に伝えられていたとする今月12日付の本紙報道や、文科省に内閣府からのメールが存在しているとするNHKの報道を受け、調査していた。

 内閣府によると、藤原氏は「県や市の職員とこの頃会ったことは記憶している」と面会自体は認めている。現在、経済産業審議官の柳瀬氏は20日夕、安倍晋三首相に同行した米国から帰国。経済産業省内で報道陣に、「国会に呼ばれましたら、しっかりと誠実にお答えしたい」と述べた。

 

文科・農水の出向者同席 官邸訪問 柳瀬氏と面会時(2018年4月21日配信『東京新聞』)

 

 学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部開設を巡り、2015年4月2日に愛媛県や今治市、学園の幹部ら一行が首相官邸で柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面会した際、官邸スタッフとして文部科学省と農林水産省から内閣官房に出向していた職員も同席していたことが二十日、政府関係者への取材で分かった。柳瀬氏は「記憶の限りでは、県や市の方に会ったことはない」と否定しているが、県幹部らの官邸訪問が関係省庁の間で広く情報共有されていたことになる。 

 政府関係者によると、柳瀬氏と一行が面会した場に同席していたのは、現在、文科、農水両省の幹部で、当時は官邸に出向していた内閣参事官2人。官邸への出向者は、出向元の省庁とのパイプ役も担っている。政府関係者は「出向者を通じて、官邸訪問の情報は両省にも伝わっていた」と証言している。

 獣医学部開設には獣医師が不足しているかどうかが焦点の一つで、文科省や農水省は当時、「獣医師は足りている」として開設には慎重だった。政府関係者は「官邸側には、獣医学部開設が『首相案件』というメッセージを、出向者を通じて両省に伝え、計画を進める狙いがあった」と話す。

 同席の事実について、出向していた文科省幹部は本紙の取材に「取材対応は控える」、農水省幹部は「当時のことはよく覚えていない」と明言を避けた。

 文科省は20日、これに関連して官邸訪問当日に内閣府職員が文科省職員に宛てた2通のメールを公表した。1通目の午前9時52分に受信したメールは、一行が藤原豊内閣府地方創生推進室次長(当時)と面会することを事前に伝えていた。2通目の午後零時48分に受信したメールは、藤原氏との面会結果を伝える内容で、愛媛県文書の趣旨とほぼ一致する。「本日15時から柳瀬総理秘書官とも面会するようです」と、一行が直後に官邸を訪ねることにも触れていた。

 文科省は、学園幹部らの官邸訪問が三月に伝えられていたとする今月12日付の本紙報道や、文科省に内閣府からのメールが存在しているとするNHKの報道を受け、調査していた。

 内閣府によると、藤原氏は「県や市の職員とこの頃会ったことは記憶している」と面会自体は認めている。現在、経済産業審議官の柳瀬氏は20日夕、安倍晋三首相に同行した米国から帰国。経済産業省内で報道陣に、「国会に呼ばれましたら、しっかりと誠実にお答えしたい」と述べた。

 

「加計学園が面会」 県・市を随行者扱いか(2018年4月21日配信『東京新聞』)

 

 文部科学省が公表したメールの1通には「加計学園が藤原次長に面会に来る」と書かれていた。藤原氏は当時の内閣府地方創生推進室次長で、学園幹部だけでなく、後に国家戦略特区の申請者となる愛媛県や今治市の職員とも面会していた。しかしメールは県や市には言及しておらず、内閣府が自治体側を学園の随行者のように認識していたことがうかがえる。

 藤原氏への面会を予告するメールが送られたのは、2015年4月2日午前10時前。「本日11‥30〜加計学園が藤原次長に面会に来るとのことです」と記されていた。愛媛県や今治市の文言はなかった。

 正午すぎに送られたもう1通のメールは、藤原氏からどのような助言があったのかを報告するのが主な内容。訪問者名は黒塗りで明らかにされなかったが、列挙された最上位は「学校法人加計学園 倉敷芸術科学大学」だった。その下に、愛媛県や今治市が続いた。メールの公表を受けた野党合同ヒアリングで、野党議員に「訪問者の中心は加計学園という認識か」と問われた内閣府の担当者は、「そういう見方が強まると思う」と認めた。

 

加計問題 愛媛県文書と類似点複数 内閣府から文科省へのメール(2018年4月21日配信『東京新聞』)

 

 学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画を巡り、愛媛県や今治市、学園幹部が首相官邸を訪問する際の面会相手として柳瀬唯夫首相秘書官(当時)の名前が記されたメールが文部科学省で見つかった。メールには、県が作成した藤原豊・内閣府地方創生推進室次長(当時)との面会記録と同様の内容が複数記載されており、県文書の信ぴょう性がさらに高まった。 

 メールには藤原氏の発言として、「制度改正の実現は首長のやる気次第。熱意をどれだけ示せるか」「今月(又はGW明け?)に予定する国家戦略・構造特区の共通提案に出してみては」と記されている。

 県文書には、藤原氏が「国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたい」とした上で、提案内容について「幅広い方が熱意を感じる」と発言したと記されていた。「今年度から構造改革特区と国家戦略特区を一体的に取り扱う」として「遅くとも5月の連休明けには1回目の募集を開始」と述べたとされ、メールの内容と符合する。

 メールには「反対派の同意を得るためにも、構想の内容(コンセプト、カリキュラム、自治体の取組等)を検討いただき、ご相談いただきたい」とも記されている。県文書には「(獣医学部新設に反対する)獣医師会等と真っ向勝負にならないよう」「カリキュラムの工夫などもしっかり書きこんでほしい」とあった。

 また、メールには「本日15時から柳瀬総理秘書官とも面会するようです」とあり、柳瀬氏との面会予定時刻と県文書に記されていた面会時刻は同じだった。

 文科省で見つかったメールは印刷され、同省の行政改革推進室に残っていた。官邸訪問当日、内閣府の地方創生推進室の担当者から送信されていた。内閣府では、メールの存在は確認できなかったが、メールの送信者として記載がある職員が「記憶はないが、自分が作成、送信したと思われる」と答えたという。

     ◇

 林芳正文科相は20日の記者会見で、官邸側から文科省に2015年3月に官邸訪問を伝えていたとの本紙報道についても、当時の担当職員が「陳情が来るので文科省のスタンスを教えてほしい」と電話連絡を受けていたことを認めた。

◆内閣府「当時の職員 作成認める」

 愛媛県や加計学園の幹部らが首相官邸で柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面会予定であることを事前に伝えたメールが、文部科学省で見つかったことに関し、内閣府の笹川武官房総務課長は20日、記者団に「(当時内閣府にいた)職員が『自分が作成、送信したと思われる』と言っている。それなりのものではないか」と述べた。笹川氏は、送信者とされる職員や受信したとみられる職員、藤原豊・地方創生推進室次長(当時)の3人を聞き取り調査。内閣府ではメールの存在を確認できなかったため、「100パーセント(本物だ)と言うのは控える」とも述べた。

 内閣府の調査によると、職員は2015年9月末に異動した際、メールをすべて削除。システム上、削除メールを復元できる期間は数週間という。

◆愛媛知事「柳瀬氏は正直に話して」

 愛媛県の中村時広知事は20日、学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画について、県職員らと柳瀬唯夫首相秘書官(当時)との面会予定を記したメールの写しが文部科学省で発見されたのを受け、柳瀬氏に対し「正直に記憶をたどってお話しされればと思う」と述べた。訪問先の日本スポーツ協会(東京都渋谷区)で、記者団の質問に答えた。愛媛県が作成した文書には柳瀬氏との面会の様子が書かれていた。中村知事は記者団に「県は何も包み隠さず言えることは言っている」と改めて強調した。

 

<加計問題>国会空転 与党、強行批判恐れる(2018年4月21日配信『毎日新聞』)

 

 ◇柳瀬氏の参考人招致見送り 野党6党も追及戦略描けず

 自民、公明両党が加計学園の獣医学部新設に関し、23日の柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人招致を見送ったのは、野党が欠席する中で強行して、安倍政権のイメージがさらに悪化することを恐れたためだ。首相官邸は一時「与党だけで参考人招致をしてほしい」と打診したが、与党側から「『政権擁護のお手盛り』と批判される」と慎重論が出た。一方、証人喚問へ攻勢を強める立憲民主党など野党6党も、今後の展望は描けていないのが実情だ。

 「強引にやるイメージは良くない」。自民党の森山裕国対委員長は記者団に、衆参の予算委員会集中審議と参考人招致を見送った理由を、こう説明した。参考人招致は全会一致で決めるのが慣例だが、野党が20日から審議を拒否し、実施するには与党が数で押し切るしかなくなっていた。

 柳瀬氏は昨年7月にも参考人として加計学園問題で答弁。政府・与党は今回も「証人喚問ではなく参考人招致にとどめれば、何とか乗り切れる」とみている。与党関係者によると、国会で日米首脳会談の成果もアピールしたい官邸は「野党抜き」で集中審議を強行するよう要請。自民党からも「野党が来なくても淡々とやる」(国対幹部)と強気な声が出ていた。

 しかし森友学園などを巡り、首相に近い自民党議員の質問が「政権擁護が露骨すぎる」と批判を浴びたこともあり、公明党は、厳しい質問の少ない与党だけの質疑では、世論の反発を招きかねないと懸念。結局、自公両党は「無理をするのはやめよう」と安全策を採った。公明党の井上義久幹事長は20日の記者会見で、「参考人招致は全会一致が基本だ」と語った。

 一方、野党は麻生太郎副総理兼財務相の辞任や柳瀬氏の喚問を求め、審議拒否に踏み切った。ただ、もともと集中審議を強く要求していたのは野党で、首相らをただす「見せ場」を失ったことも否めない。

 通常の法案審議については、与党は野党抜きでも進める構え。立憲など3党が欠席して20日に開かれた衆院厚生労働委員会は、18日と合わせて10時間、野党の質問時間を空費した。

 立憲の福山哲郎幹事長は「異常事態を整えるのは政府・与党の責任」と反発したが、「追及材料は多いのだから、委員会で議論すべきだ」(民進党の桜井充参院議員)と疑問も漏れる。このため野党側では「十分な質疑時間の確保」などを条件に、集中審議に応じる案も浮上している。

 

加計側「柳瀬氏と面会」(2018年4月21日配信『しんぶん赤旗』)

 

文科省、内閣府からのメール公表

愛媛県文書裏付け

 学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設をめぐり、愛媛県職員や学園幹部らが2015年4月2日に官邸で柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面会する予定を記した内閣府からのメールが見つかったと20日、文部科学省が発表しました。柳瀬氏が獣医学部新設を「首相案件」と発言したことを記録した愛媛県作成の文書を裏付ける内容です。安倍晋三首相の名代である柳瀬氏との面会が政府内でも記録されていたことで、「首相案件」だった疑いがいっそう強まりました。

 メールは15年4月2日付の2通。いずれも内閣府から文科省に送られました。同日午後0時48分送信のメールには、「本日15時から柳瀬総理秘書官とも面会するようです」とありました。愛媛県の文書でも同日午後3時に官邸で柳瀬氏にあったと書かれており、メールの内容と一致しています。

 柳瀬氏は面会の「記憶がない」と繰り返しています。他方、愛媛県の中村時広知事は20日、記者団に「正直に記憶をたどってお話しされればと思う」と述べました。

 内閣府によると、メールを作成した事務官は「面会の場でそのような話題が出て、それをそのまま自分がメモしたのだろう」と答えています。安倍首相は愛媛県文書について国会で「コメントしない」としてきましたが、政府の内部文書で面会の事実を突きつけられた形です。

 このメールには、内閣府の藤原豊・地方創生推進室次長(当時)の発言内容も記されていました。藤原氏は、▽実現は首長のやる気次第▽国家戦略特区と構造改革特区の共通提案にしてはどうか▽反対派の同意を得るため構想内容を検討する―などと助言。これらも愛媛県文書とほぼ同じです。

 午前9時52分送信のメールでは、「加計学園が藤原次長に面会に来るとのことです」とかかれています。学園が面会を主導したかのような記述で、当初から“加計ありき”で進んだことがうかがわれます。

 また文科省の調査では、「獣医の関係で官邸に誰かがいったという話を聞いたことがある」と答えた職員がおり、官邸訪問の内容が関係省庁に伝えられた可能性も強まりました。

 

疑惑のど真ん中の証拠(2018年4月21日配信『しんぶん赤旗』)

 

内閣府発信メールで笠井氏会見 「加計ありきの仕掛け」

 日本共産党の笠井亮政策委員長は20日、国会内で記者会見し、学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐり愛媛県職員らが首相官邸を訪問する予定を記した内閣府発信のメールが文部科学省内で確認されたことについて、「加計疑惑のど真ん中の証拠だ」として、柳瀬唯夫首相秘書官(当時)が「首相案件」だと述べたとする愛媛県の面会記録の信ぴょう性を示していると述べました。

 笠井氏は、メールには愛媛県の文書と共通する内容が書かれており、「(2015年4月2日の)15時から柳瀬総理秘書官とも面会するようです」との記述もあると指摘し、「逃れようのないものだ」と語りました。また、柳瀬氏との面会の直前に内閣府の藤原豊地方創生推進室次長(当時)が面会した相手として、加計学園に続き愛媛県と今治市の関係者の名が記載されていることに触れ、「愛媛県が加計学園を連れて行ったのではなく、加計学園側が県と市を連れて行った。加計ありきという仕掛けだ」と強調しました。

 その上で笠井氏は、いよいよ柳瀬氏らの証人喚問は必須だとして「何よりも安倍首相自身の関与、『首相案件』だという焦点がはっきりした。徹底的な真相究明が不可欠」だと主張しました。

 

柳瀬氏の招致方法焦点に 国会空転、与野党が対立(2018年4月20日配信『日経新聞』)

 

 国会は20日、福田淳一財務次官のセクハラ疑惑や学校法人「加計学園」をめぐる問題で与野党が対立し空転した。野党6党は麻生太郎財務相の辞任や柳瀬唯夫元首相秘書官の証人喚問を求め、審議を拒否した。加計問題で柳瀬氏と愛媛県関係者の面会を裏付けるようなメールが新たに見つかった。当面は柳瀬氏の招致方法を焦点に与野党の攻防が続く。

 立憲民主など野党6党は20日、衆参両院で国会審議を拒否し、衆院の厚生労働委員会や内閣委員会などを欠席した。麻生氏の辞任や、加計問題での柳瀬氏らの証人喚問の要求に政府・与党が「事実上のゼロ回答」だったと反発したためだ。

 与党は23日に予定していた衆参予算委員会の集中審議の開催を先送りした。当初はこの場で、柳瀬氏らを「参考人招致」する方針だった。野党は「嘘をつけば罪に問われる可能性がある証人喚問でなければ真相解明ができない」として与党の提案を受け入れていない。自民党の森山裕国会対策委員長は20日、国会内で記者団に「強引にやっているイメージはよくない」と先送りの理由を語った。

 加計学園の問題を巡っては文部科学省が20日、愛媛県の職員らが2015年4月2日に首相官邸を訪問予定であることを示すメールを発見したと発表。メールは内閣府の担当者から送られたもので、愛媛県職員らの予定として「柳瀬総理秘書官とも面会するようです」との記述もあった。記憶の限りでは面会していないとの柳瀬氏のコメントと食い違う内容だ。

 野党は財務次官のセクハラ疑惑の監督責任を問う麻生氏の辞任も強く求めている。民進党の那谷屋正義参院国対委員長は20日の記者会見で「そのまま居座らせるわけにはいかない」と訴えた。

 国会空転は週明け以降の法案審議に影響する可能性がある。厚労委で審議中の生活困窮者自立支援制度の見直し法案について、与党は来週中に衆院を通過させる日程を描く。同委では働き方改革関連法案の審議が控えている。公明党は、内閣委員会が所管するギャンブル依存症対策法案の早期の審議入りを求めている。

 

文科省でも証拠メール発見で、もう嘘は無理! 柳瀬唯夫首相秘書官が「官邸の“安倍さん命”の空気についていけない」とグチ(2018年4月20日配信『リテラ』)

 

 安倍首相の嘘を実証する証拠が、また新たに出てきた。本日、林芳正文科相は、加計学園幹部と愛媛県・今治市職員らが2015年4月2日に官邸で柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面会する予定であることを記したメールが見つかったと公表したからだ。

 これは面会当日に内閣府から文科省宛てに送信されたメールで、送信された時間は12時48分。送信者である内閣府の地方創生推進室の職員は、11時30分から1時間にわたって内閣府でおこなわれた藤原豊・地方創生推進室次長(当時)と加計幹部らの〈面会の結果〉を報告し、その上で〈本日15時から柳瀬総理秘書官とも面会するようです〉と書いているのだ。

 柳瀬氏は「記憶の限り会っていない」と言い張ってきたが、愛媛県が作成した面会記録文書以外にもこのメールが発見されたことによって、「会っていた」ことは確定的になったと言える。

 しかも、だ。このメールでは前述したように内閣府での〈面会の結果〉が報告されているのだが、その内容は、すでに公表されている愛媛県の面会記録文書に記された〈藤原地方創生推進室次長の主な発言(内閣府)11時30分〉とほぼ同じ内容が記載されているのだ。重要な問題なので、以下、比較しよう。

【内閣府→文科省宛てメール】

〈・今月(又はGW明け?)に予定する国家戦略・構造特区の共通提案に出してみては。

・反対派の同意を得るためにも、構想の内容(コンセプト、カリキュラム、自治体の取組等)を検討いただき、ご相談いただきたい。〉

【愛媛県作成の面会記録文書】

〈・今年度から構造改革特区と国家戦略特区を一体的に取り扱うこととし、年2回の募集を予定しており、遅くとも5月の連休明けには1回目の募集を開始。

・ついては、ポイントを絞ってインパクトのある形で、2、3枚程度の提案書案を作成いただき、早い段階で相談されたい。〉

〈・獣医師会等と真っ向勝負にならないよう、既存の獣医学部と異なる特徴、例えば、公務員獣医師や産業獣医師の養成などのカリキュラムの工夫や、養殖魚病対応に加え、ペット獣医師を増やさないような卒後の見通しなどもしっかり書きこんでほしい。〉

柳瀬唯夫首相秘書官が「官邸の“安倍さん命”という空気についていけない」とグチ

 このように、今回、発見されたメールの記載と愛媛県の面会記録文書の記載に齟齬がないということは、愛媛県の面会記録文書は面会時の発言をきちんと残した文書であるということを裏付ける。

 つまり、「本件は、首相案件」という柳瀬氏の発言や、安倍首相と加計孝太郎理事長が会食時に獣医学部新設について話し合っていたとする発言も、その信憑性はさらに高まり、信頼に値する文書だとあらためて実証されたことになるのだ。

 しかも、じつは柳瀬氏は首相秘書官時代、こんな言葉を漏らしていたということが、昨日発売の「週刊文春」(文藝春秋)18年4月26日号に掲載された。

「どうも官邸の“安倍さん命”という空気には私はついていけません」

「今井さんが首相に近い企業を押し込んでくる」

  この「今井さん」とは、言うまでもなく安倍首相の懐刀として知られる今井尚哉首相秘書官のこと。森友学園問題では、土地取引から文書改ざんまで関与し、官邸の司令塔となってきたのではないかと目されている人物だ(詳しくは過去記事参照)。

 柳瀬氏が言う「今井さんが首相に近い企業を押し込んでくる」というのは、安倍首相の外遊についてのこと。安倍首相は外遊の際に財界人を同伴させて原発や新幹線などのセールスを展開してきたが、そうした人選を担当していたのが柳瀬氏だった。だが、その際に今井首相秘書官が「首相に近い企業を押し込んでくる」ことに、柳瀬氏は嫌気がさしていたらしい。

 そして、じつはこの「首相に近い企業」には、加計学園も含まれている。実際、2013年5月2426日におこなわれたミャンマー訪問には加計理事長が同行。なんと政府専用機にまで加計理事長を搭乗させていたことがわかっている。

 本サイトでは、このミャンマー訪問直前の2013年5月6日、安倍首相と加計理事長がゴルフに興じた際に柳瀬氏も一緒にプレイしていたことを伝えたが、この時期から柳瀬氏は加計学園が「首相案件」であることを、あらゆる面で認知していた。そして、加計理事長のミャンマー訪問同行も、今井首相秘書官がねじ込んでいた可能性が出てきたのだ。

 “影の首相”今井尚哉首相秘書官が「柳瀬はこっち側の人間じゃない」とパワハラ

 柳瀬氏にとって今井首相秘書官は、経産省の2期上の先輩。そんな今井氏による首相中心のゴリ押しや、官邸に流れる「安倍さん命」の空気に馴染めないでいた柳瀬氏を、どうやら今井首相秘書官は感じ取っていた。「週刊文春」によれば、今井氏は「柳瀬はこっち側の人間じゃない」として、2013年11月、それまで歴代の経産省出身秘書官が担当していたマスコミ対応の仕事から柳瀬氏を外したのだという。

 この“パワハラ”が功を奏したのだろう。柳瀬氏は経産省に早く戻りたい一心で、安倍首相に尽くすべく、2015年4月の官邸での加計幹部らの訪問対応などを担当。無事、同年夏に経済政策局長という次官コースのポストを用意され念願の経産省に戻った、というわけだ。

 しかし、ここにきて焦点となる面会記録文書が出てきたことで、再び矢面に立たされることになった柳瀬氏。もはや、柳瀬氏の「記憶にない」という言葉を信用する国民は安倍応援団くらいしかいないだろうが、柳瀬氏がそんな見え透いた嘘を吐きつづけているのも、すべては安倍首相の国会答弁との整合性をとるため。さらに、今井首相秘書官との関係を考えれば、相当なプレッシャーをかけられていることは火を見るよりあきらかだ。──ようするに、森友問題における佐川宣寿・前理財局長と同じ立場にあるのだ。

 完全に安倍首相の下僕と化した佐川氏とは違い、首相秘書官時代から“面従腹背”の状態だった柳瀬氏。望みはかなり薄いが、すでにばれている嘘をつきつづけるよりも、ここは前川喜平・前文部科学事務次官のように反旗を翻してほしいもの。最後に、前川氏が佐川氏の国会招致前に送ったメッセージを、柳瀬氏にも送りたい。

「知っておられることをありのままにお話しいただきたいなと思います。これから20年、30年と生きる人生のなかで、ほんとうのことを話したほうがこれからの人生が生きやすいのではないかと思いますけどね」

 

「柳瀬氏とも面会」記載 官邸訪問メール 文科省が公表(2018年4月20日配信『東京新聞』)

 

 学校法人「加計(かけ)学園」が愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画をめぐり、林芳正文部科学相は20日、2015年4月2日に愛媛県や今治市、学園関係者が首相官邸を訪問した当日、内閣府が文科省に訪問を伝えていたメールの文章が省内で見つかったと発表した。メールには、面会相手として柳瀬唯夫首相秘書官(当時)や藤原豊・内閣府地方創生推進室次長(同)の名前があり、一行が両氏と面会した内容を記録した愛媛県文書の信ぴょう性がさらに高まった。

 メールは文書に印刷され、15年4月2日付の2通の内容が残されていた。1通目の午前9時52分送信分には「本日11:30〜加計学園が藤原次長に面会に来るとのことです」と記されている。さらに「当方も同席をする」とあり、内閣府担当者も同席予定であることを伝えている。

 2通目の同日午後零時48分の送信は、藤原次長らとの面会結果を伝える内容。藤原氏が愛媛県側らに「制度改正の実現は首長のやる気次第。熱意をどれだけ示せるか」と述べたほか、政府の国家戦略特区制度と構造改革特区制度の共通提案にしてはとの打診や、反対派の同意を得るための構想内容を検討し、相談してほしいとの内容が記されていた。愛媛県文書と趣旨がほぼ一致している。「本日15時から柳瀬総理秘書官とも面会するようです」と書かれている。

 愛媛県文書では、県や市、学園関係者らは藤原氏と面会後に官邸で柳瀬氏と面会し、「首相案件」と説明を受けたとしている。

 柳瀬氏は「記憶の限りではお会いしたことはない」と否定しているが、政府内で事前に訪問が共有されていたことで、柳瀬氏の説明への疑問が深まった。

 藤原氏も面会の際、「要請内容は総理官邸から聞いている」と話したとされているが、「記憶にない」としている。

 文科省は、学園関係者らの官邸訪問が事前に伝えられていたとする今月12日付の本紙報道や、文科省にメールが存在しているというNHKの報道を受け、関係職員に聞き取り調査。当時の総務課行政改革推進室の職員が「個人的に紙ベースで残していた可能性がある」と話したため、職場内を探し、文書が見つかった。この職員を含め同省の職員3人が、内閣府地方創生推進室の職員から受信していた。

内閣府の職員が「送信」

 内閣府は20日、加計問題をめぐり、内閣府が愛媛県の訪問を事前に文部科学省にメールで伝えていたとの報道を受けて事実確認を行った結果、当時、文科省から出向し送信者として記載がある職員が「記憶はないが、写しがある以上、自分が同席して作成、送信したものと思われる」と回答したと明らかにした。メールや紙文書は確認されなかったとした。

 内閣府は17日に文科省から提供されたメールの写しをもとに、文科省へのメール送信者と記載されている職員、受信したとみられる職員、愛媛県関係者と柳瀬唯夫元首相秘書官が面会したとされる2015年4月2日当時に地方創生推進室次長だった藤原豊・経済産業省貿易経済協力局審議官の3人から聞き取り調査をした。内閣府は地方創生推進事務局の共有フォルダーや、職員2人が使用していた個人端末も調べた。

 送信したとみられる職員は、記憶は曖昧だが「午前中の面会の場で話題が出て、それをそのまま自分がメモにしたのだろう」との認識を示した。ただ、面会の調整や入館手続きを行った記憶はなく、同席していないし、結果も聞いていないという。受信したとみられる職員は「着任直後で覚えていない。写しがあるなら自分にも送られたのだろう」と話した。

 藤原氏は「明確な日付は分からないが、愛媛県や今治市職員と、このころ会ったことは記憶している」と回答。「自治体からの相談に業務として応じたものであり、何らかの指示をしたわけではない」と話した。

 梶山弘志・地方創生担当相は20日の記者会見で「面談の際に先方(愛媛県関係者)から官邸に行くということが出たため、メモとして送ったということだろう」と話した。

 

内閣府から文科省に送信された加計学園関連のメール(複写)

 

「愛媛県職員が柳瀬氏と面会予定」メール、文科相が公表(2018年4月20日配信『朝日新聞』)

 

 学校法人「加計(かけ)学園」の愛媛県今治市への獣医学部新設計画をめぐり、林芳正文部科学相は20日、愛媛県職員らが2015年4月2日に柳瀬唯夫首相秘書官(現・経済産業審議官)と面会する予定だと記したメールを文科省職員が残していたことを明らかにした。愛媛県が作成した文書には柳瀬氏が首相官邸で対応したと記されており、面会の予定が文科省にも伝わっていたことになる。

「加計で愛媛県職員ら官邸訪問予定」文科省にメール残る

 林氏によると、メールは内閣府職員が送っていた。印刷した形で残っており、「15年4月2日午後0時48分」と記されている。直前まで愛媛県職員や今治市職員、加計学園の関係者らが藤原豊・地方創生推進室次長(現・経済産業省貿易経済協力局審議官)に面会した際の内容などが書かれた後に「本日15時から柳瀬総理秘書官とも面会するようです。概要は後でまとめてお送りします」とあった。

 愛媛県が作成した文書には、2日の面会で柳瀬氏が「本件は、首相案件」と発言したなどと記されている。柳瀬氏は「記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはない」とコメントしており、面会の有無が焦点となっている。

 

文科省訪問を知らせるメール、内閣府では確認されず(2018年4月20日配信『産経新聞』)

 

 梶山弘志地方創生担当相は20日の記者会見で、加計学園の獣医学部新設に関連し、愛媛県職員らが首相官邸を訪問したとされる平成27年4月2日に内閣府側が文部科学省の担当者に愛媛県職員などの訪問予定を伝えるメールが見つかったことを受けて、内閣府が同府内でメールの存否を調査した結果、「確認されなかった」と明らかにした。

 ただ、メールを発信したとみられる当時の担当職員は、調査に対し「当時の記憶は残っていないが、写しがある以上、自分が作成・送信したと思う」と話しているという。

 内閣府は、17日にメールの存在が報道されたことを受けて調査を開始。文科省に残っていたメールの写しの提供を受け、県側と面会したとされる内閣府の藤原豊地方創生推進室次長(当時)や、メール作成者とみられる職員ら計3人からヒアリングなどを行なった。

 藤原氏はメールについて「明確な日付は分からないが、愛媛県側とこの頃あったことは記憶している。国家戦略特区制度を丁寧にPRするための対応で、他の自治体と比べて特別な対応ではなかった」とし、残りの2人も「記憶にない」と説明。当時の柳瀬唯夫首相秘書官(現・経済産業審議官)との面会への同席や調整については、3人とも否定した。

 

加計問題 文科省に「訪問」連絡 愛媛県予定、内閣府から(2018年4月19日配信『毎日新聞』)

 

 学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設を巡り、愛媛県の職員らが柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面会したとされる2015年4月に、内閣府から文部科学省に県職員らが首相官邸を訪問する予定だと伝えるメールが、文科省内の調査で見つかった。同省関係者が明らかにした。訪問予定が関係府省の間で共有されていたことを裏付けるもので、県作成の「首相案件」と書かれた文書の信ぴょう性が高まる。

 林芳正文科相は20日にもこの調査結果を発表する。

 メールは、愛媛県と同県今治市職員が首相官邸で柳瀬氏と面会したとされる15年4月2日の当日、内閣府から文科省の担当者に宛てたものだった。

 愛媛県が「備忘録」として作成した文書には、柳瀬氏が面会で「本件は首相案件」と発言したと記載。柳瀬氏は今月10日、「記憶の限り会っていない」とするコメントを発表したが、毎日新聞の取材で、周囲に「会っていないとは言えない」と面会の可能性を認める説明をしていたことが判明している。

 文科省はこの文書の存否を調査し、17日に「確認できなかった」とする調査結果を発表していたが、別に報じられたメールについても追加で調査を進めていた。

 

安倍首相の苦境、米メディアも注目「危険な会談に直面」(2018年4月18日配信『朝日新聞』)

 

北朝鮮や通商の問題が話し合われたトランプ米大統領と安倍晋三首相との17日の首脳会談に関し、米メディアの注目は、森友学園や加計学園をめぐる問題などで苦しむ安倍氏の現状にも及んだ。

 CNN(電子版)は17日、「日本での支持急落の中、安倍氏は北朝鮮問題で危険なトランプ会談に直面」との見出しで報じた。

 CNNは「安倍政権は北朝鮮を信じるなと忠告してきたが、米国と韓国が対話に動いたことで無視された」と指摘。その上で「急速に変化する北東アジアで取り残されないよう、(北朝鮮の)金正恩(キムジョンウン)(朝鮮労働党委員長)との直接対話まで模索している」と苦しい状況であることを強調した。

 ニューヨーク・タイムズ(電子版)は16日、「スキャンダルまみれの安倍首相、トランプ氏に会う」との見出しで詳報。トランプ氏に続き、年内にも開催をめざす中国の習近平(シーチンピン)国家主席との会談、さらには安倍政権が模索する金正恩氏との会談に触れつつ、「この3連戦に勝利するほど長くは首相の座にいないかもしれない」と指摘した。

 また、公共ラジオ「NPR」(電子版)は16日付の記事で、日本の国会前で「首相はウソつき」などと訴えるデモが行われたと報じた。

 その上で、昨年、トランプ氏と安倍氏が日本でゴルフをした際、安倍氏がバンカーで転んだ映像に触れ、「安倍氏の問題など眼中にないトランプ氏がフェアウェーを闊歩(かっぽ)し、安倍氏が取り残されていることを象徴している」というアジア専門家の意見を載せた。

 

柳瀬元秘書官 “忖度”のきっかけは安倍首相−加計氏ゴルフ(2018年4月18日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 加計学園の獣医学部新設をめぐって、2015年4月に官邸で愛媛県職員らと面会し「本件は首相案件」と言い放ったという柳瀬唯夫元首相秘書官。昨年7月、参考人として呼ばれた衆院予算委で面会の事実を問われた際、「記憶にない」を連発し、官邸の“関与”を否定。安倍首相を守り切ったが、“忖度”を始めるキッカケとなったのが、約5年前に安倍首相が主催した「ゴルフコンペ」への参加だった可能性がある。

 ノンフィクション作家の森功氏の著書「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」によると、安倍首相は13年5月6日、加計孝太郎理事長らと山梨県の「富士桜カントリー倶楽部」でゴルフに興じたという。その場に、柳瀬氏も馳せ参じていたのだ。

 当日のメンバー表には、1組目に安倍首相と加計理事長の名があった。3組目には今井尚哉秘書官と共に柳瀬氏も名を連ね、4組目には安倍昭恵夫人の名も記されていたという。当時、柳瀬氏は第2次安倍政権で首相秘書官に就任してからわずか半年だ。新任秘書官にとって安倍首相が昭恵夫人と共に加計理事長と仲むつまじくゴルフに興じる姿を目の当たりにすれば、“忖度”し始めるキッカケとしては十分だろう。

「当時は、加計学園が構造改革特区での獣医学部新設を何度も提案してきていたわけですから、秘書官らが理事長の名前を知っていたのは当然でしょう。理事長が突然ゴルフコンペに参加したのも『獣医学部案件』であったことを、柳瀬氏らは把握していたはずです」(森功氏)

 一部報道では、15年4月の面会参加者から「柳瀬氏は確かに出席していた」との証言があり、「柳瀬氏と名刺交換した」という発言も出てきている。柳瀬氏の「記憶の限りではお会いしたことはない」とのコメントはウソが濃厚。柳瀬氏は来週にも国会招致の運びで、野党は証人喚問を求めているが、昨年7月の予算委同様、再び「記憶にない」を繰り返せば、森友問題で「刑事訴追の恐れがあるので」と、答弁から逃げまくった佐川宣寿前国税庁長官以上の批判を招くのは必至だ。

 柳瀬氏の学生時代からの友人は、「柳瀬は“上司”である官邸を恐れ、ウソをつかざるを得なくなっているのではないか」と心配している。洗いざらい話した方がいい。

 

加計問題 愛媛県など官邸訪問 文科省に内閣府がメール(2018年4月17日配信『NHKニュース』)

 

「加計学園」の獣医学部新設をめぐり、3年前に愛媛県などの職員が総理大臣官邸を訪問した当日に、文部科学省の担当者が県などの訪問の予定について内閣府側から伝えられたメールが見つかっていたことが文部科学省の調査でわかりました。官邸の訪問について国の省庁の担当者の間でも情報が共有されていた可能性があります。

愛媛県は、加計学園の獣医学部新設をめぐり3年前の4月2日に今治市などと総理大臣官邸を訪問した際のやり取りを記した文書を作成し、内閣府などに配付したとしていて農林水産省は先週、省内で同様の内容が記された文書が見つかったとして公表しました。

文部科学省が調査した結果、この文書については省内に残されていないことが確認されましたが、訪問の当日に文部科学省の獣医学部新設の担当者が県などの訪問の予定について内閣府側から伝えられたメールが見つかっていたことがわかりました。

メールには「本日15時に今治市などが官邸を訪れる」などと記されていたということです。愛媛県と今治市は官邸の訪問を認めていますが国の省庁の担当者の間でも情報が共有されていた可能性があります。

県が作成した文書には、当時、総理大臣秘書官だった柳瀬経済産業審議官が面会相手と記載されていますが、柳瀬氏は「記憶の限り、お会いしたことがない」として面会したことを認めていません。

 

<加計問題>「会っていないと言えない」柳瀬氏、愛媛職員と(2018年4月17日配信『毎日新聞』)

 

 学校法人「加計(かけ)学園」(加計孝太郎理事長)の獣医学部新設を巡り、柳瀬唯夫首相秘書官(当時)が愛媛県職員らと面会した際に「首相案件」と語ったとされる同県作成の文書がみつかった問題で、面会が国会で審議された昨年7月、柳瀬氏が周辺に職員らと面会した可能性を認めていたことが、政府関係者への取材で明らかになった。柳瀬氏はこの問題が報道された今月10日、愛媛県職員との面会について「記憶の限り会っていない」とのコメントを出しているが、説明が揺らぐ可能性がある。

 文書には2015年4月2日、愛媛県と同県今治市の職員が首相官邸で柳瀬氏と面会したと記されている。政府関係者によると、柳瀬氏は、参考人として出席した昨年7月25日の参院予算委員会の集中審議前後、周辺に15年4月2日の面会について説明した。同日は官邸内の会議室で、国家戦略特区の担当だった内閣府の藤原豊地方創生推進室次長(当時)と加計学園関係者と面会。藤原氏が同伴した4〜5人の関係者が同席していたという。

 柳瀬氏は「藤原氏が加計学園の関係者を連れてきたという認識。名刺交換をした記憶もなく、同席者が誰かは確認しなかった」とし、「職員と会っていないとは言えない」との趣旨の説明をしたという。柳瀬氏は参院予算委では「私の記憶をたどる限りお会いしていない」と答弁したが、実際には面会の可能性を認識した上での発言だったとみられる。

 文書には、柳瀬氏の発言として「自治体がやらされモードではなく、死ぬほど実現したいという意識を持つことが最低条件」と記載されていた。一方、藤原氏は昨年6月15日の参院農水委員会で「私や内閣府の担当職員が4月2日に今治市の職員を官邸に紹介、案内したことはない」と答弁している。柳瀬氏との面会に同席したとされる愛媛県職員は取材に「コメントできない」としている。

 自民党の伊吹文明元衆院議長は16日夜、BS11の番組で「いろいろな情報を聞いていると、柳瀬氏は『やっぱり会っている』と言わざるを得ないのではないか」と指摘した。

 

支持低迷、危機感強まる=不祥事連鎖、終わり見えず−政府・与党(2018年4月16日配信『時事通信』)

 

 安倍晋三首相を取り巻く状況が一段と厳しさを増している。報道各社の世論調査で内閣支持率が低迷しているためだ。「森友・加計・日報」の問題にセクハラ疑惑など、終わりの見えない不祥事の連鎖が影響しているのは明らかで、政府・与党の危機感は強まるばかりだ。

 「全てがおかしくなってきている」。自民党参院幹部は16日、厳しい表情でこう指摘した。

 朝日新聞の14、15両日の調査によると支持率は31%。日本テレビ(13〜15日)は政権維持の「危険水域」と言われる20%台の26.7%まで落ち込んだ。

 学校法人「森友学園」の国有地売却問題に端を発した財務省の決裁文書改ざん、自衛隊の日報問題が相次いで発覚。そこへ加計学園の獣医学部新設に関して元首相秘書官が「首相案件」と発言したとされる新たな疑惑が持ち上がった。

 さらに福田淳一財務事務次官のセクハラ疑惑が浮上。女性問題に敏感な公明党の幹部は16日、福田氏が疑惑を否定し、報じた週刊誌を提訴するとけん制していることについて「あの対応は何なんだ」と声を荒らげた。

 自民党の二階俊博幹事長は16日の政府・与党協議会で、菅義偉官房長官を前に「いつ、いかなるときでも政府が説明責任を果たすことはいうまでもない」と苦言を呈し、公明党の井上義久幹事長も同調した。

 この後、菅氏は自民党本部を訪問し、二階氏に「ご迷惑をお掛けしている」と陳謝した。首相は同日夕の自民党役員会で「いろいろな件で努力していただいて感謝している」と口にせざるを得なかった。

 傷ついた安倍政権の信頼回復に向け、政府・与党が期待をつなぐのは17日からの首相訪米だ。トランプ大統領との会談の成果をアピールし、一連の疑惑によるダメージを最小限に抑えることを狙う。首相周辺は「外遊で成果を上げて連休が過ぎれば支持率は落ち着く」と語る。

 加計学園の獣医学部新設を「首相案件」と発言したとされる柳瀬唯夫経済産業審議官の国会招致では、学部を誘致してきた加戸守行前愛媛県知事や、政府の国家戦略特区諮問会議の八田達夫氏を一緒に呼び、首相の関与を否定する証言を引き出す段取りを描く。

 だが、首相が外交で一連の疑惑を吹き飛ばすほどの成果を示せる保証はなく、柳瀬氏の疑惑が払拭(ふっしょく)できるとも限らない。「このまま浮上することはないだろう」。首相周辺とは反対に自民党の閣僚経験者はこうつぶやいた。

 

前川喜平、裁判なら文書ある愛媛の勝ち(2018年4月16日配信『日刊スポーツ』)

 

 前川喜平前文科事務次官(63)が16日、文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ」(月〜金曜午後1時)に生出演し、学校法人「加計学園」獣医学部新設計画をめぐり、学部が設置された愛媛県の職員が作った文書に、柳瀬唯夫首相秘書官(当時)が「本件は首相案件」と述べたとする記述が書かれた「愛媛文書」が表面化したことについて「愛媛文書は極めて強い証拠。事実認定はそれに沿ってされるべき」と指摘した。

 その上で、柳瀬氏が「記憶の限り会っていません」と否定したことを踏まえ「動かぬ証拠を持っている人たちと、何も持っていない人の間の争いであって、これは、もう決定的なんですよ。もし総理が事実じゃないと言うなら、それを示すもっと強力な証拠を持ってこなければならないんだけど、そんなのないじゃないですか?」と安倍晋三首相はじめ政権側をチクリと批判した。

 そして「裁判なら、一方がかなり明確に、誰が作って、何に使ったか分かっている文書があって、関係者が全部本物だと言っていて、書いていることが全部、本当にあったと言っている文書…動かぬ証拠がある。一方が何も覚えていませんと言っていたら、動かぬ証拠を持っている方が圧倒的に勝ちますから。裁判なら愛媛県の勝ちになるんですよ」と強調した。

 また前川氏は、17年7月の参考人招致の際に、柳瀬氏の隣に座っていた時も今回と同様の発言を聞いたと明かした。「正確に日本語を解釈すると、柳瀬さんは会ったとも会ってないとも言ってないんですよね。去年の7月の参考人招致の時に私も隣に座ってましたけど、彼が言っていたのは『記憶にございませんので、会ったとも会ってないとも言えません』と言ってましたから。だからその『記憶の限りでは会っていません』って言い方は、実は『会ったとも会ってないとも言えない』と言うのと同じ意味だと思うんですけど」と指摘した。そして「記憶がないというのが本当かウソかっていう問題はあると思いますね。私は記憶、あるんじゃないかな、と思いますけど」と語った。

 また官僚と政治家との関係について「官僚は確かに組織の中にいる限り、なかなか表だって『私はこの政策に反対です』とは言えないんですよ。私だってそうだったんだけども…役人ができるのは『面従腹背』。表向きは組織の中で強い権力に従うんだけど、腹の中では『違う』と考えていると。折あらば違う方向に進もうと機を狙っている。私なんかもよくやってたけど、右へ行けって言われて右に行くんだけど、それが言われなくなったら今度左に方向転換するとかね。かなりそういうことをしながら仕事をしていたんですよね」と内情を説明。その上で「おかしいと思ったことはストレートにやらない。そういう知恵ってのは、役人は長年培ってきてるわけで、政治家の言われるがままは危ないという感覚はあるんですね」とも語った。

 

内閣支持率26.7% “発足以来”最低に NNN調査(2018年4月15日配信『NNNニュース』)

 

4月13〜14日に行ったNNNの世論調査で安倍内閣の支持率は26.7%となり、第2次安倍政権発足以来、最低を更新した。

安倍内閣を支持すると答えた人は前月より3.6ポイント下落して26.7%となった。内閣支持率が2割台にまで落ち込んだのは第2次安倍政権発足以来、初めてのこと。

森友学園や加計学園の問題に対して安倍首相はどう対応すべきかについては「責任をとって辞任する」が最も高い34.8%、「真相究明と再発防止に全力をあげる」が31.7%だった。

 また、安倍首相が加計学園の獣医学部新設を初めて知った時期について、愛媛県の職員が作成した文書より安倍首相の国会答弁の方が信ぴょう性が高いと答えた人は8.6%にとどまった。

 の自民党の総裁に誰がふさわしいかは、小泉進次郎議員が石破元幹事長を上回り初めてトップとなった。

 

安倍内閣支持、低迷31% 不支持52% 朝日世論調査(2018年4月15日配信『朝日新聞』)

 

 朝日新聞社が4月14、15両日に実施した全国世論調査(電話)で、安倍内閣の支持率は31%で前回調査(3月17、18日実施)と並び、第2次安倍内閣発足以来最低だった。不支持率は52%(3月調査は48%)で最も高かった。学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設の問題について、首相秘書官だった柳瀬唯夫氏を国会で証人喚問する必要があるかと尋ねたところ、72%が「必要がある」と答えた。

 最近の安倍晋三首相の発言や振る舞いをみて、どの程度首相を信用できるかを聞くと、「大いに」4%と「ある程度」27%を合わせた「信用できる」が31%。「あまり」37%と「まったく」29%を合わせた「信用できない」が66%。「信用できない」は、同じ質問を昨年7月にした際の61%より増えた。安倍政権に長期政権の弊害を感じるかについては「大いに」と「ある程度」合わせて59%が「感じる」と答えた。「あまり」と「まったく」を合わせた「感じない」は37%。自民支持層でも56%が弊害を「感じる」と答えた。

 加計学園の問題では、首相秘書官当時の柳瀬氏が愛媛県職員らと会い、「本件は、首相案件」と述べたと記された県の文書が見つかった。一方、柳瀬氏は面会の記憶はないと否定し、安倍首相も、指示や関与を否定している。政権のこうした説明に納得できるかを尋ねると、76%が「納得できない」と答えた。柳瀬氏について野党は、うそをついた場合に偽証罪に問える証人喚問を求めているが、自民支持層でも、証人喚問が「必要」は56%にのぼった。

 学校法人「森友学園」への国有地売却問題についても尋ねた。地下のごみの撤去について、財務省が学園に、うその説明を求めた対応には、83%が「大きな問題だ」。同省が取引の決裁文書を改ざんした当時の理財局長、佐川宣寿(のぶひさ)氏が証人喚問で、安倍首相らからの指示はなかったなどと説明したことには77%が「納得できない」と答えた。この問題の解決のため、安倍首相の妻昭恵氏が国会で説明することは、「必要がある」が61%だった。

 イラク派遣の際の陸上自衛隊の記録「日報」の問題について、シビリアンコントロール(文民統制)ができていると思うかを尋ねると、「できていない」が75%で、「できている」は13%だった。17日から予定されている安倍首相と米国のトランプ大統領との首脳会談については、「期待する」50%、「期待しない」44%だった。

 

加計問題 首相の説明「納得できない」79% 共同通信

 

 共同通信社が14、15両日に実施した全国電話世論調査によると、学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画を巡る「首相案件」文書に関する安倍晋三首相の説明に「納得できない」との回答が79・4%に上った。納得できるは13・2%。野党が求めている元首相秘書官の柳瀬唯夫氏の証人喚問が必要だとする答えは66・3%、不要は27・6%だった。

 内閣支持率は37・0%で、3月31日、4月1日両日の前回調査より5・4ポイント減。不支持は52・6%で、支持を上回る逆転状態は続いた。

 次の自民党総裁に誰がふさわしいかを問うと、石破茂元幹事長が26・6%でトップを維持した。

 

柳瀬氏招致、23日の週で調整 自民(2018年4月15日配信『共同通信』)

 

 自民党の森山裕国対委員長は15日、加計学園の獣医学部新設への関与が愛媛県の文書で指摘された柳瀬唯夫元首相秘書官に対する国会招致を来週にも実施する方向で調整する考えを示した。安倍晋三首相が17日から米国を訪問するのを踏まえ「(首相帰国後の)23日の週でどうするかだ」と鹿児島県中種子町で記者団に語った。公明党の山口那津男代表は講演で、柳瀬氏に説明責任を果たすよう求めた。

 森山氏は16日に立憲民主党の辻元清美国対委員長と会談し、与党の方針を伝える。強制力のない参考人招致にとどめたい意向だが、野党は偽証罪に問える証人喚問とするよう要求している。

 辻元氏は15日「柳瀬氏が昨年、参考人として発言した内容が事実と違うという物証が出てきたのだから、証人喚問でなければならない」と松山市で記者団に述べた。

 山口氏は青森市の党会合で、学部新設を柳瀬氏が「首相案件」と説明したとする愛媛県文書について「見過ごすわけにはいかない」と強調。農林水産省内からも同様の文書が見つかったことに触れ「柳瀬氏は『記憶の限りでは会っていない』と言うが、本当に事実か国会で解明されなければならない」と訴えた。

 柳瀬氏に対しては「必要であれば国会に来て、内容、経緯について説明責任を尽くしてもらいたい」と促した。

 

柳瀬元秘書官の国会招致は不可避(2018年4月15日配信『時事通信』)

 

公明代表「見過ごせず」

 公明党の山口那津男代表は15日、青森市で開かれた党会合で講演し、柳瀬唯夫元首相秘書官が加計学園の獣医学部新設を「首相案件」と説明したとされる愛媛県文書について「見過ごすわけにはいかない」として、柳瀬氏の国会招致は避けられないとの認識を示した。

 農林水産省内からも愛媛県の説明に沿い「首相案件」文書が見つかったことに触れ「柳瀬氏は『記憶の限りでは会っていない』と言うが、本当に事実か国会で解明されなければならない」と指摘。その上で「必要であれば国会に来て、内容、経緯について説明責任を尽くしてもらいたい」と強調した。

 

立憲・福山氏「与党がまずいことをやった時には…」(2018年4月15日配信『朝日新聞』)

 

立憲民主党・福山哲郎幹事長(発言録)

 与党がまずいことをやった時には、その収拾は政府・与党に責任がある。「福ちゃん、そのことはよく覚えておきなさい」と、昔、自民党の先輩議員に教えてもらった。

 まさに1年間、国会で虚偽答弁を繰り返し、文書を改ざんし、文書を隠蔽(いんぺい)した責任は政府・与党にある。我々は、こんなことばかりやりたいわけではない。アベノミクスで、国民生活が分断されている。今、シリアではミサイルが発射され国連は緊迫している。北朝鮮問題は、もうすぐ南北・米朝の首脳会談が行わる。

 国民から見れば、森友、加計、防衛省の日報問題しかやっていないように映っている国会は、非常に不健全だ。不健全さの原因は、すべて安倍首相と政府・与党が作った。(福岡市内の街頭演説で)

 

岸田氏、柳瀬氏招致に前向き…野党「証人喚問」(2018年4月14日配信『読売新聞』)

 

 自民党の岸田政調会長は14日、学校法人「加計かけ学園」の獣医学部新設に関する記録文書を巡る柳瀬唯夫・経済産業審議官の国会招致について、「真相解明に必要なら検討すべきだ」と述べ、前向きな姿勢を示した。

 広島市内で記者団に答えた。

 岸田氏は、参考人招致とするか、野党が求める証人喚問とするかについては「現場の判断を尊重しなければならない」と述べるにとどめた。

 一方、立憲民主党の枝野代表は14日、宮崎市内で記者団に「証人喚問でなければ意味がない」と与党側をけん制。共産党の志位委員長も同日、東京都内で記者団に「偽証や証言拒否をすれば罰せられる証人喚問での招致が必要だ」と強調した。

 

小泉元首相、安倍首相の総裁3選「難しい」(2018年4月14日配信『日経新聞』)

 

 小泉純一郎元首相は14日、水戸市内で記者団の質問に答え、安倍晋三首相(自民党総裁)の9月の自民党総裁選での3選について「難しいだろう」との見解をあきらかにした。学校法人「森友学園」「加計学園」を巡る一連の問題を受け「(国民からの)信頼がなくなってきた」との認識を示した。

 森友学園問題に関して小泉氏は「安倍首相が『妻や私が関係していたら首相、国会議員を辞める』と話した。あれに端を発している」と指摘。「(首相の)昭恵夫人が同学園の名誉学長をしながらなぜ関係ないと言えるのか。言い訳しているような状況だ」と述べた。

 加計学園の獣医学部新設を巡り、当時の柳瀬唯夫首相秘書官と愛媛県職員との面会記録が見つかったことについては「記憶と記録では記録の方が正確だと思っている人は圧倒的に多いだろう。記録が残っているのだから、認めるしか仕方ない」と話した。

 これに先立つ水戸市内での講演では「脱原発」をめざすべきだと強調。東京電力などの支援を受けて日本原子力発電が進める東海第2原子力発電所(茨城県東海村)の再稼働に反対する考えを強調した。

 

6野党が合同院内集会(2018年4月14日配信『しんぶん赤旗』)

 

安倍政権退陣要求 隠ぺい・改ざん許さない

 日本共産党、立憲民主党、民進党、希望の党、自由党、社民党は13日、「隠ぺい、改ざん、ねつ造、圧力 安倍政権退陣へ」と題した野党合同院内集会を開き、森友公文書改ざん、自衛隊「日報」の隠ぺい、裁量労働制のデータねつ造など、不正が後を絶たない安倍政権を退陣に追い込もうと、結束を固め合いました。

 各党の議員が諸問題について分担して報告。森友疑惑について、共産・辰巳孝太郎参院議員は、国有地8億円値引きの根拠とされたゴミの量をめぐり、相次いで発覚する国の説明のうそを挙げ、「安倍晋三首相は昨年、“ゴミがあるから値引きは当然だ”と答弁したのに、今や答弁に立てず、部下に責任を押し付けている」と批判しました。

 決裁文書の改ざんをめぐっても、「官邸ぐるみで行われた重大な疑いが持ち上がっている」と指摘。「根は全て安倍政権を守るためだ。安倍政権が続くほど日本の民主主義が傷つく」として、「6野党が一致結束して安倍政権を退陣に追い込もう」と呼びかけました。

 加計疑惑について民進・桜井充参院議員は、「一番の問題は安倍首相による政治の私物化だ。韓国では友人を優遇した大統領を、野党と国民の力で退陣に追い込んだ。日本でも安倍政権を退陣に追い込み、解散・総選挙で政権交代しないといけない」と訴えました。

 防衛省の「日報」隠ぺいについて立民・本多平直衆院議員は、政府は昨年、野党の追及や国民の情報開示請求に対して「不存在」とうそをついてきたと強調。「当時、稲田朋美防衛相が自らの関与や責任を認めないまま辞任したことが、今の事態を生んでいる。隠ぺいの“主犯”が加わる小野寺五典防衛相下の内部調査にも、ごまかされてはいけない」と述べました。

 厚労省による過労死隠ぺいについて希望・岡本充功衆院議員は、政府が裁量労働制の拡大ありきで不適切事例の取り締まりだけを強調し「世論を誤った方向に誘導しようとしている。過労死を軽んじている」と批判。教育への不当介入について社民・吉川元幹事長は、「教育基本法と憲法の侵害だ。この政権が続く限り日本の教育に未来はない」と力を込めました。

 6野党は最後に、自由・玉城デニー幹事長の音頭で、諸問題の徹底究明と安倍政権退陣へ気勢を上げました。

 

「首相案件」柳瀬氏を国会招致へ 与党が受け入れ方針(2018年4月13日配信『朝日新聞』)

 

 学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設をめぐり、斎藤健農林水産相は13日、当時の柳瀬唯夫首相秘書官(現・経済産業審議官)と愛媛県職員らとの面会記録を記した同県の文書が省内で見つかったと発表した。これを受け、与党は柳瀬氏の国会招致を受け入れる方針を固め、野党側と日程調整に入る。柳瀬氏は面会の記憶はないとしており、国会で説明を求める必要があると判断した。

 柳瀬氏は17日から20日までの安倍晋三首相の米国訪問に同行する予定。与党は、柳瀬氏が帰国した後の23日以降に衆参の予算委員会で、参考人として招致する方向で調整している。

 農水省内で見つかった文書には、柳瀬氏が2015年4月2日に首相官邸で愛媛県や同県今治市の職員と面会し、「本件は、首相案件」と述べたと記されている。朝日新聞が10日に報道し、愛媛県の中村時広知事が県職員の作成と認めた文書とほぼ同じ内容。獣医師法を担当する課長補佐級の職員が前任から引き継ぎ、保管していたという。文書は農水省や文部科学省、内閣府に配られた可能性があり、官邸が調査を指示していた。

 農水省で文書が見つかったことについて、安倍首相は13日、視察先の大阪府東大阪市で記者団に「現在、行政に対する国民の皆様の信頼が揺らいでいる状況にある。徹底的に調査し、全容を明らかにし、うみを出し切って皆様の信頼を得るためにしっかりと立て直していきたい」と述べた。さらに「信なくば立たず。これは政治の基本だ」とも強調した。

 一方、柳瀬氏は13日、記者団に「これまでのコメントの通り」と語るにとどめた。10日のコメントでは「記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはない」としている。

 こうした状況を踏まえ、自民党の国会対策委員会幹部は記者団に「説明を聞く必要性が高まったのは確かだ」と指摘。公明党の井上義久幹事長は記者会見で「招致が必要だという判断があれば尊重したい」と語った。

 柳瀬氏が務める経産審議官は事務次官級で通商政策のトップと位置づけられ、通常は首相の海外訪問に同行する。このため与党は来週中の国会招致を見送る考え。ただ、野党は早期招致を求めているうえ、参考人ではなく、うそをついた場合に偽証罪に問える証人喚問を要求。自民党の森山裕国対委員長は16日に立憲民主党の辻元清美国対委員長へ与党側の考えを伝える意向だが、調整が難航する可能性もある。

 

狭まる包囲網 安倍政権が恐れる柳瀬氏の名刺とスマホ写真(2018年4月13日配信『日刊ゲンダイ』)

 

「総理が言えないから私が言う」「官邸の最高レベルが言っている」「総理は30年4月開設とお尻を切っている」「本件は、首相案件」。

 すべての道は安倍首相に通じる――。

 状況証拠は真っ黒。刑事事件なら間違いなく有罪判決だろう。愛媛・今治市の加計学園獣医学部新設をめぐる安倍官邸関与の疑惑。愛媛県職員が2015年4月に官邸で安倍首相の首相秘書官(当時)だった柳瀬唯夫経済産業審議官らと面会した際のメモの存在が発覚し、いよいよ徳俵に足がかかった安倍政権。いまだに愛媛県、今治市の職員と「会っていない」とシラを切る姿はヤクザ顔負けだが、逃げられると思ったら大間違いだ。

 安倍官邸がどうトボケてもウソは明らか。例えば、昨年9月の今治市議会では、議員が〈平成27年4月2日に今治市の職員が内閣府、首相官邸に行った件であります。(略)訪問した先で誰と面談し、どのような話し合いがあったのか〉と質問すると、片山司企画財政部長は〈平成27年度は国家戦略特区の指定を目指していたため、幅広く情報収集、ご相談をするべく、日ごろの電話やメールでのやりとりに加えて、内閣府等を訪問しての打ち合わせなどを行っていたところでございます〉とフツーに面会を認めている。

 「会っていない」と言い続けているのは柳瀬氏や安倍官邸だけ。もはや、誰がウソをついているのかは明らかだが、そんな安倍官邸にトドメを刺す「新たなスクープ」の話が永田町で急浮上している。

 「愛媛県や今治市で取材中の記者が狙っているのはズバリ、柳瀬氏の『名刺』と『スマホ写真』。何かと言えば、県や市職員にとって、官邸で総理秘書官や内閣府幹部に会うのは『一生に一度』あるかないかの出来事。当然、官邸で柳瀬氏と名刺交換しただろうし、復命書を作成するための証拠や記念としてスマホで写真も撮ったでしょう。記者たちはこれらを入手しようと懸命に地取り取材を続けているのです」(地元記者)

 仮に県や市職員と柳瀬氏が一緒に写っていたら即アウトで、柳瀬氏を「信用している」という安倍首相もオシマイ。安倍包囲網はどんどん狭まっている

 

京産大、官邸に呼ばれず 獣医学部新設「フェアでない」(2018年4月13日配信『朝日新聞』)

 

 国家戦略特区での獣医学部新設を目指して加計学園と事実上、競合していた京都産業大の教授を今年3月末で退職した大槻公一氏(76)が朝日新聞の取材に応じ、特区の選考過程で京産大が首相官邸に呼ばれる機会はなかったと明らかにした。

 加計学園幹部は愛媛県や今治市の職員とともに2015年4月に官邸を訪ね、柳瀬唯夫首相秘書官(当時)らと面会したとされる文書が見つかっている。選考過程の公平性が改めて問われそうだ。

 鳥インフルエンザ研究の第一人者として学部新設の準備に携わった大槻氏によると、京都府とともに特区での獣医学部新設を正式に提案する2カ月前の16年1月、相談のため特区を所管する内閣府を訪問し、藤原豊・地方創生推進室次長(当時)と面会したという。その際、藤原氏から「今治は一生懸命やっているのに、後から出てきて。どうしてもっと早くやらなかったのだ」という趣旨のことを言われたという。

 朝日新聞は藤原氏の発言内容について内閣府に確認を求めたが、13日午後5時時点で回答はない。

 10年以上にわたり獣医学部新設を目指して準備してきた京産大は、京都府とともに16年10月、政府の特区ワーキンググループ(WG)のヒアリングを受け、20ページ以上の資料を添えて新学部の構想について説明した。だが、国家戦略特区諮問会議(議長・安倍晋三首相)が同年11月、獣医学部の空白地域に限って新設を認める方針を打ち出したほか、「18年度開学」「1校に限る」など京産大にとって不利になる条件が示されたため、応募を見送り。17年7月には、将来にわたって獣医学部新設を断念すると表明した。

 大槻氏は「突然、(京産大が不利になる)条件が出てきて、我々の計画にふたをかぶせられてしまった。国のやり方はフェアではないと思います」と話している。

 

突然の「京産大外し」に困惑 元教授のインタビュー詳報(2018年4月13日配信『朝日新聞』)

 

 

 国家戦略特区での獣医学部新設を目指し、学校法人・加計学園と事実上、競合していた京都産業大の教授をこの春に退職した大槻公一氏(75)が朝日新聞の単独インタビューに応じた。鳥インフルエンザ研究の第一人者として2006年に京産大に招かれ、約10年間、獣医学部新設を目指して準備にあたってきたが、政府が示した条件に合わずに新設を断念。加計学園のみが獣医学部の新設を認められた。大槻氏の主な発言は次の通り。

 (愛媛県や今治市、加計学園の職員が2015年4月、首相官邸で面会した柳瀬唯夫首相秘書官=当時=から言われたとする)「首相案件」の報道を見て、びっくりしました。私たちも内閣府に相談に行ったことはありますが、首相官邸には呼ばれませんでしたから。

 京都府と京産大が国家戦略特区に手を挙げたのは16年3月。その約2カ月前に、府の職員らと内閣府を訪ねました。個人的な印象ですが、歓迎という雰囲気ではありませんでした。藤原豊・地方創生推進室次長(当時)から「今治は前から一生懸命やっているのに、後から出てきて。どうしてもっと早くやらなかったのだ」といった趣旨のことを言われました。

 

「加計」愛媛県文書 獣医学部15年4月「出発点」 柳瀬氏らの助言通り次々(2018年4月13日配信『東京新聞』)

 

 「加計学園」が愛媛県今治市に開設した獣医学部を巡り、県や市、学園幹部らが首相秘書官や内閣府幹部と2015年4月に面会した際に県が作成した文書を検証すると、その後の学部開設計画が秘書官らの助言に沿うように進んでいたことが分かった。政府関係者は、「首相秘書官らとの面会が『加計ありき』の出発点だった」と証言する。

 県の文書によると、県や市、学園の幹部が柳瀬唯夫首相秘書官(当時)や藤原豊・地方創生推進室次長(同)と面会した際、2人は過去15回退けられていた構造改革特区に代わり、国家戦略特区の活用を提案。柳瀬氏は「既存の獣医大学との差別化を図った特徴を」、藤原氏も「例えば公務員獣医師の養成や、ペット獣医師を増やさないような卒後の見通しもしっかり書き込んで」と踏み込んだアドバイスを送った。

 その2カ月後の15年6月、県と市は助言通りに、国家戦略特区に切り替え、内閣府に獣医学部開設を申請。提案書には柳瀬氏らの助言に応える形で、「これまでの大学の獣医師養成と異なる国際水準の獣医学部」「ライフサイエンス分野への貢献」「公務員獣医師の確保」と記されていた。

 ほかにも「提案内容は幅広い方が熱意を感じる」という藤原氏の発言を受けるように、県や市は、獣医学部だけでなく「水産物・食品の輸出ワンストップ支援センターの設置」という構想まで盛り込んでいた。

 注目すべきは、面会後の県や市の動きだ。

 面会時、藤原氏は「遅くとも5月の連休明けには(特区の)募集を開始。ついては2、3枚程度の提案書案を作成いただき、早い段階で相談したい」と求めていた。

 国家戦略特区の募集開始は4月28日。今治市の出張記録によると、その2日後、市の担当部長ら3人が獣医学部設置の協議のため内閣府を訪ねている。

 柳瀬氏の「本件は首相案件になっており、藤原次長の公式ヒアリングを受ける形で進めてほしい」との発言も同様だ。県と市は内閣府に申請した翌日、藤原氏が参加する特区ワーキンググループ(WG)のヒアリングを受けている。WGでは、県の担当局長が「地域入学枠や奨学金貸与を使い、公務員獣医師の充足を図る」と藤原氏の指摘した卒業後の見通しを示した。

 獣医学部開設を巡っては、国家戦略特区に切り替えて状況は一変。17年1月に特区が認められ、加計学園は今月、開学した。

 柳瀬氏は面会を否定。安倍晋三首相は11日の衆院予算委員会でも「プロセスは適正だった」と従来の主張を繰り返した。しかし、県文書の内容について「コメントを差し控えたい」と明言を避けている。

 

内閣支持、続落38%=森友説明「納得できず」7割超−時事世論調査(2018年4月13日配信『時事通信』)

 

 

 時事通信が6〜9日に実施した4月の世論調査で、安倍内閣の支持率は前月比0.9ポイント減の38.4%となり、先月に続き下落した。不支持率は2.2ポイント増の42.6%で、2カ月連続で支持を上回った。学校法人「森友学園」をめぐる財務省決裁文書改ざん問題や防衛省・自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)疑惑などが影響したとみられる。

 ただ、学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画をめぐり柳瀬唯夫首相秘書官(当時)が「首相案件」と述べたとされる面会文書が見つかった問題は、調査期間後で反映されていない。

 森友問題での安倍晋三首相の説明について聞いたところ、「納得していない」との回答が78.3%に上り、「納得している」は11.0%にとどまった。昨年4月調査でほぼ同じ質問をした際は「納得していない」が68.3%で、10ポイント増加した。

 森友学園が開学を予定していた小学校の名誉校長に一時就いた安倍昭恵首相夫人は国会で説明すべきかを尋ねたところ、「必要」54.2%、「必要ない」32.0%、「どちらとも言えない・分からない」13.8%だった。

 内閣を支持する理由(複数回答)は、「他に適当な人がいない」18.9%、「首相を信頼する」9.8%、「リーダーシップがある」9.6%の順。一方、支持しない理由(同)は、「首相を信頼できない」が最も高く27.9%、「期待が持てない」17.9%、「政策が駄目」13.3%などと続いた。

 

加計問題 農相、愛媛文書を確認 柳瀬氏、苦しい立場に(2018年4月13日配信『毎日新聞』)

 

 斎藤健農相は13日午前の記者会見で、学校法人「加計学園」の獣医学部新設について、柳瀬唯夫首相秘書官(当時)が2015年4月、学園側に「首相案件」などと発言したことを記載した文書が農林水産省内にあったと発表した。斎藤氏は「文書の中身は愛媛県に聞いてほしい」と記載内容への評価を避けたが、政府内でも文書が見つかったことで、学園側との面会を認めていない柳瀬氏はさらに苦しい立場に追い込まれた。【加藤明子、高橋克哉】

 斎藤氏によると、農水省の課長補佐級の職員1人が文書を持っていた。15年5月の異動時に前任者から受け取り、「農水省の事務とは直接関係ない」と判断して行政文書としてではなく個人的に保有。後任者にも引き継がなかった。前任者は同省の調査に「文書を見た記憶はなく、後任に渡した記憶もない。異動の際に渡した資料の中に含まれていたかもしれない」と答えたという。

 農水省が公表した文書は、愛媛県職員らが15年4月2日に内閣府の藤原豊地方創生推進室次長(当時)、柳瀬氏と個別に面会した翌日の3日に作成された。報道各社が先に報じた文書では作成日が15年4月13日になっていた。面会を踏まえた愛媛県の対応を記した部分も両文書で異なる。

 ただ、藤原、柳瀬両氏の発言を記録した部分は同じで、柳瀬氏が「本件は、首相案件となっている」と述べたことや、安倍晋三首相と加計学園の加計孝太郎理事長の会食で獣医学部新設計画が話題になったことが記されている。

 柳瀬氏は10日に発表したコメントで「記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはない」と面会を否定。13日も首相官邸で記者団から「記憶の限りというのは変わっていないか」と問われ、「はい、変わりません」と語った。

 菅義偉官房長官は13日午前の記者会見で、柳瀬氏と愛媛県の主張が食い違っていることについて「政府として答える立場にない」と述べた。政府関係者は「文書が首相と直接つながることはないが、文書の信ぴょう性は少し高まった」と漏らした。

 立憲民主党の福山哲郎幹事長は13日午前の党会合で「記憶にないという説得力のない反論をしているのは首相と柳瀬氏だけになった。もはや政権を維持できる状況ではない」と批判した。こうした中、衆院予算委員会の与野党筆頭理事は電話で対応を協議。立憲の逢坂誠二氏が柳瀬氏を早期に証人喚問するよう求めたのに対し、自民党の菅原一秀氏は「もう私の判断の範囲を超えている。党国対と相談する」と述べた。菅氏は10日、内閣府と文部科学、農水、厚生労働各省に調査を指示したが、農水省以外では見つかっていない。

 

農水省から文書発見 官邸「問題はない」(2018年4月13日配信『NNNKニュース』)

 

加計学園の問題をめぐる愛媛県側と柳瀬元首相秘書官らの面会記録が農水省にも残されていたことを受けて、野党側は政府を追及している。

立憲民主党の阿部議員は国家戦略特区をめぐる面会の記録が内閣府側になぜまったくないのかとただした。

立憲民主党・阿部議員「柳瀬さんに伺えば、記憶に定かでないと。記憶が消えるものであるからこそ、記録が必要なんです。なぜ国家戦略特区としてやっている仕事に、何の記録もないのでしょうか」

梶山地方創生担当相「ワーキンググループの議事要旨だけでも、1000を超えるものがあるということで、その受付前はそれ以上の自治体が来ているわけでありまして、政府の説明も含めて、窓口業務については、そういう記録がないというのが現実であります」

阿部議員は「記憶も記録もないのは首相案件だからだと思われても仕方がない」と批判した。

 また野党6党は、安倍政権の退陣を求める集会を開いた。柳瀬元首相秘書官らの証人喚問も求めていて、与党側は来週16日に回答する方針。

 

「首相案件」文書、農水省で見つかる 加計巡り面会記録(2018年4月13日配信『朝日新聞』)

 

 加計学園の獣医学部新設計画をめぐり、愛媛県と同県今治市の職員や学園幹部が、首相官邸や内閣府で面会した内容を記した県作成の文書が、農林水産省内でみつかった。斎藤健農水相が13日の会見で明らかにした。

 見つかったのは、「獣医師養成系大学の設置に係る内閣府藤原次長・柳瀬首相秘書官との面談結果について」という、朝日新聞が10日に報道し、愛媛県の中村時広知事が県職員が作成したと認めた文書と同じタイトルで、内容もほぼ同一のもの。中村知事は農水省や文部科学省、内閣府に配った可能性があるとし、官邸が調査を指示していた。

 文書には、県や市が国家戦略特区を申請する2カ月前の2015年4月2日、首相官邸で柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面会し、柳瀬氏が「本件は首相案件」と発言したと記載。「やらされモードではなく、死ぬほど実現したいという意識を持つことが最低条件」「文科省についても、いい大学を作るのであれば反対しない」などの文言や、安倍晋三首相と学園理事長の会食に触れた内容も記されていた。

 また、内閣府で面会した藤原豊・地方創生推進室次長(同)の発言として「内容は総理官邸から聞いている」「かなりチャンスがあると思っていただいてよい」との記載もあった。

 ただ、朝日新聞が報道した文書の日付は同年4月13日だったが、農水省から見つかった文書の日付は同年4月3日だった。また、県の対応について記した項目の一部が、農水省に渡った文書にはなかった。

 農水省によると、文書を保有していたのは、獣医師法などを担当する消費・安全局の課長補佐級の職員。この職員は2015年5月に現在の担当に異動となり、前任者から文書を受け取ったという。だが、農水省の管轄事務とは直接関係ないと考えて、行政文書としては管理しないまま、保有していたという。

 また、前任の担当者は調査に対して「文書を見た記憶はなく、後任に渡した記憶もないが、後任者が文書を保有しているなら、異動の際に渡した資料に含まれていたかもしれない」と話しているという。愛媛県の担当者と会ったかどうかについて、前任者は明確な記憶はないという趣旨の話をしているという。

 

農相 省内に残されていた加計文書を公開(2018年4月13日配信『NHKニュース』)

 

齋藤農林水産大臣は閣議のあとの記者会見で、加計学園の獣医学部新設をめぐり、愛媛県の担当者が3年前に総理大臣官邸を訪問した際のやり取りを記したとする文書が省内に残されていたとして、文書を公表しました。

公表された文書は平成27年4月3日付けで、加計学園の獣医学部新設をめぐり、文書作成の前日、4月2日に愛媛県や学園の関係者らが総理大臣官邸を訪問した際のやり取りが記されています。

この中では、当時、総理大臣秘書官だった柳瀬経済産業審議官が「本件は、首相案件」などと発言したと記載されています。

また、文書には、総理大臣官邸の訪問に先立ち、当時、内閣府で地方創生推進室を担当していた経済産業省の藤原審議官とも面談し、要請の内容は総理大臣官邸から聞いているという発言などがあったことも記されています。

齋藤農林水産大臣の会見によりますと、この文書は、平成27年5月に獣医師法などを担当する部局に異動した職員が、前任者から引き継ぎましたが、担当業務とは直接関係ないと考えて、行政文書としては管理せずに保有していたということです。

また、文書を引き継いで保有していた職員の前任者は、聞き取りに対し、「このような文書を見た記憶はないが、異動の際に渡した資料の中に含まれていたかもしれない」と話したということです。

一方、今回、農林水産省の調査の対象となった36人の職員のうち、この文書について「見たり聞いたりしたことがある」と答えた職員はほかにはいなかったということです。

齋藤大臣は会見で、「文書が省内にあったことは事実だが、農林水産省が作成したものではなく、内容も所管外の獣医学部の新設に関するものであり、特にコメントすることはない」と述べました。

また、齋藤大臣は、「当時、農林水産省と柳瀬氏の間で何らかのやり取りはあったのか」という質問に対しては、「ありえない」と述べました。

 

官房長官「疑念招くことないよう努力すること必要」

菅官房長官は閣議のあとの記者会見で、記者団が、愛媛県の担当者が3年前に総理大臣官邸を訪問した際のやり取りを記したとする文書の内容と柳瀬元総理大臣秘書官の説明が食い違っているとして、どちらが事実だと思うかと質問したのに対し、「政府として答える立場ではないが、柳瀬元秘書官は『そういうことを言うわけがない』と述べているのも事実だ。そういう中にあって、今後、国民の疑念を招くことがないように努力することが必要だ」と述べました。

また、菅官房長官は、政府内での文書の調査について「内閣府、文部科学省、厚生労働省でも引き続き調査を行っているが、今のところ、『見つかっていない』という報告を受けている」と述べました。

 

農相、加計文書確認と発表 政府、存在認め公表(2018年4月13日配信『共同通信』)

 

 斎藤健農相は13日の閣議後の記者会見で、学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画に関連する文書が農林水産省内で見つかったと発表した。政府が文書の存在を正式に認めて公表した。文書は課長補佐級の職員1人が保有していた。斎藤氏は「農水省の所管外なのでコメントは控えたい」と述べて文書の評価は避けた。「日付など一部が報道されていた文書と異なる」とも指摘した。

 文書を保有していた職員は2015年5月に獣医師法などの担当となった。農水省の調査に対しては「引き継ぎで前任者から受け取った」と説明した。この前任者は文書を見た記憶がなく、入手経緯は分からないとしているという。

 

「首相案件」文書、農水省で見つかる 加計巡り面会記録(2018年4月13日配信『朝日新聞』)

 

 加計学園の獣医学部新設計画をめぐり、愛媛県と同県今治市の職員や学園幹部が、首相官邸や内閣府で面会した内容を記した県作成の文書が、農林水産省内でみつかった。斎藤健農水相が13日の会見で明らかにした。

 見つかったのは、朝日新聞が10日に報道し、愛媛県の中村時広知事が県職員が作成したと認めた文書と、ほぼ同じ内容のもの。中村知事は農水省や文部科学省、内閣府に配った可能性があるとし、官邸が調査を指示していた。

 文書には、県や市が国家戦略特区を申請する2カ月前の2016年4月2日、首相官邸で柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面会し、柳瀬氏が「本件は首相案件」と発言したと記載。また、内閣府で面会した藤原豊・地方創生推進室次長(同)が「内容は総理官邸から聞いている」と発言したと記されている。

 ただ、朝日新聞が報道した文書の日付は同年4月13日だったが、農水省から見つかった文書の日付は同年4月3日だった。また、県の対応について記した項目が、農水省に渡った文書にはなかった。

 

農相、愛媛文書を公表 「加計」面会の翌日付(2018年4月13日配信『東京新聞』)

 

 農林水産省は13日、学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設を巡って愛媛県職員が作成した文書が省内で保管されていたと発表した。愛媛県の中村時広知事が作成を認めた文書とほぼ同じ内容で、同県職員が面会した柳瀬唯夫(ただお)首相秘書官(当時)が「首相案件」と発言したことなどが記されていた。

 斎藤健農相が閣議後の記者会見で明らかにした。文書の日付は面会翌日の2015年4月3日となっており、受け取った当時の担当職員から同年5月に引き継ぎを受けた後任の課長補佐級の職員が、個人用ファイルに保管していた。本紙が入手し、県が作成を認めた文書の日付は4月13日となっていた。

 農水省で見つかった文書にも、「加計学園から、先日安倍(晋三)総理と同学園(加計孝太郎)理事長が会食した際に、下村(博文)文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっている」との記載があった。同じ日に面会した藤原豊・内閣府地方創生推進室次長(当時)の「要請の内容は総理官邸から聞いており」「国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたい」との発言も、本紙が入手した文書の文言と一致していた。

 農水省の調査によると、当時の担当職員は文書について見た記憶はなく、入手の経緯も覚えていないと説明。後任の職員は紙ベースで文書を受け取り、大学の新設は所管外として行政文書として管理しなかったという。斎藤氏は「(保管していた職員は)本人は『言われてみればあったね』ということで、深い認識があったとは思えない。上司に報告したかは分からないが、二人の他に文書の存在は認識していない」と説明した。

 農水省は獣医師の国家試験や資格の付与などを所管している。中村知事は10日の記者会見で、県側が柳瀬氏と面会したやりとりの文書が文部科学省、農水省、内閣府に渡った可能性を示唆。農水省は10日から関係部局への聞き取り調査を進めていた。

 斎藤氏は文書について「農水省の所管外なのでコメントは差し控える」と評価を避けた。

 文書は愛媛県と今治市の課長や加計学園事務局長が15年4月2日に柳瀬氏や、内閣府地方創生推進室次長だった藤原豊・現経済産業省大臣官房審議官と首相官邸などで面会した際の記録とされる。

◆柳瀬氏「従来のコメント通り」

 学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡る愛媛県の文書が農林水産省でも見つかったことについて、当時首相秘書官だった柳瀬唯夫(ただお)経済産業審議官は13日「報道は拝見したが、これまでのコメントの通りだ」と述べ、記憶がないとする従来の主張を繰り返した。経産省内で記者団に語った。

 柳瀬氏は文書の存在が明らかになった10日「自分の記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはありません」と文書でコメントを出していた。

 内閣府地方創生推進室次長として2015年当時、加計学園の関係者に助言をしたとされる経産省の藤原豊官房審議官も記者団に「内閣府にお尋ねください」とだけ話した。

 

農相、加計文書確認と発表 政府存在認める、内容明かさず(2018年4月13日配信『東京新聞』)

 

 斎藤健農相は13日の閣議後の記者会見で、学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設計画に関連する文書が農林水産省内で見つかったと発表した。政府が文書の存在を正式に認めた。文書は課長補佐級の職員1人が保有していた。斎藤氏は「省内にあったのは事実だが、内容は農水省の所管外なのでコメントは控えたい」と述べた。

 農水省は獣医師の国家試験や資格の付与を所管している。愛媛県の中村時広知事は10日の記者会見で、県側作成の柳瀬唯夫首相秘書官(当時)との面会のやりとりなどを記したとする文書が文部科学省、農水省、内閣府に渡った可能性を示唆していた。

 

「加計」愛媛県文書 獣医学部15年4月「出発点」 柳瀬氏らの助言通り次々(2018年4月13日配信『東京新聞』)

 

 「加計学園」が愛媛県今治市に開設した獣医学部を巡り、県や市、学園幹部らが首相秘書官や内閣府幹部と2015年4月に面会した際に県が作成した文書を検証すると、その後の学部開設計画が秘書官らの助言に沿うように進んでいたことが分かった。政府関係者は、「首相秘書官らとの面会が『加計ありき』の出発点だった」と証言する。

 県の文書によると、県や市、学園の幹部が柳瀬唯夫首相秘書官(当時)や藤原豊・地方創生推進室次長(同)と面会した際、2人は過去15回退けられていた構造改革特区に代わり、国家戦略特区の活用を提案。柳瀬氏は「既存の獣医大学との差別化を図った特徴を」、藤原氏も「例えば公務員獣医師の養成や、ペット獣医師を増やさないような卒後の見通しもしっかり書き込んで」と踏み込んだアドバイスを送った。

 その2カ月後の15年6月、県と市は助言通りに、国家戦略特区に切り替え、内閣府に獣医学部開設を申請。提案書には柳瀬氏らの助言に応える形で、「これまでの大学の獣医師養成と異なる国際水準の獣医学部」「ライフサイエンス分野への貢献」「公務員獣医師の確保」と記されていた。

 ほかにも「提案内容は幅広い方が熱意を感じる」という藤原氏の発言を受けるように、県や市は、獣医学部だけでなく「水産物・食品の輸出ワンストップ支援センターの設置」という構想まで盛り込んでいた。

 注目すべきは、面会後の県や市の動きだ。

 面会時、藤原氏は「遅くとも5月の連休明けには(特区の)募集を開始。ついては2、3枚程度の提案書案を作成いただき、早い段階で相談したい」と求めていた。

 国家戦略特区の募集開始は4月28日。今治市の出張記録によると、その2日後、市の担当部長ら3人が獣医学部設置の協議のため内閣府を訪ねている。

 柳瀬氏の「本件は首相案件になっており、藤原次長の公式ヒアリングを受ける形で進めてほしい」との発言も同様だ。県と市は内閣府に申請した翌日、藤原氏が参加する特区ワーキンググループ(WG)のヒアリングを受けている。WGでは、県の担当局長が「地域入学枠や奨学金貸与を使い、公務員獣医師の充足を図る」と藤原氏の指摘した卒業後の見通しを示した。

 獣医学部開設を巡っては、国家戦略特区に切り替えて状況は一変。17年1月に特区が認められ、加計学園は今月、開学した。

 柳瀬氏は面会を否定。安倍晋三首相は11日の衆院予算委員会でも「プロセスは適正だった」と従来の主張を繰り返した。しかし、県文書の内容について「コメントを差し控えたい」と明言を避けている。

 

安倍首相応援団の田崎史郎が「僕“でさえ”会ってると思う」と本音をポロリ(2018年4月13日配信『リテラ』)

 

 加計学園「首相案件文書」は愛媛県知事がその存在を認めたのに続いて、農水省でも見つかった。柳瀬唯夫首相秘書官(当時)の「記憶の限り(愛媛県関係者と)会っていない」発言は完全に嘘がバレバレ、安倍首相もいよいよ言い逃れできない状況になってきた。

そんななか、あの田崎史郎・時事通信社特別解説委員がもらした一言が話題になっている。12日の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)でスシロー氏はなんと「僕でさえ(柳瀬首相秘書官は)本当は会ってると思う」と発言したのだ。

 せっかくなので、詳しく紹介しよう。始まりは、“首相案件”文書や 11日の国会での様子がVTRで流されたのち、コメンテーターの玉川徹氏が田崎氏に詰め寄ったことだった。

「それ、まだね。ここも否定しているんですよ。(柳瀬氏は職員と)会ってないと言っているんですよ」

「田崎さん、どうなんですか。これ、まだ未だに。だってもう文書出てきてるんですよ。国と地方という違いはあっても行政の方から。で、県知事も認めているような形で出てきてるのに、まだ否定しているのってどういうことなんですか」

 すると田崎氏は「“私の記憶の限りでは”という注釈つきでで否定されているんですが……」と話し始める。玉川氏はきっといつもの擁護が始まると思ったのだろう。機先を制するように「どんな記憶力ない人なんだ?」とツッコミを入れる。すると、田崎氏は玉川氏に反論せず、こう続けたのだ。

「いや、あの、明らかに逃げを打っている印象ですよね。だから本当は会ってるんじゃないの、っていう疑問は、僕でさえも思います」

 意外な答えに思わず爆笑する玉川氏。続いて羽鳥アナも「田崎さんが僕で“さえ”って、言ってしまう」とつっこみ、田崎自身、自分の発言がウケたことに気を良くしてか、なんだかうれしそうに一緒に笑っていたのだった。

 応援団の安倍離れが!読売新聞も文書の信ぴょう性を裏付ける証言を報道

 今さら説明するまでもないが、田崎氏は、自他共に認める“官邸の代弁者”“安倍首相応援団”。モリカケ問題でも、アクロバティックとしか思えない論理を駆使して、必死で安倍政権を擁護してきた。今回の「首相案件」文書問題でも、「文書の正確さについては、留保したほうがいい」「官僚は首相ではなく総理と呼ぶ」などと文書をデタラメと主張し、安倍官邸のほうを擁護していた。

 そんな田崎氏がなぜ、柳瀬首相秘書官の嘘を認めるような発言をしたのか。さすがにこの一件はかばう理屈が見つからなかったのか。

 しかし、一方では、「僕でさえ」発言は、安倍首相に見切りをつけた田崎氏の本心が思わずもれちゃった結果ではないか、との見方もささやかれている。たしかに、田崎氏はかつて小沢一郎べったりだったのに、安倍政権が勢いがあると見るや、いつのまにか安倍応援団におさまっていたという、機をみるに敏な人物。そんな変わり身の早い田崎氏が、安倍首相にそろそろ見切りをつけようと考え始めていてもおかしくはない。

 実際、安倍離れを始めているのは田崎氏だけではない。御用新聞・読売新聞が12日午後、首相案件文書の信憑性を裏付ける記事を出したのだ。

 しかも、記事は、出席者の一人が読売新聞の取材に、柳瀬氏との面会について「間違いない」と証言し、柳瀬氏から「首相案件」との言葉があったことも認めたという決定的なもの。

 政権べったりで、加計問題では官邸のリークに乗って、前川喜平・前文科事務次官の出会い系バー通いまで報道した読売がこんな記事を出すというのは、信じられない事態だ。

「読売という組織はトップ、つまりナベツネの許可がないとこんな記事は絶対に出さない。官邸は、相当なショックを受けているし、この記事は永田町では“読売が安倍おろしを始める合図ではないか”と受け止められている」(全国紙政治部記者)

 昔から、読売が政権叩きを始めると政局が始まる、というのはよくいわれる。今度こそ、安倍政権はヤバいかもしれない。

 

首相や政府批判、自民内からも 「甘えあれば崩れ去る」(2018年4月12日配信『朝日新聞』)

 

麻生派のパーティーであいさつし、手を振りながら引きあげる安倍晋三首相=2018年4月12日午後6時42分、東京都千代田区

 

 森友学園への国有地売却問題や加計学園の獣医学部新設問題をめぐる安倍晋三首相や政府の対応に対して、12日、自民党の各派閥の例会で批判や苦言が噴出した。安倍政権に対する野党の追及が一向にやむ気配が見えないなか、党の視線が厳しくなっている。

 「ポスト安倍」をうかがう石破茂・元幹事長は自らの派閥で、加計問題について「真実を解明し、行政への信頼を回復することは、野党ではなく与党の責任だ。『批判するな』と言われる方もいるが、自浄作用を失うことの方がよっぽど怖い」と強調。「愛媛県は文書を公開し、知事も決然たる姿勢だ。これに関わる人は『真実はこうなんだ』と申し述べて頂きたいと切に思う」とも語り、文書へのコメントを避ける首相の対応を批判した。

 谷垣グループの逢沢一郎・代表世話人も「政治への信頼も揺らぎ始めているという認識が必要だ。政権を取り戻して5年数カ月、いま最も厳しい局面に、政府与党は立たされている」と危機感をあらわにした。

 首相に近い派閥からも批判や不安の声が相次いだ。

 首相の3選支持を繰り返し表明する二階俊博幹事長率いる二階派。伊吹文明・元衆院議長は、森友学園と首相の妻昭恵氏との関係に触れ、「(問題の)発端になった人物との付き合いについて、配偶者は立場をわきまえてもらわなくては。安倍さんには道義的責任がある」と断言した。

 麻生派では、山東昭子元参院副議長が「安倍1強」と言われた政権を城にたとえ、「霞が関や永田町の緩みやおごりに、『このくらいは許されるのでは』という甘えがあるなら、堅城も崩れ去る」と指摘した。

 首相と近い石原伸晃・前経済再生相も「為政者、権力を持つ側は絶えず謙虚で、道義的な責任についても国民に謙虚に示していく姿勢が大切でないか」と首相の責任に言及した。

 

麻生派パーティー「ど真ん中で政権支える」 首相の姿も(2018年4月12日配信『朝日新聞』)

 

麻生派のパーティーであいさつし、麻生太郎財務相と握手する安倍晋三首相(右)=2018年4月12日夜、東京都千代田区

 

 自民党第2派閥の麻生派(59人)が12日、東京都内のホテルで政治資金パーティーを開いた。派閥を率いる麻生太郎財務相はいま、森友学園との国有地取引をめぐる財務省の文書改ざん問題で矢面に立つ。安倍晋三首相を屋台骨として支えてきただけに、対応を誤れば政権の命運を左右しかねない。

 麻生氏はパーティーのあいさつ冒頭で文書改ざんに触れ、「原因を究明し、対策をやって、信頼回復に先頭を切って走る」と表明。「ど真ん中で政権を支える」と訴えた。安倍首相も顔を見せ、文書改ざんについて「しっかりと真実を究明し、うみを出し切り、態勢を立て直して、皆さまのご期待に応えていきたい」と強調した。

 麻生派は昨年7月、山東派と谷垣グループの一部を吸収。首相の出身派閥で党内最大の細田派(94人)に次ぐ第2派閥に躍り出た。麻生氏はその際、「新しい政治の形として(自民党に)大きな政策集団二つを考えるべきだ」と語った。

 麻生氏は先月、文書改ざんが発覚したことで野党から集中砲火を浴び、与党内からも政治責任を問う声が出た。ただ、安倍首相は早々に続投方針を表明。麻生氏も進退について「考えていない」とけむに巻いた。

 麻生氏の心境について、麻生派のベテラン議員は「(辞任しないのは)個人としてはつらいが、首相に恩を売れるし、安倍3選を前提にしたら、麻生派の処遇をよくしてもらえる立場にいる」と解説。仮に辞任しても、第2派閥の領袖(りょうしゅう)として、首相の人選に影響を及ぼすことも可能になると見立てる。

 だが、報道各社の世論調査で麻生氏の辞任論は多数を占め、12日発売の週刊新潮では財務省事務方トップの福田淳一事務次官のセクハラ発言も報じられ、野党の批判が強まった。他派閥の幹部からは「麻生氏は安倍氏と同罪。イメージを変えるために辞めるべきだったが、機を逸した」と冷ややかな声が漏れる。

 

自民 安倍離れ、じわり 麻生、二階派内からも不満(2018年4月12日配信『毎日新聞』)

 

 

 森友学園問題などで安倍政権が苦境に立たされる中、安倍晋三首相が出身派閥の自民党細田派と、総裁3選を支持する麻生派と二階派を軸とする党内基盤維持に腐心している。一方、自民党内では総裁選を控え、首相と距離を置いて「様子見」する動きが広がり始めた。

 首相は12日の麻生派パーティーに駆け付け、麻生太郎副総理兼財務相と握手して結束をアピール。「麻生さんとしっかりタッグを組みながら公約を必ず実行していく。そのことで責任を果たす」と述べ、政権運営への意欲を強調した。麻生氏も「政策のど真ん中で政権を支えていく」と応じた。ただ首相も麻生氏も財務省の決裁文書改ざん問題に「極めてゆゆしき話」(麻生氏)などの表現で触れざるを得ず、「1強」の陰りは隠せない。

 首相が政権の要石として麻生氏同様に重視するのが二階俊博幹事長だ。その麻生氏と二階氏は10日夜に両派幹部を交えて会食。「難局に力を合わせ政権を支える」と一致した。ただ、会食中は雑談が多く、場の雰囲気は「エイエイオーという感じではなかった」(出席者)という。

 12日の派閥会合では、石破茂元幹事長が「真実を解明するのは与党の責任だ。批判するなという方もいるが、自浄作用を失うことの方がよっぽど怖い」と語気を強めた。総裁3選に中立的な谷垣グループ会合でも、逢沢一郎元国対委員長が「政権を取り戻して5年数カ月の間で最も厳しい局面に立たされている。発言すべきは発言していく」と述べて首相をけん制した。

 「安倍1強」が続いた自民党だが、「長期政権のひずみ」(政府関係者)の続発で、中間派の空気も動く。閣僚経験者は「官邸と官僚の関係にひずみが出ている」と指摘する。

 不満は主流派にもある。麻生派議員は「森友問題も世の中は麻生氏でなく首相の問題だと思っている」と指摘。12日の二階派会合では伊吹文明元衆院議長が「安倍さんには大変な道義的責任がある。配偶者が立場をわきまえないといけない」と述べて首相の妻昭恵氏を批判。その上で「道義は己の心の中で裁くもの。居丈高に他人の道義を批判したら一種の人民裁判になる」と党内や野党をけん制した。

 

加計問題 「柳瀬氏発言あった」官邸で面会、出席者証言(2018年4月12日配信『共同通信』)

 

 学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設計画に関連する文書が農林水産省内で見つかったことが12日、分かった。関係者によると、愛媛県職員が作成した柳瀬唯夫首相秘書官(当時)との面会のやりとりを記した文書という。出席者の一人は12日、共同通信の取材で、面会の事実や、その場で柳瀬氏から「首相案件」との発言があったことを認めた。

 農水省は獣医師の国家試験や資格の付与などを所管している。愛媛県の中村時広知事は10日の記者会見で、県側が柳瀬氏と面会したやりとりの文書が文部科学省、農水省、内閣府に渡った可能性を示唆していた。

 

愛媛側の来訪 事前伝達 15年3月 官邸側が文科省に(2018年4月12日配信『東京新聞』)

 

 学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部開設を巡り、愛媛県今治市の幹部ら一行が柳瀬唯夫首相秘書官(当時)に面会する直前の2015年3月、首相官邸側から文部科学省に「愛媛県や今治市、加計学園の関係者が近く首相官邸を訪問する」と伝えていたことが11日、文科省関係者への取材で分かった。

 一行が15年4月2日、柳瀬氏と面会した記録文書について、愛媛県は担当者が作成したと認めている。柳瀬氏は「自分の記憶の限りでは、県や市の方に会ったことはない」としているが、文科省関係者の証言で県文書の信ぴょう性があらためて裏付けられた。

 文科省関係者によると、15年3月、官邸側から「近く県や市、学園の関係者が官邸に来ることになっている。官邸で誰が対応し、どういうスタンスで答えるのがいいか、文科省の考えを参考にしたい」と文科省側に連絡があった。同省側は「特区として対応すべきではなく、全国レベルの問題として考えるべきだ」と伝えたという。

 官邸側から連絡したのは、当時、内閣官房に出向していた文科省幹部で、本紙の取材に「覚えていない」と答えた。

 文科省関係者は「一自治体の職員が首相官邸を訪問することは、普通に考えて、あまりない。何らかのルートを使ったのだろう」とみている。

 当時、加計学園は学部開設に向け、慎重な姿勢の文科省と水面下で交渉を重ねていた。文科省関係者によると、同省は学園に既存の獣医大学との差別化を図ることなどを求めていたが、満足な回答がなかったという。

 県作成の文書には、「先日安倍(晋三)総理と(加計孝太郎)同学園理事長が会食した際に、下村(博文)文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があった」と記されている。

 文科省関係者は「当時、愛媛県や今治市が申請していた構造改革特区への対応は、大臣に判断を仰ぐ重要案件で、下村大臣は獣医学部特区に関心を寄せていた」と証言する。

 下村氏は11日、国会内で記者団に、県文書の記載内容について「驚いている。全く言っていない」と否定した。本紙は安倍事務所と下村事務所、加計学園に質問状を送っているが、11日中に回答はなかった。

 

イカれているのか 平然と嘘をつく異常な首相に国民は戦慄(2018年4月12日配信『日刊ゲンダイ』)

 

「信じられない」と嘆きたいのは国民の方だ。

 森友問題で、財務省が学園側に口裏合わせを依頼したことについて、安倍首相は「信じられないようなことが起こっている」と他人事のように批判していた。「信じられないようなこと」をやらせた張本人が言うことか。説教強盗の類いである。これだけ問題を起こし、国を混乱させておいて、こんな発言ができるのはマトモな神経ではない。精神鑑定が必要なレベルだ。

 相次いで浮上する政府の疑惑。森友問題、自衛隊の日報隠蔽問題に続き、10日には加計学園の獣医学部新設について「首相案件」と書かれた記録の存在も明らかになった。

 11日、衆院予算委で集中審議が行われたが、安倍は過去と同じ答弁を延々と繰り返すばかりだった。

 15年4月に愛媛県職員らが柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面会した記録に「本件は首相案件」と記載されていたことについては、「愛媛県の文書に国としてコメントすることはできない」とはぐらかし、昨年とまったく同じ答弁を何度も何度も繰り返す。

 「加計学園の獣医学部新設については、関わった民間人が、プロセスに一点の曇りもないと明確な発言があった。(文科省の)前川前次官を含め、私から指示を受けたという方は一人もいない」

「加計孝太郎理事長は学生時代からの親友だが、彼が私の地位や立場を利用して何かをなそうとしたことは一度もない。だからこそ、こうして友情が続いている」

 時間稼ぎのつもりなのか、ナントカのひとつ覚えなのか知らないが、あまりにフザケた態度だ。

 「新事実が次々と明らかになり、1年前と状況が変わっているのに、同じ答弁で押し通そうというのは傲岸不遜で、あまりに不誠実です。事実を認め、真相を解明する気はサラサラないということでしょう。加計問題にしても、『自分は関わっていないから知らない』で済む話ではないのです。普通は最高権力者になったら、疑念を持たれないように、あえて利害関係のある人物とは距離を置く。40年来の親友なら、なおさらです。権力に対する謙抑がなく、公私の区別をきっちりつけられない安倍首相の姿勢が、数々の不祥事の原因になっているのではないですか。相次ぐ問題発覚に自民党の二階幹事長が『ウンザリだ』と言っていましたが、一番ウンザリしているのは国民ですよ」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)

 ■記憶より記録を信用するのは当然

 安倍はこれまで、加計学園の獣医学部新設計画を知ったのは昨年1月20日だと答弁してきた。だが、愛媛県の記録文書には、「先日、安倍総理と加計学園理事長が会食した際に、下村文科大臣(当時)が加計学園は課題への回答もなくけしからんと言っているとの発言があった」とも書かれている。愛媛県がウソの記録文書を作るメリットはひとつもない。「備忘録」ならなおのこと、ありのままが書かれているはずだ。15年4月の時点で安倍が計画を把握していた傍証といえる。この点について、過去の答弁との整合性を問われても、安倍は「今まで答弁してきた通り」と言って、昨年1月20日に初めて知ったと言い張るのだ。

「加計理事長と頻繁にゴルフや会食をしていて、獣医学部新設を官邸が主導したことをうかがわせる愛媛県の文書まで出てきたのに、昨年1月まで知らなかったはずがありません。柳瀬元秘書官にも『記憶がない』とウソを言わせて、『彼がこう言っているから正しい』なんて、まったく論理的ではない。記憶より記録が残っている方を信用するのが当たり前です。ナチスに学んで、ウソも100回言えば本当になると信じているのかもしれませんが、国会の場でここまで平然とウソをつく首相は過去にいませんでした。なぜ、そんな破廉恥なことができるのか。完全に頭がイカれているとしか思えません。その場しのぎのウソでやり過ごせばいいと考えているとすれば、国会を冒涜している。間違いなく、憲政史上、最低最悪の首相です」(政治評論家・本澤二郎氏)

国家の根幹がガタガタなのにトランプ大統領とゴルフ

集中審議では、森友問題の国有地の8億円値引きについても質問が相次いだ。昨年2月、値引きの根拠になったゴミの撤去がされていないことがバレそうになり、財務省は森友側に口裏合わせを依頼。財務省は、文書まで作成して署名を求めていたことを認めた。

安倍は昨年の国会で、野党をバカにするようなヘラヘラ笑いを浮かべながら、「ゴミがあるから値引きしたのであって、8億円の値引きは適正」と何度も言っていたものだ。その根拠が崩れた今、取引が適正だったと思うか聞かれて、どう答えるのかと思ったら、「8億円の値引きが適正かどうか、お答えする立場にない」と言い出した。何だ、そりゃ。事あるごとに「行政府のトップだ」と威張ってきたのは誰なのか。この問題に、安倍以外の誰が答える立場にあるというのか。

「行政府のトップで、しかも、森友は安倍夫妻の問題なのですよ。当事者なのに答えられないって、どういうことですか。自分の無能を白状したも同然です。やりたいことを強引に決める時には『私が最高責任者だ』『総理大臣の私が言うから正しい』と偉そうに言ってきたのに、自分が窮地に立たされると、他人のせいにして逃げる首相に国民の生命と財産を守るなんて、できるはずがありません。こんな首相を居座らせていたら、国民生活は地獄を見るだけです。こんな人物が国の代表として外遊することにも戦慄を覚える。自身の疑惑で国会が紛糾している状態を放置して、来週から外遊を始める神経も信じられません。国家の根幹が崩れてガタガタになっているのに、トランプ大統領とゴルフに興じている場合ではないでしょう。来週の日米首脳会談を皮切りに、中東やロシアへも外遊に出かけるつもりのようですが、この局面で海外逃亡なんて、国会を軽んじるにも程がある。国会から離れることが一番の延命策だと考えているのでしょうが、自己保身のために外交を利用することも許し難い。心ある国民は、デモに参加して怒りを表明するしかありません」(本澤二郎氏=前出)

■自殺者が出ても知らん顔で外遊

1年間、平気な顔をしてウソをつき続け、揚げ句に北朝鮮情勢を理由に「国難」と言って、モリカケ問題をリセットするための解散総選挙まで強行した。そこまでして権力にしがみつくのか。行政を歪め、自殺者まで出ても、知らん顔で外遊に出かける。この異常心理に国民は震撼するほかない。トチ狂った「オレ様」首相が居座り、イケシャーシャーと外遊することを許す国会もどうかしている。前出の角谷浩一氏はこう言う。

「集中審議では、理財局の総務課長が決裁文書をちゃんと読まずにハンコを押したという仰天答弁も飛び出しました。そんなフザケた答弁がまかり通るのは、野党がナメられている証拠です。野党をナメているということは、国民をナメているということですよ。国民は怒らなければおかしい。この1年間、ウソの積み重ねで国会も国民もだまされ、そういう状況下で解散総選挙まで行われた。野党は『そんな選挙は無効だ、やり直せ!』と迫るべきでしょう。野党が解散を恐れて及び腰になっていることが、安倍政権の延命を助けている。これだけデタラメが明らかになっているのに、選挙で意思表示できなければ、国民はやり切れません」

いくら何でも、いくら何でも、ここまで倒錯した政権をこれ以上、続けさせるわけにはいかない。総辞職しか考えられないし、この国のためを考えるなら、野党も解散に追い込むことを本気で考えなければダメだ。

 

柳瀬元秘書官「記憶にない」で逃げ切れば次官昇格の可能性(2018年4月12日配信『日刊ゲンダイ』)

 

「本件は首相案件」――。愛媛県や今治市、さらに加計学園の職員と首相官邸で面会し、獣医学部新設について「本件は首相案件となっており」と発言していたことが明らかになった柳瀬唯夫首相秘書官(当時)。

 本人は「記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはない」と釈明しているが、県職員の備忘録には発言が詳細に記されている。もはや言い逃れは利かない。さすがに、自民党も柳瀬氏の国会招致を認める方向だ。

 経産省出身の柳瀬氏は、2012年末の安倍政権発足から2015年8月まで首相秘書官を務め、国家戦略特区などを担当。現在は経産省に戻り、事務次官に次ぐナンバー2の審議官。愛媛県の職員などと面会したのは、2015年4月2日だ。

 柳瀬氏が今治市の職員と官邸で面会したかどうかは、昨年7月にも問題になり、参考人として国会に呼ばれた柳瀬氏は、「記憶にない」を7回も連発して、野党から批判を浴びている。果たして、どんな人物なのか。

「中高一貫の名門校“武蔵”から東大法に進み、84年に旧通産省に入省したエリートです。麻生政権でも首相秘書官を務め、その仕事ぶりが評価されて安倍政権でも秘書官に起用された。秘書官経験者が、別の首相に仕えるのは異例です。経産省では原子力政策課長だった06年に、原発の輸出を進める“原子力立国計画”をまとめています」(経産省関係者)

 政治家の指示や意向に完璧に従う官僚の鑑のような男だという。

「フットワークが軽く、思ったことを口にするが、裏で暗躍するタイプではありません。同情するのは、同じ経産省出身の2期上の先輩、今井尚哉さんが政務の首相秘書官として官邸を差配していることです。先輩の上、立場も上なので、下働きせざるを得なかったのでしょう。しかも、今井さんの陰に隠れているだけでは、総理に評価されないので、総理のために無理したはずです」(霞が関関係者)

「記憶にない」と安倍首相を守り切れば、この夏、次官に出世する可能性が高いという。

 

柳瀬元秘書官が官邸入り 記者団の問いかけには答えず(2018年4月12日配信『朝日新聞』)

 

 学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐり愛媛県が作成した文書に、県や今治市の職員、学園幹部と面会したと記されていた柳瀬唯夫元首相秘書官(現・経済産業審議官)が12日午前、官邸を訪れた。記者団に目的を聞かれ「勉強会」と話した柳瀬氏は、約1時間半後に官邸を出た。記者団の問いかけには応じなかった。

 

江田氏「面会異例、会ってもなくても覚えてる」(2018年4月12日配信『読売新聞』)

 

 下村博文・元文部科学相、江田憲司衆院議員、三宅弘・内閣府公文書管理委員会委員長代理が11日、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、学校法人「加計学園」をめぐる問題などについて議論した。

 下村氏は、安倍首相の関与について「首相が『ない』と言っている」と否定した。江田氏は、柳瀬唯夫首相秘書官(当時)が愛媛県や今治市の職員との面会を否定していることについて、「秘書官が市課長や課長補佐に会えば異例だ。会っても、会ってなくても覚えている」と指摘した。

 

小泉氏「注釈なし、会ってないと言い切れない」(2018年4月11日配信『読売新聞』)

 

 与党には、国民の理解を得るため首相らのさらなる説明が必要とする声が多い。

 自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長は東京都内での講演で、加計学園問題を巡り、首相秘書官だった柳瀬唯夫氏が愛媛県や今治市の職員との面会を否定していることについて「『記憶の限りでは』という注釈を付けなければいけないのだったら、会ってはいないと言い切ることはできないのではないか」と述べ、懐疑的な見方を示した。

 同党の岸田政調会長は党本部での記者会見で「真実を明らかにするのは当事者でなければできない。政府の努力をしっかりと見守りたい」と語った。公明党の石田政調会長は国会内で記者会見し、「この際、徹底した真相の解明のため、政府に一層の努力をお願いしたい」と注文を付けた。

 

衆院予算委 宮本岳志氏、加計疑惑で首相追及(2018年4月12日配信『しんぶん赤旗』)

 

「首相案件」否定根拠示せず

「国民欺く政権、資格ない」

 日本共産党の宮本岳志議員は11日の衆院予算委員会で、学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画をめぐり、愛媛県職員が2015年4月に官邸を訪れ、藤原豊・内閣府地方創生推進室次長(当時)と柳瀬唯夫・首相秘書官(当時)と面会した際の記録を示して、「はるか前から『加計ありき』で決まっていた」と追及。藤原、柳瀬両氏の証人喚問を求めました。

 宮本氏が示した「面会記録」は、愛媛県が作成を認めたもの。記録には、藤原氏が「国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたい」と獣医学部新設を指南していたことや、柳瀬氏が「首相案件」と後押ししていたことが記載されています。宮本氏は、安倍晋三首相が加計学園の獣医学部新設の意向を知ったのは昨年1月20日だったと答弁していたこととの矛盾を追及しました。

 安倍首相は「加計(孝太郎・加計学園理事長)さんから獣医学部新設について相談や依頼があったことは一切ない」と述べるだけで、記録を否定する何の根拠も示せませんでした。宮本氏は「愛媛県には首相を陥れるような文書を作るメリットは何もない。こういうものが出てきた以上、挙証責任は政府にある」と強調しました。

 さらに、宮本氏は、学校法人「森友学園」への国有地取引をめぐって昨年2月22日、財務省の前理財局長の佐川宣寿氏と現在の理財局長の太田充氏(当時、大臣官房総括審議官)が菅義偉官房長官に国有地売却の経緯などについて説明した際、財務省の決裁文書の決裁者の1人が同席していたことを指摘。この説明の場で、「『決裁文書に昭恵氏の名前が記載されている』と官房長官に伝えなかったのか」と追及しました。菅官房長官は「そうした(昭恵氏の名前の記載の)報告は一切受けていない」と否定しました。

 これに対し、宮本氏は「昨年2月22日という日は改ざんが実行に移される時期であり、『口裏合わせ』という隠ぺい工作も始まった時期だ」と強調。財務省が学園側にゴミの撤去について「トラック何千台も走った気がする」とウソをつくよう要請していたこともあげ、「今でも8億2000万円の値引きが適正だったと言えるのか」と追及しました。

 安倍首相は「(役人の説明を)信頼して仕事をするしかない」と無責任な答弁に終始。宮本氏は「隠ぺい、改ざん、ねつ造、口裏合わせは全て安倍政治の核心部分で起きている大問題であり、国会と国民を欺く政権には、一日たりとも政権を担う資格はない」と強調しました。

 

安倍首相、会っていない言い張る秘書官の記憶を信頼(2018年4月12日配信『日刊スポーツ』)

 

 どっちがうそつき? 安倍晋三首相は11日の衆院予算委員会で、学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画をめぐり、「首相案件」などと書かれた愛媛県職員作成の「備忘録」に対する論評を避けた。自身の関与や学園の要請を否定した上で、記憶を根拠に「首相案件」発言を否定した柳瀬唯夫経産省審議官を「信頼する」と主張。記録より記憶を“信用”した。野党は、県職員、柳瀬氏の「証人喚問対決」を提案。与野党の怒号、首相秘書官のやじまで乱れ飛ぶ騒然とした審議で、安倍政権は疑惑を晴らすことができなかった。

 加計学園の獣医学部新設計画を、首相秘書官が「首相案件」と述べたと書かれた「備忘録」の判明から一夜明けた国会。首相はいつになくペーパーを棒読みし、やじに敏感に反応した。

 「(自身に批判的な)前川喜平氏を含め、私から指示を受けた方は1人もいないと明らかになっている」「(国家戦略特区諮問会議の)民間議員からも、プロセスに1点の曇りもないと明確な発言があった」。自身は無関係とする従来の説明を繰り返し、そのたびに質疑が止まった。

 備忘録についても「都道府県の作成の文書で政府の文書ではない。政府としてコメントする立場にない」と、延々と繰り返した。一方で、15年4月2日に官邸で愛媛県や今治市側と会ったとされる柳瀬氏について「私は部下を信じて仕事をしている。柳瀬氏の発言は信頼している」と述べた。

 愛媛県職員は文書を残したが、柳瀬氏は記憶を根拠に面会を否定。立憲民主党の枝野幸男代表は「柳瀬氏がうそをついているか。県職員が聞いてもないことを勝手に書いたか、2つに1つだ」と指摘。「愛媛県がうそをつく必然性はない。柳瀬氏や首相がうそをついているのにごまかし、逃げ切ろうとしている」「国民のほとんどの皆さんは、総理がうそつきと分かっている。柳瀬氏と職員を2人並べ、話を聞くしかない」と述べ、偽証罪に問われる証人喚問での決着を訴えた。

 備忘録には、首相、加計孝太郎理事長、下村博文元文科相が会食で、計画について話したような記述もあるが、首相は否定。加計氏について「私の地位を利用して何かを成し遂げようとしたことは、1度もない」と、あらためて主張した。

 首相は新設計画を昨年1月20日に初めて知ったとしており、会食が真実なら答弁の正当性が崩れる。14年末までの加計氏との会食日を3日分、列挙し「私の記憶では(これ以降は)ない」と発言した首相は、希望の党の玉木雄一郎代表に「最近は『記憶にない』がはやっているのか」と皮肉られる始末。「愛媛県知事は備忘録を本物と言い、首相答弁がうそと示唆している。これでは内閣総理大臣の証人喚問になる」と、うそつき呼ばわりされた首相は、玉木氏に「うそつきと言う以上、証拠を示してもらいたい」と、反論した。

 矛盾する答弁もあった。内閣府は15年4月2日の官邸での面会を承知しないとする一方、「向こう(今治市)は行ったと言っている」と、苦し紛れに答えた。財務省の文書改ざん、防衛省の日報問題と異なり、加計問題は首相の責任に直結する。首相は「私の関与がないのは明白」と主張したが、疑惑を晴らす場にはならなかった。

 

加計・森友問題審議 何度も中断(2018年4月12日配信『しんぶん赤旗』)

 

「首相案件」答えられず

 学校法人「加計学園」の愛媛県今治市での獣医学部新設や「森友学園」への国有地売却をめぐり、安倍晋三首相出席の衆院予算委員会が11日に開かれました。加計学園に関する面会記録など、次々と明らかになった新事実をただす野党議員に安倍首相はまともに答えられず、審議は何度も中断しました。

 「加計学園」の獣医学部新設をめぐる手続きについて安倍首相は、「私から指示を受けた者は一人もいない」と従来の答弁を繰り返しました。首相秘書官だった柳瀬唯夫経済産業審議官が「首相案件」と述べたとする愛媛県作成の文書に関し、安倍首相は「コメントは差し控えたい」と言及を避けました。

 愛媛県の面会記録では、2015年4月2日に県と今治市の職員が首相官邸を訪れ、柳瀬氏と1時間半相談したとされています。安倍首相は、柳瀬氏が面会した事実を認めていないことについて「部下である当時の秘書官について信頼している」と擁護。さらに「秘書官の来客について報告を受けることはない」と述べました。

 訪問の事実について、内閣府の河村正人地方創生推進事務局長は今治市に問い合わせたとして、「返事は『行った』ということだった」と答弁。安倍首相は、同日の入館記録を「もう一度確認したい」と答えました。

 一方、加計学園を選んだ経緯については「国家戦略特区のプロセスは適正だ」と繰り返し、加計学園の獣医学部計画を初めて知ったのは「昨年1月20日」だと主張。自身の関与を否定しました。

 

隠ぺい・改ざん・ねつ造 全て安倍政治の核心で(2018年4月12日配信『しんぶん赤旗』)

 

衆院予算委 宮本岳志議員の質問

 日本共産党の宮本岳志議員は11日の衆院予算委員会で、安倍晋三首相らの関与の疑いが強まる一方の森友・加計学園疑惑について、独自入手した愛媛県作成の文書などを示して追及しました。

加計疑惑

宮本 メモのやりとりと、17年1月まで学園の意向を知らなかったと言う首相答弁は矛盾する

首相 柳瀬氏は「首相案件」と言うことは「あり得ない」とコメントしている

宮本 証人喚問を求める

 宮本氏が示した文書は、加計学園の国家戦略特区での獣医学部新設(愛媛県今治市)をめぐり、2015年4月2日、同県職員が当時の藤原豊・内閣府地方創生推進室次長、柳瀬唯夫首相秘書官と面会した際の記録(メモ)です。

 記録は、柳瀬秘書官の「本件は、首相案件」との言葉を記述。「安倍総理と同学園理事長(=加計孝太郎氏)が会食した際」に、獣医学部新設をめざす学園側が「意見」を求めたのに対して「助言があった」と記しています。藤原氏の「県・市・学園と国が知恵を出し合って進めていきたい」との発言も書かれています。

 宮本氏は「15年12月に特区諮問会議が今治市を特区に決めるはるか前に、“加計ありき”で決まっていた」と指摘。17年1月20日に加計学園が事業者に決まるまで、学園の意向を“知らなかった”と答弁した安倍首相をただしました。

 宮本 15年4月のメモのやりとりがあったとすれば、17年1月20日まで知らなかったとの答弁と矛盾する。

 安倍首相 柳瀬氏は具体的な話(首相案件)をすることは「あり得ない」とコメントしている。

 宮本 柳瀬氏は「記憶にない」と言いながら、「あり得ない」と断定している。ご都合主義だ。「私が関与したと言った人は一人もいない」との答弁は撤回すべきだ。

 首相 私がかかわっていたことを指したものではない。

 宮本 柳瀬氏は記憶にないと言っているにすぎない。挙証責任は政府にある。藤原、柳瀬両氏の証人喚問を求める。

森友疑惑

宮本 値引きが「適正」でなかったからこそウソの説明を頼んだ。今でも「適正」と言えるか

首相 答弁に立てず

 森友学園への国有地売却に関して宮本氏は、「総理は『私の家内の名前も出たから、徹底的に調べろと指示した』と語った。昭恵氏の名前が出たことが『指示』の動機か」と質問。安倍首相は「妻の名前も出ており、真相を明らかにする意味で指示した」と述べました。

 宮本氏は、菅義偉官房長官が17年2月22日に当時の佐川宣寿・理財局長、太田充・大臣官房総括審議官(現理財局長)らから、森友学園への国有地払い下げの説明を受けたことに言及。「改ざんが実行に移される時期であり、学園にウソの説明を要請するという隠ぺい工作も行われている」と強調しました。

 その上で、同省が大幅値引きのために地中ゴミの量を過大に見積もろうと、学園側に「トラック何千台も走った気がする」との虚偽説明をするよう依頼した問題に言及。「値引きが『適正』でなかったからこそ、ウソの説明を頼んだ。いまでも値引きが『適正』だったと言えるか」とただしました。

 野党席からいっせいに「総理」の声が飛ぶ中、首相は答弁に立てず、「適正さ」を何ら語れませんでした。

 宮本氏は、安倍首相が昨年3月、自民党の西田昌司参院議員に「8億円値引きされたことの『正当性』を、質疑を通してうまく説明してほしい」と要請したとの報道を挙げ、追及しました。

 宮本 西田氏の質問に注文を付けたのか。

 安倍首相 西田氏と別件で電話した際、話を聞いてみた。質問の中身は依頼していない。

 宮本 現に西田氏は質疑で値引きの「正当性」を主張した。総理が値引きの「適正さ」の頼みにした会計検査院の報告では、ゴミの量などの国の見積もりに「十分な根拠が確認できない」とした。

 安倍首相 財務省が説明責任を果たしていく。

 宮本氏は「結局、ウソにつじつまを合わせるため、財務省が虚偽説明を森友に求めるに至った」と指摘。「隠ぺい・改ざん・ねつ造・口裏合わせは、全て安倍政治の核心部分で起きている大問題だ。国会と国民を欺く政権に、一日たりとも政権を担う資格はない」と批判しました。

 

石破氏「友達で便宜なら、行政に信頼置けない」(2018年4月11日配信『読売新聞』)

 

 自民党の石破茂・元幹事長は11日、東京都内で講演し、「政と官」のあり方について「(政治家に)逆らったら、もうダメだということをやっていると、(官僚が)誰も物を言わなくなる。システムとして崩壊している」と述べた。

 学校法人「森友学園」の問題などを巡り、安倍内閣に苦言を呈した形だ。

 同日夕に開かれた同党議員のパーティーでは「行政は公平公正でなければならない。お友達だから特に便宜を図ってもらえるとしたら、ばからしくて誰も行政に信頼なんか置けない」と指摘した。

 

前川喜平前事務次官「加計ありき」の決定的証拠(2018年4月11日配信『共同通信』)

 

 学校法人加計学園の獣医学部新設計画を巡る愛媛県側の作成文書が明らかになったことを受け、文部科学省の前川喜平前事務次官は10日、「安倍晋三首相の明確な意向のもとで新設を認めようとする『加計ありき』の動きがあったことを示す決定的な証拠だ」などとするコメントを出した。

 当時の首相秘書官だった柳瀬唯夫氏が2015年4月2日に愛媛県や今治市の職員と会い、「首相案件」と述べたとの内容に、前川氏は「首相秘書官が官邸で外部者と面会したということは、事前に首相の指示または了解があり、事後に報告があったことに疑いがない」と強調した。

 その上で「安倍首相は、遅くともこの時点で加計学園が獣医学部を開設したいと意図していたことを十分認識していた」と推測。「『17年1月20日に初めて加計学園の獣医学部設置の意思を知った』などの首相の国会答弁は虚偽と考えざるを得ない」と指摘した。

 

会食時に獣医学部話題 15年4月以前、首相と加計氏(2018年4月11日配信『東京新聞』)

 

 学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)が愛媛県今治市に開設した獣医学部を巡り、県と市、学園の幹部ら一行が2015年4月2日、当時の柳瀬唯夫首相秘書官らと面会した際の記録文書を本紙は入手した。県の担当者が作成した文書には「先日安倍(晋三)総理と(加計孝太郎)同学園理事長が会食した際に、下村(博文)文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があった」と記されていた。

 安倍首相は学部開設計画を知った時期を「(加計学園が国家戦略特区の事業者に決まった)17年1月20日」と国会で答弁。「加計氏から獣医学部を作りたいという話は一切なかった」と関与を否定した。文書の記載内容が事実なら首相は15年4月時点で、加計学園の計画を知っていた可能性があり、答弁の信ぴょう性が問われることになる。

 文書は15年4月13日付で、県地域政策課が作成した「獣医師養成系大学の設置に係る内閣府藤原次長・柳瀬首相秘書官との面談結果について」。一行が柳瀬氏と内閣府の藤原豊・地方創生推進室次長(当時)と面会した際の主な発言を記録している。

 首相や下村元文科相の名前が出てくるのは柳瀬氏との面会録。発言者は不明だが、記述の冒頭に「加計学園から」とあることから、発言したのは同席した学園幹部とみられる。

 文科省のある元幹部によると、獣医学部開設を希望する加計学園と、開設に慎重な文科省は当時、水面下で交渉を続けていた。文科省は加計学園に既存の獣医大学との差別化を図ることなどを求めていたが、「満足な回答が出てこなかった」(元幹部)という。

 文書の中の「安倍総理と同学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があった」との記述はそうした状況と符合する。

 文書には対応策として「国家戦略特区の提案書と併せて課題への取り組み状況を整理して、文科省に説明するのがよいとの助言があった」との記述があった。

 柳瀬氏の発言としては「本件は首相案件になっており、内閣府の藤原次長のヒアリングを受ける形で進めてほしい」「国家戦略特区の方が勢いがある」などと記されていた。

 藤原氏の発言では「かなりチャンスがあると思っていただいてよい」「獣医師会との真っ向勝負にならないよう、既存の獣医学部と異なる特徴を書き込んでほしい」などがあった。

 この面会から2カ月後、県と市は国家戦略特区での学部開設を内閣府に申請。提案書は藤原氏の助言に沿った内容になっていた。

 愛媛県の中村時広知事は10日、県庁で会見し、「当時の職員が説明のために作った備忘録。全面的に信用している」と説明した。

 本紙は10日、安倍事務所と下村事務所、加計学園に質問状を送ったが、いずれも同日中に回答はなかった。柳瀬氏は「自分の記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方に会ったことはない」とコメントを発表した。藤原氏はこれまでの本紙の取材に「内閣府に聞いてほしい」と答えている。

<国家戦略特区> 国が指定した地域に限り規制を緩和する制度。第2次安倍政権の目玉政策として2013年に創設され、これまでに「東京圏」「関西圏」など全国で10地域が指定されている。自治体からの提案を国が認証する流れの構造改革特区と異なり、事業を所管する官庁の関与を少なくし、内閣主導でテーマや地域を決めるのが特徴。

 

写真

 

加計学園を巡る愛媛県作成文書の面談記録全文(2018年4月11日配信『東京新聞』)

 

 本紙が入手した愛媛県作成の文書のうち、柳瀬唯夫・首相秘書官と藤原豊・内閣府地方創生推進室次長(いずれも当時)との面談記録部分の全文は以下の通り。

報告・伺

 獣医師養成系大学の設置に係る内閣府藤原次長・柳瀬首相秘書官との面談結果について

 27.4.13

 地域政策課

1 4/2(木)、獣医師養成系大学の設置について、県地域政策課長・今治市企画課長・加計学園事務局長らが内閣府藤原次長及び柳瀬首相秘書官らとそれぞれ面談した結果は、次のとおり。

《藤原地方創生推進室次長の主な発言(内閣府)11:30》

・要請の内容は総理官邸から聞いており、県・今治市がこれまで構造改革特区申請をされてきたことも承知。

・政府としてきちんと対応していかなければならないと考えており、県・市・学園と国が知恵を出し合って進めていきたい。

・そのため、これまでの事務的な構造改革特区とは異なり、国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたい。

・国家戦略特区は、自治体等から全国レベルの制度改革提案を受けて国が地域を指定するものであるが、風穴を開けた自治体が有利。仮にその指定を受けられなくても構造改革特区などの別の規制緩和により、要望を実現可能。

・今年度から構造改革特区と国家戦略特区を一体的に取り扱うこととし、年2回の募集を予定しており、遅くとも5月の連休明けには1回目の募集を開始。

・ついては、ポイントを絞ってインパクトのある形で、2、3枚程度の提案書案を作成いただき、早い段階で相談されたい。

・提案内容は、獣医大学だけでいくか、関連分野も含めるかは、県・市の判断によるが、幅広い方が熱意を感じる。

・獣医師会等と真っ向勝負にならないよう、既存の獣医学部と異なる特徴、例えば、公務員獣医師や産業獣医師の養成などのカリキュラムの工夫や、養殖魚病対応に加え、ペット獣医師を増やさないような卒後の見通しなどもしっかり書きこんでほしい。

・かなりチャンスがあると思っていただいてよい。

・新潟市の国家戦略特区の獣医学部の現状は、トーンが少し下がってきており、具体性に欠けていると感じている。

《柳瀬首相秘書官の主な発言(総理官邸)15:00》

・本件は、首相案件となっており、内閣府藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい。

・国家戦略特区でいくか、構造改革特区でいくかはテクニカルな問題であり、要望が実現するのであればどちらでもいいと思う。現在、国家戦略特区の方が勢いがある。

・いずれにしても、自治体がやらされモードではなく、死ぬほど実現したいという意識を持つことが最低条件。

・四国の獣医大学の空白地帯が解消されることは、鳥インフル対策や公衆衛生獣医師確保の観点から、農水省・厚労省も歓迎する方向。

・文科省についても、いい大学を作るのであれば反対しないはず。

・獣医師会には、直接対決を避けるよう、既存の獣医大学との差別化を図った特徴を出すことや卒後の見通しなどを明らかにするとともに、自治体等が熱意を見せて仕方がないと思わせるようにするのがいい。

・加計学園から、先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があったとのことであり、その対応策について意見を求めたところ、今後、策定する国家戦略特区の提案書と併せて課題への取組状況を整理して、文科省に説明するのがよいとの助言があった。

 

2 ついては、県としては、今治市や加計学園と十分協議を行い、内閣府とも相談しながら、国家戦略特区の申請に向けた準備を進めることとしたい。

 また、これと併行して、加計学園が想定する事業費や地元自治体への支援要請額を見極めるとともに、今治新都市への中核施設整備の経緯も踏まえながら、経費負担のあり方について十分に検討を行うこととしたい。

 

愛媛知事「文書、全面的に信頼」 加計問題会見 「職員の備忘録」(2018年4月11日配信『東京新聞』−「社説」)

 

 学校法人「加計(かけ)学園」が愛媛県今治市で今月開設した獣医学部を巡り、本紙などが報じた県職員と柳瀬唯夫・首相秘書官(当時)らとの面会記録について、中村時広知事は10日、県庁で記者会見を開き、「現時点で文書そのものは確認できないが、県職員が書いたメモだ」と内容の信ぴょう性を認めた。柳瀬氏は「首相案件」との発言を否定しているが、知事は「職員の書類は全面的に信頼している」と言い切り、発言があったとの認識を示した。獣医学部の新設計画が「加計学園ありき」で進められていた疑いは、より強まった。

 10日午後5時、知事会議室を埋めた約50人の報道陣からフラッシュを浴びる中、紺色のスーツ姿の中村知事が厳しい表情で切り出した。

 「本日聞き取り調査をしたところ、この文書は職員が私への報告のために作った備忘録だと判明した。(東京での)会議に出席した職員が書いたものだと確認できたが、メモには保存義務がなく、現時点で文書そのものは確認できてない」

 愛媛県の地域政策課長らが今治市や加計学園の担当者と上京し、首相官邸で柳瀬氏と、内閣府で藤原豊・地方創生推進室次長(当時)と面会したのは、県と市が国家戦略特区を申請する前の2015年4月2日だ。

 本紙が入手した文書では柳瀬氏は「本件は首相案件」と切り出し、「国家戦略特区の方が勢いがある」と活用を勧めていた。藤原氏も「要請の内容は総理官邸から聞いている」とした上で、「国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたい」と述べたと記されていた。

 中村知事は職員から当時、文書とともにどのような報告を受けたか「覚えてない」としたが、「内閣府から『国家戦略特区を活用したらどうか』と助言を受け、申請に至った。このときの報告を『可能性が見えた』と前向きにとらえた覚えがある」と振り返った。文書が流出した経緯については、「私や職員は当時、文部科学省や農林水産省、内閣府に説明にうかがっていた。その際、『4月の会議ではこのような状況だったので、ぜひよろしく』と、熱意を伝えるための資料として渡したと思う」と述べ、国側から流出した可能性を示唆した。

 知事は「職員が文書をいじる必要性はない」「職員はしっかり仕事をしているので書類は全面的に信頼している」と文書の信ぴょう性の高さを強調するが、柳瀬、藤原両氏は否定している。政府高官らも否定していることを問われると、険しい表情になり語気を強めた。

 「中身についてコメントすべきではないと思う。それぞれの機関の発言については、それぞれが正直にお話しすべきではないか」

 

◆知事会見 一問一答

 【冒頭発言】

 調査の結果、文書は、職員が会議に出席して口頭報告のために作ったメモと分かった。現時点では県庁内にはないが、当時の担当職員が備忘録として書いたものと判明した。

 【一問一答】

 −文書の内容は。

 「報道されている部分は担当職員が書いた」

 −担当職員は「首相案件」と記載したのか。

 「中身については情報公開条例もあり、内容へのコメントは差し控えるが出席したものを報告のために記述したことに間違いない」

 −職員からの当時の報告は。

 「3年前なので覚えていないが、国が積極的、前向きに動いている感触はあった」

 −「首相案件」という言葉はあったか。

 「気にもしていなかった。(加計学園の)獣医学部新設は、省庁をまたがった案件だから、思いを伝えるために僕も担当者もいろいろな機関に説明に行き、このメモを活用してきた可能性は否定できない」

 −改めて、文書に「首相案件」の記載は。

 「覚えていない。その言葉を目にしたかどうかは記憶にない」

 −安倍首相の関与については。

 「分からない。国の状況について、うかがい知ることはできない」

 −市民団体が、県から「文書は破棄した」と回答を受けたというが。

 「メモ関係は保存義務がない。不要と判断したものは廃棄する」

 −文書の渡り先は。

 「文部科学省、農林水産省、内閣府に行った記憶がある。そこは間違いない」

 −データが残されている可能性は。

 「(調査から)まだ一日しかたっていない。現時点で、ないだけ。引き続き調査し、何か出たらお知らせする」

 

加計も再燃 「亡霊」の悪夢 森友、日報…政権に三重苦(2018年4月11日配信『産経新聞』)

 

 政府にまた新たな難題が出た。愛媛県の中村時広知事は10日、学校法人「加計(かけ)学園」による獣医学部新設計画について、平成27年4月に県と今治市の担当者、学園幹部が首相官邸を訪れ、面会した柳瀬唯夫首相秘書官(当時)が「首相案件」などと語ったとするメモが存在したと発表した。学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる問題や自衛隊の日報問題に加え、過去の「亡霊」が安倍晋三政権の体力を奪っている。

 焦点は、面会の有無と、面会が事実ならば柳瀬氏の口から加計学園の獣医学部新設が「首相案件」という言葉が出たかどうかだ。

 中村氏は、面会はあったとの認識を示した。

 菅義偉官房長官は10日の記者会見で、野党が柳瀬氏の証人喚問を求めていることに対し「国会の場で答弁しているし、本日もコメントを出した」と述べ、応じない考えを示した。

 現在は経済産業審議官の柳瀬氏は、委員会から質問要求があれば原則、出席して答弁しなければならない。ただ、昨年7月25日の参院予算委員会で「私の記憶する限りはお会いしていない」と繰り返し答弁し、10日も面会そのものを改めて否定した。現時点では国会でも同様の答弁をするとみられる。

「首相案件」という文言は、「首相の意向」や「加計ありき」という野党などの主張に直結するだけに、格好の追及材料となる。政府高官は「首相は国家戦略特区を突破口に、既得権益による岩盤規制を打破する考えをずっと言っている。文書を作成した側が曲解したのではないか」と語る。「言った言わない」の議論が続く可能性がある。

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 森友問題では、財務省は決裁文書の改竄(かいざん)と、理財局職員が昨年2月に森友側にごみ撤去費に関して口裏合わせを依頼していたことを認めている。国有地の8億円の値引きが適正だったかが改めて問われている。

 麻生太郎副総理兼財務相は10日の記者会見で「誤った対応であるとはっきりしている」と認めたが、値引きについては「会計検査院からも法律違反とは指摘されていない」と述べ、正当性を強調し、引責辞任を否定した。森友学園の籠池泰典前理事長が財務省を訪れ、声を荒らげながら値引きを迫ったことは、すでに明らかになっている。

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 日報問題では、昨年2月に当時の稲田朋美防衛相が国会で「存在しない」と説明していた自衛隊のイラク派遣時の日報が陸上自衛隊、航空自衛隊で見つかった。陸自は昨年3月時点で日報の存在を把握し、小野寺五典(いつのり)防衛相に報告が上がるまで1年も要したことになり、文民統制(シビリアンコントロール)の実効性が疑われている。

 さらに南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸自の日報など、別の日報が次々と見つかった。小野寺氏は「ウミを出し切る」と述べ、大野敬太郎防衛政務官をトップとする調査チームが組織的隠蔽(いんぺい)の有無や経緯などの全容解明を急いでいる。

 

加計学園問題 柳瀬氏らの証人喚問要求など野党追及強める(2018年4月11日配信『NHKニュース』)

 

「加計学園」の獣医学部新設をめぐり、愛媛県や学園の関係者らが、総理大臣官邸を訪問した際に記されたとする文書が残っていたことを受けて、野党側は記載のある柳瀬元総理大臣秘書官らの証人喚問を求めるなど、政府への追及を強めることにしています。

「加計学園」の獣医学部新設をめぐり、3年前に愛媛県や学園の関係者らが総理大臣官邸を訪問し、当時総理大臣秘書官だった柳瀬唯夫経済産業審議官が「この件は、首相案件だ」などと発言したと記された文書が残っていたことがわかり、愛媛県の中村知事は文書は県が作成したものだと認めました。

これについて、柳瀬氏は「記憶の限りでは、お会いしたことはない。私が外部の方に対して、この案件が首相案件になっているといった具体的な話をすることはありえない」と否定していて、政府は関係府省にこうした文書が保存されていないか確認しています。

こうした中、衆議院予算委員会で11日、安倍総理大臣も出席して集中審議が行われることになっていて、与党側は事実関係を明らかにし、説明を尽くすよう政府側に求めることにしています。

これに対し野党側からは、柳瀬氏が3年前に「首相案件だ」などと発言したことが事実であれば、「加計学園」が獣医学部の新設を申請していることを知ったのは去年1月だったとする、安倍総理大臣の答弁と矛盾するといった指摘も出ており、柳瀬氏らの証人喚問を求めるなど追及を強めることにしています。

 また、野党側は11日の集中審議で、森友学園への国有地売却の問題で、財務省の職員が学園側にうその説明を求めていたことや、自衛隊のイラク派遣の日報問題も追及し、安倍政権の政治責任は重いとして内閣総辞職を迫る方針です。

 

首相案件文書で安倍首相の虚偽答弁が決定的に! 安倍首相と加計理事長が会食で獣医学部新設を相談していた(2018年4月11日配信『リテラ』)

 

 朝日新聞が朝刊でスクープした、加計学園問題での安倍首相の関与を決定づける「首相案件」文書問題だが、夕方になって、新たな“爆弾”が投下された。

 朝日新聞がデジタル版で、この文書の全文を公開したのだ。そこには、官邸や政権幹部の直接関与を裏付ける記述、さらには、これまで安倍首相が言い逃れしてきた答弁が完全に虚偽だったという事実が克明に刻まれていた。

 そもそも、朝日が朝刊で報じたのは、2015年4月2日、愛媛県や今治市の職員、加計学園幹部と、当時の柳瀬唯夫首相秘書官、内閣府の藤原豊地方創生推進室次長(いずれも当時)との面会記録。柳瀬秘書官の「本件は、首相案件」などの発言が記録されていたと報じた。文書が本物だとすると、柳瀬秘書官の昨年国会の「会った記憶はない」との答弁は虚偽だったことになる。

 そして、愛媛県の中村時広知事はきょうの会見で、担当職員が「備忘録」として作成していたと認めた。県職員が柳瀬秘書官と面会したかについては「コメントできない」と言葉を濁したが、「県の職員は文書をいじる必然性は全くない」「県庁職員は真面目な職員。しっかりと、報告のために記述したものであることは間違いない」」と明言して、逆に「国が正直に言ったらいいのではないか」と返した。文書の信ぴょう性は確実になったといっていいだろう。

 朝日が畳み掛けたのは、この知事会見のあとだった。朝日新聞デジタルで中村知事が認めた「備忘録」の内容を全文公開。それは、朝刊以上に決定的な内容が含まれていた。それは、こんな記述だ。

〈加計学園から、先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があったとのことであり、その対応策について意見を求めたところ、今後、策定する国家戦略特区の提案書と併せて課題への取組状況を整理して、文科省に説明するのがよいとの助言があった。〉

安倍首相は「加計理事長とは獣医学部の話をしたことがない」と言っていたのに

そう、この首相案件文書に、安倍首相と加計孝太郎理事長の会食の席でのやりとりが書かれていたのだ。しかも、その記述を普通に解釈すれば、こういうことになる。愛媛県や今治市の職員、加計学園幹部と、当時の柳瀬唯夫首相秘書官らが官邸で面会した4月2日の少し前、安倍首相と加計孝太郎理事長が会食していた。その席で、安倍首相は加計理事長に「下村さんが加計学園は課題への回答もなくけしからんと言っている」と、下村文科大臣及び文科省への対策の必要性を伝えていた。そこで、加計学園幹部が4月2日の面談でこの件を持ち出し、県職員らが柳瀬秘書官に「対応策」を相談。柳瀬秘書官から、「国家戦略特区の提案書と併せて課題への取組状況を整理して、文科省に説明せよ」とのアドバイスを受けた。

いくつもの重大事実がここには記されている。とりわけ注目したいのは、この記録によって、安倍首相の国会での虚偽答弁が立証されてしまったことだ。

安倍首相は、昨年7月24日の衆院予算委の閉会中審査で、今治市が国家戦略特区に正式に決定した2017年1月20日に加計学園が申請者であると初めて知った、加計理事長との間で、獣医学部を作りたいといった話は一度もなかったと答弁していた。また、7月25日の参院予算委の閉会中審査でも、友人である加計理事長との関係を問われ、「相談や依頼は一切なかった。相手の立場を利用しようとするということなら、もう友人とは言えない」と語っていた。

さらに昨年3月13日の参院予算委では、社民党の福島みずほ議員から追及された安倍首相は、激昂しながら、こう答弁していた。

「何か確証もつかずにこの国会の場において何か問題があったかのごとく、私と彼が会食、彼は私の友人ですよ、ですから会食もします、ゴルフもします。でも、彼から私、頼まれたことありませんよ、この問題について。ですから、働きかけていません。これはっきりと申し上げておきます」

しかし、繰り返すが、愛媛県の面会記録によれば、安倍首相は加計学園が国家戦略特区に申請するよりも前、少なくとも2015年4月段階で、加計理事長に獣医学部新設をめぐる下村文科相の動きを伝え、文科省対策の必要性をアドバイスしていた。これはつまり、加計学園に特区申請の意志があることを知っていたのはもちろん、獣医学部新設について、加計理事長としっかり「相談」までしていたということではないか。

安倍首相と加計理事長の“相談会食”のあと、文科省と下村大臣の態度が一変!

さらに、この面会記録の記述をめぐってはもうひとつ、重大な疑惑が浮かび上がっている。それは安倍首相と加計知事長が会食した時点では、文科省と下村大臣が加計学園に対して「けしからん」というくらい怒っていたのに、4月2日の面会時点では、柳瀬秘書官が〈文科省についても、いい大学を作るのであれば反対しないはず〉と明言するほど、状況が好転していたことだ。

しかも、この4月2日の面会を昨年7月にスクープした「週刊朝日」によると、面会の途中、下村博文文科相がやってきて、「やあ、加計さん。しっかりやってくれよ」と挨拶したという。

これはつまり、この間に、安倍首相が加計理事長だけでなく、下村大臣及び官邸にも働きかけをして、両者を手打ちさせていたということではないのか。今回、面会記録が出てきたことで、こうした安倍首相の直接的な働きかけも大きな問題になるはずだ。

安倍首相は昨年3月13日の参院予算委ではこんな大見得も切っていた。

「(加計学園の獣医学部開設を)働きかけているというのであれば、何か確証を示してくださいよ。私は、もし働きかけて決めているのであれば、やっぱりそれは私、責任取りますよ。当たり前じゃないですか」

ぜひ、責任をとってもらおうではないか。

 

加計新設へ官邸指南(2018年4月11日配信『しんぶん赤旗』)

 

“要請は総理官邸から聞いている”

本紙入手面会記録 内閣府の藤原次長(当時)

 学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設をめぐり、愛媛県、今治市の担当者と学園事務局長らは2015年4月2日午前に、内閣府の藤原豊・地方創生推進室次長(当時)と会い「要請の内容は総理官邸から聞いており」「政府としてきちんと対応していかなければならない」と言われていたことが、本紙が入手した面会記録で分かりました。同日午後には、首相官邸で柳瀬唯夫首相秘書官(当時)から「本件は、首相案件」と伝えられており、同じ日に官邸側が強力な後押しをした形です。

 藤原氏との面会記録は柳瀬氏の記録と同じく愛媛県が作成し、内閣府など複数の政府関係者に配布したもの。

 面会した日は、今治市が国家戦略特区で獣医学部新設の規制緩和を申請する2カ月ほど前です。今治市はそれまで構造改革特区による規制緩和を15回にわたり申請していましたが、獣医師の需要が足りていることから実現していませんでした。

 記録によると藤原氏は「要請の内容は総理官邸から聞いており、県・今治市がこれまで構造改革特区申請をされてきたことも承知」と説明。「政府としてきちんと対応していかなければならない」「県・市・学園と国が知恵を出し合って進めていきたい」と語ったとされています。

 記録には「国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたい」と藤原氏が述べるなど、政府側が獣医学部新設を実現する方法を、詳しく指南していたことも記載されています。

 藤原氏は「ポイントを絞ってインパクトのある形で、2、3枚程度の提案書案を作成いただき、早い段階で相談されたい」と提案。獣医学部新設に反対していた日本獣医師会と「真っ向勝負にならないよう、既存の獣医学部と異なる特徴」を出すように勧めていました。

 実際に、今治市は、15年6月5日に開かれた国家戦略特区ワーキンググループのヒアリングで3枚のカラー資料を提示。「国際水準の獣医学教育特区」などとして、従来の獣医学教育との違いを強調していました。

 藤原氏は「かなりチャンスがあると思っていただいてよい」とも説明。構造改革特区で何度も却下された規制緩和提案を、一官僚が太鼓判を押してすすめるのは異様で、官邸の意向をうかがわせる内容となっています。

 安倍晋三首相はじめ内閣府は、“加計ありき”で獣医学部新設が進んできたことを否定してきました。しかし、面会記録のやりとりには、加計学園が大前提だったことが明確に記されています。

“決定的内容 喚問しかない”

「首相案件」報道受け前川氏コメント

 文部科学省の前川喜平前事務次官は、「加計学園」の獣医学部新設で2015年4月に柳瀬唯夫首相秘書官(当時)が「本件は、首相案件」と述べたとされる問題で10日、参院議員会館内で記者団の取材に応じ、次のように述べました。

 かなり決定的な内容です。2015年4月2日の時点で、すでに“加計ありき”で“加計隠し”が始まっていることを示す資料です。4月2日の会合で政府側は、構造改革特区はあきらめて国家戦略特区に切り替えましょうと提案しています。国家戦略特区ではじめから加計学園の獣医学部をつくらせるためにすべてのお膳立てをしていたことが分かります。

 また首相の意思表示がなければ「本件は、首相案件」などと絶対に言わない。首相秘書官は、事前に首相の了解や指示がなければ官邸で客と会いません。首相秘書官が官邸で会うということは首相の名代ということです。後で首相に報告もします。

 これまで政府はどんな文書が出てきても「記載の内容は事実ではない」と答弁してきました。今回も事実ではないと政府がいうのであれば、証人喚問しか方法はないでしょう。柳瀬氏や内閣府の藤原豊・地方創生推進室次長(当時)、加計孝太郎・加計学園理事長など事情を知っている人はたくさんいます。

 

愛媛県知事のひと刺しで安倍官邸に激震 始まりは週刊朝日特報(2018年4月10日配信『AERA.com』)

 

 疑惑の始まりは2017年7月23日に配信された週刊朝日のオンライン記事だった。安倍政権がひた隠しにしてきた、15年4月2日に首相官邸で行われた今治市の企画課長や愛媛県職員らと政府関係者による面会で、政府側の出席者が柳瀬唯夫首相秘書官(当時、現在は経済産業審議官)だったことをスクープした。

 その加計学園問題で新たな事実が発覚し、政界に激震が走っている。

 朝日新聞は4月10日、15年4月の官邸での面会後に、愛媛県の職員が作成した記録文書が存在すると報道した。記事によると、文書には柳瀬氏が述べた言葉として「本件は、首相案件」と書かれていた。

 報道を受けて同日夕、愛媛県の中村時広知事が記者会見を開催。中村知事は、自らヒアリング調査をしたと説明したうえで、「当時の担当職員が、備忘録として書いた文書であると判明した」と、文書の存在を認めた。ただ、文書そのものは県庁内では確認できていないという。

 中村知事の“ひと刺し”発言を受けて、朝日はデジタル版で文書の全文を報道。そこには、次のような生々しいやりとりが書かれていた(肩書は当時のもの)。

〈かなりチャンスがあると思っていただいてよい〉(藤原豊地方創生推進室次長)

〈加計学園から、先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があったとのことであり、その対応策について意見を求めたところ、今後、策定する国家戦略特区の提案書と併せて課題への取組状況を整理して、文科省に説明するのがよいとの助言があった〉(柳瀬唯夫首相秘書官)

〈本件は、首相案件となっており、内閣府藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい〉(同)

 政府関係者は言う。

「すでに永田町では、朝日のスクープで政局がおきるとの話でもちきりだ。安倍首相は、加計学園による獣医学部の新設計画をはじめて知ったのは昨年1月20日だったと国会で答弁しているが、それが完全にウソだったことになる。これでは(森友疑惑の)昭恵夫人ではなく、首相の証人喚問をしなければならなくなる。それくらい大きな話だ」

加計学園問題では、官邸での面会で話された内容は最大の謎となっていた。この日から、それまで門前払いだった加計学園の獣医学部新設構想が大きく動き始め、トントン拍子で17年1月に国家戦略特区の事業者に決まった。前述した週刊朝日のスクープ記事には、今治市関係者の言葉として、こう書かれていた。

〈「面会の後、今治市では『ついにやった』とお祝いムードでした。普通、陳情など相手にしてもらえず、下の担当者レベルに会えればいいほう。国会議員が同行しても、課長にすら会えない。それが『官邸に来てくれ』と言われ、安倍首相の名代である秘書官に会えた。びっくりですよ。『絶対に誘致できる』『さすがは加計さんだ、総理にも話ができるんだ』と盛り上がったというのは有名な話です」〉

柳瀬氏は面会の事実について、週刊朝日の報道後、国会で「記憶にございません」と7回以上繰り返した。10日の朝日の報道を受けてあらためてコメントを書面で発表したが、そこでも「自分の記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはありません」と面会の事実を否定した。

菅義偉官房長官は、関係省庁に対して愛媛県とのやりとりに関する文書について調べるよう指示したというが、何と応じるのか。

野党が柳瀬氏の追及を強めるのは必至だ。前出の政府関係者は言う。

「先週から、森友学園問題から加計学園に話題が移っていくという情報が流れていた。それが、この話だった。自民党幹部からは『安倍に対抗する勢力が、文書を入手して出したんじゃないか』といった声も出ていて、『秋まで政権は持たない』『安倍首相なら解散を打ってくるかもしれない』との声が、すでに出ている」

今年はじめまでは秋に予定されている総裁選で「安倍3選確実」との見通しが支配的だったが、風向きは一気に変わった。安倍政権は最大の危機を迎えている。

 

加計文書 「ゼロ回答」にいら立ち 愛媛知事明言避ける(2018年4月10日配信『毎日新聞』)

 

 加計学園が愛媛県今治市に岡山理科大獣医学部を新設した計画を巡る政府と地元自治体のやりとりを記録した文書の存在について、中村時広知事は10日、記者会見で、内容の詳細については「コメントできない」と明言を避けながらも、「職員の書類は信頼している」と暗に認めた。国に対しては「県は県の立場で自分たちのことはオープンにする。(国は)国の方で丁寧に説明してほしい」と要請した。一方、今月に開学した同学部の1期生や地元市民からは憤りや不安の声が聞かれた。

 午後5時、記者会見場となった愛媛県庁本館3階の知事会議室。集まった約50人の報道陣の前に現れた中村知事は会見冒頭、硬い表情で獣医学部の設置の経緯を語り始めた。「大学の誘致は今治市にとって長年の悲願だった」と強調した上で、文書については「職員が備忘録のために作った」と明かした。会見中、知事はメモなどを見ずに終始顔を上げて質問に応じた。

 柳瀬唯夫首相秘書官(2015年4月当時)が「首相案件」と述べたことに質問が集中したが、それを記した文書に関しては「中身についてはコメントできない」などと答えるにとどめた。ただ「県庁の職員は本当に真面目で、上げてきた書類は全面的に信頼している」と強調。「報告のために記述したのは間違いない」と断言した。

 文書について国から非公表を求める働きかけや調整があったかと問われると、「ない。全くない」と語気を強めた。

 地元今治では、文書の存在や知事の説明に憤りの声も上がっている。これまで県に同学部誘致関連の公文書を情報公開請求してきた市民団体「今治市民ネットワーク」の村上治共同代表(71)=同市=は「僕たちがうそをつかれていたということだ」。情報の開示に際し、同県の担当者から3月末、「(15年4月2日の出張復命書は)軽易なものなので廃棄した」と説明を受けたといい、「隠れていたものがいよいよ姿を現した。ほとんどのことはちゃんと記録されているはずで、もはや公開しない理由は何もない」と改めて情報公開を求める考えだ。

 獣医学部のある今治キャンパスでも、女子学生(19)は「ツイッターでいろいろ書かれると思うと怖い。こうして騒がれると浪人した方がよかったのかなとも思ってしまう」と動揺を隠せないでいた。一方、神奈川から来た女子学生(18)は「小学生の時から獣医になることを目指してきたので自分の意志を貫きたい」と力強く話した。

 市民の受け止め方も複雑だ。元教師の女性(77)は「忖度(そんたく)のある、なしは推測でしか言えないが、責任を取るべき人が口を開かないと決着しないのでは」と話す一方で「獣医学部は開学しているので、学生に影響のないことを願う」と話していた。【花澤葵、松倉展人、山口桂子】

文科省職員「ご意向と符合」

 文部科学省も対応に追われた。専門教育課はコンピューターの同課の共有フォルダーを調査したが、見つからなかった。さらに当時の課長と課長補佐から聞き取りをしたが、「記憶にない」との回答だったという。松永賢誕課長は報道陣に「当面は共有フォルダーを調べ、必要に応じて(調査対象を)広げたい」と話した。

 省内には困惑した空気が広がる。ある幹部は「今さら『首相案件』と言われても、大学の認可は覆らない。特区のプロセスで何があったのかは内閣府が検証すべきだ」。別の中堅職員は「文書の文言は(文科省内で発見された文書の)『総理のご意向』と符合している。文科省と愛媛県が似たような記録を残したのは、単なる偶然では説明がつかない」と憤る。

 野党6党は午後5時から国会に内閣府や文科省などの担当者を呼んでヒアリングし、「安倍晋三首相の主導だったことは明らか」「官邸を守らず、真実を明らかにして」と厳しく批判。愛媛県の中村時広知事が文書の存在を認めたと伝わると、野党側は「(首相秘書官だった)柳瀬唯夫氏との面会があったことは間違いない」「反論できないなら事実と等しい」などと攻勢を強めた。希望の党の今井雅人衆院議員が「11日の衆院予算委員会では『確認中』との答弁は許されない」と詰め寄ると、内閣府の塩見英之参事官は「精いっぱい確認作業を進めたい」と言葉少なだった。

 元文部官僚で京都造形芸術大の寺脇研教授は「秘書官が面会を認めなかったのは首相の関与を隠すため。一般的に首相が関与していなければ面会するはずがない。秘書官が獣医学部新設を後押ししていたことを昨年からごまかし続けてきたことになり、獣医学部の正当性が揺らぐ。今の状況に官僚たちはうんざりしている。安倍首相は総辞職を選択するか、首相を支える今の体制を抜本的に見直さなければ、官僚機構は崩壊するだろう」と憤った。

 

自民幹部「問題収束せずずっと続く」政権側、困惑隠せず(2018年4月10日配信『朝日新聞』)

 

 「首相案件」とはいったい――。学校法人「加計学園」による獣医学部新設計画をめぐり、柳瀬唯夫首相秘書官(当時)のこうした発言が、愛媛県が作成した面会内容を記録した文書に記されていたことが明らかになった。森友問題の文書改ざん、自衛隊の日報問題に続く、新たな事実の発覚に、政権側は困惑の色を隠せない。

 森友問題の文書改ざん、自衛隊の日報問題に続く、新たな事実の発覚に、政権側は困惑の色を隠せない。危機感を強める自民党からは、柳瀬氏の国会招致を容認する声も出始めた。

 菅義偉官房長官は10日夕の記者会見で、柳瀬氏と学園や愛媛県の関係者らとの面会について「国会の場で柳瀬元秘書官が答弁している。本日もコメントを出しているので、それに尽きる」と述べた。獣医学部新設の認可は「適切だったとの認識に変わりはない」とも強調した。

 しかし今回の記録文書に真っ向から反論することはせず、内閣府や文科省など関係した4府省に今回の文書が残っているか速やかな確認を指示した。昨年、菅氏が朝日新聞が報じた、加計学園の獣医学部新設に関連した文書を「怪文書」と言い切った対応とは様変わりしている。

 自民党の二階俊博幹事長はこの日の記者会見で、「国民もうんざりしていると思うが、我々もうんざりしている」といら立ちをあらわにした。自民党幹部は「問題は収束せず、ずっと続く」と頭を抱える。

 野党6党は柳瀬氏と当時の内閣府地方創生推進室次長だった藤原豊氏の証人喚問を求めることで一致。11日に安倍晋三首相ら全閣僚が出席して衆院予算委員会で行われる公文書管理問題の集中審議を手始めに追及する方針。共産党の小池晃書記局長は記者団に「首相の進退に関わる重大な疑惑」とし、立憲民主党の辻元清美国対委員長は「首相主導だった疑いが濃厚になった。官邸は『疑惑の館』になった」と記者団に語った。

 事態収拾を急ぎたい与党側は柳瀬氏の国会招致を検討。自民党執行部の一人は「(柳瀬氏を国会に)呼ばざるを得ない」と明言した。

 

「首相案件」の面会、加計・獣医学部新設への起点に(2018年4月10日配信『朝日新聞』)

 

 

 学校法人「加計学園」による獣医学部計画をめぐり、新設を目指す愛媛県や同県今治市の職員と、首相秘書官(当時)が面会した内容を記録したとされる文書が明らかになった。国家戦略特区の提案前の面談は、どんな意味を持っていたのか。元秘書官は「記憶にない」と繰り返しているが、野党は追及の姿勢を強めている。

 愛媛県や今治市の職員、加計学園幹部が首相官邸を訪問し、柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面会したとされる2015年4月2日(@)は獣医学部新設が実現する過程で、重要なターニングポイントだった。

 県と市は07年から14年にかけて計15回、「構造改革特区」で獣医学部新設を国に提案した。しかし国側は「特区では対応できない」などと、すべて却下した。行き詰まっていた獣医学部構想は、第2次安倍政権のもとで一転、実現に向かって動き始める。その「てこ」の役割を果たしたのが首相肝いりの「国家戦略特区」の制度。「起点」となったのが、15年4月の面会だった可能性がある。

 愛媛県職員が作成した文書によると、県職員らが柳瀬氏を訪ねる直前に面会した藤原豊・内閣府地方創生推進室次長(当時)は「構造改革特区とは異なり、国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたい」と発言。柳瀬氏も「国家戦略特区の方が勢いがある」と述べ、藤原氏は「ポイントを絞ってインパクトのある形で、2、3枚程度の提案書案を作成いただき、早い段階で相談されたい」と助言もしたとされる。

 今治市は、このときの出張記録をすでに開示している。そこには「4月2日(木)に、内閣府国家戦略特区(大学獣医学部)の協議のため東京に出張」との記載がある。中村時広・愛媛県知事も昨年5月の記者会見で「担当課長が15年春に新任あいさつで内閣府に行った際、『構造改革特区の窓口を国家戦略特区の窓口に一本化するので相談したらどうか』と助言を受けた」と述べている。この面会をきっかけに獣医学部実現を目指す「ルート」が国家戦略特区になった経緯がうかがえる。

 

「首相案件」面会メモ 愛媛知事が認めた加計文書内容(2018年4月10日配信『朝日新聞』)

 

 愛媛県の中村時広知事が10日の記者会見で「職員が作成したメモ」と認めた文書の内容は以下のとおり。

                     27.4.13

                     地域政策課

1 4/2(木)、獣医師養成系大学の設置について、県地域政策課長・今治市企画課長・加計学園事務局長らが内閣府藤原次長及び柳瀬首相秘書官らとそれぞれ面談した結果は、次のとおり。

《藤原地方創生推進室次長の主な発言(内閣府)11:30》

・要請の内容は総理官邸から聞いており、県・今治市がこれまで構造改革特区申請をされてきたことも承知。

・政府としてきちんと対応していかなければならないと考えており、県・市・学園と国が知恵を出し合って進めていきたい。

・そのため、これまでの事務的な構造改革特区とは異なり、国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたい。

・国家戦略特区は、自治体等から全国レベルの制度改革提案を受けて国が地域を指定するものであるが、風穴を開けた自治体が有利。仮にその指定を受けられなくても構造改革特区などの別の規制緩和により、要望を実現可能。

・今年度から構造改革特区と国家戦略特区を一体的に取り扱うこととし、年2回の募集を予定しており、遅くとも5月の連休明けには1回目の募集を開始。

・ついては、ポイントを絞ってインパクトのある形で、2、3枚程度の提案書案を作成いただき、早い段階で相談されたい。

・提案内容は、獣医大学だけでいくか、関連分野も含めるかは、県・市の判断によるが、幅広い方が熱意を感じる。

・獣医師会等と真っ向勝負にならないよう、既存の獣医学部と異なる特徴、例えば、公務員獣医師や産業獣医師の養成などのカリキュラムの工夫や、養殖魚病対応に加え、ペット獣医師を増やさないような卒後の見通しなどもしっかり書きこんでほしい。

・かなりチャンスがあると思っていただいてよい。

・新潟市の国家戦略特区の獣医学部の現状は、トーンが少し下がってきており、具体性に欠けていると感じている。

《柳瀬首相秘書官の主な発言(総理官邸)15:00》

・本件は、首相案件となっており、内閣府藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい。

・国家戦略特区でいくか、構造改革特区でいくかはテクニカルな問題であり、要望が実現するのであればどちらでもいいと思う。現在、国家戦略特区の方が勢いがある。

・いずれにしても、自治体がやらされモードではなく、死ぬほど実現したいという意識を持つことが最低条件。

・四国の獣医大学の空白地帯が解消されることは、鳥インフル対策や公衆衛生獣医師確保の観点から、農水省・厚労省も歓迎する方向。

・文科省についても、いい大学を作るのであれば反対しないはず。

・獣医師会には、直接対決を避けるよう、既存の獣医大学との差別化を図った特徴を出すことや卒後の見通しなどを明らかにするとともに、自治体等が熱意を見せて仕方がないと思わせるようにするのがいい。

 

「首相案件」文書、愛媛知事「備忘録」と存在認める(2018年4月10日配信『朝日新聞』)

 

 学校法人「加計(かけ)学園」の愛媛県今治市への獣医学部新設計画で、同県の中村時広知事は10日、県や市の職員が2015年4月に首相官邸で柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面会したとする文書について、県職員が報告のための備忘録として作成したものと認めた。文書には柳瀬氏が「本件は、首相案件」と述べたと記されている。11日の衆院予算委員会の集中審議で野党側は追及する方針。

 中村知事は朝日新聞の報道などを受けて10日、15年4月2日に首相官邸を訪問した職員ら計4人から聞き取り調査を実施。うち1人が文書について「自分が書いたもの」と認めた。「(知事への)口頭報告のために作ったメモ」という。

 記述の真実性については「職員が文書をいじる必然性はまったくない。全面的に信頼している」と強調。柳瀬氏が10日、「記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはない」などと文書で発表したことについては「コメントできない」と述べた。

 知事自身が報告を受けた際、職員の文書に「首相案件」の記述があったかは「覚えていない」としたが、「国全体が岩盤規制を崩す動きをしていると受け止めた」と振り返った。

 一方、中村知事は文書自体は報告用に作ったメモで公文書ではないとし、庁内には現時点で存在を確認できないとした。「何かが決まればきっちり公文書として残す」としつつ、今回の文書は「メモで保存義務がない。不必要と判断したら廃棄する」と説明。調査は続けるという。ただ、文部科学、農林水産両省や内閣府への説明の際に文書を示して配布した可能性は「否定できない」と話した。

 

柳瀬元首相秘書官「首相案件と話すこと、あり得ない」(2018年4月10日配信『朝日新聞』)

 

 学校法人「加計(かけ)学園」が愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画に関し、首相秘書官だった柳瀬唯夫経産審議官が同県や今治市の職員らと2015年4月に面会した際の記録が残っていたとの報道に対し、柳瀬氏は10日午前、コメントを発表した。柳瀬氏は「記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはない」と明言した。

 愛媛県の記録に、柳瀬氏が「本件は、首相案件」と述べたと記されていることについては、「具体的な地点の選定手続きは、総理秘書官の職を離れてかなり時間が経ってから始まり、今治市が特区を活用して、獣医学部新設を行う規制改革が決まったのが平成29(2017)年1月だった」と説明。「私が外部の方に対して、この案件が首相案件になっているといった具体的な話をすることはあり得ない」とした。

 

菅官房長官、「首相案件」文書の調査を指示へ(2018年4月10日配信『朝日新聞』)

 

 学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設について首相秘書官(当時)の発言を記した愛媛県が作成したとされる文書が存在した問題で、菅義偉官房長官は10日午前の会見で、関係省庁に対して愛媛県とのやりとりに関する文書について調べるよう指示する考えを示した。

 朝日新聞が首相秘書官だった柳瀬唯夫・経済産業審議官が2015年4月に愛媛県の職員らと面会した際、「本件は、首相案件」と述べたと記した文書を確認したと報道。またNHKの報道では、愛媛県が作成した文書が関係省庁に配布されたと報じられた。

 菅氏は会見で、柳瀬氏の発言の文書について「政府として承知していない」とした。また柳瀬氏は10日午前、文書でコメントを発表。「記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはない。この案件が首相案件になっているといった具体的な話をすることはあり得ない」とした。

 国家戦略特区を担当する梶山弘志地方創生相は同日午前の閣議後会見で「愛媛県が作成した文書で直接確認できていない。見たことがない」。林芳正文部科学相は会見で「文書について探索したが、省内では確認できていない」。斎藤健農林水産相は文書について「認識すらしていない。事実関係の確認をしたい」と述べた。

 世耕弘成経済産業相は「総理秘書官時代の話である以上、経産省の立場としてお答えする立場にない」とコメントを避け、当時、官邸にいた自身については「官房副長官としての業務上、全く認識していなかった」とした。

 一方、立憲民主党など野党6党の国会対策委員長は10日、国会内で会談し、柳瀬氏らの証人喚問を求めることで一致した。会談に先立って立憲の辻元清美国対委員長は記者団に「総理の主導だったのではという疑いが濃厚になった。官邸は疑惑の館になってしまった」と指摘。希望の党の泉健太国対委員長は「首相はうみを出し切るというが、うみをつくったのは政権ではないのか」と述べた。

 

「本件は、首相案件」と首相秘書官 加計めぐり面会記録(2018年4月10日配信『朝日新聞』)

 

獣医学部新設をめぐり、愛媛県が作成したとされる記録文書

 

 学校法人「加計(かけ)学園」が愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画について、2015年4月、愛媛県や今治市の職員、学園幹部が柳瀬唯夫首相秘書官(当時)らと面会した際に愛媛県が作成したとされる記録文書が存在することがわかった。柳瀬氏が面会で「本件は、首相案件」と述べたと記されている。政府関係者

 

加計「首相案件」発言か=面会記録報道、柳瀬氏は否定(2018年4月10日配信『時事通信』)

 

 学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画をめぐり、当時安倍晋三首相秘書官だった柳瀬唯夫経済産業審議官が愛媛県今治市職員らに対し、「本件は、首相案件」と述べたと記されている文書が存在する疑いが浮上した。柳瀬氏は10日、コメントを出し、事実関係を否定した。

 朝日新聞が10日付の朝刊で報じた。それによると、文書は愛媛県や今治市職員らが2015年4月2日に柳瀬氏と首相官邸で面会した際に同県が作成したとされ、15年4月13日の日付が記録されているという。柳瀬氏は昨年7月の国会審議で、「会った記憶はない」と答弁していた。

 これについて、柳瀬氏はコメントで「自分の記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはない」と強調。「外部の方に対して、この案件が首相案件になっているといった具体的な話をすることはあり得ない」と報道を否定した。

 柳瀬氏は12年12月の第2次安倍内閣発足時に首相秘書官に就任。15年8月に経済産業省経済産業政策局長に転じるまで秘書官を務めた。

 菅義偉官房長官は10日の記者会見で「政府として、そのような文書は承知していない」と語った。その上で「報道を受け、加計学園獣医学部新設をめぐる愛媛県と関係省庁との間のやりとりに関する文書について、関係省庁に確認させたい」と述べた。

 愛媛県担当者は、文書の存在について「調査中だ」としている。調査結果がまとまり次第、中村時広知事は午後にも記者会見する見通し。

 

柳瀬唯夫経済産業審議官が10日付の朝日新聞朝刊などの報道について出したコメントの全文は以下の通り。

 

 国会でも答弁していますとおり、当時私は、総理秘書官として、日々多くの方々にお会いしていましたが、自分の記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはありません。

 自分の総理秘書官時代には、国会でも答弁していますとおり、50年余り認められていなかった獣医学部の新設がどうなるかという制度論が議論されており、制度を具体的にどこに適用するかという段階ではありませんでした。実際、その後、獣医学部新設を追加規制改革項目として、とり上げるかどうかについては、いわゆる「石破四原則」の決定により、検討が開始されることになり、翌年の2016年11月に、獣医学部新設が国家戦略特区の追加規制改革事項として、決定されたと認識しています。

 具体的な地点の選定手続きは、私が総理秘書官の職を離れてかなり時間がたってから始まり、今治市が特区を活用して、獣医学部新設を行う規制改革が決まったのが17年1月だったと認識しています。

 したがって、報道にありますように、私が外部の方に対して、この案件が首相案件になっているといった具体的な話をすることはあり得ません

 

 

速報 安倍政権が隠蔽した加計学園幹部、首相秘書官、今治市の”謀議” 官邸で特区申請前に(2017年8月6日配信『AERAcom』)

    

 いまだ真相究明に程遠い状況の加計学園問題。中でも最大の謎の一つが、2015年4月2日、愛媛県今治市の職員2人が「獣医師養成系大学の設置に関する協議」のために首相官邸を訪問していることだ。

 訪問の時期は、今治市が国家戦略特区を使った獣医学部の新設を国に提案するより2カ月も前──。市町村の課長クラスが官邸を訪問することも異例だが、安倍官邸が訪問の詳細を頑なに明かそうとしないことから、問題の核心≠ニの疑念が深まっている。

 本誌はこのときの面会相手が経済産業省出身の柳瀬唯夫首相秘書官(当時)だったとスクープ(7月23日速報)。同月24、25日の国会の閉会中審査でこの事実関係を問われた柳瀬氏は「記憶にございません」を7回以上、連発した。

 8月2日には、愛媛県の中村時広知事が、この訪問に県職員3人も同行していたことを明かした。徐々に真相が明らかになる中、8月8日発売の「週刊朝日」では核心に迫る新たな証言を詳報している。

 今治市の関係者がこう明かす。

「実は、問題となっている訪問には、複数の加計学園幹部が同行していたのです。加計学園側から今治市に連絡が行き、官邸訪問が実現したようだ。当時はまだ国家戦略特区の枠組みがどうなるかもわからない段階。首相秘書官から『準備、計画はどうなのか』『しっかりやってもらわないと困る』という趣旨の話があった。最初から『加計ありき』を疑わせるような訪問で、萩生田(光一前官房副長官)、柳瀬両氏が国会で頑なに資料、記憶がないと言い張ったのは、詳細を明かせば、それが一目瞭然でバレてしまうからではないのか」

 獣医学部の新設は官邸主導で最初から「加計ありき」で進められたのではないか──。

 異例のメンバーによる官邸訪問は、そんな想像を抱かせるに十分な状況証拠だ。

 だが、話はこれで終わらない。この日、官邸には意外な人物もいたのだ。前出の今治市関係者がこう続ける。

 「面会のため一行が官邸内に入ると、下村博文文部科学相(当時)もやってきて言葉を交わしたそうです。『やあ、加計さん。しっかりやってくれよ』というような話も出たと聞いています」

当日の首相動静を確認すると、下村氏は15時35分から57分まで、山中伸一文科事務次官(当時)とともに官邸で安倍首相と面会している。一方、今治市の記録では職員らが官邸を訪問したのは15時から16時半までで、確かに官邸内にいた時間は重なる。

 下村氏といえば、後援会の「博友会」が13年と14年に加計学園の山中一郎秘書室長(当時)から計200万円分のパーティー券代を受け取りながら、政治資金収支報告書に記載していなかった疑惑が浮上したのは記憶に新しい(下村氏は違法性を否定)。

 15年4月2日の官邸訪問について下村氏に取材すると、事務所を通じ、「(今治市職員や加計学園幹部らと)首相官邸で会話を交わした事実はございません。また、私が今治市職員らと柳瀬唯夫首相秘書官との面談をセッティングしたという事実もございません」と回答した。

 政府はこれまで、官邸の入館記録が破棄されたなどとして面会の詳細について答えていない。国会では、菅義偉官房長官が「今治市に聞かれたらいかがでしょう」(7月10日)と答弁したので、今治市企画課にも取材を申し込んだが、「(訪問の)相手方や内容等については、今後の今治市の業務に支障が生じるおそれがあるため、今治市情報公開条例の趣旨にのっとり、お答えを差し控えさせていただいております」

 加計学園に幹部が官邸を訪問したか、柳瀬氏や下村氏と面会したかなどの事実関係を複数回、問い合わせたが、「取材も多く、バタバタしている」とのことで、期限までに回答はなかった。柳瀬元首相秘書官は「これ以上お伝えすることはありません」とのことだった。

 

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